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陣内が先週読んだ本 2017年10月第四週 『世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと』クリス・ベイリー 他4冊

2018.04.19 Thursday

+++vol.036 2017年10月31日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年10月第四週 10月22日〜28日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと

読了した日:2017年10月23日
読んだ方法:図書館で借りる
著者:クリス・ベイリー
出版年:2017年
出版社:TAC出版
リンク:http://amzn.asia/5S1UxgY

▼140文字ブリーフィング:

著者は一年間を使って、
自らの身体であらゆる「人体実験」をすることによって、
「生産性を上げるには何が効果があり、何が効果がないのか」
を調べ、それをブログにアップしていたら人気になり、
TEDカンファレンスに呼ばれるまでになった、という変わり者です。

彼は3日間まったく寝ないとか、
一日3時間睡眠で働き続けるとか、
逆に10時間以上寝まくるとか、
6時間瞑想をやるとか(片岡鶴太郎?)、
ベジタリアンになるとか、コーヒーを絶つとか、
運動をしまくるとか、逆にまったく運動をしないとか、
スマホを触るのを自らに禁止するとか、
ありとあらゆることを試すことで、
「こういったことは効果があるが、
 こういったことはあんまり効果がない」
という体系をまとめていきます。

その「体系」が、わりと「穏当なもの」であるということも含め、
私は興味深く読みました。

そもそも「生産性」という言葉がなぜ大事かというと、
産業構造の変化と関係がある、と著者は指摘していて、
それは「なるほど」と思いました。
引用します。

→P101〜102 
〈1950年代以降は、多くの人が工場からオフィスへと移っていった。
オートメーション化がどんどん進んでいたのも関わらず、
この60年間でアメリカのGDPに占める製造業の割合は
28パーセントから12パーセントに減った。
この間、アメリカで最も成長した業界は、
”専門およびビジネスサービス”で、ハイテク、
エンジニアリング、法律・経営・会計のコンサルティング企業が含まれている。
たとえば、アップル、グーグル、ボーイング、ゼネラル・エレクトリック、
マッキンゼー・アンド・カンパニー、デロイトなどだ。
製造業と対照的にこの業界の規模は60年間で三倍になっている。
知識を基盤とする知識経済に移行してからは、ぼくらは時間だけではなく、
技術、知識、社会的知性、ネットワーク、
そして生産性を組み合わせて報酬を得ている。
いまでは“時は金なり”だけでは通用しない。
”生産性こそが金なり”なのだ。
では、知識経済における時間管理とはどんなものだろうか。
このPARTをじっくりと読めば、うなずいてもらえるだろう。
あなたが生産的になりたいなら、
時間管理より活力と集中力のコントロールを第一に考えるべきだ。〉

「時は金なり」といういうのは二次産業(製造業)時代の遺物だ、というのです。
たしかにそうです。「ライン」が支配する工場ではまさに時は金です。
ひとつの工程を1秒縮められたら自動車会社は10億円ぐらい儲けられますし、
全労働者の労働時間を10分延ばせたら純利益はそれに比例して上がります。

しかし、知識経済においてはそうではない。
10時間かけてつくった粗悪な論文と、
30分で書いた優良な論文では、
優れているのは明らかに後者です。

「時は金」ではなく「生産性が金」なのです。
このとき大切なのは「どれだけ長時間働けたか」ではなく、
「集中して働ける時間をどれだけ確保できたか」です。

知識経済時代の長時間労働は無意味どころか害悪だ、
ということを示す実験結果を引用します。

→P112〜113 
〈研究報告によると、一週間の理想的な労働時間は、
だいたい35時間〜40時間。これ以上になると生産性は下がり始めるそうだ。
数字だけ見ると、35時間〜40時間というのは少ない気がする。
あなたのto-doリストはいつもの労働時間ではこなしきれないほど長い。
そんな状態で、週に40時間労働を始めてみたら?
同僚が50時間、60時間以上、働いているときはとくに心苦しいだろう。
締め切りが目前に迫っている場合などは、
長時間働くことで大いに生産性は上がるだろう。
しかし、長時間労働は最悪の事態を招きかねない。
とりわけ集中力と活力を上向かせるための時間がほとんどないときは要注意だ。

ここで労働時間と生産性の関係をまとめてみよう。
労働時間が35時間〜40時間を超えると、生産性が低下し始める。
週60時間労働が8週間続くと、こなした仕事量は、
週40時間労働を8週間続けた場合とほぼ同じになる。
70〜80時間労働を三週間続けると、40時間労働の時の仕事量と同じになる。
ぼくの場合は、90時間労働の達成項目数がたった二週間で20時間労働と同じになった。
短期的な場合でも、長時間労働は生産性を低下させ得る。
ある報告では、たとえ短期でも週60時間労働を続けると、
普通なら一時間で終わる仕事を片付けるのに二時間かかるという。
別の報告では、生産性は週50時間労働で完全に落ち込み、
週に70時間働く人はそのうち15時間分は何もしていないに等しい、と述べられている。

つまり、労働時間がある一点を超えると、時間ばかり費やして、
殆ど目標を達成できない状態になる。
ぼくが週90時間働いたときのように、
満足感を覚えるかもしれないが、生産的になったとは言いがたい。

誰よりも生産的で成果を出す人は時間だけでなく、
活力と集中力もしっかり制御している。
時間と集中力と活力を有効活用するためには、
仕事の時間を制限することが格好の手段となる。
これは重要なタスクでも通常業務でも同じだ。
仕事をコントロール出来ない立場では、
労働時間に制限を設けるのは難しいかもしれない。
しかしぜひとも実践して、やるべきことに活力を注ぎ込んで欲しい。〉

、、、なんと週90時間働く人の生産性は、
週20時間働く人のそれと同じに収斂する、というのです。

もうひとつ著者が20時間/90時間の労働時間を
1週間毎に2サイクルした実験で注目すべきは、
じっさいには両者の客観的な生産性は同じだったが、
主観的には90時間のときのほうが
「二倍も生産的だったと感じた」という記述です。

著者はこう言っています。
「一日中忙しくしていると生産的だった気になる。
しかし、何も達成できなければ、生産的とは言えない。」
先日紹介したデイヴィッド・アトキンソン氏が指摘する、
日本の長時間労働と生産性の低さは、
日本人が「主観的な生産性」に浸り、
客観的な結果に注目しないという
「契約より情緒」的なセンスにも起因するかもしれない、と感じます。
(2,467文字)



●大直言

読了した日:2017年10月23日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:青山繁晴×百田尚樹
出版年:2017年
出版社:新潮社

リンク:http://amzn.asia/0rXuQ90

▼140文字ブリーフィング:

ぼくちゃん大好きナルシシストと、
脳内戦争中のイカれオヤジの対談です。
「愛国心はならず者の最後の逃げ場所」という言葉を思い出します。

青山氏はルー大柴かのように横文字を連発し、
「俺は国際派だ」ということをちらつかせながら、
日本の反対勢力を批判するときは
「国際基準ではこれがスタンダードなのに、
 日本はまったく追いついていない。
 日本はナショナリズムが足りない」などと言います。
しかし国家の評価ではなぜか
「日本人ほど礼儀正しく利他的で秩序ある素晴らしい民族は他にいない」
に反転します。論理が破綻しています。

また、彼はいつも、
「実直、誠実、愚直、まっすぐ、逃げない」といっていますが、
森友学園問題のときは見事に逃げました。
彼は自らのラジオ番組で、
「森友学園は日本で最もまっとうな教育をしている」
と過去に発言していますが、国会で問題になったとき、
「かご・・いけさん、、、さて、だれでしょう?」
とすっとぼけました。
まったく信頼できません。
胡散臭さが半端ないですね。

とにかく無意味に挟む英語が不快です。
会話の文字起こしだったとしても文字化するときに、
多少直せば良いのに、と思います。

→P178 
〈百田:国力というのは、最終的には経済力が支えます。
中国も、経済がポシャったら軍事力も駄目になります。
ですから、まず、日本は中国から全面撤退してもらいたいと思っていますが。
青山:エヴリカントリーズ・エクセプト・チャイナ・アンド・コリア。
中韓以外のすべての国とのビジネスを進めていくべきだとぼくもいいたい。
チャイナの大きな問題点は、実は、国内で本当に起きていることが、
まず報道されないという点です。、、〉

、、なぜいっかい英語で言ったんだ、とぼくはいいたい。
(701文字)

▼参考記事:青山議員の手のひら返し
http://netgeek.biz/archives/94443



●シャンタラム(中)

読了した日:2017年10月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ
出版年:2011年
出版社:新潮文庫

リンク:http://amzn.asia/3Zgd5iH

▼140文字ブリーフィング:

先日上巻を読み、今回は「中」です。
インドを旅する冒険談です。
インド版「アラビアンナイト」みたいな感じでしょうか。
この小説は音と色と匂いに満ちています。
また、読んでいる間、「無常観」と「多様性」を感じます。
インドの持つ生命への肯定のようなエネルギーを感じる不思議な小説です。
インドに行きたいなぁと思いました。
(153文字)



●朝日新聞 日本型組織の崩壊

読了した日:2017年10月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:朝日新聞記者有志
出版年:2015年
出版社:文春新書
リンク:http://amzn.asia/iYffOlR

▼140文字ブリーフィング:

2011年の原発問題以降、
私は朝日新聞には辟易としています。
「プロメテウスの罠」はデマの垂れ流しだし、
結論ありきの報道姿勢によって、
「吉田調書」というきわめて悪質性の高い誤報によって、
真面目に働いている東電社員に汚名をきせました。

また従軍慰安婦に関する吉田証言の誤報に関して謝罪すべきだ、
と書いた池上彰氏のコラムを氏に相談なしに不掲載にし、
ついには世論に押し切られて社長が謝罪するに至りました。

なぜ朝日新聞がこれほど「結論ありきのイデオロギー」を、
無反省に一方的に語り続けられるのか、、、
それはじつはきわめて「日本的で官僚的」な組織体質にある、
という内部告発の意味合いを含むのがこの本です。

朝日新聞は官僚批判や政権批判で有名ですが、
彼らほど官僚的で「既得権」的な動きをする組織も他にない、
と著者らは言います。
だって、マスコミの中でも最も給料が高く、
その組織体質は中国共産党にも類比するピラミッド構造ですから。
社員の一番のモチベーションは「失敗しないこと」だそうです。
上に逆らうなど考えられない。
つまり彼らこそ「体制そのもの」であり、
「反体制を標榜する体制」と言う意味で二重に屈折しているのです。
引用します。

→P7〜8 
〈ではいったい、、、、朝日新聞のリアルな問題とは、何だったのだろうか――。
 その本質は、企業構造そのものにあるとわれわれは考える。
硬直化した官僚主義、記者たちの肥大した自尊心と自己保身のせめぎ合い、
エリート主義、減点主義の人事評価システム、
派閥の暗闘、無謬神話、上意下達の日常化・・・。
言うなれば、終戦直後に立案した食糧増産計画を平成の世にごり押しした
諫早湾(いさはやわん)干拓や、2000年代に三菱自動車で発覚した
複数回に及ぶ大規模リコール隠し、
さらには旧日本陸軍参謀本部など、
官僚的な組織に過去見られたような愚行・スキャンダルと同根の問題である。
その意味で朝日は「反日」どころか、
悪い意味で極めて日本的な組織の病に冒されている、と言える。〉

右翼からは朝日新聞は「反日」と呼ばれていますがいやいや、
彼らは反日どころか、「純日本的」なのです。
、、ちなみに戦前に最も国威発揚のための、
「戦争万歳記事」を書いて世論を煽ったのも、
朝日新聞です。

今までのは軽い悪口ですが、
ここからは真剣な話しです。
以前私の弟と会話していたとき、
「新聞社にとって戦争は最後の倒産回避策」という話しになりました。
つまり、戦争が起こると新聞の部数が一気にあがり、
新聞社(メディア)の業績はV字回復します。
じっさい、CNNという放送局は絶対に失敗すると言われていましたが、
湾岸戦争勃発によってCNNは売り上げを伸ばし生き延びました。
FOXも絶対に上手く行かないといわれていましたが、
イラク戦争がFOXを救ったと言われています。

次に日本が戦争に突き進むとしたら、
インセンティブから考えたとき、
「新聞社がつぶれそうになると、ちょっとヤバいな」
と私は思うのです。
多分彼らは無意識に経験的に知っています。
「戦争は逆転満塁ホームランになる」と。
私は「メディア性悪説」に立って、そのように警告します。
戦争リスクを考えるにあたり、
もちろん政治家を注視するのも大事ですが、
歴史を振り返れば本当に怖いのは政治ではなくメディアと世論です。
いや、ホントに。
(1,358文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:該当なし

コメント:

今週は、やたらと忙しかったので、
正直本はあまり読めませんでした。
来週もこんな感じになるかな、と思います。

敢えて言えば「生産性バカ、、」の本はけっこう面白かったですが、
「買った方がいいよ」と勧められるほどではありません。
「リコメンド本」の審査基準は、
「買って読むことをオススメできる」ということですから、
今週は該当なし。

ただ、価値基準というのは人それぞれですので、
「めちゃくちゃ良いじゃん、この本!!」
というものも含まれるかもです。
あくまで私が考える「オススメ」ですのでご了承ください。




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陣内が先週読んだ本2017年10月第三週 『リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』ジョシュア・ウルフ・シェンク 他4冊

2018.04.12 Thursday

+++vol.035 2017年10月24日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年10月第三週 10月15日〜21日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●農山村は消滅しない

読了した日:2017年10月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:小田切徳美
出版年:2014年
出版社:岩波新書

リンク: http://amzn.asia/507diVM

▼140文字ブリーフィング:

著者の小田切徳美さんに、
9月にお会いしたことから興味を持ちました。
南浦和バプテスト教会でメッセージをさせていただいたとき、
小田切先生のほうから話しかけてくださり名刺を交換しました。
先生は東大農学部卒、明治大学教授で、専門が農業で、
さらに日本の地域再生について研究なさっている、とのことでした。
著書もあることを後で知ったため、手にとって読みました。

この本の要点は、この数年で頻繁に耳にするようになった、
「限界集落」「スマートシティ」などの言葉が指し示す、
「過疎化した農山村は消滅することを前提として未来を描く」
という政府主導の考え方に異議を唱えるということです。

じっさいこれらの言葉の発端は、
「増田レポート」と呼ばれる、財務省、経産省、政府が関与している
行政と政治主導の調査報告にあります。
引用します。

→P2 
〈いわゆる「増田レポート」が「地方消滅」を言い、
世間に衝撃を与えている。
それは、「増田ショック」と表現されることさえある。
元岩手県知事、元総務相大臣の増田寛也氏を中心として
作成されたこの「増田レポート」は一本の論文ではない。
段階的に公表された複数のレポートや著作を指している。

最初に「増田レポート」が世に出たのは、『中央公論』(2013年12月号)の特集
「壊死する地方都市」の中にあった(第一レポート)。
これは「増田寛也+人口減少問題研究会」の菜で公表されており、
その研究会には、増田氏のほか、人口問題、、
労働問題の研究者等が参加している。
、、、爆発的に話題となるのは、
翌年の日本創成会議・人口減少問題検討分科会によるレポート
「成長を続ける21世紀のために『ストップ少子化・地方元気戦略』」(2014年5月8日)である(第二レポート)。
ここでは、若年女性(20〜39歳)の2040年人口を独自の方法で推計し、
現状から半分以下になる市町村を
「今後、消滅する可能性が高い」としたことにより、
注目が一挙に高まった。
この第二レポートには
、、、、財務省と総務省の二人の元事務次官も加わっている。

たたみかけるようにその二日後に刊行された「中央公論」六月号には、
「増田寛也+日本創成会議・人口減少問題兼と分科会」の名で
「消滅する市町村523」という「緊急特集」が組まれ
「ストップ人口急減社会」が公表された(第三レポート)。

、、、その後、8月25日には「増田寛也編著」として
第一レポートから第三レポートまでに加えて、
関連する座談会(いずれも『中央公論』に掲載されたもの)等を集収する本が公刊された。
タイトルは「市町村消滅」からさらにエスカレートして「地方消滅」となっている
(増田寛也編著『地方消滅』中央公論新社、2014年)。
増田レポートを「地方消滅論」と呼ぶのはこの点からである。〉

、、、小田切さんは研究者なので、プロパガンダ的に、
「そんなことはない」という結論ありきの議論を展開しません。
むしろ自分の足で地方を歩いたその「データ」を真摯に開示し、
結論は「農山村は簡単には消滅しないが、
このまま何もしないと、『臨界点』に達し、
消滅する事例も出てくるだろう。」
という控えめな反論にとどまります。

地方を実際に歩いて現場を調査する研究者として、
安倍内閣の「地方創生」が実は「地方たたみ」を前提としているのではないか
ということに対して、「消滅のレッテルを貼られた地方生活者」を代弁し、
異議を申し立てているわけです。
また反論にとどまらず、「ではどうすれば良いのか」という提案も触れられます。
この本は「過疎」という言葉が語られるようになってからこのかた、
地方がどのように格闘してきたかという
「地方創生の体系化」の試みでもあります。

政府が進めている方針への判断は別にしても、
私たちが「これからの国家像を描き直す」という
鳥羽口に立っていることは間違いありません。
引用します。

→P238 
〈前回の東京オリンピックから半世紀、
そして「過疎」という言葉が生まれてから約半世紀の今日、
日本の社会がこのような岐路にあるのは決して偶然ではない。
「これまでの50年、これからの50年」という視野での国民的議論が、
いま必要である。〉
(1,712文字)



●リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領

読了した日:2017年10月19日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョシュア・ウルフ・シェンク
出版年:2013年
出版社:明石書店

リンク:http://amzn.asia/7UIaoKm

▼140文字ブリーフィング:

とんでもなく面白かったです。
夢中で読みました。

リンカーンが生涯、重い鬱病を患っていたのは今では常識ですが、
リンカーンの死後
1.リンカーンを英雄と祭り上げたかった親族
2.鬱病を「信仰上の汚点」と見なすキリスト教保守派の勢力
このふたつのイデオロギーによって、
リンカーンを語る上で避けられない「鬱病患者」としてのリンカーンは、
「歴史修正主義者」たちによって闇に葬られてきました。
つまり、「完全無欠のヒーロー」として世間は彼を神格化したわけです。
しかし近年、「等身大のリンカーン」を見直そう、
という「英雄史観からの脱却」が起き、リンカーンの鬱病研究が進んでいます。
この本はそのような歴史調査の集大成とも言える大作です。

逆説的ですが、「英雄史観」のリンカーンよりも、
鬱病を抱えながら、その内面における弁証法を、
アメリカ合衆国の「自由と奴隷制の弁証法」に適用する彼の姿を知った読者は、
リンカーンをより偉大な英雄と見なすようになる、
という不思議な読後感を持ちます。

じっさい私はこの本を読んだ後、30秒ほど放心状態で静かに遠くを見、
思いました。「歴史上で最も尊敬するイエス以外の人物は、
今までガンジーだったけど、今やリンカーンをより尊敬する」と。

限られた文字数で語る事は不能ですが、
導入の文章が本書の本質を要約してくれています。

→P22〜23 
〈本書の狙いは、
リンカーンのメランコリーを完膚なきまでに知ることではなく、
それを精一杯知ることであり、
どのような成り行き(ストーリー)になるかを見届けることである。
広義に言って、その成り行きはかなり単刀直入だ。
リンカーンは、若い頃から心理的な苦悩や苦痛をなめ、
自分は気質的に異常な程度まで苦しむ傾向があると思い込んだほどだった。
彼は自力で自分の苦しみを突き止め、自力で救いの手を見いだし、
がまんして適応する術を身に付けた。
ついに彼は、自らの苦悩から意味を鍛え上げた。
すなわち、それによって、苦悩を打ち勝つべき障害ばかりか、
その苦悩を己の良き人生の要因にまで高めたのである。

本書は、現代のためのストーリーである。
うつ病は、毎年世界中で一億人以上の人を苦しめる、
世界でもトップクラスの疾病である。
2000年、世界でおよそ100万人がこれで自殺した。
これは、同年度の戦争による死者数、
殺人による死者数を合せたのにおおよそ匹敵する数値である。

、、、この現実に直面するとき、
歴史上の卓越した人物の罹病は新たな痛切さを帯びてくる。
特に彼の病の特質ばかりではなく、
それが生産的な人生の一部になり得た姿においてこそ、痛切となるのである。

、、、本書は、大きな苦痛を大きなパワーに合体させた男の物語である。
自分の性質に「固有な不運」を嘆く少年時代の手紙から、
自殺や狂気という主題を書いた詩に至るまで、
リンカーンの生涯は自分の苦しみを説明し、
それを高い次元へと高めてさえくれる意味を求める模索が始発点になっていた。
大統領としての彼は、同胞に彼らの祝福と重荷を受け入れ、
彼らの苦悩には意味があることに気付き、
より完璧な合衆国連邦を目指す旅程に同行することを求めたのである。〉

近いうちに、この本は「本のカフェ・ラテ」コーナーで
もう少し詳述します。
(1,318文字)



●分断社会ニッポン

読了した日:2017年10月19日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:井手英策 佐藤優 前原誠司
出版年:2016年
出版社:朝日新書

リンク:http://amzn.asia/iMrYlxf

▼140文字ブリーフィング:

去る日曜日には衆議院選挙がありました。
結果は自民党が議席数を保持し、
分裂した野党は思うように票を伸ばしませんでした。
私はテレビ東京の池上彰の特番を見ていました。
あの番組はめちゃくちゃ面白いです。

あの番組での池上彰の目は「人殺しの目」ですね。
宮本武蔵と佐々木小次郎が対峙したときの目というか。
得に小泉進次郎とのやりとりとか、二階幹事長とのやりとりなんて、
「命の切り結び」のようなヒリヒリした緊張感を覚えました。

あの間を間違って通行したら死ぬな、
と思うような、「張り詰めた空気感」は、
かつてのPRIDEの、
「ヴァンダレイ・シウバ対ミルコ・クロコップ」のような緊張感があります。
池上彰の目はシウバの目でした。

池上彰は自著に、
「政治家とは今まで一度もご飯を食べたことがないし、
これからも一緒にご飯を食べない。」と書いています。
理由は、政治家になるような人というのは、
「半径2メートルに入ってしまったら、
 好きになって惚れ込んでしまうような磁力」
とでも表現すべき人間的魅力を持っているに決まっているからだ、
と彼は言っています。
特に国政選挙に出るような人なんて、
1分話したらファンになってしまうような魅力を備えている。
だから政治家は「握手」するのです。
握手した政治家とは、心理的アタッチメントができますから、
投票する確率は格段に高まることを政治家自身がよく知っているのです。

池上さんは自らを「報道代表」と自認していているのがよく分かる。
報道の仕事は政治を見張ることです。
政治を見張りまっとうな批判を加える報道が、
政治家と「馴れ合ったら終わり」と彼は思っている。
だから距離を置くのです。

ある国に行ってその国の「民主化度」を知りたければ、
「新聞を読んでそこにどれぐらい政府への批判が含まれるか」
を観察すべきだと池上さんは言っています。
だいたいその批判の量と質が、
その国の民主化の度合いと比例する、と。

そんな池上さんと「政治代表」の、
小泉進次郎のやりとりはしびれます。
お互いへのリスペクトがありながら、
息もできない「心の竹刀のつばぜり合い」が、
見えたような気がしました。

、、、で、本の話し。
危なく本の話しを忘れてました。

、、、今回の選挙を、佐藤優氏はラジオで、
「バタフライ効果」を使って説明していました。
複雑系の科学では、その複雑性を、
「ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスで竜巻が起こる」
という言葉で説明します。
つまり小さなインプットが、別の場所で、
予測もつかない大きなアウトプットを引き起こす、ということです。

今回の「蝶の羽ばたき」は間違いなく、
元民進党の前原誠司氏の離党です。
彼の動きが小池新党を生み、
小池代表の「排除」発言が逆に立憲民主党人気に火を点けた。
その「つぶし合い」の漁夫の利をまんまと得たのが自民党、
というのが今回のあらかたの顛末と言って良いでしょう。

今回の選挙では自民党の中でも老獪な政治家は一様に、
厳しい顔つきをしています。
小泉進次郎は池上さんに、
「野党がボタンを掛け違えていなければ、
 政権は交代していた。」
と先の特番のなかで語りました。

今の日本の政治というのは大変不思議で、
内閣支持率は低く、安倍政権が終わって欲しいと、
国民の過半数が思っている(アンケート調査の結果)にもかかわらず、
選挙をしてみると自民党が圧勝し続ける、
という「倒錯」した状態が続いているわけです。

そんななかで大切なのは、
「与党の文句を言い続ける野党」ではなく、
「魅力的なオルタナティブ(代替案)」を、
しっかりと作り上げていく「脳に汗かく」人々の存在です。

この本は、前原誠司氏の友人である佐藤優氏と井手英策氏が、
彼が今後日本の国政で達成していく「理論武装」をするにあたり、
「一肌脱いだ」鼎談を文字化したものです。

内容については多数面白いところがあるのですが、
二つだけ紹介します。
ひとつめは佐藤優氏の指摘している、
「制度設計は性悪説で、制度運用は性善説で」
行うことの大切さです。

→P155 
〈佐藤:やはり、制度設計というのは、
基本的に性悪説で行わないといけないと思うんです。
その代り、制度の運用は性善説で行う。
往々にして我々のやり方というのは、
制度は性善説で作って、運用が性悪説になる。
そもそも論として、私はインテリジェンスの世界にいて思ったんですけど、
日本と諸外国って、制度設計の基本哲学が逆なんですよね。
例えば、イスラエルはインテリジェンスが最も進んでいますから、
これは制度設計として性悪説が基本なんです。
ところが運用になると性善説なんです。〉

、、、もうひとつは前原さんの「心の叫び」のような語りです。

→P95 
〈前原:、、、国の礎は教育にかかっていますね。
どれだけひもじい思いをしたって
大人が子どもの教育に投資をするのは大事なことで、
税の使い方や政策も含めて、
これはなんとしても国を挙げてやるべきことだと思います。
先ほど申し上げた0歳から5歳までの就学前教育は無償で行う。
大学も基本的に無償化する。
こんなことは2.7兆円、消費税1%ぐらいの税収でできることです。
これは私が自分に対していっている事ですけど、
それが実現できなかったら国会議員をやっている意味なんてないですからね。
そこの財源を取って中身をどのように充実させるかという議論があって良いと思います。
少なくともすべての子どもにチャンスを与えるべきです。
どこの地域に生まれても、親がどんな所得階層に生まれても、
子どもに教育のチャンスを等しく与える仕組みは
最低でも作らないといけません。〉

、、、前原誠司さんという人は、
自分からはあまり語りませんが大変な苦労人です。
彼は中学生のときにお父さんを鉄道自殺で亡くされています。
そして高校も大学も奨学金をもらって卒業した。
京都大学法学部では授業前に毎日、
卸売り市場でアルバイトをしてから授業を受けていた。

同志社大学神学部にいた佐藤優氏と前原氏は、
「京都に住んでいた時期」が重なっています。
佐藤氏は仕送りをもらいアルバイトをする必要がなく、
神学書をひたすら読みふけり時々飲みに出かけるような余裕があった。
前原さんのような苦学をした人を、
そんな佐藤さんは非常に尊敬しているのがわかります。

前原さんはその後松下政経塾に入り政治家になりましたから、
彼が「貧しい家庭の子どもも良い教育を受けられる社会を」というときそれは、
「本物のコンパッションから生まれた魂のこもった政治哲学」なのです。
だって、もし「奨学金制度」だとか国立大学の安い学費といった、
「優秀な学生が社会的上昇をするための国側のサポート」がなければ、
彼はきっと大学を卒業できていないし、政治家にもなれていないし、
もしかしたら父親の自殺を乗り越えられていないかもしれない。
だから彼は切実であり、それが今回の「バタフライエフェクト」となった、
「民進党への見限り」を生んだわけです。
彼の政治的な選択についてはいろんな評価があるでしょうが、
教育機会に関する政治哲学については私は彼を支持します。
(2,702文字)



●自問力 「5つの質問」と「自問自答」ですべてが好転する

読了した日:2017年10月19日
読んだ方法:図書館で借りる
著者:堀江信宏
出版年:2017年
出版社:ダイヤモンド社
リンク:http://amzn.asia/346YYWF

軽い本でした。30分で読みました。
内容の99パーセントは過去に読んだことのある話しでしたので、
超速で読めます。
読書のスピードは知の集積により上がっていきます。

内容はといえば、「偽の願望」から「本物の願望」に
気付く道具としての、という話しです。
著者は2015年にガンを宣告され、2016年に寛解したそうです。
ガンはギフトだ、と考え、
自分のメソッドを当てはめてガンを克服したのは尊敬に値します。
「5つの質問」の部分を引用します。

→P30 
〈質問1 「自分が得たい結果は何だろう?」・・・問題を「自分事」として捉える質問
質問2 「どうして、自分はそれを得たいのだろう?」・・・自分の目的を明確にする質問
質問3 「どうしたら、それを実現できるだろう?」・・・可能性に目を向ける質問
質問4 「これは、自分の将来にとってどんな意味があるだろう?」・・・いい意味づけをする質問
質問5 「今、自分がすべきことは何だろう?」・・・自分を動かす質問〉

これを繰り返すことで、
「人に認められたい」「見返したい」というような偽の願望から、
「幸せを感じたい、充実した仕事がしたい」という本当の願望に気付き、
そしてそれを具体的な行動に落とし込んでいく、、、
というメソッドです。
奇抜な発想ではなく、多くの成功している人は、
無意識に毎日していることです。
(552文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領

コメント:
文句なしにオススメします。
ただ、この本の唯一にしてけっこう大きな難点は、
「翻訳が小難しい」ことです。
翻訳下手だなぁ、、と思いながら読んでみると、
訳者はどうやら日本の翻訳界の最大の大御所みたいな人でした笑。
上手すぎて読みづらいのかな、、?
そんなことってあるのかな、、、?
とか思いながら、最後の方は彼の、
「わざと難解にしているような翻訳」に慣れてきましたが、
やっぱりこの本、内容があまりにもすばらしいので、
それでも訳者には「この本を翻訳し、世に出してくれてありがとう」
という感謝を抱きました。



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陣内が先週読んだ本2017年10月第二週 『新・所得倍増論』デービッド・アトキンソン 他4冊

2018.04.05 Thursday

+++vol.034 2017年10月17日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年10月第二週 10月8日〜14日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●新・所得倍増論

読了した日:2017年10月10日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: デービッド・アトキンソン
出版年:2016年
出版社: 東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/b0ep8t8

▼140文字ブリーフィング:

この二年ぐらい、アトキンソンの名前は、
いろんなところで目にするようになりました。
彼は30年以上日本に住んでいて日本語ペラペラのイギリス人です。
このレベルの外国人って、
並大抵の日本人よりはるかに日本に詳しいです。

彼はかつてゴールドマン・サックスにいた、
経済アナリストでもあります。
彼の論点は、「日本人の日本経済分析は甘い」というものです。
本書ではどこが甘く、何を見落としているのか、
ということが様々なデータから説得的に述べられます。

彼の最大の主張は、
「日本はGDPでは世界第三位だが、
 『ひとり当たり生産性』は先進国で最低ランクだ」
ということです。
それだけなら「改善すれば良い」わけですが、
問題は多くの日本人にその自覚がないことだ、と彼は言います。
「分析が甘い」からです。

日本人の多くが認識していない、
本書の前提となる現状認識を引用します。

→P3〜4 
〈日本は1990年、世界第10位の生産性を誇っていましたが、
今では先進国最下位です。
労働者ベースで見てもスペインやイタリアよりも低く、
全人口ベースでは世界第27位です。
1990年には韓国の2.4倍も高かった生産性が、
今は1.04倍まで低下しています。
このまま何も手をうたなければ、
あと2〜3年で韓国に抜かれて、
アジア第4位の生活水準にまで低下するでしょう。

なぜ、そうなったのでしょうか。
これにも、二つの原因があると思います。

ひとつは、日本は世界ランキングに酔いしれて、
実態が見えていない傾向があると言うことです。
厳しい言い方をすれば、「妄想」に浮かされているのです。

日本は、一見すると素晴らしい実績を上げているように見えます。
たとえば世界第三位のGDP総額、世界第3位の製造業生産額、
世界第4位の輸出額、世界第6位のノーベル賞受賞数
―――枚挙にいとまがありません。
しかし、これらすべては日本の人口が多いことと深く関係しています。
潜在能力を発揮できているかどうかは、
絶対数のランキングではなく、「ひとり当たり」で見るべきです。
それで見ると、1人あたりGDPは世界第27位、
1人あたり輸出額は世界第44位、1人当たりノーベル賞受賞数は世界第39位。
潜在能力に比べて明らかに低すぎる水準です。
やはり、やるべきことをやっていないといった問題以前に、
世界ランキングに酔いしれて、
何をやるべきかを分かっていないのではないかと思います。

2つめは、人口減少問題です。
いうまでもなく「GDP=人口×生産性」ですので、
日本人の数が減る中で経済成長するためには、
生産性を上げるしかありません。
本来なら、人口増加が止まった1990年には、
「生産性向上型資本主義」を目指すべきでした。
1995年以降、日本経済が横ばいに推移している理由はここにあります。
人数が増えていないのに、生産性も上げていないので、
GDPは横ばいのままです。
これに関しては、難解なデフレ論などの経済論は不要です。

分析してみて分かるのは、日本型資本主義は1977年以降、
基本的には人口激増による人口ボーナスの恩恵を受けながら
伸びてきた経済モデルだと言うことです。
1990年代に入ってから、
日本型資本主義の基礎であった人口増が人口減に転じたことで、
日本経済のあり方を全面的に変える必要がありましたが、
いまだにその意識は足りないと感じます。
だからこそ、経済は停滞したままなのです。〉

、、、「日本がアメリカの51番目の州になったら、、、」
という議論が時々出ますが、
もし今日本が「本当に」アメリカの51番目の州になったら、
人口ではもちろんトップですが、広さでは5番目です。
アラスカ、テキサス、カリフォルニア、モンタナの次です。
、、、では「ひとり当たりGDP」は?
なんと、下から2番目です。
「日本州」の下にはミシシッピ州しかありません。

「いつの間に日本はそんなに落ちぶれたんだ、、、」
と呆然とする人も多いでしょう。

じっさい生産性という意味での日本の国際的な地位は、
「失われた20年」を経て、1970年のレベルに戻ったことが、
この本を読むとよく分かります。。
まだ90年代の幻想を引きずったまま生きている人が多いのが、
頭の痛い所なのですが、、、。
それは印象論ではなくてデータ的にも確かで、
この45年の世界の株価成長率(約3,500%)は、
1,990年以降の日本の67%という異常な株価成長率の低さによって、
45年で世界平均の成長率に収斂しました。
日本は成熟国家どころか、「生産性発展途上国」であるという認識が必要です。
そのためには具体的には女性の生産性向上が喫緊の課題ですがそれは
「かけ声」や「保育所」によっては起こらないと著者は言います。
「外圧」によってインセンティブが働かなければ
「経営者が経営者の仕事をし、女性の生産性を活用する」
というところに行きません。
著者によればそのプレッシャーは政府によってかけられるべきだし、
何より変化を嫌う経営者は、
そのまま変化しなければ首が飛ぶという仕組みが必要です。
経営者は格差も貧困も自分には関係がないので、
今の仕組みのままだとひとり当たりGDPが上がらなくても、
まったく意に介しません。
「生産性が上がり株価が上がらなければ経営者が職を失う」という
インセンティブによってしか日本の経営者は動かない、
と著者は指摘しています。
私も同感です。
(2,013文字)

追伸:「希望の党」の内部留保課税というのは、
ここでいう「インセンティブ」ではありません。
あれは完全に二重課税だし、設備投資へのインセンティブは働きません。
「何年か後に非正規雇用を正社員にしなければならない法律」が、
労働者を守るどころかより苦しめる法律になるのと同じで、
「内部留保課税」はよりいびつな状況を生み出すだけです。



●天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブではない日々

読了した日:2017年10 月10日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: メイソン・カリー
出版年:2014年
出版社: フィルムアート社

リンク: http://amzn.asia/8LABePz

▼140文字ブリーフィング:

古今東西の、161人の「天才」たちの日課を、
ただただ記録するという「ブログの書籍化」です。
かなり面白いです。
「天才たち」と言ってもカテゴリはかなり限局していて、
8割は作家、残りは画家、シナリオライター、物理学者などです。
「文章を紡ぐという労働」が過酷なものであることを多くの作家が告白していて、
その部分は共感とともに読みました。
「創作活動」というのは過酷な肉体労働に勝るとも劣らない、
苛烈な労働だというのがよく分かります。

→P136 
〈創作活動は非常に過酷で心身を消耗するため、
夜は休んで頭をすっきりさせる必要があると感じていたらしい
(ジェイムス・ジョイス)〉

→P140 
〈「文芸作品がどれほどの高みを極めるかは、
苦しみが作家の心をどれほど深く削ったかによる。
それは井戸を深く掘れば掘るほど、
水面が上昇するのと同じだ」(マルセル・プルースト)〉

→P142 
〈その〈部屋ごもり期〉は、あるとき、ふとひらめいて始まった。
深夜にダブリン港の近くを散歩していたとき、
自分が冬の嵐のさなかに、埠頭の端に立っていることに気づいた。
吹きすさぶ風と荒れ狂う水に挟まれて、とつぜん悟った。
自分がそれまでの人生で―――あるいは創作で、
「必死に押さえ込もうとしていた暗闇」は、
これまで注目されることもなく、自分の目標とも一致しなかったが、
じつはそれこそが創造的インスピレーションの源にちがいない。
「これからずっと暗くふさぎ込むことになるだろう」ベケットはそう考えた。
「しかし、慰めはある。それは、このくらい側面こそ、
自分の優れた面だということを、ようやく受け入れることができた、
その実感だ。それを受け入れ、今後、自分のために役立てよう」(サミュエル・ベケット)〉

→P219 「作家業はきついなんてもんじゃない。悪夢だ」
ロスは1987年にそういっている。
炭鉱を掘るのはきつい仕事だが、作家業は悪夢だ・・・この職業には、
大きな不確実性が構造的に組み込まれている。
これでいいんだろうかという疑念が常につきまとうんだ。
それがある意味で作家を支えてもいる。
よい医者は自分の仕事と格闘したりしない。
だが、よい作家は自分の仕事と格闘している。
大抵の職業では、初期、中期、末期がある。
だが作家業には初期しかない。
仕事の性質上、我々にはそういった新鮮さが必要なんだ。
もちろん作家業にも繰り返しはある。
じっさい、すべての作家に必要なのは、
この非常に退屈な作業をしながら、
じっと座っていられる能力だ。(フィリップ・ロス)〉

、、、161人の「知的労働のポートレイト」を観ていると、
いろんなタイプの「格闘の仕方」があるというのが分かります。
しかし共通していたのは、
一日に創造的な頭脳を使える時間は多くても4時間、
短ければ1時間という「天才ですらその程度」という時間の短さでした。
その「ゾーン」を生活に組み込むためにある人はジョギングをし、
ある人は長時間睡眠をし、ある人は眠らず、
ある人は酒浸りになり、ある人はアンフェタミンに頼り、
ある人は女を抱きまくり、ある人は散歩をし、
ある人は水泳をし、ある人は料理をし、
ある人はまったく料理をしません。
ある人は収入と脳のリフレッシュのために作家業とは別に、
退屈な事務仕事などを掛け持ち、
ある人はまったくそのような仕事と無縁にひたすら書きます。

なんかよく分からないが、励まされました。
グールドが最後から二番目のインタビューで語っていますが、
脳と身体には個性があり、それは天賦のもので、
それをいかにうまく「手なずけるか」にかかっているのだ、
という先人たちのメッセージが聞こえたような気がしました。
「知的で創造的な労働」に携わる人はこの本から得るものが多いと思います。
(1,516文字)



●みんな神様をつれてやってきた

読了した日:2017年10月12日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宮嶋望
出版年:2008年
出版社:地湧社

リンク: http://amzn.asia/0SqAl5k

▼140文字ブリーフィング:

先週に引き続き、
北海道新得にある障害を抱える人々が働く牧場、
「共働学舎」の宮嶋望さんの本を読みました。
先週読んだ「共鳴力」のほうが網羅的でしたが、
こちらの本も面白かったです。
ゼロからの酪農とチーズ作りというのは、
私も帯広に6年いましたからどれぐらい大変か想像がつきます。
私には絶対にできないと思います。
宮嶋さんは人から「どれぐらい苦労しましたか?」
と聞かれるといつも、
「北の国から」の黒板五郎さんよりちょっと大変でした、
と答えているそうです笑。
私は「純」のように根性がないので、
彼のような人を本当に尊敬します。
30年間の共働学舎の歩みを彼は「宝探し」と総括しているのが、
とても印象的でした。

→P206 
〈次の時代が求める新しい種は、どこに埋まっているだろう。
どこかで芽を出す時を待っているはずだ。
これからも僕らがいる農場には、
そうした種を宿した人間がやってくるに違いない。
それはどんなふうに育ち、どんな花を咲かせるだろう。
社会の中に存在する意味が見いだされなかった人の中に、
次の社会をつくり出す新しい可能性を見つけることができたら、
それは僕らの宝となる。
僕らが見つけてきた宝は、その持ち主を豊かにし、
周りを豊かにし、社会を豊かにしてくれる。
共働学舎新得農場を三十年続けてきて「何をしてきたか」と問われたら、
僕は「宝探し」と答えるだろう。〉
(568文字)

▼参考リンク:「共鳴力」宮嶋望
http://amzn.asia/0A94u7h



●紙の月

読了した日:2017年10月12日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 角田光代
出版年:2012年
出版社: ハルキ文庫

リンク: http://amzn.asia/5QE5PlK

▼140文字ブリーフィング:

吉田大八監督の映画を観て、
原作を読みたくなりました。
銀行で横領をした女性の話ですが、
「集金カバンから5万円を借りる」という小さな行動が、
雪だるま式にエスカレートし、最後は1億円を横領します。
臨場感があり、「ホラー」よりも人の内面は怖い、
ということを再確認できる作品です。
(135文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドます。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:「新・所得倍増論」

コメント:
アトキンソン氏の書籍はちょっとしたブームの様相を呈しています。
日本の「労働時間は長いが労働の密度は薄い」という状況を、
なんとかしなければならないのですが、
構造的な問題が潜んでいるため改革はなかなか進まない。
「一日中お茶を飲みながら噂話をし、
時々書類にはんこをついている50代の管理職が、
現場をかけずり回りながら、
社会にとってイノベーティブな生産をしている、
非正規の30代の契約社員の4倍の給料をもらっている」
というような状況が続く限り、日本の未来は暗いでしょう。
まずは「同一労働、同一賃金」に近づけることが大切、
と私は思います。
(250文字)



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陣内が先週読んだ本2017年10月第一週 『ヤバい経済学』スティーヴン・レヴィット 他6冊

2018.03.29 Thursday

+++vol.033 2017年10月10日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年10月第一週 10月1日〜7日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ヤバイ経済学

読了した日:2017年10月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
出版年:2007年
出版社:東洋経済新報社

リンク:http://amzn.asia/2G8vCoq

▼140文字ブリーフィング:

「インセンティブ」というキーワードで、
「社会のこの出来事を経済学で考えると、、、」
という読み解きを行う面白い本です。

保育園のお迎えの遅刻をなくすために、
罰金を設けたら逆に遅刻が増えた、
という社会実験があります。

なぜか?

それは「インセンティブは複数あり、
それは経済的インセンティブだけではない」
ということを罰金を科す人々が理解していなかったからです。
献血に対して報酬を払うと献血をする人は減る、
という現象も同じです。

→P20〜25 
〈この問題(保育園で親がお迎えに遅刻すると職員ひとりが
子どもと一緒に親を待たねばならない)を聞きつけた
経済学者二人が、、、解決策を持ってきた。
遅れた親からは罰金を取れば良い。

だいたい、なんでそういう子どもの面倒を
保育園がタダで見ないといけないんだ?
経済学者たちはその解決策をイスラエルのハイファにある
保育園10カ所で実証することにした。
調査は20週間続けられたけれど、
最初から罰金が科されたわけではなかった。
初めの4週間、経済学者たちは遅れてくる親の数を数えるだけだった。
平均で見ると、保育園一カ所あたり、週に8件の遅刻が起きていた。
5周目に罰金制度が実施された。
迎えに来るのが10分以上遅れた場合、
その親には毎回子どもひとりにつき3ドルの罰金を科すと発表された。
罰金は、380ドルほどの月謝に上乗せされた。

罰金制度が始まると、親の遅刻はすぐに、、、増えた。
そう経たないうちに週当たりの遅刻は20件にもなった。
元の倍以上だ。インセンティブは完全に裏目に出てしまった。

、、、インセンティブの味付けは基本的に3つある。
経済的、社会的、そして道徳的の三つだ。
インセンティブの仕組み一つが三つとも兼ね備えていることは良くある。
近年の禁煙運動を見てみよう。
1箱3ドルの「罪悪税」はタバコの購入意欲をくじく強い経済的インセンティブだ。
レストランやバーでの喫煙が禁止されていることは
強力な社会的インセンティブである。
そしてアメリカ政府が、
テロリストは闇でタバコを売って資金を調達していると主張する時、
あれは耳の痛い道徳的インセンティブになっている。

、、、しかし、保育園の罰金制度には
(3ドルだと毎日遅刻しても正規料金の6分の1という安さ以外に)
もう一つ大きな問題があった。
道徳的インセンティブ(遅れた親が感じる罪の意識)を
経済的インセンティブ(罰金3ドル)に置き換えてしまったのだ。
毎日ほんの数ドルで免罪符が買える。
そのうえ罰金が少額なので、
迎えに来るのが遅くなってもたいしたことじゃないという
シグナルが親御さんたちに送られてしまった。
、、、調査の17周目になって経済学者が罰金をやめても
遅れる親は減らなかった。
遅れてきた人たちは、罰金を払わされることもなく、
そのうえ罪の意識もなくなった。

、、、イスラエルの保育園で行われたのと同じような、
道徳的インセンティブを経済的インセンティブと
ぶつからせる研究が1970年代に行われた。
今度は献血の背後にある動機について調べようとしたのだ。

わかったこと:
献血をした人を思いやりがあると単に褒める代わりに、
彼らに少額の奨励金を払うと、献血は減る傾向がある。
奨励金で、献血は気高い慈善活動から痛い思いをして
ほんの数ドル手に入れる方法に堕落した。
そして数ドルでは全然見合わない。〉

、、、このメルマガを有料にするインセンティブも同じです。
もし「お金のため」ならば私はメルマガを書くインセンティブがありません。
有料メルマガで「稼げる」人って、日本で10人ぐらいしかいません。
「稼げない裾野」は数万人いますから、
有料メルマガはビジネス的には「墓場」です。
この業界は、死屍累々なのです。
出版社に原稿を送り続けた方がまだ勝算があると皆が認めています。
同じ大変な思いをして「労働力を換金」する、
ベターな選択肢は、他にもたくさんあります。

経済的インセンティブ以外のものが働いているから、
私は無料でメルマガを書き続けています。
それは私の「召命」と関与しているので換金不能です。
道徳でも社会でも経済でもない、
「超越的インセンティブ」が私にはあります。

もうひとつ面白かったのは、
全米で行われた子どもの学力調査からあぶり出された、
親の行動や資質と、子どもの学力の相関関係です。
親のどんな行動や要素が子どもの学力と関係し、
親のどんな行動や要素が子どもの学力と関係ないのか、
データを冷徹に見ると浮き上がる真実は興味深いです。
引用します。

→P209〜210 
〈さて、延々やってきたけれど、
親の大事さ一般についてどんなことが分かるだろう?
ECLS(全米で実施された大規模な子どもの学力調査)の要因のうち、
学校の成績と相関している八つをもう一回見てみよう。

・親の教育水準が高い
・親の社会・経済的地位が高い
・母親は最初の子どもを産んだ時30歳以上だった
・生まれた時未熟児だった(負の相関)
・親は家で英語を話す
・養子である(負の相関)
・親がPTAの活動をやっている
・家に本がたくさんある

それから、相関していない要因八つはこうだった。

・家族関係が保たれている
・最近より良い界隈に引っ越した
・その子が生まれてから幼稚園に入るまで母親は仕事につかなかった
・ヘッドスタート・プログラム(政府による教育補助プログラム)に参加した
・親はその子を良く美術館へ連れて行く
・よく親にぶたれる
・テレビをよく見る
・ほとんど毎日親が本を読んでくれる

ちょっとオーバーな言い方をすると、
一つ目のリストに挙がっているのは親がどんな人かだ。
二つ目のリストに挙がっているのは親が何をするかだ。
良い教育を受けていて、成功していて、
健康な親御さんの所の子どもは学校の成績も良い。
でも、子どもを美術館に連れて行ったり、ぶったり、
ヘッドスタート・プログラムに行かせたり
良く本を読んでやったり
テレビの前に座っているのを放っておいたりなんてことは、
どうやらあんまり関係ないみたいだ。

、、、もちろん親はもの凄く重要だ。
それがとても難しいところだ。
つまり、親御さんが子育ての本を手にする頃には、
もう全然手遅れになっている。
大事なことはずっと前に決まってしまっている。
ーーあなたがどんな人で、どんな人と結婚して、
どんな人生を歩んできたか、そういうことだ。
、、、あなたが親として何をするかは
あんまり大事じゃないーー大事なのは、あなたがどんな人かなのだ。〉

、、、「どんな子育てをするか」という子育て理論は、
いつの時代にも人気があり人々の関心を引きますが、
データを詳細に調べると、「どんな子育てをするか」は、
じつはあまり子どもの学力と関係がない。
勝負は子どもが生まれる前にとっくに決まっている、
と「ヤバイ経済学」は分析します。
(こういう発言はひんしゅくを買うので、
 これが「ヤバイ経済学」であるゆえんです。)
つまり、親が親になる前の20年なり30年、
どんな人生を送ってきたかということが
子どもの学力の殆どを決めてしまう。

将来子どもの学力を高めるのに一番大切なことは、
胎児にクラシック音楽を聴かせたり、
子どもをキッズ英会話に通わせたり、
週に五日間、学習塾や習い事に行かせることではありません。
(余談ですが私はそれが「虐待」にみえて仕方ないです。
 ブラック企業ならぬブラックペアレントですね。
 子どもだっていつか過労で死ぬぜ、と思います。
 たいていそういう親は「善意の塊」ですから、
 そこが問題をややこしくしているのですが。)
むしろなすべきことは、
親自身が本を読み、
親自身がひたむきに勉強し、
親自身が真摯に仕事に取り組むことです。
将来子どもに良い人間関係を築いて欲しければ、
親ができる最も大切なことは配偶者や家族と、
良好な人間関係を築くことです。
耳が痛い事実なので人はあまり「聞きたがらない」ですが、
たいせつな真理をデータは示しています。
(2,876文字)



●あの演説はなぜ人を動かしたのか

読了した日:2017年10月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者: 川上徹也
出版年:2009年
出版社: PHP新書

リンク: http://amzn.asia/0UA1LuK

▼140文字ブリーフィング:

歴史に残る「名演説」を取り上げて、
その演説はなぜ人の心を動かしたのかが、
分析されています。
取り上げられている演説は以下の通り。

・小泉純一郎 「郵政解散演説」
・田中角栄 「ロッキード選挙演説」
・バラク・オバマ 「2004年民主党全国大会基調演説」
・ジョージ・W・ブッシュ 「9.11直後の演説」
・ジョン・F・ケネディ 「大統領就任演説」
・フランクリン・ルーズベルト 「大統領就任演説」
・マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 「私には夢がある」演説

著者は名演説に共通するのは
「ストーリーの黄金律」と著者が呼ぶ3要素だ、
と分析します。

→P7〜8 
〈具体的に言うと、
以下の三つの要素が含まれていることが「ストーリーの黄金律」です。

1.何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公
2.主人公が何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標・ゴール
3.乗り越えなければならない数多くの葛藤・障害・敵対するもの

この三つの要素が含まれていると、
人は感情移入しやすく、心を動かされやすく、
行動に駆り立てられやすくなります。
いわば「人類共通の感動のツボ」のようなものです。〉

現在の日本の政治家も、
この「ストーリー作り」に成功した人が選挙に勝っています。
小泉純一郎の「自民党をぶっ壊す」は言うに及ばず、
2012年の第二次安倍政権誕生の選挙も、
・安倍さんの病気からの復活(欠落した主人公)
・憲法改正の悲願(困難な目的)
・朝日新聞という「巨悪」(葛藤と障害)
というストーリー作りに成功し、
鬱屈した保守層の絶大な支持を集めました。
昨年の東京都知事選挙もそうです。
・石原慎太郎から「厚化粧」と呼ばれた小池百合子(欠落した主人公)
・都政を都民の手に取り戻す(困難な目的)
・「都議会のドン」の存在(葛藤と障害と敵対者)
このストーリーに都民は熱狂した。
(自作自演というツッコミはありますが、、、)

、、、さて、
今回の国政選挙からは、
そういった「わかりやすいストーリー」が見えてきません。
そもそもなんで解散したのか(政治家以外には)分からない。
「予言」しても良いですが、投票率はかなり低くなるはずです。
思想家の東浩紀氏は「政治家の都合で無駄な選挙をしないでくれ」
という意思表示として積極的棄権を呼びかけていますが、
その気持ちは私にもよく分かります。
(私は彼とまったく同じ気持ちですが投票はするつもりです)

▼参考リンク:東浩紀「積極的棄権」への署名
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-18506.html

、、、まったく話しは変わりますがこの本には、
上記の演説が「文字おこし」されて収録されています。
2004年のオバマ氏の民主党基調演説「大いなる希望」は、
図抜けてすごかったです。
保守やリベラルの対立を乗り越えて、
より大きな国家像の絵を描き、
高度に抽象的な理想を万人に共感出来る物語に落とし込んだ、
演説として「欠点がひとつもない」完璧な演説です。
これはシビれます。
(1,219文字)

▼参考リンク:バラク・オバマ「大いなる希望」動画
https://youtu.be/hNlkMJnbvhU



●映画と本の意外な関係

読了した日:2017年10月1日 途中飛ばし読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 町山智浩
出版年:2017年
出版社: インターナショナル新書

リンク: http://amzn.asia/3CE7p8q

▼140文字ブリーフィング:

映画評論家の町山智浩さんが、
映画の主人公が手にしている本や、
映画の主人公の部屋の本棚にある本のタイトルには、
それを制作した人々の「意図」が隠されている、
という視点で映画を語る本です。
この人の「映画の読み込み方」はハンパじゃないです。
スピルバーグ監督の「リンカーン」という映画を、
私は見ていないですが、その映画の解説で、
リンカーンが鬱と戦っていたことが書かれていたのが、
興味深かったです。

→P105 
〈大統領のジョーク好きに手を焼いたエドウィン・スタントン陸軍長官は、
「あなたはどうして、いつもジョークばかり言っているんですか?」
と尋ねたことがある。リンカーンはこう答えたという。
「笑わないと死んでしまうからだよ」
それはジョークではなく、本当に彼は笑わないと死ぬ病気だった。
ジョシュア・ウルフ・シェンク著
『リンカーン――うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』(06年)によると、
リンカーンは生涯、鬱病と闘ってきた。
自殺をしようと銃を持って森に入り、
通りかかった人に止められたこともあった。

シェンクによるとリンカーンの鬱はまず遺伝的なもので、
両親の家系がともに鬱病の傾向が強かった。
父は飲酒どころかダンスも罪と考える厳格なキリスト教徒で、
ユーモアのセンスに欠けていた。
母はいつも悲しげな女性だったという。
健康でもなかった。
リンカーンは人並み外れてて足が長く、
それを利用して欠けレスリングで稼いだこともあったが、
現在では身体の結合組織に影響する遺伝子疾患の
アルファン症候群という先天性の病気だった可能性が高い。
また、晩年、声が非常に甲高くなったが、
それも甲状腺腫瘍のためらしい。そのせいか常に病気がちだった。〉
(701文字)



●シャンタラム(上)

読了した日:2017年10月4日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ
出版年:2011年
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/4cMrhnD

▼140文字ブリーフィング:

養老孟司が複数の本で言及していて興味を持ちました。
上、中、下巻あり、それぞれ700ページある大長編です。
「ワケあり」の主人公がインドを冒険します。
その描写が非常に「嗅覚、触覚、聴覚、視覚、味覚」に訴える、
生き生きしたものなので、2008年に4ヶ月間、
私がインドに滞在したときのことを昨日のように思い出しました。
「シャンタラム」というのは主人公に付けられた「ヒンディネーム」で、
「平和を愛するもの」という意味です。
私にはヒンディ語の家庭教師がつけてくれた「アナンドゥ(喜び)」という、
ヒンディネームがあることを久しぶりに思い出しました。
(267文字)



●文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた150年

読了した日:2017年10月5日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 辻田真佐憲
出版年:2017年
出版社: 文春新書

リンク: http://amzn.asia/7AdKo7Y

▼140文字ブリーフィング:

目次は以下のとおりです。
第一章 文部省の誕生と理想の百家争鳴 1868〜1891年
第二章 転落する文部省、動揺する「教育勅語」 1892〜1926年
第三章 思想官庁の反撃と蹉跌 1926〜1945年
第四章 文部省の独立と高すぎた理想 1945〜1956年
第五章 企業戦士育成の光と影 1956〜1990年
第六章 グローバリズムとナショナリズムの狭間で 1991〜2017年

明治政府誕生から現在までの文部省(現在の文科省)の歴史をひもとくと、
「理想の日本人像」を求めてさまよった日本人の足跡がわかります。
この研究から驚くべき事が見えてきます。
それは150年間、日本人は、「普遍主義」と「共同体主義」、
言葉を変えると「グローバリズム」と「ナショナリズム」の間の、
振り子を行ったり来たりしてきた、ということです。
そのうえで「グローバリズムを否定」、
「ナショナリズムを否定」することに、
まったく意味はない、と著者は言います。
引用します。

→P251 
〈では、この歴史を踏まえて未来の
「理想の日本人像」はいかにあるべきだろうか。
今日、グローバリズムとナショナリズムの組み合わせは評判が悪い。
グローバリズムは、経済競争に勝ち抜くためと称して、
国民を階層化し格差を是認する。
ナショナリズムはバラバラになった国民を安易な記号で結合し、
不満のはけ口を提供しようとする。
国旗掲揚と国歌斉唱の実施、
「教育勅語」の復活、「自虐史観」の否定と歴史教育の見直しなどがその例だ。
たしかに、このような組み合わせは、ろくなものではない。

ただ、現在の世界において、
グローバリズムとナショナリズムを完全否定することは得策ではない。
むしろ、これらの欠陥があるシステムを上手く使いこなすことが求められる。
かつてイギリスの首相チャーチルは、
「民主主義は最悪の政治制度だが、
それ以外の政治制度に比べればマシだ」という主旨の発言を行った。
グローバリズムとナショナリズムもまたしかりである。

グローバリズムによる階層化は、
ナショナリズムの同胞意識で掣肘できるかもしれず、
ナショナリズムによる自国中心主義(今日的に言えば「ジャパン・ファースト」)は、
グローバリズムの経済的合理性で抑制できるかもしれない。
この両者を適切に組み合わせ、
新しい「理想の日本人像」を模索することが必要だ。

その点で、「改正教育基本法」は、それほど悪いものではない。
普遍主義と共同体主義の両方に配慮が見られ、
提示された「理想の日本人像」もナショナリズム一辺倒ではない。
過度のナショナリズム批判は、かえってこの性格をゆがめかねない。
それよりも、多義的に読み解くことで、
普遍主義とのバランスを取るべきである。

今日の問題は、特定の思想の全否定や全肯定ではなく、
普遍主義と共同体主義のバランスの中で、
現実の教育をいかに「実装」していくかだ。
その意味で、文部科学省の役割は重要である。

1990年代以降、政治主導の教育改革によってその存在感は薄らいでいる。
今後「官邸文科室」などと揶揄されるかもしれない。
だが、教育改革は派手だが、地道な作業も必要だ。
政治は急変し、有識者はイデオロギーを好み、有権者は気まぐれである。
そのなかで、安定的に継続して地道に教育全般を見渡す組織は欠かせない。
派手な教育改革が一段落した後で、
文部科学省や中教審の存在が重要になってくるのではないかと思われる。〉

、、、「理想の日本人像」というのは、
「虚構だったとしても必要」と著者は言います。
私もそう思います。そこが定義されていないと、
教育なんて組み立てられませんから。
ですがその使い方は、
「アクセルとしてではなく、ブレーキとして」使うべき、
という著者の視点は秀逸です。

→P253 
〈「理想の日本人像」は、
特定の思想をブーストするための装置ではなく、
特定の思想の暴発を制御する安全装置として位置づけられるべきである。
、、「理想の日本人像」は不完全な虚構ではあるが、
それを踏まえた上で、教育の指針として利用されるべきである。〉

極端な国家主義者や、
極端なアナーキストが量産されれば、
いつか国は危ない方向に迷ってしまうか、
もしくは解体してしまうでしょう。
国家主義のブレーキとして普遍主義が、
アナーキズムのブレーキとして共同体主義が機能する、
という著者の意見に私も賛成です。
(1,751文字)



●羊と鋼の森

読了した日:2017年10月5日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:宮下奈都
出版年:2015年
出版社:文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/85P6l64

▼140文字ブリーフィング:

北海道の田舎で生まれ育ち、
札幌でピアノ調律師の見習いをする主人公が一人前の調律師になっていく、
というストーリーです。
未熟な個人が一人前になっていく、という物語話法を、
「ビルドゥングス・ロマン」と言います。
佐藤優氏が、現代のビルドゥングス・ロマンとして推奨していたので、
Kindleで買って読んでみました。

「羊」というのはピアノのハンマーのフェルト綿のことであり、
「鋼」というのはピアノ線のことです。

→位置No.2261 
〈「調律って、どうすればうまくなるんでしょう」
 ひとりごとだった。席に戻りながら、思わず口に出ていたらしい。
 「まず、一万時間だって」
 その声にふりむくと、北川さんが僕を見ていた。
 「どんなことでも一万時間かければ形になるらしいから、
悩むなら、一万時間かけてから悩めばいいの。」
 一万時間というのがどれくらいの日数になるのかぼんやり計算する。
 「だいたい5、6年って感じじゃない?」〉

主人公のまっすぐさとひたむきさは、
ともすると「退屈」と思われるむきがありますが、
私の職業人生からしても、
3年目にしてなおメモ帳とペンを肌身離さないような、
主人公のような「不器用でバカ真面目」な人こそが、
最後には「巨匠」になります。
1年目から小器用にルーティーンをこなすような新人はたいてい、
3年目ぐらいで成長が止まります。

あと、この作者の文章は飲物に喩えると、
「死ぬほど飲みやすい」です。
文章の「のどごし」が半端ない。
私は文章を日常的に書いていますので、
これがどれぐらいすごいことか、想像がつきます。
プリンやポタージュで言うなら、
「何回、裏ごしをしたんだろう?」ということです。
何十回、いや何百回プリントアウトし、音読し、推敲したら、
これほど「軽い」読み心地の文章が仕上がるのだろう、、、。
気が遠くなりそうです。
きっと著者もまた文章を磨くために、
「1万時間の努力」をされたのでしょう。
(787文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年9月第四週 『共鳴力』宮嶋望 他7冊

2018.03.22 Thursday

+++vol.032 2017年10月3日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年9月第四週 9月22日〜28日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ジャニーズと日本

読了した日:2017年9月25日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:矢野利裕
出版年:2016年
出版社:講談社現代新書

リンク: http://amzn.asia/6aHetbs

▼140文字ブリーフィング:

「東京ポッド許可局」という、
最近私がハマっているラジオ番組で知りました。
ジャニーズの歴史って、
知っているようで案外知らないことが沢山ありました。
そしてその歴史は様々なことを私たちに語りかけます。
いくつか引用します。

→P19 
〈この経験(伝道師であったジャニー喜多川の父が
ロサンゼルスに持っていた真言密教の寺院で行われた
芸能人のステージ手伝い経験)は、
ジャニーズにおけるショービジネスのルーツにもなった。
ジャニーはこのとき、手伝いの一環として、
アメリカで公演する彼らのブロマイドを会場で一枚50セント、
三枚1ドルで売り、その売り上げをタレントが所属する芸能事務所に渡していた。
当時の日本の芸能事務所は、そんなお金はもらえないと断ったそうだが、
ジャニーは未成年ながらに強固な姿勢で売り上げを渡していたという。
ジャニーがラジオで強調していたのは、自分がこのとき、
早くも「肖像権」という「価値観」をもっていたことだ。
ジャニーズと言えば、AmazonにCDジャケットすら掲載しないくらい、
肖像権に対して異常に厳しいことで有名だ。
このエピソードは、そんなジャニーズの強硬な態度の
ルーツが示されているようで興味深い。〉

、、、ジャニーズの創業者はジャニー喜多川(通称ジャニーさん)という、
「アメリカ生まれの日本人」です。
彼の父親の職業はなんと真言密教をアメリカに伝える、
「伝道師」でした(知ってました?私は知りませんでした)。
その子どものジャニー喜多川が、
ジャニーズを通して生涯一貫してしてきたことは、
「日本にアメリカの自由、平等、民主主義といった価値観を伝道」
することだった、という著者の見立ては秀逸です。
「伝道者の子どもは伝道者」だったのです。
父は真言密教を日本→アメリカという方向で。
息子は自由・平等をアメリカ→日本という方向で。
ジャニーズが「アメリカの価値を日本に伝えた」
ということの意味を引用します。

→P21〜24 
〈アメリカ人ジャニー喜多川が芸能の世界に入る以前、
すでに戦後日本の芸能は少なからず、
アメリカとの関係の上で成立していた。
日本における芸能事務所の先駆的存在である
渡辺プロダクションを作った渡辺晋、あるいは、
堀プロダクションの堀威夫やサンミュージックの相沢秀禎。
戦後を代表する芸能事務所の創業者はいずれも、
アメリカ進駐軍が持ち込んだジャズやロカビリーといった音楽に影響を受け、
自身もミュージシャンとして活動をしていた。

とはいえ、そのなかで、
これら芸能事務所とジャニーズが決定的に異なるのは、
やはり「ジャニー喜多川がアメリカからやってきた」という一点においてである。
、、、ジャニーにとって芸能活動は、教育的な精神にもとづいたものである。
ジャニーズ事務所が、アイドル育成とともに
ひとりひとりの人格形成を目指すことを
標榜していることはよく知られているが、
そのことも、アメリカというジャニーの出自と立場に関わっている。

あおきひろし『ボクの夢はキミたちが描く夢
ーージャニー喜多川が語るジャニーズ塾の子供たち』(メタモル出版、1999)には、
ジャニーの教育方針として、次のような発言が掲載されている。

「夢を持った素朴な少年であればいいんだ。
そういう少年たちこそ、良い環境の中では育っていくものなんだ。
そのとき強烈な個性の持ち主でなくても、
それこそ磨いていくうちに、個性ある輝きを発してくるものなんだ。」

「僕がいつも注意していること、それは難しいことだが、
すべての子に分け隔てなく目線を向けてやることだ。
特に同じグループ内で不平等があってはならない。
そうしたことがシコリになってしまったら、もうおしまいだ。
誰かひとりを特別扱いしないことが一番大事なんだ。」

そこにあるのは、素朴な少年を導く教師のようなジャニーの姿である。
これ以外にも、ジャニーはしばしば、自身の教育哲学を語る。
内実はどうあれ一貫して彼が重視し言及しているのは、
引用部にあるような「個人の尊重」と「機会の平等」といったものである。
ここであることに気付く。
これらは、アメリカが戦後日本に教えようとした
民主的な価値観と少なからず重なってくると言うことだ。
つまり、ジャニーにとって芸能活動とは、
いわば民主的な教育機関としての役割を担っている。〉

どうです?
面白いでしょ?
昨年のSMAP解散によって、
ことはさらに複雑になり、さらに興味深くなってきます。
というのは「自由と平等と民主主義の伝道者」たるジャニーズ事務所が、
まさに「抑圧としがらみと権威主義」の象徴のように、
SMAP5人の上にのしかかったという皮肉がそこにはあるからです。
あとがきから引用します。

→P237 
〈本書でジャニーズの歩みを追って見えてきたのは、
戦後民主主義を体現するかのようなあり方だった。
しかし、執筆中に巻き起こったSMAP解散騒動は、
そのようなジャニーズのありかたが問い直されるような出来事だった。
、、、戦後70年以上経った現在、民主主義のあり方も、
日本とアメリカの関係も、ジャニーズのありかたも
再考すべき時代に来ているのかもしれない。
芸能にしても戦後日本にしても
誰かを抑圧することで成立する華やかな世界など、もうまっぴらである。
筆者は、ジャニー喜多川自身が本来目指したような、
自由で、それぞれの個性が発揮されるような芸能文化を
形成すべき時だと思っている。〉

おりしも先月、
ジャニーズ事務所を脱退した元SMAPの3名(香取、草なぎ、稲垣)が、
新しい活動を開始し、そのあり方はジャニーズ事務所と真逆です。
SNSの解禁、肖像権の自由化、YouTube、Twitterなどなど。
香取慎吾は私と同じ年生まれでもありますが、
彼の世代が「そういうこと」をしたくなる理由は分かります。
競輪のように「最初の挑戦者は風の抵抗で最後には負ける」のかもしれませんが、
それでも彼らの挑戦を私は応援したいと思っています。
「なんだかんだ言って体制にしがみつき、
 既得権益に守られた人が最後は勝つ」
そんな社会に住みたいなんて、
もうだれも思ってないんですから。
(2,466文字)



●オカルト

読了した日:2017年9月25日 とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:森達也
出版年:2012年
出版社:角川書店

リンク: http://amzn.asia/2Dsui5q

▼140文字ブリーフィング:

ジャーナリストで映画監督の森達也氏が、
スプーン曲げやイタコや心霊現象やUFO召還者や超能力者に取材し、
「オカルトは本当なのか」を検証する本です。
科学者が真実を暴く、みたいな構図ではなく、
彼は冷徹に事実を見つめ、最後は判断を留保します。
結果的に彼の目の前で「オカルト現象」はついぞ起こりませんが、
オカルトを職業にする人々は、
「疑う人の前では何も起こらない」みたいなことを言います。
最後の「解説」が面白かったです。
オカルトの人々は「(疑う)鑑賞者がオカルト現象に影響を与えるから、
疑う人の前では何も起こらない」というがそれは、
「鑑賞者の観察が現象に干渉するというジレンマ」という意味で、
量子論とまったく同じだ、と森さんは指摘します。
「オカルトは鑑賞者の心の中にこそある」という仮説は有力です。
(344文字)



●「他人」の壁

読了した日:2017年9月27日
読んだ方法:東京駅の本屋で購入

著者:養老孟司 名越康文
出版年:2017年
出版社:SB新書

リンク: http://amzn.asia/d1Nsn9a

▼140文字ブリーフィング:

この本は珍しく「リアル書店」で買いました。
この数年、KindleとAmazonで書籍を買うことが増えたので、
「リアルな書店」で買う本の割合はとても減りました。
年に10〜15冊ぐらいでしょうか、、、。
20代のころは多分30〜40冊は買っていたので、
Kindle、Amazonの力はすごいと思います。
ただ、「リアル書店」の良さは絶対にあります。
Amazonの場合「アルゴリズム」によって、
「あなたにおすすめの本」がパソコンに表示されますから、
「似たような本を読み続ける」ことになってしまう。
例えば政治なら、
リベラルな人はリベラルな本ばかり読み、
保守な人は保守な本ばかり読むことになってしまう。
そして不運な場合「意見が先鋭化し偏狭になる」という副作用をもたらす。
ネットのキュレーションサイトやニュースサイトもまったく同じです。
「リアル書店」はその解毒剤です。
自分が探している本の隣に、
「自分には抜け落ちた視点」をもたらす本や、
「これとこれがつながるとは思っていなかった」
という本が置いてあるからです。
リアル書店を歩くだけで、脳のシナプスのつなぎ替えが起こるのです。
学校の「クラス替え」のようなもので、
煮詰まった人間関係をリフレッシュし新たな刺激が生まれます。
2ヶ月ほど前にリアル書店で見つけたこの本も新鮮な発見がありました。
(私は書店で「養老孟司」という字を見つけると
 反射的に買ってしまう病気なのですが)
、、、で、気になる内容ですが、
文字数オーバーなので諦めます(笑)。
近々久しぶりにこの本で「本のエスプレッソ」を、
やろうかと思っていますので(やれなかったらすみません)、
詳細はそのときに。
(692文字)



●共鳴力

読了した日:2017年9月27日
読んだ方法:友人に借りる

著者:宮嶋望
出版年:2017年
出版社:地湧社

リンク: http://amzn.asia/0A94u7h

▼140文字ブリーフィング:

友人に借りて読みました。
衝撃を受けました。
北海道の新得町に「共働学舎」という牧場があります。
この牧場はキリスト教の精神で、
様々な障がいを抱えた人々とともに共同生活を行うコミューンで、
性質としては浦河の「べてるの家」だとか、
ジャン・バニエやヘンリ・ナウエンが関わった「ラルシュ共同体」に近いです。
「共働学舎」の独特なのはその「酪農との関連」であり、
彼らは約70人(健常者と障がい者が半々)で一緒に牧場経営をし、
付加価値の高いラクレットチーズを売ることで収益を上げ、
「寄付と自活の間」の運営をしています。
将来的には経済的に完全に自立したいと宮嶋望さんは考えているそうです。
「べてるの家」の向谷地生良さんもおっしゃっていたことなのですが、
何かの比喩でもなんでもなく「障がい者は現代の預言者である」
という確信であり思想が、2年間「障がい者同然」の経験をした私には強く響きました。
いくつか引用します。

→P222〜223 
〈やがてあるときから僕は、ここに来る弱い人たちは、
僕たちに何かを伝える貴重なメッセンジャーではないのか、
と考えるようになりました。
いつの時代のどんな社会にも、
それを動かす仕組みに巧く適応することができない人たちがいる。
見方を変えれば、彼らは多くの人に、
この社会がまだまだ不完全なものであることを教えてくれているのです。〉

→P229 
〈障がい者は救済されるべき対象ではなくて、
むしろ世の中を変える先駆者です。
病んでいるのはむしろ表の世界の人間であると。
今一般の人がはるかに病んでいると訴えていけば、
共感を得られると思っています。
これは今の社会のアンチテーゼなのです。
具体的には、その人がその人の考えで自分の肉体を使って
自由に行動していけることを目指しています。
この農場の究極の目的は、利潤を出すことではありません。
「その人その人の考えで自分の肉体を使って
自由に行動していけるようになること」です。
命令も指示もノルマもありません。〉

→P235 
〈もし彼らがうちで生活する中で、前向きに人生を考えるようになり、
何かしらできることを見つけて活動し始めたとしたら、
そこには問題解決の糸口があるわけです。
彼らはそれを伝えに来たメッセンジャーなのです。
次の世の中がもう少し良くなるために、
何が必要なのかを伝えに来ている。
これはとても大切な、大きな使命でしょう。〉

余談ですが「障がい者」と「障害者」という二つの表記があり、
宮嶋さんは「障がい者」という言葉を使っているので今回私は、
それに従っています。
しかし普段私は「障害者」と敢えて言う方を好みます。
なぜなら、「障害者を障害者だと思う健常者のほうに『害』がある」
というメッセージを薄めたくないからです。

被差別部落にしても視覚・聴覚障害者にしてもそうですが、
外部者が「この呼び方やめようよ」というとき、
それは外部の人々の自らの偏見の罪責感を薄めるための、
たんなるエクスキューズであったり、
無意識の「自己正当化」が透けて見えますから、
あの手の「言葉狩り」ほど嫌いなものはありません。
人を無自覚に差別している偏差値秀才の腐臭がします。

私は以前いわゆる「屠殺場(とさつば)」で働いていました。
それが昭和に「屠畜場(とちくじょう)」になり、
平成に「と畜場」になりました。
「屠」「殺」という言葉がそこで働いている人への差別になるから、、
という理由だそうですが、そういう「声」にこそ偏見と傲慢を感じます。
毎日動物から命をいただいて肉を食べていながら、
どんだけ「死」を直視したくないんだ、と。
どこまでわがままなんだ、と。
働いている当事者は誰も「屠殺場で働いている」ことを恥じていません。
むしろ世間の嫌がるような仕事をして社会に貢献していることを、
誇りに思っている。私はそうでした。

話しがそれましたが、「障がい者」「障害者」問題。
どちらでも良いです。
「障害者は外部にいて自分が健常者である」と思っている人ほど、
重い(認知的)障害を抱えた人はいないのですから。
(1,485文字)



●歴史を変えた6つの飲物

読了した日:2017年9月29日  途中飛ばし読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: トム・スタンデージ
出版年:2017年
出版社:楽工社

リンク:http://amzn.asia/bo1Rp1B

▼140文字ブリーフィング:

「人類史というものはない。
 何かについての人類の歴史があるだけだ。」
という名言から始まるこの本は、
「飲物」という切り口から人類史を語ります。
ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラです。
茶はイギリスの象徴でありコーラはアメリカの象徴、
という話しは面白かったです。

→P244 
〈アメリカの台頭と、20世紀における戦争、政治、
コミュニケーションのグローバル化は、
コカ・コーラーー世界で最も価値の高い有名ブランドであり、
アメリカとその価値観を体現している、
と世界中の人々に思われている飲物
ーーが世界に普及していく動きと、ぴったりと符合している。
合衆国を肯定する人々にとって、コーラは経済的・政治的な選択の自由、
消費者主義と民主主義、そしてアメリカン・ドリームの象徴だ。
一方の否定派にしてみれば、この飲物が象徴しているのは、
情け容赦のないグローバル資本主義、グローバルな企業とブランドによる支配、
そしてさまざまに異なる地域文化や価値観のアメリカ化および均質化である。
一杯の茶の中に大英帝国の物語が隠されているように、
アメリカが台頭し、世界一にまで上り詰める物語は、
コカ・コーラという、茶色くて甘い炭酸飲料の普及と併行して進んだのである。〉

→P277 
〈、、、両連合(NATOとワルシャワ条約機構)がたがいの影響力を競い合い、
直接対決こそなかったが、世界各地で代理戦争を繰り広げる中、
コカ・コーラはアメリカだけでなく、自由、民主主義、
自由市場を基盤とする資本主義という西側の価値観全体と結びついていく。
共産主義者の間では反対に、コカ・コーラは資本主義の
ありとあらゆる欠点の象徴であると、
なかでも消費者の往々にして取るに足らない需要を
満たすことが経済を成り立たせる基本であるべき、
という考えの代表的存在であると、みなされるようになった。
1948年のコカ・コーラ社の総会で掲げられたプラカードの文章に、
この対比が端的に表れているーー
「共産主義者について考える時、我々の頭には鉄のカーテンが思い浮かぶ。
だが、共産主義者が民主主義について考える時、
彼らの頭に浮かぶのはコカ・コーラだ」

、、、「グッバイ・レーニン」という映画があります。
心臓発作で倒れた東ドイツに住む主人公の母親は共産党に忠誠を尽くし、
「共産主義の理想」に燃えるコミュニストママです。
彼女が8ヶ月意識を失っている間にベルリンの壁は崩壊し、
ベルリン市内に「西ドイツと資本主義」が侵入してきます。
「東ドイツ」という国がなくなってしまったことを知ったら、
母親はまた発作を起こすのではないかと恐れた主人公は、
家の状態を「東西ドイツ統一前」に戻します。

具体的には過去のニュースの録画を流して体制が続いているとうそぶき、
「資本主義」を連想させるすべての製品を家から除去します。
そのとき主人公が一番苦慮したのが、
窓から見えている「コカ・コーラ」の看板でした。
「コカ・コーラの看板が窓から見える」ということは、
「自由化」の象徴だったのです。

私はアメリカ至上主義者ではありませんし、
コカ・コーラの飲み過ぎは体に悪いと思っていますが、
いつの日か北朝鮮の家々の窓からコカ・コーラの看板が
見えるようになったらいいな、と願わずにいられません。
そのときは誰かが「グッバイ・イルソン(金日成)」という、
オマージュ映画を作るでしょう笑。
(1,373文字)

▼参考リンク:「グッバイ・レーニン」
http://amzn.asia/3Jul1WC



●はじめてのアンガーマネジメント実践ブック

読了した日:2017年9月29日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 安藤俊介
出版年:2016年
出版社: ディスカバー・トゥエンティワン

リンク: http://amzn.asia/5cvqSTl

▼140文字ブリーフィング:

「自分の怒りのパターンを知り、怒りをコントロールできるようになる」
という手引き書です。
アンガーマネジメントは「怒らなくなる方法」ではない、
ということや、「怒りは二次感情である」
「怒りの正体は『べき』である」などの心のからくりは、
「なるほどぉ」と思いました。
→P32 
〈アンガーマネジメントとは、
怒らなくなることが目的ではなくて、
怒る必要になることは上手に怒れるようになる一方で、
怒る必要のないことは怒らなくてすむようになることです。〉

→P34 
〈アンガーマネジメントができるようになると、
人を傷つけず、自分傷つけず、モノに当たることなく、
「自分は怒っている」ということを上手に表現出来るようになります。〉

→P42 
〈怒っている人は、基本的にこの一次感情
(つらい、悲しい、不安、痛い、疲れた、嫌だ、むなしい、さみしいなど)を
理解して欲しくて怒っていると言っても過言ではありません。
この怒りのメカニズムを知っておくと、
怒っている人と上手に付き合うことができるようになります。〉

→P50 
〈簡単に言うと、私たちが怒るのは、
自分が信じている「べき」が目の前で裏切られた時です。
、、、ということは、自分がどのような「べき」を
信じているのかが分かれば、いつどういう場合に
自分が怒ってしまうのか、ある程度は想像がつきます。〉
(551文字)



●正義から享楽へ 映画は近代の幻を暴く

読了した日:2017年9月29日  途中飛ばし読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 宮台真司
出版年:2016年
出版社: 垣内出版

リンク: http://amzn.asia/2ucvHyk

▼140文字ブリーフィング:

思想家の宮台真司さんによる映画評です。
クリントン的〈正義〉とトランプ的〈享楽〉と帯に書いてあります。
映画評は高度すぎるし観ていない映画が殆どなので、
正直読みにくい本でしたが、
映画という窓から現代の政治を読み解く、
という姿勢は参考になります。
今のリベラルがなぜ空転するのか、というのが隠れテーマです。

→P359 
〈最後に、ヒラリーに代表されるリベラルのどこが
クソ感を与えるのかをお話しします。
結論から言うと、昨今のリベラルは〈安全・安心・便利・快適〉が柱の一つです。
実際ヒラリーは「フィール・グッド・ステイト」という言葉で
それを理念化しています。
しかし人はそれで幸せになれるのか。
でも、僕がよく言うように、〈安心と安全〉より
〈混沌と眩暈〉こそが大切だという価値観があり得ます。 
、、、僕の考えでは、新反動主義やそれを含むオルタナ右翼に媚びる
トランプの移民排斥への呼びかけは、
一見ヒラリーと同じく「テロの脅威」を口実にしますが、
メッセージの質感は、〈安心と安全〉よりもむしろ闘争による
〈混沌と眩暈〉の取りもどしを呼びかけるものだと断言できます。
リベラルのもう一つの柱が〈権利獲得〉です。
昨今の典型がLGBT問題です。しかし僕が各所で述べるように、
〈権利獲得〉しても性愛で幸せになれるわけではない。
むしろ無関係です。
性愛の幸せは〈権利獲得〉ではなく
〈生き方〉ー生存の美学ーの問題だからです。
フェミニズム界隈に目立つ勘違いです。
、、、リベラルは〈権利獲得〉に傾斜するあまりに
〈生き方〉への美学的注目をないがしろにしてきました。
オルタナ右翼は、女性憎悪というゲイの〈生き方〉を肯定しています。
、、、勘違いにまみれた昨今のリベラルは、
マルクーゼに照らせば一次元性に塗れたクソです。
そう感じる者が、ヒラリーを嫌悪し、
トランプに軍配を挙げるのは、何の不思議もありません。
たとえ演技にせよ、トランプが、〈安心と安全〉と〈権利獲得〉で
フラット化するしかない生Livingの、
反対側を生きているように見えるからです。
トランプはリベラルのクソ化が生み出したのです。〉

→P381〜383 
〈世界中でリベラルや左翼が退潮する理由は簡単だ。
「正しいけれど、つまらない」からである。
「正義」の軸と「享楽」の軸がある。
「正しさ」と「楽しさ」と言ってもいい。
昨今のリベラルは「正しいけれど、つまらない」。
享楽が欠けているという事実に鈍感なのだ。
、、、正義と享楽の一致は稀だというこの問題を、
伝統的な大衆社会論が主題化してきた。
一致の条件は分厚い中間層が支えるソーシャル・キャピタル(人間関係資本)だ。
仲間に自分が埋め込まれているという感覚があれば、
仲間を傷つける連中に憤ることが、正義であり享楽になる。
中間層が空洞化し、個人が分断され孤立した状態で、
貧困化「しつつある」とのおびえがある場合、
正義と享楽は分離し、正義ならぬ享楽へとコミットするようになる。
、、、私はいってきた。必要なのは「正義」と「享楽」の一致だ。
でも「正しいけれど、楽しくもある」じゃあ駄目。
「楽しいけど、正しくもある」が必要だ。
多くの人は鬱屈して「享楽」が欲しいのだから
「同じ楽しむなら、正しい方がいいぜ、続くし」と巻き込むのがベストだ、と。〉

、、、今の日本で民進党が「融解」するのは必然なのです。
みな「リベラルの正しさと退屈さ」にうんざりしているからです。
、、、では、どんな「道」があるのか?
「希望の党」に関する評価は私はまだ留保しています。
小池百合子という人間を私はまだ把握できていないからです。
彼女がリベラルではないことは間違いないわけで、
日本は10月22日の選挙後、「保守二大政党」という、
世界で誰も見たことのない政治状況を迎えるのかもしれません。

ここまで来ると「リベラルを再生する」という発想では無理です。
息絶え絶えのリベラルにカンフル剤を打って再生させる試みには、
もはや何の効果もないし、そういう段階ではありません。
「リベラルを内側から解体し、脱構築し、
 そして新しい何かを立ち上げる。」
という換骨奪胎、もしくは「破壊と創造」が必要なのですが、
そういった思想的な基礎工事は大変な作業です。
(キリスト教にもほぼ同じことが言えると、
 ちなみに私は思っています。)
世界で多くの人が脳に汗してそれを構築しようとしていますが、
日本だと東浩紀さんが良い仕事をしていると感じます。
「ゲンロン0」はそのような取り組みのひとつです。
(1,710文字)

▼参考リンク:「ゲンロン0」
http://amzn.asia/jh4QWE0



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陣内が先週読んだ本 2017年9月第三週 『クリエイティブ都市論』リチャード・フロリダ 他4冊

2018.03.15 Thursday

+++vol.031 2017年9月26日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年9月第三週 9月17日〜23日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●感情の政治学

読了した日:2017年9月19日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:吉田徹
出版年:2014年
出版社:講談社選書メチエ

リンク: http://amzn.asia/0R0u5lM

▼140文字ブリーフィング:

著者の吉田徹さんは北海道大学法学研究科教授で、
友人の医師、土畠智幸氏の「師匠」です。
土畠氏は医者をしながら北大の大学院に通い、
公共政策学の修士の学位を取りました。
彼は今は別の博士課程をやっています。
土畠氏から吉田先生のことはいろいろ聞いていたので、
興味をもって以前「ポピュリズムとは何か」を読みました。
今回別の本で「感情の政治学」が引用されていて面白そうだと思い、
また手に取りました。

吉田氏の本というのは、
政治に関する「考えるための補助線」を与えてくれる、
という感じがします。
どういうことかというと、この「感情の政治学」においては、
(「ポピュリズムとは何か」にも同じことが言えるのですが)
現代社会の人々の政治行動(投票、デモ、党派、献金など)を分析する際、
政治学者を含め専門家のほとんどは、
「人間というものは合理的に行動する」という前提で論じる。
しかしノーベル賞経済学者のアマルティア・センがいみじくも言ったように、
人間は必ずしも合理的に行動するわけではないのです。
彼の「合理的な愚か者」という言葉はそういうことを言っています。

現代人の政治行動を「読み解く」のに欠けている補助線は、
それでは何なのか。
それが「感情」だというのがこの本の論旨です。

→P25 
〈そもそもある人間がある目的を達成しようとした場合、
その目的がその人にとって価値あるものと信じる
「世界観」なり「信仰」がなければ、それは目的にすらならない。
「あらゆる価値信仰は、還元されることのない、
意味され得ないものがなければ成り立たず、
それが成り立つことではじめてある合理性の形態が出てくる」からだ。
簡単にいえば、人間は理性に還元され得ない目的を設定しなければ、
合理的な行動はとれない。
、、、どのような政策が正しいのかを論じることが不毛なのではない。
どのような政策を選択すべきかを決めるためには、
まず価値体系がなければならないのだ。〉

→P43 
〈個人の感情的態度を基礎にするポピュリズムや
テロリズムが2000年代に入って勃興してきたのはなぜなのか。
その説明として国際政治学者のドミニク・モイジは、
国際社会においてハンチントン流の「文明の衝突」のような見取り図よりも、
むしろ「感情の衝突」と形容することの方が
適切になってきている、と主張する。
それはグローバル化が人々の不安の根源と化している現状があり、
この不安はそのまま「我々は何者なのか」という
自分のアイデンティティに対する問いかけを
提起することになっているからである。
あるアイデンティティが齟齬なく獲得され、供給されるためには、
その国の人々が何らかの「自信」を持っていなければならない。
しかしグローバル化はその「自信」が絶えず他者からの承認、
その反対に他者からの否定にあうことでしか
得られないという状況を生み出している。
他人を介在させることになるがゆえに、
この「自信」はつねに希望や屈辱、
恐れといった感情に左右されてしまうことになるのだ。〉

→P76 
〈因果関係はさておくとしても、投票先や支持政党は、
人のイデオロギーではなく、
パーソナリティや心性と何らかの形で深く関わっている、
とみるのが妥当である。
例えば、右の研究では共産主義者だけでなく、
ファシズム支持者も、同じような「堅固な心」を持っているとされた。
このことは、共産主義とファシズムという、
本来は相対する政治イデオロギーが、
これを支持する人々のパーソナリティや心性を通してみた場合、
共通のものを持っていることを意味している。
その前提を置かないまま、
政策を合理的に選択すれば最適な選択がなされると主張するのであれば、
それはかなりナンセンスな議論となりかねない。〉

、、、最初の引用の、
「合理性は理性に還元されない価値を抜きに存在し得ない」
というのは至言です。
人は「合理的に考えて超越的な結論に至る」と考えがちですが逆だと。
超越的な結論を直観的に持ち、それを後から合理化している、
というのが本当です。

また、二番目の引用の、
「文明の衝突」ではなく「感情の衝突」というのも納得です。
2016年の「Brexit(英国のEU脱退)」、
そしてアメリカ大統領選挙もそうです。
大統領選は表面では「共和党(保守)」と、「民主党(リベラル)」の、
思想的政治的対立ですが、本当に起きていたのは
「感情の対立」だったと考えるとすっきりします。
「テレビ討論会」で圧勝し論理的に人を納得させたヒラリーより、
Twitterで人々のエモーションに直接訴えかけたトランプが勝ったのは、
あれが「政治的な戦い」ではなく「感情の戦い」だったからです。

三番目の引用では、
「同じ感情傾向をもつ投票者」が、
まったく逆のイデオロギーを支持することもあり得る、
と指摘されています。
リベラルを「パヨク」と罵倒する「ネトウヨ」と、
「アベ政治を許さない」というデモを行う左翼活動家は、
じつは同じ感情的理由からそうしているかもしれないということです。
それはたとえば「ルサンチマン」といった抑圧だったりします。

21世紀になって政治はますます宗教に近づいてきている、
というのは私の実感ですが、「なぜそうなるのか」、
ということをこの本は腑に落ちる形で説明してくれています。
(2,103文字)

▼参考リンク:「ポピュリズムを考える」吉田徹
http://amzn.asia/c03TLqb



●メディア論 人間の拡張の諸相

読了した日:2017年9月20日 後半速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マーシャル・マクルーハン
出版年:1987年
出版社:みすず書房

リンク: http://amzn.asia/1DvpBa9

▼140文字ブリーフィング:

この本は実にさまざまな本で引用される「定本」ですので、
いつか読みたいと思っていたのがやっと実現しました。
「メディアはメッセージである」という名言はこの本が元ネタです。
メディアはそれ自体メッセージであり、
それによって伝わる内容ではなく、そのメディアのあり方が、
人々の考え方や行動様式を変えてしまうのだという主張です。
インターネット登場前に書かれた本ですが、
ネット社会の現在、この本の重要性はかえって増しています。
(205文字)



●頼るな、備えよ

読了した日:2017年9月20日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:櫻井よしこ
出版年:2017年
出版社:ダイヤモンド社

リンク: http://amzn.asia/2cnuChP

▼140文字ブリーフィング:

ネット右翼に代表される、
日本における「明治復古運動」かのような「超保守」は、
先ほどの吉田徹さんの論に引きつけるなら、
政治活動と言うよりも「宗教」だというのが私の見解ですが、
その「宗教」における「巫女」の役割を果たしているのが、
「保守の女神」櫻井よしこ氏です。

私は「この宗教」の信者ではありませんから、
彼女の意見に大筋において同意しません。
しかし、「彼らの内在的論理」は何か、
を知ることはたいせつだと考えますので、
この手の本を定期的に読むようにしています。
先週の稲田朋美氏の本と同じです。

彼女の本をひとことで要約してヤンキーの言葉で言い換えると、
「中国と韓国にはマジでトサカ来てるんですけど」ということです。
もうひとつおまけを言えば、
「日本人マジ最高なんですけど」です。
自覚的にかそうでないのかは定かでありませんが、
彼女らの陣営は「日本人性善説」「中国・韓国人性悪説」
という二本柱に支えられています。

私はこの人間観・歴史観をまったくの間違いだと思います。
「サイコーの日本人もいればサイテーの日本人もいる」
「サイテーの韓国人、中国人もいるが、
 サイコーの韓国人、中国人もいる」
が私が聖書から学んでいる普遍的な人間観であり歴史観です。

、、、というような疑義を呈すると百田尚樹氏のように、
「中韓を擁護する日本人は日本人にあらず」みたいな超論理が登場します。
櫻井よしこ氏と共著も出している百田氏はツィッターで今年の4月13日に、
「もし北朝鮮のミサイルで私の家族が死に、
私が生き残れば、私はテロ組織を作って、
日本国内の敵を潰していく。」
と発言しています。

私のように「日本人性善説」への疑義を呈する人は、
「非国民・売国奴」と「敵認定」され、
切り捨てていくの彼らの「超論理」は、
もはやちょっと手が付けられません。
こういう言説を野放図にさせてはいけないと、
私は個人的に思っています。

公正を期すために言っておきますと本書には、
ドゥテルテ大統領が中国に接近しているのは、
亡くなった彼の無二の親友が共産党の重鎮だったという事実や、
安倍首相とオバマ首相の広島ー真珠湾双方訪問に、
安倍昭恵首相夫人の隠れたファインプレーがあったから、
などの私が知らなかった有用な情報も含まれていました。
(922文字)




●クリエイティブ都市論

読了した日:2017年9月20日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・フロリダ
出版年:2009年
出版社:ダイヤモンド社

リンク: http://amzn.asia/59yP04j

▼140文字ブリーフィング:

リチャード・フロリダのこの本は、
けっこう多くの本で引用されている「定本」ですが、
非常に面白かったです。
本書の前提となる認識は、
「インターネットによってどこでも仕事ができるようになったから、
 住む場所というのはどこでもかまわなくなったのだ!」
という言説への反論です。
フロリダ氏が指摘するのは、
「状況はむしろ逆である。
 さまざまな数量的なデータを解析すれば、
 世界というのはますますフラットでなくなり、
 住む場所によって成功もすれば失敗もするようになってきている」
という、あまり認識されていない事実です。引用します。

→P17 
〈私が本書を書いたのは、読者が、
自分に適した居住地を選ぶのに役立つためだ。
25年以上にわたる独自の調査結果と、
ほかの人が行った多数の研究や調査結果について、
皆さんと共有することにしたい。
本書では次の3つのポイントに沿って、私自身の意見を構築している。

1.グローバリゼーションや「フラットな世界」について、
誇大な主張が数々なされている。
だが現実には、居住地がグローバル経済の中で占める重要性は、
これまでになく増している。

2.住む場所の多様化と特殊化は、さまざまな観点において進んでいる。
それは経済的な構造や労働市場に始まり、得られる生活の質、
そこに住む人間の性格にまでおよぶ。

3.私たちはきわめて移住志向の強い社会に生活している。
ゆえに居住地について考える機会を何度も持ち得る。

以上、三つの事項が総合的に意味すること、
それは居住地の選択が、家計や仕事の選択肢、友人関係、
未来の結婚相手、子どもの将来に至るまで、
ありとあらゆる物事に大きな影響を与えると言うことだ。〉

、、、住む場所は重要です。
これは親の転勤や大学、就職、転職、、、といった理由で、
いままでの人生で多分20回ぐらいは転居している私も、
実感を伴って言うことができます。
自分の人生の質を最大限に高めるのはどの都市か、、、
この質問に答えるのは簡単ではありません。

自然を好むか都会を好むか?
知的な刺激か芸術か買い物か?
医療や学校や公共サービスの質は?
どんなタイプの人と友人でありたいか?
保守的で閉鎖的な場所かオープンでリベラルな場所か?
職場までの通勤時間はどれぐらい許容できるか?
家賃や物価などは得られそうな収入とバランスが取れているか?

、、、変数が複数ある関数を解く作業が、
「自分がどこに住むか」を決定するためには必要だ、
と著者は語ります。

この本の最後の章にはこの関数を解く、
11ステップからなる手引きが載っていますが、
それを自分でやってみたところ、
世界で私が最も住みたい都市の候補が、
いくつか挙がりましたので掲載します。
(詳しい説明は省きますが)
・バンクーバー(カナダ)
・デンバー(アメリカ、コロラド州)
・神戸(日本)
・札幌(日本)
・シドニー(オーストラリア)

、、、で、もうひとつ本書で再認識したのは、
いろんな要素があるが、「友人が近くにいる」ことの価値です。
引用します。

→P104 
〈ロンドン大学の経済学者ナッタブド・ポウドサベーは、
2007年に興味深い研究を行っている。
その内容はアンケート調査によって、
頻繁に会う友人や親戚の金銭的価値を試算するものだった。
彼によると、友人や親戚と毎日欠かさず会えることは
10万ドル以上の追加収入に匹敵するという。
その喪失感は13万3,000ドルに相当するというのだ。〉

、、、ゴミゴミしてコンクリートで固められた東京は、
「どこにでも住んで良いと言われたら私が挙げる、
 最下位の土地のひとつ」ですが(笑)、
なぜここに住んでいるかは、これがすべてかと思います。

東京にいる妻の両親や家族からは子育てや信仰について多くを学べますし、
FVIやお世話になっている教会からも多くの益を受けています。
また東京は「日本の交差点」ですので、
国内外のいろんな人が最も会いに来やすく、
そして自分もいろんな場所の人に会いに行きやすい。
30代を東京で過ごしたことによって、
(そして今のところしばらくはそうするつもりであることによって)
私が得ているもの(人との出会いと友人・親族との交わり)を、
金銭に換算したらこの研究と同じように、
「年間1,000万円以上の価値」は、
余裕であるというのは否定できません。

将来神が召し出されるところにいつでもいけるように、
私たち夫婦は「持ち家は買わない」
(買おうと思っても頭金すら払えないですが笑)と、
早々に決めていますから、
10年後に東京に住んでいるかどうかは神にしか分かりません。
居住地を「選べる」時代に生きているということは幸せなことでもありますが、
同時に難問を突きつけられていることでもあります。
「クリエイティブ都市論」はその難問を解くのに良い手引き書です。
ちなみに著書のフロリダ氏はこの本に書いたことを自ら実践し、
10年ほど前にワシントンDCからトロントに移住したそうです。
(1,946文字)


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陣内が先週読んだ本 2017年9月第二週 『教養としてのプロレス』プチ鹿島 他4冊

2018.03.08 Thursday

+++vol.030 2017年9月19日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年9月第二週 9月10日〜16日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●キラーストレス

読了した日:2017年9月15日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:NHKスペシャル取材班
出版年:2016年
出版社:NHK出版新書

リンク: http://amzn.asia/hWQJH4T

▼140文字ブリーフィング:

NHKスペシャルで放映された内容の書籍化です。
医学の発達によって「ストレス」が精神的な病だけでなく、
がんや心臓病など、文字通り人を殺す病気のトリガーとなる、
ということが分かってきています。
現代人を蝕むストレスにどう対処するかというのが本書のテーマです。

→P114〜115 
〈アメリカ心理学会では、
一般の人に向けて五つのストレス対策を推奨している。
1.ストレスの原因を避ける
2.笑い
3.友人や家族のサポートを得る
4.運動
5.瞑想〉

私は鬱病を経験してから「1」に関しては、
細心の注意を払うようになりました。
また「2」の笑い、「3」の家族、友人のサポートは、
生活の中に取り込まれていますし、
「5」の瞑想は、日々の祈りという形で実践しています。
あとは「4」の運動なのですが、、、

、、、

、、、みたいな「真面目なところ」を
まずは止めなければなりません笑。

適当で良いのです。

「コーピング」という技術は参考になりました。
ストレスに対処するための方策をできるだけ沢山、
できるだけ小さなものを用意しておく、というのがそれですが、
たとえば私の場合、
「ジェットスキーで海を滑走する」みたいのより、
「コーヒー豆を挽いて美味しい珈琲を淹れる」とか、
「無心でトイレ掃除をする」とか、
「コンビニでポテチを買ってきて全部食べる」とか、
「部屋でジャズをかけてひたすら本を読む」
「靴を磨きながらお笑い番組を鑑賞する」とか、
そういった小さなものを沢山用意しておくことが大切だそうです。
(621文字)



●自由にものが言える時代、言えない時代

読了した日:2017年9月15日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:爆笑問題&町山智浩
出版年:2015年
出版社:太田出版

リンク: http://amzn.asia/fY1mMto

▼140文字ブリーフィング:

爆笑問題はもう長い間、
ずーっと、毎月「時事漫才」を作り続けています。
本人たちは「時事ネタなら刷り込みが浸透しているから、
フリが効いた状態にあるので作りやすかっただけ」
と言っていますが、本当に凄いことだと思います。
「日本のお笑い芸人は政権批判をしないチキンだ」
という意味のことを茂木健一郎がツィッターでつぶやいて、
炎上するという出来事が今年の春頃にありました。

じっさい大手事務所に所属している芸人は、
政権批判はやりにくいだろうなと思います。
だってクレーム電話がスポンサー企業に行き、
スポンサー企業からテレビ局の制作チームに伝わり、
それが事務所に伝わったら、
その芸人は「クソほど叱られる」もしくは、
最悪の場合、「干される」ということになりますから。

その点、個人事務所を持っている芸人は強いです。
最悪自分が仕事減るだけ、という覚悟さえあれば、
きわどい話題にも切り込んでいける。
北野武と爆笑問題は例外的に政権批判を続けていますが、
それは彼らが個人事務所だからです。
爆笑問題の笑い自体が特に好きなわけではありませんが、
彼らのそういう「スタンドアローンな姿」は、
凜としてカッコいいと私は思っています。

この本には5年分ぐらいの、
「毎月の時事漫才」が文章に起こされて収録されています。
彼らの漫才を見たことがある人なら、
文字を読みながら漫才を「脳内再生」することが可能です。
(565文字)



●私は日本を守りたい

読了した日:2017年9月15日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 稲田朋美
出版年:2010年
出版社: PHP研究所

リンク: http://amzn.asia/gpORVD3

▼140文字ブリーフィング:

南スーダンPKOの日報問題、そして選挙演説での、
「自衛隊としてお願いします」という失言で、
安倍さんの秘蔵っ子、「ともちゃん」こと、
稲田朋美氏は防衛大臣の座を降りました。
彼女の父は「成長の家」の熱心な信者で、
自らも教祖谷口雅春の「生命の実相」が座右の書だと公言しています。
「成長の家」は後に右翼思想の「日本会議」に受け継がれますから、
彼女は「保守のアイドル」として短期間に地歩を固めた人です。
第二次改造内閣のときに彼女が防衛大臣になったとき、
「マジか」と背筋が凍ったのを覚えています。
ちょっと「ヤバイ人」というのが私の認識でしたから。
彼女は政治家の中で私が最も支持しないタイプなのですが、
私は二つの理由から彼女のような人の書いた本を読みます。
ひとつは、いったい彼らの内在的論理は何なのかを知るため、
もうひとつは、「99でたらめなことを言っていても、
1ぐらい良いことを言ってることもあるから」です。

最初の「内在的論理を知る」という点ですが、
私と彼女では「結論」が違います。
いや、真逆です。

ある人とある人が結論が違う場合、
二つの可能性があります。
1つは前提が違う場合。
もう一つは前提は共有されていて、
その「導出(論理の道筋)」が違う場合。
稲田さんと私の違いは前提の違いです。

日本には二種類の人がいます。
「あの戦争に負けて、かえって良かった」と思う人と、
「あの戦争に負けたのは悔しい!なかったことにしたい!!」
と思う人です。

祖父が戦争で頭に銃弾を食らい死にかけている私は当然前者ですが、
「東京裁判は裁判ごっこ」で「日本国憲法は占領下だから正統性に欠く」
と言っている彼女は後者なのでしょう。

彼女の決定的な矛盾は「日本国憲法の正統性」を疑っていながら、
国会答弁で大臣を追求する時などの彼女の決め台詞が、
きっと弁護士という肩書きをちらつかせたいのでしょうが、
「これでも法治国家と言えますか!?」だということです。

日本のあらゆる法律の根幹は日本国憲法ですから、
彼女は自分が正統性を疑っている法体系を盾に、
他者を訴追しようとしているわけです。

、、、附録として、この本から2カ所引用しておきます。
ひとつは、彼女の民主党(当時)批判。

→P12〜13 
〈しかし、この不道徳さは民主党政権だけにあるのではなく、
戦後60年かけて私たち日本人が日本の伝統や文化、
歴史をないがしろにし、
日本の国柄や日本の心を失ってきた、その結果なのです。
私たち自身が選んだ結末ともいえるのです。
自分たちだけよければよい。勝つためには手段を選ばない。
嘘をついても責任は取らず、傲慢なのに国民におもねり、
テレビ映りを気にして、
いかに自分が誠実で有能に見えるかばかり考えている政治家たち。
そして利益誘導型政治の横行・・・これら民主党政権の不道徳さは、
戦後体制そのものの不道徳さです。〉

説明は不要なのですが、
「嘘をついても責任は取らず、
 傲慢なのに国民におもねり、
 テレビ映りを気にして、、、」
のくだり、稲田朋美氏ご自身の形容ですね。
「自衛隊としてもお願いしたい」という、
「政治家として一発レッドカード」の発言をしたときも
「誤解を与えたのなら申し訳ない」を繰り返しました。
つまりこれは「誤解したあなたたちがバカなのだ」と、
言外に言っているのと同じだと言うことに気付いていない(ほど傲慢である)。
さらに日報問題については、安倍さんが秘蔵っ子の彼女を、
「隠した」ため、ついぞ彼女は、
それについて説明責任を果たすことはなかった。
彼女が民主党を指して罵倒した言葉は、
ブーメランとなって彼女自身にきれいに帰ってきました。

、、、おまけに言うと安倍内閣の「森友・加計学園問題」は、
彼女がこの箇所で激しくやり玉に挙げている、
「利益誘導型政治」の教科書的なお手本です。

もうひとつ。
彼女が外国人の生活保護受給を糾弾しているくだりです。

→P63 
〈生活保護は外国人にも支給されています。
この問題については平静22年5月19日の厚労委員会で
長妻昭大臣に質問をしました。
どういう資格の外国人が受給しているのかというと、
「適法に日本に滞在し、就労活動に制限を受けない、
永住、定住等の在留資格を有する外国人」です。
この受給資格を有する外国人は、
平成20年度末の統計によると143万人(日本人の配偶者を含む)、
そのなかで平成20年度に生活保護を受給していた
外国人世帯の世帯員の合計は5万人、
割合としては3.6%が生活保護受給者と言うことになります。
日本人の生活保護受給率は、
平成22年2月時点で1.4%ですから、
日本人に比して外国人は2.5倍以上の割合で
生活保護を受給していることになります。〉

彼女はどうやら算数ができないようです。
絶対数が日本人の場合1億人の1.4%で170万人。
外国人は153万人の3.4%の5万人。
これを「2.5倍」とするのは単純に計算ができない、
残念な人としか言いようがありません。

他にも稲田氏は1000万人の子ども手当を受ける日本人の存在を差し置いて、
5万人の外国人への子ども手当をやり玉にあげて民主党政権を批判しています。

そもそも日本人の生活保護受給者の割合(絶対数ではない)が、
相対的に少ないのは彼女や自民党右派が大好きな、
「家族の扶養義務」によって国の福祉を、
家族に負担させているからなのにもかかわらず、
臆面もなくこのようなことが言えるというのはダブルスタンダードです。

外国人の「確率的に2.5倍」は当たり前で、
「扶養義務のある家族」がいないからです。
諸外国でも在留外国人の生活保護受給率は、
自国民のそれより3倍以上というのは標準ですし、
そのような困窮した人々を救う国家こそが、
彼女が一生懸命唱えている「道義国家」なのではないでしょうか。
彼女に足りないのは「普遍」の概念と「想像力」です。
いちど海外の外国人居住地区でマイノリティとして生活してみたら、
きっと今と同じことは二度と言わなくなるでしょう。
(ハイヒールで戦艦に乗り込みひんしゅくを買うような人ですから、
 きっと「そんな辺鄙な所行きたくないわ」と言われて終わりでしょうが。)

彼女が守りたいのはきっと日本ではなく自分の地位や、
パブリックイメージなのでしょう。
、、、最後に「稲田朋美という現象」を解釈するのに、
非常に良くまとまった「良記事」を見つけましたので紹介します。

▼参考記事:「ネット右翼のアイドル」稲田朋美防衛大臣辞意〜その栄枯盛衰を振り返る〜
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20170727-00073818/

(2,590文字)



●教養としてのプロレス

読了した日:2017年9月16日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: プチ鹿島
出版年:2016年
出版社: 双葉文庫

リンク: http://amzn.asia/gk7huqN

▼140文字ブリーフィング:

ちょっとここには書き切れないぐらい、
数多くの学びがありました。
タイトルの印象に反して、
めちゃくちゃ中身のぎっしり詰まった良書です。
下手な哲学書よりも勉強になります。
プチ鹿島さんは「プロレスファンであったことによって、
自分は複眼的にものを見るメガネを手にれた」
とこの本で言っています。

というよりこの本の内容はそれがすべてです。
先週私が教会でした、
「情報化社会における信仰者の生き方」というメッセージのキモは、
「複眼的な視角」と「批判的な思考」を身に付けようということでした。
「立体的に物事を見、自分を疑う力を養おう」ということです。
「プロレスという教養」を身に付けている人にはそれがある、
というのがプチ鹿島さんの主張で、
この主張には説得力があります。

引用します。

→位置No.350 
〈「プロレスは真剣勝負だ、それ以外の考えは受け付けない」
という純粋な「信」は、頭が硬直化するだけで余裕がない。
かといって、「プロレスは八百長さ。
でも、それを踏まえて楽しむのだよ」という、
妙に達観した「不信」はパサパサして味気ない気がする。
「半信半疑」が一番精神的にもバランスが取れ、
遊び心がある立ち位置だと思った。
そしてその見方はプロレスどころか、
日常のさまざまなモノの見方や考え方にも有効であると知った。

疑うことなくすべて信じたらそれは「オカルト」
(最終地点はカルト)に通じてしまうし、
信じることを全くしなくなったそれは「ニヒリズム」
(最終地点は価値と潤いのない世界)に通じてしまう。
だからさまざまな角度からワクワクできる「半信半疑」でいいのだ。
オウム真理教の信者たちを見ていて、
プロレスを経験した私は
「この人たちは自分より死ぬほど頭は良いけど、
白か黒かだけで遊び心が感じられないなぁ」と、
なんとなく思っていた。〉

95年に日本を震撼させたオウム真理教事件の最大の衝撃は、
なぜ学歴エリート、偏差値秀才が、あんな教えに心酔してしまったのか、
という、いまだに答えが出ていない大きな問題です。
実は日本社会はまだこの問いに答えていない。
社会はくさいものに蓋をするように、
「あれは狂信者の異常な行動だ」と切り捨てることで、
考えることを止めてしまった。

社会全体として答えが出ていないから、
形を変えてこの問題は繰り返すことでしょう。
今度はISやテロ組織への関与という形を取るかもしれない。
プチ鹿島さんはここで、
「プロレスを通して批判的思考力を鍛えていたから、
 私はオウム真理教的なるものへの免疫を備えていた」
と言っているのです。

それを彼は「半信半疑力」と表現しています。
「宗教は嫌だ」「宗教は怖い」「宗教は全部嘘」というのも実は、
「宗教否定原理主義」という名のもう一つの狂信であるということに、
日本人の多くは無自覚です。

かといって100%の「信」は確かに怖い。
「半信半疑」が大事なんだ、と鹿島さんはプロレスから学んだ。

私も「半信半疑」が大切だと思っています。

これは絶対者なる神への不信ではなく逆です。
神が絶対だから、人間の世の中には絶対はあり得ない、
という神への信仰の表明が、
「現世で起こるあらゆることへの判断を留保する」
という態度につながります。

感覚的な言葉になりますが、キリスト教徒に限らず、
あらゆる宗教に帰依する人には2タイプあると私は思います。
「信仰が立体的」な人と、
「信仰が平板」な人です。
平時には後者のほうが勢いが良く熱心に見えますが、
本当に強いのは前者の信仰を持つ人です。
後者の信仰は強い分「パキっ」と折れやすいですが、
前者の信仰はしなやかで嵐をも耐え忍び、
嵐によってさらに奥行きを増します。
そして「立体的な信仰を持つ人」とは、
「100%の信」を留保出来る人です。
プロレスの世界と信仰の世界は、意外と近いのです。
(1,544文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年9月第一週 『ぼくのおとうとは機械の鼻』みんなのことば舎 他8冊

2018.03.01 Thursday

+++vol.029 2017年9月12日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年9月第一週 9月3日〜9日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●福翁自伝

読了した日:2017年9月4日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:福澤諭吉 斎藤孝編訳
出版年:2011年(初版)
出版社:ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/7cmpLAR

▼140文字ブリーフィング:

先週読んだ岩田靖夫氏の本のなかで、
「福翁自伝」が紹介されていて興味を持ちました。
「一万円札のひと」福澤諭吉は、
「日本で最初の合理主義者」と言われることもありますが、
この自伝に出てくるエピソードを読むとなるほどとうなずける。
その「合理主義者ぶり」は筋金入りで、
小さい頃、「神社の中の物質に拝んでいる大人は馬鹿に違いない」
と思った福澤諭吉は神社の御神体の御札(おふだ)を盗み、
代わりに拾った小石を置いておきます。
、、、で、周囲の大人がずっと、
「自分の置いた小石をありがたそうに、
 うやうやしく拝んでいる姿」を観て、
「小石を拝んでめでたい人たちだ」と心で笑っていた。
、、、で、何のタタリもなかったから、
あの御札はやはりただの紙切れだったのだろうと結論します。
キリスト教徒の私ですら少し胸が痛むような話しですから(笑)、
彼の「破格のスケールの合理性」がわかります。

また、福澤諭吉は慶應義塾大学の創始者ですが、
その前身「慶應義塾」は、日本で初めて授業料をとった私塾でもあります。
→P191 
〈さて鉄砲州の塾を新銀座に移したのは
明治元年すなわち慶応四年(1886年)明治改元の前だったので、
塾の名をときの年号から取って慶應義塾と名付け、
一次散り散りになっていた生徒も
次第に帰ってきて塾は次第に盛んになった。
塾が盛んになって生徒が多くなれば、
校舎の取り締まりも必要になるから、
塾則のようなものを書き、これもいちいち書き写していては
手間がかかるというので版をつくって印刷本にして、
これもいちいち書き写していては手間がかかるというので
版をつくって印刷本にして、一冊ずつ生徒に渡した。
それにはいろいろな箇条のある中に、
「生徒から毎月金を取る」ということもあて、
これは慶應義塾がはじめた新案である
それまで日本の私塾では中国風を真似たのか、
生徒入学のときには「束しゅう」と言われる謝礼を納めて、
教授する日とを先生と仰ぎ奉り、入学の後も盆暮れの二度ぐらいに、
生徒それぞれの分に応じて、お金なり品物なり、
熨斗を付けて先生家に進上する習わしであった。
だが、私どもの考えでは、とてもこんなことでは活発に働く者はない。
「教授もやはり人間の仕事だ。
人間が人間の仕事をして金を取るのに何の不都合がある。
かまうことはないから公然と値を決めて取るが良い」
というので、授業料という名をつくって、
生徒ひとりから毎月金二分ずつ取り立て、
その生徒には塾中の先輩が教えることにしました。〉
(1,011文字)


●ネット・バカ インターネットが私たちの脳にしていること

読了した日:2017年9月4日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ニコラス・G・カー
出版年:2010年
出版社:青土社

リンク: http://amzn.asia/790Rk1X

▼140文字ブリーフィング:

タイトルがバカっぽいですが、
かなり学術的で専門的な本です。
原題は「the Shallows」といい、
「薄っぺらな人々」あるいは「うつろな人々」というような意味です。
サブタイトルが示しているようにこの「薄っぺらな人々」は、
インターネットが人間の脳に働きかけたことにより生み出される、
「ある種の思考形態を身に付けた21世紀の我々」を指しています。
マーシャル・マクルーハンという人が「メディア論」という本のなかで、
「メディアはメッセージである」という名言を残しています。
インターネットで「何を」観るかは重要ではなく、
インターネットというメディアが脳の働き方を変えてしまうのだ、
ということをこの本は実証的に論じていきます。

→P168 
〈インターネットの使用には多くのパラドクスがともなうが、
われわれの思考様式に対して、
確実に最大の長期的影響を与えるだろうパラドクスは以下のものだ
ーーネットは注意を惹きつけるが、結局はそれを分散させる。〉

、、、インターネットが私たちの脳にいったい何を「した」のか、
その検証にはあと50年ぐらいはかかるでしょうが、
何をしつつあるのかは分かってきています。
それは注意を分散させ、
長い文章や長い理論を理解する能力を低下させ、
深い分析、内省、批判を行う力を衰えさせ、
物事を表層的に捉えさせるようにますますしているということです。
(570文字)



●このあとどうしちゃおう

読了した日:2017年9月4日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ヨシタケシンスケ
出版年:2016年
出版社:ブロンズ新社

リンク: http://amzn.asia/5GAoBn8

▼140文字ブリーフィング:

ヨシタケシンスケさんの絵本は、
メルマガ読者に教えてもらいました。
これは中でも特に傑作でした。
一冊購入して我が家に置いておきたいと思うぐらい。
死んだおじいちゃんが遺したノートには、
「このあとどうしちゃおう」と書かれていた、
というところからお話が始まります。
「天国にいってこんな楽しいことをして、、むふふ、、、」
というおじいちゃんの妄想がノートには書かれています。
ポップなようで深い本です。
その技巧は絶妙と言っても良い。
限りなく軽いユーモアだからこそ、
もう片方に限りなく重い「死」というテーマを載せて
バランスが取れているのです。
死を考えさせる絵本としては、
これもメルマガ読者に教えていただいた、
「かないくん」と双璧をなす傑作だと思います。
(317文字)



●子どもを守る30の祈り

読了した日:2017年9月4日
読んだ方法:キリスト教書店で購入

著者: ストーミー・オマーティアン
出版年:2001年
出版社: CS成長センター

リンク: http://amzn.asia/3zI7lLC

▼140文字ブリーフィング:

「親になる準備」として妻が読んでいた本を、
妻の後に読ませてもらいました。
「一日一章」のスタイルで30章まである本なので、
網羅的に語るのは不可能ですから、「目次」を載せます。
1.祈る両親になる。
2.わが子を御手にゆだねる。
3.危険からの守り
4.受容と愛を感じること
5.最も伝えたいこと 永遠の未来を築くために
6.父と母を敬うことと反抗の禁止
7.家族関係の平和
8.子どもの友人関係のために
9.神への飢え渇きを育てる
10.神につくられた目的をしる
11.真理に歩み、嘘を拒絶する
12.いやしと健康
13.自分の身体に気を遣う
14.学びへの熱意
15.賜物を明らかに
16.命をもたらす言葉を語る
17.きよさと純粋さの魅力
18.子ども部屋のための祈り
19.恐れからの解放
20.主からの全き心
21.主の喜びの中に
22.家系のくびきを打ち砕く
23.依存症や中毒を回避する
24.性的不道徳の拒絶
25.完璧な伴侶を見つける
26.ゆるせない思いからの解放
27.罪の告白と悔い改め
28.サタンの要塞を打ち砕く
29.知恵と見分ける力を求める
30.信仰に生かされて成長する

父親は「一家の祭司」ですから、
子どもや妻のために日々祈ることを、
ますます習慣化していきたいと思わされました。
(524文字)



●黒本 弐

読了した日:2017年9月6日
読んだ方法:Amazonプライム特典月一冊無料本

著者:高城剛
出版年:2015年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/8YVxkdz

▼140文字ブリーフィング:

「ハイパーメディアクリエイター」の、
高城剛のメルマガに寄せられた「Q&A」の書籍化です。
ハズレもありますが時々面白い回答もあります。
365日ホテル住まいで世界を放浪している著者ならではの視点、
というのが具体的にはそういった面白い回答でした。
「世界のあれこれ」とは無関係ですが、
「CO2クリエイター」という言葉には笑いました。
→位置No.1209 
〈また、僕が「なんじゃその言葉っ」と仰天した言葉は、
「無職」「引きこもり」の別名が「CO2クリエイター」であることです。
やるなあ。〉

、、、「CO2クリエイターの陣内です(キリッ)。」
って、言ってみたいなぁ。
いや、言ってみたいか?
やっぱり言ってみたくないです。
(298文字)



●ヘンな論文

読了した日:2017年9月7日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:サンキュータツオ
出版年:2015年
出版社:角川学芸出版

リンク: http://amzn.asia/bNCWFoR

▼140文字ブリーフィング:

大学で教えたりもしている「文系芸人」の、
サンキュータツオさんが、
「ヘンな論文」を紹介していく、という本です。
たとえば「川辺に座るカップルの間の距離」は、
その隣にいる人との距離とどのように相関するか、
といったことをデータをもとに検証する論文だとか、
「ヘンな論文」が世の中にはたくさんあります。
論文の常ですが、研究している人は大まじめなので、
「ツッコミ甲斐」があるのです。

私が一番興味をもったのは、
「○○とかけて××と解きます、その心は●●でしょう。」
という、「なぞかけ」を面白くさせるのは、
一体何なのか、という研究です。

→P132 
〈、、、「反応速度」の測定方法は、
学生が「なぞかけ」を読んで、
おもしろさがわかったところで、
パソコンのエンターキーを押してもらうというもの。
その結果判明したことは「強く面白い」(非常に面白い)作品は
「短い時間で分かる」ということである。
これは、笑いの研究における定説通りだった。
しかし、その一方で、「おもしろい」と思える作品は、
「つまらない」と思う作品よりも「時間がかかる」ものが多かったのである。
つまり、「その心は○○」と聞いてから「あー、なるほど!」と
腑に落ちるまでの時間のかかるものが多かったというのだ。
あとからジワジワくる、というやつですね。
これは非常に興味深い実験結果であった。〉

これはIPPONグランプリなどの大喜利にも言えることなのですが、
「面白さ」には2種類あります。
瞬発的に爆笑が起こるタイプと、
1、2秒あとに「じわじわ」と笑いが起こるタイプです。
「爆発的な笑い」はコスられすぎていますから、
「時差の笑い」をできるコンビは今は有利なんだろうなぁ、
とか思いながら読みました。
「笑撃戦隊」というコンビが、
ツッコミを先に言って、
後でボケを考えるというネタをやっていますが、
これは典型的な「時差の笑い」です。
(773文字)

▼参考動画:「笑撃戦隊」ネタ
https://youtu.be/y6YkzXjTjf0



●わかりあえないことから

読了した日:2017年9月7日 後半とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:平田オリザ
出版年:2012年
出版社:講談社現代新書

リンク:http://amzn.asia/783xyPW

▼140文字ブリーフィング:

著者は大阪大学で教えている、
「コミュニケーション能力」の専門家です。
現代の若者たちは企業から「ダブルバインド」を課せられている、
というところから話しは始まります。
どういうことか。
表向き企業は、
「異文化コミュニケーション能力」のある若者を求める、
ということになっています。
つまり自分と他人の意見の違いや文脈の違いを理解し、
その上で自分の意見をしっかり主張し、
相手との妥協点を見つける、といったスキルですね。
ところが実際の職場では逆のことが求められる。
つまり上司や先輩の思惑を「忖度」し、
場の空気を読んで相手に合せる、
という能力が求められる。

これは明らかなダブルバインドで、
「ゆっくり早く走れ!」という命令と同じです。
「静かに大声を出せ!」と同じです。
命令された方はフリーズしてしまう。
平田オリザさんは、この「ダブルバインド」がなぜ起こるかというと、
「21世紀になってコミュニケーションの定義が変化しつつある」ことに、
企業の側が気がついてもおらず言語化もできておらず、
ゆえに当然対応できていないからだ、と言います。
この本の「結論」でもある部分を引用します。

→P205 
〈、、、日本人に要求されているコミュニケーションの質が、
いま、大きく変わりつつあるのだと思う。
いままでは、遠くで誰かが決めたていることをなんとなく理解する能力、
空気を読むと言った能力、あるいは集団論で言えば
「心を一つに」「一致団結」といった
「価値観を一つにする方向のコミュニケーション能力」が求められてきた。
しかし、もう日本人はバラバラなのだ。
さらに、日本の個の狭い国土に住むのは、
決して日本文化を前提とした人々だけではない。
だから、この新しい時代には、
「バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、
どうにかしてうまくやっていく能力」が求められる。
私はこれを「協調性から社交性へ」と呼んできた。〉
(746文字)



●ひとの目、脅威の進化

読了した日:2017年9月8日 後半飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者: マーク・チャンギージー
出版年:2012年
出版社: インターシフト

リンク: http://amzn.asia/d1un4Kh

▼140文字ブリーフィング:

この本は4つの章からなり、
「ひとの目」のすごさを教えてくれます。
1章では「肌の色の不思議」について、
2章では「両目があることによって障害物の先を見る力」について、
3章では「0.1秒後を脳内で予測する標準装備のソフト」について、
4章では「文字を形として一瞬で識別する力」についてです。

私は「肌の色がどんな色にでもなる」というくだりに、
一番驚きました。
色というのはただ「白」「赤」というだけでなく、
どの光の波長がどのぐらい強いか、
という「スペクトル」を形成します。
「声紋」のようなものです。
その波形を比べると、黒人、アジア人、白人の、
「スペクトルの形」はそっくりです。
クレヨンで描いた肌色と本当の肌のスペクトルはまったく違いますが、
白人と黒人の肌のスペクトルは「ほぼ相似」なのです。
人種による違いはそのスペクトルが音楽ならば、
「0.5オクターブ」高かったり低かったりするだけで、
波形は同じなのです。
、、、で、顔色の違いというのは顔を流れる静脈の色で変わるのですが、
その色はなんと、あらゆる色を表現出来る、
という驚くべき事実に私は打たれました。

→P35 
〈血液の量を調節すると、肌の色は黄と青の間で変わり、
血液中の酸素飽和度を調節すると、肌の色は赤と緑の間で変化する。
この味気ない観察から途方もない結論が導かれる。
肌はどんな色合いも帯びうるのだ!
それはなぜか?
どんな色合いも原色(青、緑、黄、赤)の組み合わせで生み出せるからだ。〉

、、、すごくないですか?
他者の顔色を見て感情を読み取ることが、
人間にとって生死を分けるほどに大切なことだから、
こういう仕組みになっているのです。
「黒人が青ざめる」「黒人の顔が真っ赤になる」
というのは比喩でも何でもなく、日々起きていることですが、
人種が違うと「デフォルト値」が異なるため、
それに慣れるのに数ヶ月かかるだけだそうです。
アフリカに2ヶ月ぐらいいると、黒人の顔が「紅潮」するのが、
本当に分かります。
(814文字)



●ぼくのおとうとは機械の鼻

読了した日:2017年9月9日
読んだ方法:Amazonで予約購入

著者:みんなのことば舎
出版年:2017年
出版社:医療法人稲生会

リンク: http://amzn.asia/bsRsNxM

▼140文字ブリーフィング:
私の友人の土畠智幸氏が理事長を務める、
札幌の医療法人稲生会が出版した絵本です。
Amazonで予約購入しました。
この絵本は実は私も数年前から構想を聞いていましたし、
去年ぐらいから「ゲラ段階」のものも逐次見させていただいていて、
「ついに形になった」という感慨があります。
内容は、YouTubeに動画がありますから、
是非そちらを御覧下さい。
絵本は教材として非常に良いので、
個人でも教会でも学校でも、
是非一冊、買って持っておいても損はないと思います(宣伝)。

→あとがき より
〈僕は子どもの頃、「自分には価値がない」と思い込んでいました。
でも、病気や障害があっても、なくても、
人はそれぞれ多様性のある存在として、
「みんな、とくべつなひとり」として、
愛されているのだということを知ることができました。
それを子どもたちに伝えたくて、小児科医になりました。
自分は「とくべつなひとり」なんだ、
自分には価値があるんだと子どものときに知ることができれば、
他の人に対しても優しくなれるかもしれない。
そう思って、この絵本をつくりました。〉

土畠氏が講演会などでよく話す、
私の好きなエピソードがあります。
彼の奥さんも小児科医なのですが、
お互い医学生同士で交際していたとき、
土畠氏は彼女であった今の奥さんに、
「僕は障害児医療に進みたい。
 神さまが間違えて作ってしまった先天性の障害を、
 僕は治してあげたいんだ」
と言いました。
多分、自信をもって。
そのとき奥さんが、
かつて観たことがないほどに「激怒」したそうです。
「神さまは間違いなんて犯さない。
 障害児はそのままで完全な神の作品。
 そんな傲慢な考え方は絶対に受け入れられない。」と。
それが彼にとっての「天啓」だったと言います。

中世のヨーロッパや近世以前の日本では、
精神や肉体に先天的な障害をかかえた人は、
「神の使い」と考えられていた、と私は本で読んだことがあります。
それが「近代」に完全に逆転し、
障害を隠すべきもの、なるべくないほうが良いもの、
と人々は考えるようになった。

しかし障害を持つ人が「神の使い」というのは比喩ではなく、
まったく事実なのではないかと私はこの数年思うのです。
土畠氏の実践や「べてるの家」の精神疾患当時者の「声」は、
まさに鬱病療養中の私にとって「啓示」に他ならなかった、
という経験からそう確信するようになりました。
「困難を抱える人と共に生きる」彼の実践から学べるのは、
当事者やその家族だけではありません。
私たちの社会全体が、困難を抱える方々から、
滋養に富んだ豊かな真理を学べると思うのです。
(1,059文字)

▼参考動画:「ぼくのおとうとは機械の鼻」
https://youtu.be/oHA2q2jE6lA



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陣内が先週読んだ本 2017年8月第五週 『ロングテール』クリス・アンダーソン 他6冊

2018.02.22 Thursday

+++vol.028 2017年9月5日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第五週 8月27日〜9月2日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●よく生きる

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岩田靖夫
出版年:2005年
出版社: ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/1Jbp0nG

▼140文字ブリーフィング:

Q&Aコーナーで取り上げましたように、
岩田靖夫さんという著者については知りませんでしたが、
メルマガ読者の方からのメールで、
紹介していただいて手にとりました。
この本は東北大学の先生でもある著者が、
若い大学生を対象に語りかける、
という内容になっていて、構成は以下の通り。

【目次】
第一章 幸福
第二章 他者
第三章 神
第四章 社会

印象に残ったセンテンスをご紹介します。

→P127 
〈、、、他者はそういう意味では所与ではないのです。
他者は根源的な意味である、としか言えない。
その根源的な意味に向かって、
私たちはいろいろな文化的表現、自然の祝祭を行っている。
私は学生達によく冗談で言うんですけれども、
授業の間にですね、
「人間はいったい何のために生きているんだ」。
毎日学校へやってきて、
友達に「こんにちは」って言うために生きてるんだ、
というのが私の答えです。
そう、本当にそうなんです。
「こんにちは」「おはようございます」。
で、うちに帰ってお父さんやお母さんに
「おやすみなさい」って言うために生きている。
それが人間が生きている意味です。
挨拶することが嬉しくて生きているのです。私たちは。〉

著者はギリシャ哲学(ソクラテス、プラトン、アリストテレス)、
哲学者のインマニュエル・レヴィナス、
そして政治哲学者のジョン・ロールズという軸を持ちながら、
この本では「他者、社会、神、幸せ」というテーマで、
若い読者に優しく語りかけています。
(587文字)



●ギリシア哲学入門

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岩田靖夫
出版年:2011年
出版社: ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/bDDTDBk

▼140文字ブリーフィング:

「よく生きる」と内容はかなり重なりますが、
こちらは「ギリシャ哲学」により重心が置かれています。
構成は以下の通り。

【目次】
第1章 哲学のはじめ
第2章 ポリス的生の成立とその限界
第3章 精神革命としてのソクラテス哲学
第4章 プラトンの『国家』における正義
第5章 アリストテレス政治思想の現代的意義
第6章 人はなぜ戦争をするのか
第7章 根源への還帰

西洋の人が書いたものを本当に理解したければ、
3つの基礎知識が不可欠だ、と佐藤優氏は指摘しています。
1.聖書
2.ギリシャ神話
3.ギリシャ哲学
です。
これにシェークスピアなどの文学を加えることもありますが、
「コルプス・クリスティアヌム(西洋キリスト教社会)」の、
「知的前提」となっているこれらに関する知識がなければ、
西洋の人が書いたものをきちんと理解することが出来ない。

日本人が何の説明もなく「徳川がさぁ、、、」とか、
「それは古事記の時代からの伝統だよね、、」
とかいうのと同じで、
西洋の人は何の説明もなく「ヨブの場合は、、、」とか、
「オイエディプス神話によれば、、、」とか、
「現代の労働はシュシポスのそれと同じだね、、、」
「それはプラトンのイデアに近いのだが、、、」
といった調子で話しを進めます。
私たち東洋人が好むと好まざるとに関わらず、
産業革命以降の「知のドミナンス」は西洋社会にありますから、
「聖書、ギリシャ神話、ギリシャ哲学に関する知識」
というのは、現代社会の知的営為の「前提」となります。
ここをスキップすると、そもそもスタート地点にも立てない。

ところが私も含めての話しですが、
聖書、ギリシャ神話、ギリシャ哲学に関する素養を、
きちんと持った日本人というのは多くはない。
私はクリスチャンなので聖書には精通しているつもりですが、
ギリシャ哲学やギリシャ神話の知識は体系的ではありません。
プラトンの「国家」も、
アリストテレスの「政治論」も読んだことがない。

岩田靖夫さんのこの本は、
ギリシャ哲学について無知な私のような読者にとって、、
おおまか地図を与えてくれる良書です。
(843文字)



●「ないがまま」で生きる

読了した日:2017年8月28日 飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:玄侑宗久
出版年:2016年
出版社:SB新書

リンク: http://amzn.asia/hnqGVQc

▼140文字ブリーフィング:

仏教思想を超ポップに語るエッセイ集です。

【目次】
第一章 無分別
第二章 無為自然
第三章 無常
第四章 無限
第五章 無我
第六章 無心

スマップのヒット曲に代表されるように、
この20年ほど日本では「あるがまま」という言葉が好んで使われますが、
仏教のお坊さんである著者は、「そうじゃないんだ、ないがままなんだ」
という提案をしています。
「ある」がままというのはそもそも、
「西洋近代的自我」みたいなものを前提としていて、
仏教的にみればそれすらも「とらわれ」であると。
引用します。

→P21
〈「あるがまま」ではどの自己が肯定すべき自己なのか、
その迷いがどんどん深まって自縄自縛になるのに対し、
「ないがまま」ならもとより裸一貫、
その場で新たに自己を立ち上げるしかない。〉
(318文字)



●ロングテール

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: クリス・アンダーソン
出版年:2014年
出版社: ハヤカワ新書

リンク: http://amzn.asia/igKmu0g

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白かったです。
クリス・アンダーソンというこの本の著者は、
「ロングテール」という言葉の提唱者であり、
この本のあとに「FREE」という本を書き、
「インターネット時代のポスト貨幣経済」について「予言」している、
現代のビジネス界の「預言者」みたいな人です。

私は「FREE」を読んだことがありましたが、
こちらの「ロングテール」は未読でした。
ロングテールというのは直訳で「長い尻尾」です。

iTunesに存在するすべての曲を、
ダウンロード回数1位から最下位までを横軸に並べます。
縦軸に1位から最下位までの「ダウンロード回数」を取ります。
ちなみに現在iTunesでダウンロード可能な曲目数は、
3700万曲(!)あります。
マジか。

1位はたとえばジャスティン・ビーバーとか
レディ・ガガの新譜になります。
これは数百万とか数千万とか、億単位のダウンロード回数になります。
100位ぐらいにJ-POPの、例えば宇多田ヒカルとかが入るかも知れない。
これは数百万回とかのダウンロード数としましょう。
10,000位ぐらいになると数百とか数十ダウンロードになる。
グラフの形は、「ヘッド(頭)」がぐんと高くて、
「テール(尻尾)」がどこまでも続く、
「L字カーブ」になる。
スキーのジャンプ台を横から見たのを、
さらに急にした感じと言ったらいいでしょうか。
こういうグラフを「べき分布のグラフ」と言い、
本の売り上げからYouTubeの再生回数、
あらゆる単語の日常会話で使われる頻度まで、
世の中のいろんなことがこの「べき分布(ロングテール)」の、
法則に従うことが知られています。

この法則を別の言葉で表わしたものとしては、
20世紀までの経済学では、「パレートの法則」が有名です。
「2割8割の法則」というやつです。
「売り上げの8割は2割の製品が占める」というあれです。
iTunesだと、上位2割の曲目が、総ダウンロード数の8割を占める。
おそらく現実はもっと極端で、
「上位1%の製品が売り上げの半分を占める」ぐらいになっています。

、、、で、この話しはここで終わらない。
むしろここからが本題です。
20世紀までと21世紀からのマーケットの一番の違いは、
「在庫の物理的リミットの解除」です。
どういうことか。
「タワーレコード」ですと、
「棚」という物理的制約がありますから、
どう逆立ちしても、店舗における商品(CD)の数は、
数万〜数十万枚が上限だった。
先ほどのグラフを念頭に置きますと、
上位数%の数万枚を入荷して販売するのが、
経営としての「最適解」になります。
グラフの「長い尻尾」は切り捨てるのです。
しかし、インターネットの登場は事態を変えました。
「在庫という物理的制約」から解き放たれたMP3の音楽は、
論理上は無限に増やすことができる。
先ほども言ったようにiTunesの曲目数は3,700万曲で、
1億曲に届く日も来るでしょう。
尻尾が限りなくどこまでも続くのです。
だから「ロングテール」なのです。

クリス・アンダーソンが気付いた、
この尻尾の長いグラフの面白い点は、
どこまで尻尾のほうに下がっていっても、
ダウンロード数が「ゼロ」にならないことです。
第3,500万位の曲ですら、1年に1回とか2回売れている。
グラフを90度回転してみると、
なんと、3,000万曲のテールが年に1回から10回ダウンロードされることと、
レディ・ガガの新譜一曲が3億回ダウンロードされることによって、
もたらされる利益は同じか、
むしろ「テールの方が多い」という結果にすらなる。
いままで市場がまったく注目していなかった、
「年に1回しか売れないようなニッチな商品」が、
ちゃんと利益を生むぞ、ということに人々は気づきはじめた。

このような「ロングテール」を実践している企業が、
21世紀に勝ち残るであろう、と多くの人が指摘しているわけですが、
その先鞭をつけたのがクリス・アンダーソンです。
この「ロングテール効果」を実践している代表的な企業が、
Appleであり、Amazonであり、イーベイであり、
楽天であり、Googleで、YouTubeであり、
「全米古本屋ネットワーク」のような、
かつて存在しなかった業態なのだ、とアンダーソンは言います。

20世紀は10人が同じ1つの商品を欲しがりました。
21世紀になって、
ひとりが別々のひとつずつの商品を欲しがるようになりました。
「セルフカスタマイズ」というやつです。
さらにその先があります。
これからはおそらく、1人が10種類の側面をもつかのように、
消費行動をし始めるでしょう。
そのような世界で「ロングテール」を知らない、
もしくは軽く見ることは大きなハンディキャップになります。
たとえば日本の大手マスコミがYouTubeやNetflixに喰われるとしたら、
それは「ロングテール効果の軽視」が原因になるでしょう。
(勢い余って1,837文字)

▼参考リンク:「FREE」
http://amzn.asia/hKFJGfW

▼参考記事:陣内ブログ、「FREE」の話し
https://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12200030873.html



●日米同盟のリアリズム

読了した日:2017年8月31日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:小川和久
出版年:2017年
出版社:文春新書

リンク: http://amzn.asia/iymQI8z

▼140文字ブリーフィング:

右翼や保守の論客が、
「憲法9条を廃棄し、日米同盟を解消し、
 自主防衛によって誇りを持てる国に(キリッ)!」
みたいな威勢の良いことを言って拍手喝采されたりしている、
異様な光景をときどき見ますが、
それがどれだけ現実無視のファンタジーなのか、
ということがこの本を読むとよく分かります。
本当にいろいろと理由があるのですが、二つだけ理由を挙げます。
まずコスト面。

→位置No.101 
〈武田、武藤両教授は、「日米同盟のコスト」を、
(a)日米安保条約に基づき米国の防衛協力を維持するために日本が負担する直接費用
(b)在日米軍基地を提供することで失う利益を勘案した間接費用
 の合計と見積もっている。

(a)は接受国支援(いわゆる思いやり予算)や基地対策費などで4374億円。
(b)は米国基地が別のものに置き換わる経済効果などで1兆3284億円。
以上を足した約1兆7700億円が、日米同盟を維持するコストである
(2012年の現行価格。以下同じ)。

 次に、「自主防衛のコスト」を、
(c)新たな装備調達に必要な直接費用
(d)自主防衛によって失う利益を勘案した間接費用
 の合計と見積もる。
(c)は空母機動部隊や戦闘機の取得など4兆2069億円。
(d)は貿易縮小によるGDP縮小約7兆円や株・国債・為替の
価格下落約12兆円など19兆8250億円〜21兆3250億円。

以上の合計約24兆〜25兆5000億円が、
在日米軍がいない場合の自主防衛コストである。
ちなみに、この計算には自衛隊員の人件費は含まれていない。
後者の自主防衛コストから前者の日米同盟コストを引けば、
「日米同盟の解体コスト」が明らかになる。
これを計算すると、年に22兆2661億円〜23兆7661億円になるというのである。
日本だけの力で日米同盟があったときと同じようなレベルの
平和と安全を維持していくためには、
このように毎年約22兆〜24兆円もかかるのだ。〉

、、、日米同盟解消のコストはこのように毎年24兆円ですが、
これは現在の日本の年間のすべての税収の50%に相当します。
国家の収入に対するこの水準の防衛費の割合とういうのは、
北朝鮮などの軍事独裁政権をも上回ります。

次に、これはあまり報道されませんが、
第二次大戦の敗戦国であるドイツ、イタリア、日本の軍隊というのは、
「戦勝国との同盟なしに機能しないように細工されて」います。

→位置No.120 
〈日本の防衛力を形成する自衛隊の戦力構造は、
一般に錯覚されているものとは異なり、
自立できない構造になっている。
これはドイツも同じである。
第2次世界大戦後の再軍備の際、
米国が日独の戦力を自立できない構造に規制したのである。
日本は米国との同盟関係、
ドイツの場合はNATOとの同盟関係によってはじめて、
自国の安全を保つことができる形になった。
たとえはよくないが、人間の身体に置き換えれば、
外科手術で右足を切除され、義足を履かせてもらっていないのが
日本とドイツの軍事力の実態である。
そこにおいては米国と肩を組まなければ自由に歩くこともできない。
日本の場合、この軍事力の構造である限り、
仮に現在の10倍、100倍の防衛費を投入できたとしても、
海を渡って外国に侵攻することは逆立ちしてもできないのである。〉

、、、日本の自衛隊やドイツの軍隊というのは極端な話し、
ファミコンのカセットだけ持ってるのと同じで、
「本体」はアメリカやNATOが所有しています。
防衛費を10倍にふくらませてもカセットが10本になるだけで、
本体は作成できません。
同盟を解消し日本が「本体」に手をだす動きを見せれば、
日本全体を麻痺させることなどアメリカにとっては、
赤子の手をひねるより簡単です。

、、、こういった事実を踏まえずに、
「自主防衛で誇りを持てる国に!」とか言っている、
「自称・憂国の士」または「自称・愛国者」は、
本当に国益を大きく毀損するるデマゴーグ、
もしくは国家の安全保障と、
暴走族の縄張り争いとの区別がついていない、
「脳内が田舎のヤンキー」です。
いずれにせよ事実を踏まえない、
無責任な言説が幅を利かせるというのは、
あまり日本にとってプラスになりませんので、
「勢いの良いことを言っている自称愛国者」には用心しましょう。
(1,713文字)



●ケプラー予想

読了した日:2017年8月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョージ・G・スピロー
出版年:2005年
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/20B9yOQ

▼140文字ブリーフィング:

「ケプラー予想」とは別名、
「オレンジ問題」とも呼ばれる幾何学の問題です。
空間内で球体をもっとも密に詰め込もうとすると、
1つの球に12個の球が接する、
「八百屋がオレンジを積み上げるやり方」が最適だ、
という仮説をケプラーが立てたのですが、
この問題が「数学的に証明」されるのには
400年という歳月がかかりました。

→P8 
〈私がはじめてケプラー予想に出会ったのは1968年、
スイス連邦工科大学の1年生として数学を学んでいたときのことだった。
幾何学の教授がふとした話しのついでに、
「旧を最も密に空間に詰め込むには、
どの球のまわりにも12個の球が
接するようにすれば良いと考えられている」
と言ったのだ。
その教授は、はじめてこの予想を立てたのはケプラーであり、
フェルマーの有名な定理とともに、
最も古い数学の予想の一つだと教えてくれた。〉

この問題はヘールズという数学者によって、
1998年に証明されました。
、、、スーパーコンピュータを使って。
この証明はまったくエレガントではなく、
証明は電話帳何冊もの厚さにおよび、
それを「読める」人が世界に10人もいないぐらい長い。
一般に数学の証明というのはエレガントで美しいものなのですが、
この「ケプラー予想」の証明はそういった既成概念を打ち破る、
「力業」でした。
しかしこの問題を解く過程で使われる、、
「他変数をもつ系における最適解の調整」という数学の概念は、
経営、経済、政治、輸送など、
さまざまな分野で応用される大切なテーマです。
(619文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第四週 『カモメのジョナサン 完全版』リチャード・バック 他5冊

2018.02.15 Thursday

+++vol.027 2017年8月29日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第四週 8月20日〜26日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●「ポスト真実」の時代

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 津田大介×日比嘉高
出版年:2017年
出版社: 祥伝社

リンク: http://amzn.asia/7K1geXU

▼140文字ブリーフィング:
本書の冒頭にオックスフォード英語辞典の
「ポスト真実」という言葉の定義が、
書かれているので引用します。

→P14 
〈”世論を形成する際に、客観的な事実よりも、
むしろ感情や個人的信条へのアピールの方が
より影響力があるような状況”
について言及したり現したりする形容詞〉

「トム・ソーヤ」の作者で知られるマーク・トウェインの名言に、
「真実が靴を履いている間に、嘘は世界を半周する。」
というのがありますが、まさにそれが露骨な形で実現しているのが、
現代世界の状況です。
SNSによって人々がニュースを得るようになったことは、
この状況と大いに関係があります。
調査によると、友達がシェアしたニュースサイトを、
「シェア」する人の59パーセントは、
なんとそのニュースの本文をまったく読んでいないそうです。
「マスゴミ」批判をして「伝統的メディアは嘘だらけ」、
と言っている人のほとんどは、
そもそも、新聞を読んでおらず「伝統的メディア」を、
読解する力すら持っていません。
「ネットにこそ真実がある」、みたいな言説から距離をおき、
まずは「公開情報を読み解く力」をつけることが大切です。
(456文字)



●暴力の人類史(下)

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:スティーブン・ピンカー
出版年:2015年
出版社:青土社

リンク: http://amzn.asia/0zOnvy9

▼140文字ブリーフィング:

上下巻で1,200ページを超える大作でした。
久しぶりに読後に心地よい虚脱感を覚える本でした。
この大作が言っていることはたったひとつで、
「多くの人々が思い込んでいるのとは逆に、
 人類史を通して『暴力』は一貫して減り続けている」
という主張です。
「主張」を「実証」に変えるのがデータと議論なわけですが、
まさに「骨太の議論」が1,000ページ以上展開されるわけです。
ここに要約することは不可能ですが、
リヴァイアサン(法治国家)、
権利革命、通商とグローバル化、啓蒙革命といった要素が、
複雑に絡み合って「暴力を減らしてきた」というのが著者の主張であり、
非常に説得力がありました。
(279文字)



●カモメのジョナサン 完成版

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・バック
出版年:2014年(英語初版1970年)
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/9OLaxz8

▼140文字ブリーフィング:

有名な本ですが今まで読んだことのなかった本です。
面白すぎて図書館に返した後、
自腹で本を購入しました。
2014年に著者が「40年のときを経て」、
第四章を公開した「完全版」です。

第一章から第三章までは、カモメのジョナサンが、
「飛行の高みを目指した結果俗世間を解脱して、
 高みの境地に達する」という話しです。
ドラゴンボールでいう「スーパーサイヤ人」みたいになります。
で、ジョナサンは、ソクラテスが処刑されたのと同じ理由で、
社会の不満分子と見なされカモメ社会から波紋されます。
群れを離れたジョナサンが彼を慕う「フレッチャー」という弟子に、
自分の教えを受け渡すところで、第三章は終わります。

善い物語は複数の解釈が可能ですが、
ひとつのあり得べき解釈、
というかおそらく著者の頭にもあったのは、
ジョナサン=キリスト
フレッチャー=弟子(ペテロやパウロ)という構図です。

ここまでは良い。

第四章が衝撃です。
ジョナサンは神格化され、
フレッチャーは祭り上げられ、
カモメたちはなんと教条主義に陥り神学論争を始め、
「飛行の本質」は形骸化していくのです。
引用します。

→P148〜149 
〈しばらくは、真に飛ぶことを求めるカモメたちの黄金時代だった。
大勢のカモメが、いまや神聖な鳥とみなされる
ジョナサンと直接に接した弟子に近づこうと、
フレッチャーの元に集まった。
フレッチャーはジョナサンはわれわれと変わらないカモメだった、
われわれが学べることを同じように学んだだけだと話したが、
いくら言っても無駄だった。
彼らは終始フレッチャーを追いかけ、
ジョナサンがいったとおりの言葉、そのままの仕草について聞き、
あらゆる些細なことまで知りたがった。
彼らがつまらぬ知識を求めれば求めるほど、
フレッチャーは落ちつかない気持ちになった。
ひとたび、メッセージを学ぶ事に興味を持つと、
彼らは厄介な努力を、つまり訓練、高速飛行、自由、
空で輝くことなどを怠るようになっていった。そして、
ジョナサンの伝説のほうにややもすれば狂気じみた目を向けはじめた。
アイドルのファンクラブのように。
「フレッチャー先生」と彼らはたずねた。
「素晴らしきジョナサン様は
『われわれは〈まさしく〉偉大なカモメの思想の体現者である』
とおっしゃったのでしょうか。
それとも、
『われわれは〈まぎれもなく〉偉大なカモメの思想の体現者』と?
どちらでしょう」〉

、、、どうでしょう?
既視感がありませんか?
キリスト教の形骸化ももちろんそうですが、
「翻訳文化」の日本はあらゆる分野で、
これを繰り返しているように思います。
物事の本質を求めず、
物事の「形式」を模倣しはじめるのです。
最近読んだ本では最も衝撃的な本でした。
(1,075文字)



●言語が違えば、世界も違って見えるわけ

読了した日:2017年8月25日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ガイ・ドイッチャー
出版年:2012年
出版社: インターシフト

リンク: http://amzn.asia/5DOQcLU

▼140文字ブリーフィング:

『イリアス』、『オデッセイア』の研究者である、
1,800年代に生きたグラッドストンという研究者の、
「彼らにとって海は本当に葡萄色だったのではないか」
「古代ギリシャ人の色彩感覚は現代人とは違っていたのではないか」
という仮説から著者の研究の旅は始まります。
問いの根幹は、
「世界が違って見えるから言語が違うのか」それとも、
「言語が違うから世界が違って見えるのか」
どちらなのだろうか、ということです。

グーグ・イミディル語という少数民族の言葉が興味深かったです。
彼らには「右、左、前、後ろ」という位置を相対的に現す言葉がありません。
「あなたの北に木がある」
「本のページを東のほうにめくって」と彼らは表現します。
彼らは「絶対的方向感覚」を持っているそうです。
目をつぶってぐるぐる回って地下室に連れて行っても、
どちらが北か言い当てることができる。
、、、それが分かっていないと生活できないからです。
「お母さんの北東にあるケチャップを取って、、、」
というのが日常会話ですから、北がどちらかわからないと、
会話が成立しないわけです。
彼らの絶対方向感覚は、
使っている言語と関係があります。
著者の結論は、私たちの「認知」は、
使う言語に影響を受ける、ということです。
(509文字)



●サンキュータツオの芸人の因数分解

読了した日:2017年8月26日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:サンキュータツオ
出版年:2012年
出版社:学研プラス

リンク: http://amzn.asia/5ofijzx

▼140文字ブリーフィング:

芸人のサンキュータツオさんが、
芸人の「ネタ」を素因数分解します。
たとえばこんな風に。

→位置No.291
〈ブラックマヨネーズのネタは、、、実は古典的だ。
でもそれが新鮮に映るのは二人のキャラクターの設定にある。
「ちょっと神経質な人」と「ちょっと大雑把な人」が、
次第に「かなり神経質な人」と「かなり大雑把な人」になる。
キッカケはささいな日常的な会話から、
気付いたらブラマヨ迷宮に入り込んでいるのだ。〉

グライスという人が「会話の公理」という四原則を提唱しています。
「量の公理」「質の公理」「関係性の公理」「様式の公理」
というのがそれですが、
この四原則を意図的に違反したときに笑いが起こる、
という分析が面白かったです。
グライスの本、図書館にはないので、
買おうかと試案しているほどです。
(334文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第二、第三週 『暴力の人類史 上』スティーブン・ピンカー他4冊

2018.02.08 Thursday

+++vol.026 2017年8月22日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第二、三週 8月6日〜19日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。

*今週は病気で本を読んでいませんので、
今回ご紹介するのは先々週に読んだ本です。
あと、体調が本調子になるまで、
読む本はけっこう減ると思われますので、
あらかじめご了承ください。


●仕事なんか生きがいにするな

読了した日:2017年8月7日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:泉谷閑示
出版年:2017年
出版社:幻冬舎新書

リンク: http://amzn.asia/2ekzjTg

▼140文字ブリーフィング:

著者の泉谷氏は精神科医で、
私は病気療養の初期の2014年に、
著者の「クスリに頼らなくても『うつ』は治る」に、
大きなヒントを得て以来、彼の書くものを結構読んできました。
泉谷さんは現代の精神疾患の増加の背景に、
21世紀における価値観の地殻変動を見ています。
「生きることの意義」は生産性で測られますが、
「生きることの意味」は生産性とは関係ありません。
引用します。

→位置No.1059 
〈しかし、一方の「意味」というものは、
「意義」のような「価値」の有無を必ずしも問うものではありません。
しかも、他人にそれがどう思われるかに関係なく、
本人さえそこに「意味」を感じられたのなら「意味がある」ということになる。
つまり、ひたすら主観的で感覚的な満足によって決まるのが「意味」なのです。
これを、別の言い方で説明してみましょう。
「意義」とは、われわれの「頭」の損得勘定に関係しているものなのですが、
他方の「意味」とは、「心=身体」による
感覚や感情の喜びによって捉えられるものであり、
そこには「味わう」というニュアンスが込められています。〉

「あん」という映画があります。
社会から隔絶されその「存在を末梢されてきた」
ハンセン氏病の当事者を描いた映画です。
樹木希林演じるハンセン氏病患者がこの映画の最後に、
こう言っています。

「ねえ、店長さん。わたしたちはこの世を見るために、
聞くために生まれてきた。
だとすれば、何かになれなくてもわたしたちは、
わたしたちには、生きる意味が、あるのよ。」
(629文字)

▼参考リンク:クスリに頼らなくても「うつ」は治る 泉谷閑示
http://amzn.asia/fQXvIbQ

▼参考リンク:映画「あん」
http://amzn.asia/aLhjOzO



●放射線医が語る 福島で起こっている本当のこと

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 中川恵一
出版年:2014年
出版社: KKベストセラーズ

リンク: http://amzn.asia/cpGhCeH

▼140文字ブリーフィング:

東大医学部の中川恵一先生は、
東海村のJOC臨界事故で急性放射線障害により亡くなった、
2人の作業員の方の治療に携わった放射線医です。
彼は養老孟司さんの盟友でもあり、
2011年の福島原発事故以降、
多くのデマゴーグが現れては消えるなか、一貫して、
「まっとうな科学的な発言」をし続けている勇気ある人です。
彼が言っているのはずっと「冷静になれ」ということです。
9.11同時多発テロのあと米国中の人が飛行機を避けた結果、
めちゃくちゃ多くの交通事故死(数千人単位の死者数)が起きましたが、
福島でも同じことが起きていると著者は指摘しています。
大学で「放射線学」の単位を取得した私も、まったく同感です。

→P22 
〈一方、世界のCTスキャナの3分の1が日本にあります。
これだけCTスキャナが身近にあるということは、
当然、医療被曝も多くなるわけです。
CTは病気を見つける能力が非常に高く、
日本人の長寿にプラスになっています。
用はメリットとデメリットのバランスです。
世界一医療被曝が多い日本人が
世界一長生きになっていることを忘れてはいけません。
これらを踏まえると、1ミリシーベルト以下を目指して、
除染に兆単位の予算を割くなら、
住民とのリスクコミュニケーションなどにお金を割くべきだと私は思います。
この場合のリスクコミュニケーションとは、
被災者と専門家がリスクについて話し合う双方向コミュニケーションのことです。
 、、、私も福島支援の研究班を立ち上げて、
部下のひとりに、全村避難を続けている
飯館村の松川第一仮説に住んでもらい、
福島市内に避難している飯館村役場の健康福祉課に勤務してもらってきましたが、
「リスクコミュニケーション」といった分野になかなか予算を割いてもらえない。
一方、我々から見るとムダに見える除染に莫大な予算をかけているのは、
なんともアンバランスだなと思います。〉

BSEしかり、ヒアリしかり、放射能しかり、
日本人の行動というのは合理的じゃなくて絶望的な気持ちになります。
その行動はまるで、
「高層ビルから落ちたスパナが脳天に直撃して死んだ人のニュース」
をテレビで見た次の日に、ヘルメットをかぶって出勤する人のようです。
それによって狭くなった視界による交通事故の死亡リスクは、
おそらく「スパナリスク」の100万倍以上です笑。
冗談のように聞こえるかも知れませんが、
こういうことを日本人は事象を変えては繰り返しています。
(958文字)



●ポアンカレ予想

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョージ・G・スピーロ
出版年:2011年
出版社:ハヤカワ文庫

リンク: http://amzn.asia/3Ckf9yB

▼140文字ブリーフィング:

100年間解けなかった数学の難問「ポアンカレ予想」をめぐる物語です。
リーマン予想の「素数の音楽」と違うのは、
最後にこの問題が「解けた」ことです。
2006年にペレルマンというロシア人数学者によって解かれました。
ポアンカレ予想は「リーマン予想」や「フェルマーの問題」と違い、
高校数学までの知識ではイメージできません。
「ドーナツとマグカップは同じものである」という、
位相幾何学という名の数学の分野があるのですが、
その分野に関する問題で、5次元、6次元、7次元、それ以上、、、
という高次元空間における「証明されない仮説」の話しです。
ポアンカレの大天才ぶりには驚きました。
「系に加わる微細な擾乱が大きな影響を及ぼす可能性がある」
という複雑系の論理(バタフライ効果)の原型も彼が発端だし、
位相幾何学(トポロジー)の基礎も彼が作りました。
ちなみに素粒子論の「超ひも理論」はトポロジーから来ていますから、
ポアンカレは現代の先端物理学の始祖と言えるかも知れません。
(423文字)



●暴力の人類史(上)

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: スティーブン・ピンカー
出版年:2015年
出版社: 青土社

リンク: http://amzn.asia/jc6PIeA

▼140文字ブリーフィング:

ビル・ゲイツが「私が読んだ本で最も重要な本だ」
と絶賛して話題になった本です。
上下巻で1200ページを超える大作ですので、
140文字ではブリーフィングできません。
(まだ下巻は途中ですし)
目次を以下に記します。

目次と構造
【上巻】(全652ページ)
第1章 異国
第2章 平和化のプロセス
第3章 文明化のプロセス
第4章 人道主義革命
第5章 長い平和
第6章 新しい平和

【下巻】(全579ページ)
第7章 権利革命
第8章 内なる悪魔
第9章 善なる天使
第10章 天使の翼に乗って

この本の論旨は、
「多くの思想家や社会学者や政治家の指摘とは逆で、
人類史が始まってから、暴力というのは、
一貫して減り続けている」ということであり、
欧米人らしい緻密かつ遠大な論理でそれを実証的に説明していきます。
「人類史を大づかみに語る」というのが、どうやらこの10年ほどの、
欧米社会における言論界のブームのようです。
ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原体・鉄」もそうですし、
ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」もそうです。
(432文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第一週 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ 他6冊

2018.02.01 Thursday

+++vol.025 2017年8月8日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第一週 7月30日〜8月5日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●オタクの息子に悩んでます

読了した日:2017年8月1日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岡田斗司夫
出版年:2012年
出版社: 幻冬舎新書

リンク: http://amzn.asia/8WyLBQl

▼140文字ブリーフィング:

岡田斗司夫さんはもともとアニメ業界から出てきた人ですが、
いまはFREEexという不思議な業態で活動している、
ちょっと「謎の人」です。
キワモノみたいに扱われることも多いし、
私生活で「この人大丈夫だろうか?」
というツッコミも多いですが、
頭良い人なのは間違いないです。
本書は朝日新聞の「悩みのるつぼ」という
「読者の質問コーナー」の質問に、岡田さんが答えた回答と、
その回答に至るまでの岡田さんの「思考ツール」を開陳した、
という書籍です。
当メルマガの「Q&Aコーナー」を書くにあたり、
非常に参考になりました。
もっとも共感したのは以下の文章です。

→P99 
〈(素人さんの回答は)相談に対して即答しすぎる。
文章の分析をいきなりバーッと始めて、で、
相談者にはこんなトラウマがあるんじゃないかと書いてしまう。
文章を分析するのは、正しい。
正しいんだけど、分析したらちゃんと
「じゃあ、自分の経験で似たようなものは何があるだろうか」
「本質的にこれは何なんだろうか」というのを自分の心の深部や、
論理のたぐり寄せ出ずっと遠いところまで考察しないとダメ。
「人間誰しもが持っているような普遍的な問題」
にまでいきついて、さらって帰ってこないと、考えたことにならない。
どれぐらい遠くまで行って帰ってこられるか、これがポイントなんです。〉

、、、カール・ロジャースという心理学の大家が、
「最も個人的なことは最も普遍的なことなのだ」
という言葉を遺していますが、
日本において「質問コーナー」へのニーズが常に高いのは、
日本人のなかに抽象思考が得意な人が多くないことと関係している、
と私は思っています。

岡田さんが強調しているのは、
「個々の質問」という徹頭徹尾具体的な問題を、
いちど「普遍的な問題」にまで掘り下げ、
その普遍的な問題に回答する形にして提示すると、
質問した本人だけでなく、
「その背後にいる同じような問題を抱える10万人の読者」
に伝わる、ということです。

つまり読者は、具体→抽象→具体というルートを経由して、
見ず知らずの他者の問題を、
自らの問題に引きつけることができる。

抽象を普遍と置き換えても意味は同じです。
普遍→具体の論理操作を、「演繹」といいますが、
この「演繹」が得意な日本人というのは、
私の感覚でいうと、100人に5人ぐらいだと思います。
(ちなみに具体的事例から抽象的原則を導き出す、
 これと逆の論理操作を「帰納」と言います。)

、、、ですから日本で「原理原則」をそのまま語っても、
それを日常の生活や現実の出来事に「応用」できる人は少ない。
数学の「公理」を学んでも、個々の問題が解けないのと同じです。
これができるようになるには、繰り返し繰り返し、
公理(普遍)→問題(具体)の操作を練習する必要がある。
数学の問題集、算数のドリルと同じです。
新聞やラジオや雑誌の「質問コーナー」というのは、
この論理操作の練習として優れているから、
日本では昔から人気があると私は見立てています。

(質問した他者の)具体
→(回答者が到達した)抽象または普遍
→(自分の身近な問題としての)具体’
という風に、具体と抽象の間を「一往復」させることによって、
抽象思考の苦手な私たち日本人は、
初めて自分の問題に引きつけて原理原則を応用できる。

教会の説教もこの往復ができている説教は人に伝わりますが、
「ただ真理を語れば良いのである」という教条主義に陥り、
ひたすら抽象(聖書の釈義)をひとり語りしているだけの説教は、
端的に申し上げて人の人生も社会も変えることは期待できません。
喫茶店でのおしゃべりのごとく、
ただ具体的な出来事だけを長々と語っているのも同様にダメです。
たいせつなのは「普遍と具体の間に橋を架ける」という作業です。
これをするには人並みを超えた勉強も必要ですし、
大脳新皮質を雑巾のように絞り、脳に汗をかくことも必要ですし、
自らの人生で怪我をしながら学んだ体験知が必要ですし、
最後に「愛」が必要です。

この「橋を架ける練習」として、
当メルマガの「Q&Aコーナー」も、
人の役に立てれば嬉しいと思っていますので、
ますます磨きをかけていきたいと願っています。
、、、なので皆さん、質問をどしどし送ってください!
あなたの質問は他者のためにもなります。

、、、後半は書評でも何でもなくなりました笑。
自分の思いの丈をぶつけるかたちになってしまい恐縮です。
(1,784文字)



●自分を責めずにはいられない人

読了した日:2017年8月1日 速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:片田珠美
出版年:2017年
出版社:PHP新書

リンク:http://amzn.asia/at3eU6O

▼140文字ブリーフィング:

先日、義理の兄と話したとき、
「いま読んでいる本」として挙げていて興味を持ち、
手に取りました。
著者の前著は「他人を攻撃せずにはいられない人」だそうですが、
読むと分かるのは、「自分を責めずにはいられない人」と、
「他人を攻撃せずにはいられない人」は、
「同じ人」だということです。
共通の犯人がいるからです。
それをフロイトの用語で「超自我」と言います。
自らの中にいる「怒れる風紀委員」みたいなものです。
コイツが普段自覚されず抑圧されていますと、
あるときは自罰者として、あるときは他罰者として顕現します。
そいつとどう上手に付き合うかがたいせつだよ、と著者は言います。
「そんな超自我は心病んだ人だけの問題であって、私には関係ない」
と言っている人はもっとも危険です。
なぜなら「抑圧のレベル」がそれだけ深いということですから。
(344文字)



●ネットメディア覇権戦争

読了した日:2017年8月1日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 藤代裕之
出版年:2017年
出版社:光文社新書

リンク: http://amzn.asia/fVdRnak

▼140文字ブリーフィング:

ヤフーニュース、日経電子版、LINEニュース、、、
などデジタルな「ニュース業界」というのは、
新旧入り乱れた覇権争いの泥仕合をこの数十年続けてきた、
というのがよく分かります。
入り乱れているのは新旧だけでなく「虚と実」もであり、
だからこそ昨年の世界の流行語は「ポスト真実」だったのです。
人々はもはやファクト(裏付けのある事実)には興味はなく、
自分の信じたい嘘を信じます。
そのような世界では「胸を張って自信を持って嘘を突き通す」
ことが政治的な最適解になる。
これは悪夢のような世界だと私は思いますが、
この数年間の政権与党の行動を見ていれば納得ですし、
トランプ大統領もまた、その台風の目です。
そのようなトレンドのなか、
「真実」または「真理」を求めるのは、
もはや無料でもなければ受動でも不可能です。
私たちは額に汗し、身銭を切って、
「真実を勝ち取る」ことが必要な時代となったと、
私は認識しています。

この数年私は「各種メディアがどのように作られているのか」
という「舞台裏」の本を定期的に読んでいますが、
それは何が「虚」であり何が「実」なのかという、
選球眼を養うためです。
(473文字)



●恐慌論

読了した日:2017年8月1日 ななめ読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宇野弘蔵
出版年:1953年
出版社:岩波文庫

リンク: http://amzn.asia/cHfc9Jz

▼140文字ブリーフィング:

宇野弘蔵という、かつての「労農派」の、
マルクス経済学者の古典です。
佐藤優が頻繁に宇野弘蔵を引用すること、
そして6月に読んだ「他者の倫理学」が素晴らしく、
そこにも宇野弘蔵が登場したので、
いいかげん原典に当たっておかねばと思い、
手に取りました。
結果、理解できたのは2割ぐらいです。
まだ私の「読解力の歯」は柔らかすぎました。
数年後に再挑戦したい本です。
(173文字)

▼参考リンク「他者の倫理学」青木孝平
http://amzn.asia/23zeEdw



●涼宮ハルヒの憂鬱

読了した日:2017年8月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:谷川流
出版年:2000年
出版社:角川スニーカー文庫

リンク: http://amzn.asia/4paOpFe

▼140文字ブリーフィング:

先月読んだ東浩紀の「セカイからもっと近くに」という、
サブカル界でいわゆる「セカイ系」と呼ばれる作品群について、
思想家の東浩紀氏が語ると言う内容の本を読みました。
ちなみに「セカイ系」とは、東氏の定義に従えば、
「国家や社会などの現実的な舞台設定の導入抜きに、
主人公の小さな恋愛と世界の破滅のような巨大な出来事を
短絡させる物語類型の総称」です。
「涼宮ハルヒ」は東浩紀がセカイ系を語るときに多用する作品だったので、
興味を持ち読んでみました。
なるほど「君の名は」にも通ずる物語の類型がここにある、
と感じました。
ポストモダンの世界に暮す私たちは、
「実存的で個人的な、半径2メートルの出来事」を持っている。
同時に「定義の曖昧なコスモロジーという幻想」も持っている。
しかしその間を架橋する家族もなければ社会もない。
それらを語る文体を持たず世界観を持たない、
というのが冷戦終結後の世界の実存的不安だ、
と私は理解しています。
ですから私たち(と名乗っていいのか謎ですが)宗教の役割というのは、
「一貫した世界観で社会や家族を語る話法を見いだす」ことです。
「我々は真理のみを語れば良いのだ」という教条主義に引きこもり、
社会を語ることを避けるのは明らかな怠慢であり欺瞞です。
(523文字)

▼参考リンク:「セカイからもっと近くに」東浩紀
http://amzn.asia/eLUsoWX



●りんごかもしれない

読了した日:2017年8月3日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ヨシタケシンスケ
出版年:2013年
出版社: ブロンズ新書

リンク: http://amzn.asia/6RsMSvQ

▼140文字ブリーフィング:

メルマガ読者の、
ラジオネームのりまきさんが以前勧めてくれて、
それからこの著者の絵本を読むのは2冊目です。
この「りんごかもしれない」は名作です。
机の上にリンゴがある。
これは「りんごかもしれない」。
しかし「そうでないかもしれない。」
というところから、子どもの想像力は、
何にも縛られずひらひらと羽ばたきます。
最初の「僕から見ていない部分はみかんなのかもしれない」
という一文は哲学的に深く、
じつはこれはヒュームの「因果律批判」そのものです。
(216文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年7月第四週 『プルーストとイカ』メアリアン・ウルフ 他6冊

2018.01.25 Thursday

+++vol.024 2017年8月1日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第四週 7月23日〜29日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ジャパン・アズ・ナンバーワン

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: エズラ・F・ヴォーゲル
出版年:2004年(英語初版1979年)
出版社: 阪急コミュニケーションズ

リンク: http://amzn.asia/gqDLtNP

▼140文字ブリーフィング:

この本は「コスられにコスられた」本で、
80年代のバブルや、昭和の官民一体の経済、
失われた20年などを語るとき、必ず引用されます。
私も会話や文章で何度か、
「かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたように、、、」
と言及したことがあります。
しかし、「原典」を読んでないことに思い当たり、
今回読むことにしました。
その本を読んでいないのに読んだかのように引用する、
というのは知的怠慢でもありますし、
あと、この手の「こすられすぎて誰も読まなくなった本」って、
じっさい読むと意外な発見があったりします。
私がこの本を読んで再確認したのは、
この本はまさに「定本」だということ。
「昭和の日本」を語る「話法の類型」の元ネタの多くは、
この本に端を発するのだ、ということが分かりました。
新たな発見としては、「昭和型大企業の衰退」は、
日本から富ではなく「自尊心」をうばったという認識です。
引用して説明します。

→P207 
〈このように日本の大企業は20世紀後半の要求に
上手く応えられる効果的な近代組織を作り上げたのである。
だが、これで問題が全て解消されるわけではない。
良い上司もいれば悪い上司もいるし、
退屈な仕事が与えられれば不満も起きる。
人間関係の悩みもあれば、自分が評価されない事への不満もある。
しかし国際的な尺度から言えば、
現代日本の大企業は組織として大いに成功している。
その成功の原因は、日本民族の中に流れている
神秘的な集団的忠誠心などによるのではなく、
この組織が個人に帰属意識と自尊心を与え、働く人々に、
自分の将来は企業が成功することによってこそ保証されると言う
自覚を与えているからである。
多くの日本人は、家族の一員が大企業に勤めていることに
誇りと安心感を持つが、このことが社会全体の基調となり、
政治を安定させる一因ともなっているのである。〉

、、、ヴォーゲルがここで言っているのは、
(1970年代〜80年代の)日本型大企業が成功したのは、
よく言われる「忠誠心や日本的ガンバリズム」といったものでなく、
「大企業に所属していることが人間に与える安心感と自尊心」
だったということであり、私もそれに同意します。
00年代以降、日本型大企業とそのグループ企業を軸とする、
「一億層中産階級者会」は崩れ去りました。
「ネット右翼」などの現象はその帰結だというのが私の見立てです。
かつて大企業があたえた「安心」や「帰属意識」、
「自尊心」といったものを、「国家」が代替してほしい、
というのが国家主義者の語られざる願望だからです。
しかし、それは危険な誘惑です。
この「国家」というときそれは多くの場合、
国家の権力者のことを言っているのであり、
今の自民党の政治家を観ても分かるように、
彼らが「国を守る」というときそれは、
自分の保身のことを言っていたりしますから。
切り捨てられるのは多くの場合「期待をかけた国民の側」です。
「国家」でも「大企業」でもない確かなものに、
自分の自尊心と帰属意識と安心を託せる人が、
ぶれない軸をもち生きることが出来ます。
キリスト教徒である私にとってそれは神です。
それぞれが何を選ぶかは自由ですが、
何か普遍的な価値観をもっていないと危うい時代に、
さしかかっていることは間違いありません。
(1,330文字)



●あらゆる不調が解決する 最高の歩き方

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 園原健弘
出版年:2017年
出版社: きずな出版

リンク: http://amzn.asia/0NYFit7

▼140文字ブリーフィング:

著者はオリンピックの競歩のトレーナーをしていた人です。
1に食事、2に食事、3、4がなくて、5にウォーキング、
という健康理論や、
「歩数ではなくて運動強度が問題」というのは納得しました。
(91文字)



●カメのきた道

読了した日:2017年7月28日 ななめ読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 平山廉
出版年:2007年
出版社: NHKブックス

リンク: http://amzn.asia/j5iDPnV

▼140文字ブリーフィング:

この手の「自然科学本」を私は2ヶ月に一冊ほど読みます。
自然科学の発見は思想にいろんな刺激を与えてくれますから。
中世の哲学者や神学者は自然科学にも通暁していた、
というのはおそらく偶然ではありません。
この本では、「は虫類の脳の小ささ」にもっとも驚きました。

→P25〜26 
〈カメはと言うと体重114キログラムのアオウミガメで
8.6グラムの大脳を持っていることが報告されている。
あまりにカメの脳が小さいのでちょっと心配になってしまうが、
体重205キログラムのワニ(ミシシッピー・アリゲーター)でも
脳の重さは14グラムしかない。
は虫類の脳の大きさはこんなものだと思えば良いのである。
、、、以上をまとめてみると、体重が同じ場合、
ほ乳類は恐竜も含めたは虫類の
10倍以上の大きさの脳を持つと結論できる。〉
(344文字)



●プルーストとイカ

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:メアリアン・ウルフ
出版年:2008年
出版社:インターシフト

リンク: http://amzn.asia/2dwEX7P

▼140文字ブリーフィング:

この本は立花隆の本で知りました。
変わったタイトルの本ですが、テーマは深いです。
著者はタフツ大学で言語研究をしている方で、
「プルースト」というのは「読書すること」を、
「イカ」というのは神経系を「見える化する」、
脳科学の研究を象徴しています。
つまりこの本のテーマは、
「網膜が文字を捉えてから、
背景的知識や連想も含めて想起しながら、
人間がそこに書かれた文章の意味を把握するまでの、
0.5秒間に起こる脳内の領野の活動のダイナミズムを追う」
というものです。
この0.5秒に右脳と左脳、それぞれのどの領野が、
どんな段階を経て活動するかを追っていくと、
様々な興味深い知見が得られます。

信じられないことですが、かつてソクラテスは、
「書かれた文字の流行」を憂えていました。
「このままでは若者はバカになってしまう」と。
じっさいソクラテスは「口承による伝承」をたいせつにしたので、
キリストと同じく、自ら何も書き残しませんでした。
それを書き残したのはソクラテスの弟子のプラトンでした。
プラトンはソクラテス先生の言うことも分かるが、
文字の有益性も捨てがたい、というジレンマを生きた。
プラトンの弟子のアリストテレスにいたっては、
もはや「本の虫」でした。

、、、これって、どこかで聞いた話ではないでしょうか?
そうです、いまの「ネット社会」を取り巻く現状と似ています。
ソクラテス先生はさしずめ、
「ネットのせいで若者が本を読まなくなった」
ことを憂えている世代です。
プラトンは読書の習慣はあるが、
ネットも役に立つと思ってるので、
読書の内容をインターネット経由でシェアしたりしている中間世代。
(これ、私ですね笑)
アリストテレスはといえば、もう、
子どもの頃からYouTubeとSNSに慣れ親しみ、
本よりもネットから情報の多くを取り込む世代です。

、、、じゃあ、ソクラテス先生は時代錯誤のバカなのか、
というとそうではない。
著者は、読書しているときの脳の動きを研究することで、
ネットから情報を取り込むときと、
読書しているときで、脳の動きは違うと結論します。
そこには「失われる何か」があり、
「あらたに付け加わる何か」があります。
しかし22世紀になって社会が、
「アリストテレス的ネットネイティブだらけ」になったとき、
「いったい何が失われたのか」すらも人類は、
判別できなくなるかもしれない。

最後に著者の「ソクラテス的憂慮」を引用します。
→P329 
〈私は、デジタル世界が他の人々や文化の現実と物の見方を伝える
驚くべき方法を疑問視しているわけではない。
ただ、一般の若い読み手達は、
画面に表示されている情報以上のものを得ようとする必要もなく、
すべてを手に入れられるようになってしまったために、
文章の分析やより深いレベルの意味を探ることを
時代遅れと思い始めているのではないかと思っている。
だからこそ、問いかけているのだ。
私たちの子どもたちは、文章の枠を超えて、
読字のプロセスの真髄を学んでいるのかと。〉
(1,217文字)



●スローターハウス5

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
出版年:1969年(英語初版)
出版社:ハヤカワ文庫SF

リンク: http://amzn.asia/gCsPP1f

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹がよく「人生で影響を受けた小説」として、
「グレート・ギャッツビー」と並んで挙げる作品です。
この小説はめちゃくちゃ不思議です。
SFのようでもあり、歴史小説のようでもある。
主人公が宇宙人と出会ったりするのですが、
それが主人公の脳内で起きたことなのか、
それとも実際に起きたことなのか峻別できない。

この小説の「軸」は、じつは第二次世界大戦中、
連合軍がドイツで行った空爆作戦、
「ドレスデン爆撃」です。
このドレスデン爆撃は、東京大空襲にも匹敵する、
大虐殺の悲劇であり、著者のカート・ヴォネガット・ジュニアは、
ドレスデン爆撃を、「ドイツ軍の捕虜」として体験します。
広島の原爆を捕虜として体験し被爆したアメリカ兵がいましたが、
それと同じ構図です。
その体験は、まさに筆舌に尽くしがたかったので、
彼は「物語というパッケージ」に包んで、
それを告白するしかなかったのです。

村上春樹がノモンハン事件や南京虐殺を、
小説のなかで登場人物に語らせますが、
あの手法はおそらくこの小説から学んだものだと確信しました。
「あとがき」から引用します。

→位置No.3519 
〈ただし、これまでの彼の長編すべてがそうであったように、
ヴォネガットはメイン・テーマをストレートにうちだすような
能のないことはしていない。
というより、それを正面切って書こうにも言葉がないのだ。
彼が戦時中捕虜として体験したドレスデン爆撃は、
個人の理性と感情では測ることも出来ないほど巨大な出来事なのである。
パブリッシャーズ・ウィークリー誌のインタビューで、
ドレスデンの当時の惨状をあらためて問いかける質問者に、
ヴォネガットは「覚えていない」と答えるだけである。
本書のなかで連祷のようにうんざりするほどくりかえされる
「そういうものだ」(So it goes.)という言葉
ーーおそらくそれは、くすぶる廃墟に立ったとき
彼の心に生まれた感情を表現しうる唯一の言葉であっただろうし、
いまでもそれがすべてであるにちがいない。
 、、、奇妙な構成、事実とファンタジーの混融、
空飛ぶ円盤、時間旅行といったSF的趣向、
ほとんど無性格に描かれた登場人物達ーー
しかしヴォネガットには、
このようなかたちでしか自分の体験を語る方法はなかったのだ。〉
(925文字)



●弓と禅

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:オイゲン・ヘリゲル
出版年:1948年(ドイツ語初版)
出版社:角川ソフィア文庫

リンク: http://amzn.asia/5ovdFsH

▼140文字ブリーフィング:

この本はルース・ベネディクトの「菊と刀」と並び、
よく引用される「外国人による日本論」です。
日本には「不立文字」という伝統があります。
「たいせつなことは言葉にならない」という意味です。
対する西洋は、「言葉こそすべて」と思っています。
「はじめに言葉ありき」の世界ですから。
西洋人である著者が、弓道を学ぶ過程を通して、
その「言葉にならない大切なこと」を、
それでも何とか言語化しようと格闘する姿は真摯です。
たとえば師匠が「的を射るのではない、
無となって、あなたの心の中心を射るのだ。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは「無ってなんすか?」みたいなことを聞く。
西洋人だからそういう野暮なことも聞けるのです。
師匠は「それは言葉には出来ない。
言葉に出来た時点であなたはその本質を失う。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは心の中で「は?」と思う。
、、、
みたいな、下手するとコントのような光景が繰り広げられます。
そのなかで、西洋の人が限界まで日本の不立文字を、
「文字化」しようとするとこうなるんだ、
という非常に興味深いサンプルがここに提示されています。
(462文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年7月第三週 『世界でいちばん大切にしたい会社』ジョン・マッキー 他7冊

2018.01.18 Thursday

+++vol.023 2017年7月25日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第三週 7月16日〜22日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ぼくの怪獣図鑑

読了した日:2017年7月20日
読んだ方法: Amazonで書籍購入

著者: 八木真澄
出版年:2005年
出版社: 扶桑社

リンク: http://amzn.asia/18GDOcC

▼140文字ブリーフィング:

この本は、だれでも15分で完読できます。
私は常日頃から「サバンナの八木は日本の宝だ」
と思っていまして、彼をリスペクトしているわけです。
最近のなかやまきんに君との「健康ボーイズ」のネタも、
最高に好きですが、彼の真骨頂は、その「ななめ上の発想」です。
常人の理解を遙かに超えた発想力。
というか、小学校3年生の、たとえば「浦安鉄筋家族」
みたいな脳みそが、そのピュアで(良い意味で)バカなまま、
大人になった、という、彼自身が「珍獣」なわけです。
「ぼくの怪獣図鑑」は、
「男たるもの、自分の怪獣を100個はもっとかなアカン」
という意味の分からないモチベーションから、
毎日日記のように思いついた怪獣とその説明を書いたノートを、
番組で発表したところ、「これは出版しよう」と周囲が騒ぎ、
じっさいに出版されたという本です。
100ある怪獣のひとつを紹介しますと、
「去りゆく人々」。
「とても寂しい思いをさせる」だそうです笑。
▼参考画像:「去りゆく人々」
https://goo.gl/2r9BC4

、、、ほら、ななめ上でしょ笑。
こんな感じで、トイレで笑うには丁度良い本です。
他にも彼のノートから出版された本に、
「世界の武器」というのがあって、それも興味あります。
「世界の武器」は大阪のある番組で紹介されていて、
それがもう超絶面白いです。
それから彼の「ゆるせない話」の動画もヤバイです。
仕事上の問題などで落ち込んだときは、
この動画をとりあえず見ておけば、
10分ぐらいは腹筋が痛くなるぐらい笑えます。
仕事上の問題はいっさい解決しませんが笑。
危険なので電車の中で観ないことをオススメします。

▼参考動画:サバンナ八木「ゆるせない話」
https://youtu.be/NpB6tDKnpRs

▼参考動画:サバンナ八木「世界の武器」の番組
https://youtu.be/uj9O_s7XZzg
(722文字)



●世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア
出版年:2014年
出版社: 翔泳社

リンク: http://amzn.asia/4uQrohJ

▼140文字ブリーフィング:

「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズが、
ベストセラーになったので、
それにあやかったタイトルになっていますが、
こちらの本のほうが「骨太」というか専門的です。
対象読者がまったく違う。
英語の原題は「コンシャス・カンパニー」ですから、
邦訳のこじつけ感が否めません。

この本はハーバード・ビジネス・スクールの、
ラジェドラ・シソーディアというインド系の学者と、
ホールフーズ・マーケットという、日本で言うと、
なんだろう、、、あまり該当する業態がない、
自然食品を主に販売するスーパーマーケットチェーンの創業者、
ジョン・マッキーの共著です。

140文字でブリーフィングするのはとうてい無理ですので、
ふたつだけ抜粋します。

まず、「コンシャスカンパニーの定義」について。

→P11 
〈本書執筆の主な目的は、コンシャスカンパニー
(意識の高い企業)の誕生を促すことだ。
コンシャス・カンパニーとは、
1.主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、
全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられ、
2.自社の目的、関わる人々、そして地球に奉仕するために存在する
意識の高いリーダー(コンシャス・リーダー)を頂き、
3.そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような
活発で思いやりのある文化の根ざしている会社のことだ。
こういう企業が増えれば、
だれにとっても素晴らしい世界が生み出されると
我々は心の底から信じている。〉

本書でもっともヒットしたのはこれです。
「会社よりも大きな目的」についてのジェフ・ベゾスの発言。

→P57 
〈存在目的を持つことは、
コンシャス・カンパニーになるための最初の一歩だ。
譲れない目的を持つことも、
企業を偉大な方向に駆り立てる場合がある。
アマゾンの創業者兼CEOジェフ・ベゾスは、
「会社よりも大きなミッションを選択せよ」と言った。
ソニーの創業者は、
品質で日本を世界に知らしめることを
同社のミッションと設定している。
ホールフーズ・マーケットの共同CEOである
ウォルター・ロブは、自社の存在目的を見事に表現している。
「私たちは、ある使命を持った小売業者と言うよりも、
小売業を営んでいる使命の伝道者です。
世界に自然食品と健康増進をもたらすという私たちの深い目的、
これを描くためのキャンバスが店舗なのです。」〉

これは個人の人生にも言えます。
私の人生の隠れたモットーは、
「生きている間にかなうような小さな夢を見るな」です。
私の「人生の損益分岐点」は私が死んだ後に置いていますから、
私は生きている間は「常に赤字」の人生です笑。
「死後の生」という補助線を引いたときに初めて、
合理的に行動していることが了解される。
私は人生をかけて神の国の現実を証明しようと格闘しています。
(1,118文字)



●それが映画をダメにする

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 前田有一
出版年:2017年
出版社: 玄光社

リンク: http://amzn.asia/jbCl9D9

▼140文字ブリーフィング:

私は10年ほど前から、
「前田有一の超映画批評」というサイトにお世話になっています。
「興味深い映画があるが、これは映画館に観に行くべきか否か」
とか、「DVDを借りに行くが、旧作で何がオススメか」
ということを知るために、友人のリコメンドを除けば、
彼の意見を最も参考にしています。
彼は私の知る限りこれまで本を書いてきていないので、
この本は期待して手に取ったのですが、
正直、肩すかしを食った形になりました。
内容は薄く、「薄い雑談」という感じ。
ウェブ上の文章のほうが面白いぐらいでした。
映画を切り口にした文章では当メルマガにも時々登場する、
町山智浩のほうが圧倒的に優位ですね。
でも、彼の映画評がオススメであることには変わりません。
じっさいこの本を読んで、いくつか、
「これはぜったいに観よう」という作品が増えましたし。
(335文字)

▼参考リンク:「前田有一の超映画批評」
http://movie.maeda-y.com/



●舟の右側 vol.43 2017年6月号

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=119567563

▼140文字ブリーフィング:

この雑誌は、キリスト教福音派の「業界誌」ですから、
相当に読者のターゲットは狭いです。
しかし、業界に関係ない人でも参考になることの多い、
原理原則を問うような内容になっているところが私は好きです。
今号では、ニューライフキリスト教会の、
豊田信行牧師の「教会での説教」についての考え方に、
非常に共鳴し、共感しました。

→P13 
〈説教は、40代〜60代までの現役の社会人男性が
聞くに堪えるものなのかどうかをひとつの規準にしているという。
「日本の教会に社会でバリバリ働いている男性が少ないというのは、
そういう人たちに届くメッセージを
語っていないことにも一因があると思います。
ある意味、対象としては一番難しいとも言える。
だから、そこを目指したメッセージを語ろうと思っています。
彼らが聞いて耐えうるのかどうか?
もし僕が50代の職業人で、自分のメッセージを聞いて
“時間の無駄”と思うのかどうか?
そういう視点で、とてもシビアに考えています。
そして、一番難しい世代に届けば、他の世代にも届いていくのです。」
実際、ニューライフには、
現役世代のビジネスマンや職業人が多く集っている。
「一番弱い人に合わせて語る」という意見とは真逆の考え方だが、
先のMCの証にあるように、未信者の女性が
「自分に語られている」と感じて涙する説教でもあることが、
先の豊田氏の言葉を裏付けている。 
、、、(中略)、、、
かと言って、ビジネスマンが好む
自己啓発的なメッセージをするわけでもない。
聖書そのものを語り、神の恵みを伝えていく。
「僕の三番目の弟が、
南米で日本の自動車メーカーの現地法人の社長をしています。
あるとき、彼がこう言ったんです。
『俺たちはビジネスに関しては毎日必死に考えている。
だから、自己啓発的な話を牧師から聞きたいとは思わない。
誰が疲れた身体をひきずって日曜日に教会に来て、
二番煎じの自己啓発的なことを聞きたいと思うか?
それよりも、神さまからの慰めに満ちた励ましが欲しいんや。』
その言葉を聞いて、僕の中でも吹っ切れましたね。」〉

、、、壮年の社会人(しかも男性)に向けて語る、
というのは私もいつも意識していることですし、
かといって「ビジネスセミナーの二番煎じ」
みたいなメッセージになったら、それは説教の自殺だ、
という考え方も私も同じです。
私も教会で話すことが多いですから、普段私がしていることに、
アファメーション(認証)を与えてくれました。
(982文字)



●たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる 聞く力の教科書

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:魚住りえ
出版年:2017年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/eBcuCND

▼140文字ブリーフィング:

「聴くこと」についての本を私は定期的に読みます。
以前この人の書いた、「話し方の教科書」が良かったので、
こちらも図書館で借りてみました。
すると、90%の内容は、私が普段「聴き方講座」で話していることと、
重複していました。新しい情報はほとんどなかったですが、
自分がいつも教えていることは間違っていない、
という確認にはなりました。
(162文字)

▼参考リンク:「話し方の教科書」魚住りえ
http://amzn.asia/97rnuBR



●ハイブリッド

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:木野龍逸
出版年:2009年
出版社:文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/hneiYKr

▼140文字ブリーフィング:

この本は立花隆の本で知りました。
トヨタのプリウスが世に出るまでのドラマを追った、
「産業ドキュメンタリー」です。
NHKの「プロジェクトX」を観ているような気持ちになります。
現在ではトヨタの「アクア」や「プリウス」は当たり前で、
普通に市場に流通しているハイブリッド車ですが、
技術的にはめちゃくちゃ難しいプロジェクトだったそうです。
トヨタの前会長の奥田さんの肝いりだった「プリウス」は、
量産が半年後に決定していた自転で、
なんと、10センチしか動かずエンジンが停止し、
しかもチームは「何故動かないか」も分かっていなかった。
それを市場に出したというのはまさに「奇跡」です。

→P20〜21 
〈後に海外の自動車業界から「ハイブリッドの父」と
呼ばれるようになった八重樫武久(元トヨタ自動車理事)は言う。
「欧米の自動車エンジニアは誰ひとり、
あれは二年でやったんだって言っても信じてくれません。
発売から十年が過ぎた今でも、『そんなわけはない』と言われます。
この頃は良く、『プリウスで何が一番難しかったですか?』
って聴かれるんですけど、それはちょっと違うなって思い始めたんです。
難しかったんじゃなくて、『クレイジー・プロジェクト』でした」〉
(508文字)



●アイドルはどこから

読了した日:2017年7月21日 速読
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 篠田正浩、若山滋
出版年:2014年
出版社: 現代書館

リンク: http://amzn.asia/c83mkqH

▼140文字ブリーフィング:

この本も立花隆の本で知りました。
建築家の若山さんと映画監督の篠田さんは互いに親戚で、
その二人が「居酒屋談義」みたいに話した内容を書籍にしたという、
なんとも羨ましい本です。
ただ、二人の知識や興味の広さに正直私はついていくことが出来ず、
興味深い部分だけを拾い読みした、という感じになりました。
タイトルの「アイドル」というのはつかみだけで、
その話題は日本の神話、古典文学、建築、芸術、、、、
と多方面にわたります。
こういう居酒屋談義的な雰囲気だからこそだと思うのですが、
二人は日本における「アイドル」の起源はアマテラスにある、
というところまで飛躍します。

→P91〜92 
〈篠田:、、、アマテラスが天の岩戸に隠れると、
世界は闇に閉ざされる。
神々が動揺する中、アメノウズメノミコトが現れ、
危ない衣装で舞踏を始める。男達は歓声をあげる。
その騒ぎに惹かれてアマテラスが
岩戸に手をかけた瞬間を狙って手力男が開けると、
再びこの世は光を取り戻す。
これが日本神話のハイライトで、日本芸能の起源です。
ここまで綿密に構成された岩戸開きの物語によって、
唯一神聖なるものがこの世界にはアマテラスしかいない、
天皇家がこの血統を継承する以上、
他に絶対神聖なものは存在しない、という権威が確立されます。
僕は、このアマテラスが、日本のアイドルの起源とも思う。

若山:そうですね。
どんな物理的な力を持ってしても開かなかった岩戸が、
芸能の力によって、面白さの力によって開くというのが暗示的ですよ。
たしか折口さんだったと思いますが、「面白い」という言葉は、
このときに岩戸が開いてアマテラスが顔を出したときに、
そこにいた人々の顔(面)が照らされて白くなった
と言うことから来ているんだそうですね。〉

大胆な仮説ですが確かに面白いと私は思いました。
モンスターというアイコン(偶像)を集める「ポケモン」や、
以前だと「キン消し」や「ビックリマンシール」といった、
「アイコン収集」は昭和から続く日本の子どもやオタクの、
一貫した指向性ですが、
私はインドのヒンズー教の話しを聴いたとき、既視感を覚えました。
ヒンズー教では約1,000万いる神のなかから、
「自分のお気に入りの神」を選んでそれを、
自分の車などに飾って拝みます。
これはまさに、「ビックリマンシール」ではないか、と。
日本もまた「八百万の神」の伝統がありますから、
そういった「心象風景」というか「宗教性」というのは、
宗教が衰退した今、消費文化やアイドル文化のなかに、
潜在的に存在しているのではないかと私も思うわけです。
(1,053文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年7月第二週 『僕らが毎日やっている最強の読み方』 他7冊

2018.01.11 Thursday

+++vol.022 2017年7月18日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第二週 7月9日〜15日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●僕らが毎日やっている最強の読み方

読了した日:2017年7月10日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 池上彰 佐藤優
出版年:2016年
出版社: 東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/7gxGikR

▼140文字ブリーフィング:

池上彰と佐藤優という、
「情報収集と情報発信」において、
現代日本におけるトップランナーのふたりが、
新聞、書籍、スマホ、ネット、人脈、セミナー、、、、
といった「情報」と、毎日どのように付き合っているのか、
ということが網羅されていて非常に参考になります。
ネット社会の到来は人を賢くしませんでした。
「自分は情報強者だ」と固く信じる、
大量の情報弱者を生んでしまったのです。
そのような時代に「情報の海に溺れ死なない」ために、
この本は「泳ぎ方」を教えてくれます。
買って読むだけの価値がある本です。
(241文字)



●君はまだ残業しているのか?

読了した日:2017年7月13日
読んだ方法:

著者: 吉越浩一郎
出版年:2012年
出版社: PHP文庫

リンク: http://amzn.asia/7abVvJk

▼140文字ブリーフィング:

吉越浩一郎さんはトリンプという下着メーカーの社長を、
務められた15年のあいだ、連続で増収増益を達成し、
同時に社員の残業をゼロにしたという実績を持ちます。
彼が書いた「気力より体力」という本を去年読んで感銘を受けたので、
この本を手に取りました。
どちらかというと「気力より体力」のほうがオススメかな。
(147文字)

▼「気力より体力」吉越浩一郎
http://amzn.asia/dp6OHs8



●国を愛する心

読了した日:2017年7月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:三浦綾子
出版年:2016年
出版社:小学館新書

リンク: http://amzn.asia/hUzRZ71

▼140文字ブリーフィング:

日曜日のメッセージをするにあたり、
参考図書として読みました。
驚くのは三浦綾子さんという人が、
考えていたよりずっと多く、
「政治的発言」をしていることです。
「キリスト者が政治に口を挟むな」という読者投稿への、
三浦綾子の返しは秀逸で、彼女は、
「預言者や使徒達は命を賭して政治に口を出してきたのだ。
 だからキリスト者が政治に関して発言することは、
 まったくまともなことだ」
と反論しています。
私も100%同意します。
「悪貨が良貨を駆逐する」という言葉がありますが、
信仰者が距離を置き、口を閉ざしたすべての分野で、
信仰者でない人々が影響を発揮するでしょう。
私たちはもっと政治について、お金について、
セックスについて、自然環境について語るべきです。
(315文字)



●エクササイズ2

読了した日:2017年7月14日
読んだ方法: Amazonで購入

著者: ジェームズ・ブライアン・スミス
出版年:2017年
出版社: いのちのことば社

リンク: http://amzn.asia/3vQ5AAv

▼140文字ブリーフィング:

FVIにもご助力いただいている、
カンバーランド長老教会高座教会の、
松本先生が翻訳と実践をされている、
弟子訓練シリーズの3連作の2作目です。
この本は従来の「努力と根性」のような精神論に還元するのでなく、
弟子の歩みを「物語の語り替え」「文脈の置き換え」、
「生活における実践」という3つの軸で再定義しています。
前回は最初のエクササイズが「睡眠」でしたが、
今回では「遊び」というエクササイズが面白いと思いました。
遊ぶことは霊的な行為なのです。
(217文字)

▼参考リンク:「エクササイズ」ジェームズ・ブライアン・スミス
http://amzn.asia/j1JDAmY



●多動日記

読了した日:2017年7月15日
読んだ方法: Amazonプライム一ヶ月無料本

著者: 高城剛
出版年:2017年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/eUJq4sQ

▼140文字ブリーフィング:

1ヶ月1冊無料本。
今月は高城剛の本を読みました。
ハイパーメディアクリエイターという、
言葉のインパクトが凄すぎるせいか、
毎回「ちょっとバカにしながら」読み始まるのですが、
なかなかどうして、案外面白かったりします。
少なくとも「楽しんで読める紀行文」を書く技術において、
私にはとうてい真似できない高度な技巧があります。
(156文字)



●日本礼賛ブームの謎

読了した日:2017年7月13日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 週刊東洋経済編集部
出版年:2017年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/5ROZcx3

▼140文字ブリーフィング:

これも、今週のメッセージの参考図書として読みました。
在ドバイ総領事の外務省職員の道上さんの指摘は、
「ごもっとも」です。

→位置No.650 
〈「夜郎自大という、世間知らずの自信過剰を指す言葉がある。
謙虚さという長所を損なうと日本が沈んでしまう。」
、、、外務省で初めて中韓両国で公使を務めた道上尚史氏は、
「度の過ぎた日本礼賛は日本の足を引っ張る」と警告する。〉

「日本礼賛ブーム」や「嫌韓・嫌中ブーム」は、
あまりにも趣味が悪くグロテスクなので、
私はまったく関わり合いたくないですが、
これを「外部から批判する」だけでは、この状況は変わりません。
おそらくこの根元にあるのは、「失われた20年」を通った日本の、
「深い自信の喪失」です。
「再び自信を取り戻せるように国に貢献する」ことが、
これらの動きへの唯一の処方箋であり、
それは経済的な復活もそのひとつなのですが、
それだけでなく、今ある「生」を葛藤のなかで、
どうやって、「それでも肯定」するか、
といったところもかなり重要です。
そういう価値を生み出すのは宗教の役割です。
キリスト教の仕事は大きいと私は思っています。
(473文字)



●憲法くん

読了した日:2017年7月12日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:松元ヒロ
出版年:2016年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/8ga5rzR

▼140文字ブリーフィング:

松元ヒロさんは知る人ぞ知るスタンドアップコメディアンで、
世相を風刺するコメディを、旅芸人として続けています。
「憲法くん」というのは彼のネタで、
それが本になったのがこれです。
最後に日本国憲法がすべて掲載されていました。
まじまじとじっくり「日本国憲法」を読む機会というのは、
なかなか普段ないですから、いろいろ勉強になりました。

→P41 
〈第20条 【信教の自由】
1 信教の自由は、何人に対してもこれを保証する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け
又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、
儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国およびその機関は、宗教教育その他
いかなる宗教的活動もしてはならない。〉

こういった原則がこれからも守られることを、
願ってやみません。

また憲法は国民が権力者を「縛っておく」のがその本義であり、
これを「立憲主義」といいます。
その精神は99条に凝縮されています。

→P47
〈第九十九条【憲法尊重擁護の義務】
 天皇又は摂政および国務大臣、
 国会議員、裁判官その他の公務員は、
 この憲法を尊重し擁護する義務を負う。〉

2012年の自民党改憲草案では、
99条はなんと「消失」しており、
かわりに102条に、「国民はこの憲法を守るべし」
という条項を追加しています。
主客が逆転している。
99条の内容は102条2項に「格下げ」されている。

国家権力を国民が縛るのが近代の憲法の精神ですが、
自民党の右派の人々はどうやらそれが気に入らないらしい。
自民党改憲草案はむしろ「欽定憲法」の考え方に近い。
欽定憲法なんて、戦後の先進国はどこも採用していないですから、
自民党は時間を明治に戻したいのかも知れません。

いずれにせよ、
2012年の自民党改憲草案は読めば読むほどぞっとします。
国家権力が国民の自由を制限した方が良いという、
自民党右派の本音が垣間見えるからです。
今年の秋までに出るという新しい改憲草案はどうなるのでしょう。
私たちはしっかりとウォッチしておかねばなりません。
「玄関にナチスが来たとき」はもう遅いですから。

自民党に賛成の人も反対の人も、
少なくとも改憲草案に目を通してほしい。
それこそ「市民社会の責任」です。
「自民党が何をしたいか知らないが、自民党には賛成だ」も、
「自民党の政策は知らないが、彼らには反対だ」も、
どちらも無責任な態度です。
(977文字)

▼参考リンク:改憲案102条(旧99条)
http://tcoj.blog.fc2.com/blog-entry-102.html

▼参考リンク:自民党HP「2012改憲草案PDF」
http://constitution.jimin.jp/draft/





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陣内が先週読んだ本 2017年7月第一週 『他者の倫理学』 他7冊

2018.01.04 Thursday

+++vol.021 2017年7月11日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第一週 7月2日〜8日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●データブック 日本宣教のこれからが見えてくる キリスト教の30年後を読む

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:Amazonで購入

著者:第6回日本伝道会議日本宣教170 200プロジェクト 編著
出版年:2016年
出版社:いのちのことば社

リンク: http://amzn.asia/b5tFRpv

▼140文字ブリーフィング:

この本は昨年私も参加した、
神戸で開催された「日本伝道会議6」の企画で、
東京基督教大学の先生などからなるプロジェクトチームが、
「現代のプロテスタント教会の現状把握」をする目的で、
作成した本(というよりも統計的資料に近い)です。

こういった一次資料的な仕事はとても大事で、
私たちがこれから何かを考える上で足がかりになります。
国勢調査が国策を考える上で足がかりになるのと同じですね。

私がいちばん衝撃を受けたのは、
現在のプロテスタント教会の牧師(と信徒)の平均年齢です。

→P50〜52 
〈教職者の年齢構成については、
2009年度に全国7,907教会中3,696人を対象に調査したときには、
平均年齢が61.6歳であった。
 、、、キリスト新聞社が、
2015年9〜10月にかけて実施した「戦後70年・教会アンケート」に
回答された教職者の平均データを元に平均年齢を求めたところ、
図39に示すように平均年齢は67.8歳となった。
 、、、また、70歳以上が48%近く占めており(図40)、
全体的に見れば2009年よりさらに教職者の高齢化が進み、
若返りが図られていないことを示している。〉

、、、すごくないですか?
2009年のデータで牧師の平均年齢は61歳、
日本基督教団では2015年の時点で牧師の平均年齢は68歳でした。
信徒の平均年齢も教職者と大差ないと考えて間違いない、
とも指摘されています。

あと20年経つとどうなるんでしょう?
楽観的な見通しと悲観的な見通しの二種類がありますが、
私は「楽観的な未来」を信じたいと思っています。
前者は「ゆるやかな衰退」の未来であり、
後者は「破壊的創造」「パラダイムの転換」が起きる未来です。
(697文字)



●読書脳

読了した日:2017年7月3日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:立花隆
出版年:2013年
出版社:文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/ghBvFAA

▼140文字ブリーフィング:

現代の日本に生きている「知の巨人」といえば、
佐藤優と立花隆でしょう。
この人の素養の深さはハンパではないです。
「読書脳」では、彼がこれまでに書いてきた書評が、
300冊文紹介されています。
この本は面白いと同時に危険な本です。
雪だるま式に「読みたい本」が増えますから。
(131文字)



●「他者」の倫理学 レヴィナス、親鸞、そして宇野弘蔵を読む

読了した日:2017年7月2日
読んだ方法: Amazonで書籍購入

著者: 青木孝平
出版年:2016年
出版社: 社会評論社

リンク: http://amzn.asia/23zeEdw

▼140文字ブリーフィング:

長野での休暇中に読みました。
佐藤優がこの本を絶賛していたので興味を持ったのですが、
読んで非常に良かった。
現象学とレヴィナス、伝統的大乗仏教と親鸞の鎌倉仏教、
そしてマルクスと宇野弘蔵、という3つの対比には、
後者が前者に「他者」を持ち込んだところにある、
という作業仮説を立て、著者は大胆な立論を展開します。
今年に入ってから私は150冊以上は読んでいると思いますが、
「上半期ベスト5」に入る本です。(196文字)



●異類婚姻譚

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:本谷有希子
出版年:2016年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/9f8vFzC

▼140文字ブリーフィング:

これも佐藤優が
「現代人のパーソナリティを読み解くための良い小説」
と紹介していて興味を持ちました。
2016年の芥川賞受賞作品です。
「楽をすることしか興味がない」夫の顔が、
福笑いのようにパーツがずれており、
それが自分と同じになっているのに、
主人公はある日気付いてしまいます。
この「シュールレアリズム感」はカフカの「変身」に似ていると思いました。
こちらも「変身」も実存の危機を描いたと言う意味で共通していますが、
こちらの作品にしかない要素があり、
それは現代日本の「ぶわぶわとした不安」だと思いました。
(247文字)



●夜にはずっと深い夜を

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:図書館で借りる
 
著者:鳥居みゆき
出版年:2009年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/fe9RDlO

▼140文字ブリーフィング:

質問を下さったトリッキーファウラーさんの文章を読み、
「鳥居みゆきの書いたものを読んでみたい」と手に取りました。
なるほど、文学的です。

「蝉」という詩が心に残りました。

→P116〜117 
〈蝉
月曜日に私は生まれ
火曜日に友達ができ
水曜日に友達が死に
木曜日に貴方に恋し
金曜日に貴方は死んだ
土曜日に思い切り泣き
日曜日に私も死んだ

人間よこれが私の一週間の生涯です
あなた達の長い一生
私とどちらが重いでしょう〉

こういう「メンヘラ的文章」というのは、
本当の精神疾患者には書けません。
自分のなかの「病み」を身体に受け止め、
それを言葉にまで昇華するには、
それなりのエネルギーが必要です。

そのエネルギーというのは、
健常者のそれよりもさらに強いエネルギーだったりします。
(321文字)



●ニューカルマ

読了した日:2017年7月6日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:新庄耕
出版年:2016年
出版社:集英社

リンク: http://amzn.asia/6HqsfPV

▼140文字ブリーフィング:

ネットワークビジネスに人生を絡め取られる若者の話しです。
お化けはいっさい出てきませんが、
下手なホラーよりもぜんぜん怖いです。
本当の恐怖はいつでも、人間の内部にあるのだ、
ということが分かります。
(96文字)



●腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

読了した日:2017年7月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 本谷有希子
出版年:2007年
出版社: 講談社文庫

リンク: http://amzn.asia/2Gg8ASH

▼140文字ブリーフィング:

本谷有希子、先週は2冊読みました。
こちらのほうがポップで、「荒削り」な印象です。
先週紹介した「伊藤くんAtoE」の、「伊藤くん」の、
女性版がこの小説に出てくる姉の澄伽です。
妹の清深は、この姉を冷徹な目で「研究対象」として観察するのですが、
その様子が「面白く、そして怖い」です。

引用します。

→P81〜82 
〈その中でもやはり、姉の人格を決定づけているだろう
「自分が特別である」という思い込みの激しさには目を見張るものがあった。
容姿が良いという以外、他人より優れているもののないように
思われる姉に何故あれほどの自信が存在するのか。
清深(きよみ)の研究テーマは殆どその一点に集約していったが、
どれだけ和合澄伽という人間を分析しても
正解と思える答えは見つからなかった。
「ない」という究極の答えは、清深をさらに熱狂させ、
心酔させ、没頭させた。
姉さえ観察し続けていられるならば、それだけで良いとすら思った。
やがて、、(中略)、、、清深の興味は今後姉がいかにして
現実を生きていくのかという方向へ少しずつ移行し始めた。
、、、(中略)、、、
例えば高校の文化祭で演じた舞台を、
誰もが白けた目で見ていた時。
まさに現実の厳しさを思い知る場面である。
だが驚くべきことに、姉はそれらすべての危機を
「自分は他人に理解できないほど特別な人間だ」
とさらに強く思い込むことではね除けていったのだった。
孤高の人の位置に浸り、
レベルが高すぎる演技に誰も付いて来られないのだと、
まるで疑いもしなかった。

普通なら自信を無くす場面で、姉のプライドは一層高められ、
自意識はますます強められていったのである。
だから姉が社会に出て行くことは
「姉の超自我と現実との戦いなのだ」と、清深は思った。
現実が姉を呑み込むか、姉が現実を取り込むか。
自分でもどちらに勝ってほしいのかよく分からなかったが、
その行方を見逃すわけには行かないという思いだけは確かだった。〉

、、、先週も「伊藤くん、、」で紹介しましたが、
佐藤優氏によれば現代の若者に、こういった、
「自己愛が異常なまでに強いタイプ」が増えてきている、
というのは隠れた社会問題です。

どこに解毒剤があるのか。
「受けるより与える方が幸い」
「命を失うことでそれを得る」
という聖書にある逆説的な真理がそれだ、
と佐藤氏は指摘しています。

つまり、「伊藤くん」や「澄伽」的な傾向に、
悩んでいると言う人がいたら、
その人は「人に与える」ことをするといい。
慈善団体に給料の10分の1を献金することでも良いし、
休日の一日を、町内のゴミ拾いボランティアに参加することでも良い。
自分を見つめることによっては人は幸せにはなれず、
自分から目を離すことによって健全で幸福に生きられるよう、
神は人間をあらかじめデザインされたのです。
(1,142文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年6月第四週 希望の倫理 他5冊

2017.12.28 Thursday

+++vol.020 2017年7月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第四週 6月25日〜7月1日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●イノベーションのジレンマ

読了した日:2017年6月29日(速読)
読んだ方法:図書館で借りる

著者:クレイトン・クリステンセン
出版年:2001年
出版社:翔泳社

リンク:http://amzn.asia/hmw4q2Y

▼140文字ブリーフィング:

この本は非常に有名なベストセラーです。

→P56 
〈本書は、「積極的、革新的で
顧客の意見に敏感な組織と評価された企業が、
戦略的に極めて重要な技術革新を無視したり、
参入が遅れたのはなぜか」という疑問から始まった。〉

、、、とあるとおり、ある業界の優良企業が、
なぜ「破壊的イノベーション」への対応となると、
遅きに失し、完全に市場を奪われてしまうのか、
というのがこの本のテーマです。

もっとも典型的なイノベーションのジレンマのひとつは、
SONYのMD(CD)ウォークマンにおける圧倒的優位が、
AppleのiPod(MP3音楽プレイヤー)という破壊的イノベーションに、
まったく対応できなかった、という事例です。

「ジレンマ」という言葉はまさにそのとおりで、
著者によれば、
「持続的イノベーション」(先の例ならウォークマン)にとっては、
その企業が有能であればあるほど「破壊的イノベーション」の技術を、
疎外することになってしまう、という「ダブルバインド」がある、
というのです。

21世紀に確実に起こる「破壊的イノベーション」の最大のものは、
「電気自動車が現行の内燃機関の自動車を駆逐する可能性」でしょう。
テスラモーターズがフォードを「喰う」可能性が出てきた、
ということです。

フォードやトヨタにとって「自らの有能さ」こそが、
破壊的イノベーションをおこす最大の阻害要因になっている。
著者の提案は、トヨタやフォードに引きつけるなら、
「社内起業家」のような形で小さな分社を作り、
そこに失敗を許容するような風土と、
「本体とは違う人事評価」を取り入れることで、
破壊的イノベーションの種を蒔き続けることが大切だ、
ということです。

「持続的イノベーションを前進させる」という既定路線では、
「破壊的イノベーション」を提案する従業員の提案は、
「決済過程」で必ず死んでいくし、
社員がそれによって評価されるというインセンティブがまったく働かないので、
新しいアイディアは「淘汰される運命にある」からです。
(825文字)



●希望の倫理

読了した日:2017年6月30日
読んだ方法: Amazonで書籍購入(新品)

著者: ユルゲン・モルトマン
出版年:2016年
出版社: 新教出版社

リンク: http://amzn.asia/2IUBtVO

▼140文字ブリーフィング:

現在生きている神学者で、
「最大の大御所」はこの人でしょう。
「希望の倫理」という4,000円以上するこの神学書を、
「えいやっ」とAmazonで購入したのは数ヶ月前でしたが、
心から買って良かったと思いました。
あまりにも密度が高いのでここで紹介するのは不可能です。
こういう抜粋に適した本ではないのですが、
ひとつだけ「名言」を抜粋します。

→P271 
〈貧困の反対は裕福ではなく、共同体である。
共同体において個々人は富める者となる。
つまり信頼できる友に富み、相互の援助に富み、
理念や力に富み、連帯のエネルギーに富むのである。〉

貧困の問題は「物資の不足」にあるのではなく、
「つながりの不足」にある、というのは正鵠を射ています。
著者はこの本で、「環境問題」「戦争と平和」「貧困と分配」
「再生医療と生命倫理」といった、現代の喫緊の課題について、
彼の「神学という方法論」によってあざやかに語っていきます。
すごい本でした。
(400文字)



●わかりやすい文章を書く全技術100

読了した日:2017年6月30日
読んだ方法:Amazonプライム・月一冊無料本

著者:大久保進
出版年:2016年
出版社:クールメディア出版

リンク:http://amzn.asia/hMI1bwy

▼140文字ブリーフィング:

Kindleの月一冊無料本で読みました。
私は「文章技法の本」は、相当に読んできていますから、
既にどこかで読んだことのある内容が殆どでしたが、
以下の文章は「そのとおりだ」と共感しました。

→位置No.2182 
〈自分の伝えたい内容を、
長い文章でも短い文章でも表現出来る場合がある。
短い文章で表現して、伝わりやすさが減少しないのでしたら、
短い文章で表現した方が良いでしょう。〉

、、、「オッカムの剃刀」という哲学命題があります。
ある出来事についてシンプルな説明と、
複雑な説明がある場合、シンプルな説明を採用する方が、
常に戦略として優れている、というものです。

文章においても同じで、
あることを長文でも短文でも説明出来る場合、
常に短文で説明した文章のほうが優れています。

あることを難しくも簡単にも説明出来るとしたら、
「かんたんに」説明する方が常に優れているのです。
文章を書くとは、物事を伝達するとは、
「すこしでもやさしく」する努力であり、
「一文字でも短く」するために脳に汗かくことだと、
私は理解しています。(446文字)



●伊藤くんAtoE

読了した日:2017年7月1日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 柚木麻子
出版年:2016年
出版社:幻冬舎文庫

リンク: http://amzn.asia/fEPbFdo

▼140文字ブリーフィング:

佐藤優が複数の本でこの小説について言及していたので、
興味をもって手に取りました。
この小説に出てくる「伊藤くん」は、
現代日本の若い世代に特徴的な「自己愛型人間」の、
エッセンスを凝集させたような存在だ、と佐藤優は解説していました。
引用します。

→位置No.3024 
〈「勝つよりも、世の中にはずっと大事なことがあります。
なんだと思います。誰もが見落としています。
きっとあなたには、わからないだろうな」
 、、、
「誰からも傷つけられないということなんですよ」
ゆっくりと、一語一語区切るように彼は言った。
自分で言っていることにかつてないほど確信を持っているらしく、
瞳孔が開ききっている。
「テレビも映画も小説も『傷つくことを恐れるな』
と言い続けているけど、それは強者主導のルールですよ。
傷ついても平気な顔で生きていけるのは、
恥をかいても起き上がれるのは、
ごく限られた特殊な人種だけなんですよ。
そのことに誰も気付かないから、不幸が起きるんです。
大抵の人間が夢を叶えないまま死ぬのは、
夢と引き換えにしてでも、自分を守りたいからですよ。
楽しいより、充実感を得るより、金を稼ぐより、
傷つけられない方が本当は重要なんですよ。
僕もそうです。でも、他の人と違って、
ちゃんとそれを認めているし、隠すつもりももうないんです。
自分から誰かを好きになったりしません。
自分から誰かを好きになったら、
どんな人間でも恥をかくようにできている。
あの久住君だって無様そのものじゃないですか。
誰からも下に見られたり、莫迦にされたり、
笑われたりしたくないんです。
傷つける側に立つことがあっても、その逆は絶対に嫌なんです。
そのことを認めるのに、かなりの勇気が必要でした。
我ながらみっともないと思いました。
でも、この数年で、そう決めたんですよ。」〉

、、、伊藤くんは「勝ち続け」ます。
そして人を傷つけ続けます。
傷つけるのはいいけど、傷つくのは絶対に嫌だ。
だから自分をさらさないし、そもそも「土俵に上がらない」。
「スタート地点」に立たない限りは、
負けることは永遠にありませんから。

「伊藤くん」のような人間をきっと、
私たちはみな、何人か知っているのではないでしょうか。
「強すぎる自己愛」にとらわれ、
「自信はないけどプライドは高い」人間、
「他者には情報開示させるが自分の心は絶対明かさない」人間、
そういった人間が増えてきていて、それは社会を脆弱にしている。

その解毒剤はどこにあるのか?
佐藤氏はそれは聖書にあるとおり、
「受けるより与える方が幸いである」という原則だと言います。
「一粒の麦が死ななければ実を結ばない」もそうです。
私たちは「自分から目を離すことで本当の自分になる」のであり、
「他者を愛することを通してしか真の自己愛を発見できない」
という逆説的な真理を再発見する必要があります。
(1,164文字)

▼参考リンク:「僕ならこう読む」佐藤優
http://amzn.asia/51TbMV1

▼参考リンク:「嫉妬と自己愛」佐藤優
http://amzn.asia/77EROgH



●マルクスと哲学

読了した日:2017年7月1日
読んだ方法: Amazonで購入

著者: 田畑稔
出版年:2004年
出版社: 新泉社

リンク: http://amzn.asia/aYeEhCv

▼140文字ブリーフィング:

先日紹介した、友人の土畠氏の論文、
「医学資本論」を数年ぶりに再読してみて、
自分の「知の円環」の大きなミッシングリンクになっているのは、
やはり「マルクスの思想」だということを痛感しました。
「資本論」は未読ですし、
星の数ほどある「マルクス関連本」も、
数冊つまみ読みしただけです。
土畠氏が数年前に勧めてくれたのがこの「マルクスと哲学」で、
そのときに既に買ってあったのですが読めていなかった。
今回、夏期休暇を利用してやっと読むことが出来ました。
理解出来たのは多分5割ぐらいだと思いますが、
大事なことを発見しました。
それは著者が「あとがき」に書いていることでもあるのですが、
「マルクス主義」と「マルクス哲学」は違う、ということです。
マルクスの哲学は本来「動的」で「閉じられていない未完の」哲学だった。
その「閉じられていなさ」こそがマルクス哲学の、
社会を変える強さだった。
しかしエンゲルスにはじまり、マルクスの死後多くの学者や政治家が、
マルクスという哲学を「体系化」してしまった。
体系化されることで本来開かれていたプロセスは閉じられ、
「マルクス主義」という似て非なるものになってしまった。
毛沢東主義やレーニン主義は言うに及ばず、
マルクス主義哲学者はそれこそ星の数ほどいますが、
彼らが「体系化したマルクス」は、プロセスを失った。
その「プロセス」を取り戻すことが、
著者の田畑さんの「ライフワーク」なのだということが、
この本から伝わってきました。
キリスト教も似たところがあります。
イエスの言葉をパウロが「神学的に体系化」したことで、
すでにそれは「閉じられ」はじめていたのです。
さらにアウグスティヌスにはじまる西洋組織神学は、
徹頭徹尾イエスの言葉のダイナミズムを、
「体系化していく」プロセスだったとも言えます。
イエスの言葉には世界を変える力がありますが、
閉じられた体系としての「イエス主義」には、
世界を変える力はありません。
それを取り戻す努力、というのが、
21世紀のたいせつな教会の課題のひとつだと感じます。
(834文字)






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陣内が先週読んだ本 2017年6月第三週 聖書から見る、お金と教会、社会 他4冊

2017.12.21 Thursday

+++vol.019 2017年6月27日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第三週 6月18日〜24日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●聖書から見る、お金と教会、社会

読了した日:2017年6月21日
読んだ方法: 著者に贈呈していただく

著者: 高橋秀典
出版年:2017年
出版社:地引網出版社

リンク: http://amzn.asia/bThYa67

▼140文字ブリーフィング:

先日メッセージさせていただいた、
立川福音自由教会の高橋秀典先生は、
FVIの役員としても普段からお世話になっています。
また、私が病気から回復する過程で、
「ナラティブの語り変え」という視点から、
大きなヒントを与えてくださったのも高橋先生でした。

高橋先生は牧師としてユニークな経歴を持ち、
それゆえに、「先生にしか語る事の出来ないメッセージ」を、
いつも語り、書いておられます。

本の奥付きにあるプロフィールをご紹介します。

著者紹介:
1953年、北海道、大雪山の麓で誕生。
1976年、北海道大学経済学部卒業。
学部在学中、文部省交換留学制度で米国留学。
留学中に信仰告白、帰国後、日本ルーテル札幌北教会で受洗。
1976年、野村證券株式会社に入社、札幌支店で3年間営業職。
2年間の社費留学、ドイツ・ケルン大学金融ゼミナール修了。
1981ー1985年、野村證券フランクフルト支社勤務。
1989年、聖書宣教会聖書神学舎卒業。
1989年より、東京立川市で開拓伝道、現在、立川福音自由教会牧師。
著書多数。

、、、この世界の様々な事象を捉える、
高橋先生の「切り口」はいつも新鮮で、
「経済」や「政治」など、人々の生活に直接関わる事柄について、
聖書の世界観から見るとそれはどういうことなのか、
ということをわかりやすく提示することが出来る、
私の知る限りにおいて現代の日本において、
そう多くはない資質を持つ牧師です。

現代世界に起きていることを聖書の世界観から語るには、
「聖書」と「現代世界」の両方に精通していなければならない。
橋をかけるとき、こちらの岸と向こう岸の、
両方の地理を悉知しておかねばならないのと同じです。

先生は金融の世界にいたことがあり、
なおかつ聖書の勉強もし、
カウンセラーとして人の心の中の世界にも詳しい。

だから超越的な世界と、現実の世界の間に
「橋をかける」ことが出来るのだと私は分析しています。

実を言いますと、あまり明示的には語りませんが、
私のこのメルマガも、「橋をかける」という意味では、
先生がなさっていることと目的意識を共有しています。
経験も知識もレベルはまったく違いますから、
比較するのはおこがましいのですが。

本書の中から、いくつか特にヒットしたところを引用します。

→P6〜7
〈それは、保守と革新という枠組みの対立を
超えたヴィジョンでなければなりません。
現代の政治的変化は、グローバル経済が生む問題を、
対症療法的に変えようとする運動のように見えます。
しかし、キリスト教会は、
そのような政治対立を超えた価値観を提示する存在であるべきでしょう。
そして、明確なヴィジョンの元に、
お金を賢く管理することが求められています。
イエスは二千年前のグローバル市場経済の中で、
お金について驚くほど頻繁に語られました。
そして、そのメッセージは、
現代のグローバル経済にそのまま適用できる、
古くて新しい知恵なのです。〉

、、、私たち信仰者は、「保守かリベラルか」とか、
「自由主義者か社会民主主義者か」とか、
そういった二項対立の図式のもっと奥深くを
見なければいけないんだよ、ということです。
私もまったくその通りだと思います。

「安倍応援団」も、
「アベ政治を許さない!」も両方、
著しくピントがズレています。

問題は「安倍さんがどうか」ではなく、
真理がなんといっているかです。

→P26〜27
〈ニーチェは、キリスト教の指導者達が、
人間として自然に悩むこと、
考えることをやめさせる傾向へと導いていると非難しましたが、
私たちは決してそのようになってはいけません。
この世で仕事をするということは、
矛盾のただ中に身を置くことに他なりません。
私たちは人々に、悩むべき事を
正面から悩むように語り続ける必要があります。〉


→P217
〈この世から「お金」がもたらす矛盾が消えることはありません。
しかし、私たちはそこで、お金や権力の奴隷になることなく、
キリストに倣った「新しい創造」の中にある者としての
ユニークな生き方を探り求めていく必要があります。
それは、それぞれの分野で全く違った形で現されることでしょう。
 、、、(中略)、、、
市場経済やお金の暴走を批判することは誰にでも出来ます。
聖書は、それ自体を罪悪視し、それと離れることを勧める代りに、
富と権力の奴隷にならずに、
死に至るまでキリストに忠実に生きることだけを命じます。
しかもその際、天地万物の創造主ご自身である聖霊が、
私たちの内に生き、私たちをこの世の矛盾に遣わし、
神のかたち、小さなキリストとして用いてくださいます。
タラントやミナのたとえにあるように、
神は私たちに与えられた賜物やお金を、
神の国のヴィジョンのために豊かに用いることを期待しておられます。
それは音楽家や芸術家が、
神の国の美しさをシンフォニーや芸術作品を通して現すために
日々訓練を積むことに似ています。
お金に使われずに、お金を賢く使うことが出来るための訓練も、
現実の教会には求められています。
そして、創造主なる聖霊が、
あなたに創造的なお金の管理の仕方を導いてくださるのです。〉

、、、お金はこの世の中に矛盾をもたらすことがあります。
また、この世界には不条理が満ちあふれています。
だからといってお金について語る事をやめたり、
現在の労働様式や資本主義システムを、
「外部から」批判しても何も生まれません。

リック・ウォレン牧師が説教で良く言うのですが、
「驚かれるかも知れませんが、
 福音書においてイエス様は、
 天国と地獄について語る以上に頻繁に、
 お金について語っているのです。」

信仰者はお金を避けるのではなく、それについて考え抜き、
そしてお金の使い方を通して御国の原則をこの世に提示するよう、
神から期待されているし、
この世の仕事の矛盾に「腰砕ける」のでも、
そこから「隔離される」のでもなく、
そのただ中にあって神の国を実現する者たちとして召されています。
(2,381文字)



●非暴力

読了した日:2017年6月20日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入(青空文庫)

著者:マハトマ・ガンジー
出版年:1942年
出版社:青空文庫

リンク: http://amzn.asia/29ucdaf

▼140文字ブリーフィング:

イエス・キリスト以外で最も尊敬する歴史上の人物は、
私にとってはマハトマ・ガンジーです。
彼の「非暴力による抵抗」は20世紀の公民権運動、
すなわちマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師や、
ネルソン・マンデラ大統領の偉業へとつながります。
これは「青空文庫」の無料本で、
紙の本なら5ページほどの小冊子ですが、
ガンジーが非暴力をたんなる道具としてでなく、
考え抜いた末の「戦略」として実行しているのが分かります。

→位置No.3 
〈もし我々が造物主の心を知ることさえ出来たならば、
我々は造物主が彼らを創造した意義を発見するだろう。
故に、非暴力はその積極的形式においては、
すべての生物に対する善意である。
それは純粋の愛である。
私が印度教の諸聖典や、バイブルや、
コーランの中に読むところのそれだ。〉
(340文字)



●僕ならこう読む

読了した日:2017年6月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:佐藤優
出版年:2017年
出版社:青春出版社

リンク: http://amzn.asia/51TbMV1

▼140文字ブリーフィング:

この本は、佐藤優氏が、
「他者とのコミュニケーションについて」
「愛することについて」
「信念を貫く生き方について」
「組織の怖さと残酷さについて」
「現実を見極める力について」
「運命と選択について」
という6つのテーマについて、
それぞれ2冊ずつ、つまり全部で12冊の、
小説やノンフィクション本を紹介することによって、
「読み解いていく」という一風変わった「読書の手引き」です。

いくつかのテーマで、何カ所か引用します。

▼小説やノンフィクションを読む意義について
→位置No.331 
〈小説やノンフィクションを読むと言うことは、
このように社会と時代を読み解くためのヒントを
得ることが出来ると言うことでもあります。
私たちが気がついていない問題点、
意識化できていないことに対して、
新たな認識を得るきっかけになるのです。〉

、、、小説を読むというのは、
「代理体験」です。
私たちは人生を一回しか生きられないので、
1977年の日本のサラリーマン家庭に生まれた私は、
1920年生まれの太平洋戦争に参加した兵士の気持ちを知りませんし、
シングルペアレントとなり生活保護を受ける母親の気持ちを、
理解することは出来ません。

しかし、優れた小説やノンフィクション作品は、
それらの「別の人生とそこから見える風景」を、
私たちに疑似体験させてくれます。
それが「想像力」を養い、
他者の気持ちを理解することにつながります。


▼コミュニケーション力は「教養」から生まれる
→位置No.339 
〈コミュニケーション力とは何か、
コミュニケーション力の高い人とはどういう人かと言えば、
小手先の会話術ではなく、間口の広さだと私は考えます。
相手を認め、受け容れる間口の広さ。
このことがコミュニケーション力の基本であり、
コミュニケーション力の高い人の特徴なのでしょう。
それはどこから生まれるかと言えば、「教養」だとしかいえません。
人には様々な価値観や考え方、生き方がある。
自分の考えを持つと同時に、
世の中には多くの価値観と考え方があることを知っていること。
それには結局、当たり前のようですが、
たくさんの本を読むことです。
ネットや雑誌を読むのも良いですが、
古今東西の良書、特に小説を読むことだと思います。
古典以外でも、先に挙げた二つの小説(「火花」と「異類婚姻譚」)
のような現代作家の作品は時代と社会を鋭く反映するだけに、
大いに参考になるでしょう。〉

、、、小説やノンフィクション作品によって、
自分とは違う他者の気持ちや境遇を多く疑似体験した人は、
他人の感情や思考を理解し受け容れることができます。
そういう人を「教養のある人」と言い、
小手先のノウハウよりも奥深くにある、
「ほんとうのコミュニケーション能力」というのは、
この「教養」に左右されるのだ、
と佐藤さんはここで言っています。

養老孟司が、
「教養とは人の気持ちが分かることである」
と、このことを一言で言い表しています。


▼自分でストーリーをつくれる人が強い
→位置No.1576〜1609 
〈では、選択と運命というものをどう考えたら良いでしょう。
私自身は、運命という実態が存在するとは考えていません。
運命と感じるのはそれぞれの解釈の仕方なのだと思います。
つまり、自分の選択が正しかったと解釈出来るストーリーを
後からつけることが出来るかどうか。
たとえば、医学部を目指していたが落ちてしまった。
それにとらわれて、もっといい高校に行っていたら入れたのにとか、
医者になれなかったから今のように収入が低くなってしまったとか、
自分の過去と現在、未来にまでわたって悲観したり否定したりする人がいます。
こういう人は、ストーリーのつくり方が下手だと言えます。
そうではなく、だからこそ今のパートナーに出会えた、
親しい友人を得られた、あの挫折があったからこそ今の自分がある、
などと考えることも出来るはずです。
自分の選択をあたかも導かれた運命のように感じること。
それが現状を肯定し、前向きかつ主体的に生きることにつながる、
上手なストーリーづくりなのだと思います。
 、、、(中略)、、、
(最近の若い世代は仕事や課題を
与えたときに先に正解が何かを求めたがる、
という知り合いのビジネスパーソンの話から)
ひとつひとつの選択そのものに、
最初から明確な正解や不正解があるわけではありません。
問題は、選択した後でそれが正解だったと
言えるように行動することであり、
自分なりの解釈が出来るかどうか。
つまり、「正解にしてしまう力」があるかどうかが問題なのです。
 、、、(中略)、、、
現実は偶然の断片かも知れませんが、
それを有意味につなぎ合わせる力、
良い意味でストーリーをつくり上げる力、
つまり自分の選択を正解にしてしまう力を持つことが、
この時代を生き抜く強さなのかも知れません。
その際には、やはり読書が大きな力になります。
古今東西の良書を読んでさまざまな人生を疑似体験すれば、
ストーリーを組み立てる力が高まるからです。〉

、、、引用が長くなりましたが、
最後に佐藤さんがここで言っているのは、
「物語る力」のことです。

今の時代は「時代の地殻変動期」にあり、
昨日「これが大切だ」とされていた価値体系が、
今日はまったく重要でなくなってしまうような、
価値観の激動のなか人々が不安になる社会です。

そのような時代で力を発揮するのは、
「他者の定めた価値体系の中でうまく立ち回る」
いわゆる偏差値秀才や優等生タイプではありません。
「自分でルールを設定出来る人」が、
これからの世の中を生き抜く力を持ちます。

その「ルール」あるいは「物語」の豊かさを決めるのは、
やはり「教養」です。
どれだけ「良い物語」に触れてきたかが、
「物語る力」における勝敗を分けます。

見て来たように、良い物語を読むことは、
現代社会を知る上でも、
他者とコミュニケーションする上でも、
先の見えない時代に「物語る力」を得る上でも、
有用な行為なのです。

佐藤さんの「読み解き」をのぞくことで、
「そうか、本というのはこのように咀嚼し、
 自らの血肉としていくのだ」
という風に学べるこの本は、良い読書の手引きです。
(2,475文字)



●最も危険なアメリカ映画

読了した日:2017年6月24日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 町山智浩
出版年:2016年
出版社:集英社インターナショナル

リンク:http://amzn.asia/1rOdCe9

映画評論家の町山智浩さんが、
「現代の映画の原点」と言われる古典的作品、
D.W.グリフィス監督の「国民の創生」に隠された、
白人至上主義、黒人蔑視のイデオロギーを読み解くところから始まり、
その後、様々な形で無邪気に消費されるアメリカ映画に、
ときおり立ち現れる「ある主の思想」について解説します。
その「思想」は現代において言い換えるならば、
「トランプ的なるもの」であり、
それは「白人のアメリカという神話」であり、
「反知性主義」であり、
「レーガン以降の共和党的なるもの」です。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や、
「フォレスト・ガンプ」など、私の好きな映画にも、
巧妙にそのメッセージは折り込まれている。
日本の闇の深さも相当なものがありますが、
アメリカの闇もまた、思っていた以上に深いです。
(340文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年6月第二週 「牙を研げ」佐藤優 他7冊

2017.12.14 Thursday

+++vol.018 2017年6月20日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第二週 6月11日〜17日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●セカイからもっと近くに

読了した日:2017年6月12日 後半ながし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀
出版年:2013年
出版社:東京創元社

リンク: http://amzn.asia/eLUsoWX

▼140文字ブリーフィング:

昨年大ヒットした「君の名は」は、
サブカルシーンの物語類型において、
「セカイ系」とカテゴライズされます。
先週読んで抜群に面白かった「ゲンロン0」で、
同じ著者の東浩紀が「セカイ系」に言及しているのを読み、
本書に興味を持ちました。

ちなみに「ゲンロン0」で東氏は、
「セカイ系」を以下のように定義しています。
→P97
〈脚注 ★30 、、、「セカイ系」とは、
国家や社会などの現実的な舞台設定の導入抜きに、
主人公の小さな恋愛と世界の破滅のような
巨大な出来事を短絡させる物語類型の総称で、
日本のオタク系コンテンツでは2000年代にある程度の流行を見た。〉

何を言っているのか分からない人も多いかもしれません。
しかし「君の名は」を観たという人なら、
なんとなく分かるのではないでしょうか。
「君の名は」は、タイムループする主人公同士の、
淡い恋が実るというミクロなラブストーリーと、
「巨大隕石による街の消滅」という終末的危機が、
平行し絡み合いながらストーリーが進みます。

実はこの「物語類型」は1980年代の、
「ポストモダン」の流行にそのルーツを発しており、
小説やテレビアニメ、映画などを通して繰り返されてきた、
「話法」なのだというのが東の論です。

東は第一章〜第四章までの各章で、
新井素子、法月倫太郎、押井守、小松左京、
といった作家たちを紹介しながら、
彼らがなぜ「セカイ系」の物語を紡いだのか、
それを紡ぐことにより彼らは何を乗り越えようとしていたのか、
という創作の深層を探ります。

作家達にとって「セカイ系」というのは、
60〜70年代の政治運動や「革命の時代」が終わり、
大きな物語が終焉した「父の不在」の時代において、
新しい物語を紡ごうとした格闘なのだ東は分析します。

2016年にも「君の名は」という「セカイ系」が、
メガヒットしているところを見ると、
いまだ日本は「父の不在の時代の困難」を乗り越えられていない。
言い換えると、個人が大人になり、大人が社会を形成する、
という社会論における「大人」と「社会」の両方が抜け落ちている。
だから「個人」は社会を飛び越えて終末論的飛躍をし続ける。

「ゲンロン0」は、「大人と社会」に関する提案の本です。
本書はその意味で「ゲンロン0」の副読書としても読めます。
(943文字)

▼参考リンク:「ゲンロン0」東浩紀
http://amzn.asia/14DBb72



●影の現象学

読了した日:2017年6月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:河合隼雄
出版年:1976年
出版社:思索社

リンク: http://amzn.asia/83cH0Rn

▼140文字ブリーフィング:

河合隼雄の本は私は大好きで、
3ヶ月に一度ぐらい手にとって読みたくなります。
河合氏はユングを日本に紹介した心理療法家として知られていますが、
ユングは「影」の概念の大切さを、
近代以降の西洋社会で初めて指摘した人として有名です。
ユングが指摘したのは、「啓蒙の時代」に、
西洋社会が「光」や「善」をあまりに強く志向し、
「影」や「悪」や「死」を心の奥深くに抑圧した結果、
それらが病的な形で現れているのが
「精神疾患」なのだということです。

ユングや河合氏が強調しているのは、
「影の部分を統合に取り込む」ということであり、
いわゆる「生老病死」や「闇」、「影」をなきものとして、
否認し抑圧することは危険だよ、ということです。

引用します。

→P232 
〈われわれとしては影の死や自分の死を安易に期待するよりは、
それが死ぬほどの苦しみを与えるものであっても、
影との対話を続けてゆく方が、より建設的であると思われる。〉

先日、私は立川福音自由教会の礼拝で、
メッセージさせていただきました。
そのタイトルは「夜とともに生きる」であり、
まさにこの本のテーマと一致しています。

現代は、人々がますます闇や影を毛嫌いし、
若さ、健康、豊かさ、明るさを志向する時代です。
その結果、抑圧された影がより悪しき形で表面化する、
という逆説的な状況を生んでいるように私には見えます。

このような時代に私は「闇について語ることのできる」、
数少ない人のひとりでありたい、と願っています。
(584文字)



●(日本人)かっこにっぽんじん

読了した日:2017年6月13日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:橘玲
出版年:2014年
出版社:幻冬舎文庫

リンク: http://amzn.asia/gaaRIEH

▼140文字ブリーフィング:

この本のテーマは「日本人論」ですが、
著者はあまりに博識で、文章が上手すぎるので、
「各論」に魅了されていたら読み終わってしまい、
「結局この本の構造は何だったの?」というような、
とても評価が難しい本です。

各章、各章には「なるほど」とうならされる論が沢山あり、
それを描写する筆者の文章力も相当なものがあるのですが、
全体としてそれがひとつの議論に収斂していかないもどかしさがある。

あらゆる小皿がとても美味しかったのだけど、
メインがどれだったのか分からない、
旅館などののコース料理が時々ありますが、
そんな感じです。

ね?

評価が難しいでしょ?

この本の骨子は最終的に「あとがき」にあり、
その部分を読むだけでもこの本の価値があるかもしれない。
引用します。

→P439 
〈「日本人はアメリカ人よりも個人主義的(自分勝手)だ」
「アメリカ人は日本人よりも協調的で他人を信頼する」という
”反常識”をさまざまな実験によって証明したのは
社会心理学者の山岸俊男氏で、氏の一連の著作によって
「和をもって貴しとなす」という従来の日本人感を
根底から覆されたことが本書の出発点になった。

ロナルド・イングルハートの「価値マップ」は、
社会学者・橋下努氏の著作で知った。

「日本人は世界でも突出して世俗的な国民である」
という世界価値観調査の結果はもう一つの衝撃だったが、
それは山岸氏の実験とも整合的で、
「空気」の支配は個人主義の結果だ
(拘束が強くなければ共同体を維持できない)
という仮説を裏付けるものだった。〉

、、、この本の日本人論のユニークな点は、
「共同体を重視し権威を重んじ空気を読み協調性を重んじる日本人」
というプロトタイプが、じつは嘘で、
本当のところは日本人は世界で最も個人主義的で、
世界で最も権威を軽視または嫌悪する国民だった、というのです。

イングルハートの「価値マップ」によると確かに、
日本人はアメリカ人などとは比較にならないほど、
「権威を重んじません」し、
日本人はアメリカ人とは比較にならないほど、
「他者が自分のことをどう思うか気にしません」。

気にしているように見えるのは、
「そうしたほうが自分に得になる」
という条件がそろったときだけです。
そして日本の社会は稲作相互監視社会だったので、
「人の目を気にすることが歴史を通して得であり続けた」
だけのことだ、と著者は言うのです。

じっさい、人に見られていないことが保証されているときに、
日本人がいかに野蛮に振る舞うかはネットを見れば明らかです。

では日本人が一貫して求めているものは何か?
それは「自分の得になるかどうか?」です。
超・ウルトラ・プラグマティスト(実利主義者)、
これが日本人だ、というのが著者のスタート地点なのです。

日本人が権威を重んじているのは自分に得になるからであり、
日本人が空気を読むのは自分に得になるからだ。

こういう前提から出発する「日本人論」です。
おもしろそうでしょ?
じっさい面白いのですが、
最初に言ったようにちょっと議論が散漫なところがありました。

でも十分、普段自分が思い込んでいる枠組みを外してくれる、
新しい視点をもたらしてくれる本でした。
(1,283文字)



●牙を研げ 社会を生き抜くための教養

読了した日:2017年6月17日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 佐藤優
出版年:2017年
出版社: 講談社現代新書

リンク: http://amzn.asia/c9LQUir

▼140文字ブリーフィング:

佐藤優氏がビジネスパーソンのために開催した、
「モーニングセミナー」の授業の書き起こしです。

現代のビジネスパーソンは多忙を極めますが、
仕事が始まる前の時間を使い、身銭を切って、
「教養」を学ぶために集まっている。

その人達に損をさせまいとする佐藤氏の情熱が伝わってくる内容で、
実際的にビジネスや組織内での立ち回りにも応用可能な、
アドバイスに満ちています。

「英語より数学が大切」という話しと、
「読書マトリックス」を作るという話しが、
特に面白かったので引用します。

→位置No.1000 
〈そうなってくると、コミュニケーションの核というのは、
じつは英語力ではなく、論理力です。
論理には、言語的な論理と非言語的な論理があります。
数学というのは、そのうちの非言語的な論理です。
これは第七章でまた紹介しますが、
皆さんが採用する若手の数学力がどうなっているか。
じつは東京大学、一橋大学、京都大学をのぞくと、
国立も含めて文化系において殆ど数学は
スルーできる状態になっていますから、
若手のプライドを傷つけないように十分気をつけながら、
そこの力を早めにチェックしておいて下さい。
数学力を付けておくと明らかに会社の力もチームの力も強くなります。
だから、英語よりも先に数学です。
いくら英語だけ出来るようになって
コミュニケーションをしても説得力を持ちません。
論理力を持ちません。〉

→位置No.2802〜2835 
〈個人のキャリアアップのために読書をするのはとても大切なことです。
目標を定めなければならないとよく言いますが、
その際に有効なのは、マトリックスを作ることです。
横軸としては、読書の目的すなわち、
仕事で使うために必要な読書なのか、
教養を付けるために必要な読書なのか、
趣味の読書なのか、一方で、縦軸としては、天井があるか、
つまり、ここまでやればじゅうぶんだといえる規準があるものか、
逆に、天井がないものかどうか、そのようなマトリックスが必要です。

      仕事   教養   趣味
天井あり  1    2    3
天井なし  4    5    6

、、、(中略)、、、現段階では教養の枠に入りますが、
それでも、その読書が終わった後には、
これを何らかの教材にして同志社の神学部の講義で使うことになると思います。
そうすると今度は仕事のほうにシフトする。
このマトリックスというのはいろいろシフトする。
頭の中に図を思い浮かべながら、
今、どこにいるかを考えるのは、とても重要です。〉
(973文字)



●若い読者のための短編小説案内

読了した日:2017年6月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:村上春樹
出版年:2004年
出版社:文春文庫

リンク: http://amzn.asia/etULXhW

▼140文字ブリーフィング:

タイトル通りの本です。
村上春樹が若い読者のために「短編小説の読み方」を案内しています。
具体的には以下の作品が紹介されています。
ちなみに私はこれらのどれひとつとして読んだことがありませんでした笑。
・吉行淳之介「水の畔り」
・小島信夫「馬」
・安岡章太郎「ガラスの靴」
・庄野潤三「静物」
・丸谷才一「樹影譚」
・長谷川四郎「阿久正の話」

「あとがき」に、「本の読み方」に関する、
村上春樹の持論が載っていまして、
これにはいたく共感しましたので引用します。

→P220 
〈僕はいつも思うのだけれど、
本の読み方というのは、人の生き方と同じである。
この世界にひとつとして同じ人の生き方はなく、
ひとつとして同じ本の読み方はない。
それはある意味では孤独な激しい作業でもある。
ーー生きることも、読むことも。
でもその違いを含めた上で、
あるいはその違いを含めるがゆえに、
ある場合に僕らは、まわりにいる人々のうちの何人かと、
とても奥深く理解し合うことが出来る。
気に入った本について、
思いを同じくする誰かと心ゆくまで語り合えることは、
人生の最も大きな喜びの一つである。
とりわけ若いときはそうだ。
皆さんにもおそらくそういう経験があるのではないだろうか。〉

、、、「気に入った本について、
誰かと心ゆくまで語り合えることは、
人生の最も大きな喜びの一つである」
というのはまったくもって同感です。

私の人生の「極上な至福の時間」は、
親しい友人と読んだ本について語り合うことです。
そういう時間があれば、私は「生きていける」。
その記憶は、私の心を長い間、
じんわりと温め続けます。
(660文字)



●舟の右側 vol.42 2017年6月号

読了した日:2017年6月17日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=118296810

▼140文字ブリーフィング:

前回も紹介しましたがこの雑誌は、
キリスト教の「業界誌」であり、
「月刊釣り」とか「月刊溶接」のようなもので、
一般書店では手に入りません。
しかし私は(お会いしたことはありませんが)編集長の谷口さんの、
「日本の教会にお仕えする」という情熱と使命感に共鳴していまして、
それで教会にいけば読める本誌を個人で講読し始めたのです。

今回は、日之出キリスト教会牧師の、
行澤一人(かずひと)先生による、
「コミュニティ・アソシエーション論」の考察が面白かったです。
かなり長いですが引用します。

→P8〜12 
〈問題は、不幸にも、両者の要素は
ときに衝突し合うように見えてしまうことである。
そして、共同体志向の人々は、
アソシエーション志向の人々に向かって、
目的主導型の教会形成は人々の人格的ニーズを置き去りにし、
愛することでさえも目的のための手段と考えていると批判し、
アソシエーション志向の人々は、共同体志向の人々に対して、
何のために救われ、何のために教会が世に遣わされているのか、
その使命や目的を忘れ去り、
自己満足の生ぬるさに甘んじていると
裁きのまなざしを向けるのである。

同じような対立は、教会と宣教団体、
あるいはその他パラチャーチ運動や、
ミニストリーとの間でも起こりうる。

しかし、これは、御国の資源の浪費以外の何者でもない。

私が、本稿で明らかにしてきたことは、
1.教会は、本質的に、共同体としての基礎の上に、
神が委託したもうた使命・目的を遂行するための
アソシエーションとして築かれ続けていくものであり、
両者の要素はいずれも不可欠であること、

2.確かに二つの要素は葛藤を抱え、
緊張関係に立つべきものであるが、
キリストのからだに連なる信仰によって両者は融合し、
キリストのエクレシアとして止揚されていくということ、

3.そのような止揚を支え、確証するために、
神は繰り返しキリストのエクレシアの内に
聖霊降臨のみわざをおこされ続けること、であった。〉

、、、いかがでしょうか?
共同体=コミュニティと行澤先生がここで言っているのは、
連載本文内にも出てきますが、マックス・ウェーバーの言った、
「ゲマインシャフト」の概念とほぼ同義で使っています。
そしてアソシエーションという言葉を先生は、
ウェーバーの「ゲゼルシャフト」と同じ概念として、
議論を展開しています。

キリスト教徒、非キリスト教徒に関係なく、
ゲマインシャフト、ゲゼルシャフトという言葉は覚えておいて損はないです。
両方とも「共同体」を現すドイツ語の単語ですが、
ゲマインシャフトは「家族のような生得的な共同体」を指し、
ゲゼルシャフトは「目的のために集まった機能的な共同体」を指します。
前者を共同体、後者を機能体と訳したりもします。

ゲマインシャフトにおいては、
「何の役にも立たないメンバー」に存在意義がありますが、
ゲゼルシャフトにおいてはありません。
(給料だけもらって遊んでいる人は株式会社にはいられないし、
 サッカー日本代表に運動音痴は必要ありません)

なぜこの二つの概念を覚えると有用かと申しますと、
社会に存在するあらゆる「人の集まり」は、
ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの混淆状態だからです。

家族といえどもときには一致団結して何かをしなければならない。
そのとき家族はゲゼルシャフト的に機能しますし、
会社とはいえ、時には弱いメンバーを支えるという局面が訪れる。
そのとき会社はゲマインシャフト的です。

組織をうまくリードしようとすると、
その両者を上手く折衷しつつ、局面、局面において、
上手にバランスをとるセンスが必要になります。

「教会」はこの両者が互いに100%真実である、
というバランスで存在している特殊な「人の集まり」なのです。

「弱いところをことさらに尊ぶキリストの体」として、
教会は100%ゲマインシャフトですし、
「地上における神の御心の遂行を担うべく召し集められた」
という意味で教会は100%ゲゼルシャフトです。

これを「トレードオフ」と理解すると教会は破綻します。
「がんばらなくてもいいんだよぉ〜」と言いながら歌を歌い、
社会に影響力を失っていくか、
ムキムキマッチョな機能体として、
ベンチャービジネスのようなイケイケ教会となり、
そこに「教会の本質である愛と赦し」を失うか、
という二極のいずれかに陥りやすい、ということです。

この問題は常日頃から私が考えていたことでしたので、
今回のこの記事を読んだとき、日頃の私の問題意識を整理し、
代弁してくれたような気がしました。
(1,824文字)



●医学資本論 〜現代医学システム批判〜

読了した日:2017年6月17日 再読
読んだ方法:PDFで原稿をいただく

著者:土畠智幸
発表年:2013年
北海道大学大学院 公共政策学教育部 修士論文

リンク:https://goo.gl/5iqte9
*「クリスチャン新聞」記事のリンクです

▼140文字ブリーフィング:

これは本ではなく論文です。
私の友人の土畠氏は、
札幌市にある「医療法人 稲生会」の理事長で、
現役バリバリの医師であり経営者であり、
3人のお子さんの父親でありながら、
自分とは別の分野の「修士課程」を修了し、
学位を2013年に学位を取りました。
現在はまた別の分野の博士課程をやっています。

経営者、現場の医師、父親であること、学生、
という4つの分野のどれかひとつに集中したとしても、
どれひとつとして私は彼ほどのパフォーマンスは挙げられない、
という「自信」があります笑。

人間としてのスケール感と言いますか、
「エネルギーと能力の総量」と言いますか、
そういうのがまったく違うのです。

間違って同じ年に生まれちゃったりしたので(笑)、
違いが際立つという。

彼と話すと私はいつも思うのです。
「陣内よ、39年間、
 おまえはいったい何をしていたのだ?」と。

この論文は2013年にもらって、
そのときに一度読んでいたのですが、
4年半後の今再読して驚愕しました。

当時読んで理解したと思っていたのは私の錯覚で、
当時は「理解していないことすら理解していなかった」だけでした。
再読してみて、「彼は4年前にすでにこんなところまで来ていたのか」
と愕然としたのです。

現在39歳の私は、当時35歳の彼の知識量に、
まったく及んでいない。

巻末の「参考文献」をみますと、
現在の私がやっと4年前の彼の到達点の、
「2合目」ぐらいにいるのがわかります。

「アキレスと亀」もしくは「ゼノンのパラドックス」という、
思考実験があります。

アキレスの前を亀が歩いている。
アキレスは亀の倍の速度で走れる。
アキレスが亀のいた位置に行くまでの単位時間に、
亀はアキレスが走った半分の距離前進している。
次にアキレスは亀の位置まで行く。
すると亀は「そのさらに半分」進んでいる。
、、、
という風に繰り返すと、
「アキレスは永遠に亀に追いつけない」
ということになる。

これが「ゼノンのパラドックス」です。
現実の世界ではこれはじっさい起こらず、
ある時点でアキレスが亀を抜くことは、
微分方程式によって証明可能です。

私と土畠氏の「知識の量と深さ」の関係は、
ゼノンのパラドックスの逆で、
追いかける私が亀、逃げる土畠氏がアキレスなので、
永遠に追いつかないどころか、4年半で私は、
「土畠氏がかつていたところ(2013年の論文)」が、
やっと見える位置にいます。
ということは彼は、「さらにその倍」、
前に進んでいることになる。

でもそんな彼の論文の「謝辞」に、
私の名前が載っています。
自分は何も達成していないのに、
なにか誇らしい気持ちになります。

、、、さて、肝腎のこの論文の内容なのですが、
文字数の制約があるため概説不能です(笑)。

「医学資本論」というタイトルが示すとおり、
「資本主義というシステムが抱える矛盾」を批判した、
マルクスの方法論を使って土畠氏は、
「現代医療システムが抱える矛盾」を批判します。

ここでいう「批判」というというのは、
「困ったもんだよねぇ」といういわゆる愚痴や文句の意味ではなく、
そのものの本質を捉え変革の原動力となる「内的批判」です。

現代医学の抱える矛盾というのは、
「エビデンス(症例としての患者数)」の増加が、
医学というもののシステムの中で「医学資本」として自己増殖し、
それに「ガイドライン」という形の「機械化」が起こることで、
患者はますます「エヌ(サンプル数)」としての意味合いを強め、
医者と患者はともに「疎外」され「物象化」される。

それを超克するためには何が必要なのか、
というのがこの論文のテーマです。

彼は「アソシエーションに基づく医学実践」を提唱します。
「結語」から引用します。

→P105 
〈彼らは行動を起こす。彼らはアソシエーションを形成する。
アソシエーションの中では、医師も患者もともに
ひとりの自由かつ社会的な個人として存在し、
個別の医学実践は直接的に社会的で普遍的なものとなる。
医療の在り方は、医師と患者の共同による計画により形を変えてゆく。
アソシエーションを形成するための行動が、
現代医学システムにおける内的矛盾を自覚した
革命主体の行動により量的に蓄積されると、
いずれは医療における質的な変化を引き起こす。
この結果として現れるアソシエーションを基盤とした医学実践
Asociation-Based Medicineにおいては、
もはや医師ー患者関係の物象化は存在しない。
医師と患者が疎外されることのない未来の医療への歩みとしての
「静かなる革命」は、既に始まっているのだ。〉

、、、彼のすごいところは、
革命の提唱者であると同時に、
革命の実践者であるところです。

彼が理事長を務める病院では医者は白衣を着ません。
また、医療実践者である医師や看護師と、
医療の受益者である患者の家族が一緒に症例研究をし、
それを発表したりしている。

つまりこの論文で示されている、
「医療が抱える内的矛盾による医者ー患者関係」を、
再構築し変革しようとしている。

彼が今取り組んでいることは他にも沢山ありますが、
「障害者のきょうだいを持つということは、
 どういうことなのか」ということを考えるための教材として、
「ぼくのおとうとは機械の鼻」という絵本を
作るというのもそのひとつです。

この絵本は全道の小学校の図書館に置かれるそうです。
動画がありましてとても感動的なので是非見てみてください。
(2,181文字)

▼参考リンク:医療法人「稲生会」
http://www.toseikai.net/

▼参考動画:「ぼくのおとうとは機械の鼻」
https://youtu.be/oHA2q2jE6lA






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陣内が先週読んだ本 2017年6月第一週 『ゲンロン0』東浩紀 他7冊

2017.12.07 Thursday

+++vol.017 2017年6月13日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第一週 6月4日〜10日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ダークマターと恐竜絶滅

読了した日:2017年6月4日
読んだ方法: 図書館で借りる 途中飛ばし読み

著者: リサ・ランドール
出版年:2016年
出版社: NHK出版

リンク: http://amzn.asia/fJTavll

▼140文字ブリーフィング:

3年ほど前に読んだ、
「ワープする宇宙」という本が非常に面白く、
次の著書、「ダークマターと恐竜絶滅」を手に取りました。
「ワープする宇宙」は、最新の素粒子論の「超ひも理論」とか、
「素粒子よりさらに小さなスケールでは、
 物質は『ひも』として存在し、
 それらは三次元空間ではなく四次元、五次元など、
 より高次の空間が三次元空間に折りたたまれて存在している」
という、驚くべき学説の数々にワクワクさせられました。

本作はタイトルは興味深いですが、
前作ほどの知的興奮はありませんでした。
ただ、宇宙の観察結果から分かるのは、
私たちが知っている「原子」というのは宇宙の質量のたった10%にすぎず、
残り90%は「ダークマター」と言われる宇宙にあまねく存在する、
「物質(か波動か分からないもの)」で占められている、
という有力な仮説には驚きました。
なぜこれが分かるかというと、
非常に離れた銀河が、「あるべき場所に見えない」からです。
ということは光が「曲げられている」。
曲げている正体が、ブラックホールや、
いわゆる「天体」のような「原子」だとすると計算が合わず、
「あまねく宇宙に存在する、質量をもつダークマター」だと仮定すると、
すべての計算が合致するわけです。

それと「恐竜絶滅」と、何の関係があるのか。
こういうことです。

宇宙のある時点で「オールト雲」という場所で、
この「ダークマターの重力」の影響で、
直径10キロぐらいの隕石が「とある軌道」に乗った。
「ある軌道」とはまっすぐ地球を目指しており、
それが今から6600万年前に、
ユカタン半島(中米にある)に衝突した。
それが「チクシュルーブ・クレーター」として現在知られる、
巨大なクレーターを作った。
この衝突が恐竜絶滅の直接的な原因となった、
というのはほぼ定説になっています。

、、、よって、私たちの知る「原子」とは違う、
「ダークマター」という宇宙を満たす「物質」が、
恐竜絶滅をもたらしたのだ、というのがこの本の要旨です。

引用します。

→P470〜471
〈オールト雲から見れば、
それはとくにたいしたこともない乱れだった。
一個、あるいはせいぜい数個の氷の天体が、
そこから出て行っただけなのだ。

しかし、かの偉大なる恐竜も含め、
地球上の生命の75パーセントから見れば、
自分たちに向かって進路を定めた流星物質は黙示録そのものだった。
 、、、まもなく彗星はユカタン半島に激突して、
そのターゲットを粉砕し、
地球規模の大破壊を頂点として旅を終えた。

このチクシュルーブ・クレーターをつくった衝突で、
彗星とともに衝突地点近辺の地面も蒸発し、
立ち上った地理が空中で拡散して地球全体をおおった。
炎が地表面を焼き、衝突地点の近くはもちろん、
地球の反対側の海岸線にも津波が押し寄せて、
有毒物質が雨のように降り注いでさらに多くの危害をもたらした。

食糧供給は壊滅状態で、
衝突直後をどうにか生き延びた陸生動物も、
おそらく数週間後か数ヶ月後には餓死していただろう。
地球の気候と様々な生息環境にこれだけ突然の急激な変化があっては、
大半の生物に勝機はなかった。

生き残ったのは
地中の穴に住むほ乳類と空を飛べる鳥類ぐらいで、
状況がやっと改善したときには、
まったく別の時代の不確かな未来に
ずっと生き残っていけるように、
もっと進んだ生物が現れていた。

なんとも劇的な図だが、
流星物質衝突の基本的な事実は既に十分に確立されている。
地質学者と古生物学者による多くの観測で、
6,600万年前に巨大な天体が地球に衝突したこと、
それによって地球上の75パーセント以上の生物が
死に絶えたことが裏付けられてきた。〉

(1,478文字)

▼参考リンク:「ワープする宇宙」リサ・ランドール
http://amzn.asia/j05LJQY



●たった1日で声まで良くなる 話し方の教科書

読了した日:2017年6月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:魚住りえ
出版年:2015年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/97rnuBR

▼140文字ブリーフィング:

私は仕事柄、大勢の人前で話すことが多いです。
なのでこの10年ほどは、年に数冊は、
コンスタントに「話し方」の本を読んでいます。

その研鑽の成果がどれほど出ているのかは謎ですが、
「話す」というのもやはりひとつの技術であり、
それを仕事にするからには毎年その技術が前進していなければ、
プロとは言えないと思うので、勉強を続けているわけです。

この本は現役アナウンサーが書いているので、
純粋な「技術論」が多いですが、
やはりその業界に蓄積されたノウハウからは学ぶ事が多いです。

この本でヒットしたことを二つ紹介しますと、
「録音なくして上達なし」と、
「上半身を安定させる」ですね。

引用します。

▼「録音なくして上達なし」
→P119 
〈「朗読」する前にしてほしいこと、それは「録音」です。
読み終わったら直後に聞き返してみます。
こういうとみなさん「えー」という顔をされます。
前にも述べましたが、
「自分の声の録音を聞くのは好きでない」
という人は多いですよね。
私にもよく分かります。
でも、自分を客観的に認識することが上達のための最短の近道なのです。
というより、「録音なくして上達なし」というぐらい
大事なことだと思って欲しいのです。
録音して、それを聞き返す。これを何度でも聞き返します。〉

▼「上半身を安定させて話す」
→P146 
〈話し手、とくに男性に多く見られるのが、
話しながらやたらと体を揺らすクセです。
これは直した方がいいですね。
聞き手は、体の動きを目で追いながら
話を聞くことに疲れてしまいます。
目も頭もクラクラします。
私はこれを「会話の船酔い」と呼んでいます。
会話だけでなくスピーチやプレゼンテーションのときも要注意。
上半身が安定していないために、
「落ち着きがなく、焦っている」ような印象を与えてしまうからです。〉
(739文字)



●ネット炎上の研究

読了した日:2017年6月5日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 田中辰雄・山口真一
出版年:2016年
出版社: 勁草書房

リンク: http://amzn.asia/29BTCcW

▼140文字ブリーフィング:

「バカッター」に代表されるように、
「ネット炎上事件」は後を絶ちません。
著者はネット炎上はどうして起こるのか、
そして今後、どう対策していくべきなのか、
ということを学術的に分析しています。

綿密に調べていくと興味深いことが分かってきます。
じつは「炎上」に参加したことのあるネットユーザーは、
全体の1.1%に過ぎず、ひとつの炎上事件に限定すれば、
複数回書き込みをして「炎上に火をくべて」いるのは、
全体のなんと、0.00X%のオーダー、
つまり10,000人にひとりという数だそうです。
本人に対して執拗に直接攻撃を繰り返すのはさらに少なく、
一回の炎上事件につき数人〜数十人だそうです。

ニコニコ動画に流れるコメントを考えていただくと、
わかりやすいのですが、
全体の1.1%(100人に1人)の少数派である、
「炎上参加者」は、自分達が少数派だと思っておらず、
多数派だと錯覚している。

これは「2ちゃんねる」管理人の西村博之氏や、
ドワンゴ社長の川上量生氏も証言しており、
彼らによれば、「空前の炎上事件」が起きているとき、
数人のアカウントを消去すると、
すべての炎上コメントが消えてしまうこともあるという。

著者らが問題にしているのは、
たった数人〜数十人のもたらす「炎上」のコストの大きさです。

「炎上が怖い」と思うから、
「サイレントマジョリティ」と言われる、
良識的で中間的な意見を持つ社会のボリュームゾーンが、
サイバー空間での発言を控えるようになってします。

かくして、FacebookやTwitterや2ちゃんねるなどの、
情報空間は「極右」か「極左」しか残らなくなる。
それを「傍観」している穏当な人々は思う。

「いつの間に社会は極右と極左しか、
 いなくなってしまったのだろう?」と。

しかしそうではなく、
実際には「極右」と「極左」というのは、
それぞれネットユーザー全体から見ると、
「極端な1%」を占めるにすぎない。

標準偏差という、凸グラフは誰でも見たことがあるでしょう。
社会のいろんな物事について縦軸に人数、
横軸に意見の「左右」をとった場合、
それは標準偏差的に分布します。
つまり富士山のように、
極左と極右は少数派、
真ん中ぐらいにボリュームゾーンが来る。

しかし、「炎上」がそれにゆがみをもたらす。
良識的な人は「炎上」に関わり合いたくないですから、
そもそもネットで発言するということを控える。

このようにして極端な意見を持つ、
「情報テロリスト」だけが発言を続けます。
(一昨年、「自己管理出来ない人工透析患者は殺せ」と発言した、
元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を思い出してください。
、、、もしくは、シンプルにトランプ大統領を思い出してください笑)

かくして、傍観者から見ると、
社会は「両極に人数が多い」凹型のグラフに見える、
というわけです。

これが「炎上のコスト」だと著者らは言います。

つまり小数のテロリストの存在によって、
何千万人という善良な市民が空港の手荷物チェックに、
3時間も並ばなければならなくなった状況に似ていて、
これは「なんとかしなければならない」と。

著者らの提案は、
「サロン型SNS」というところなのですが、
文字数が行きすぎたのでそれは端折ります。

、、、しかし、この「サロン型SNS」を読みながら、
私は「あぁ、私がメルマガでしたいのはまさにこれじゃないか」
と思いました。

ある時期から私も、
ネットで不特定多数に向かって発信することの、
メリットをデメリットが上回ると感じるようになってきた。
「不毛だなぁ」とどこかで思いながら、
ブログを更新している時期があった。

私なりに何年も考えて出した答えが、
「登録型の無料メルマガ」だったわけですが、
それが、専門の研究者らの提案に近いものだった、
ということに少し勇気をもらいました。

「うん、これでいいんだ。」と。
(1,558文字)



●現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

読了した日:2017年6月6日 ななめ読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:アライドアーキテクツ株式会社 ソーシャルメディアマーケティングラボ
出版年:2013年
出版社:マイナビ出版

リンク: http://amzn.asia/4Ih4DAm

▼140文字ブリーフィング:

私はFacebookに二ヶ月に一回ぐらいしかログインしない、
「幽霊部員ユーザー」です。
特に病気療養をしてからというもの、
Facebookのタイムラインを眺めていると、
なんか新宿南口を歩いているような「人酔い」をするようになった。
それ以来、アカウントが乗っ取られていないことの確認と、
連絡先を知らない人の検索ぐらいの目的でしか、
Facebookを見ることはありません。

そんな私がなんでこんな本を読むのか。
それはFVIはFacebookページを持っていますし、
あと、メルマガを機軸に情報発信をしていくにしても、
FacebookやTwitterなども今後連携していくことは、
どこかの時点では訪れるだろうと思っているからです。
この本は基本的な内容すぎて、
目新しい情報はあまりありませんでしたが、
「おっ」と思ったことを二つだけ紹介しておきます。

▼「Facebookの投稿は、書籍より記憶に焼き付きやすい」
→P33 
〈英ウォーリック大学のローラ・ミキズ氏が率いる研究チームは、
Facebook上の投稿は一般的な本の文章より1.5倍、
人の顔よりも2.5倍も記憶に残りやすいという研究結果を発表しています。〉

、、、FBの投稿は書籍の1.5倍記憶に焼き付きやすい。
言われてみると確かにそうかもしれないですね。
今でも覚えている、友人の心温まる投稿がいくつかあります。


▼「投稿の前に注意すべきこと」
→P148〜149 
〈・信用してもらえるか?
ユーザーは発信元が信頼できない情報に共有したりシェアしたりしません。
信用して貰う第一歩は、「正直で、オープンであること」です。
ネガティブなコメントが付くことを恐れて真実を隠してしまったり、
過剰に良く見せようとしたり、嘘をついてはいけません。

・傷つく人がいないか?
「いいね!」やシェアされた投稿は
前後の文脈から離れて単独で伝搬します。
前提条件や例外などの注意書きがなくても、
誤解を与えたり、傷ついたりする人がいないか、
投稿前に十分見直しましょう。

・印象に残るか?
残念ながら、ユーザーは最初から、
あなたのブランドのことを長期的に覚えていることはありません。
ユーザーが気にかけているのは
「そのブランドが私に最近何をしてくれたのか?」
ということです。
ユーザーにとって興味・関心の持てる価値ある情報を、
継続的に発信しなくては忘れられてしまいます。

・Facebookユーザーの興味ある話題か?
ユーザーは価値ある情報やお得な情報、
同じ興味分野を持つ人との出会いを求めています。
彼らがどのような話題に興味や関心を持っているのかを知り、
共通の話題で交流できるコミュニティを提供しましょう。

・独りよがりの投稿になっていないか?
大切なのは、「自分が伝えたいこと」ではなく、
「ユーザーが知りたいこと、ユーザーが求めているもの」
を徹底的に考えることです。〉

、、、これは「情報発信」の基本ですね。
Facebookに限ったことではありません。

人を傷つけず、
嘘をつかず正直で率直な発言をする。
印象に残るよう言葉を選ぶ。
自分ではなく相手に興味ある話しをする。
独りよがりな話しをしない。

、、、これはSNSだけでなく会話の基本です。
(1,277文字)



●教養としてのゲーム史

読了した日:2017年6月6日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:多根清史
出版年:2011年
出版社:ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/dPQCPwH

▼140文字ブリーフィング:

インベーダーゲーム、パックマンから、
プレステ3に至るまで、
「ゲーム」がどのように「進化」してきたか、
という概略を語るという意欲作。
部分部分は面白かったのですが、
もっと現代思想の話しとかを絡めながら、
哲学的な話しをしてくれる本だと思っていたので、
少し期待外れでした。
(132文字)



●乳と卵

読了した日:2017年6月7日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:川上未映子
出版年:2010年
出版社:文春文庫

リンク: http://amzn.asia/7vNhkQj

▼140文字ブリーフィング:

先日読んだ「みみずくは黄昏に飛びたつ」という、
川上未映子が村上春樹にインタビューする本を読み、
彼女に興味を持ちました。
川上さんは2007年の芥川賞受賞作家で、
「乳と卵」はその受賞作です。
「みみずく、、、」の中で村上さんは、
「あの本は文体がすべて」と、その文体を称賛していました。
確かにこれは、彼女にしか書けないと思います。
どことなく「女性版・村上龍」のような感じがしました。
破壊衝動と内的なくすぶりを描くのが巧い。
それでいて終始漂う「滑稽さ」があります。
関西弁を交えながら「おかしさ」がそこにあるのですが、
それは「切実な滑稽さがかもしだす悲劇性」みたいなものに近く、
去年の芥川賞受賞作「コンビニ人間」にも通ずるものがあります。
(313文字)

▼参考リンク:「みみずくは黄昏に飛びたつ」
http://amzn.asia/4LyZbZ4

▼参考リンク:「コンビニ人間」村田沙耶香
http://amzn.asia/ftJkge5



●ゲンロン0

読了した日:2017年6月8日
読んだ方法:Amazonで書籍購入

著者:東浩紀
出版年:2017年
出版社:株式会社ゲンロン

リンク: http://amzn.asia/jh4QWE0

▼140文字ブリーフィング:

この本は「すごかった」です。
「今年一番」かもしれない。
「素数の音楽」も「騎士団長殺し」も面白かったけど、
まったく違うベクトルで、突出していました。
内容は「ブリーフィング不可能」です。
申し訳ないのですがまたいつか、別の機会にゆずるとします。
10,000字あっても「まとめる」というのは不可能な感じですが、
まったく内容を説明しないというのも不親切なので、
すこしだけ触れておきます。
現代の社会というのは日本でも世界でも、
保守陣営にもリベラル陣営にも欺瞞性があり、
前に進めない特有のフラストレーションを人々は抱えています。
目に見える現象だけを追いかけてもその理由は分からず、
「保守」も「リベラル」もそれを論理的に支える思想的な枠組みが、
古くさくなってきており、それに変わる思想が現れていないからだ、
と東さんは指摘している。

それを彼は「コミュニタリアン」と、
(保守の言うような
 「家族としての国家の復活」を目指す復古趣味。
 安倍首相や石原元都知事をイメージしてください。)
それの真逆にある「リバタリアン」の、
(世界を「自由な個人の集まり」だとし、
自由な経済活動がすべてだとするもう一つの極。
「最近ではなく前期の」橋下徹元大阪府知事や、
堀江貴文さんをイメージしてください。)
究極の二者択一を突きつけられている、
現代の「キツさ」として描写している。

「自由と引き換えに連帯を!」というコミュニタリアンと、
「自由でアトム的個人が弱肉強食の世界を作るのの何が悪い」
という競争原理主義をかかげ開き直るリバタリアン。
この二つぐらいしか「オプション」がない。

日本の政治はいろいろユニークなので、
この対立の構図が見えづらいです。
自民党はコミュニタリアン的ですが、
「自由経済」を標榜しており、
民進党もまた、じつはコミュニタリアン的です。
もうひとつの極であるリバタリアンの政党は、
「大阪維新の会」だけですが、ここもまた、
個人レベルでは国家主義的な人脈とつながったりして、
いったいどこへ行きたいのか分からない。

しかし思想的に整理すると、
「国家主義的な日本」か、
「グローバル資本主義の中で個人が生き残っていくための、
 リバタリアン的な日本か」の二極しか、
現実的な選択肢としては存在しない。

「第三の選択肢」があっても良いのだけど、
共産主義の挫折以降、思想的に分厚い根拠を持つような、
第三の「世界像」は誰も描けていないし、提案できていない。
それが現代世界の生きづらさの裏側にはあり、
彼は「第三案」を哲学の世界から模索しようとしている。

ドン・キホーテが風車に立ち向かったように、
現代世界の突きつける圧倒的な壁を前に、
「ニヒリズム」に陥ることなく、
「馬鹿にする奴はすればいい」とばかりに、
哲学の側から風穴を開けよう立ち向かう彼は単純に、
「かっこいい」です。
(1,153文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年5月第五週 米中もし戦わば 他3冊

2017.11.30 Thursday

+++vol.016 2017年6月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第五週 5月28日〜6月3日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●みみずくは黄昏に飛びたつ

読了した日:2017年6月1日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 川上未映子 村上春樹
出版年:2017年
出版社: 新潮社

▼140文字ブリーフィング:

この本は非常に面白く、夢中で読みました。
「騎士団長殺し」を書き終えた村上春樹に、
2008年に「乳と卵」で芥川賞を受賞した若手の作家、
川上未映子がインタビューします。

まず何よりも、川上未映子の勉強量がハンパではない。
彼女は私と同世代(76年生まれ)の作家で、
おそらく村上春樹のファンでもあるのですが、
事前に作品をめちゃくちゃ読み込んでいる。

インタビューするからには、
その人の過去に書いたものや、その周辺情報を、
少なくとも予習してから臨まないと失礼だし、
プロの仕事とは言えない、というのは当然なのですが、
その入れ込み方がハンパではない。

しまいには、村上春樹が自身の作品について、
「あの短編のあの双子の女の子、なんて言ったっけ?」
と聞き、川上未映子が、
「○○と●●です」と答えている始末(笑)。

村上さんは
「あーそうそう、その子がさぁ、、、」
なんてしゃべっている。

「騎士団長殺し」には「イデア」という言葉が出てきますが、
そのために川上未映子はプラトンの「国家」と「饗宴」を、
予習してきている。

村上春樹にそれを言うと、
「えー、すごいね、僕プラトンなんて
 読んだことない。」
川上さんは「ほんとかなぁ(笑)」
みたいなやりとりがあったり。

川上未映子のプロ意識に、
同世代として素直に感嘆し尊敬しました。
「乳と卵」を読んでみようと思いました。

私はこれまで村上春樹がインタビューされて語る、
という形式の本や雑誌をいくつも読んできていますが、
村上春樹は基本的に「クールな」人間です。
いつも淡々としていて、人を煙に巻くようなところがある。
野球監督で言うと落合監督のような(笑)。
絶対に、原監督や栗山監督ではない。

どちらかというとインタビューされるにあたり、
村上さんは「ここまでしかしゃべらないぞ」と、
自戒して臨んでいるのではないか、
と受け取れるフシすらある。

、、、しかし、この本では、なんと、
「あの」村上春樹が、乗せられてるんです。
で、ちょっと熱を帯びてしゃべっている。
「しゃべりすぎて」しまっている。

こんな村上春樹を私は初めて見ました。
川上未映子の勉強量が、村上春樹の中の「何か」を、
刺激したのでしょう。

人から話を聞き出すインタビュワーの教科書としても、
この本は読むことができます。

面白い箇所がたくさんあったのですが、
ひとつだけ紹介します。

→位置No.1176〜1185 
〈川上:、、、オウム真理教だって物語があったわけですよね。
もっというと、「物語なんて、小説なんて、
そんなの嘘だし下らないから読まないよ」と言いながら
自己啓発本を読んでいる人たちも、
自己啓発という名の物語を読んでいるわけです。

村上:トランプ大統領がそうですよね。
結局、ヒラリー・クリントンって、
家の一階部分に通用することだけを言って負けて、
トランプは人々の地下室に訴えることだけを言いまくって、
それで勝利を収めたわけ。

川上:なるほど。

村上:なんていうかな、デマゴーグとまでは言わないにせよ、
古代の祭司みたいな感じで、
トランプは人々の無意識をあおり立てるコツを心得ているんだと思う。
そしてそこではツイッターみたいな、
パーソン・トゥー・パーソンのデバイスが
強力な武器になっている。
そういう意味で彼は、その論理や語彙はかなり反知性的だけど、
そのぶん人々が地下に抱えている部分を
とても戦略的に巧みに掬(すく)っている。
論理的な世界、家の喩えでいうと一階部分の世界が
それなりの力を発揮している間は押さえら込まれているけど、
一階の論理が力を失ってくると、
地下の部分が地上に吹き上げてくる。
もちろんそのすべてが「悪しき物語」であるとは言えないけれど、
「善き物語」「重層的な物語」よりは
「悪しき物語」「単純な物語」の方が、
人々の本音により強く訴えかけることは間違いないと思います。
麻原彰晃の提供した物語も、
結果的には間違いなく「悪しき物語」であったし、
トランプの語っている物語もかなり歪んだ、
どちらかといえば「悪しき物語」を
引き出していく要素をはらんでいるのではないかと僕は感じている。〉


、、、村上春樹はよく、
「地下一階と地下二階」の話しをします。

人間の精神生活というのは家に喩えられると。

一階はそこで人と挨拶をしたり、仕事をしたりする場所。
二階はプライベートな空間であり、
そこで私たちは思索をしたり、
本を読んだり音楽を聴いたりする。

それだけでなく人間には地下があると村上さんは言います。
地下一階は過去のトラウマや自我の葛藤がある。
実は多くの日本の私小説や純文学というのは、
地下一階を取り扱っているのだ、と村上さんは指摘しています。

、、、「僕は地下二階に降りていく特殊技能がある」
というのが村上さんがしばしばいっている事です。
つまり「自我の葛藤や実存の不安」という地下一階よりも、
さらに深い部分が人間の心の中にはある。

それは古代の物語や、神話のようなものともつながっていて、
「論理が通用する世界」ではない。
地下二階にあるものは体系化し論理化することができないから、
「物語」という容れ物に入れて人に届けるしかない。
それが僕が小説を書く理由なのだと。

ユングのいう「集合的無意識」の概念とも近いです。

、、、ここで村上さんが言っているのは、
2016年の米国大統領選で起こったことは、
ヒラリーは一階部分(建前)と、
せいぜい地下一階部分(論理化できる葛藤)の部分を、
提示することしかできなかった。
しかしトランプは「地下二階に響くメッセージ」を、
語る事に成功した。

「地下一階」は理性に、
「地下二階」は感情に響きますから、
「地下二階」が勝ったのだ、と村上さんは分析します。

いろんなことが腑に落ちた気がしました。

さらに村上さんは、地下二階の物語には、
「善き物語」と「悪しき物語」があり、
小説家の役割は「善き物語」をくみ上げることなのだ、
と言っています。

悪しき物語に対抗するのは、
悪しき物語を破壊することではなく、
善き物語を語ることなのだ、ということです。

なんと、又吉直樹もほぼ同じ主旨のことを、
「夜を乗り越える」という本で語っています。
直接的に政治的発言をするよりも、
「物語を語ること」のほうが結果として長期的には、
世の中に強く訴えかけるのだ、と。
(2,528文字)


▼参考リンク:「夜を乗り越える」
http://amzn.asia/2asZcRu



●ユダヤとキリスト教に学ぶ成功哲学

読了した日:2017年6月1日
読んだ方法: Amazonプライム特典月一無料本

著者: 金山 慶允
出版年:2017年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/8p5FAy2

▼140文字ブリーフィング:
薄っぺらい内容の本でした。
章と章のあいだには、「無料動画セミナーメルマガ」という、
カネの匂いがプンプンする、
怪しげなリンクが貼ってあります。
こういう場合の「カネの匂い」というのは、
主催者が儲かるという意味であって、参加者は搾取されます笑。
2ページ目ぐらいで「引き寄せの法則」という言葉が
出てきたときから嫌な予感がしたのですが、
その予感は的中しました。
「引き寄せの法則」という言葉が登場する本は駄作、
というのは、もうそろそろ定式化しても
良いのではないかと思います笑。
(232文字)



●米中もし戦わば

読了した日:2017年6月2日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ピーター・ナヴァロ
出版年:2015年
出版社: 文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/hF7rpRg

▼140文字ブリーフィング:

カリフォルニア大学教授の著者は、
トランプ大統領の政策顧問でもあります。
「中国は平和的に台頭するか、
 それとも近未来のいずれかの時点で、
 現覇権国であるアメリカと交戦するか?」
という「問い」から発し、
本書では様々な具体的な「問い」に答える形で、
今後の米中関係ひいては国際情勢を分析します。

最初の問いに対する著者の答えはちなみに、
「かなりの可能性で戦争が起こる」になります。
それは「トゥキュディデスの罠」によって説明可能だと。

→P12 
〈かつてのアテネとスパルタのように、
中国とアメリカは「トゥキュディデスの罠」へと
真っ逆さまに落ちていくのだろうか。

「トゥキュディデスの罠」とは、
紀元前五世紀のペロポネソス戦争に由来する言葉である。
『ペロポネソス戦争史』を著した
古代アテネの歴史家トゥキュディデスは、
この戦争の原因をこう述べている。
「戦争を避けがたくした原因は、
アテネの勃興およびそれがスパルタに引き起こした
恐怖心であった。」〉

、、、さらにこう続きます。

→P13 
〈もちろん、実例二つだけ(スパルタと英国)では
理論の証明にはならない。
そこで、次の驚くべき統計の出番となる。

世界史を概観すると、1500年以降、
中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に
対峙した15例のうち11例において
(すなわち70%以上の確率で)戦争が起きている。
この事実だけを考えても、賢明な投資家なら、
「今後十年間、中国は平和的に台頭する」に
大金を投じようとは思わないだろう。〉

、、、欧州の第二次世界大戦は、当時の覇権国であった英国が、
「新興国」ドイツの台頭を恐れたことにより起きましたし、
太平洋戦争は、新興国日本の台頭を
アメリカが恐れたことによって起きました。

現代における中国というのはじつは、
20世紀初頭のドイツや日本に「そっくり」な点が多い。
世界史が「繰り返す」のなら、今後米中が戦争になる確率は、
きわめて高い、とナヴァロ氏は指摘します。

今のは米国側(日本側とほぼ同義)から見た視点です。
では、中国側からはどうなのか。
次にはこんな「問題」があります。

→P17 
〈問題:過去200年間に中国を侵略した国を選べ。
1.フランス
2.ドイツ
3.イギリス
4.日本
5.ロシア
6.アメリカ
7.1〜6のすべて〉

、、、いかがでしょう?
私はちなみに正しく答えることが出来ませんでした。

答えはこうです。

→P17
〈読者が中国人、あるいは東洋史専攻の学生でなければ
驚くかもしれないが、
正解は、7の「1〜6のすべて」である。

実際、中国の軍事力増強の最も明白な理由は、
外国への恐怖心と国土防衛の追求である。
中国のこうした懸念は、
いわゆる「屈辱の100年間」に深く根ざした、
至極もっともなものである。〉

、、、たしかに中国の「防衛」は過剰に見える。
しかし過去200年間の中国の歴史を概観してみるならば、
その恐れは無根拠な妄想に基づいたものではなく、
いたってまっとうな「恐れ」なのだと。

、、、さらに事態を複雑にするこんな要素もあります。

中国は「自閉症国家」だと戦略・国家センターの、
ボニー・グレーザーという人が指摘しています。

自閉症的(強迫神経症)な人の「防衛」がときに、
本人が刃物などを持ったりした場合、
主観的には防衛だが他者に対しては脅威になるように、
中国の「防衛」もまたそうだ、ということです。

引用します。

→P259〜260 
〈中国側の視点から見れば、
中国の行動は自らの「積極的防衛」主義の実践に他ならない。
「積極的防衛」というプリズムを通して、
中国は、東シナ海と南シナ海の支配を、
そして、おそらくはアルナーチャル・プラデーシュの支配をも、
天然資源問題と「マラッカ・ジレンマ」を
解決するための手段と見なしている。
アメリカ軍を追い出し、東シナ海と南シナ海を支配すれば、
中国の海岸線と領土を防衛する能力も大いに高まることになる。

だが、中国の脅威にさらされている国々の目から見れば、
中国の行動は「積極的」かどうかを問わず、
とても「防衛」と呼べるものではない。
中国の全方位的進出はあらゆる意味で攻撃的行動にしか見えない。

戦略・国際研究センターのシニアアドバイザー、
ボニー・グレーザーは、この感じ方の大きなずれを
次のような率直な心理分析によってみごとに言い表している。

「中国は他国の身になって考えないから、
中国という国とその行動を他国がどう見ているかを理解しない。
これこそ、中国が抱えている問題だと思う。
私がよく中国を自閉症国家と呼ぶのはそのためだ。
自分の行動が近隣諸国をどれほど怖がらせているか、
中国には理解できないように思われる。」〉

、、、他にも、「資源を他国に大きく依存する国に、
禁輸措置による制裁をした場合、
その国が追い込まれた結果戦争になることが多い」という、
日本人には耳が痛い指摘も著者は紹介しています。

第二次世界大戦の日本の「真珠湾先制攻撃」は、
ABCD包囲網による石油の禁輸措置を「解決」するための、
「防衛手段」だったわけですから。

今の中国も同じアキレス腱を抱えており、
特に米国はその辺を踏まえて慎重かつ大胆に、
「力の均衡による平和」を保つ努力をすべきだ、
というのが著者の結論になります。

説得力のある具体的な議論で、読み応えがありました。
「中国脅威論」を一つ覚えのように騒ぎ立てる右翼や、
「中国良い奴説」を唱える「反・右翼」がいます。
(これは左翼とも違うんだよなぁ。)

いずれにせよそれらは「印象論」の域を出ない話であり、
現実はもっと複雑で重層的です。

中国の国民と中国共産党は違いますし、
中国共産党と中国の「人民軍」も違います。
かつて日本で陸軍が、
政府のコントロールの効かない暴走をしたように、
今の人民軍もそれに近い、という説もある。

現実は複雑です。

複雑な問題を、複雑なまま引き受けて、
その上で議論する人の数が一人でも増えることが、
国を強くするのであって、
逆に「我が偉大な日本」を誇り、
隣国に唾する人は国を弱くします。

*140文字どころではなく、本を「概説」してしまいました。
今週は読んだ本がいつもより少なかったし、
面白い内容なので、いつもより濃厚に説明しました。

(2,503文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年5月第四週 全思考(北野武)他6冊

2017.11.23 Thursday

+++vol.015 2017年5月30日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第四週 5月21日〜27日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

読了した日:2017年5月22日
読んだ方法:蒲郡のカフェリールの蔵書をコーヒーを飲みながら

著者:松浦弥太郎
出版年:2012年
出版社:マガジンハウス

リンク: http://amzn.asia/g9VwKTm

▼140文字ブリーフィング:

蒲郡の「カフェリール」においてあったのを読みました。
30分ぐらいで読める本ですので、
先週号のメルマガを執筆する息抜きに読めました。
著者の松浦さんは「暮しの手帖」の編集長でCOWBOOKSの社長です。
前半は彼の「暮らしのルール」が、
後半は彼の経営する本屋のスタッフの「働き方のルール」が、
それぞれ100個ずつ、簡潔に書かれています。
前半からいくつか抜粋します。
004 過去についてうそをつかない
013 小さい約束ほど大切にする。
021 思いやりではなく想像力
062 買わなくては何も学べない。知りたいことには大枚をはたく。
072 考えや思い、アイデアは、紙に書く
(275文字)



●舟の右側 vol.40 2017年4月号

読了した日:2017年5月24日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク: http://www.jibikiami-book.jp/?pid=115391490

▼140文字ブリーフィング:

これはキリスト教会のための「業界誌」でして、
「月刊ボディビル」とか「月刊釣り」みたいな、
ちょっとコアな読者層への「専門誌」です。
一般書店では手に入りません。
この雑誌は私が所属する教会でも講読しているので、
私は実は買わなくても教会に行けば読めるのですが、
本誌に寄稿している知り合いの牧師から、
「教会全体に仕えたい」という本誌編集長の谷口さんの志や、
経営状態もとても大変だ、というお話を伺い、
谷口さんのミッションへの賛同と金銭的サポートの意味合いも込め、
個人的に定期購読することにしました。

果たしてこれを「読んだ本」に入れて良いのかどうかは謎ですが笑、
でも、有益な情報が毎回含まれているので、
雑誌の宣伝にご協力する意味合いも込めて、
ここで紹介していきたいと思います。

キリスト教徒でない読者の方には、
「どうでもいい話」かもしれませんが、
おつきあいくだされば幸いです。

、、、しかし私が思うに、
キリスト教会で起きている問題や話されている課題は、
多かれ少なかれ現代の日本が抱えている社会の問題の、
「映し鏡」になっていますので、
おそらく非キリスト教徒が読んでも、
「舟の右側」の内容の多くは、応用可能だし、
学び取る教訓に満ちていると思います。

では紹介します。

今回は、巻頭の谷口さんによるコラム「風知一筆」が秀逸でした。
内容は「ユース(若者)が少ない」と嘆く教会の姿への「疑問」です。
谷口さんはディケンズの小説でスクルージじいさんに起こったことや、
アブラハム、モーセなども老境からミニストリーをはじめたことに言及し、
「すべての年代を教えることが大切なのではないか」
「若い世代をことさらに強調する背後には、
組織の生存本能が見え隠れしていないか」
という問題を提起しています。
私もこれに激しく賛同します。
引用します。

→P7 
〈「うちの教会は年配者ばかりで若者がいない」と嘆いて
「じゃあ若者伝道を」「子ども伝道を」と言う前に、
今いる方々の存在に感謝し、年齢にかかわらず、
一人ひとりの霊的成熟を本気で考えてはどうだろうか。
(マラソンでいう)残り10キロメートルを
ひたすら主を見上げて走っている信仰者の姿は、
どんな年齢の人をも引きつける力を持っているはずだ。〉

、、、つまり、「若者を重視しすぎる態度」というのは、
「そこに現在集う人々の尊厳」よりも、
「組織の未来」というと格好が良いですがその実、
「組織の生存本能」を優先させる態度の表れである、
という可能性はないだろうか?
と、谷口さんは言っているのです。

逆説的にではあるけれど、
「高齢の方々も含め、それがどんな世代だろうと、
 しっかりと神にあって生き生きと歩む、
 ということをサポートしている教会こそが、
 若者を惹きつける教会である」
ということにはならないか?

、、、だって、その姿を見た若者は、
「ここに所属すれば、
俺も年を取っても大事にして貰えるんだ」
と感じるわけですから。

私のメンターであるアメリカ人のボブ・モフィット氏は、
あるとき私にメールでこう言っていました。
「現代世界で最も成功しているサタンの嘘は、
 『若さを礼賛すること』だ。
 そのせいで多くの人々が、成熟することの恵みを、
 味わえなくなってしまった。」と。

魅力的な「非」ユースが集う教会というのは、
ユースにとっても魅力的なのです。
(1,331文字)



●舟の右側 vol.41 2017年5月号

読了した日:2017年5月26日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=117003750

▼140文字ブリーフィング:

この号では、
知り合いの教会「津田キリスト教会」が紹介されていたり、
妻の親友のお母さんのストーリーが載っていたりして、
親しみを感じました。

もちろんそれらも面白かったのですが、
記事の中で「神学的に」興味を引いたのは、
京大名誉教授の水垣渉先生の、「ハヤトロギア」という話でした。

→P19 
〈水垣:「われは有りて有るもの」(出エジプト3:14)の
ヘブライ語原文「エヒイェ・アシェル・エヒイェ」の、
エヒイェの語源となっているのがハーヤーです。

これはヘブライ語の基本動詞ですが、
学的水準の高いヘブライ語辞書を見ると、
第一の意味は「become」(〜になる)となっている。
そして次に「is」(〜である)という意味が来ます。

ですから、ハーヤーというのは「有る」というよりも、
「生起する」とか「有らしめる」などの意味になる。
このハーヤーという言葉を元に、
そのロジー(論理)ということでハヤトロジー、
ラテン語に言って「ハヤトロギア」となります。

これがヘブライ的な力動的神観で、
有賀鐵太郎(てつたろう)先生が名付けました。

一方で、ギリシア的思考の論理として
存在の論理「オントロギア」(オンの論理)があって、
これを古代ギリシア人が、哲学的にもの凄く発展させました。
そしてこれがキリスト教にも入ってきて、
中世になってそれは神学的に自覚されるわけですが、
それがいわばキリスト教の学問の基礎のようになっているわけです。

つまり、ヘブライ的なハーヤーの論理と
ギリシア的なオンの論理が結びついて、
ハヤ・オントロギアとなっている。

有賀先生も、確かにそうなっていると認めるわけですが、
しかしキリスト教自体の元の考え方は、
旧約以来のハヤトロギアであると、そう主張されたわけですね。〉

、、、水垣先生がここで言っているのは、
動的(ダイナミック)な性質をもつヘブル語と、
静的(スタティック)な性質をもつギリシャ語の違いのことです。

ヘブル語的なるものを「ハヤトロギア」
ギリシャ語的なるものを「オントロギア」と、
先生は表現したわけですね。

キリスト教神学というのは実は、
ギリシャ語圏の思想哲学を下敷きに発展してきましたから、
「本来動的なものを静的な言語で説明する」という、
「原理的に不可能性をはらんだ翻訳」を経ています。

イエスが話されたのはヘブル語もしくはアラム語でしたから、
そもそも「新約聖書」がコイネーギリシャ語で書かれたことで、
「それによって失われた何か」があるに違いないと考えるのが普通です。

俳句を英訳したときに何かが失われるのと同じです。

ではその「失われたものは何か」を研究するには、
ヘブル語の性質を知る必要があるわけですね。
2年前に私は八木誠一という神学者の著書を立て続けに読みましたが、
彼の人生のテーマもそのあたりにあり、
非常に興味深く読んだのを思い出しました。

▼参考リンク:「イエスと現代」八木誠一
http://amzn.asia/a31fwQi



●なつみはなんにでもなれる

読了した日:2017年5月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:ヨシタケシンスケ
出版年:2016年
出版社:PHP研究所

リンク: http://amzn.asia/fnXZfVp

▼140文字ブリーフィング:

Q&Aコーナーで取り上げました、
ペンネームのりまきさんの紹介で、
興味を持ち、旅先でしたのでKindleで購入しました。
普段だったら買うまではしないかもですが、
10月に子どもが生まれる予定ですので、
「予習」の意味合いも含めて。
子どもの思考の自由さに、「はっ」とさせられます。
絵のタッチも好きです。
(147文字)



●デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか

読了した日:2017年5月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:木村忠正
出版年:2012年
出版社:平凡社新書

リンク: http://amzn.asia/dMqxV7X

▼140文字ブリーフィング:

著者は質的研究、グラウンデッドセオリーにもとづき、
質と量のハイブリッドな方法(ハイブリッドメソッド)によって
「世代論」という実証性の低いネット論を
ソリッドなものにしようと試みています。

新書ですが、内容は学術的に厳密です。

著者はひとりにつき数十時間という厖大なインタビューと、
アンケート調査などの結果から、「ネットネイティブ世代」は、
4世代に分かれると言います。
80年前後生まれ、83〜87年生まれ、
88年〜90年生まれ、91年以降生まれの4世代です。

では、何が違っていたのか?
引用します。

→P85 
〈では、具体的にどのような特性が以下に構造化し、
変容させてきたのか。
特性として浮かび上がってきたのは次の四つである。

1.空気を読む圧力

2.対人距離を構成する「親密さ」と「テンションの共有」が
相互に独立し、「テンションの共有」のみによる
(親密さを伴わない)「親しさ」への移行

3.「コミュニティ」「ソーシャル」とは異なる
「コネクション」という社会原理の拡大

4.サイバースペースへの強い不信感、
低い社会的信頼感と強い「不確実性回避傾向」〉

、、、著者は、これらがネットネイティブの4世代によって、
グラデーションを持って段階的に濃くなる、
というような結論には持っていきません。

安直な世代論に飛びつかないのは、
さすが社会学者です。

むしろ、これらの4つの傾向は各世代に共通の、
「日本的な資質」であり、
これらの特性がそれぞれどのメディアと相関するかが、
デジタルネイティブ4世代によって異なるのだ、
という理論立てをしています。

この本を読んでいて面白いと感じたのは、
生まれたときからスマホがデフォルトである、
ネットネイティブ世代が現れ、メールやSNS、SMS、
LINEやInstagram、動画共有など、
情報共有の自由度と利便性が高まることにより、
若い世代における「同調圧力」はむしろ逃げ場のないものとなり、
コミュニケーションは息苦しくなってきている、という逆説です。
(819文字)



●全思考

読了した日:2017年5月27日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:北野武
出版年:2007年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/8yXe0Cr

▼140文字ブリーフィング:

振り返ってみますと、
北野武の本を私は定期的に読んできました。
彼の本はたぶん口述筆記ですが、
それだからといって彼の頭の良さが色あせる訳ではありません。

今週の「聴き方講座」でも引用しましたが、
この本は北野武の本の中でも特に内容が濃く、
珠玉のような言葉がたくさんちりばめられていました。

いろいろと紹介したいくだりは他にもあるのですが、
「友情」に関する彼の持論にはうならされました。

→位置No.1434 
〈友情が金で買えないのは当たり前だ。
なぜかと言えば、そんなものはハナっから存在しないからだ。
ないものを買おうとしちゃいけない。

「おまえが困ったことがあったら、必ず俺が助けてやる。
俺が困ったときはおまえが助けてくれ。俺たち友達だよな。」
こんなものは友情なんかじゃない。
ヤクザの兄弟杯と一緒で、単なる保険の掛け合いでしかないわけだ。
保険は大きく、沢山あった方がいいから、
ヤクザは兄弟分をできるだけ増やそうとする。

だけど2、3人の仲間内で掛け合う保険は、おろしようがない。
というか、誰かが損をしなけりゃいけなくなる。
ということは、誰かと友人になると言うことは、
最初から損をする覚悟をしておかなきゃいけない。

良い思いをするというのは、相手に確実に迷惑をかけることになるのだ。
「おまえが困ったら、俺はいつでも助ける。
だけど、俺が困ったときは、俺は絶対におまえの前には現れない。」

これが正しい。

お互いにそう思っているところに、初めて友情は成立する。

昔助けてやったのに、なんで今度は俺のことを助けてくれないんだ?
なんて思うとしたら、そんなもの初めから友情じゃないのだ。
自分がほんとうに困っているとき、
友達に迷惑はかけたくないと思うのがほんとうだろう。

要するに友情というのは、
こっちから向こうへ一方的に与えるもので、
向こうから得られる何かではない。

友情とは、自分の相手に対する気持ちだ。
友情から何かを得ようと考えることが、そもそも間違っている。
損得尽くで考えるなら、友情は損するだけのもの。

だけど、アイツが好きだ。
困っているのを知ったら、助けてやりたい。

そういう自分の気持ちを、
買えるとか買えないとかいっている事自体がおかしな話なのだ。

ふっと周りを見回して、
そういう風に思える友達がひとりでもいたら幸せだ。

変な言い方だけど、
自分のために死んでくれる人間が何人もいるよりも、
そいつのためなら命を賭けられるって友達がひとりでもいる方が、
人間としては幸せだと思う。

友情が大切だっていうのは、ほんとうはそういう意味だろう。〉

、、、友情を「得る」というのは言葉の使い方として、
間違っているのだ、と北野武は言っているのです。

自分のために死んでくれる人が何人いるかを、
数えることに意味はありません。

自分がその人のために死んでも良い、
と思える人が何人いるかが、親友の数なのだと。

イエスのために死んだ人は歴史上数えきれませんが、
それはイエスが「友のために命を捨てた」からです。
(1,218文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年5月第三週 芸人式新聞の読み方 他3冊

2017.11.16 Thursday

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第三週 5月14日〜20日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●サピエンス全史(下)

読了した日:2017年5月16日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
出版年:2016年
出版社:河出書房新社

リンク: http://amzn.asia/b9dMBDK

▼140文字ブリーフィング:

先週フィリピンにいるときにこの本の上巻を読了し、
帰りの飛行機で下巻を読みました。
Kindleは旅行者にとっての「福音」です。
持っていく本の「質量」をゼロにしてくれますから。

「認知革命」「農業革命」「科学革命」が、
人間の認知に革命を起こし、それが歴史を、
「前進」させてきたのだ、という大づかみな歴史観を語ります。

先週も書きましたが大づかみな歴史観を素描するには、
「切り口」を措定する必要があり、ハラリの場合それは、
「認知」でした。
人間の認知の変化が地殻変動的に歴史を進めてきた、
という仮説に基づき、本書は書かれています。

下巻には最も重要な「科学革命」について書かれています。
「科学革命」は人類が「今日よりも明日が優れているかもしれない」
と有史以来初めて考えるようになったという意味で革命的だった、
そしてそれはコロンブスのアメリカ大陸発見と、
「自分たちはまだ世界のすべてを知らない」という、
「無知の知」が利益を生む、と考えた、
アメリカ大陸の名付け親、「アメリゴ・ヴェスプッチ」にルーツがある、
という論は初めて聞きましたが新鮮でした。
確かにそうかもしれない。

「アメリカ大陸の発見」が「近代人」の原風景となり、
それがニュートンの「プリンキピア」を生み、
蒸気機関車を生み、ダイナマイトを生み、
相対性理論を生み、月にまでロケットを飛ばし、
火星を探索し、遺伝子をすべて解析するまでに至った。
「人類史」という24時間の時計があったとしたら、
「科学革命」は23時50分以降ですが、
その最後の10分に、人間は宇宙にまで飛び出した。
それをもたらしたのは「良いものは未来にある」という、
認知の革命だった、というのは言われてみないと分からない。

なぜなら私を含め読者も近代人だからです。
人間は自分の眉毛を観ることができませんから。

人類史全体を見るとなるほど、
近代以前は何千年もの間、
人間は「良いものは過去にあった」と考えてきた。
孔子、老師の思想もそうですし、
ソクラテスやプラトンも、
ユダヤ教も仏教もバラモン教も、
日本の神道もそうですし、
ローマカトリックもそうです。

プロテスタントと「近代革命」のタッグが、
現在我々が知っている近代社会を構築した、
という「物語」には説得力があります。

ハラリは最後の章で、
遺伝子工学の進歩によって、
人間は早晩「第二の認知革命」を
人工的に引き起こすのではないか、
という「不気味な予言」をしています。

つまり「現行の人類」が、
「ネアンデルタール人」に見えるような、
「超・人間」を人類は作ってしまうのではないか。

それは人類史における「特異点」となり、
その時点を境に、現在私たちの世界に
意義を与えているもののいっさいが、意味を持たなくなる、
というような「特異点」になる、と。

つまり「認知革命を引き起こした超・人間」からみると、
現在生きている私たちはチンパンジーに見える、
というような。

もはやニーチェの「ツァラトゥストラ」の世界です。
「人類が人類を超える日」は来るのか?
それは分かりません。

それが実際に起こるかどうかは重要ではなく、
「そのような未来があり得るという段階まで、
 人類史はさしかかっている」ということは、
やはり事実であり、それについて考えることは大事です。

「そんなのは間違っている!!」と一蹴しても、
時代の歯車は止りません。
大事なのはすべてを考えることです。
歴史から学べる唯一の教訓というのは、
未来を予測できることではなく、
「未来にはどんなことも起こりうるのだ」
という歴史の複雑系を体感することだ、
とハラリは言っています。(1,458文字)



●劇場

読了した日:2017年5月18日
読んだ方法:Amazonで予約して購入

著者: 又吉直樹
出版年:2017年
出版社: 新潮社

リンク: http://amzn.asia/8h4lid3

▼140文字ブリーフィング:

又吉直樹の「火花」以来の第二作です。
私はこれを楽しみにしていて、
Amazonで予約して購入し、すぐに読みました。
ネタバレになりたくないので内容は何も語りませんが、
個人的には「火花」のほうが好きかな。
相変わらず繊細でリアルな空気感を描くのが上手だなぁ、
と感じたくだりを引用します。

→P113 
〈「具志堅用高やったやろ?」
 野原は僕の反応を見たうえで、そう言ったのだと思う。
 「かなり具志堅用高やった。」
 それは僕達が中学時代によく使っていた、
 素晴らしいものを表するための最大級の賛辞だった。
 『まだ死んでないよ』の作・演出を手がける
 小峰という男が自分と同じ年齢だと知り、
 不純物が一切混ざっていない純粋な嫉妬というものを感じた。
 彼を認めるということは、
 彼を称賛する誰かを認めることでもあって、
 その誰かとは、僕が懸命にその存在を否定してきた連中でもあった。〉
(371文字)



●芸人式新聞の読み方

読了した日:2017年5月19日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:プチ鹿島
出版年:2017年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/g1cJVOQ

▼140文字ブリーフィング:

この本はラジオで知りました。
とても面白かったです。
プチ鹿島さんは「時事芸人」で、
一般紙六紙(読売、毎日、産経、朝日、東京、日経)
と、スポーツ新聞5紙(だったかな?)を講読して、
毎日目を通しているという強者。
全部で10紙以上毎日読むというのは相当なことです。
そこから「社会のグラデーション」を読み取るのが大事なんだ、
と彼は言います。

たいていリベラルの人は朝日、東京サイドから産経、読売を批判し、
保守の人は産経、読売サイドから朝日、毎日を批判しますが、
それは本質的なことではないんだ、というのが彼のメッセージです。
そうではなく、ひとつの出来事を「いろいろに語れる」という、
つまり「現実がグレーである」という「メタ知見」を得ることが、
新聞を複数読むと見えてくるのであり、それが大事なのだ、と。

保守だろうとリベラルだろうと、
相手を言い負かし、自分の主張をオウムのように繰り返す、
「ポジショントーク」をしている限り、
社会を変えていく力はありません。

そうではなく「情報の解釈は複数あり、そこにはゆらぎがある」
ということを一度引き受けたうえで、
ではこのトピックに関して、私はどう自分の意見を構築していくか、
ということを考えることこそ、
社会全体を強くする教養ある人の態度です。

プチ鹿島さんは芸人ですから、
そういった難しい問題を、
「新聞六紙」を「おじさんというキャラクター」で色づけしたりして、
わかりやすくたのしく解説しています。
新聞には「芸風」があるのだ。
それを楽しまなきゃ、というのが彼のスタンスであり、
私もそれに同意します。

例えば、
朝日新聞は高級な背広を着たプライド高めのおじさん。
産経新聞はいつも小言を言っている和服のおじさん。
毎日新聞は書生肌おじさん
東京新聞は問題意識が高い下町のおじさん。
日本経済新聞は現実主義のビジネス一筋おじさん。
読売新聞はずばり「ナベツネ」
というふうに(笑)。

なんだ、みんなおじさんじゃないか、と笑。
そう、新聞はおじさんメディアです。
そしてそれぞれにキャラがあり、芸風がある。
それらを見比べることで、「現実の重層性」を学ぶ。
それが大切なスタンスです。

この本は面白かったので、
いつかもうすこし語ってみたいと思っています。
(917文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年5月第一週 神学の思考 他9冊

2017.11.02 Thursday

+++vol.012 2017年5月9日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第一週 4月30日〜5月6日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●第2図書館係補佐

読了した日:2017年5月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:又吉直樹
出版年:2011年
出版社:幻冬舎よしもと文庫

リンク: http://amzn.asia/bZ0EK1i

▼140文字ブリーフィング:

芸人の又吉直樹が、雑誌に連載した、
「書評」の単行本化です。
この本には数多くの小説が彼の切り口で紹介されていますが、
既読のものはほんの3冊ぐらいで、知らない本ばかりでした。
書評と言うよりも「エッセイ」です。
最後に作家の中村文則と又吉の対談が収録されていて、
それがめちゃくちゃ面白いです。
引用します。

→P239〜240
〈中村:でも、又吉くんは本を研究したわけじゃなく、
本を大量に読んだんですよ。
で、大量に本を読むと人間の中に何が起こるかと言うと、
変な海みたいなものが出来上がる。
(中略)純文学っていうものをたくさん読んだ人っていうのは、
自分の内面に自然と海みたいなものが出来上がるんです。
で、それは作家になるとかお笑い芸人になるとか、
もちろんそれ以外のいろんな職業の人たちにとっても、
非常に素晴らしいものなんですよ。
つまりいろんな角度から物事を考えられるようになる。
(中略)
それは、僕が本をすごく読んでいる人からいつも感じられることですよ。
そういう変な海を持っている人は芸人さんに限らず面白い。
どんな職業の人手もね。
もちろん僕は映画や漫画も大好きなんだけど、
たくさんの小説を読んでいる人に出来る変な海は、
どんな職業の人でも何かしら役に立つと思う。
その海が、又吉君の場合は芸人という形になって役に立ってくれていたら、
一応、僕も作家という職業をしているので嬉しいなとは思うんだけど。〉

、、、今日のQ&Aコーナーにも通ずるところがあるのですが、
ここで中村文則氏が言っているのは、
つまり「本という情報のプール」がある閾値を超えると、
自分のなかに彼の言う「変な海」が出来上がる。
そこから「笑い」というものも生まれるのだ、と言っています。
これは私の以下の持論とも合致します。

「博識な人がすべて面白いわけではありませんが、
本当に面白い人は、みな博識です。」
機知に富んだユーモアで人を笑わせられるかどうか、
というのは欧米諸国では最も洗練された教養の形で、
「年収がいくらある」みたいなステータスよりもよほど重要です。
「年収」の話をすると逆に成金趣味に思われ軽蔑されます笑。
教養とユーモアというのは金銭以上に万国共通の、
人的資本なのです。
(907文字)



●アイアムレジェンド

読了した日:2017年5月2日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: リチャード・マシスン
出版年:2007年  (英語初版1954年 原題「地球最後の男」)
出版社: ハヤカワ文庫NV

リンク: http://amzn.asia/567WVCm

▼140文字ブリーフィング:

同名タイトルの映画を観て興味を持ちました。
映画評論家の町山智浩さんが、
ラジオでこの映画について解説していて、
リチャード・マシスンによる原作「地球最後の男」が、
SF小説の金字塔的な名作であり、
これまで4度映画化されていることを知りました。
私が見たウィル・スミス主演の映画は最も新しく、
そしてもっとも劣悪な脚本書き換えが行われているのを、
町山さんが指摘していました。

(注:これ以降は致命的なネタバレ要素を含みます。)

原作の「キモ」は何かを説明します。
新種のウィルスによって一人、
また一人とゾンビ化し、「人類最後の男」となってしまった、
ロバート・ネヴィルという主人公が、
自宅に立てこもり生き残りをかけて戦うのですが、
途中からゾンビたちの様子がおかしくなってくる。
だんだん彼らは高度な知性を発達させ、
なにやら「組織」のようなものをつくり、
「社会」を形成しはじめているらしい。
ネヴィルはあるとき「はっ」と気がつきます。
いまや「ゾンビ社会」がデフォルトで、
彼らの持たないマシンガンを持って殺戮を繰り返す自分こそが、
まさに「排除すべき異物」なのだと。
つまり自分は仮面ライダーだと思っていたけど、
「怪人」だった、というわけです。
この原作は1950年代に出版されていますが、
現代に引きつけて解釈することも可能です。
たとえば2001年以降のアメリカのイラクへの侵攻は、
イラク側から見ればテロ行為に他ならず、
アメリカの「ゾンビ狩り」は、
自らがゾンビであることに無自覚だ、
という具合に。

この小説の最後のストロークが最高にクールなので、
ここに掲載します。翻訳も上手です。

→P269 
〈ロバート・ネヴィルは新しい人類を見渡した。
俺は彼らとは相容れない存在だ。
吸血鬼どもと同様に、彼もまた”呪われたもの(アナテマ)”であり、
破壊すべき不吉な存在なのだ。
不意にそれを悟ると、苦痛に苛まれながらも気が楽になった。
咳混じりの笑い声を漏らす。
向き直り、薬を飲み下しながら壁にもたれた。
悪循環だな、と週末の気怠さが手足に広がって行くなかで考えた。
まさに悪循環だ。
死のまっただ中から新たな恐怖が生まれ落ち、
いつまでも滅びることのない要塞に新たな迷信が誕生する。
この俺が伝説の存在なのだ。(I am legend.)〉
(934文字)



●チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦

読了した日:2017年5月2日 途中飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:大野裕之
出版年:2015年
出版社:岩波書店

リンク: http://amzn.asia/6OAaO9F

▼140文字ブリーフィング:

この本はラジオで知りました。
チャップリンとヒトラーは、同じ年に生まれています。
二人ともちょび髭を生やしている。
二人がお互いを強く意識していたのは明白であり、
チャップリンのナチスを「ディスった」映画「独裁者」は、
ドイツや日本やイタリアでは公開禁止でした。
「笑い」と「力による専制」のどちらが勝ったのか?
長い目で見れば笑いが勝った、と言えるでしょう。
専制に走る独裁者がまず社会からなくしたいものが、
ユーモアだ、というのを著者は指摘しています。
ユーモアには権力を脱構築する力があることを、
独裁者は知っているからです。
今暮している国の政府がユーモアや笑いを規制はじめたら、
本当に危ないところまで来ている、
と考えた方が賢明でしょう。
(309文字)



●治りませんように

読了した日:2017年5月3日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:斎藤道雄
出版年:2010年
出版社:みすず書房

リンク: http://amzn.asia/fhdTsK3

▼140文字ブリーフィング:

4月18日配信号(vol.009)のメルマガで、
「べてるの家の『非』援助」を紹介しました。
この本は浦河の「べてるの家」を取材した著者が、
そこで起こる悲喜こもごもをリポートしています。
リポート中断続的に著者は浦河に滞在していて、
滞在期間中にも関わっていた当事者が亡くなってしまったり、
傷害事件を起こして警察沙汰になったりと、
向谷地さんの言葉で言うのなら、
「今日も順調に問題だらけ」です。
川村先生の言葉を著者は収録していて、
1年半前に浦河で川村先生とお会いしたときのことを、
昨日のように思い出しました。
「あーそうそう、そんなこと言ってた!」と。
患者が「先生のおかげで治りました!」
みたいに言ってくるというのはまだ「神の位置」を、
医者が占めているのでそれじゃダメなんだ、
と川村先生はおっしゃいました。
そういう人は必ず再発して病院に戻ってくる、と。
患者が「自分の悩みを悩みきり、自分の言葉を紡ぐように」
なることを目指さなければならないと。
医者は忘れられなければならない、と。
引用します。

→P210〜211
〈そんな川村先生に、べてるの家のメンバーは鍛えられている。
ちゃんと苦労するように、悩みを増やすように、
「ひとこと俺に言わせろ」といえるように。
その期待に応えて、メンバーの松本寛さんは
「分裂病は友だちができる病気です」といった。
林園子さんは「もう治さないでください」といった。
山本賀世さんは「むなしさを絆に」といい、
大林美枝子さんは「病気は宝だ」といっている。
そして早坂潔さんは、川村先生と公演に出かけたある日、
大勢の聴衆にむかってこういったことがある。
「ぼくたちは、先生の失敗作です」
治っていないし、治せていない。
とはいえ、それがちょうどいいかげん、なのだ。
そういう患者を育て、そういう患者に育てられて、
治すと言うよりは付き合いながら、
年月を経て先生がたどり着いた姿は、
「自然体」ということだったかもしれない。
それはまた、べてるの家の人々が、
それぞれに程度の差はあれ、
たどりついた姿でもあったのだろう。〉
(850文字)



●安倍政権を笑い倒す

読了した日:2017年5月3日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 佐眇 松元ヒロ
出版年:2015年
出版社: 角川新書

リンク: http://amzn.asia/hWho8k2

▼140文字ブリーフィング:

松元ヒロさんというスタンドアップコメディアンがいまして、
この方のネタは「憲法くん」など政治に関わるものが多い。
「どうも、日本国憲法です。今年で70歳になります。
『ケンちゃん』なんて言われています。
私の顔は時代にそぐわなくなってきたので、
整形したほうが良いと考える人が、
最近増えてきているようで、、、」
みたいな感じで。
「チャップリンとヒトラー」のテーマもそうですが、
笑いの本質のひとつは反骨精神です。
茂木健一郎氏も指摘するように、今のお笑い界というのは、
日本の大手企業のスポンサーする番組で食っています。
スポンサーは大本の経団連の影響を受け、
経団連というのは時の政権与党を怒らせたくないですから、
巡りめぐってやはりお笑い芸人は政権批判を避ける。
誰も「干されたくない」ですから。
あからさまに政権批判をしたければ、
松元さんのように「在野の旅芸人」みたいな感じで、
やらなければならないというのが、日本のつらいところです。
(406文字)



●新しいパパの教科書

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法:

著者:NPO法人ファザーリング・ジャパン
出版年:2013年
出版社:学研マーケティング

リンク: http://amzn.asia/e2j3eLa

▼140文字ブリーフィング:

私たちの夫婦は結婚5年目にして新しい命を授かりまして、
現在妻は妊娠5ヶ月です。
大きなトラブルなどがなければ10月初旬には、
私は「父になる」予定です。
それに備えてこの本を読みました。
ファーザリング・ジャパンというNPOが出している本ですが、
このNPOのモットーが気に入りました。
「いい父親ではなく、笑っている父親になろう。」(P12)
この言葉は深く、そのためには誇りをもって仕事を楽しみ、
妻を愛し、家族に奉仕し、神を第一とする必要がある、
と私は考えます。これを目指したいと思います。
(240文字)



●新・哲学講義 哲学に何ができるか

読了した日:2017年5月5日 途中とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:野家啓一ら
出版年:1999年
出版社:岩波書店

リンク: http://amzn.asia/2FVbmhI

▼140文字ブリーフィング:

8人の高名な哲学者による小講義が収録されています。
井上達夫という、ジョン・ロールズなどを研究している先生だけは、
他の本を2冊読んだことがありました。
井上達夫氏の章が抜群に面白かったです。
「価値相対主義というのは最も傲慢な普遍主義だ」
という彼の指摘には迫力があります。

→P192 
〈相対主義的応答は普遍主義の否定どころか、
最も傲慢な種類の普遍主義への回帰である。
この応答をする者は解釈論争を超越した
「中立的」な傍観者の高みに自己を置いて、
「すべての解釈は等価である」というスイーピングな
普遍的メタ言明のご託宣を、すべての現実的、
可能的論争参加者に下している。〉
(278文字)



●神学の思考

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:佐藤優
出版年:2015年
出版社:平凡社

リンク: http://amzn.asia/0pRLbq1

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白かったです。
非キリスト教徒にむかって「神学の思考」を語る。
それが現代社会を生きる人々の「役に立つ」。
フロマートカ、カール・バルト、ユルゲン・モルトマンら、
近世〜現代に至る神学者達の内的論理をなぞっていくことで、
「神学のメガネで世界を見るとはどういうことか」
を佐藤さんは非キリスト教徒に向けて解説します。
彼が強調しているのは「キリスト教の用語を使わずに、
キリスト教の本質を表現する」ということで、
これは実は、
私自身が自分の人生のミッションと考えていることと、
それは符合します。
規模はまったく違いますが、佐藤さんと私は、
「人生の召命」を共有していると感じました。

→P300〜301 
〈教会に日常的に集まるのは、
世俗化される以前の言葉に慣れたキリスト教徒たちです。
この人たちは、礼拝の時には、社会で主流になっていない、
非世俗的な言語でコミュニケーションをとります。
それは、教会外の人たちにとって、理解することが難しい言語です。
あるいは、言葉の意味は理解出来るとしても、
納得できない内容です。
従って、現在、教会の内部で語っている言葉で、
教会の外部の人々に語りかけても、
それは徒労に終わることになると思います。
私は職業作家ですので、
社会的に通常に流通している言葉でコミュニケーションを取ります。
この日常的な言語に、伝統的なキリスト教的な使信を
どのようにすれば乗せることができるかについて、
いつも悩んでいます。
(中略)
私は、自分の仕事は、伝統的なキリスト教徒ではなく、
日本で圧倒的大多数を占める世俗的な非キリスト教徒を対象に
イエス・キリストは救いであると言うことを
語っていくことだと思っています。〉
(704文字)



●都市の骨格を創りかえるグリーンインフラ

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法: 義理の兄にいただく

著者: 日本政策投資銀行 地域企画部
出版年:2017年
出版社: 日本政策投資銀行

リンク:
▼PDF
http://www.dbj.jp/ja/topics/region/industry/files/0000027136_file2.pdf

▼サイト
http://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2017/html/0000027117.html

▼140文字ブリーフィング:

政策投資銀行という政府系の銀行で働く、
義理の兄が手がけたプロジェクトです。
彼はこれが完成するまで毎日多忙な日々を過ごしていました。
(今はまた別の理由で彼は多忙ですので、
 なかなか遊んでもらえません笑。)
政策投資銀行は銀行であると同時に、
地方自治体や企業が今後どのように投資や政策の舵を切っていくか、
ということのシンクタンク的な役割も果たしています。
義理の兄のこの仕事は完全にシンクタンクの部分で、
この提言が各地方自治体であったり中央官庁に読まれ、
そして政策に反映されます。
義理の兄は「自然環境」ということを人生のテーマにしており、
本当は研究者になりたかったのだけど、
神の導きにより今の仕事をしていると思っている。
彼が今していることは研究者以上に、
日本の社会が環境に配慮することに寄与しているわけですから、
「神の召命と賜物は変わらない」のだなぁと、
感慨にひたりつつ読みました。
ちなみにグリーンインフラとは何か。
引用します。

→P5 
〈都市緑地の増加により、
景観の形成を通じて都市の魅力や空間の質を高める
という美観上の目的に加えて、
ヒートアイランド現象の緩和、雨水の貯留浸透、
水質改善、地下水涵養、火災時に焼け止まり帯となること、
(津波、高潮の)防波等の環境改善機能および防災機能が発揮され、
都市全体としての社会的便宜が高まることが期待される。
このように、生態系としての緑地が発揮する
「機能面」に着手した上で、計画的に緑地を
整備・誘導する場合、これらの緑地を
「グリーンインフラ」と通称する。〉

、、、つまり、護岸工事や防波堤など、
コンクリートによる灰色のインフラによってではなく、
芝生や緑地造成や里山など、「緑のインフラ」で、
それを代替していこうよ、という話です。
そうすることによって、どれぐらいのおカネがかかるのか。
一方で「灰色のインフラ」によって失われる、
景観、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性などの、
デメリットなども換算したとき、それは「ペイ」するのか、
ということを実証的に分析しています。
私は別の本で読んだのですが、
コンクリートの耐用年数というのは、
だいたい50年から60年と言われており、
高度経済成長期に造った道路や橋や歩道橋などの、
「灰色のインフラ」が一斉に寿命を迎えるのが、
2020年ごろだと言われています。
もうそれはすでに始まっており、
記憶に新しい2012年の笹子トンネル崩落事故は、
その「終わりの始まり」です。
日本は本当にさまざまな意味で今「過渡期」であり、
そういう時代にこういう「長い視点に立つ見通し」を、
提言するということは非常に重要です。
身内の仕事ながら、グッジョブです。(1,095文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年4月第四週 一九八四年 他

2017.10.26 Thursday

+++vol.011 2017年5月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年4月第四週 4月23日〜29日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●一九八四年

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ジョージ・オーウェル
出版年:2009年 (英語初版1949年)
出版社: 早川書房

リンク: http://amzn.asia/7p3EFLF

▼140文字ブリーフィング:

「ディストピアSF小説」の金字塔。
もはや古典の域に入る、「一九八四年(原題:1984)」は、
今読んでもまったく鮮度が落ちていない。
本当は英語で読もうとKindleで買ってたのですが、
途中で挫折して日本語訳を読みました(笑)。
「ビッグ・ブラザー」の支配する独裁国家、
「オセアニア」が舞台ですが、
「ビッグ・ブラザーなる存在」が実在するかどうかも謎です。
官僚機構がそういう「架空のイメージとしての絶対者」を、
措定しているだけかもしれない。
この政府のスローガンが秀逸です。
 戦争は平和なり
 自由は隷従なり
 無知は力なり
近年の国内外の政治状況を見ていると、
もはやこれはジョークではなく現実なので、
背筋が凍る思いがします。(302文字)



●モノやお金がなくても幸せに暮らせる

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ヘンリー・D・ソロー
出版年:2015年
出版社: 興陽館

リンク: http://amzn.asia/f7VlBVF

▼140文字ブリーフィング:

ヘンリー・D・ソローの古典、「ウォールデン」の、
「超訳」みたいな形式で、そのエッセンスを紹介する本です。
ソローは今で言えば「北の国から」の黒板五郎さんのような人で、
富良野に移住した倉本聰さんは確実にソローの影響を受けています。
ソローが言っている
「世界を探求するより自分の内側を探求する方が面白い。
 珍獣を猟銃で撃つより、自分の内面世界を撃ち抜いた方が、
 お宝が沢山ある」という言葉には私も共感します。
→P270 
〈キリンを追いまわしに、
いそいそと南アフリカに出かける人がいる。
でも彼らがほんとうに追い求めているのは、
そんなものではないはずだ。
いったいいつまでそんなことを続ければ気がすむのだろう?
シギを撃っていればじゅうぶん気晴らしになるのに。
でもぼくが思うに、なにより高尚なゲームとは、
自分自身を打つことなのだ。
その目を内に向けよ。
そうすれば、これまで気付かなかった千もの世界が見えてくる。
それをひとつずつ渡り歩けば、
やがては内なる宇宙を統治できる。〉
(424文字)



●知の操縦法

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 佐藤優
出版年:2016年
出版社: 平凡社

リンク: http://amzn.asia/68h3cVN

▼140文字ブリーフィング:

佐藤さんは、「新しい情報格差」が起きている、
と警鐘を鳴らすところから本書をスタートさせます。
以前は「インターネットへのアクセスやパソコンの使用」の有無で、
情報格差があると言われていましたが、今はそうではない、と。
むしろ大きな情報格差(思考力の格差)は、
「スマホ派」と「パソコン派」の間で起きている、と。
引用します。

→位置No.11 
〈一昔前まで、インターネットにアクセスできる人と
そうでない人の間で、情報空間に大きな差異が
生じると言うことが言われた。、、、
(実は新聞などを読んでいればそんなことはなく)
むしろ深刻な情報格差は、
日常的に電子媒体を用いる人の間で生じている。
パソコンしか持っていない、
もしくはパソコンとスマートフォンを併用しているが、
主にパソコンを利用している人は
「読む力」を維持することが出来ている。
これに対してスマートフォンしか持っていないか、
パソコンを持っていても使わずにほとんどスマートフォンから
情報を得ている人の「読む力」が
落ちているとの感触を私は得ている。
それはスマートフォンを多用する人が、
LINEをはじめとするSNS、SMS(ショート・メッセージ・サービス)を
もっぱら利用することと関係している。
SNS、SMSでは、限られた語彙しか用いられず、
単文、体言止めが多い。
しかも絵文字やスタンプで感情を表現する。
ここで用いられているのは話し言葉だ。
学校や職場では複雑な日本語を用いていても、
日常的には簡単な話し言葉しか用いていないと、
急速に「読む力」が退化する。
「読む力」は表現力の基本だ。
「読む力」以上の「聞く力」「話す力」
「書く力」を持っている人はいない。〉

→位置No.909 
〈LINEで瞬時に返信することばかりしていると、
千語くらいの単語数でしかコミュニケーションをしなくなるので、
長いものや難しいものを読めなくなってしまうし、
他人に伝わる文章を書くことも出来なくなります。〉

、、、では、どうすれば思考力が養われるのか。
それは「長い論理」に接することだ、というのが佐藤さんの答え。
そこでヘーゲルの「精神現象学」という難解な本の代表のような、
哲学書を読者と一緒に読み解いていく、というのがこの本の構成です。
「精神現象学」という入り組んだ論理を、
絡まったたこ糸をほぐすように、読み解き、ほぐし、
そして日常生活に応用していく手際はみごとです。
(977文字)



●pepita2

読了した日:2017年4月26日
読んだ方法: Amazonで中古書籍購入

著者: 井上雄彦
出版年:2013年
出版社: 日経BP社

リンク: http://amzn.asia/0824LSU

▼140文字ブリーフィング:

pepitaというのは、「創造力の種」のことで、
それを求めて井上さんが旅するという内容。
前回はガウディの建築物を観にスペインへ渡りましたが、
今作では伊勢神宮の遷宮をメインにしています。
現在休載中の彼の漫画が今後、これらの種を経て、
どのように開花していくのか楽しみです。(134文字)



●いのうえの 満月篇

読了した日:2017年4月26日
読んだ方法:友人からいただく


著者:井上雄彦
出版年:2008年
出版社:株式会社フラワー

リンク: http://amzn.asia/h59m7Wy

▼140文字ブリーフィング:

2008年に上野の森美術館で開かれた、
「バガボンド」の漫画展の会場で売られた本です。
友人からプレゼントしてもらいました。
私は2009年1月に大阪でのこの漫画展を観ました。
その場でしばらく動けないほど感動したのを覚えていますが、
その感動が蘇ってきました。(125文字)



●教育勅語

読了した日:2017年4月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入 

著者:明治天皇
出版年:1890年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/0SH7Ycv

▼140文字ブリーフィング:

「森友学園問題」で話題になった「教育勅語」です。
そういえば、原文を読んだことないな、と思い、
Kindleで購入しました。意外にというか、
めちゃくちゃ短いんですよね。1ページに収まりますし、
全文をここに掲載することもできますが、
「引用」の範囲を超えるので差し控えます。
よく言われるように、親孝行とか、友人を大事に、とか、
普遍に正しいことも書かれています。
ただ、敢えて
「この精神を現代に召喚しようとする」日本会議などの勢力が、
何を願っているのかと考えると恐ろしいです。
それは終盤のこの一節に集約されます。
「もし危急の事態があれば、
義勇の心を持って公のために奉仕し、
それによって永遠なる皇室を助けよ。」
これは、ただ単に時代錯誤的であるだけでなく、
とりもなおさず、「国民は国のために命を捧げよ」
みたいなロジックの根幹をなす思想であり、
明治政府の成り立ちを考えますと、この国民が助けるべき
「皇室」というのは文字通りの天皇陛下ではなく、
それを「担ぎ上げた体制」つまり「明治レジーム」であり、
それこそが、多くの人が指摘するとおり、
安倍首相が「取り戻したい」日本だったりするのが、
透けて見えるから不気味なのです。
(498文字)



●荒地

読了した日:2017年4月26日 後半とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者: T.S.エリオット
出版年:2010年 (英語初版1922年)
出版社: 岩波文庫

リンク: http://amzn.asia/7jV0DRl

▼140文字ブリーフィング:

西洋の人の書いたものに、異常に高い頻度で引用される、
T.S.エリオットですが、そういえば一冊も読んだことないなぁ、
と思い手に取りました。結果、難しくて分からなかった(笑)。
これは詩集なのですが、詩に対する訳者の「注釈」が、
詩より長いという笑。
注解のほとんどは、シェークスピアとギリシャ神話と聖書です。
西洋思想を理解しようとすると、シェークスピア、
ギリシャ神話、聖書の3つを押さえておかないと、
ほんとうには理解できない、
と佐藤優が以前どこかに書いていましたが、
その意味がよく分かります。(242文字)



●キリスト教とローマ帝国 小さなメシア運動が帝国に広がった理由

読了した日:2017年4月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ロドニー・スターク
出版年:2014年
出版社:新教出版社

リンク: http://amzn.asia/g1DPEW4

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白いです。
原題は「The Rise of Christianity」といい、
私が翻訳した「If Jesus Mayor」という、
私のメンターのボブ・モフィット師が書いた本でも、
がっつり引用されていました。
日本語訳されていたのを最近知りまして、
慌てて読んだ次第です。
一言では要約不能なのですが、著者は一次資料に当たり、
社会学的な手法で分析し、そして、
「ローマ帝国でキリスト教が興隆した理由は、
 その教義が魅力的だったからだ」という、
社会学者が一番嫌うタイプの結論を出します。
いつか「本のエスプレッソショット」で紹介したい。
この本はオススメです。
(276文字)




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