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うつ病の「発作」について

2020.01.20 Monday

第105号   2019年8月27日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼うつ病の「発作」について▼▼▼

メルマガ読者の皆様、こんにちは。
先週は体調不良のため、
メルマガを発行することができませんでした。
ご心配をおかけいたしました。

まぁ、体調不良でメルマガを発行できなかったことって、
初めてではないのですよね。
たしか2017年の8月にも、
体調が悪くなって休刊しました。

2013年末から2年間、
私は燃え尽き症候運によるうつ病を煩い休職しました。
その療養のことも、このメルマガに何度か触れてきました。
2015年12月に「寛解」して、
2016年1月から仕事に復帰しました。

それから3年が経ちますが、
この間、何度か「症状」が戻ってきて、
長いときは1ヶ月ぐらい、
短いときは1週間ぐらい、
「期間限定」ではあるけれど、
鬱の症状が戻ってきたことがありました。

不思議なことに、
症状が戻ってくる「時期」には一定の法則がありました。
それは「お盆」「正月」「GW」です。
つまり世間が休んでいるときなんですよね。

けっこう誤解している人が多いですが、
うつ病というのは認知(脳)の不具合であると同時に、
身体の不具合でもあります。
脳の働きに影響を与える脳内物質に、
器質的な変化が起きているのが原因なので、
その症状の基礎はあくまで「身体」にあります。

養老孟司がよく言っているように、
「身体」は「自然」に属するので、
脳によってコントロールすることは不能です。
意思の力で腎臓病になれる人がいるでしょうか?
逆に意思の力で腎臓病を治せる人は?
そんなことは不可能です。

「身体」は意思の力でコントロール不能なのです。
ですからうつ病もまた、
意思の力ではコントロール不能です。
ところが「身体」の都合で、
暴力的に、誰にでも襲ってくるうつ病ですが、
その症状は「認知」に現れます。

だから「うつ病は認知が引き起こす」
という間違った推論が蔓延しているのです。
「認知行動療法」が、
その根本に抱えている誤謬はここにあります。

うつ病は「認知の矯正」によっては治せません。
だって器質的な変化がその基礎にあるのだから。
「気の持ちようが悪かったからうつ病になる。
 気の持ちようがよくなればうつ病は治る」
という暴論を振り回す人は、
「腸捻転を気合いで治療する」
といっているような危うさを秘めています。

下手したら死ぬ人が現れる。
これは危ない。
私はこれを何度でも言います。

、、、話を戻しましょう。

うつ病に「根治」はありません。
椎間板ヘルニアをやった人が、
生涯にわたって腰痛と付き合い続けるのと同じで、
うつ病を一度患った人は、
生涯にわたり鬱症状と上手に付き合いながら
生きていくことになります。
「俺は根治した」と言っている人は非常に危険です。
その思い上がりこそが身体に無理を強い、
次のうつ病を引き起こし、
そして「自分は健康だという思い上がり」と、
病気になったときの「落差」というのは、
破局的な結果をもたらす原因になりますから。

バナナマンの日村さんがラジオで昔言ってたのだけど、
彼はハンカチにうんこの刺繍をして、
持ち歩いているそうです。
というかドSの設楽さんに持たされているのだけど笑。
その「うんこのハンカチ」の意味は何かというと、
それを観るたびに、一日何回も、
「おまえはうんこのような存在なんだぞ。
 思い上がるなよ。
 いいか、人がちやほやしたとしても、
 おまえはうんこだということを忘れるな!」
という自分への戒めのためなんだそうです。

うつ病を経験した私も、
そのような気持ちでいなければいけません。
「いいか、お前は健康なみんなの仲間だなんて、
 思い上がったら駄目だぞ。
 お前はいつでも破局のリスクを抱えている。
 頑張りすぎるなよ。
 大量の仕事を安請け合いしたりするなよ。
 自分は人の半分ぐらいしかキャパがないことを、
 いつだって忘れるなよ。
 人がほめてくれても浮き足立つなよ」
と、自分を戒める必要がある。
私も「心にうつ病の刺繍のハンカチを持つ」
必要があるのです。

ことほどさように、
うつ病には「根治」はなく、
「寛解」しかありません。

寛解したうつ病が「戻ってくる」のは、
だから当たり前のことなのです。
それが私の場合、世間の大型連休と重なる傾向にある。

その原因について私なりに自己分析しますと、
多分世間が休んでいるときに、
無意識の領域とつながっている「身体」が、
「症状を出すなら今だ」というように、
いろんなストレスや疲れを
顕在化させるのだろうと思うんですよね。

そんな気がしてならない。

「今だ、休め!」って。
これもよく言われるのですが、
鬱症状というのは「休め!!!!」という、
身体(器官としての脳)からのSOSサインです。
警報器が鳴り響き、
「休め!!」
と身体がメッセージを発してくれているのです。

、、、で、私の場合、
それが大型連休と重なる。
ところが最後の記憶は2017年のお盆で、
それ以来うつ病の症状は出ていなかったのですよね。

「俺は治った」という思い上がりこそが、
最も危険なことを私は知っていますから、
「おまえは健康などではない。
 調子に乗るなよ。
 頑張りすぎるなよ。
 休みながらやれよ。
 思い上がるなよ。」
と普段から言い聞かせ、
前もって休むようにし、
動き回ったらしばらく立ち止まり、
人よりもかなり長時間の睡眠を取り、、、
という予防措置をしていたので、
それが上手くいっていたのだろう、
と私は思っていました。
ハンカチが自分を救ってくれていた、と。
結構俺も、危機管理ができてるじゃないかと。

ところがそれでもまだ、思い上がっていたのですね。

あれは2週間前、お盆の始まる週、
つまり8月12日のことでした。
いつものように朝のルーティンを終え、
デボーションをして、
仕事に移ろうとすると、何かがおかしい。

明らかに何かがおかしい。

先ほど鬱症状の再来には慣れている、
と書きましたが、その症状の辛さが減るわけではありません。
こんなもの、何度やっても慣れるわけがありません。
ヘルニアや痛風の痛さを何度経験しようが、
痛みが減るわけではないのと同じです。

で、「あ、やばい」と思いました。

「あいつ」が帰ってきた、と。

まず、考えられない。
頭に霧がかかったような状態になります。
思考はさび付いた機械のように動きが鈍くなり、
感情面では、心に重い鉛が括り付けられたように、
ずしんと心が重くなります。
感情を表す表情筋はこわばり、
笑顔が引きつり、表情が上手く表せなくなります。

まず最初にできなくなるのはアウトプットです。
高度な情報操作は不可能になります。
次に読書ができなくなります。
左脳を使った言語操作、情報処理ができない。
なので、私の生活にはほぼあり得ませんが、
この2週間、軽い小説を除いて、
ほぼまったく読書ができていません。
メルマガ執筆などできるはずもない。
だから、先週は休んだ、というわけ。

情報処理の回路が回らないので、
基本的に映画も観られません。
あと、テレビなどの気晴らしもあまり効果ありません。
感情の動きがおかしくなってるので、
すべてがネガティブにしか受け止められない。
楽しい番組を観ても苦しいし、
美味しい食べ物と食べても苦しい。
「楽しい、うれしい、幸せだ、希望がある」
という感情が、働かなくなります。

繰り返しますがこれは、
「気の持ちよう」とは関係がありません。
もちろん、信仰ともまったく関係がない。
「信仰があれば鬱にならない(直せる)」
などという寝言を言っている人は、
本当にこの社会から退場すればいいのに、
と思います。

ダルビッシュの言葉を借りるなら、
神龍(シェンロン)に願いを叶えてもらえるなら、
そういった「信仰マッチョイズム」を唱道する人たちが、
どうかこの世界から消えていなくなりますように、
と思います笑。

まぁ、冗談ですけど。

話を戻します。

「あいつ」が戻ってくると、
正常な思考回路はすべて遮断され、
あらゆることがネガティブに解釈されます。
何かをしようとすると、
「これは必ず失敗する」
という声が脳内に響き渡ります。
これを言うのは100回目ですが、
これは信仰があるとかないとか、
そういう話ではまったくありません。

関係がないのです。

信仰に満ちあふれた人がぜんそくになったら、
きっと息をするのが苦しくなると思います。
信仰があってもなくても同じことです。
信仰がある人が鬱になると、
必ずネガティブ思考が暴走します。
ぜんそくの「ゼーゼー」と同じですから、
それは気の持ちようとはまったく関係がありません。

安静にして適切な治療を受けるのが最重要です。

私は「あいつ」のことを、
「うつき」と呼んでいます。
妻が私の闘病中に、
私の病気のことを名付けてくれました。
絵本まで書いてくれました。

それによって私は、
「あいつ」と和解することを覚えました。
禁忌し、毛嫌いし、追い出そうとすればするほど、
症状が重くなるのが「あいつ」の特徴です。

「おぉ、帰省したか」
と、親戚の甥っ子を歓迎するような気持ちで、
受け止め、懐かしみ、抱きしめてあげるのが「吉」です。

とはいえ、
症状は苛烈なわけですよ。
やっぱり。
「死にてー」と毎日思います。
冗談とかじゃなく。
希死念慮も症状の一つですから、
「そんなこと思っちゃだめだ!」
みたいなのはまったくナンセンスですから、
これも言っておきます。
100回目ですが。

とにかく、
「生きるエネルギー」という川の水が、
ある日突然、水道のポタポタぐらいの水量になる、
みたいな感じです。
家庭の電力のアンペア数が、
ある日突然100Aから1Aになるようなものです。
豆電球一つでブレーカーが落ちる。

あー、うつきが帰省したなぁ。

そう思った日から、
私は2年間ご無沙汰していた、
据え置き型のゲーム機を引っ張り出しました。
うつ病の症状に対する、
いくつかある私の対処法の引き出しのひとつが、
「ゲーム」なのです。

ゲームはひとつの逃げ穴になります。
知的な操作が働かない。
感情が動かない。
ネガティブ思考の溶鉱炉が暴走する。
楽しいことが楽しくなく、
うれしいことがうれしくなくなる。
コーヒーを入れる力も失われる。
聖書を読むのもつらい。
パソコンを開いても、仕事らしい仕事ができないので、
次第にパソコンを観るのもつらくなってくる。


▼▼▼ぜんそく発作とうつ病とゲームと

予定されていた奉仕などはこなしました。
お茶の水クリスチャンセンターで打ち合わせをしたり、
日曜日に教会でメッセージをしたりしました。
18日、25日の2回。
そういうときは、本当に神の助けがあり、
なんか、できるのです。
いや、させていただけるのです。
その翌日は使い物にならなくなりますが。

しかし、それ以外は基本的にゲームをしていました。
別に楽しいわけではないけれど、
ゲームを起動することで思考を麻痺させるために。
「とにかく休め」という身体からのサインなので。

あと、週に2,3回、ジムにも行きました。
身体を動かすことで何かが好転するかもしれない、と。
しかし、ジムで涙が出てくるんですよね。
そもそもジムで鍛え始めたのって、
病気で劇落ちした体力を、
すこしでも取り戻して、
生まれてくる子どもと遊んだり、
家族を養う労働に精を出したり、
そういうことが目的だった。

それなのに、今の俺は何だ。
いったい何なんだ。
病気の前にあまりに無力で、
悔しくて、情けなくなって、
デッドリフトのインターバルで、
ベンチに座っていたら涙が出てきました。
無力感や悔しさからか、
病気の症状からかは分かりませんが。

多分、両方です。

ジムの良いところは、
涙が出てきても、
汗だか涙だかわからないところですね。
タオルで顔を拭けば容易にごまかせる笑。

とにかくそんな感じで、
結構「追い詰められ感」があるんですよね。

仕事→できない
アウトプット→できない
読書→できない

みたいに、
できたことがどんどん潰されていって、
「コーナーに追い詰められる」感じというか。

その最後の最後のコーナーのひとつがゲームです。
ゲームって、前頭葉を麻痺させるんですよね。
だから、思考を停止させてくれる。
ネガティブ思考の暴走が止むんです。
あと、時間をすげー「食ってくれる」。
身体と頭を休ませ、
時間の経過を待つことが、
うつ病の万能薬なのですが、
その「時間を過ごす」ことが非常につらい。

みんなは働いているのに俺は休んでいる、、、。
このままでは俺の人生はどうなるんだ、、、。
とか思いながら、
罪責感と焦燥感に押しつぶされそうになり、
ぐっと手の甲を噛んで、
椅子に座って打ち震えている、、、、

みたいな時間が、
本当につらいのです。
本当に、本当につらい。

私は小学生のときぜんそくの発作を抱えていましたが、
ゼーゼーいいながら、
呼吸がつらいよー、
っていうこと以外何も考えられず、
椅子に座っている時間は永遠に思われました。

ところがぜんそくのときも、
一瞬、ゲームに夢中になれたりします。
そのときは2時間があっという間に過ぎる。

大人になっても同じ手法を使っています。

、、、とはいえ、
ゲームですらできない、
という極限状態になることもあります。

そのときは、
布団に横になり、
くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンを聴きます。
そうすると寝られる。

私は有田と上田にいつも救われています。

、、、今はどうか?

「ゲームの時期」は過ぎて、
できません。
ゲームのスイッチを押せないフェイズに入った。
読書?
できません。
できるわけないじゃないですか。

でも、昨日ぐらいから、
時間限定で、
普段の半分ぐらいですが、
仕事をできるようになりました。

嘘みたいに。

経験的にこの3年間、
短期の症状の再来は、
発症も嘘みたいですが、
治るときも嘘みたいに治ります。

そろそろ「うつき」も役割を終え、
自分の故郷に帰っていくころかなぁ、
と思いながら、
でも、「早く帰れや!仕事したいねん!」
という悪意は出さないように、
丁重にお引き取りいただく、
というような態度でいます。

「来てくれてありがとう」と。
俺に休みが必要なことを教えてくれてありがとう、と。
うつきは「神からの使者」だと思ってますから。
アブラハムが天使をもてなしたように、
私はうつきをもてなします。

そんなわけで、
うつきが今のところ半分帰っているので、
「いまだ!」と思って急いでメルマガ書いてます。

先週急に休刊して、
いろんな人にご心配をおかけしたので、
早く病状報告せねば、と思って。

そんなわけで、来週もどうなるかわかりませんが、
まぁ、そんな感じです。

別に大変じゃないわけじゃないけど、
大変なわけでもありません。

安心してください。

自分でも何を言ってるか分かってません笑。

そんな感じです。

陣内が先週読んだ本  2019年7月21日〜8月4日 『光の子と闇の子』他

2020.01.14 Tuesday

第104号   2019年8月13日配信号

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■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年7月21日〜8月4日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意

読了した日:2019年7月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:佐藤優
出版年:2019年
出版社:SBクリエイティブ株式会社

▼140文字ブリーフィング:

月に500冊の本を読み、
膨大な冊数の本を書き、
大学の客員教授として教え、
ラジオ番組で情勢を解説し、
政府や官僚にもコンサル的に関わる、
「知の巨人」佐藤優氏の、
「インプット・アウトプット術」を、
公開しているのがこちらの本。

いろんな学びがありましたが、
私が共感したのは、
「SNSとメッセンジャーアプリは、
 使わない方が良い」
という部分ですね。

引用します。

→位置No.722 
〈今やSNSを使っていない人のほうが
珍しいくらいかもしれないが、
知的かつ充実した人生を送りたいのなら、
すぐにでもやめたほうが良い。 

「日に1時間まで」などと決めれば良いという人もいるが、
おそらく時間制限を設けても、
形骸化してしまうのが関の山だ。
なぜならば、SNSは始めたら最後、
どんどん時間を費やしてしまうものだからである。
この中毒性ゆえに、全世界でこれほど広まっているのだろう。

だが、冷静になって考えてみて欲しい。
誰がどこで何をしたか、何を食べたか、
そんな情報を、常時、本当に得たいだろうか。

時間は有限であり、しかもすべての人に平等に与えられている。
その限られた時間を、インプットやアウトプット、
あるいは楽しみや休養(楽しみ方、休み方は後述する)のために使うのと、
どうでもいい情報を得るのに使うのとでは、
知的生産力に格段の差が出る。

どれくらいの差かといえば、
SNSを使うか、使わないかで、生涯所得を出世が左右される。
そういっても過言ではないほどの差である。
そう聞けば、少し考えが変わるのではないか。〉


→位置No.731 
〈SNSと並んで、あまり使わないようにしたいのは、
フェイスブックのメッセンジャーや、
ラインなどのメッセージツールだ。
 (中略)
問題は、やはり時間の浪費である。
たとえば、仕事中、思考中に、メッセンジャーやラインで、
次々と仕事とは関係のないことが送られてくる。
そのたびに自分の仕事や思考が中断される。
さらには、読んだら即レスするのが、
こうしたメッセンジャーツールの掟と見做されているので、
たびたび返信の手間も割かねばならない。

こうしたツールに既に慣れている人にとっては、
すべて一瞬のことで気にならないのかもしれない。
しかし、自分の貴重な時間を分断され、
一瞬の無駄を積み重ねてしまっていることに
無自覚でいるとしたら、問題だ。

たびたび送られてくるメッセージに自分の時間を攪乱されて、
何かに腰を据えて取り組む、
何かに思索を巡らすのが困難になることは、
知的生産力の低下を意味する。〉


、、、SNSとメッセンジャーアプリは、
「すぐにでもやめろ」。
これが佐藤さんのススメです。
私もそう思います。
知的に充実した人生を送りたければ、
スマホは今すぐにでも捨てましょう笑。
(誰も捨てないのを知ってるからこそ言ってます笑)

ちなみに私はスマホを持ってません。
この箇所を軸に、
一本の動画を作りました。
興味のある方はご覧ください。

▼参考動画:私がスマホを持たない理由
https://youtu.be/oucA3ODDmXE

(1,234文字)


●遅刻してくれてありがとう 常識が通じない時代の生き方(下)

読了した日:2019年7月24日
読んだ方法:Amazonで電子書籍購入

著者:トーマス・フリードマン
出版年:2018年
出版社:日本経済新聞社

リンク:
https://goo.gl/8ikgop

▼140文字ブリーフィング:

この本はKindleで買い、
半年ぐらいかけてちょっとずつ読みました。
読了したのは数ヶ月前なのですが、
Kindleの読書メモをEvernoteにやっと最近まとめたので、
紹介できるというわけ。

本書はあまりにも多義的で、
様々な内容がひとつに凝集しているので、
語り始めたら時間(文字数)がまったく足りません。

本書の上巻では、
著者が「加速の時代」と呼ぶ21世紀に、
私たちはどのように生きれば良いのか?
ということが語られます。
私が最近気に入っている言葉「動的安定」は、
本書の上巻で読んで以来ずっと心に留まっています。

下巻はユニークで、
「加速の時代」に、
アメリカはどうやって立ち直れば良いのか?
という問題設定になっています。
著者がアメリカ人だからそうなるのですが、
本書の内容はすべての国家に応用可能です。

著者は言います。
グローバル化し、インターネット化し、
高齢化し、環境破壊が進み、
既存の価値観が崩壊する21世紀に、
どうすればもういちど国家は立ち直れるのか?
キーワードは「多元的共存」と、
「コミュニティ」なのだと彼は言います。

それは彼の生まれ育った、
ミネソタ州セントルイスパークと関係があります。
セントルイスパークはアメリカのコミュニティの中でも、
空洞化せず足腰強く今も成功者を多数送り出している、
例外的なコミュニティなのだ、と著者は言います。
そして自身が育ってくる中でした様々な経験が、
彼を世界というものに対し開かれた態度を与え、
そして今ジャーナリストとして成功する基盤を与えてくれた、
というのです。

ちなみに哲学者のマイケル・サンデルも同じ町の出身であり、
さらに多くのアメリカ社会を代表する知識人や識者が、
この町から排出されています。

なぜそんなことが可能だったのか?

それがセントルイスパークにあった、
「多元的共存」と、
「足腰の強いコミュニティ」だ、
というのが著者の結論です。

アメリカの歴史に詳しくないので、
本書で初めて知ったのですが、
ミネソタ州セントルイスパークは、
当初フィンランドなど北欧系の移民が住み着いたのだそうです。
大陸からアメリカに住み着いた人の中で、
最もオーソドックスなのは英国人ですね。
最初、アメリカは植民地であり、
イギリスがその宗主国だったわけですし。

次にフランスやドイツなどの移民が入ってきます。
イタリアなどカトリック系の移民は後から入ってきました。
マフィア映画を観ると彼らが活躍するのは、
後から移り住んだ彼らは社会のなかで地位が低く、
裏社会でお金を稼ぐしか方法がなかった、
といった理由があります。
日本のヤクザと在日朝鮮人の関係が深いのと似ています。

そして北欧系。
彼らも移民してきたのが遅かったので、
東海岸の大都市ではなく、
もっと内陸部の、
誰も住まないような寒い場所を開拓し、
コミュニティを形成しました。
ノースダコタ州を舞台にした映画「ファーゴ」では、
彼らの「強い訛り」が再現されていますが、
あれは日本で言うと「東北弁」なんですよね。
つまり北欧なまりの英語を話す。

つまりアメリカ社会のなかの、
マイノリティ民族が作ったのが、
セントルイスパークでした。
さらにそこに、「もっとマイノリティな人々」が入ってくる。
それが「ユダヤ人」でした。

よく知られていることに、
銀行業を始めたのがユダヤ人だ、
というのがありますが、
それは先ほどのイタリア移民とよく似ていて、
ユダヤ人はヨーロッパ社会のなかで、
周期的に差別と迫害にさらされていたので、
地主になったり工場主になったりといった、
正当な商売や製造業をする「免許」をもらえなかった。
彼らが始めた「苦肉の策」が金融業でした。
それが数世紀後に莫大な富の源泉となるなど、
彼らは思ってもなかったはずです。
「これしか仕事がないから」そうするしかなかったのです。

話がそれますが、
インドのIT産業の興隆も同じです。
カーストの低い人々の職業は、
いちじるしく制限されているのがインド社会ですが、
「IT」というのは、今までなかった職業なので、
低いカーストの人々でも頭脳さえ優秀なら参入できた。
これがインドのIT業の強さの秘密と言われています。
ユダヤ人も「今までなかった仕事をつくる」以外に、
道がなかったからそうしたのであって、
彼らが世界を支配するためにそうしたのだ、
みたいな陰謀論には皆さん、
飛びつかないようにしましょう。

、、、話を戻しましょう。

北欧系移民が作った
セントルイスパークに、
今度はユダヤ人が入ってきます。
ユダヤ移民はアメリカ社会のなかでマイノリティであり、
今では信じられませんが、
ちょうど現代アメリカの黒人やヒスパニックのような扱いを受けていた。

彼らはキリスト教を信じず、
ユダヤの儀式をしているから、
「気色悪いよそ者」と映ったわけです。
セントルイスパークはそこで、
ユダヤ人を排除する方にではなく、
彼らを社会に包摂する道を選びました。

そして北欧系の移民とユダヤ人の、
「多元的共存による化学反応」が、
町の生産力の向上になり、
産業やコミュニティを強めました。

さらに20世紀になると、
黒人やアジア人やヒスパニックも、
この町にたくさん来るようになりました。
マイノリティの移民が来たときに、
どのように包摂すれば良いのかを、
この町は歴史を通して学んでいますから、
彼らもまた包摂していきました。

そんなふうにして、
「多元的に共存できる力」をもった、
セントルイスパークは、
「有能な人の才能が開花する、
 肥沃な土壌を持つコミュニティ」となった。

これが著者の分析です。

そして著者は言います。
アメリカの希望は、
「このようなコミュニティが、
 全米の各地に点在していることだ」と。

右派は「愛国心でアメリカをひとつに」と言います。
左派は「社会保障でアメリカをひとつに」と言います。
しかしどちらも間違っている、とフリードマンは書きます。

なぜか。

「連邦政府」と「自由な個人」が、
アメリカの基礎だと考えているという点で、
問題設定が間違っているからです。

そうではない。

億単位の「マクロな国家」ではない。
一人の「ミクロな個人」でもない。

その中間こそが問題を解決するのだ、
というのが著者のメッセージです。
つまりそれは「町」です。
「家族やコミュニティ」です。
そういったコミュニティの足腰を強めることこそが、
トランプ的なアメリカ・ファーストでもなく、
サンダース的な共産主義でもない、
「第三の道」なのだ、ということです。

これって、日本にもまったく同じ事が言えますよね。

最後に「ようはコミュニティだよ」
という著者のメッセージの部分を引用します。

→位置No.5075 
〈だが、トランプが就任式で述べたディストピア演説は、
そういう実像とはかけ離れていた。
トランプは、アメリカは膨大な
“大虐殺”に捕らえられた国だと表現した
――「錆び付いた工場が墓石のように散らばっている」光景が、
強権を振るう男を求め、
”アメリカ・ファースト”の方針の下、
盗まれた雇用を国際社会から取り戻せと叫んでいるのだ、と。

あまりにもショッキングな演説だったので、
就任式の舞台にいた
ジョージ・W・ブッシュ元大統領が周囲の人間に
「ほんとうに不気味なたわごとだ」
とささやいたと伝えられている。

ブッシュに同感だ。

アメリカでコミュニティの没落が蔓延しているという
トランプの意見は正しい。
しかし、繁栄しているコミュニティも豊富に存在することを、
トランプは見落としている
――ワシントンDCで強権を振るう人間のおかげではなく、
地元レベルに強力な指導者がいるからだ。

それだけではなく、アメリカが、
東海岸および西海岸(勃興し、現代化し、
多元的共存を実現し、グローバル化している)と、
そのあいだの内陸部(雇用が消滅し、薬物中毒がはびこり、
トランプに1950年代に戻してもらうことをだれもが期待している)
に分断されている国だという
突拍子もない考えは、まったくの的外れだ。

私はアメリカ各地を旅した観点から、
大きな分断は東西海岸と内陸部の間にあるのではないと断言する。
分断は、強力なコミュニティと弱いコミュニティの間にある。
東海岸にも西海岸にも弱いコミュニティはあり、
アパラチアにも栄えているコミュニティはある。
その逆のことも言える。

大事なのはコミュニティだ、馬鹿だな
――地理じゃあない(It's the economy, stupidのもじり)。
セントルイスパークとミネアポリスは、
たまたま私が知っている場所なので、
本書で大きく取り上げた。

だが、ここ数年の旅で、
ほかにも数多くの繁栄している地方があることを、私は知った。
だから、その裏付けを取るために、
2017年5月、私はアメリカ内陸部を4日かけて車で旅行した
――インディアナ州オースティンからはじめて、
ケンタッキー州ルイビルへと南下し、
アパラチアのくねくねとした道路を走って、
最後にはテネシー州のオークリッジ国立研究所まで行った。

この旅行をもとに、
私は《ニューヨーク・タイムズ》に長いコラムを書き、
現在のアメリカには栄えているコミュニティと
落ち目のコミュニティが、
不規則な模様をなして混在していると力説した。

*"It's the economy, stupid"
(日本語訳:経済こそが重要なのだ、愚か者)は、
アメリカ合衆国の政治においてビル・クリントンが
ジョージ・H・W・ブッシュに対して勝利を収めた
1992年アメリカ合衆国大統領選挙の最中、
広く使われた言い回しである。

→位置No.5251 
〈結論――これは祖父母のアメリカではないが、
トランプのアメリカでもない。
大虐殺と工場の墓場の荒れ地ではない。

じつはビル・クリントンのアメリカなのだ。
クリントンはかつて、有名な言葉を述べた。
「アメリカの良さで治せない、
アメリカの悪いところは、1つもない」

その考え方は、現在の状況をぴたりと言い当てている。
そして、いまはまさにそれが必要なのだ。
いまのアメリカの悪いところは、
無数のコミュニティ、田園地帯、
都市部の多くが崩壊していることだ。

しかし、いまのアメリカの良さは、
団結して、市民が自分の将来に責任を持てるように
スキルとチャンスを得るのを手助けしている
コミュニティや地域も、無数にあることだ。
それらの成功物語を、私たちは直視し、
共有して、規模拡大する術を学ばなければならない。

強権をふるう男ではなく、
強力なコミュニティのみが、アメリカを再び偉大にする。
そして、そういうコミュニティが数多くあり、
さらに増えるはずだという事実が、
私が今なお楽観主義者でいられる理由なのだ。〉


、、、強いコミュニティこそが国を強くする。
私も同感です。
「日本の良さで治せない、
 日本の悪いところは、ひとつもない」
と私たちも言いたいですよね。

じつは「マクロな経済政策」だとか、
「個々がもっとイノベーティブに!!」とか、
そういう国家か個人という両極ではなく、
「中間共同体」の重要性はもっと語られるべきです。
日本の希望って、
あまり語られていないけど、
昨今の宝塚市などの実践にあると思うのですよね。
ああいったコミュニティを強くする政策が、
都市から都市へ、
コミュニティからコミュニティへ、
「一律的に」ではなく、
「野火のように感染して」
広がっていくことが、
私は日本の未来を明るくすると思います。
(4560文字)


●決壊(上)

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:平野啓一郎
出版年:2008年
出版社:新潮社

リンク:
https://bre.is/EEdBDf2rd

▼140文字ブリーフィング:

これもたしかインドで読了しました。
平野啓一郎は好きな作家のひとりです。
『マチネの終わりに』は、
もう、めちゃくちゃ面白いです。
そんで、今年蒲郡に行ったとき、
彼が蒲郡市出身だと知り、
さらに他の作品も読みたくなりました。

何を隠そう、
私の母は蒲郡出身で、
私は蒲郡の病院で生まれましたから。
「同郷の若手の作家」が活躍してるんです。
もっと作品を読みたい、って。

本作の出版は10年前です。
90年代の神戸の事件の「少年A」と、
ネット文化、アメリカで起きたテロなど、
様々な要素が絡んでいる長編小説で、
ひとことでは語りきれません。

この人の小説って、
話の筋書き自体よりも、
主人公たちの会話の中に出てくる言葉が、
鋭くて社会や宗教や家族や友情や、、、
そういったものについて考えさせるようになっている。

ドストエフスキーの小説がまさにそうですが、
彼は日本のドストエフスキーになろうとしてるのでは?
と私は思っています。
(393文字)



●決壊(下)

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:平野啓一郎
出版年:2011年
出版社:新潮社

リンク:
https://bre.is/kYvK2gAlD

▼140文字ブリーフィング:

「赦しの不在」が現代社会の宿痾です。
「ネット私刑」や、道徳自警団、
週刊誌による有名人のつるし上げと、
リンチに群がるワイドショーおよびネット言論空間。
そういったものって、本当に辟易とするのですが、
それは社会が「赦し」を学ばないからだと私は思っています。

平野啓一郎は「その理由」にまで分析を掘り下げます。
それは「つながりを捨てられないから」だと。
オキシトシンがそうさせているのだ、と。
唸らされましたね。

引用します。

→位置No.5870 
〈世間で言うところの「被害者への共感」っていうのは
――いいかい?――それは少なくとも、
この俺が感じていることとは何の関係もないんだよ!
だけど、今の社会は、
そうした共感による共同体という夢を、決して断念できないね。
家畜の豚みたいに品もなく貪り続けてる。
あらゆる他者との距離をゼロにして、
分かる、分かるって相槌だけでベッタリ結び合うようなね。
・・・ヘドが出るよ。」

崇は、足を組み直して、身を乗り出すと、語気を強めた。
「そういう社会はね、
赦しの契機をどこまでも先延ばしにするだろうね。
だって、赦さないことで、
人間は同じ一つの感情を共有して、
互いに結び合うことができるんだから!」〉
(502文字)



●ローマはなぜ滅んだか

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:弓削達(ゆげ・とおる)
出版年:1989年
出版社:講談社現代新書

リンク:
https://bre.is/qUANmwbk0

▼140文字ブリーフィング:

30年前に書かれた本ですが、
内容が古くなっていないのに驚きました。
塩野七生とか好きな人にとっては常識かもしれないですが、
ローマの道路であったり税制であったり、
進んで他国の文化の良いところを取り入れる姿勢であったり、
その繁栄の原因は現代にもヒントを投げかけます。

それ以上に現代のヒントになるのは、
その「滅亡」の原因です。
ローマが滅びたのは、、、と著者は言います。
それは、「中心」だった地中海が、
いつのまにか「周辺」になり、
「周辺」だったゲルマン人の文化が、
やがて「中心」になるという、
「中心と周辺の逆転」だった、と。

それをもたらしたのは、
ローマ人が奢ったことによる「排外主義」だった、
と著者は分析します。
ゲルマン人たちによって繁栄を謳歌していたのに、
そのゲルマン人たちの文化を取り入れるのではなく、
彼らを抑圧する方向に世論が動いた。
その直接の結果がローマの滅亡だった、と。

現代世界を見ましょう。

ドイツがヨーロッパで勝っているのは、
多くのトルコ人移民がいるからです。
アメリカが世界最強国なのは、
ユダヤ系移民、アジア系移民、
黒人、ヒスパニック系、
彼らがアメリカに富をもたらしているからです。

その事実に無自覚となり、
排外主義に陥るならば、
彼らの未来は暗いだろう、と歴史は示唆しています。
これは日本にも言えることですが。
(555文字)


●精神医療に葬られた人びと 潜入ルポ 社会的入院

読了した日:2019年7月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:織田淳太郎
出版年:2011年
出版社:光文社新書

リンク:
https://bre.is/HkTw0pOZD

▼140文字ブリーフィング:

双極性障害で精神病棟に入院した著者が、
そこで「入院歴40年」の患者に出会うことで、
これはむしろ医療制度のほうがおかしいのでは?
と調査を始めた本書。

ショッキングな内容でした。
「社会的入院」という言葉があります。
「本来の治療目的で病院に入院しているのではなく、
生活条件が整っていないため長期入院を続けている状態、
またはその状態の患者」を意味します。

なんと現在日本には、
世界でも類のない15万人から20万人の
社会的入院者が存在すると言われているのです。
ちなみに総入院者は31万人強ですから、
その半分から3分の2が、
「社会的入院者」なのです。

なぜそうなるのか?
それは日本の精神病医療の暗い歴史と、
制度設計の失敗、
それを場当たり的にしか対応してこなかった結果生まれた、
「病院の経営のために入院患者を必要とする」状況です。
ある病院では、入院者のことを「固定資産」と呼ぶ、
そんなひどい事例もあるそうです。

引用します。

→P63 
〈そして、ここに病院の経営問題が絡んできます。
日本の精神病院はその八割強が民間で占められている。
病床数に関しては、全体の九割が民間の所有です。
つまり、たえず満床にしておかなければ、
経営が安定しないという病院側の事情を
無視することができないわけです。
(中略)
それに関連して、私にはかつて驚いた経験があります。
民間病院の院長二人と食事をしたときでしたが、
院長同士が『うちの固定資産の数は』などと話を始めたんです。
てっきり病院の建物や土地の話だと思って聞いていたら、
抱えている長期入院患者のことだったんですね。
今はどうか分かりませんが、
以前は入院患者を『固定資産』とする
隠語がまかり通っていたんですよ。〉
(704文字)


●ブラック・スワン(下) 不確実性とリスクの本質

読了した日:2019年7月29日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ナシーム・ニコラス・タレブ
出版年:2009年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
https://bre.is/e-HNQVCcR

▼140文字ブリーフィング:

これはレジェンド級に面白かったので、
ここではなく、またいつか、
改めて「本のカフェ・ラテ」とかで解説しようと思います。

この数年に読んだ本の中で最高に面白かったのが、
タレブの『反脆弱性』なのですが、
その一作前の『ブラック・スワン』には、
なぜ彼がそう考えるようになったのか、
という舞台裏が書かれている感じです。
「バーベル戦略」についての理解が深まりました。
(175文字)



●なぜ女は男のように自信を持てないのか 原題:The Confidence Code

読了した日:2019年7月29日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:キャティーケイ&クレア・シップマン
出版年:2015年
出版社:CCCメディアハウス

リンク:
https://bre.is/7yA5iNHrD

▼140文字ブリーフィング:

タイトルは「女はなぜ、、、」ですが、
OECD諸国で「自尊感情」が最下位の日本では、
「日本人はなぜ自信がないのか?」
とこの本は読み換え可能です。

本書はアメリカ社会の第一線で活躍しながら、
いつも不安と戦っている、と白状する、
2人の女性によって執筆されています。

遺伝的要因、文化的要因、
教育の影響、生化学的影響など、
様々な面から多角的に分析されていて、
かなり面白くて一気に読みました。

著者たちが辿り着いた自信の定義は、
私たちが考える「自信」とはちょっと違っていて、
面白かったのでご紹介します。

→P87 
〈「自信とは、思考を行動に変換するものである」
この簡潔さは、美しく、説得力があった。
(中略)
もし自信が、自分は成し遂げられるという信念であり、
行動を誘発するなら、その行動を取ることで、
もっと自信を生むことができる。
そして、努力や成功、そして失敗をも通して、蓄積されていく。〉

→P92 
〈極端に言うと、
自信は「想像するだけの人」と
「実際にやる人」を区別する性質である。〉


、、、自信があるというのは、
「威張っている」ということでもないし、
「自分にうぬぼれている」ということでもない。
自信がある人は考えを実行に移し、
自信がない人は考えているだけ。

この差が自信だというのです。
すごーく腑に落ちましたね。

あともうひとつ面白かったのは、
鏡の前で「あなたは最高の人間。
あなたはとても大切な人間」と、
自分に言い聞かせるタイプの、
「自己承認プログラム」は、
自信を深めるどころか、
逆に自尊心を低くする、
という研究結果です。

なぜか?

人は自分が本心で思っていることと、
自分の発言が矛盾していると不安になるからです。

では本当の自信はどこから生まれるのか?

「トライアンドエラー」を繰り返すことです。
小さな失敗を無数にすればするほど、
人は「本当の自信」を手に入れます。

日本人がなぜ自信がないのか、
ここで見えてきますね。
「失敗を恐れる」からです。
だから行動しない。
そうすると自信が育たない。
そうするとさらに行動しなくなる。
、、、という無限スパイラルが、
日本社会には働いています。

いろんなことに挑戦してきた私は、
日本社会では異端者ですが、
「ほんとうの自信」を育むという意味では、
自分のしてきたことは間違ってなかった、
と本書を読んで認識できました。
(1,129文字)



●減速して自由に生きる ダウンシフターズ

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:高坂勝
出版年:2014年
出版社:ちくま文庫

リンク:
https://bre.is/WHMuX6eox

▼140文字ブリーフィング:

「ダウンシフターズ」というのは、
「もっと速く、もっと豊かに、もっと多く」
という資本主義の価値観に反旗を翻し、
「ゆっくり歩いて、たまには寄り道して、
 過度な成長や消費は謹んで、、、」
という生き方のことを言います。

著者は大手小売り会社に勤めていたとき、
「売る必要のない安価なカシミヤストール」
を大量に売る競争をしていたのですが、
そのストールがモンゴルと中国の国境で、
環境を破壊することによって作られている事を知り、
仕事に対する情熱を失います。

仕事を退職して1年間世界を放浪した後、
池袋に「たまにはTSUKIでも眺めましょ」という、
敷地面積6畳の小さなバーを開店します。
このバーはなんと「週休3日制」。
それでも無駄な消費をせず、
贅沢を慎み、余った時間で農業をして「食料を自給」するなら、
ちゃんと固定客がついたバーでは利益を出し、
会社員時代以上に豊かな生活を送れるどころか、
ちゃんと貯金までできる、
ということを身を持って証明します。

「ミニマリスト」よりも、
自然とか環境とか幸せとか、
そういったことに配慮していて、
私はとても好きなタイプの生き方でした。
(442文字)



●光の子と闇の子 デモクラシーの批判と擁護

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ラインホルド・ニーバー 解説:佐藤優
出版年:2017年(英語初版1944年)
出版社:晶文社

リンク:
https://bre.is/suKMlb3ca

▼140文字ブリーフィング:

「古典の域」の本です。
ラインホルド・ニーバーはアメリカの神学者で、
歴代のアメリカ大統領にも愛読者が多く、
オバマ大統領もたしか「光の子と闇の子」を、
座右の書だと言っています。

「いつか読みたいな〜」と思っていた古典でしたが、
案外早く読めました。

結論から言いますと、
めちゃくちゃ面白かったです。
死ぬまでに読めて良かった。

本書は1944年、
第二次世界大戦中、
ドイツと日本が降伏する直前に、
ニーバーがスタンフォード大学でした講義をもとに執筆されました。

とびらに聖書の言葉が出てきます。
「この世の子らは、その時代に対しては、
 光の子らよりも利口である。」
ルカによる福音書16章8節

本書で言う光の子とは何か?
近代デモクラシー文明、
資本主義と共産主義のことを言います。

闇の子とは何か?
ナチズムや集産主義のことを言います。

第二次世界大戦の枠組みで言うと、
光の子が連合国、
闇の子が日独伊の三国同盟です。

ニーバーは「光の子」は愚かだ、と指摘します。
それは資本主義も共産主義もともに、
「原罪」を見落としているからだ、と。
この警告はじつは今も有効です。
共産主義が滅びたのは、
「権力としての財産」を社会共有にすれば、
権力の独占がなくなりユートピアが訪れる、
という前提のなかに、
「財産によらぬ権力基盤」があることを見落としていたからです。
そのため、共産圏では官僚主義による権力の独占が置き、
その軋轢に耐えかねて最後は瓦解しました。

資本主義はどうでしょうか?
資本主義もまた、
「人間に原罪があり、
 常に私利私欲を求めるものだ」
という認識が甘いため、
1パーセントの富裕層が、
国民の財産の半分以上を寡占する、
といういびつな偏りが生じており、
この状況がいつまでも続くかどうかは怪しい。
共産主義と同じく、この軋轢に耐えかね、
資本主義も瓦解するかもしれません。
すでにそのほころびは見え始めています。

ニーバーは言います。
「資本主義の理想」や、
「社会主義の理想」の中に埋没するナイーブさを捨て、
私たちは蛇のように賢くならなければならない、と。

→P46 
〈デモクラシー文明の保存には、
蛇のような賢明さと、鳩のような柔和さとが必要である。
光の子らは、闇の子らの悪意から自由でありつつ、
闇の子らの知恵で自らを武装しなくてはならない。
光のらは、人間社会における私的利益の力を、
道徳的に是認することなしに、
よく知っていなくてはならない。

光の子らは、個人的、および、集団的私的利益の力を、
コミュニティのために、なだめたり、
そらせたり、統制したり、
抑制したりすることができるように、
この知恵を具備していなくてはならない。〉


、、、個人的私利私益の力の何が悪いか?
それはコミュニティを破壊するからです。
これがアメリカでも日本でも、
あらゆる先進国で、そして新興国でも、
現在進行形で起きていることです。

私利私欲の無条件な肯定は、
コミュニティを破壊するのです。

私利私欲が「神の手」によって調整され、
経済は発展し、全員が豊かになる、
とアダム・スミスは「国富論」で説いたじゃないか!
と資本主義者は主張するでしょう。

しかしこれは「国富論」の「誤読」だ、
とニーバーは指摘します。
アダム・スミスは同じ国富論の中で、
「私利私欲は必ずコミュニティを破壊するから、
 蓄財した個人は、
 その財産を自分だけのものと考えず、
 自分だけでなく、広く社会、人類の公益のために、
 おしみなく分け与える義務を負う」
と言っているのです。

資本主義者(リバタリアン)は、
この部分を意図的に読み落とすことによって、
社会を破壊してきたのです。
ニーバーの警告は古くて新しい問題です。
これもいつかもっと詳しく紹介したいけど、
文字数の関係で今日はここまで。
(1,543文字)



●不完全性定理とはなにか ゲーデルとチューリングの考えたこと

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:竹内薫
出版年:2013年
出版社:ブルーバックス

リンク:
https://bre.is/G_eok2Fum

▼140文字ブリーフィング:

翻訳家の竹内薫さんの訳書は、
どれも面白くて好きなんですよね。
ただ、この本はちょっと、、、でしたね。
めちゃくちゃ分かりやすく書こうとしてるんだけど、
それは言葉遣いだけであり、
じっさいはかなり難しい説明になっちゃってる、
っていう感じです。
サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』とかと逆ですね。
ゲーデルの不完全性定理っていうのは、
「公理系が無矛盾であることは、
 その公理系のなかでは証明出来ない」
っていうやつです。
あと、タイトルのチューリングの話っていうのは、
「プログラムがエラーを起こすことを、
 完全に予測して予防するようなプログラムは、
 そのプログラム内では書けない」
っていうやつです。
チューリングはちなみに、
コンピュータの生みの親です。

このふたつはとても大切な定理で、
数学的な証明はかなり難しいんですが、
その背後にある論理というのは、
いわゆる「嘘つきパラドックス」と呼ばれるものだ、
というのがこの本を読んで理解出来ました。

嘘つきパラドックスっていうのは、
「私は嘘しか言いません」
と言っている人は、
果たして嘘つきかそうでないのか?
という問題です。

もし本当に嘘しか言わないのなら、
「私は嘘しか言いません」という言明は、
本当のことになってしまうので矛盾する。
もしこの言明自体が嘘ならば、
彼は本当のことを言う人なので、
彼の言明と矛盾する。

つまり、彼が嘘つきかどうか知るためには、
彼以外の証言者が必要になるのです。
それを数学のことばでやったのがゲーデル、
プログラムの言語でやったのがチューリングだった、
という話ですね。
(652文字)


●世界にバカは4人いる

読了した日:2019年8月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:トーマス・エリクソン
出版年:2019年
出版社:フォレスト出版

リンク:
https://bre.is/WNKH4tr9N

▼140文字ブリーフィング:

スウェーデンで85万部売れたそうです。
スウェーデンの人口って1000万人以下ですから、
日本に換算すると1000万部売れた本、
ということになります。

この部数に惹かれて読んでみました。
結果、わりと普通の本でした笑。

人間を
人間関係重視かタスク重視か
積極(外向)的か内向(消極)的か、
という2つの軸で分類すると、
4種類に分けられます。

人間関係重視かつ積極→黄
人間関係重視かつ内向→緑
タスク重視かつ積極→赤
タスク重視かつ内向→青

となります。
これってヒポクラテスの四体液説とほぼ同じなんですよね。
それで、各色の性格を分析し、
相性なんかも分析する、っていう、
日本でときどき流行る血液型性格分析に、
かなり近い話です。

本書について、
近々動画をアップロードする予定です。
ホワイトボードを使って解説します。
お楽しみに。
(340文字)


▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『光の子と闇の子』

コメント:

今週ご紹介した本はどれも面白かったので悩みました。
でも、やはり古典のこちらがめちゃ面白かったので、
ニーバーの神学書を今週の一冊とします。
佐藤優によるあとがきがすごーく良くて、
あれがないと読む意義は半減します。

なぜなら、ニーバーは1944年の時点では、
資本主義陣営をも批判の対象にするような、
深い洞察をしているのですが、
終戦後、東西冷戦が始まると、
とたんにニーバーはアメリカの帝国主義を擁護するような、
「ポジショントーク」を始めます。
佐藤優は『光の子と闇の子』を読んだのが、
神学を志す直接のきっかけになったのですが、
大学入学後、その後のニーバーの本を読み、
「もうこの神学者と関わるのは時間の無駄だ」
と思ったそうです。

ニーバーを批判するチェコの神学者フロマートカは、
ニーバー的なものを
「アメリカキリスト教の宿痾」と呼んでいます。
アメリカのキリスト教って、ちょっと油断すると、
ナショナリズムや侵略や暴力の肯定と結びつく癖があります。
「繁栄の神学」のたぐいもその亜種ですね。

日本のキリスト教もその影響を受けがちなので、
「キリスト教(無印)」と、
「アメリカ教・キリスト派」を分けて考える癖を付けることが、
信仰が変な風にならないために必要だと私は思います。
「本来の神道」と「国家神道」ぐらい違いますから。


▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「今年ベスト10入り決定賞」
『遅刻してくれてありがとう』(下)
『ブラック・スワン』(下)

コメント:

この2冊は年間ベスト級の面白さでした。
シーズン2ではできないかもしれませんが、
次のシーズンでは「本のカフェ・ラテ」コーナーで、
詳しく解説したいと思ってます。

人生を生き抜くのに最も必要な資質

2020.01.13 Monday

第104号   2019年8月13日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼人生を生きるのに必要な資質▼▼▼

メルマガ読者の皆様、こんにちは。
今週も質問カードからいきましょう!

▼質問:人生を生き抜くのに最も必要な資質を
ひとつだけ子どもに教えるとしたら、それは何ですか?


、、、そうですねぇ。
これは決まってるんですよね。
まぁ、ほんとうに色々あると思うんですよ。
言い始めたらきりがないですから。
「愛すること」とかさぁ。
ただ、そういうのって、
ちょっと広すぎて、
こういった質問の答えとしては、
あまり適切じゃないと思うんですよね。
ズルいので。
人生で大切なことは?
「愛です」とかって、
Q「好きな食べ物は?」
A「おいしい食べ物」
みたいな感じなので。

なので、愛とか赦しとか、
そういうビッグワードを避けるとすると、
私は「ひとつだけ子どもに教えるとしたら」
という質問の答えは、
「好奇心」になるでしょうね。

英語で「センス・オブ・ワンダー」です。
この言葉を作ったのは、
『沈黙の春』を書いて環境保護運動の先駆けとなった、
著述家レイチェル・カーソンだと言われています。
カーソンの『沈黙の春』は、
池上彰が、聖書や資本論と並べて、
「世界を変えた10冊」に選んでいるほど、
20世紀を代表する重要な著作です。

『沈黙の春』を執筆中、
カーソンは癌に冒されていて、
この本が完成するのが先か、
もしくは自分が死ぬのが先か、
という「時間との闘い」でした。

その彼女が、
「世界へのメッセージ」として残したのが、
遺稿である『センス・オブ・ワンダー』でした。
DDT農薬の問題を告発する『沈黙の春』とは打って変わり、
この本は子どもに向けた愛と暖かさに溢れています。
そして「人生を肯定すること。」
「問題だらけかもしれないが、
 それでもこの世界を肯定すること。」
そういった人生に対する基本姿勢を、
彼女は次世代に伝えたかったのだ、
というのが本書を読むと分かります。

彼女が子どもたちに、
「いちばんたいせつなこと」として残したのが、
「センス・オブ・ワンダー」だったのです。
日本語で適切な言葉が当てはまらないのですよね。
単に「好奇心」とも違う。
「知的好奇心」。似ているがちょっと違う。
「知らないことを知りたいという、
 わくわくするような気持ち。
 知らないことを知ったときの、
 『分かった!』という胸躍る感動。
 そして『世界は知らないことに溢れている』という、
 自分の知が限られていることに対する、
 謙虚な態度と造物主に対する畏怖の思い」
というのが私の「私訳」になります。

なげー。

だから、「センス・オブ・ワンダー」と、
ひとことで言ってしまったほうが良いのです。
ちと長くなるけど、カーソンの本から引用しますね。

▼参考リンク:『センス・オブ・ワンダー』
http://amzn.asia/gib1RgS

→P23〜24 
〈子ども達の世界は、
いつも生き生きとして新鮮で美しく、
驚きと感激に満ちあふれています。
残念なことに、
私たちの多くは大人になる前に澄み切った洞察力や、
畏敬すべきものへの直感力を鈍らせ、
あるときには全く失ってしまいます。

もしわたしが、
すべての子どもの成長を見守る
善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、
世界中の子どもに、生涯消えることのない
「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性」
を授けて欲しいと頼むでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、
わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、
つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、
かわらぬ解毒剤になるのです。

妖精の力によらないで、
生まれつきそなわっている子どもの
「センス・オブ・ワンダー」を
いつも新鮮にたもちつづけるためには、
わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを
子どもと一緒に再発見し、
感動を分かち合ってくれる大人が、
すくなくともひとり、そばにいる必要があります。

多くの親は、
熱心で繊細な子どもの好奇心に触れるたびに、
さまざまな生き物たちが住む複雑な自然界について
自分が何も知らないということに気がつき、
しばしば、どうしてよいかわからなくなります。そして、

「自分の子どもに自然のことを教えるなんて、
どうしたらできるというのでしょう。
わたしは、そこにいる鳥の名前すら知らないのに!」
と嘆きの声をあげるのです。

わたしは、子どもにとっても、
どのように子どもを教育すべきか
頭を悩ませている親にとっても、
「知る」ことは、「感じる」ことの半分も
重要ではないと固く信じています。

子ども達が出会う事実のひとつひとつが、
やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、
さまざまな情緒やゆたかな感受性は、
この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。
幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。

美しいものを美しいと感じる感覚、
新しいものや未知なものに触れたときの感激、
思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などの
さまざまな形の感情がひとたび呼び覚まされると、
次はその対象となるものについて
もっとよく知りたいと思うようになります。
そのようにして見つけ出した知識は、
しっかりと身につきます。
 (中略)
もし、あなた自身は自然への知識を
ほんの少ししか持っていないと感じていたとしても、
親として、たくさんのことを子どもにしてやることが出来ます。

たとえば、子どもと一緒に空を見上げてみましょう。
そこには夜明けや黄昏の美しさがあり、
流れる雲、夜空に瞬く星があります。
子どもと一緒に風の音を聞くことも出来ます。
 (中略)
そうした音に耳を傾けているうちに、
あなたの心は不思議に解き放たれていくでしょう。
雨の日には外に出て、雨に顔を打たせながら、
海から空、そして地上へと姿を変えていく
ひとしずくの水の長い旅路に思いを巡らせることも出来るでしょう。

あなたが都会でくらしているとしても、
公園やゴルフ場などで、
あの不思議な鳥の渡りを見て、
季節の移ろいを感じることも出来るのです。
さらに、台所の窓辺の植木鉢に蒔かれた一粒の種子さえも、
芽を出し生長していく植物の神秘について、
子どもと一緒にじっくり考える機会を与えてくれるでしょう。〉


、、、この引用で十分だと思うのですが、
子どもが矛盾と残酷と問題に満ちた、
この不完全な世界を、
それでも生きていくために必要なことは、
「センス・オブ・ワンダー」を持つことだ、
と私は心から思います。

これさえ教えることに成功すれば、
あとは大丈夫です。
子どもは「勝手に学んでいき」ますから。
「センス・オブ・ワンダー」はだから、
「メタ能力」なのです。

「たくさんの知識」は、
すぐに陳腐化します。
しかし、「知的好奇心」がある人は、
その知識を常にアップデートし、
再定義し、磨きをかけ、
生き残っていくことができます。

また「知らないモノに対する好意的な興味」
というのは、「自民族中心主義」からも、
私たちを守ってくれます。
自分の知らない他の文化がある。
自分の知らない他の人種がいる。
自分の知らない他の土地がある。
こう言ったもの対する純粋で好意的な関心がある人は、
他者に敬意をもって学び続けることができます。

他国のことなどほとんど何も知らないくせに、
「日本こそがイチバンだ!!」
と絶叫するバカにならないために必要なのも、
じつはこの「センス・オブ・ワンダー」です。

カーソンは引用のなかで、
子どものセンス・オブ・ワンダーを殺さないためには、
それを共有してくれる大人が、
そばに「ひとりだけ」いれば十分、
と言っています。

私は子どもにこれを授けることができたら、
親としての役割は90パーセント終わった、
と言って良いぐらい大事だと思ってます。

陣内が先月観た映画 2019年7月 『アリー スター誕生』他

2020.01.07 Tuesday

第102号   2019年8月6日配信号

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■2 陣内が先月観た映画 2019年7月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●コンカッション

鑑賞した日:2019年7月4日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:ピーター・ランデズマン
主演:ウィル・スミス
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/32cWibK

▼140文字ブリーフィング:

NFLはアメリカで最も人気のあるスポーツですが、
実は引退後、選手が薬物やアル中や精神疾患に陥り、
人生を崩壊させる、という例が多いことでも知られています。
有名なO.J.シンプソンによる、
「限りなくブラックに近いグレー」になった、
殺人疑惑も、そのような無数の例の一つです。

本作は実話に基づきます。
実はそのような精神疾患が、
ボクサーのパンチドランカーと同じで、
競技による脳しんとうによる精神疾患なのではないか、
ということに初めて気づいた、
アフリカ系アメリカ人の解剖医がいます。

この人をモデルにした、
実話に基づく話が本作です。
アメフト界はこれを「もみ消そうと」しますが、
彼は論文を取り下げず最後まで戦います。
めちゃくちゃ面白かったです。

映画評論や読書評や講演の感想で、
最も言っちゃいけない言葉は、
「考えさせられる」という言葉でしょう。
これを言うと思考が止まる「バズワード」だからです。
でも、言っちゃいそうになります。
「考えさせられる」。

もう二度と言いません笑。
(426文字)



●パッドマン

鑑賞した日:2019年7月2日
鑑賞した方法:フィリピンからの帰りの飛行機の中で

監督:R・バルーキ
主演:アクシャイ・クマール
公開年・国:2018年(インド)
リンク:
https://bre.is/DmvI11030

▼140文字ブリーフィング:

フィリピンから日本に帰る飛行機の機内で見ました。
一緒に行った友人の土畠くんは、
私より3日早くフィリピンを後にしたのですが、
その日に彼からLINEで、
帰りの飛行機で「パッドマン」と、
「グリーンブック」見て、
絶対面白いから!
っていうメッセージが来ました。

実は「グリーンブック」は、
行きの飛行機で半分見てたので、
続きを見ることは決めてたのですが、
「パッドマン」はノーマークでした。

それもそのはずで、
この映画、インド映画なので、
日本ではどうやって見れば良いのか目下分からないぐらい、
たぶん飛行機の中ぐらいでしか見られない作品です。

どうだったか?

最高でした。

インドでは「女性の生理」というものに関して、
「タブー」が存在します。
旧約聖書にもそのような規定がありますが、
女性の生理は「穢れ」と認識されるため、
生理中の女性に男性が触れてはいけないし、
生理中の女性が座った椅子に他の人が座ってはいけない、
などの社会的コードが存在します。

公に女性の生理について語るなんて、
もってのほかで、周囲は眉をひそめます。
そんなインドに、妻をこよなく愛するある男性がいます。
この男性はあるとき思います。
もし妻が生理中も快適に生活できたら、
きっともっと幸せになるのではないか?

彼は薬局に行き、
「生理用品」を買います。
それがあまりにも高価なのに驚きながら、、、。
妻は恥ずかしさのあまり彼に怒りを発します。
そして、そんな出費をする余裕は我が家にはない、
ということで、生理用品を受け付けません。
男は発明精神に溢れていたのであきらめず、
市場で綿と布を買ってきて、
市販の生理用品を「解体」して、
同じようなものを作って妻にプレゼントします。
それは「失敗作」で、
妻はますます夫に怒ります。

夫は、じゃあ自分で実験しよう、
ということで、赤い液体の入った袋を、
自分の股間にあて、
自作の生理用品をはいて、
自転車に乗ってみます。
嫌な予感がしますね。

その事件を期に、
男は村中の誰からも排除されます。
「生理」という社会的タブーに偏執狂的にこだわる、
「気ちがい」というレッテルを貼られた男は、
村を出て行くしかなくなります。

その後彼は、
あらゆる困難を乗り越え、
大手の欧米企業が作るよりはるかに簡単に、
どんな村でも、ジェネレーター(発電機)さえあれば、
制作できるマニュファクチュアの手法を編み出し、
それを村の女性たちが作って販売する、
というビジネスモデルを構築します。

彼のしたことは世界から注目を浴びるようになり、
ついにはニューヨークの国連本部で演説をするまでになります。
「本当の男らしさ」とは何かを教えてくれる、
素晴らしい映画です。
国連のスピーチは、
マジで泣きます。
(1,100文字)


●セブンティーン・アゲイン

鑑賞した日:2019年7月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:バー・スティアーズ
主演:ザック・エフロン
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/O5S0Yh-Jd

▼140文字ブリーフィング:

30代になったくたびれた男が、
輝いていた17歳に戻るという話。
彼の現在の妻と出会い、、、みたいな、
バック・トゥ・ザ・フューチャーの要素があります。
特に話すことのない凡作でした笑。
途中は中だるみますし笑。
(101文字)


●クリード2 炎の宿敵

鑑賞した日:2019年7月4日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:スティーブン・ケイプル・Jr.
主演:マイケル・B・ジョーダン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/3231MWi

▼140文字ブリーフィング:

「ロッキー」好きなんですよねぇ。
1、2、3、4は興奮したなぁ。
で、「5」で思いっきりこけた。
FINALでちょっと面白くなったけど、
まぁ悪くはない終わり方かな、ぐらいでした。

ところがですよ。
2016年に「クリード」を見た時、
私はぶっ飛びました。
マジで。

『ドラゴンボール』の本編よりも、
『ドラゴンボールZ』のほうが面白いみたいな衝撃でした。
ビビった。

、、、で、その「2」ですよ。
ハードルは上がりきってるわけですが、
これが素晴らしかったんです。
ロッキー4の宿敵「グレコ」の息子が出てきます。
グレコというのは東西冷戦中の当時、
「ソ連の象徴」として出てくるウクライナ人(当時はソ連人)。
クリードはちなみに、ロッキーのライバル、
アポロ・クリードの息子です。
ここからは、
ロッキー4をみたことのない人にはネタバレになります。
でも、今さらネタバレもクソもないでしょ。
「E.T.は最後宇宙にかえります。」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー、
最後、主人公は現代に帰ってきます。」
「アルマゲドン、
 最後、主人公死にます」
えーーーーネタバレじゃん!

いやいや、そういうことじゃないじゃん。
ネタバレを糾弾していい賞味期限は、
公開後2年ぐらいでいいんじゃない、マジで。
「ネタバレ自警団」にはうんざりです。

話がそれました。
「ロッキー4」で、
アポロ・クリードはグレコとの試合で、
リング上で死にます。
その後ロッキーはグレコと対戦し、
「仇討ち」のような形でグレコに勝つのです。
そのアポロ・クリードの息子が、
グレコの息子とリングで対決する。
さらに、息子のクリードのセコンドはロッキーです。

「上がる」設定じゃないですか。
本作は特に、
「聴覚障害者」という設定の、
クリードの奥さんの描写とか、
家族の描写が繊細で良かったですね。
(725文字)


●グリーンブック

鑑賞した日:2019年7月2日
鑑賞した方法:マニラ→成田の飛行機で観賞

監督:ピーター・ファレリー
主演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/RPFhi0NWl

▼140文字ブリーフィング:

先ほど申し上げたように、
フィリピンからの帰りに飛行機で鑑賞しました。
素晴らしかったです。
そりゃ、アカデミー賞3部門獲るわな、と。

時は1960年代、
アメリカ南部では、
まだまだ黒人に対する差別がひどかった時代です。
「グリーンブック」とは、
黒人の人が旅行する時に、
「黒人でも泊めてくれるホテル」をリストアップした、
黒人のための旅行ガイドブックのことです。
ちなみに本作は実話に基づく映画です。

映画の骨子は、
実在の黒人天才ピアノ奏者(シャーリー)と、
彼の運転手となったイタリア系のニューヨーカー(トニー)が、
「南部への旅」を通して友情を温めていくという話です。

最初、トニーは家に遊びに来た黒人が使った、
自分の家のコップをゴミに棄てるほどの差別主義者でした。
そんな彼がひょんなことから、
「天才ピアニスト」のコンサートツアーの運転手をすることになります。
理由は「給料が良かったから」。
その旅を通してトニーが、
だんだんと黒人差別をする白人に腹が立ってくるようになります。

シャーリーは外見は黒人だが、
J.F.ケネディとも個人的な友人だ、
というぐらいの「セレブリティ」なのです。
つまり、話し方、テーブルマナー、考え方、
あらゆる意味で「白人よりも白人」なのです。
逆にイタリア移民のトニーは、
外見は白人ですが、言葉遣い、
テーブルマナー、考え方など、
あらゆる意味でむしろ内面は黒人(ストリート)に近い。

このアイデンティティの対偶関係が、
2人の人間的な深みを増していくという描写が、
この映画の素晴らしさですね。
オススメです。
(648文字)



●アリー スター誕生

鑑賞した日:2019年7月13日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:ブラッドリー・クーパー
主演:ブラッドリー・クーパー、レディ・ガガ
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/v_cEChzph

▼140文字ブリーフィング:

本作の主演かつ監督を務めたブラッドリー・クーパーは、
「アメリカン・スナイパー」で主演した、
クリント・イーストウッドの「弟子筋」だそうです。

「アリー」というのは有名な話らしく、
映画化されるのはこれで4回目なんだそうです。
筋書きは、有名なミュージシャンに見出された、
貧しい少女が、その後スターになる。
2人は恋仲になる。
スターになった少女を横目に、
有名なミュージシャンのほうは落ちぶれていき、
次第に彼女に嫉妬心と劣等感を抱くようになり、、、
という話です。

ブラッドリー・クーパーは俳優であり、
音楽については素人だったそうですが、
この映画を撮るために、
いちからギターを習い、
作曲技術と歌唱技術を磨き、
「本物のミュージシャン」としてこの映画の主演をしています。
みると分かりますが、「付け焼き刃」の粋をとっくに超えています。
完全にミュージシャンです。
役者魂、すごすぎます。

あと、クーパーは本作を撮る時、
当初ビヨンセを考えていたのだそう。
、、で、それがダメになって、
「レディ・ガガ」でいこうと思っている、
と師匠のクリント・イーストウッドに相談したんだそうです。
イーストウッドは「やめておけ」と言いましたが、
クーパーは自分の直観を信じて撮りました。
完成した作品を観たイーストウッドはこう言ったそうです。
「やめておけ、と言った私は完全に間違っていた」
この辺のサイドストーリーも、
ちょっと胸の熱くなる話です。

本作、では私的にはどうだったのか?
もうね、素晴らしかったです。
普通に泣きました。
ラストシーンなんて、
涙をぽろぽろ流して泣いてしまいました。

レディ・ガガの演技、
ブラッドリー・クーパーの歌、
すべてが素晴らしかったです。
今年一番ぐらいかもしれない。
オススメです。
(719文字)



●タクシー運転手 約束は海を越えて

鑑賞した日:2019年7月14日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:チャン・フン
主演:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン
公開年・国:2018年(韓国)
リンク:
https://bre.is/CMUNSllys

▼140文字ブリーフィング:

韓国で1,200万人動員の大ヒット作だそうです。
韓国と日本って人口が3倍違いますから、
日本に換算すると3,000万人動員ってことになります。
いつも思うけど、
韓国の映画動員数ってすごすぎますよね。
映画に対する「国民の熱」が違うのかな?
映画の入場料が安いのかな?
誰か知ってる人がいたら教えて下さい。

まぁ、それはそれとして本作。

韓国の南のほうにある「光州」という地域で、
軍隊が市民を弾圧した事件を報じたドイツ人記者と、
彼をソウルから光州に連れて行った、
タクシー運転手の友情の物語です。
本作も実話に基づきます。

ソン・ガンホの「顔の力」が凄かった。
それだけで泣かせる力を持っています。
渥美清とか田中邦衛の領域に達している。
「顔面がハリウッド」ですね笑。
韓国の俳優さんって、
なんであんなに「顔面戦闘力」が高いのでしょうか。

この映画、テーマも韓国映画に典型的な、
「恨み・復讐」じゃなかったところが高評価でした。
ただ、善はどこまでも善、悪はどこまでも悪、
という味付けの濃さが、
韓国映画の「玉にきず」であり、
本作でもちょっとそういうところがありました。
(467文字)


●未来のミライ

鑑賞した日:2019年7月6日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(500円)

監督:細田守
主演:上白石萌音
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://bre.is/-NfBBPudE

▼140文字ブリーフィング:

細田守監督は私は、
「サマーウォーズ」をみて衝撃を受け、
遡って「時をかける少女」をみて、
すげー、ってなってから、
ずっと追いかけています。

その後彼は「おおかみこどもの雨と雪」を作り、
さらに「バケモノの子」を作ります。
ちなみに私は「バケモノの子」がいちばん好きでした。
西遊記とか、白鯨とか、
古典的な小説を現代的に解釈する、
っていう野心的なところが。

、、、で、本作ですよ。

これが「問題作」でして、
ネットなどのレビューでは、
軒並み低評価が並んでいます。
「細田監督が創るもので、
 そんなにつまんないことってあるの?」
と思って、まぁみてみたわけですよ。

うん。

つまんなかったね(爆死)。

作家性が前面に出すぎていて、、、。
映像が「凄い」のは分かります。
家族の新しい形を描こうとしても分かります。
オタキングの岡田斗司夫が言っていたのだけど、
「8K映像とか3DIMAXとかで、
 サラリーマンがラーメン食べる映像を見せられているような」
そのアニメーションの技術の高さを、
こんな「どうでもいい話」に使うか?っていう、
「スケールの小ささ」がありました。
岡田さんとかが言うには、
実はこの作品って、宮崎駿への挑戦状なのだそう。
「千と千尋の神隠し」とか、
「崖の上のポニョ」を、
自分が作ったらこうなる、
という細田流の解釈なのだそう。
たしかに、主人公の名前とか、
あからさまな相似関係にあります。

しかし、やはり乗れない何かがありました。
こういう「作家性」に振り切った後に、
得てして映画監督は傑作を生みます。
北野武が「監督バンザイ!」という問題作でコケた後、
「アウトレイジ」という大傑作を作ったように。
次が楽しみです。
(686文字)



●ひるね姫

鑑賞した日:2019年7月6日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:神山健治
主演:高畑充希
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://bre.is/cV59X_CqO

▼140文字ブリーフィング:

『未来のミライ』があまりにも不完全燃焼だったので、
同じ日に日本のアニメーションを2本観てしまいました。
こちらが2本目。
この監督は初めて見ましたが、
こちらも「まぁ、、、、」って感じです。
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
と同じように、夢と現実が交錯しつつ、
それぞれが影響し合って進むパラレルストーリーです。

倉敷が舞台なので、
住んでいた私には、
懐かしい光景が多くてちょっと癒されました。
それ以外は、、、うーん、かな。

ところが本作。

最後の最後にすごいのがあります。
主人公の声優を高畑充希がやってるのだけど、
エンドロールで高畑充希が、
忌野清志郎の、
「デイドリーム・ビリーバー」を歌うんです。
これがもう、すごいんですよ。
なんかねぇ、心が震えるんですよ。
高畑充希版『デイドリーム・ビリーバー』だけで、
★3つぶんぶらいあります。
マジで。
(372文字)

高畑充希版『デイドリーム・ビリーバー』
https://youtu.be/JM_aYiHvako


●26世紀青年 Idiocracy

鑑賞した日:2019年7月19日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:マイク・ジャッジ
主演:ルーク・ウィルソン
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/b78JR-jh1

▼140文字ブリーフィング:

この映画、くっそ面白かったです。
「傑作」の部類です。マジで。
騙されたと思って見てみてください。
強烈にオススメします。
クソみたいな邦題がついていますが、
それに騙されちゃいけません。
原題は「Idiocracy」です。
「バカによる独裁」とか「白痴主義」というような意味で、
ジョージ・オーウェルの「1984年」なみの、
深い洞察に基づくディストピアSFであり、
そして強烈な現代社会への風刺になっている。

しかも、めちゃくちゃ笑える。
めっちゃくちゃ笑えて、
めっちゃくちゃ勉強になる哲学書があったら、
みんな、買うじゃないですか。
この映画は、そういったものに近い。
(邦題によって)見た目はクソですが、
中身は秀逸すぎる。
今年の年間ベスト10入りが決定しています。
(321文字)


●ファースト・マン

鑑賞した日:2019年7月26日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:デイミアン・チャゼル
主演:ライアン・ゴズリング
公開年・国:2019年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/7NSbhs7p

▼140文字ブリーフィング:

ラ・ラ・ランド、セッションのデイミアン・チャゼル監督作品で、
今年のアカデミー賞で4部門ノミネート、
1部門を受賞しています。
ちなみに「作品賞」は先述の『グリーンブック』です。

本作は、人類で初めて月に立った男、
ニール・アームストロング船長の物語です。
「宇宙映画」というと、
「ゼロ・グラビティ」や「アポロ13」、
「オデッセイ」など、
宇宙船が宇宙を飛んでいる映像や、
無重力空間を表現するCG表現などを期待するのですが、
本作はまったく趣を異にします。

とにかく本作は「接写」が多い。
ほとんどの場面で、ライアン・ゴズリング演じる、
ニール・アームストロング船長の、
顔面から30センチ以内の場所からのカメラアングルになっている。
そうすると鑑賞者は、
遊園地の「ライドもの」と同じで、
ニール・アームストロング船長に、
「ライド」したかのような感覚になります。

映画評論家の町山さんによると、
『アリー スター誕生』でもこの手法は用いられていて、
これは高性能のカメラが小型化したという、
技術革新に伴う映像表現の新しさなんだそうです。

とにかくそんなふうに、
主人公に「ライド」するので、
ニール・アームストロング船長の、
内面世界に入り込んだような、
一段ステージの高い感情移入ができる。

それが本作の面白さです。
ニール・アームストロング船長って、
とってもミステリアスな人で、
娘さんを病気で失っていたことを、
同僚にすら話していなかったり、
自分の危険な任務を、
家族にもうち明けていなかったりするんですよね。
当時のアポロ計画は、
国家プロジェクトであると同時に、
命がけの任務でしたから、
彼の「同僚たち」が、
数年おきに死んでいきます。
彼の奥さんは同じNASA職員の住む地域の奥さん友だちが、
次々に「未亡人」になっていくのを見る。

奥さんがどんな気持ちだったか?
その奥さんを見るアームストロング船長はどんな気持ちだったか?
そしてあの「一人の人間には小さいが、
人類にとっては偉大な」一歩を踏みしめたとき、
どんな気持ちだったか?

それを追うつくりになっています。
良い小説を読んだ後のような気持ちになれる映画です。
デイミアン・チャゼルは若い監督ですが、
『セッション』以降、破竹の勢いですね。
(913文字)



●バードマン

鑑賞した日:2019年7月22日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
主演:エドワード・ノートン、マイケル・キートン、エマ・ストーン
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/KxoKf0gnq

▼140文字ブリーフィング:

「中年の危機」を迎えた俳優の物語です。
「バードマン」というのは、
主人公が若いときに演じて一世を風靡したヒーローものの名前です。
マーベルの作品群に出てスターになることを、
俳優の業界ではちょっと馬鹿にする風潮があるのだそうで、
だから彼は若い頃莫大なお金を稼いで、
「バードマン」として一躍有名になったのだけど、
中年を迎えた今、「バードマンの一発屋」
みたいに世間が思っているんじゃないかという、
大きなコンプレックスを抱えている。
アイアンマンのロバート・ダウニー・ジュニアが、
あと20年して、他に何もヒット作がなく、
俳優としてのプライドを失いかけた状況、
と考えたらだいたい合ってます。

そして十代になった娘は非行に走り、
奥さんには逃げられる。

バードマンは彼の、
「オルター・エゴ」となり、
彼をときにけなし、たきつけます。
「オマエの身体はたるみ、
 もはや世間に一発屋と思われている。
 そんな世間を見返してやるのだ。
 オマエが男だということを世間に見せつけてやるのだ!」と。

最後まで見るとわかりますが、
これって実は、
統合失調症の話でもあるのか?
と私は解釈しましたが、
そんなこと誰もいってないんですよね。
誰か見た人、教えてください。
(503文字)


●ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

鑑賞した日:2019年7月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョーライト
主演:ゲイリー・オールドマン
公開年・国:2018年(イギリス・アメリカ)
リンク:
https://bre.is/Vw_IgLSGu

▼140文字ブリーフィング:

原題は「Darkest Hour」=最も暗い時代、です。
じっさいチャーチルが首相になったときって、
「英国が歴史から消えるかもしれなかった」んですよね。
「ダンケルク」という別の映画にも描かれていますが、
あのとき、ネヴィル・チェンバレンという首相の、
「宥和政策」により、ナチスの進軍を、
英国はことごとく「静観」した。
その結果、「サラミスライス戦略」という、
ドイツ軍の「ちょっとずつ小さな島(領土)を占領していく」
という戦略にまんまと追い詰められ、
イギリス本土がナチスに占領される寸前まで行っていた。

イギリスの政治の異端児、チャーチルが、
「決して、決して、決してあきらめない!」
という闘志をもって議会と国民を鼓舞し、
アメリカのルーズベルト大統領に直談判して参戦を要請し、
連合国の息を吹き返させなかったら、
ヨーロッパはすべてナチスのものになっていたし、
第二次大戦の運命は変わっていただろう、といわれています。

この映画で知ったのですが、
チャーチルは組閣する時に、
政敵であるネヴィル・チェンバレンをメンバーに選んでいます。
つまり「自分と反対する政治家を巻き込めなければ、
国民全体をひとつにすることなどできない」という気概がある。
これって、リンカーンが奴隷制度撤廃のときにしたことと、
まったく同じなんですよね。
自分と肌が合わない閣僚を次々と、
「You are fired」といって、
首にしていくトランプ大統領や、
「おともだち内閣」という、
自分と親しい人で周囲を固める癖のある、
安倍首相にはない資質です。
こういう「老獪な」政治家が、
世界から少なくなったなぁ、
というのは誰もが思っていることだと思います。

政治が悪いのか、
それとも選ぶ私たちが悪いのか。
きっとどちらも悪いのでしょう。
(728文字)


▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「アリー スター誕生」

コメント:
7月に観た映画は傑作ぞろいでしたが、
この映画がいちばん泣きました。
レディ・ガガの演技がすごかった。
マジで「やられた!」と思いましたね。
音楽も当然すばらしいし、
映像もいいし、
人間ドラマも素晴らしい。
最後のシーンは、
号泣不可避です。


▼主演(助演)男優賞
ブラッドリー・クーパー(アリー スター誕生)

コメント:
音楽やったことがない彼が、
3年間をかけてギターを練習し、
作曲までして、
歌手としての演技に説得力を持たせた、
その役者魂に感服しました。
ちなみにクーパーは本作でアル中になりますが、
彼自身もいちどアルコール依存症になり、
施設にはいったことがあるそうです。
それを「演技」するって、
そうとうハードなことだと思うのですよね。
マジでこの人すごいです。


▼主演(助演)女優賞
レディ・ガガ(アリー スター誕生)

コメント:
これは文句なしにレディ・ガガでしょう。
イーストウッドは反対したが、
後に間違っていたと認めた、
と先ほど解説しましたが、
じつはレディ・ガガは、
子どもの頃ミュージカルなどをしていて、
演技の素養もちゃんとあるのだそう。
そして、普段のメイクを落としたレディ・ガガがまた、
「生身の人間の傷つきやすさ」みたいなものを、
その人生をかけて表現していて、
迫力がちょっと違いますね。

というわけで名作揃いの先月でしたが、
結果的には「アリー スター誕生」が、
三部門独占受賞となりました。
おめでとうございます。


▼その他部門賞「実は超オススメ賞」
「26世紀青年」

コメント:
この映画、タイトルを見て、
「見たいー!!面白そう!!」
ってなる人は皆無だと思うのですが笑、
実はめちゃくちゃオススメです。
映画好きには是非是非是非是非見て欲しい、
そして、これを見た人と、
私は小一時間語り合いたい。
そんな大事な一本になりました。

あと、笑えるし。
これ、重要。

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