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陣内が先週読んだ本 2017年8月第五週 『ロングテール』クリス・アンダーソン 他6冊

2018.02.22 Thursday

+++vol.028 2017年9月5日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第五週 8月27日〜9月2日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●よく生きる

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岩田靖夫
出版年:2005年
出版社: ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/1Jbp0nG

▼140文字ブリーフィング:

Q&Aコーナーで取り上げましたように、
岩田靖夫さんという著者については知りませんでしたが、
メルマガ読者の方からのメールで、
紹介していただいて手にとりました。
この本は東北大学の先生でもある著者が、
若い大学生を対象に語りかける、
という内容になっていて、構成は以下の通り。

【目次】
第一章 幸福
第二章 他者
第三章 神
第四章 社会

印象に残ったセンテンスをご紹介します。

→P127 
〈、、、他者はそういう意味では所与ではないのです。
他者は根源的な意味である、としか言えない。
その根源的な意味に向かって、
私たちはいろいろな文化的表現、自然の祝祭を行っている。
私は学生達によく冗談で言うんですけれども、
授業の間にですね、
「人間はいったい何のために生きているんだ」。
毎日学校へやってきて、
友達に「こんにちは」って言うために生きてるんだ、
というのが私の答えです。
そう、本当にそうなんです。
「こんにちは」「おはようございます」。
で、うちに帰ってお父さんやお母さんに
「おやすみなさい」って言うために生きている。
それが人間が生きている意味です。
挨拶することが嬉しくて生きているのです。私たちは。〉

著者はギリシャ哲学(ソクラテス、プラトン、アリストテレス)、
哲学者のインマニュエル・レヴィナス、
そして政治哲学者のジョン・ロールズという軸を持ちながら、
この本では「他者、社会、神、幸せ」というテーマで、
若い読者に優しく語りかけています。
(587文字)



●ギリシア哲学入門

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岩田靖夫
出版年:2011年
出版社: ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/bDDTDBk

▼140文字ブリーフィング:

「よく生きる」と内容はかなり重なりますが、
こちらは「ギリシャ哲学」により重心が置かれています。
構成は以下の通り。

【目次】
第1章 哲学のはじめ
第2章 ポリス的生の成立とその限界
第3章 精神革命としてのソクラテス哲学
第4章 プラトンの『国家』における正義
第5章 アリストテレス政治思想の現代的意義
第6章 人はなぜ戦争をするのか
第7章 根源への還帰

西洋の人が書いたものを本当に理解したければ、
3つの基礎知識が不可欠だ、と佐藤優氏は指摘しています。
1.聖書
2.ギリシャ神話
3.ギリシャ哲学
です。
これにシェークスピアなどの文学を加えることもありますが、
「コルプス・クリスティアヌム(西洋キリスト教社会)」の、
「知的前提」となっているこれらに関する知識がなければ、
西洋の人が書いたものをきちんと理解することが出来ない。

日本人が何の説明もなく「徳川がさぁ、、、」とか、
「それは古事記の時代からの伝統だよね、、」
とかいうのと同じで、
西洋の人は何の説明もなく「ヨブの場合は、、、」とか、
「オイエディプス神話によれば、、、」とか、
「現代の労働はシュシポスのそれと同じだね、、、」
「それはプラトンのイデアに近いのだが、、、」
といった調子で話しを進めます。
私たち東洋人が好むと好まざるとに関わらず、
産業革命以降の「知のドミナンス」は西洋社会にありますから、
「聖書、ギリシャ神話、ギリシャ哲学に関する知識」
というのは、現代社会の知的営為の「前提」となります。
ここをスキップすると、そもそもスタート地点にも立てない。

ところが私も含めての話しですが、
聖書、ギリシャ神話、ギリシャ哲学に関する素養を、
きちんと持った日本人というのは多くはない。
私はクリスチャンなので聖書には精通しているつもりですが、
ギリシャ哲学やギリシャ神話の知識は体系的ではありません。
プラトンの「国家」も、
アリストテレスの「政治論」も読んだことがない。

岩田靖夫さんのこの本は、
ギリシャ哲学について無知な私のような読者にとって、、
おおまか地図を与えてくれる良書です。
(843文字)



●「ないがまま」で生きる

読了した日:2017年8月28日 飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:玄侑宗久
出版年:2016年
出版社:SB新書

リンク: http://amzn.asia/hnqGVQc

▼140文字ブリーフィング:

仏教思想を超ポップに語るエッセイ集です。

【目次】
第一章 無分別
第二章 無為自然
第三章 無常
第四章 無限
第五章 無我
第六章 無心

スマップのヒット曲に代表されるように、
この20年ほど日本では「あるがまま」という言葉が好んで使われますが、
仏教のお坊さんである著者は、「そうじゃないんだ、ないがままなんだ」
という提案をしています。
「ある」がままというのはそもそも、
「西洋近代的自我」みたいなものを前提としていて、
仏教的にみればそれすらも「とらわれ」であると。
引用します。

→P21
〈「あるがまま」ではどの自己が肯定すべき自己なのか、
その迷いがどんどん深まって自縄自縛になるのに対し、
「ないがまま」ならもとより裸一貫、
その場で新たに自己を立ち上げるしかない。〉
(318文字)



●ロングテール

読了した日:2017年8月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: クリス・アンダーソン
出版年:2014年
出版社: ハヤカワ新書

リンク: http://amzn.asia/igKmu0g

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白かったです。
クリス・アンダーソンというこの本の著者は、
「ロングテール」という言葉の提唱者であり、
この本のあとに「FREE」という本を書き、
「インターネット時代のポスト貨幣経済」について「予言」している、
現代のビジネス界の「預言者」みたいな人です。

私は「FREE」を読んだことがありましたが、
こちらの「ロングテール」は未読でした。
ロングテールというのは直訳で「長い尻尾」です。

iTunesに存在するすべての曲を、
ダウンロード回数1位から最下位までを横軸に並べます。
縦軸に1位から最下位までの「ダウンロード回数」を取ります。
ちなみに現在iTunesでダウンロード可能な曲目数は、
3700万曲(!)あります。
マジか。

1位はたとえばジャスティン・ビーバーとか
レディ・ガガの新譜になります。
これは数百万とか数千万とか、億単位のダウンロード回数になります。
100位ぐらいにJ-POPの、例えば宇多田ヒカルとかが入るかも知れない。
これは数百万回とかのダウンロード数としましょう。
10,000位ぐらいになると数百とか数十ダウンロードになる。
グラフの形は、「ヘッド(頭)」がぐんと高くて、
「テール(尻尾)」がどこまでも続く、
「L字カーブ」になる。
スキーのジャンプ台を横から見たのを、
さらに急にした感じと言ったらいいでしょうか。
こういうグラフを「べき分布のグラフ」と言い、
本の売り上げからYouTubeの再生回数、
あらゆる単語の日常会話で使われる頻度まで、
世の中のいろんなことがこの「べき分布(ロングテール)」の、
法則に従うことが知られています。

この法則を別の言葉で表わしたものとしては、
20世紀までの経済学では、「パレートの法則」が有名です。
「2割8割の法則」というやつです。
「売り上げの8割は2割の製品が占める」というあれです。
iTunesだと、上位2割の曲目が、総ダウンロード数の8割を占める。
おそらく現実はもっと極端で、
「上位1%の製品が売り上げの半分を占める」ぐらいになっています。

、、、で、この話しはここで終わらない。
むしろここからが本題です。
20世紀までと21世紀からのマーケットの一番の違いは、
「在庫の物理的リミットの解除」です。
どういうことか。
「タワーレコード」ですと、
「棚」という物理的制約がありますから、
どう逆立ちしても、店舗における商品(CD)の数は、
数万〜数十万枚が上限だった。
先ほどのグラフを念頭に置きますと、
上位数%の数万枚を入荷して販売するのが、
経営としての「最適解」になります。
グラフの「長い尻尾」は切り捨てるのです。
しかし、インターネットの登場は事態を変えました。
「在庫という物理的制約」から解き放たれたMP3の音楽は、
論理上は無限に増やすことができる。
先ほども言ったようにiTunesの曲目数は3,700万曲で、
1億曲に届く日も来るでしょう。
尻尾が限りなくどこまでも続くのです。
だから「ロングテール」なのです。

クリス・アンダーソンが気付いた、
この尻尾の長いグラフの面白い点は、
どこまで尻尾のほうに下がっていっても、
ダウンロード数が「ゼロ」にならないことです。
第3,500万位の曲ですら、1年に1回とか2回売れている。
グラフを90度回転してみると、
なんと、3,000万曲のテールが年に1回から10回ダウンロードされることと、
レディ・ガガの新譜一曲が3億回ダウンロードされることによって、
もたらされる利益は同じか、
むしろ「テールの方が多い」という結果にすらなる。
いままで市場がまったく注目していなかった、
「年に1回しか売れないようなニッチな商品」が、
ちゃんと利益を生むぞ、ということに人々は気づきはじめた。

このような「ロングテール」を実践している企業が、
21世紀に勝ち残るであろう、と多くの人が指摘しているわけですが、
その先鞭をつけたのがクリス・アンダーソンです。
この「ロングテール効果」を実践している代表的な企業が、
Appleであり、Amazonであり、イーベイであり、
楽天であり、Googleで、YouTubeであり、
「全米古本屋ネットワーク」のような、
かつて存在しなかった業態なのだ、とアンダーソンは言います。

20世紀は10人が同じ1つの商品を欲しがりました。
21世紀になって、
ひとりが別々のひとつずつの商品を欲しがるようになりました。
「セルフカスタマイズ」というやつです。
さらにその先があります。
これからはおそらく、1人が10種類の側面をもつかのように、
消費行動をし始めるでしょう。
そのような世界で「ロングテール」を知らない、
もしくは軽く見ることは大きなハンディキャップになります。
たとえば日本の大手マスコミがYouTubeやNetflixに喰われるとしたら、
それは「ロングテール効果の軽視」が原因になるでしょう。
(勢い余って1,837文字)

▼参考リンク:「FREE」
http://amzn.asia/hKFJGfW

▼参考記事:陣内ブログ、「FREE」の話し
https://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12200030873.html



●日米同盟のリアリズム

読了した日:2017年8月31日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:小川和久
出版年:2017年
出版社:文春新書

リンク: http://amzn.asia/iymQI8z

▼140文字ブリーフィング:

右翼や保守の論客が、
「憲法9条を廃棄し、日米同盟を解消し、
 自主防衛によって誇りを持てる国に(キリッ)!」
みたいな威勢の良いことを言って拍手喝采されたりしている、
異様な光景をときどき見ますが、
それがどれだけ現実無視のファンタジーなのか、
ということがこの本を読むとよく分かります。
本当にいろいろと理由があるのですが、二つだけ理由を挙げます。
まずコスト面。

→位置No.101 
〈武田、武藤両教授は、「日米同盟のコスト」を、
(a)日米安保条約に基づき米国の防衛協力を維持するために日本が負担する直接費用
(b)在日米軍基地を提供することで失う利益を勘案した間接費用
 の合計と見積もっている。

(a)は接受国支援(いわゆる思いやり予算)や基地対策費などで4374億円。
(b)は米国基地が別のものに置き換わる経済効果などで1兆3284億円。
以上を足した約1兆7700億円が、日米同盟を維持するコストである
(2012年の現行価格。以下同じ)。

 次に、「自主防衛のコスト」を、
(c)新たな装備調達に必要な直接費用
(d)自主防衛によって失う利益を勘案した間接費用
 の合計と見積もる。
(c)は空母機動部隊や戦闘機の取得など4兆2069億円。
(d)は貿易縮小によるGDP縮小約7兆円や株・国債・為替の
価格下落約12兆円など19兆8250億円〜21兆3250億円。

以上の合計約24兆〜25兆5000億円が、
在日米軍がいない場合の自主防衛コストである。
ちなみに、この計算には自衛隊員の人件費は含まれていない。
後者の自主防衛コストから前者の日米同盟コストを引けば、
「日米同盟の解体コスト」が明らかになる。
これを計算すると、年に22兆2661億円〜23兆7661億円になるというのである。
日本だけの力で日米同盟があったときと同じようなレベルの
平和と安全を維持していくためには、
このように毎年約22兆〜24兆円もかかるのだ。〉

、、、日米同盟解消のコストはこのように毎年24兆円ですが、
これは現在の日本の年間のすべての税収の50%に相当します。
国家の収入に対するこの水準の防衛費の割合とういうのは、
北朝鮮などの軍事独裁政権をも上回ります。

次に、これはあまり報道されませんが、
第二次大戦の敗戦国であるドイツ、イタリア、日本の軍隊というのは、
「戦勝国との同盟なしに機能しないように細工されて」います。

→位置No.120 
〈日本の防衛力を形成する自衛隊の戦力構造は、
一般に錯覚されているものとは異なり、
自立できない構造になっている。
これはドイツも同じである。
第2次世界大戦後の再軍備の際、
米国が日独の戦力を自立できない構造に規制したのである。
日本は米国との同盟関係、
ドイツの場合はNATOとの同盟関係によってはじめて、
自国の安全を保つことができる形になった。
たとえはよくないが、人間の身体に置き換えれば、
外科手術で右足を切除され、義足を履かせてもらっていないのが
日本とドイツの軍事力の実態である。
そこにおいては米国と肩を組まなければ自由に歩くこともできない。
日本の場合、この軍事力の構造である限り、
仮に現在の10倍、100倍の防衛費を投入できたとしても、
海を渡って外国に侵攻することは逆立ちしてもできないのである。〉

、、、日本の自衛隊やドイツの軍隊というのは極端な話し、
ファミコンのカセットだけ持ってるのと同じで、
「本体」はアメリカやNATOが所有しています。
防衛費を10倍にふくらませてもカセットが10本になるだけで、
本体は作成できません。
同盟を解消し日本が「本体」に手をだす動きを見せれば、
日本全体を麻痺させることなどアメリカにとっては、
赤子の手をひねるより簡単です。

、、、こういった事実を踏まえずに、
「自主防衛で誇りを持てる国に!」とか言っている、
「自称・憂国の士」または「自称・愛国者」は、
本当に国益を大きく毀損するるデマゴーグ、
もしくは国家の安全保障と、
暴走族の縄張り争いとの区別がついていない、
「脳内が田舎のヤンキー」です。
いずれにせよ事実を踏まえない、
無責任な言説が幅を利かせるというのは、
あまり日本にとってプラスになりませんので、
「勢いの良いことを言っている自称愛国者」には用心しましょう。
(1,713文字)



●ケプラー予想

読了した日:2017年8月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョージ・G・スピロー
出版年:2005年
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/20B9yOQ

▼140文字ブリーフィング:

「ケプラー予想」とは別名、
「オレンジ問題」とも呼ばれる幾何学の問題です。
空間内で球体をもっとも密に詰め込もうとすると、
1つの球に12個の球が接する、
「八百屋がオレンジを積み上げるやり方」が最適だ、
という仮説をケプラーが立てたのですが、
この問題が「数学的に証明」されるのには
400年という歳月がかかりました。

→P8 
〈私がはじめてケプラー予想に出会ったのは1968年、
スイス連邦工科大学の1年生として数学を学んでいたときのことだった。
幾何学の教授がふとした話しのついでに、
「旧を最も密に空間に詰め込むには、
どの球のまわりにも12個の球が
接するようにすれば良いと考えられている」
と言ったのだ。
その教授は、はじめてこの予想を立てたのはケプラーであり、
フェルマーの有名な定理とともに、
最も古い数学の予想の一つだと教えてくれた。〉

この問題はヘールズという数学者によって、
1998年に証明されました。
、、、スーパーコンピュータを使って。
この証明はまったくエレガントではなく、
証明は電話帳何冊もの厚さにおよび、
それを「読める」人が世界に10人もいないぐらい長い。
一般に数学の証明というのはエレガントで美しいものなのですが、
この「ケプラー予想」の証明はそういった既成概念を打ち破る、
「力業」でした。
しかしこの問題を解く過程で使われる、、
「他変数をもつ系における最適解の調整」という数学の概念は、
経営、経済、政治、輸送など、
さまざまな分野で応用される大切なテーマです。
(619文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第四週 『カモメのジョナサン 完全版』リチャード・バック 他5冊

2018.02.15 Thursday

+++vol.027 2017年8月29日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第四週 8月20日〜26日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●「ポスト真実」の時代

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 津田大介×日比嘉高
出版年:2017年
出版社: 祥伝社

リンク: http://amzn.asia/7K1geXU

▼140文字ブリーフィング:
本書の冒頭にオックスフォード英語辞典の
「ポスト真実」という言葉の定義が、
書かれているので引用します。

→P14 
〈”世論を形成する際に、客観的な事実よりも、
むしろ感情や個人的信条へのアピールの方が
より影響力があるような状況”
について言及したり現したりする形容詞〉

「トム・ソーヤ」の作者で知られるマーク・トウェインの名言に、
「真実が靴を履いている間に、嘘は世界を半周する。」
というのがありますが、まさにそれが露骨な形で実現しているのが、
現代世界の状況です。
SNSによって人々がニュースを得るようになったことは、
この状況と大いに関係があります。
調査によると、友達がシェアしたニュースサイトを、
「シェア」する人の59パーセントは、
なんとそのニュースの本文をまったく読んでいないそうです。
「マスゴミ」批判をして「伝統的メディアは嘘だらけ」、
と言っている人のほとんどは、
そもそも、新聞を読んでおらず「伝統的メディア」を、
読解する力すら持っていません。
「ネットにこそ真実がある」、みたいな言説から距離をおき、
まずは「公開情報を読み解く力」をつけることが大切です。
(456文字)



●暴力の人類史(下)

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:スティーブン・ピンカー
出版年:2015年
出版社:青土社

リンク: http://amzn.asia/0zOnvy9

▼140文字ブリーフィング:

上下巻で1,200ページを超える大作でした。
久しぶりに読後に心地よい虚脱感を覚える本でした。
この大作が言っていることはたったひとつで、
「多くの人々が思い込んでいるのとは逆に、
 人類史を通して『暴力』は一貫して減り続けている」
という主張です。
「主張」を「実証」に変えるのがデータと議論なわけですが、
まさに「骨太の議論」が1,000ページ以上展開されるわけです。
ここに要約することは不可能ですが、
リヴァイアサン(法治国家)、
権利革命、通商とグローバル化、啓蒙革命といった要素が、
複雑に絡み合って「暴力を減らしてきた」というのが著者の主張であり、
非常に説得力がありました。
(279文字)



●カモメのジョナサン 完成版

読了した日:2017年8月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・バック
出版年:2014年(英語初版1970年)
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/9OLaxz8

▼140文字ブリーフィング:

有名な本ですが今まで読んだことのなかった本です。
面白すぎて図書館に返した後、
自腹で本を購入しました。
2014年に著者が「40年のときを経て」、
第四章を公開した「完全版」です。

第一章から第三章までは、カモメのジョナサンが、
「飛行の高みを目指した結果俗世間を解脱して、
 高みの境地に達する」という話しです。
ドラゴンボールでいう「スーパーサイヤ人」みたいになります。
で、ジョナサンは、ソクラテスが処刑されたのと同じ理由で、
社会の不満分子と見なされカモメ社会から波紋されます。
群れを離れたジョナサンが彼を慕う「フレッチャー」という弟子に、
自分の教えを受け渡すところで、第三章は終わります。

善い物語は複数の解釈が可能ですが、
ひとつのあり得べき解釈、
というかおそらく著者の頭にもあったのは、
ジョナサン=キリスト
フレッチャー=弟子(ペテロやパウロ)という構図です。

ここまでは良い。

第四章が衝撃です。
ジョナサンは神格化され、
フレッチャーは祭り上げられ、
カモメたちはなんと教条主義に陥り神学論争を始め、
「飛行の本質」は形骸化していくのです。
引用します。

→P148〜149 
〈しばらくは、真に飛ぶことを求めるカモメたちの黄金時代だった。
大勢のカモメが、いまや神聖な鳥とみなされる
ジョナサンと直接に接した弟子に近づこうと、
フレッチャーの元に集まった。
フレッチャーはジョナサンはわれわれと変わらないカモメだった、
われわれが学べることを同じように学んだだけだと話したが、
いくら言っても無駄だった。
彼らは終始フレッチャーを追いかけ、
ジョナサンがいったとおりの言葉、そのままの仕草について聞き、
あらゆる些細なことまで知りたがった。
彼らがつまらぬ知識を求めれば求めるほど、
フレッチャーは落ちつかない気持ちになった。
ひとたび、メッセージを学ぶ事に興味を持つと、
彼らは厄介な努力を、つまり訓練、高速飛行、自由、
空で輝くことなどを怠るようになっていった。そして、
ジョナサンの伝説のほうにややもすれば狂気じみた目を向けはじめた。
アイドルのファンクラブのように。
「フレッチャー先生」と彼らはたずねた。
「素晴らしきジョナサン様は
『われわれは〈まさしく〉偉大なカモメの思想の体現者である』
とおっしゃったのでしょうか。
それとも、
『われわれは〈まぎれもなく〉偉大なカモメの思想の体現者』と?
どちらでしょう」〉

、、、どうでしょう?
既視感がありませんか?
キリスト教の形骸化ももちろんそうですが、
「翻訳文化」の日本はあらゆる分野で、
これを繰り返しているように思います。
物事の本質を求めず、
物事の「形式」を模倣しはじめるのです。
最近読んだ本では最も衝撃的な本でした。
(1,075文字)



●言語が違えば、世界も違って見えるわけ

読了した日:2017年8月25日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ガイ・ドイッチャー
出版年:2012年
出版社: インターシフト

リンク: http://amzn.asia/5DOQcLU

▼140文字ブリーフィング:

『イリアス』、『オデッセイア』の研究者である、
1,800年代に生きたグラッドストンという研究者の、
「彼らにとって海は本当に葡萄色だったのではないか」
「古代ギリシャ人の色彩感覚は現代人とは違っていたのではないか」
という仮説から著者の研究の旅は始まります。
問いの根幹は、
「世界が違って見えるから言語が違うのか」それとも、
「言語が違うから世界が違って見えるのか」
どちらなのだろうか、ということです。

グーグ・イミディル語という少数民族の言葉が興味深かったです。
彼らには「右、左、前、後ろ」という位置を相対的に現す言葉がありません。
「あなたの北に木がある」
「本のページを東のほうにめくって」と彼らは表現します。
彼らは「絶対的方向感覚」を持っているそうです。
目をつぶってぐるぐる回って地下室に連れて行っても、
どちらが北か言い当てることができる。
、、、それが分かっていないと生活できないからです。
「お母さんの北東にあるケチャップを取って、、、」
というのが日常会話ですから、北がどちらかわからないと、
会話が成立しないわけです。
彼らの絶対方向感覚は、
使っている言語と関係があります。
著者の結論は、私たちの「認知」は、
使う言語に影響を受ける、ということです。
(509文字)



●サンキュータツオの芸人の因数分解

読了した日:2017年8月26日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:サンキュータツオ
出版年:2012年
出版社:学研プラス

リンク: http://amzn.asia/5ofijzx

▼140文字ブリーフィング:

芸人のサンキュータツオさんが、
芸人の「ネタ」を素因数分解します。
たとえばこんな風に。

→位置No.291
〈ブラックマヨネーズのネタは、、、実は古典的だ。
でもそれが新鮮に映るのは二人のキャラクターの設定にある。
「ちょっと神経質な人」と「ちょっと大雑把な人」が、
次第に「かなり神経質な人」と「かなり大雑把な人」になる。
キッカケはささいな日常的な会話から、
気付いたらブラマヨ迷宮に入り込んでいるのだ。〉

グライスという人が「会話の公理」という四原則を提唱しています。
「量の公理」「質の公理」「関係性の公理」「様式の公理」
というのがそれですが、
この四原則を意図的に違反したときに笑いが起こる、
という分析が面白かったです。
グライスの本、図書館にはないので、
買おうかと試案しているほどです。
(334文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第二、第三週 『暴力の人類史 上』スティーブン・ピンカー他4冊

2018.02.08 Thursday

+++vol.026 2017年8月22日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第二、三週 8月6日〜19日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。

*今週は病気で本を読んでいませんので、
今回ご紹介するのは先々週に読んだ本です。
あと、体調が本調子になるまで、
読む本はけっこう減ると思われますので、
あらかじめご了承ください。


●仕事なんか生きがいにするな

読了した日:2017年8月7日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:泉谷閑示
出版年:2017年
出版社:幻冬舎新書

リンク: http://amzn.asia/2ekzjTg

▼140文字ブリーフィング:

著者の泉谷氏は精神科医で、
私は病気療養の初期の2014年に、
著者の「クスリに頼らなくても『うつ』は治る」に、
大きなヒントを得て以来、彼の書くものを結構読んできました。
泉谷さんは現代の精神疾患の増加の背景に、
21世紀における価値観の地殻変動を見ています。
「生きることの意義」は生産性で測られますが、
「生きることの意味」は生産性とは関係ありません。
引用します。

→位置No.1059 
〈しかし、一方の「意味」というものは、
「意義」のような「価値」の有無を必ずしも問うものではありません。
しかも、他人にそれがどう思われるかに関係なく、
本人さえそこに「意味」を感じられたのなら「意味がある」ということになる。
つまり、ひたすら主観的で感覚的な満足によって決まるのが「意味」なのです。
これを、別の言い方で説明してみましょう。
「意義」とは、われわれの「頭」の損得勘定に関係しているものなのですが、
他方の「意味」とは、「心=身体」による
感覚や感情の喜びによって捉えられるものであり、
そこには「味わう」というニュアンスが込められています。〉

「あん」という映画があります。
社会から隔絶されその「存在を末梢されてきた」
ハンセン氏病の当事者を描いた映画です。
樹木希林演じるハンセン氏病患者がこの映画の最後に、
こう言っています。

「ねえ、店長さん。わたしたちはこの世を見るために、
聞くために生まれてきた。
だとすれば、何かになれなくてもわたしたちは、
わたしたちには、生きる意味が、あるのよ。」
(629文字)

▼参考リンク:クスリに頼らなくても「うつ」は治る 泉谷閑示
http://amzn.asia/fQXvIbQ

▼参考リンク:映画「あん」
http://amzn.asia/aLhjOzO



●放射線医が語る 福島で起こっている本当のこと

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 中川恵一
出版年:2014年
出版社: KKベストセラーズ

リンク: http://amzn.asia/cpGhCeH

▼140文字ブリーフィング:

東大医学部の中川恵一先生は、
東海村のJOC臨界事故で急性放射線障害により亡くなった、
2人の作業員の方の治療に携わった放射線医です。
彼は養老孟司さんの盟友でもあり、
2011年の福島原発事故以降、
多くのデマゴーグが現れては消えるなか、一貫して、
「まっとうな科学的な発言」をし続けている勇気ある人です。
彼が言っているのはずっと「冷静になれ」ということです。
9.11同時多発テロのあと米国中の人が飛行機を避けた結果、
めちゃくちゃ多くの交通事故死(数千人単位の死者数)が起きましたが、
福島でも同じことが起きていると著者は指摘しています。
大学で「放射線学」の単位を取得した私も、まったく同感です。

→P22 
〈一方、世界のCTスキャナの3分の1が日本にあります。
これだけCTスキャナが身近にあるということは、
当然、医療被曝も多くなるわけです。
CTは病気を見つける能力が非常に高く、
日本人の長寿にプラスになっています。
用はメリットとデメリットのバランスです。
世界一医療被曝が多い日本人が
世界一長生きになっていることを忘れてはいけません。
これらを踏まえると、1ミリシーベルト以下を目指して、
除染に兆単位の予算を割くなら、
住民とのリスクコミュニケーションなどにお金を割くべきだと私は思います。
この場合のリスクコミュニケーションとは、
被災者と専門家がリスクについて話し合う双方向コミュニケーションのことです。
 、、、私も福島支援の研究班を立ち上げて、
部下のひとりに、全村避難を続けている
飯館村の松川第一仮説に住んでもらい、
福島市内に避難している飯館村役場の健康福祉課に勤務してもらってきましたが、
「リスクコミュニケーション」といった分野になかなか予算を割いてもらえない。
一方、我々から見るとムダに見える除染に莫大な予算をかけているのは、
なんともアンバランスだなと思います。〉

BSEしかり、ヒアリしかり、放射能しかり、
日本人の行動というのは合理的じゃなくて絶望的な気持ちになります。
その行動はまるで、
「高層ビルから落ちたスパナが脳天に直撃して死んだ人のニュース」
をテレビで見た次の日に、ヘルメットをかぶって出勤する人のようです。
それによって狭くなった視界による交通事故の死亡リスクは、
おそらく「スパナリスク」の100万倍以上です笑。
冗談のように聞こえるかも知れませんが、
こういうことを日本人は事象を変えては繰り返しています。
(958文字)



●ポアンカレ予想

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョージ・G・スピーロ
出版年:2011年
出版社:ハヤカワ文庫

リンク: http://amzn.asia/3Ckf9yB

▼140文字ブリーフィング:

100年間解けなかった数学の難問「ポアンカレ予想」をめぐる物語です。
リーマン予想の「素数の音楽」と違うのは、
最後にこの問題が「解けた」ことです。
2006年にペレルマンというロシア人数学者によって解かれました。
ポアンカレ予想は「リーマン予想」や「フェルマーの問題」と違い、
高校数学までの知識ではイメージできません。
「ドーナツとマグカップは同じものである」という、
位相幾何学という名の数学の分野があるのですが、
その分野に関する問題で、5次元、6次元、7次元、それ以上、、、
という高次元空間における「証明されない仮説」の話しです。
ポアンカレの大天才ぶりには驚きました。
「系に加わる微細な擾乱が大きな影響を及ぼす可能性がある」
という複雑系の論理(バタフライ効果)の原型も彼が発端だし、
位相幾何学(トポロジー)の基礎も彼が作りました。
ちなみに素粒子論の「超ひも理論」はトポロジーから来ていますから、
ポアンカレは現代の先端物理学の始祖と言えるかも知れません。
(423文字)



●暴力の人類史(上)

読了した日:2017年8月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: スティーブン・ピンカー
出版年:2015年
出版社: 青土社

リンク: http://amzn.asia/jc6PIeA

▼140文字ブリーフィング:

ビル・ゲイツが「私が読んだ本で最も重要な本だ」
と絶賛して話題になった本です。
上下巻で1200ページを超える大作ですので、
140文字ではブリーフィングできません。
(まだ下巻は途中ですし)
目次を以下に記します。

目次と構造
【上巻】(全652ページ)
第1章 異国
第2章 平和化のプロセス
第3章 文明化のプロセス
第4章 人道主義革命
第5章 長い平和
第6章 新しい平和

【下巻】(全579ページ)
第7章 権利革命
第8章 内なる悪魔
第9章 善なる天使
第10章 天使の翼に乗って

この本の論旨は、
「多くの思想家や社会学者や政治家の指摘とは逆で、
人類史が始まってから、暴力というのは、
一貫して減り続けている」ということであり、
欧米人らしい緻密かつ遠大な論理でそれを実証的に説明していきます。
「人類史を大づかみに語る」というのが、どうやらこの10年ほどの、
欧米社会における言論界のブームのようです。
ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原体・鉄」もそうですし、
ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」もそうです。
(432文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年8月第一週 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ 他6冊

2018.02.01 Thursday

+++vol.025 2017年8月8日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年8月第一週 7月30日〜8月5日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●オタクの息子に悩んでます

読了した日:2017年8月1日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 岡田斗司夫
出版年:2012年
出版社: 幻冬舎新書

リンク: http://amzn.asia/8WyLBQl

▼140文字ブリーフィング:

岡田斗司夫さんはもともとアニメ業界から出てきた人ですが、
いまはFREEexという不思議な業態で活動している、
ちょっと「謎の人」です。
キワモノみたいに扱われることも多いし、
私生活で「この人大丈夫だろうか?」
というツッコミも多いですが、
頭良い人なのは間違いないです。
本書は朝日新聞の「悩みのるつぼ」という
「読者の質問コーナー」の質問に、岡田さんが答えた回答と、
その回答に至るまでの岡田さんの「思考ツール」を開陳した、
という書籍です。
当メルマガの「Q&Aコーナー」を書くにあたり、
非常に参考になりました。
もっとも共感したのは以下の文章です。

→P99 
〈(素人さんの回答は)相談に対して即答しすぎる。
文章の分析をいきなりバーッと始めて、で、
相談者にはこんなトラウマがあるんじゃないかと書いてしまう。
文章を分析するのは、正しい。
正しいんだけど、分析したらちゃんと
「じゃあ、自分の経験で似たようなものは何があるだろうか」
「本質的にこれは何なんだろうか」というのを自分の心の深部や、
論理のたぐり寄せ出ずっと遠いところまで考察しないとダメ。
「人間誰しもが持っているような普遍的な問題」
にまでいきついて、さらって帰ってこないと、考えたことにならない。
どれぐらい遠くまで行って帰ってこられるか、これがポイントなんです。〉

、、、カール・ロジャースという心理学の大家が、
「最も個人的なことは最も普遍的なことなのだ」
という言葉を遺していますが、
日本において「質問コーナー」へのニーズが常に高いのは、
日本人のなかに抽象思考が得意な人が多くないことと関係している、
と私は思っています。

岡田さんが強調しているのは、
「個々の質問」という徹頭徹尾具体的な問題を、
いちど「普遍的な問題」にまで掘り下げ、
その普遍的な問題に回答する形にして提示すると、
質問した本人だけでなく、
「その背後にいる同じような問題を抱える10万人の読者」
に伝わる、ということです。

つまり読者は、具体→抽象→具体というルートを経由して、
見ず知らずの他者の問題を、
自らの問題に引きつけることができる。

抽象を普遍と置き換えても意味は同じです。
普遍→具体の論理操作を、「演繹」といいますが、
この「演繹」が得意な日本人というのは、
私の感覚でいうと、100人に5人ぐらいだと思います。
(ちなみに具体的事例から抽象的原則を導き出す、
 これと逆の論理操作を「帰納」と言います。)

、、、ですから日本で「原理原則」をそのまま語っても、
それを日常の生活や現実の出来事に「応用」できる人は少ない。
数学の「公理」を学んでも、個々の問題が解けないのと同じです。
これができるようになるには、繰り返し繰り返し、
公理(普遍)→問題(具体)の操作を練習する必要がある。
数学の問題集、算数のドリルと同じです。
新聞やラジオや雑誌の「質問コーナー」というのは、
この論理操作の練習として優れているから、
日本では昔から人気があると私は見立てています。

(質問した他者の)具体
→(回答者が到達した)抽象または普遍
→(自分の身近な問題としての)具体’
という風に、具体と抽象の間を「一往復」させることによって、
抽象思考の苦手な私たち日本人は、
初めて自分の問題に引きつけて原理原則を応用できる。

教会の説教もこの往復ができている説教は人に伝わりますが、
「ただ真理を語れば良いのである」という教条主義に陥り、
ひたすら抽象(聖書の釈義)をひとり語りしているだけの説教は、
端的に申し上げて人の人生も社会も変えることは期待できません。
喫茶店でのおしゃべりのごとく、
ただ具体的な出来事だけを長々と語っているのも同様にダメです。
たいせつなのは「普遍と具体の間に橋を架ける」という作業です。
これをするには人並みを超えた勉強も必要ですし、
大脳新皮質を雑巾のように絞り、脳に汗をかくことも必要ですし、
自らの人生で怪我をしながら学んだ体験知が必要ですし、
最後に「愛」が必要です。

この「橋を架ける練習」として、
当メルマガの「Q&Aコーナー」も、
人の役に立てれば嬉しいと思っていますので、
ますます磨きをかけていきたいと願っています。
、、、なので皆さん、質問をどしどし送ってください!
あなたの質問は他者のためにもなります。

、、、後半は書評でも何でもなくなりました笑。
自分の思いの丈をぶつけるかたちになってしまい恐縮です。
(1,784文字)



●自分を責めずにはいられない人

読了した日:2017年8月1日 速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:片田珠美
出版年:2017年
出版社:PHP新書

リンク:http://amzn.asia/at3eU6O

▼140文字ブリーフィング:

先日、義理の兄と話したとき、
「いま読んでいる本」として挙げていて興味を持ち、
手に取りました。
著者の前著は「他人を攻撃せずにはいられない人」だそうですが、
読むと分かるのは、「自分を責めずにはいられない人」と、
「他人を攻撃せずにはいられない人」は、
「同じ人」だということです。
共通の犯人がいるからです。
それをフロイトの用語で「超自我」と言います。
自らの中にいる「怒れる風紀委員」みたいなものです。
コイツが普段自覚されず抑圧されていますと、
あるときは自罰者として、あるときは他罰者として顕現します。
そいつとどう上手に付き合うかがたいせつだよ、と著者は言います。
「そんな超自我は心病んだ人だけの問題であって、私には関係ない」
と言っている人はもっとも危険です。
なぜなら「抑圧のレベル」がそれだけ深いということですから。
(344文字)



●ネットメディア覇権戦争

読了した日:2017年8月1日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 藤代裕之
出版年:2017年
出版社:光文社新書

リンク: http://amzn.asia/fVdRnak

▼140文字ブリーフィング:

ヤフーニュース、日経電子版、LINEニュース、、、
などデジタルな「ニュース業界」というのは、
新旧入り乱れた覇権争いの泥仕合をこの数十年続けてきた、
というのがよく分かります。
入り乱れているのは新旧だけでなく「虚と実」もであり、
だからこそ昨年の世界の流行語は「ポスト真実」だったのです。
人々はもはやファクト(裏付けのある事実)には興味はなく、
自分の信じたい嘘を信じます。
そのような世界では「胸を張って自信を持って嘘を突き通す」
ことが政治的な最適解になる。
これは悪夢のような世界だと私は思いますが、
この数年間の政権与党の行動を見ていれば納得ですし、
トランプ大統領もまた、その台風の目です。
そのようなトレンドのなか、
「真実」または「真理」を求めるのは、
もはや無料でもなければ受動でも不可能です。
私たちは額に汗し、身銭を切って、
「真実を勝ち取る」ことが必要な時代となったと、
私は認識しています。

この数年私は「各種メディアがどのように作られているのか」
という「舞台裏」の本を定期的に読んでいますが、
それは何が「虚」であり何が「実」なのかという、
選球眼を養うためです。
(473文字)



●恐慌論

読了した日:2017年8月1日 ななめ読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宇野弘蔵
出版年:1953年
出版社:岩波文庫

リンク: http://amzn.asia/cHfc9Jz

▼140文字ブリーフィング:

宇野弘蔵という、かつての「労農派」の、
マルクス経済学者の古典です。
佐藤優が頻繁に宇野弘蔵を引用すること、
そして6月に読んだ「他者の倫理学」が素晴らしく、
そこにも宇野弘蔵が登場したので、
いいかげん原典に当たっておかねばと思い、
手に取りました。
結果、理解できたのは2割ぐらいです。
まだ私の「読解力の歯」は柔らかすぎました。
数年後に再挑戦したい本です。
(173文字)

▼参考リンク「他者の倫理学」青木孝平
http://amzn.asia/23zeEdw



●涼宮ハルヒの憂鬱

読了した日:2017年8月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:谷川流
出版年:2000年
出版社:角川スニーカー文庫

リンク: http://amzn.asia/4paOpFe

▼140文字ブリーフィング:

先月読んだ東浩紀の「セカイからもっと近くに」という、
サブカル界でいわゆる「セカイ系」と呼ばれる作品群について、
思想家の東浩紀氏が語ると言う内容の本を読みました。
ちなみに「セカイ系」とは、東氏の定義に従えば、
「国家や社会などの現実的な舞台設定の導入抜きに、
主人公の小さな恋愛と世界の破滅のような巨大な出来事を
短絡させる物語類型の総称」です。
「涼宮ハルヒ」は東浩紀がセカイ系を語るときに多用する作品だったので、
興味を持ち読んでみました。
なるほど「君の名は」にも通ずる物語の類型がここにある、
と感じました。
ポストモダンの世界に暮す私たちは、
「実存的で個人的な、半径2メートルの出来事」を持っている。
同時に「定義の曖昧なコスモロジーという幻想」も持っている。
しかしその間を架橋する家族もなければ社会もない。
それらを語る文体を持たず世界観を持たない、
というのが冷戦終結後の世界の実存的不安だ、
と私は理解しています。
ですから私たち(と名乗っていいのか謎ですが)宗教の役割というのは、
「一貫した世界観で社会や家族を語る話法を見いだす」ことです。
「我々は真理のみを語れば良いのだ」という教条主義に引きこもり、
社会を語ることを避けるのは明らかな怠慢であり欺瞞です。
(523文字)

▼参考リンク:「セカイからもっと近くに」東浩紀
http://amzn.asia/eLUsoWX



●りんごかもしれない

読了した日:2017年8月3日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ヨシタケシンスケ
出版年:2013年
出版社: ブロンズ新書

リンク: http://amzn.asia/6RsMSvQ

▼140文字ブリーフィング:

メルマガ読者の、
ラジオネームのりまきさんが以前勧めてくれて、
それからこの著者の絵本を読むのは2冊目です。
この「りんごかもしれない」は名作です。
机の上にリンゴがある。
これは「りんごかもしれない」。
しかし「そうでないかもしれない。」
というところから、子どもの想像力は、
何にも縛られずひらひらと羽ばたきます。
最初の「僕から見ていない部分はみかんなのかもしれない」
という一文は哲学的に深く、
じつはこれはヒュームの「因果律批判」そのものです。
(216文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年7月第四週 『プルーストとイカ』メアリアン・ウルフ 他6冊

2018.01.25 Thursday

+++vol.024 2017年8月1日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第四週 7月23日〜29日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ジャパン・アズ・ナンバーワン

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: エズラ・F・ヴォーゲル
出版年:2004年(英語初版1979年)
出版社: 阪急コミュニケーションズ

リンク: http://amzn.asia/gqDLtNP

▼140文字ブリーフィング:

この本は「コスられにコスられた」本で、
80年代のバブルや、昭和の官民一体の経済、
失われた20年などを語るとき、必ず引用されます。
私も会話や文章で何度か、
「かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたように、、、」
と言及したことがあります。
しかし、「原典」を読んでないことに思い当たり、
今回読むことにしました。
その本を読んでいないのに読んだかのように引用する、
というのは知的怠慢でもありますし、
あと、この手の「こすられすぎて誰も読まなくなった本」って、
じっさい読むと意外な発見があったりします。
私がこの本を読んで再確認したのは、
この本はまさに「定本」だということ。
「昭和の日本」を語る「話法の類型」の元ネタの多くは、
この本に端を発するのだ、ということが分かりました。
新たな発見としては、「昭和型大企業の衰退」は、
日本から富ではなく「自尊心」をうばったという認識です。
引用して説明します。

→P207 
〈このように日本の大企業は20世紀後半の要求に
上手く応えられる効果的な近代組織を作り上げたのである。
だが、これで問題が全て解消されるわけではない。
良い上司もいれば悪い上司もいるし、
退屈な仕事が与えられれば不満も起きる。
人間関係の悩みもあれば、自分が評価されない事への不満もある。
しかし国際的な尺度から言えば、
現代日本の大企業は組織として大いに成功している。
その成功の原因は、日本民族の中に流れている
神秘的な集団的忠誠心などによるのではなく、
この組織が個人に帰属意識と自尊心を与え、働く人々に、
自分の将来は企業が成功することによってこそ保証されると言う
自覚を与えているからである。
多くの日本人は、家族の一員が大企業に勤めていることに
誇りと安心感を持つが、このことが社会全体の基調となり、
政治を安定させる一因ともなっているのである。〉

、、、ヴォーゲルがここで言っているのは、
(1970年代〜80年代の)日本型大企業が成功したのは、
よく言われる「忠誠心や日本的ガンバリズム」といったものでなく、
「大企業に所属していることが人間に与える安心感と自尊心」
だったということであり、私もそれに同意します。
00年代以降、日本型大企業とそのグループ企業を軸とする、
「一億層中産階級者会」は崩れ去りました。
「ネット右翼」などの現象はその帰結だというのが私の見立てです。
かつて大企業があたえた「安心」や「帰属意識」、
「自尊心」といったものを、「国家」が代替してほしい、
というのが国家主義者の語られざる願望だからです。
しかし、それは危険な誘惑です。
この「国家」というときそれは多くの場合、
国家の権力者のことを言っているのであり、
今の自民党の政治家を観ても分かるように、
彼らが「国を守る」というときそれは、
自分の保身のことを言っていたりしますから。
切り捨てられるのは多くの場合「期待をかけた国民の側」です。
「国家」でも「大企業」でもない確かなものに、
自分の自尊心と帰属意識と安心を託せる人が、
ぶれない軸をもち生きることが出来ます。
キリスト教徒である私にとってそれは神です。
それぞれが何を選ぶかは自由ですが、
何か普遍的な価値観をもっていないと危うい時代に、
さしかかっていることは間違いありません。
(1,330文字)



●あらゆる不調が解決する 最高の歩き方

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 園原健弘
出版年:2017年
出版社: きずな出版

リンク: http://amzn.asia/0NYFit7

▼140文字ブリーフィング:

著者はオリンピックの競歩のトレーナーをしていた人です。
1に食事、2に食事、3、4がなくて、5にウォーキング、
という健康理論や、
「歩数ではなくて運動強度が問題」というのは納得しました。
(91文字)



●カメのきた道

読了した日:2017年7月28日 ななめ読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 平山廉
出版年:2007年
出版社: NHKブックス

リンク: http://amzn.asia/j5iDPnV

▼140文字ブリーフィング:

この手の「自然科学本」を私は2ヶ月に一冊ほど読みます。
自然科学の発見は思想にいろんな刺激を与えてくれますから。
中世の哲学者や神学者は自然科学にも通暁していた、
というのはおそらく偶然ではありません。
この本では、「は虫類の脳の小ささ」にもっとも驚きました。

→P25〜26 
〈カメはと言うと体重114キログラムのアオウミガメで
8.6グラムの大脳を持っていることが報告されている。
あまりにカメの脳が小さいのでちょっと心配になってしまうが、
体重205キログラムのワニ(ミシシッピー・アリゲーター)でも
脳の重さは14グラムしかない。
は虫類の脳の大きさはこんなものだと思えば良いのである。
、、、以上をまとめてみると、体重が同じ場合、
ほ乳類は恐竜も含めたは虫類の
10倍以上の大きさの脳を持つと結論できる。〉
(344文字)



●プルーストとイカ

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:メアリアン・ウルフ
出版年:2008年
出版社:インターシフト

リンク: http://amzn.asia/2dwEX7P

▼140文字ブリーフィング:

この本は立花隆の本で知りました。
変わったタイトルの本ですが、テーマは深いです。
著者はタフツ大学で言語研究をしている方で、
「プルースト」というのは「読書すること」を、
「イカ」というのは神経系を「見える化する」、
脳科学の研究を象徴しています。
つまりこの本のテーマは、
「網膜が文字を捉えてから、
背景的知識や連想も含めて想起しながら、
人間がそこに書かれた文章の意味を把握するまでの、
0.5秒間に起こる脳内の領野の活動のダイナミズムを追う」
というものです。
この0.5秒に右脳と左脳、それぞれのどの領野が、
どんな段階を経て活動するかを追っていくと、
様々な興味深い知見が得られます。

信じられないことですが、かつてソクラテスは、
「書かれた文字の流行」を憂えていました。
「このままでは若者はバカになってしまう」と。
じっさいソクラテスは「口承による伝承」をたいせつにしたので、
キリストと同じく、自ら何も書き残しませんでした。
それを書き残したのはソクラテスの弟子のプラトンでした。
プラトンはソクラテス先生の言うことも分かるが、
文字の有益性も捨てがたい、というジレンマを生きた。
プラトンの弟子のアリストテレスにいたっては、
もはや「本の虫」でした。

、、、これって、どこかで聞いた話ではないでしょうか?
そうです、いまの「ネット社会」を取り巻く現状と似ています。
ソクラテス先生はさしずめ、
「ネットのせいで若者が本を読まなくなった」
ことを憂えている世代です。
プラトンは読書の習慣はあるが、
ネットも役に立つと思ってるので、
読書の内容をインターネット経由でシェアしたりしている中間世代。
(これ、私ですね笑)
アリストテレスはといえば、もう、
子どもの頃からYouTubeとSNSに慣れ親しみ、
本よりもネットから情報の多くを取り込む世代です。

、、、じゃあ、ソクラテス先生は時代錯誤のバカなのか、
というとそうではない。
著者は、読書しているときの脳の動きを研究することで、
ネットから情報を取り込むときと、
読書しているときで、脳の動きは違うと結論します。
そこには「失われる何か」があり、
「あらたに付け加わる何か」があります。
しかし22世紀になって社会が、
「アリストテレス的ネットネイティブだらけ」になったとき、
「いったい何が失われたのか」すらも人類は、
判別できなくなるかもしれない。

最後に著者の「ソクラテス的憂慮」を引用します。
→P329 
〈私は、デジタル世界が他の人々や文化の現実と物の見方を伝える
驚くべき方法を疑問視しているわけではない。
ただ、一般の若い読み手達は、
画面に表示されている情報以上のものを得ようとする必要もなく、
すべてを手に入れられるようになってしまったために、
文章の分析やより深いレベルの意味を探ることを
時代遅れと思い始めているのではないかと思っている。
だからこそ、問いかけているのだ。
私たちの子どもたちは、文章の枠を超えて、
読字のプロセスの真髄を学んでいるのかと。〉
(1,217文字)



●スローターハウス5

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
出版年:1969年(英語初版)
出版社:ハヤカワ文庫SF

リンク: http://amzn.asia/gCsPP1f

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹がよく「人生で影響を受けた小説」として、
「グレート・ギャッツビー」と並んで挙げる作品です。
この小説はめちゃくちゃ不思議です。
SFのようでもあり、歴史小説のようでもある。
主人公が宇宙人と出会ったりするのですが、
それが主人公の脳内で起きたことなのか、
それとも実際に起きたことなのか峻別できない。

この小説の「軸」は、じつは第二次世界大戦中、
連合軍がドイツで行った空爆作戦、
「ドレスデン爆撃」です。
このドレスデン爆撃は、東京大空襲にも匹敵する、
大虐殺の悲劇であり、著者のカート・ヴォネガット・ジュニアは、
ドレスデン爆撃を、「ドイツ軍の捕虜」として体験します。
広島の原爆を捕虜として体験し被爆したアメリカ兵がいましたが、
それと同じ構図です。
その体験は、まさに筆舌に尽くしがたかったので、
彼は「物語というパッケージ」に包んで、
それを告白するしかなかったのです。

村上春樹がノモンハン事件や南京虐殺を、
小説のなかで登場人物に語らせますが、
あの手法はおそらくこの小説から学んだものだと確信しました。
「あとがき」から引用します。

→位置No.3519 
〈ただし、これまでの彼の長編すべてがそうであったように、
ヴォネガットはメイン・テーマをストレートにうちだすような
能のないことはしていない。
というより、それを正面切って書こうにも言葉がないのだ。
彼が戦時中捕虜として体験したドレスデン爆撃は、
個人の理性と感情では測ることも出来ないほど巨大な出来事なのである。
パブリッシャーズ・ウィークリー誌のインタビューで、
ドレスデンの当時の惨状をあらためて問いかける質問者に、
ヴォネガットは「覚えていない」と答えるだけである。
本書のなかで連祷のようにうんざりするほどくりかえされる
「そういうものだ」(So it goes.)という言葉
ーーおそらくそれは、くすぶる廃墟に立ったとき
彼の心に生まれた感情を表現しうる唯一の言葉であっただろうし、
いまでもそれがすべてであるにちがいない。
 、、、奇妙な構成、事実とファンタジーの混融、
空飛ぶ円盤、時間旅行といったSF的趣向、
ほとんど無性格に描かれた登場人物達ーー
しかしヴォネガットには、
このようなかたちでしか自分の体験を語る方法はなかったのだ。〉
(925文字)



●弓と禅

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:オイゲン・ヘリゲル
出版年:1948年(ドイツ語初版)
出版社:角川ソフィア文庫

リンク: http://amzn.asia/5ovdFsH

▼140文字ブリーフィング:

この本はルース・ベネディクトの「菊と刀」と並び、
よく引用される「外国人による日本論」です。
日本には「不立文字」という伝統があります。
「たいせつなことは言葉にならない」という意味です。
対する西洋は、「言葉こそすべて」と思っています。
「はじめに言葉ありき」の世界ですから。
西洋人である著者が、弓道を学ぶ過程を通して、
その「言葉にならない大切なこと」を、
それでも何とか言語化しようと格闘する姿は真摯です。
たとえば師匠が「的を射るのではない、
無となって、あなたの心の中心を射るのだ。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは「無ってなんすか?」みたいなことを聞く。
西洋人だからそういう野暮なことも聞けるのです。
師匠は「それは言葉には出来ない。
言葉に出来た時点であなたはその本質を失う。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは心の中で「は?」と思う。
、、、
みたいな、下手するとコントのような光景が繰り広げられます。
そのなかで、西洋の人が限界まで日本の不立文字を、
「文字化」しようとするとこうなるんだ、
という非常に興味深いサンプルがここに提示されています。
(462文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年7月第三週 『世界でいちばん大切にしたい会社』ジョン・マッキー 他7冊

2018.01.18 Thursday

+++vol.023 2017年7月25日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第三週 7月16日〜22日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ぼくの怪獣図鑑

読了した日:2017年7月20日
読んだ方法: Amazonで書籍購入

著者: 八木真澄
出版年:2005年
出版社: 扶桑社

リンク: http://amzn.asia/18GDOcC

▼140文字ブリーフィング:

この本は、だれでも15分で完読できます。
私は常日頃から「サバンナの八木は日本の宝だ」
と思っていまして、彼をリスペクトしているわけです。
最近のなかやまきんに君との「健康ボーイズ」のネタも、
最高に好きですが、彼の真骨頂は、その「ななめ上の発想」です。
常人の理解を遙かに超えた発想力。
というか、小学校3年生の、たとえば「浦安鉄筋家族」
みたいな脳みそが、そのピュアで(良い意味で)バカなまま、
大人になった、という、彼自身が「珍獣」なわけです。
「ぼくの怪獣図鑑」は、
「男たるもの、自分の怪獣を100個はもっとかなアカン」
という意味の分からないモチベーションから、
毎日日記のように思いついた怪獣とその説明を書いたノートを、
番組で発表したところ、「これは出版しよう」と周囲が騒ぎ、
じっさいに出版されたという本です。
100ある怪獣のひとつを紹介しますと、
「去りゆく人々」。
「とても寂しい思いをさせる」だそうです笑。
▼参考画像:「去りゆく人々」
https://goo.gl/2r9BC4

、、、ほら、ななめ上でしょ笑。
こんな感じで、トイレで笑うには丁度良い本です。
他にも彼のノートから出版された本に、
「世界の武器」というのがあって、それも興味あります。
「世界の武器」は大阪のある番組で紹介されていて、
それがもう超絶面白いです。
それから彼の「ゆるせない話」の動画もヤバイです。
仕事上の問題などで落ち込んだときは、
この動画をとりあえず見ておけば、
10分ぐらいは腹筋が痛くなるぐらい笑えます。
仕事上の問題はいっさい解決しませんが笑。
危険なので電車の中で観ないことをオススメします。

▼参考動画:サバンナ八木「ゆるせない話」
https://youtu.be/NpB6tDKnpRs

▼参考動画:サバンナ八木「世界の武器」の番組
https://youtu.be/uj9O_s7XZzg
(722文字)



●世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア
出版年:2014年
出版社: 翔泳社

リンク: http://amzn.asia/4uQrohJ

▼140文字ブリーフィング:

「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズが、
ベストセラーになったので、
それにあやかったタイトルになっていますが、
こちらの本のほうが「骨太」というか専門的です。
対象読者がまったく違う。
英語の原題は「コンシャス・カンパニー」ですから、
邦訳のこじつけ感が否めません。

この本はハーバード・ビジネス・スクールの、
ラジェドラ・シソーディアというインド系の学者と、
ホールフーズ・マーケットという、日本で言うと、
なんだろう、、、あまり該当する業態がない、
自然食品を主に販売するスーパーマーケットチェーンの創業者、
ジョン・マッキーの共著です。

140文字でブリーフィングするのはとうてい無理ですので、
ふたつだけ抜粋します。

まず、「コンシャスカンパニーの定義」について。

→P11 
〈本書執筆の主な目的は、コンシャスカンパニー
(意識の高い企業)の誕生を促すことだ。
コンシャス・カンパニーとは、
1.主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、
全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられ、
2.自社の目的、関わる人々、そして地球に奉仕するために存在する
意識の高いリーダー(コンシャス・リーダー)を頂き、
3.そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような
活発で思いやりのある文化の根ざしている会社のことだ。
こういう企業が増えれば、
だれにとっても素晴らしい世界が生み出されると
我々は心の底から信じている。〉

本書でもっともヒットしたのはこれです。
「会社よりも大きな目的」についてのジェフ・ベゾスの発言。

→P57 
〈存在目的を持つことは、
コンシャス・カンパニーになるための最初の一歩だ。
譲れない目的を持つことも、
企業を偉大な方向に駆り立てる場合がある。
アマゾンの創業者兼CEOジェフ・ベゾスは、
「会社よりも大きなミッションを選択せよ」と言った。
ソニーの創業者は、
品質で日本を世界に知らしめることを
同社のミッションと設定している。
ホールフーズ・マーケットの共同CEOである
ウォルター・ロブは、自社の存在目的を見事に表現している。
「私たちは、ある使命を持った小売業者と言うよりも、
小売業を営んでいる使命の伝道者です。
世界に自然食品と健康増進をもたらすという私たちの深い目的、
これを描くためのキャンバスが店舗なのです。」〉

これは個人の人生にも言えます。
私の人生の隠れたモットーは、
「生きている間にかなうような小さな夢を見るな」です。
私の「人生の損益分岐点」は私が死んだ後に置いていますから、
私は生きている間は「常に赤字」の人生です笑。
「死後の生」という補助線を引いたときに初めて、
合理的に行動していることが了解される。
私は人生をかけて神の国の現実を証明しようと格闘しています。
(1,118文字)



●それが映画をダメにする

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 前田有一
出版年:2017年
出版社: 玄光社

リンク: http://amzn.asia/jbCl9D9

▼140文字ブリーフィング:

私は10年ほど前から、
「前田有一の超映画批評」というサイトにお世話になっています。
「興味深い映画があるが、これは映画館に観に行くべきか否か」
とか、「DVDを借りに行くが、旧作で何がオススメか」
ということを知るために、友人のリコメンドを除けば、
彼の意見を最も参考にしています。
彼は私の知る限りこれまで本を書いてきていないので、
この本は期待して手に取ったのですが、
正直、肩すかしを食った形になりました。
内容は薄く、「薄い雑談」という感じ。
ウェブ上の文章のほうが面白いぐらいでした。
映画を切り口にした文章では当メルマガにも時々登場する、
町山智浩のほうが圧倒的に優位ですね。
でも、彼の映画評がオススメであることには変わりません。
じっさいこの本を読んで、いくつか、
「これはぜったいに観よう」という作品が増えましたし。
(335文字)

▼参考リンク:「前田有一の超映画批評」
http://movie.maeda-y.com/



●舟の右側 vol.43 2017年6月号

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=119567563

▼140文字ブリーフィング:

この雑誌は、キリスト教福音派の「業界誌」ですから、
相当に読者のターゲットは狭いです。
しかし、業界に関係ない人でも参考になることの多い、
原理原則を問うような内容になっているところが私は好きです。
今号では、ニューライフキリスト教会の、
豊田信行牧師の「教会での説教」についての考え方に、
非常に共鳴し、共感しました。

→P13 
〈説教は、40代〜60代までの現役の社会人男性が
聞くに堪えるものなのかどうかをひとつの規準にしているという。
「日本の教会に社会でバリバリ働いている男性が少ないというのは、
そういう人たちに届くメッセージを
語っていないことにも一因があると思います。
ある意味、対象としては一番難しいとも言える。
だから、そこを目指したメッセージを語ろうと思っています。
彼らが聞いて耐えうるのかどうか?
もし僕が50代の職業人で、自分のメッセージを聞いて
“時間の無駄”と思うのかどうか?
そういう視点で、とてもシビアに考えています。
そして、一番難しい世代に届けば、他の世代にも届いていくのです。」
実際、ニューライフには、
現役世代のビジネスマンや職業人が多く集っている。
「一番弱い人に合わせて語る」という意見とは真逆の考え方だが、
先のMCの証にあるように、未信者の女性が
「自分に語られている」と感じて涙する説教でもあることが、
先の豊田氏の言葉を裏付けている。 
、、、(中略)、、、
かと言って、ビジネスマンが好む
自己啓発的なメッセージをするわけでもない。
聖書そのものを語り、神の恵みを伝えていく。
「僕の三番目の弟が、
南米で日本の自動車メーカーの現地法人の社長をしています。
あるとき、彼がこう言ったんです。
『俺たちはビジネスに関しては毎日必死に考えている。
だから、自己啓発的な話を牧師から聞きたいとは思わない。
誰が疲れた身体をひきずって日曜日に教会に来て、
二番煎じの自己啓発的なことを聞きたいと思うか?
それよりも、神さまからの慰めに満ちた励ましが欲しいんや。』
その言葉を聞いて、僕の中でも吹っ切れましたね。」〉

、、、壮年の社会人(しかも男性)に向けて語る、
というのは私もいつも意識していることですし、
かといって「ビジネスセミナーの二番煎じ」
みたいなメッセージになったら、それは説教の自殺だ、
という考え方も私も同じです。
私も教会で話すことが多いですから、普段私がしていることに、
アファメーション(認証)を与えてくれました。
(982文字)



●たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる 聞く力の教科書

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:魚住りえ
出版年:2017年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/eBcuCND

▼140文字ブリーフィング:

「聴くこと」についての本を私は定期的に読みます。
以前この人の書いた、「話し方の教科書」が良かったので、
こちらも図書館で借りてみました。
すると、90%の内容は、私が普段「聴き方講座」で話していることと、
重複していました。新しい情報はほとんどなかったですが、
自分がいつも教えていることは間違っていない、
という確認にはなりました。
(162文字)

▼参考リンク:「話し方の教科書」魚住りえ
http://amzn.asia/97rnuBR



●ハイブリッド

読了した日:2017年7月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:木野龍逸
出版年:2009年
出版社:文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/hneiYKr

▼140文字ブリーフィング:

この本は立花隆の本で知りました。
トヨタのプリウスが世に出るまでのドラマを追った、
「産業ドキュメンタリー」です。
NHKの「プロジェクトX」を観ているような気持ちになります。
現在ではトヨタの「アクア」や「プリウス」は当たり前で、
普通に市場に流通しているハイブリッド車ですが、
技術的にはめちゃくちゃ難しいプロジェクトだったそうです。
トヨタの前会長の奥田さんの肝いりだった「プリウス」は、
量産が半年後に決定していた自転で、
なんと、10センチしか動かずエンジンが停止し、
しかもチームは「何故動かないか」も分かっていなかった。
それを市場に出したというのはまさに「奇跡」です。

→P20〜21 
〈後に海外の自動車業界から「ハイブリッドの父」と
呼ばれるようになった八重樫武久(元トヨタ自動車理事)は言う。
「欧米の自動車エンジニアは誰ひとり、
あれは二年でやったんだって言っても信じてくれません。
発売から十年が過ぎた今でも、『そんなわけはない』と言われます。
この頃は良く、『プリウスで何が一番難しかったですか?』
って聴かれるんですけど、それはちょっと違うなって思い始めたんです。
難しかったんじゃなくて、『クレイジー・プロジェクト』でした」〉
(508文字)



●アイドルはどこから

読了した日:2017年7月21日 速読
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 篠田正浩、若山滋
出版年:2014年
出版社: 現代書館

リンク: http://amzn.asia/c83mkqH

▼140文字ブリーフィング:

この本も立花隆の本で知りました。
建築家の若山さんと映画監督の篠田さんは互いに親戚で、
その二人が「居酒屋談義」みたいに話した内容を書籍にしたという、
なんとも羨ましい本です。
ただ、二人の知識や興味の広さに正直私はついていくことが出来ず、
興味深い部分だけを拾い読みした、という感じになりました。
タイトルの「アイドル」というのはつかみだけで、
その話題は日本の神話、古典文学、建築、芸術、、、、
と多方面にわたります。
こういう居酒屋談義的な雰囲気だからこそだと思うのですが、
二人は日本における「アイドル」の起源はアマテラスにある、
というところまで飛躍します。

→P91〜92 
〈篠田:、、、アマテラスが天の岩戸に隠れると、
世界は闇に閉ざされる。
神々が動揺する中、アメノウズメノミコトが現れ、
危ない衣装で舞踏を始める。男達は歓声をあげる。
その騒ぎに惹かれてアマテラスが
岩戸に手をかけた瞬間を狙って手力男が開けると、
再びこの世は光を取り戻す。
これが日本神話のハイライトで、日本芸能の起源です。
ここまで綿密に構成された岩戸開きの物語によって、
唯一神聖なるものがこの世界にはアマテラスしかいない、
天皇家がこの血統を継承する以上、
他に絶対神聖なものは存在しない、という権威が確立されます。
僕は、このアマテラスが、日本のアイドルの起源とも思う。

若山:そうですね。
どんな物理的な力を持ってしても開かなかった岩戸が、
芸能の力によって、面白さの力によって開くというのが暗示的ですよ。
たしか折口さんだったと思いますが、「面白い」という言葉は、
このときに岩戸が開いてアマテラスが顔を出したときに、
そこにいた人々の顔(面)が照らされて白くなった
と言うことから来ているんだそうですね。〉

大胆な仮説ですが確かに面白いと私は思いました。
モンスターというアイコン(偶像)を集める「ポケモン」や、
以前だと「キン消し」や「ビックリマンシール」といった、
「アイコン収集」は昭和から続く日本の子どもやオタクの、
一貫した指向性ですが、
私はインドのヒンズー教の話しを聴いたとき、既視感を覚えました。
ヒンズー教では約1,000万いる神のなかから、
「自分のお気に入りの神」を選んでそれを、
自分の車などに飾って拝みます。
これはまさに、「ビックリマンシール」ではないか、と。
日本もまた「八百万の神」の伝統がありますから、
そういった「心象風景」というか「宗教性」というのは、
宗教が衰退した今、消費文化やアイドル文化のなかに、
潜在的に存在しているのではないかと私も思うわけです。
(1,053文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年7月第二週 『僕らが毎日やっている最強の読み方』 他7冊

2018.01.11 Thursday

+++vol.022 2017年7月18日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第二週 7月9日〜15日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●僕らが毎日やっている最強の読み方

読了した日:2017年7月10日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 池上彰 佐藤優
出版年:2016年
出版社: 東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/7gxGikR

▼140文字ブリーフィング:

池上彰と佐藤優という、
「情報収集と情報発信」において、
現代日本におけるトップランナーのふたりが、
新聞、書籍、スマホ、ネット、人脈、セミナー、、、、
といった「情報」と、毎日どのように付き合っているのか、
ということが網羅されていて非常に参考になります。
ネット社会の到来は人を賢くしませんでした。
「自分は情報強者だ」と固く信じる、
大量の情報弱者を生んでしまったのです。
そのような時代に「情報の海に溺れ死なない」ために、
この本は「泳ぎ方」を教えてくれます。
買って読むだけの価値がある本です。
(241文字)



●君はまだ残業しているのか?

読了した日:2017年7月13日
読んだ方法:

著者: 吉越浩一郎
出版年:2012年
出版社: PHP文庫

リンク: http://amzn.asia/7abVvJk

▼140文字ブリーフィング:

吉越浩一郎さんはトリンプという下着メーカーの社長を、
務められた15年のあいだ、連続で増収増益を達成し、
同時に社員の残業をゼロにしたという実績を持ちます。
彼が書いた「気力より体力」という本を去年読んで感銘を受けたので、
この本を手に取りました。
どちらかというと「気力より体力」のほうがオススメかな。
(147文字)

▼「気力より体力」吉越浩一郎
http://amzn.asia/dp6OHs8



●国を愛する心

読了した日:2017年7月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:三浦綾子
出版年:2016年
出版社:小学館新書

リンク: http://amzn.asia/hUzRZ71

▼140文字ブリーフィング:

日曜日のメッセージをするにあたり、
参考図書として読みました。
驚くのは三浦綾子さんという人が、
考えていたよりずっと多く、
「政治的発言」をしていることです。
「キリスト者が政治に口を挟むな」という読者投稿への、
三浦綾子の返しは秀逸で、彼女は、
「預言者や使徒達は命を賭して政治に口を出してきたのだ。
 だからキリスト者が政治に関して発言することは、
 まったくまともなことだ」
と反論しています。
私も100%同意します。
「悪貨が良貨を駆逐する」という言葉がありますが、
信仰者が距離を置き、口を閉ざしたすべての分野で、
信仰者でない人々が影響を発揮するでしょう。
私たちはもっと政治について、お金について、
セックスについて、自然環境について語るべきです。
(315文字)



●エクササイズ2

読了した日:2017年7月14日
読んだ方法: Amazonで購入

著者: ジェームズ・ブライアン・スミス
出版年:2017年
出版社: いのちのことば社

リンク: http://amzn.asia/3vQ5AAv

▼140文字ブリーフィング:

FVIにもご助力いただいている、
カンバーランド長老教会高座教会の、
松本先生が翻訳と実践をされている、
弟子訓練シリーズの3連作の2作目です。
この本は従来の「努力と根性」のような精神論に還元するのでなく、
弟子の歩みを「物語の語り替え」「文脈の置き換え」、
「生活における実践」という3つの軸で再定義しています。
前回は最初のエクササイズが「睡眠」でしたが、
今回では「遊び」というエクササイズが面白いと思いました。
遊ぶことは霊的な行為なのです。
(217文字)

▼参考リンク:「エクササイズ」ジェームズ・ブライアン・スミス
http://amzn.asia/j1JDAmY



●多動日記

読了した日:2017年7月15日
読んだ方法: Amazonプライム一ヶ月無料本

著者: 高城剛
出版年:2017年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/eUJq4sQ

▼140文字ブリーフィング:

1ヶ月1冊無料本。
今月は高城剛の本を読みました。
ハイパーメディアクリエイターという、
言葉のインパクトが凄すぎるせいか、
毎回「ちょっとバカにしながら」読み始まるのですが、
なかなかどうして、案外面白かったりします。
少なくとも「楽しんで読める紀行文」を書く技術において、
私にはとうてい真似できない高度な技巧があります。
(156文字)



●日本礼賛ブームの謎

読了した日:2017年7月13日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 週刊東洋経済編集部
出版年:2017年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/5ROZcx3

▼140文字ブリーフィング:

これも、今週のメッセージの参考図書として読みました。
在ドバイ総領事の外務省職員の道上さんの指摘は、
「ごもっとも」です。

→位置No.650 
〈「夜郎自大という、世間知らずの自信過剰を指す言葉がある。
謙虚さという長所を損なうと日本が沈んでしまう。」
、、、外務省で初めて中韓両国で公使を務めた道上尚史氏は、
「度の過ぎた日本礼賛は日本の足を引っ張る」と警告する。〉

「日本礼賛ブーム」や「嫌韓・嫌中ブーム」は、
あまりにも趣味が悪くグロテスクなので、
私はまったく関わり合いたくないですが、
これを「外部から批判する」だけでは、この状況は変わりません。
おそらくこの根元にあるのは、「失われた20年」を通った日本の、
「深い自信の喪失」です。
「再び自信を取り戻せるように国に貢献する」ことが、
これらの動きへの唯一の処方箋であり、
それは経済的な復活もそのひとつなのですが、
それだけでなく、今ある「生」を葛藤のなかで、
どうやって、「それでも肯定」するか、
といったところもかなり重要です。
そういう価値を生み出すのは宗教の役割です。
キリスト教の仕事は大きいと私は思っています。
(473文字)



●憲法くん

読了した日:2017年7月12日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:松元ヒロ
出版年:2016年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/8ga5rzR

▼140文字ブリーフィング:

松元ヒロさんは知る人ぞ知るスタンドアップコメディアンで、
世相を風刺するコメディを、旅芸人として続けています。
「憲法くん」というのは彼のネタで、
それが本になったのがこれです。
最後に日本国憲法がすべて掲載されていました。
まじまじとじっくり「日本国憲法」を読む機会というのは、
なかなか普段ないですから、いろいろ勉強になりました。

→P41 
〈第20条 【信教の自由】
1 信教の自由は、何人に対してもこれを保証する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け
又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、
儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国およびその機関は、宗教教育その他
いかなる宗教的活動もしてはならない。〉

こういった原則がこれからも守られることを、
願ってやみません。

また憲法は国民が権力者を「縛っておく」のがその本義であり、
これを「立憲主義」といいます。
その精神は99条に凝縮されています。

→P47
〈第九十九条【憲法尊重擁護の義務】
 天皇又は摂政および国務大臣、
 国会議員、裁判官その他の公務員は、
 この憲法を尊重し擁護する義務を負う。〉

2012年の自民党改憲草案では、
99条はなんと「消失」しており、
かわりに102条に、「国民はこの憲法を守るべし」
という条項を追加しています。
主客が逆転している。
99条の内容は102条2項に「格下げ」されている。

国家権力を国民が縛るのが近代の憲法の精神ですが、
自民党の右派の人々はどうやらそれが気に入らないらしい。
自民党改憲草案はむしろ「欽定憲法」の考え方に近い。
欽定憲法なんて、戦後の先進国はどこも採用していないですから、
自民党は時間を明治に戻したいのかも知れません。

いずれにせよ、
2012年の自民党改憲草案は読めば読むほどぞっとします。
国家権力が国民の自由を制限した方が良いという、
自民党右派の本音が垣間見えるからです。
今年の秋までに出るという新しい改憲草案はどうなるのでしょう。
私たちはしっかりとウォッチしておかねばなりません。
「玄関にナチスが来たとき」はもう遅いですから。

自民党に賛成の人も反対の人も、
少なくとも改憲草案に目を通してほしい。
それこそ「市民社会の責任」です。
「自民党が何をしたいか知らないが、自民党には賛成だ」も、
「自民党の政策は知らないが、彼らには反対だ」も、
どちらも無責任な態度です。
(977文字)

▼参考リンク:改憲案102条(旧99条)
http://tcoj.blog.fc2.com/blog-entry-102.html

▼参考リンク:自民党HP「2012改憲草案PDF」
http://constitution.jimin.jp/draft/





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陣内が先週読んだ本 2017年7月第一週 『他者の倫理学』 他7冊

2018.01.04 Thursday

+++vol.021 2017年7月11日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第一週 7月2日〜8日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●データブック 日本宣教のこれからが見えてくる キリスト教の30年後を読む

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:Amazonで購入

著者:第6回日本伝道会議日本宣教170 200プロジェクト 編著
出版年:2016年
出版社:いのちのことば社

リンク: http://amzn.asia/b5tFRpv

▼140文字ブリーフィング:

この本は昨年私も参加した、
神戸で開催された「日本伝道会議6」の企画で、
東京基督教大学の先生などからなるプロジェクトチームが、
「現代のプロテスタント教会の現状把握」をする目的で、
作成した本(というよりも統計的資料に近い)です。

こういった一次資料的な仕事はとても大事で、
私たちがこれから何かを考える上で足がかりになります。
国勢調査が国策を考える上で足がかりになるのと同じですね。

私がいちばん衝撃を受けたのは、
現在のプロテスタント教会の牧師(と信徒)の平均年齢です。

→P50〜52 
〈教職者の年齢構成については、
2009年度に全国7,907教会中3,696人を対象に調査したときには、
平均年齢が61.6歳であった。
 、、、キリスト新聞社が、
2015年9〜10月にかけて実施した「戦後70年・教会アンケート」に
回答された教職者の平均データを元に平均年齢を求めたところ、
図39に示すように平均年齢は67.8歳となった。
 、、、また、70歳以上が48%近く占めており(図40)、
全体的に見れば2009年よりさらに教職者の高齢化が進み、
若返りが図られていないことを示している。〉

、、、すごくないですか?
2009年のデータで牧師の平均年齢は61歳、
日本基督教団では2015年の時点で牧師の平均年齢は68歳でした。
信徒の平均年齢も教職者と大差ないと考えて間違いない、
とも指摘されています。

あと20年経つとどうなるんでしょう?
楽観的な見通しと悲観的な見通しの二種類がありますが、
私は「楽観的な未来」を信じたいと思っています。
前者は「ゆるやかな衰退」の未来であり、
後者は「破壊的創造」「パラダイムの転換」が起きる未来です。
(697文字)



●読書脳

読了した日:2017年7月3日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:立花隆
出版年:2013年
出版社:文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/ghBvFAA

▼140文字ブリーフィング:

現代の日本に生きている「知の巨人」といえば、
佐藤優と立花隆でしょう。
この人の素養の深さはハンパではないです。
「読書脳」では、彼がこれまでに書いてきた書評が、
300冊文紹介されています。
この本は面白いと同時に危険な本です。
雪だるま式に「読みたい本」が増えますから。
(131文字)



●「他者」の倫理学 レヴィナス、親鸞、そして宇野弘蔵を読む

読了した日:2017年7月2日
読んだ方法: Amazonで書籍購入

著者: 青木孝平
出版年:2016年
出版社: 社会評論社

リンク: http://amzn.asia/23zeEdw

▼140文字ブリーフィング:

長野での休暇中に読みました。
佐藤優がこの本を絶賛していたので興味を持ったのですが、
読んで非常に良かった。
現象学とレヴィナス、伝統的大乗仏教と親鸞の鎌倉仏教、
そしてマルクスと宇野弘蔵、という3つの対比には、
後者が前者に「他者」を持ち込んだところにある、
という作業仮説を立て、著者は大胆な立論を展開します。
今年に入ってから私は150冊以上は読んでいると思いますが、
「上半期ベスト5」に入る本です。(196文字)



●異類婚姻譚

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:本谷有希子
出版年:2016年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/9f8vFzC

▼140文字ブリーフィング:

これも佐藤優が
「現代人のパーソナリティを読み解くための良い小説」
と紹介していて興味を持ちました。
2016年の芥川賞受賞作品です。
「楽をすることしか興味がない」夫の顔が、
福笑いのようにパーツがずれており、
それが自分と同じになっているのに、
主人公はある日気付いてしまいます。
この「シュールレアリズム感」はカフカの「変身」に似ていると思いました。
こちらも「変身」も実存の危機を描いたと言う意味で共通していますが、
こちらの作品にしかない要素があり、
それは現代日本の「ぶわぶわとした不安」だと思いました。
(247文字)



●夜にはずっと深い夜を

読了した日:2017年7月5日
読んだ方法:図書館で借りる
 
著者:鳥居みゆき
出版年:2009年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/fe9RDlO

▼140文字ブリーフィング:

質問を下さったトリッキーファウラーさんの文章を読み、
「鳥居みゆきの書いたものを読んでみたい」と手に取りました。
なるほど、文学的です。

「蝉」という詩が心に残りました。

→P116〜117 
〈蝉
月曜日に私は生まれ
火曜日に友達ができ
水曜日に友達が死に
木曜日に貴方に恋し
金曜日に貴方は死んだ
土曜日に思い切り泣き
日曜日に私も死んだ

人間よこれが私の一週間の生涯です
あなた達の長い一生
私とどちらが重いでしょう〉

こういう「メンヘラ的文章」というのは、
本当の精神疾患者には書けません。
自分のなかの「病み」を身体に受け止め、
それを言葉にまで昇華するには、
それなりのエネルギーが必要です。

そのエネルギーというのは、
健常者のそれよりもさらに強いエネルギーだったりします。
(321文字)



●ニューカルマ

読了した日:2017年7月6日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:新庄耕
出版年:2016年
出版社:集英社

リンク: http://amzn.asia/6HqsfPV

▼140文字ブリーフィング:

ネットワークビジネスに人生を絡め取られる若者の話しです。
お化けはいっさい出てきませんが、
下手なホラーよりもぜんぜん怖いです。
本当の恐怖はいつでも、人間の内部にあるのだ、
ということが分かります。
(96文字)



●腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

読了した日:2017年7月8日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 本谷有希子
出版年:2007年
出版社: 講談社文庫

リンク: http://amzn.asia/2Gg8ASH

▼140文字ブリーフィング:

本谷有希子、先週は2冊読みました。
こちらのほうがポップで、「荒削り」な印象です。
先週紹介した「伊藤くんAtoE」の、「伊藤くん」の、
女性版がこの小説に出てくる姉の澄伽です。
妹の清深は、この姉を冷徹な目で「研究対象」として観察するのですが、
その様子が「面白く、そして怖い」です。

引用します。

→P81〜82 
〈その中でもやはり、姉の人格を決定づけているだろう
「自分が特別である」という思い込みの激しさには目を見張るものがあった。
容姿が良いという以外、他人より優れているもののないように
思われる姉に何故あれほどの自信が存在するのか。
清深(きよみ)の研究テーマは殆どその一点に集約していったが、
どれだけ和合澄伽という人間を分析しても
正解と思える答えは見つからなかった。
「ない」という究極の答えは、清深をさらに熱狂させ、
心酔させ、没頭させた。
姉さえ観察し続けていられるならば、それだけで良いとすら思った。
やがて、、(中略)、、、清深の興味は今後姉がいかにして
現実を生きていくのかという方向へ少しずつ移行し始めた。
、、、(中略)、、、
例えば高校の文化祭で演じた舞台を、
誰もが白けた目で見ていた時。
まさに現実の厳しさを思い知る場面である。
だが驚くべきことに、姉はそれらすべての危機を
「自分は他人に理解できないほど特別な人間だ」
とさらに強く思い込むことではね除けていったのだった。
孤高の人の位置に浸り、
レベルが高すぎる演技に誰も付いて来られないのだと、
まるで疑いもしなかった。

普通なら自信を無くす場面で、姉のプライドは一層高められ、
自意識はますます強められていったのである。
だから姉が社会に出て行くことは
「姉の超自我と現実との戦いなのだ」と、清深は思った。
現実が姉を呑み込むか、姉が現実を取り込むか。
自分でもどちらに勝ってほしいのかよく分からなかったが、
その行方を見逃すわけには行かないという思いだけは確かだった。〉

、、、先週も「伊藤くん、、」で紹介しましたが、
佐藤優氏によれば現代の若者に、こういった、
「自己愛が異常なまでに強いタイプ」が増えてきている、
というのは隠れた社会問題です。

どこに解毒剤があるのか。
「受けるより与える方が幸い」
「命を失うことでそれを得る」
という聖書にある逆説的な真理がそれだ、
と佐藤氏は指摘しています。

つまり、「伊藤くん」や「澄伽」的な傾向に、
悩んでいると言う人がいたら、
その人は「人に与える」ことをするといい。
慈善団体に給料の10分の1を献金することでも良いし、
休日の一日を、町内のゴミ拾いボランティアに参加することでも良い。
自分を見つめることによっては人は幸せにはなれず、
自分から目を離すことによって健全で幸福に生きられるよう、
神は人間をあらかじめデザインされたのです。
(1,142文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年6月第四週 希望の倫理 他5冊

2017.12.28 Thursday

+++vol.020 2017年7月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第四週 6月25日〜7月1日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●イノベーションのジレンマ

読了した日:2017年6月29日(速読)
読んだ方法:図書館で借りる

著者:クレイトン・クリステンセン
出版年:2001年
出版社:翔泳社

リンク:http://amzn.asia/hmw4q2Y

▼140文字ブリーフィング:

この本は非常に有名なベストセラーです。

→P56 
〈本書は、「積極的、革新的で
顧客の意見に敏感な組織と評価された企業が、
戦略的に極めて重要な技術革新を無視したり、
参入が遅れたのはなぜか」という疑問から始まった。〉

、、、とあるとおり、ある業界の優良企業が、
なぜ「破壊的イノベーション」への対応となると、
遅きに失し、完全に市場を奪われてしまうのか、
というのがこの本のテーマです。

もっとも典型的なイノベーションのジレンマのひとつは、
SONYのMD(CD)ウォークマンにおける圧倒的優位が、
AppleのiPod(MP3音楽プレイヤー)という破壊的イノベーションに、
まったく対応できなかった、という事例です。

「ジレンマ」という言葉はまさにそのとおりで、
著者によれば、
「持続的イノベーション」(先の例ならウォークマン)にとっては、
その企業が有能であればあるほど「破壊的イノベーション」の技術を、
疎外することになってしまう、という「ダブルバインド」がある、
というのです。

21世紀に確実に起こる「破壊的イノベーション」の最大のものは、
「電気自動車が現行の内燃機関の自動車を駆逐する可能性」でしょう。
テスラモーターズがフォードを「喰う」可能性が出てきた、
ということです。

フォードやトヨタにとって「自らの有能さ」こそが、
破壊的イノベーションをおこす最大の阻害要因になっている。
著者の提案は、トヨタやフォードに引きつけるなら、
「社内起業家」のような形で小さな分社を作り、
そこに失敗を許容するような風土と、
「本体とは違う人事評価」を取り入れることで、
破壊的イノベーションの種を蒔き続けることが大切だ、
ということです。

「持続的イノベーションを前進させる」という既定路線では、
「破壊的イノベーション」を提案する従業員の提案は、
「決済過程」で必ず死んでいくし、
社員がそれによって評価されるというインセンティブがまったく働かないので、
新しいアイディアは「淘汰される運命にある」からです。
(825文字)



●希望の倫理

読了した日:2017年6月30日
読んだ方法: Amazonで書籍購入(新品)

著者: ユルゲン・モルトマン
出版年:2016年
出版社: 新教出版社

リンク: http://amzn.asia/2IUBtVO

▼140文字ブリーフィング:

現在生きている神学者で、
「最大の大御所」はこの人でしょう。
「希望の倫理」という4,000円以上するこの神学書を、
「えいやっ」とAmazonで購入したのは数ヶ月前でしたが、
心から買って良かったと思いました。
あまりにも密度が高いのでここで紹介するのは不可能です。
こういう抜粋に適した本ではないのですが、
ひとつだけ「名言」を抜粋します。

→P271 
〈貧困の反対は裕福ではなく、共同体である。
共同体において個々人は富める者となる。
つまり信頼できる友に富み、相互の援助に富み、
理念や力に富み、連帯のエネルギーに富むのである。〉

貧困の問題は「物資の不足」にあるのではなく、
「つながりの不足」にある、というのは正鵠を射ています。
著者はこの本で、「環境問題」「戦争と平和」「貧困と分配」
「再生医療と生命倫理」といった、現代の喫緊の課題について、
彼の「神学という方法論」によってあざやかに語っていきます。
すごい本でした。
(400文字)



●わかりやすい文章を書く全技術100

読了した日:2017年6月30日
読んだ方法:Amazonプライム・月一冊無料本

著者:大久保進
出版年:2016年
出版社:クールメディア出版

リンク:http://amzn.asia/hMI1bwy

▼140文字ブリーフィング:

Kindleの月一冊無料本で読みました。
私は「文章技法の本」は、相当に読んできていますから、
既にどこかで読んだことのある内容が殆どでしたが、
以下の文章は「そのとおりだ」と共感しました。

→位置No.2182 
〈自分の伝えたい内容を、
長い文章でも短い文章でも表現出来る場合がある。
短い文章で表現して、伝わりやすさが減少しないのでしたら、
短い文章で表現した方が良いでしょう。〉

、、、「オッカムの剃刀」という哲学命題があります。
ある出来事についてシンプルな説明と、
複雑な説明がある場合、シンプルな説明を採用する方が、
常に戦略として優れている、というものです。

文章においても同じで、
あることを長文でも短文でも説明出来る場合、
常に短文で説明した文章のほうが優れています。

あることを難しくも簡単にも説明出来るとしたら、
「かんたんに」説明する方が常に優れているのです。
文章を書くとは、物事を伝達するとは、
「すこしでもやさしく」する努力であり、
「一文字でも短く」するために脳に汗かくことだと、
私は理解しています。(446文字)



●伊藤くんAtoE

読了した日:2017年7月1日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 柚木麻子
出版年:2016年
出版社:幻冬舎文庫

リンク: http://amzn.asia/fEPbFdo

▼140文字ブリーフィング:

佐藤優が複数の本でこの小説について言及していたので、
興味をもって手に取りました。
この小説に出てくる「伊藤くん」は、
現代日本の若い世代に特徴的な「自己愛型人間」の、
エッセンスを凝集させたような存在だ、と佐藤優は解説していました。
引用します。

→位置No.3024 
〈「勝つよりも、世の中にはずっと大事なことがあります。
なんだと思います。誰もが見落としています。
きっとあなたには、わからないだろうな」
 、、、
「誰からも傷つけられないということなんですよ」
ゆっくりと、一語一語区切るように彼は言った。
自分で言っていることにかつてないほど確信を持っているらしく、
瞳孔が開ききっている。
「テレビも映画も小説も『傷つくことを恐れるな』
と言い続けているけど、それは強者主導のルールですよ。
傷ついても平気な顔で生きていけるのは、
恥をかいても起き上がれるのは、
ごく限られた特殊な人種だけなんですよ。
そのことに誰も気付かないから、不幸が起きるんです。
大抵の人間が夢を叶えないまま死ぬのは、
夢と引き換えにしてでも、自分を守りたいからですよ。
楽しいより、充実感を得るより、金を稼ぐより、
傷つけられない方が本当は重要なんですよ。
僕もそうです。でも、他の人と違って、
ちゃんとそれを認めているし、隠すつもりももうないんです。
自分から誰かを好きになったりしません。
自分から誰かを好きになったら、
どんな人間でも恥をかくようにできている。
あの久住君だって無様そのものじゃないですか。
誰からも下に見られたり、莫迦にされたり、
笑われたりしたくないんです。
傷つける側に立つことがあっても、その逆は絶対に嫌なんです。
そのことを認めるのに、かなりの勇気が必要でした。
我ながらみっともないと思いました。
でも、この数年で、そう決めたんですよ。」〉

、、、伊藤くんは「勝ち続け」ます。
そして人を傷つけ続けます。
傷つけるのはいいけど、傷つくのは絶対に嫌だ。
だから自分をさらさないし、そもそも「土俵に上がらない」。
「スタート地点」に立たない限りは、
負けることは永遠にありませんから。

「伊藤くん」のような人間をきっと、
私たちはみな、何人か知っているのではないでしょうか。
「強すぎる自己愛」にとらわれ、
「自信はないけどプライドは高い」人間、
「他者には情報開示させるが自分の心は絶対明かさない」人間、
そういった人間が増えてきていて、それは社会を脆弱にしている。

その解毒剤はどこにあるのか?
佐藤氏はそれは聖書にあるとおり、
「受けるより与える方が幸いである」という原則だと言います。
「一粒の麦が死ななければ実を結ばない」もそうです。
私たちは「自分から目を離すことで本当の自分になる」のであり、
「他者を愛することを通してしか真の自己愛を発見できない」
という逆説的な真理を再発見する必要があります。
(1,164文字)

▼参考リンク:「僕ならこう読む」佐藤優
http://amzn.asia/51TbMV1

▼参考リンク:「嫉妬と自己愛」佐藤優
http://amzn.asia/77EROgH



●マルクスと哲学

読了した日:2017年7月1日
読んだ方法: Amazonで購入

著者: 田畑稔
出版年:2004年
出版社: 新泉社

リンク: http://amzn.asia/aYeEhCv

▼140文字ブリーフィング:

先日紹介した、友人の土畠氏の論文、
「医学資本論」を数年ぶりに再読してみて、
自分の「知の円環」の大きなミッシングリンクになっているのは、
やはり「マルクスの思想」だということを痛感しました。
「資本論」は未読ですし、
星の数ほどある「マルクス関連本」も、
数冊つまみ読みしただけです。
土畠氏が数年前に勧めてくれたのがこの「マルクスと哲学」で、
そのときに既に買ってあったのですが読めていなかった。
今回、夏期休暇を利用してやっと読むことが出来ました。
理解出来たのは多分5割ぐらいだと思いますが、
大事なことを発見しました。
それは著者が「あとがき」に書いていることでもあるのですが、
「マルクス主義」と「マルクス哲学」は違う、ということです。
マルクスの哲学は本来「動的」で「閉じられていない未完の」哲学だった。
その「閉じられていなさ」こそがマルクス哲学の、
社会を変える強さだった。
しかしエンゲルスにはじまり、マルクスの死後多くの学者や政治家が、
マルクスという哲学を「体系化」してしまった。
体系化されることで本来開かれていたプロセスは閉じられ、
「マルクス主義」という似て非なるものになってしまった。
毛沢東主義やレーニン主義は言うに及ばず、
マルクス主義哲学者はそれこそ星の数ほどいますが、
彼らが「体系化したマルクス」は、プロセスを失った。
その「プロセス」を取り戻すことが、
著者の田畑さんの「ライフワーク」なのだということが、
この本から伝わってきました。
キリスト教も似たところがあります。
イエスの言葉をパウロが「神学的に体系化」したことで、
すでにそれは「閉じられ」はじめていたのです。
さらにアウグスティヌスにはじまる西洋組織神学は、
徹頭徹尾イエスの言葉のダイナミズムを、
「体系化していく」プロセスだったとも言えます。
イエスの言葉には世界を変える力がありますが、
閉じられた体系としての「イエス主義」には、
世界を変える力はありません。
それを取り戻す努力、というのが、
21世紀のたいせつな教会の課題のひとつだと感じます。
(834文字)






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陣内が先週読んだ本 2017年6月第三週 聖書から見る、お金と教会、社会 他4冊

2017.12.21 Thursday

+++vol.019 2017年6月27日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第三週 6月18日〜24日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●聖書から見る、お金と教会、社会

読了した日:2017年6月21日
読んだ方法: 著者に贈呈していただく

著者: 高橋秀典
出版年:2017年
出版社:地引網出版社

リンク: http://amzn.asia/bThYa67

▼140文字ブリーフィング:

先日メッセージさせていただいた、
立川福音自由教会の高橋秀典先生は、
FVIの役員としても普段からお世話になっています。
また、私が病気から回復する過程で、
「ナラティブの語り変え」という視点から、
大きなヒントを与えてくださったのも高橋先生でした。

高橋先生は牧師としてユニークな経歴を持ち、
それゆえに、「先生にしか語る事の出来ないメッセージ」を、
いつも語り、書いておられます。

本の奥付きにあるプロフィールをご紹介します。

著者紹介:
1953年、北海道、大雪山の麓で誕生。
1976年、北海道大学経済学部卒業。
学部在学中、文部省交換留学制度で米国留学。
留学中に信仰告白、帰国後、日本ルーテル札幌北教会で受洗。
1976年、野村證券株式会社に入社、札幌支店で3年間営業職。
2年間の社費留学、ドイツ・ケルン大学金融ゼミナール修了。
1981ー1985年、野村證券フランクフルト支社勤務。
1989年、聖書宣教会聖書神学舎卒業。
1989年より、東京立川市で開拓伝道、現在、立川福音自由教会牧師。
著書多数。

、、、この世界の様々な事象を捉える、
高橋先生の「切り口」はいつも新鮮で、
「経済」や「政治」など、人々の生活に直接関わる事柄について、
聖書の世界観から見るとそれはどういうことなのか、
ということをわかりやすく提示することが出来る、
私の知る限りにおいて現代の日本において、
そう多くはない資質を持つ牧師です。

現代世界に起きていることを聖書の世界観から語るには、
「聖書」と「現代世界」の両方に精通していなければならない。
橋をかけるとき、こちらの岸と向こう岸の、
両方の地理を悉知しておかねばならないのと同じです。

先生は金融の世界にいたことがあり、
なおかつ聖書の勉強もし、
カウンセラーとして人の心の中の世界にも詳しい。

だから超越的な世界と、現実の世界の間に
「橋をかける」ことが出来るのだと私は分析しています。

実を言いますと、あまり明示的には語りませんが、
私のこのメルマガも、「橋をかける」という意味では、
先生がなさっていることと目的意識を共有しています。
経験も知識もレベルはまったく違いますから、
比較するのはおこがましいのですが。

本書の中から、いくつか特にヒットしたところを引用します。

→P6〜7
〈それは、保守と革新という枠組みの対立を
超えたヴィジョンでなければなりません。
現代の政治的変化は、グローバル経済が生む問題を、
対症療法的に変えようとする運動のように見えます。
しかし、キリスト教会は、
そのような政治対立を超えた価値観を提示する存在であるべきでしょう。
そして、明確なヴィジョンの元に、
お金を賢く管理することが求められています。
イエスは二千年前のグローバル市場経済の中で、
お金について驚くほど頻繁に語られました。
そして、そのメッセージは、
現代のグローバル経済にそのまま適用できる、
古くて新しい知恵なのです。〉

、、、私たち信仰者は、「保守かリベラルか」とか、
「自由主義者か社会民主主義者か」とか、
そういった二項対立の図式のもっと奥深くを
見なければいけないんだよ、ということです。
私もまったくその通りだと思います。

「安倍応援団」も、
「アベ政治を許さない!」も両方、
著しくピントがズレています。

問題は「安倍さんがどうか」ではなく、
真理がなんといっているかです。

→P26〜27
〈ニーチェは、キリスト教の指導者達が、
人間として自然に悩むこと、
考えることをやめさせる傾向へと導いていると非難しましたが、
私たちは決してそのようになってはいけません。
この世で仕事をするということは、
矛盾のただ中に身を置くことに他なりません。
私たちは人々に、悩むべき事を
正面から悩むように語り続ける必要があります。〉


→P217
〈この世から「お金」がもたらす矛盾が消えることはありません。
しかし、私たちはそこで、お金や権力の奴隷になることなく、
キリストに倣った「新しい創造」の中にある者としての
ユニークな生き方を探り求めていく必要があります。
それは、それぞれの分野で全く違った形で現されることでしょう。
 、、、(中略)、、、
市場経済やお金の暴走を批判することは誰にでも出来ます。
聖書は、それ自体を罪悪視し、それと離れることを勧める代りに、
富と権力の奴隷にならずに、
死に至るまでキリストに忠実に生きることだけを命じます。
しかもその際、天地万物の創造主ご自身である聖霊が、
私たちの内に生き、私たちをこの世の矛盾に遣わし、
神のかたち、小さなキリストとして用いてくださいます。
タラントやミナのたとえにあるように、
神は私たちに与えられた賜物やお金を、
神の国のヴィジョンのために豊かに用いることを期待しておられます。
それは音楽家や芸術家が、
神の国の美しさをシンフォニーや芸術作品を通して現すために
日々訓練を積むことに似ています。
お金に使われずに、お金を賢く使うことが出来るための訓練も、
現実の教会には求められています。
そして、創造主なる聖霊が、
あなたに創造的なお金の管理の仕方を導いてくださるのです。〉

、、、お金はこの世の中に矛盾をもたらすことがあります。
また、この世界には不条理が満ちあふれています。
だからといってお金について語る事をやめたり、
現在の労働様式や資本主義システムを、
「外部から」批判しても何も生まれません。

リック・ウォレン牧師が説教で良く言うのですが、
「驚かれるかも知れませんが、
 福音書においてイエス様は、
 天国と地獄について語る以上に頻繁に、
 お金について語っているのです。」

信仰者はお金を避けるのではなく、それについて考え抜き、
そしてお金の使い方を通して御国の原則をこの世に提示するよう、
神から期待されているし、
この世の仕事の矛盾に「腰砕ける」のでも、
そこから「隔離される」のでもなく、
そのただ中にあって神の国を実現する者たちとして召されています。
(2,381文字)



●非暴力

読了した日:2017年6月20日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入(青空文庫)

著者:マハトマ・ガンジー
出版年:1942年
出版社:青空文庫

リンク: http://amzn.asia/29ucdaf

▼140文字ブリーフィング:

イエス・キリスト以外で最も尊敬する歴史上の人物は、
私にとってはマハトマ・ガンジーです。
彼の「非暴力による抵抗」は20世紀の公民権運動、
すなわちマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師や、
ネルソン・マンデラ大統領の偉業へとつながります。
これは「青空文庫」の無料本で、
紙の本なら5ページほどの小冊子ですが、
ガンジーが非暴力をたんなる道具としてでなく、
考え抜いた末の「戦略」として実行しているのが分かります。

→位置No.3 
〈もし我々が造物主の心を知ることさえ出来たならば、
我々は造物主が彼らを創造した意義を発見するだろう。
故に、非暴力はその積極的形式においては、
すべての生物に対する善意である。
それは純粋の愛である。
私が印度教の諸聖典や、バイブルや、
コーランの中に読むところのそれだ。〉
(340文字)



●僕ならこう読む

読了した日:2017年6月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:佐藤優
出版年:2017年
出版社:青春出版社

リンク: http://amzn.asia/51TbMV1

▼140文字ブリーフィング:

この本は、佐藤優氏が、
「他者とのコミュニケーションについて」
「愛することについて」
「信念を貫く生き方について」
「組織の怖さと残酷さについて」
「現実を見極める力について」
「運命と選択について」
という6つのテーマについて、
それぞれ2冊ずつ、つまり全部で12冊の、
小説やノンフィクション本を紹介することによって、
「読み解いていく」という一風変わった「読書の手引き」です。

いくつかのテーマで、何カ所か引用します。

▼小説やノンフィクションを読む意義について
→位置No.331 
〈小説やノンフィクションを読むと言うことは、
このように社会と時代を読み解くためのヒントを
得ることが出来ると言うことでもあります。
私たちが気がついていない問題点、
意識化できていないことに対して、
新たな認識を得るきっかけになるのです。〉

、、、小説を読むというのは、
「代理体験」です。
私たちは人生を一回しか生きられないので、
1977年の日本のサラリーマン家庭に生まれた私は、
1920年生まれの太平洋戦争に参加した兵士の気持ちを知りませんし、
シングルペアレントとなり生活保護を受ける母親の気持ちを、
理解することは出来ません。

しかし、優れた小説やノンフィクション作品は、
それらの「別の人生とそこから見える風景」を、
私たちに疑似体験させてくれます。
それが「想像力」を養い、
他者の気持ちを理解することにつながります。


▼コミュニケーション力は「教養」から生まれる
→位置No.339 
〈コミュニケーション力とは何か、
コミュニケーション力の高い人とはどういう人かと言えば、
小手先の会話術ではなく、間口の広さだと私は考えます。
相手を認め、受け容れる間口の広さ。
このことがコミュニケーション力の基本であり、
コミュニケーション力の高い人の特徴なのでしょう。
それはどこから生まれるかと言えば、「教養」だとしかいえません。
人には様々な価値観や考え方、生き方がある。
自分の考えを持つと同時に、
世の中には多くの価値観と考え方があることを知っていること。
それには結局、当たり前のようですが、
たくさんの本を読むことです。
ネットや雑誌を読むのも良いですが、
古今東西の良書、特に小説を読むことだと思います。
古典以外でも、先に挙げた二つの小説(「火花」と「異類婚姻譚」)
のような現代作家の作品は時代と社会を鋭く反映するだけに、
大いに参考になるでしょう。〉

、、、小説やノンフィクション作品によって、
自分とは違う他者の気持ちや境遇を多く疑似体験した人は、
他人の感情や思考を理解し受け容れることができます。
そういう人を「教養のある人」と言い、
小手先のノウハウよりも奥深くにある、
「ほんとうのコミュニケーション能力」というのは、
この「教養」に左右されるのだ、
と佐藤さんはここで言っています。

養老孟司が、
「教養とは人の気持ちが分かることである」
と、このことを一言で言い表しています。


▼自分でストーリーをつくれる人が強い
→位置No.1576〜1609 
〈では、選択と運命というものをどう考えたら良いでしょう。
私自身は、運命という実態が存在するとは考えていません。
運命と感じるのはそれぞれの解釈の仕方なのだと思います。
つまり、自分の選択が正しかったと解釈出来るストーリーを
後からつけることが出来るかどうか。
たとえば、医学部を目指していたが落ちてしまった。
それにとらわれて、もっといい高校に行っていたら入れたのにとか、
医者になれなかったから今のように収入が低くなってしまったとか、
自分の過去と現在、未来にまでわたって悲観したり否定したりする人がいます。
こういう人は、ストーリーのつくり方が下手だと言えます。
そうではなく、だからこそ今のパートナーに出会えた、
親しい友人を得られた、あの挫折があったからこそ今の自分がある、
などと考えることも出来るはずです。
自分の選択をあたかも導かれた運命のように感じること。
それが現状を肯定し、前向きかつ主体的に生きることにつながる、
上手なストーリーづくりなのだと思います。
 、、、(中略)、、、
(最近の若い世代は仕事や課題を
与えたときに先に正解が何かを求めたがる、
という知り合いのビジネスパーソンの話から)
ひとつひとつの選択そのものに、
最初から明確な正解や不正解があるわけではありません。
問題は、選択した後でそれが正解だったと
言えるように行動することであり、
自分なりの解釈が出来るかどうか。
つまり、「正解にしてしまう力」があるかどうかが問題なのです。
 、、、(中略)、、、
現実は偶然の断片かも知れませんが、
それを有意味につなぎ合わせる力、
良い意味でストーリーをつくり上げる力、
つまり自分の選択を正解にしてしまう力を持つことが、
この時代を生き抜く強さなのかも知れません。
その際には、やはり読書が大きな力になります。
古今東西の良書を読んでさまざまな人生を疑似体験すれば、
ストーリーを組み立てる力が高まるからです。〉

、、、引用が長くなりましたが、
最後に佐藤さんがここで言っているのは、
「物語る力」のことです。

今の時代は「時代の地殻変動期」にあり、
昨日「これが大切だ」とされていた価値体系が、
今日はまったく重要でなくなってしまうような、
価値観の激動のなか人々が不安になる社会です。

そのような時代で力を発揮するのは、
「他者の定めた価値体系の中でうまく立ち回る」
いわゆる偏差値秀才や優等生タイプではありません。
「自分でルールを設定出来る人」が、
これからの世の中を生き抜く力を持ちます。

その「ルール」あるいは「物語」の豊かさを決めるのは、
やはり「教養」です。
どれだけ「良い物語」に触れてきたかが、
「物語る力」における勝敗を分けます。

見て来たように、良い物語を読むことは、
現代社会を知る上でも、
他者とコミュニケーションする上でも、
先の見えない時代に「物語る力」を得る上でも、
有用な行為なのです。

佐藤さんの「読み解き」をのぞくことで、
「そうか、本というのはこのように咀嚼し、
 自らの血肉としていくのだ」
という風に学べるこの本は、良い読書の手引きです。
(2,475文字)



●最も危険なアメリカ映画

読了した日:2017年6月24日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 町山智浩
出版年:2016年
出版社:集英社インターナショナル

リンク:http://amzn.asia/1rOdCe9

映画評論家の町山智浩さんが、
「現代の映画の原点」と言われる古典的作品、
D.W.グリフィス監督の「国民の創生」に隠された、
白人至上主義、黒人蔑視のイデオロギーを読み解くところから始まり、
その後、様々な形で無邪気に消費されるアメリカ映画に、
ときおり立ち現れる「ある主の思想」について解説します。
その「思想」は現代において言い換えるならば、
「トランプ的なるもの」であり、
それは「白人のアメリカという神話」であり、
「反知性主義」であり、
「レーガン以降の共和党的なるもの」です。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や、
「フォレスト・ガンプ」など、私の好きな映画にも、
巧妙にそのメッセージは折り込まれている。
日本の闇の深さも相当なものがありますが、
アメリカの闇もまた、思っていた以上に深いです。
(340文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年6月第二週 「牙を研げ」佐藤優 他7冊

2017.12.14 Thursday

+++vol.018 2017年6月20日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第二週 6月11日〜17日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●セカイからもっと近くに

読了した日:2017年6月12日 後半ながし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀
出版年:2013年
出版社:東京創元社

リンク: http://amzn.asia/eLUsoWX

▼140文字ブリーフィング:

昨年大ヒットした「君の名は」は、
サブカルシーンの物語類型において、
「セカイ系」とカテゴライズされます。
先週読んで抜群に面白かった「ゲンロン0」で、
同じ著者の東浩紀が「セカイ系」に言及しているのを読み、
本書に興味を持ちました。

ちなみに「ゲンロン0」で東氏は、
「セカイ系」を以下のように定義しています。
→P97
〈脚注 ★30 、、、「セカイ系」とは、
国家や社会などの現実的な舞台設定の導入抜きに、
主人公の小さな恋愛と世界の破滅のような
巨大な出来事を短絡させる物語類型の総称で、
日本のオタク系コンテンツでは2000年代にある程度の流行を見た。〉

何を言っているのか分からない人も多いかもしれません。
しかし「君の名は」を観たという人なら、
なんとなく分かるのではないでしょうか。
「君の名は」は、タイムループする主人公同士の、
淡い恋が実るというミクロなラブストーリーと、
「巨大隕石による街の消滅」という終末的危機が、
平行し絡み合いながらストーリーが進みます。

実はこの「物語類型」は1980年代の、
「ポストモダン」の流行にそのルーツを発しており、
小説やテレビアニメ、映画などを通して繰り返されてきた、
「話法」なのだというのが東の論です。

東は第一章〜第四章までの各章で、
新井素子、法月倫太郎、押井守、小松左京、
といった作家たちを紹介しながら、
彼らがなぜ「セカイ系」の物語を紡いだのか、
それを紡ぐことにより彼らは何を乗り越えようとしていたのか、
という創作の深層を探ります。

作家達にとって「セカイ系」というのは、
60〜70年代の政治運動や「革命の時代」が終わり、
大きな物語が終焉した「父の不在」の時代において、
新しい物語を紡ごうとした格闘なのだ東は分析します。

2016年にも「君の名は」という「セカイ系」が、
メガヒットしているところを見ると、
いまだ日本は「父の不在の時代の困難」を乗り越えられていない。
言い換えると、個人が大人になり、大人が社会を形成する、
という社会論における「大人」と「社会」の両方が抜け落ちている。
だから「個人」は社会を飛び越えて終末論的飛躍をし続ける。

「ゲンロン0」は、「大人と社会」に関する提案の本です。
本書はその意味で「ゲンロン0」の副読書としても読めます。
(943文字)

▼参考リンク:「ゲンロン0」東浩紀
http://amzn.asia/14DBb72



●影の現象学

読了した日:2017年6月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:河合隼雄
出版年:1976年
出版社:思索社

リンク: http://amzn.asia/83cH0Rn

▼140文字ブリーフィング:

河合隼雄の本は私は大好きで、
3ヶ月に一度ぐらい手にとって読みたくなります。
河合氏はユングを日本に紹介した心理療法家として知られていますが、
ユングは「影」の概念の大切さを、
近代以降の西洋社会で初めて指摘した人として有名です。
ユングが指摘したのは、「啓蒙の時代」に、
西洋社会が「光」や「善」をあまりに強く志向し、
「影」や「悪」や「死」を心の奥深くに抑圧した結果、
それらが病的な形で現れているのが
「精神疾患」なのだということです。

ユングや河合氏が強調しているのは、
「影の部分を統合に取り込む」ということであり、
いわゆる「生老病死」や「闇」、「影」をなきものとして、
否認し抑圧することは危険だよ、ということです。

引用します。

→P232 
〈われわれとしては影の死や自分の死を安易に期待するよりは、
それが死ぬほどの苦しみを与えるものであっても、
影との対話を続けてゆく方が、より建設的であると思われる。〉

先日、私は立川福音自由教会の礼拝で、
メッセージさせていただきました。
そのタイトルは「夜とともに生きる」であり、
まさにこの本のテーマと一致しています。

現代は、人々がますます闇や影を毛嫌いし、
若さ、健康、豊かさ、明るさを志向する時代です。
その結果、抑圧された影がより悪しき形で表面化する、
という逆説的な状況を生んでいるように私には見えます。

このような時代に私は「闇について語ることのできる」、
数少ない人のひとりでありたい、と願っています。
(584文字)



●(日本人)かっこにっぽんじん

読了した日:2017年6月13日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:橘玲
出版年:2014年
出版社:幻冬舎文庫

リンク: http://amzn.asia/gaaRIEH

▼140文字ブリーフィング:

この本のテーマは「日本人論」ですが、
著者はあまりに博識で、文章が上手すぎるので、
「各論」に魅了されていたら読み終わってしまい、
「結局この本の構造は何だったの?」というような、
とても評価が難しい本です。

各章、各章には「なるほど」とうならされる論が沢山あり、
それを描写する筆者の文章力も相当なものがあるのですが、
全体としてそれがひとつの議論に収斂していかないもどかしさがある。

あらゆる小皿がとても美味しかったのだけど、
メインがどれだったのか分からない、
旅館などののコース料理が時々ありますが、
そんな感じです。

ね?

評価が難しいでしょ?

この本の骨子は最終的に「あとがき」にあり、
その部分を読むだけでもこの本の価値があるかもしれない。
引用します。

→P439 
〈「日本人はアメリカ人よりも個人主義的(自分勝手)だ」
「アメリカ人は日本人よりも協調的で他人を信頼する」という
”反常識”をさまざまな実験によって証明したのは
社会心理学者の山岸俊男氏で、氏の一連の著作によって
「和をもって貴しとなす」という従来の日本人感を
根底から覆されたことが本書の出発点になった。

ロナルド・イングルハートの「価値マップ」は、
社会学者・橋下努氏の著作で知った。

「日本人は世界でも突出して世俗的な国民である」
という世界価値観調査の結果はもう一つの衝撃だったが、
それは山岸氏の実験とも整合的で、
「空気」の支配は個人主義の結果だ
(拘束が強くなければ共同体を維持できない)
という仮説を裏付けるものだった。〉

、、、この本の日本人論のユニークな点は、
「共同体を重視し権威を重んじ空気を読み協調性を重んじる日本人」
というプロトタイプが、じつは嘘で、
本当のところは日本人は世界で最も個人主義的で、
世界で最も権威を軽視または嫌悪する国民だった、というのです。

イングルハートの「価値マップ」によると確かに、
日本人はアメリカ人などとは比較にならないほど、
「権威を重んじません」し、
日本人はアメリカ人とは比較にならないほど、
「他者が自分のことをどう思うか気にしません」。

気にしているように見えるのは、
「そうしたほうが自分に得になる」
という条件がそろったときだけです。
そして日本の社会は稲作相互監視社会だったので、
「人の目を気にすることが歴史を通して得であり続けた」
だけのことだ、と著者は言うのです。

じっさい、人に見られていないことが保証されているときに、
日本人がいかに野蛮に振る舞うかはネットを見れば明らかです。

では日本人が一貫して求めているものは何か?
それは「自分の得になるかどうか?」です。
超・ウルトラ・プラグマティスト(実利主義者)、
これが日本人だ、というのが著者のスタート地点なのです。

日本人が権威を重んじているのは自分に得になるからであり、
日本人が空気を読むのは自分に得になるからだ。

こういう前提から出発する「日本人論」です。
おもしろそうでしょ?
じっさい面白いのですが、
最初に言ったようにちょっと議論が散漫なところがありました。

でも十分、普段自分が思い込んでいる枠組みを外してくれる、
新しい視点をもたらしてくれる本でした。
(1,283文字)



●牙を研げ 社会を生き抜くための教養

読了した日:2017年6月17日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 佐藤優
出版年:2017年
出版社: 講談社現代新書

リンク: http://amzn.asia/c9LQUir

▼140文字ブリーフィング:

佐藤優氏がビジネスパーソンのために開催した、
「モーニングセミナー」の授業の書き起こしです。

現代のビジネスパーソンは多忙を極めますが、
仕事が始まる前の時間を使い、身銭を切って、
「教養」を学ぶために集まっている。

その人達に損をさせまいとする佐藤氏の情熱が伝わってくる内容で、
実際的にビジネスや組織内での立ち回りにも応用可能な、
アドバイスに満ちています。

「英語より数学が大切」という話しと、
「読書マトリックス」を作るという話しが、
特に面白かったので引用します。

→位置No.1000 
〈そうなってくると、コミュニケーションの核というのは、
じつは英語力ではなく、論理力です。
論理には、言語的な論理と非言語的な論理があります。
数学というのは、そのうちの非言語的な論理です。
これは第七章でまた紹介しますが、
皆さんが採用する若手の数学力がどうなっているか。
じつは東京大学、一橋大学、京都大学をのぞくと、
国立も含めて文化系において殆ど数学は
スルーできる状態になっていますから、
若手のプライドを傷つけないように十分気をつけながら、
そこの力を早めにチェックしておいて下さい。
数学力を付けておくと明らかに会社の力もチームの力も強くなります。
だから、英語よりも先に数学です。
いくら英語だけ出来るようになって
コミュニケーションをしても説得力を持ちません。
論理力を持ちません。〉

→位置No.2802〜2835 
〈個人のキャリアアップのために読書をするのはとても大切なことです。
目標を定めなければならないとよく言いますが、
その際に有効なのは、マトリックスを作ることです。
横軸としては、読書の目的すなわち、
仕事で使うために必要な読書なのか、
教養を付けるために必要な読書なのか、
趣味の読書なのか、一方で、縦軸としては、天井があるか、
つまり、ここまでやればじゅうぶんだといえる規準があるものか、
逆に、天井がないものかどうか、そのようなマトリックスが必要です。

      仕事   教養   趣味
天井あり  1    2    3
天井なし  4    5    6

、、、(中略)、、、現段階では教養の枠に入りますが、
それでも、その読書が終わった後には、
これを何らかの教材にして同志社の神学部の講義で使うことになると思います。
そうすると今度は仕事のほうにシフトする。
このマトリックスというのはいろいろシフトする。
頭の中に図を思い浮かべながら、
今、どこにいるかを考えるのは、とても重要です。〉
(973文字)



●若い読者のための短編小説案内

読了した日:2017年6月14日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:村上春樹
出版年:2004年
出版社:文春文庫

リンク: http://amzn.asia/etULXhW

▼140文字ブリーフィング:

タイトル通りの本です。
村上春樹が若い読者のために「短編小説の読み方」を案内しています。
具体的には以下の作品が紹介されています。
ちなみに私はこれらのどれひとつとして読んだことがありませんでした笑。
・吉行淳之介「水の畔り」
・小島信夫「馬」
・安岡章太郎「ガラスの靴」
・庄野潤三「静物」
・丸谷才一「樹影譚」
・長谷川四郎「阿久正の話」

「あとがき」に、「本の読み方」に関する、
村上春樹の持論が載っていまして、
これにはいたく共感しましたので引用します。

→P220 
〈僕はいつも思うのだけれど、
本の読み方というのは、人の生き方と同じである。
この世界にひとつとして同じ人の生き方はなく、
ひとつとして同じ本の読み方はない。
それはある意味では孤独な激しい作業でもある。
ーー生きることも、読むことも。
でもその違いを含めた上で、
あるいはその違いを含めるがゆえに、
ある場合に僕らは、まわりにいる人々のうちの何人かと、
とても奥深く理解し合うことが出来る。
気に入った本について、
思いを同じくする誰かと心ゆくまで語り合えることは、
人生の最も大きな喜びの一つである。
とりわけ若いときはそうだ。
皆さんにもおそらくそういう経験があるのではないだろうか。〉

、、、「気に入った本について、
誰かと心ゆくまで語り合えることは、
人生の最も大きな喜びの一つである」
というのはまったくもって同感です。

私の人生の「極上な至福の時間」は、
親しい友人と読んだ本について語り合うことです。
そういう時間があれば、私は「生きていける」。
その記憶は、私の心を長い間、
じんわりと温め続けます。
(660文字)



●舟の右側 vol.42 2017年6月号

読了した日:2017年6月17日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=118296810

▼140文字ブリーフィング:

前回も紹介しましたがこの雑誌は、
キリスト教の「業界誌」であり、
「月刊釣り」とか「月刊溶接」のようなもので、
一般書店では手に入りません。
しかし私は(お会いしたことはありませんが)編集長の谷口さんの、
「日本の教会にお仕えする」という情熱と使命感に共鳴していまして、
それで教会にいけば読める本誌を個人で講読し始めたのです。

今回は、日之出キリスト教会牧師の、
行澤一人(かずひと)先生による、
「コミュニティ・アソシエーション論」の考察が面白かったです。
かなり長いですが引用します。

→P8〜12 
〈問題は、不幸にも、両者の要素は
ときに衝突し合うように見えてしまうことである。
そして、共同体志向の人々は、
アソシエーション志向の人々に向かって、
目的主導型の教会形成は人々の人格的ニーズを置き去りにし、
愛することでさえも目的のための手段と考えていると批判し、
アソシエーション志向の人々は、共同体志向の人々に対して、
何のために救われ、何のために教会が世に遣わされているのか、
その使命や目的を忘れ去り、
自己満足の生ぬるさに甘んじていると
裁きのまなざしを向けるのである。

同じような対立は、教会と宣教団体、
あるいはその他パラチャーチ運動や、
ミニストリーとの間でも起こりうる。

しかし、これは、御国の資源の浪費以外の何者でもない。

私が、本稿で明らかにしてきたことは、
1.教会は、本質的に、共同体としての基礎の上に、
神が委託したもうた使命・目的を遂行するための
アソシエーションとして築かれ続けていくものであり、
両者の要素はいずれも不可欠であること、

2.確かに二つの要素は葛藤を抱え、
緊張関係に立つべきものであるが、
キリストのからだに連なる信仰によって両者は融合し、
キリストのエクレシアとして止揚されていくということ、

3.そのような止揚を支え、確証するために、
神は繰り返しキリストのエクレシアの内に
聖霊降臨のみわざをおこされ続けること、であった。〉

、、、いかがでしょうか?
共同体=コミュニティと行澤先生がここで言っているのは、
連載本文内にも出てきますが、マックス・ウェーバーの言った、
「ゲマインシャフト」の概念とほぼ同義で使っています。
そしてアソシエーションという言葉を先生は、
ウェーバーの「ゲゼルシャフト」と同じ概念として、
議論を展開しています。

キリスト教徒、非キリスト教徒に関係なく、
ゲマインシャフト、ゲゼルシャフトという言葉は覚えておいて損はないです。
両方とも「共同体」を現すドイツ語の単語ですが、
ゲマインシャフトは「家族のような生得的な共同体」を指し、
ゲゼルシャフトは「目的のために集まった機能的な共同体」を指します。
前者を共同体、後者を機能体と訳したりもします。

ゲマインシャフトにおいては、
「何の役にも立たないメンバー」に存在意義がありますが、
ゲゼルシャフトにおいてはありません。
(給料だけもらって遊んでいる人は株式会社にはいられないし、
 サッカー日本代表に運動音痴は必要ありません)

なぜこの二つの概念を覚えると有用かと申しますと、
社会に存在するあらゆる「人の集まり」は、
ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの混淆状態だからです。

家族といえどもときには一致団結して何かをしなければならない。
そのとき家族はゲゼルシャフト的に機能しますし、
会社とはいえ、時には弱いメンバーを支えるという局面が訪れる。
そのとき会社はゲマインシャフト的です。

組織をうまくリードしようとすると、
その両者を上手く折衷しつつ、局面、局面において、
上手にバランスをとるセンスが必要になります。

「教会」はこの両者が互いに100%真実である、
というバランスで存在している特殊な「人の集まり」なのです。

「弱いところをことさらに尊ぶキリストの体」として、
教会は100%ゲマインシャフトですし、
「地上における神の御心の遂行を担うべく召し集められた」
という意味で教会は100%ゲゼルシャフトです。

これを「トレードオフ」と理解すると教会は破綻します。
「がんばらなくてもいいんだよぉ〜」と言いながら歌を歌い、
社会に影響力を失っていくか、
ムキムキマッチョな機能体として、
ベンチャービジネスのようなイケイケ教会となり、
そこに「教会の本質である愛と赦し」を失うか、
という二極のいずれかに陥りやすい、ということです。

この問題は常日頃から私が考えていたことでしたので、
今回のこの記事を読んだとき、日頃の私の問題意識を整理し、
代弁してくれたような気がしました。
(1,824文字)



●医学資本論 〜現代医学システム批判〜

読了した日:2017年6月17日 再読
読んだ方法:PDFで原稿をいただく

著者:土畠智幸
発表年:2013年
北海道大学大学院 公共政策学教育部 修士論文

リンク:https://goo.gl/5iqte9
*「クリスチャン新聞」記事のリンクです

▼140文字ブリーフィング:

これは本ではなく論文です。
私の友人の土畠氏は、
札幌市にある「医療法人 稲生会」の理事長で、
現役バリバリの医師であり経営者であり、
3人のお子さんの父親でありながら、
自分とは別の分野の「修士課程」を修了し、
学位を2013年に学位を取りました。
現在はまた別の分野の博士課程をやっています。

経営者、現場の医師、父親であること、学生、
という4つの分野のどれかひとつに集中したとしても、
どれひとつとして私は彼ほどのパフォーマンスは挙げられない、
という「自信」があります笑。

人間としてのスケール感と言いますか、
「エネルギーと能力の総量」と言いますか、
そういうのがまったく違うのです。

間違って同じ年に生まれちゃったりしたので(笑)、
違いが際立つという。

彼と話すと私はいつも思うのです。
「陣内よ、39年間、
 おまえはいったい何をしていたのだ?」と。

この論文は2013年にもらって、
そのときに一度読んでいたのですが、
4年半後の今再読して驚愕しました。

当時読んで理解したと思っていたのは私の錯覚で、
当時は「理解していないことすら理解していなかった」だけでした。
再読してみて、「彼は4年前にすでにこんなところまで来ていたのか」
と愕然としたのです。

現在39歳の私は、当時35歳の彼の知識量に、
まったく及んでいない。

巻末の「参考文献」をみますと、
現在の私がやっと4年前の彼の到達点の、
「2合目」ぐらいにいるのがわかります。

「アキレスと亀」もしくは「ゼノンのパラドックス」という、
思考実験があります。

アキレスの前を亀が歩いている。
アキレスは亀の倍の速度で走れる。
アキレスが亀のいた位置に行くまでの単位時間に、
亀はアキレスが走った半分の距離前進している。
次にアキレスは亀の位置まで行く。
すると亀は「そのさらに半分」進んでいる。
、、、
という風に繰り返すと、
「アキレスは永遠に亀に追いつけない」
ということになる。

これが「ゼノンのパラドックス」です。
現実の世界ではこれはじっさい起こらず、
ある時点でアキレスが亀を抜くことは、
微分方程式によって証明可能です。

私と土畠氏の「知識の量と深さ」の関係は、
ゼノンのパラドックスの逆で、
追いかける私が亀、逃げる土畠氏がアキレスなので、
永遠に追いつかないどころか、4年半で私は、
「土畠氏がかつていたところ(2013年の論文)」が、
やっと見える位置にいます。
ということは彼は、「さらにその倍」、
前に進んでいることになる。

でもそんな彼の論文の「謝辞」に、
私の名前が載っています。
自分は何も達成していないのに、
なにか誇らしい気持ちになります。

、、、さて、肝腎のこの論文の内容なのですが、
文字数の制約があるため概説不能です(笑)。

「医学資本論」というタイトルが示すとおり、
「資本主義というシステムが抱える矛盾」を批判した、
マルクスの方法論を使って土畠氏は、
「現代医療システムが抱える矛盾」を批判します。

ここでいう「批判」というというのは、
「困ったもんだよねぇ」といういわゆる愚痴や文句の意味ではなく、
そのものの本質を捉え変革の原動力となる「内的批判」です。

現代医学の抱える矛盾というのは、
「エビデンス(症例としての患者数)」の増加が、
医学というもののシステムの中で「医学資本」として自己増殖し、
それに「ガイドライン」という形の「機械化」が起こることで、
患者はますます「エヌ(サンプル数)」としての意味合いを強め、
医者と患者はともに「疎外」され「物象化」される。

それを超克するためには何が必要なのか、
というのがこの論文のテーマです。

彼は「アソシエーションに基づく医学実践」を提唱します。
「結語」から引用します。

→P105 
〈彼らは行動を起こす。彼らはアソシエーションを形成する。
アソシエーションの中では、医師も患者もともに
ひとりの自由かつ社会的な個人として存在し、
個別の医学実践は直接的に社会的で普遍的なものとなる。
医療の在り方は、医師と患者の共同による計画により形を変えてゆく。
アソシエーションを形成するための行動が、
現代医学システムにおける内的矛盾を自覚した
革命主体の行動により量的に蓄積されると、
いずれは医療における質的な変化を引き起こす。
この結果として現れるアソシエーションを基盤とした医学実践
Asociation-Based Medicineにおいては、
もはや医師ー患者関係の物象化は存在しない。
医師と患者が疎外されることのない未来の医療への歩みとしての
「静かなる革命」は、既に始まっているのだ。〉

、、、彼のすごいところは、
革命の提唱者であると同時に、
革命の実践者であるところです。

彼が理事長を務める病院では医者は白衣を着ません。
また、医療実践者である医師や看護師と、
医療の受益者である患者の家族が一緒に症例研究をし、
それを発表したりしている。

つまりこの論文で示されている、
「医療が抱える内的矛盾による医者ー患者関係」を、
再構築し変革しようとしている。

彼が今取り組んでいることは他にも沢山ありますが、
「障害者のきょうだいを持つということは、
 どういうことなのか」ということを考えるための教材として、
「ぼくのおとうとは機械の鼻」という絵本を
作るというのもそのひとつです。

この絵本は全道の小学校の図書館に置かれるそうです。
動画がありましてとても感動的なので是非見てみてください。
(2,181文字)

▼参考リンク:医療法人「稲生会」
http://www.toseikai.net/

▼参考動画:「ぼくのおとうとは機械の鼻」
https://youtu.be/oHA2q2jE6lA






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陣内が先週読んだ本 2017年6月第一週 『ゲンロン0』東浩紀 他7冊

2017.12.07 Thursday

+++vol.017 2017年6月13日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年6月第一週 6月4日〜10日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ダークマターと恐竜絶滅

読了した日:2017年6月4日
読んだ方法: 図書館で借りる 途中飛ばし読み

著者: リサ・ランドール
出版年:2016年
出版社: NHK出版

リンク: http://amzn.asia/fJTavll

▼140文字ブリーフィング:

3年ほど前に読んだ、
「ワープする宇宙」という本が非常に面白く、
次の著書、「ダークマターと恐竜絶滅」を手に取りました。
「ワープする宇宙」は、最新の素粒子論の「超ひも理論」とか、
「素粒子よりさらに小さなスケールでは、
 物質は『ひも』として存在し、
 それらは三次元空間ではなく四次元、五次元など、
 より高次の空間が三次元空間に折りたたまれて存在している」
という、驚くべき学説の数々にワクワクさせられました。

本作はタイトルは興味深いですが、
前作ほどの知的興奮はありませんでした。
ただ、宇宙の観察結果から分かるのは、
私たちが知っている「原子」というのは宇宙の質量のたった10%にすぎず、
残り90%は「ダークマター」と言われる宇宙にあまねく存在する、
「物質(か波動か分からないもの)」で占められている、
という有力な仮説には驚きました。
なぜこれが分かるかというと、
非常に離れた銀河が、「あるべき場所に見えない」からです。
ということは光が「曲げられている」。
曲げている正体が、ブラックホールや、
いわゆる「天体」のような「原子」だとすると計算が合わず、
「あまねく宇宙に存在する、質量をもつダークマター」だと仮定すると、
すべての計算が合致するわけです。

それと「恐竜絶滅」と、何の関係があるのか。
こういうことです。

宇宙のある時点で「オールト雲」という場所で、
この「ダークマターの重力」の影響で、
直径10キロぐらいの隕石が「とある軌道」に乗った。
「ある軌道」とはまっすぐ地球を目指しており、
それが今から6600万年前に、
ユカタン半島(中米にある)に衝突した。
それが「チクシュルーブ・クレーター」として現在知られる、
巨大なクレーターを作った。
この衝突が恐竜絶滅の直接的な原因となった、
というのはほぼ定説になっています。

、、、よって、私たちの知る「原子」とは違う、
「ダークマター」という宇宙を満たす「物質」が、
恐竜絶滅をもたらしたのだ、というのがこの本の要旨です。

引用します。

→P470〜471
〈オールト雲から見れば、
それはとくにたいしたこともない乱れだった。
一個、あるいはせいぜい数個の氷の天体が、
そこから出て行っただけなのだ。

しかし、かの偉大なる恐竜も含め、
地球上の生命の75パーセントから見れば、
自分たちに向かって進路を定めた流星物質は黙示録そのものだった。
 、、、まもなく彗星はユカタン半島に激突して、
そのターゲットを粉砕し、
地球規模の大破壊を頂点として旅を終えた。

このチクシュルーブ・クレーターをつくった衝突で、
彗星とともに衝突地点近辺の地面も蒸発し、
立ち上った地理が空中で拡散して地球全体をおおった。
炎が地表面を焼き、衝突地点の近くはもちろん、
地球の反対側の海岸線にも津波が押し寄せて、
有毒物質が雨のように降り注いでさらに多くの危害をもたらした。

食糧供給は壊滅状態で、
衝突直後をどうにか生き延びた陸生動物も、
おそらく数週間後か数ヶ月後には餓死していただろう。
地球の気候と様々な生息環境にこれだけ突然の急激な変化があっては、
大半の生物に勝機はなかった。

生き残ったのは
地中の穴に住むほ乳類と空を飛べる鳥類ぐらいで、
状況がやっと改善したときには、
まったく別の時代の不確かな未来に
ずっと生き残っていけるように、
もっと進んだ生物が現れていた。

なんとも劇的な図だが、
流星物質衝突の基本的な事実は既に十分に確立されている。
地質学者と古生物学者による多くの観測で、
6,600万年前に巨大な天体が地球に衝突したこと、
それによって地球上の75パーセント以上の生物が
死に絶えたことが裏付けられてきた。〉

(1,478文字)

▼参考リンク:「ワープする宇宙」リサ・ランドール
http://amzn.asia/j05LJQY



●たった1日で声まで良くなる 話し方の教科書

読了した日:2017年6月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:魚住りえ
出版年:2015年
出版社:東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/97rnuBR

▼140文字ブリーフィング:

私は仕事柄、大勢の人前で話すことが多いです。
なのでこの10年ほどは、年に数冊は、
コンスタントに「話し方」の本を読んでいます。

その研鑽の成果がどれほど出ているのかは謎ですが、
「話す」というのもやはりひとつの技術であり、
それを仕事にするからには毎年その技術が前進していなければ、
プロとは言えないと思うので、勉強を続けているわけです。

この本は現役アナウンサーが書いているので、
純粋な「技術論」が多いですが、
やはりその業界に蓄積されたノウハウからは学ぶ事が多いです。

この本でヒットしたことを二つ紹介しますと、
「録音なくして上達なし」と、
「上半身を安定させる」ですね。

引用します。

▼「録音なくして上達なし」
→P119 
〈「朗読」する前にしてほしいこと、それは「録音」です。
読み終わったら直後に聞き返してみます。
こういうとみなさん「えー」という顔をされます。
前にも述べましたが、
「自分の声の録音を聞くのは好きでない」
という人は多いですよね。
私にもよく分かります。
でも、自分を客観的に認識することが上達のための最短の近道なのです。
というより、「録音なくして上達なし」というぐらい
大事なことだと思って欲しいのです。
録音して、それを聞き返す。これを何度でも聞き返します。〉

▼「上半身を安定させて話す」
→P146 
〈話し手、とくに男性に多く見られるのが、
話しながらやたらと体を揺らすクセです。
これは直した方がいいですね。
聞き手は、体の動きを目で追いながら
話を聞くことに疲れてしまいます。
目も頭もクラクラします。
私はこれを「会話の船酔い」と呼んでいます。
会話だけでなくスピーチやプレゼンテーションのときも要注意。
上半身が安定していないために、
「落ち着きがなく、焦っている」ような印象を与えてしまうからです。〉
(739文字)



●ネット炎上の研究

読了した日:2017年6月5日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 田中辰雄・山口真一
出版年:2016年
出版社: 勁草書房

リンク: http://amzn.asia/29BTCcW

▼140文字ブリーフィング:

「バカッター」に代表されるように、
「ネット炎上事件」は後を絶ちません。
著者はネット炎上はどうして起こるのか、
そして今後、どう対策していくべきなのか、
ということを学術的に分析しています。

綿密に調べていくと興味深いことが分かってきます。
じつは「炎上」に参加したことのあるネットユーザーは、
全体の1.1%に過ぎず、ひとつの炎上事件に限定すれば、
複数回書き込みをして「炎上に火をくべて」いるのは、
全体のなんと、0.00X%のオーダー、
つまり10,000人にひとりという数だそうです。
本人に対して執拗に直接攻撃を繰り返すのはさらに少なく、
一回の炎上事件につき数人〜数十人だそうです。

ニコニコ動画に流れるコメントを考えていただくと、
わかりやすいのですが、
全体の1.1%(100人に1人)の少数派である、
「炎上参加者」は、自分達が少数派だと思っておらず、
多数派だと錯覚している。

これは「2ちゃんねる」管理人の西村博之氏や、
ドワンゴ社長の川上量生氏も証言しており、
彼らによれば、「空前の炎上事件」が起きているとき、
数人のアカウントを消去すると、
すべての炎上コメントが消えてしまうこともあるという。

著者らが問題にしているのは、
たった数人〜数十人のもたらす「炎上」のコストの大きさです。

「炎上が怖い」と思うから、
「サイレントマジョリティ」と言われる、
良識的で中間的な意見を持つ社会のボリュームゾーンが、
サイバー空間での発言を控えるようになってします。

かくして、FacebookやTwitterや2ちゃんねるなどの、
情報空間は「極右」か「極左」しか残らなくなる。
それを「傍観」している穏当な人々は思う。

「いつの間に社会は極右と極左しか、
 いなくなってしまったのだろう?」と。

しかしそうではなく、
実際には「極右」と「極左」というのは、
それぞれネットユーザー全体から見ると、
「極端な1%」を占めるにすぎない。

標準偏差という、凸グラフは誰でも見たことがあるでしょう。
社会のいろんな物事について縦軸に人数、
横軸に意見の「左右」をとった場合、
それは標準偏差的に分布します。
つまり富士山のように、
極左と極右は少数派、
真ん中ぐらいにボリュームゾーンが来る。

しかし、「炎上」がそれにゆがみをもたらす。
良識的な人は「炎上」に関わり合いたくないですから、
そもそもネットで発言するということを控える。

このようにして極端な意見を持つ、
「情報テロリスト」だけが発言を続けます。
(一昨年、「自己管理出来ない人工透析患者は殺せ」と発言した、
元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を思い出してください。
、、、もしくは、シンプルにトランプ大統領を思い出してください笑)

かくして、傍観者から見ると、
社会は「両極に人数が多い」凹型のグラフに見える、
というわけです。

これが「炎上のコスト」だと著者らは言います。

つまり小数のテロリストの存在によって、
何千万人という善良な市民が空港の手荷物チェックに、
3時間も並ばなければならなくなった状況に似ていて、
これは「なんとかしなければならない」と。

著者らの提案は、
「サロン型SNS」というところなのですが、
文字数が行きすぎたのでそれは端折ります。

、、、しかし、この「サロン型SNS」を読みながら、
私は「あぁ、私がメルマガでしたいのはまさにこれじゃないか」
と思いました。

ある時期から私も、
ネットで不特定多数に向かって発信することの、
メリットをデメリットが上回ると感じるようになってきた。
「不毛だなぁ」とどこかで思いながら、
ブログを更新している時期があった。

私なりに何年も考えて出した答えが、
「登録型の無料メルマガ」だったわけですが、
それが、専門の研究者らの提案に近いものだった、
ということに少し勇気をもらいました。

「うん、これでいいんだ。」と。
(1,558文字)



●現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

読了した日:2017年6月6日 ななめ読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:アライドアーキテクツ株式会社 ソーシャルメディアマーケティングラボ
出版年:2013年
出版社:マイナビ出版

リンク: http://amzn.asia/4Ih4DAm

▼140文字ブリーフィング:

私はFacebookに二ヶ月に一回ぐらいしかログインしない、
「幽霊部員ユーザー」です。
特に病気療養をしてからというもの、
Facebookのタイムラインを眺めていると、
なんか新宿南口を歩いているような「人酔い」をするようになった。
それ以来、アカウントが乗っ取られていないことの確認と、
連絡先を知らない人の検索ぐらいの目的でしか、
Facebookを見ることはありません。

そんな私がなんでこんな本を読むのか。
それはFVIはFacebookページを持っていますし、
あと、メルマガを機軸に情報発信をしていくにしても、
FacebookやTwitterなども今後連携していくことは、
どこかの時点では訪れるだろうと思っているからです。
この本は基本的な内容すぎて、
目新しい情報はあまりありませんでしたが、
「おっ」と思ったことを二つだけ紹介しておきます。

▼「Facebookの投稿は、書籍より記憶に焼き付きやすい」
→P33 
〈英ウォーリック大学のローラ・ミキズ氏が率いる研究チームは、
Facebook上の投稿は一般的な本の文章より1.5倍、
人の顔よりも2.5倍も記憶に残りやすいという研究結果を発表しています。〉

、、、FBの投稿は書籍の1.5倍記憶に焼き付きやすい。
言われてみると確かにそうかもしれないですね。
今でも覚えている、友人の心温まる投稿がいくつかあります。


▼「投稿の前に注意すべきこと」
→P148〜149 
〈・信用してもらえるか?
ユーザーは発信元が信頼できない情報に共有したりシェアしたりしません。
信用して貰う第一歩は、「正直で、オープンであること」です。
ネガティブなコメントが付くことを恐れて真実を隠してしまったり、
過剰に良く見せようとしたり、嘘をついてはいけません。

・傷つく人がいないか?
「いいね!」やシェアされた投稿は
前後の文脈から離れて単独で伝搬します。
前提条件や例外などの注意書きがなくても、
誤解を与えたり、傷ついたりする人がいないか、
投稿前に十分見直しましょう。

・印象に残るか?
残念ながら、ユーザーは最初から、
あなたのブランドのことを長期的に覚えていることはありません。
ユーザーが気にかけているのは
「そのブランドが私に最近何をしてくれたのか?」
ということです。
ユーザーにとって興味・関心の持てる価値ある情報を、
継続的に発信しなくては忘れられてしまいます。

・Facebookユーザーの興味ある話題か?
ユーザーは価値ある情報やお得な情報、
同じ興味分野を持つ人との出会いを求めています。
彼らがどのような話題に興味や関心を持っているのかを知り、
共通の話題で交流できるコミュニティを提供しましょう。

・独りよがりの投稿になっていないか?
大切なのは、「自分が伝えたいこと」ではなく、
「ユーザーが知りたいこと、ユーザーが求めているもの」
を徹底的に考えることです。〉

、、、これは「情報発信」の基本ですね。
Facebookに限ったことではありません。

人を傷つけず、
嘘をつかず正直で率直な発言をする。
印象に残るよう言葉を選ぶ。
自分ではなく相手に興味ある話しをする。
独りよがりな話しをしない。

、、、これはSNSだけでなく会話の基本です。
(1,277文字)



●教養としてのゲーム史

読了した日:2017年6月6日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:多根清史
出版年:2011年
出版社:ちくま新書

リンク: http://amzn.asia/dPQCPwH

▼140文字ブリーフィング:

インベーダーゲーム、パックマンから、
プレステ3に至るまで、
「ゲーム」がどのように「進化」してきたか、
という概略を語るという意欲作。
部分部分は面白かったのですが、
もっと現代思想の話しとかを絡めながら、
哲学的な話しをしてくれる本だと思っていたので、
少し期待外れでした。
(132文字)



●乳と卵

読了した日:2017年6月7日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:川上未映子
出版年:2010年
出版社:文春文庫

リンク: http://amzn.asia/7vNhkQj

▼140文字ブリーフィング:

先日読んだ「みみずくは黄昏に飛びたつ」という、
川上未映子が村上春樹にインタビューする本を読み、
彼女に興味を持ちました。
川上さんは2007年の芥川賞受賞作家で、
「乳と卵」はその受賞作です。
「みみずく、、、」の中で村上さんは、
「あの本は文体がすべて」と、その文体を称賛していました。
確かにこれは、彼女にしか書けないと思います。
どことなく「女性版・村上龍」のような感じがしました。
破壊衝動と内的なくすぶりを描くのが巧い。
それでいて終始漂う「滑稽さ」があります。
関西弁を交えながら「おかしさ」がそこにあるのですが、
それは「切実な滑稽さがかもしだす悲劇性」みたいなものに近く、
去年の芥川賞受賞作「コンビニ人間」にも通ずるものがあります。
(313文字)

▼参考リンク:「みみずくは黄昏に飛びたつ」
http://amzn.asia/4LyZbZ4

▼参考リンク:「コンビニ人間」村田沙耶香
http://amzn.asia/ftJkge5



●ゲンロン0

読了した日:2017年6月8日
読んだ方法:Amazonで書籍購入

著者:東浩紀
出版年:2017年
出版社:株式会社ゲンロン

リンク: http://amzn.asia/jh4QWE0

▼140文字ブリーフィング:

この本は「すごかった」です。
「今年一番」かもしれない。
「素数の音楽」も「騎士団長殺し」も面白かったけど、
まったく違うベクトルで、突出していました。
内容は「ブリーフィング不可能」です。
申し訳ないのですがまたいつか、別の機会にゆずるとします。
10,000字あっても「まとめる」というのは不可能な感じですが、
まったく内容を説明しないというのも不親切なので、
すこしだけ触れておきます。
現代の社会というのは日本でも世界でも、
保守陣営にもリベラル陣営にも欺瞞性があり、
前に進めない特有のフラストレーションを人々は抱えています。
目に見える現象だけを追いかけてもその理由は分からず、
「保守」も「リベラル」もそれを論理的に支える思想的な枠組みが、
古くさくなってきており、それに変わる思想が現れていないからだ、
と東さんは指摘している。

それを彼は「コミュニタリアン」と、
(保守の言うような
 「家族としての国家の復活」を目指す復古趣味。
 安倍首相や石原元都知事をイメージしてください。)
それの真逆にある「リバタリアン」の、
(世界を「自由な個人の集まり」だとし、
自由な経済活動がすべてだとするもう一つの極。
「最近ではなく前期の」橋下徹元大阪府知事や、
堀江貴文さんをイメージしてください。)
究極の二者択一を突きつけられている、
現代の「キツさ」として描写している。

「自由と引き換えに連帯を!」というコミュニタリアンと、
「自由でアトム的個人が弱肉強食の世界を作るのの何が悪い」
という競争原理主義をかかげ開き直るリバタリアン。
この二つぐらいしか「オプション」がない。

日本の政治はいろいろユニークなので、
この対立の構図が見えづらいです。
自民党はコミュニタリアン的ですが、
「自由経済」を標榜しており、
民進党もまた、じつはコミュニタリアン的です。
もうひとつの極であるリバタリアンの政党は、
「大阪維新の会」だけですが、ここもまた、
個人レベルでは国家主義的な人脈とつながったりして、
いったいどこへ行きたいのか分からない。

しかし思想的に整理すると、
「国家主義的な日本」か、
「グローバル資本主義の中で個人が生き残っていくための、
 リバタリアン的な日本か」の二極しか、
現実的な選択肢としては存在しない。

「第三の選択肢」があっても良いのだけど、
共産主義の挫折以降、思想的に分厚い根拠を持つような、
第三の「世界像」は誰も描けていないし、提案できていない。
それが現代世界の生きづらさの裏側にはあり、
彼は「第三案」を哲学の世界から模索しようとしている。

ドン・キホーテが風車に立ち向かったように、
現代世界の突きつける圧倒的な壁を前に、
「ニヒリズム」に陥ることなく、
「馬鹿にする奴はすればいい」とばかりに、
哲学の側から風穴を開けよう立ち向かう彼は単純に、
「かっこいい」です。
(1,153文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年5月第五週 米中もし戦わば 他3冊

2017.11.30 Thursday

+++vol.016 2017年6月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第五週 5月28日〜6月3日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●みみずくは黄昏に飛びたつ

読了した日:2017年6月1日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 川上未映子 村上春樹
出版年:2017年
出版社: 新潮社

▼140文字ブリーフィング:

この本は非常に面白く、夢中で読みました。
「騎士団長殺し」を書き終えた村上春樹に、
2008年に「乳と卵」で芥川賞を受賞した若手の作家、
川上未映子がインタビューします。

まず何よりも、川上未映子の勉強量がハンパではない。
彼女は私と同世代(76年生まれ)の作家で、
おそらく村上春樹のファンでもあるのですが、
事前に作品をめちゃくちゃ読み込んでいる。

インタビューするからには、
その人の過去に書いたものや、その周辺情報を、
少なくとも予習してから臨まないと失礼だし、
プロの仕事とは言えない、というのは当然なのですが、
その入れ込み方がハンパではない。

しまいには、村上春樹が自身の作品について、
「あの短編のあの双子の女の子、なんて言ったっけ?」
と聞き、川上未映子が、
「○○と●●です」と答えている始末(笑)。

村上さんは
「あーそうそう、その子がさぁ、、、」
なんてしゃべっている。

「騎士団長殺し」には「イデア」という言葉が出てきますが、
そのために川上未映子はプラトンの「国家」と「饗宴」を、
予習してきている。

村上春樹にそれを言うと、
「えー、すごいね、僕プラトンなんて
 読んだことない。」
川上さんは「ほんとかなぁ(笑)」
みたいなやりとりがあったり。

川上未映子のプロ意識に、
同世代として素直に感嘆し尊敬しました。
「乳と卵」を読んでみようと思いました。

私はこれまで村上春樹がインタビューされて語る、
という形式の本や雑誌をいくつも読んできていますが、
村上春樹は基本的に「クールな」人間です。
いつも淡々としていて、人を煙に巻くようなところがある。
野球監督で言うと落合監督のような(笑)。
絶対に、原監督や栗山監督ではない。

どちらかというとインタビューされるにあたり、
村上さんは「ここまでしかしゃべらないぞ」と、
自戒して臨んでいるのではないか、
と受け取れるフシすらある。

、、、しかし、この本では、なんと、
「あの」村上春樹が、乗せられてるんです。
で、ちょっと熱を帯びてしゃべっている。
「しゃべりすぎて」しまっている。

こんな村上春樹を私は初めて見ました。
川上未映子の勉強量が、村上春樹の中の「何か」を、
刺激したのでしょう。

人から話を聞き出すインタビュワーの教科書としても、
この本は読むことができます。

面白い箇所がたくさんあったのですが、
ひとつだけ紹介します。

→位置No.1176〜1185 
〈川上:、、、オウム真理教だって物語があったわけですよね。
もっというと、「物語なんて、小説なんて、
そんなの嘘だし下らないから読まないよ」と言いながら
自己啓発本を読んでいる人たちも、
自己啓発という名の物語を読んでいるわけです。

村上:トランプ大統領がそうですよね。
結局、ヒラリー・クリントンって、
家の一階部分に通用することだけを言って負けて、
トランプは人々の地下室に訴えることだけを言いまくって、
それで勝利を収めたわけ。

川上:なるほど。

村上:なんていうかな、デマゴーグとまでは言わないにせよ、
古代の祭司みたいな感じで、
トランプは人々の無意識をあおり立てるコツを心得ているんだと思う。
そしてそこではツイッターみたいな、
パーソン・トゥー・パーソンのデバイスが
強力な武器になっている。
そういう意味で彼は、その論理や語彙はかなり反知性的だけど、
そのぶん人々が地下に抱えている部分を
とても戦略的に巧みに掬(すく)っている。
論理的な世界、家の喩えでいうと一階部分の世界が
それなりの力を発揮している間は押さえら込まれているけど、
一階の論理が力を失ってくると、
地下の部分が地上に吹き上げてくる。
もちろんそのすべてが「悪しき物語」であるとは言えないけれど、
「善き物語」「重層的な物語」よりは
「悪しき物語」「単純な物語」の方が、
人々の本音により強く訴えかけることは間違いないと思います。
麻原彰晃の提供した物語も、
結果的には間違いなく「悪しき物語」であったし、
トランプの語っている物語もかなり歪んだ、
どちらかといえば「悪しき物語」を
引き出していく要素をはらんでいるのではないかと僕は感じている。〉


、、、村上春樹はよく、
「地下一階と地下二階」の話しをします。

人間の精神生活というのは家に喩えられると。

一階はそこで人と挨拶をしたり、仕事をしたりする場所。
二階はプライベートな空間であり、
そこで私たちは思索をしたり、
本を読んだり音楽を聴いたりする。

それだけでなく人間には地下があると村上さんは言います。
地下一階は過去のトラウマや自我の葛藤がある。
実は多くの日本の私小説や純文学というのは、
地下一階を取り扱っているのだ、と村上さんは指摘しています。

、、、「僕は地下二階に降りていく特殊技能がある」
というのが村上さんがしばしばいっている事です。
つまり「自我の葛藤や実存の不安」という地下一階よりも、
さらに深い部分が人間の心の中にはある。

それは古代の物語や、神話のようなものともつながっていて、
「論理が通用する世界」ではない。
地下二階にあるものは体系化し論理化することができないから、
「物語」という容れ物に入れて人に届けるしかない。
それが僕が小説を書く理由なのだと。

ユングのいう「集合的無意識」の概念とも近いです。

、、、ここで村上さんが言っているのは、
2016年の米国大統領選で起こったことは、
ヒラリーは一階部分(建前)と、
せいぜい地下一階部分(論理化できる葛藤)の部分を、
提示することしかできなかった。
しかしトランプは「地下二階に響くメッセージ」を、
語る事に成功した。

「地下一階」は理性に、
「地下二階」は感情に響きますから、
「地下二階」が勝ったのだ、と村上さんは分析します。

いろんなことが腑に落ちた気がしました。

さらに村上さんは、地下二階の物語には、
「善き物語」と「悪しき物語」があり、
小説家の役割は「善き物語」をくみ上げることなのだ、
と言っています。

悪しき物語に対抗するのは、
悪しき物語を破壊することではなく、
善き物語を語ることなのだ、ということです。

なんと、又吉直樹もほぼ同じ主旨のことを、
「夜を乗り越える」という本で語っています。
直接的に政治的発言をするよりも、
「物語を語ること」のほうが結果として長期的には、
世の中に強く訴えかけるのだ、と。
(2,528文字)


▼参考リンク:「夜を乗り越える」
http://amzn.asia/2asZcRu



●ユダヤとキリスト教に学ぶ成功哲学

読了した日:2017年6月1日
読んだ方法: Amazonプライム特典月一無料本

著者: 金山 慶允
出版年:2017年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/8p5FAy2

▼140文字ブリーフィング:
薄っぺらい内容の本でした。
章と章のあいだには、「無料動画セミナーメルマガ」という、
カネの匂いがプンプンする、
怪しげなリンクが貼ってあります。
こういう場合の「カネの匂い」というのは、
主催者が儲かるという意味であって、参加者は搾取されます笑。
2ページ目ぐらいで「引き寄せの法則」という言葉が
出てきたときから嫌な予感がしたのですが、
その予感は的中しました。
「引き寄せの法則」という言葉が登場する本は駄作、
というのは、もうそろそろ定式化しても
良いのではないかと思います笑。
(232文字)



●米中もし戦わば

読了した日:2017年6月2日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ピーター・ナヴァロ
出版年:2015年
出版社: 文藝春秋

リンク: http://amzn.asia/hF7rpRg

▼140文字ブリーフィング:

カリフォルニア大学教授の著者は、
トランプ大統領の政策顧問でもあります。
「中国は平和的に台頭するか、
 それとも近未来のいずれかの時点で、
 現覇権国であるアメリカと交戦するか?」
という「問い」から発し、
本書では様々な具体的な「問い」に答える形で、
今後の米中関係ひいては国際情勢を分析します。

最初の問いに対する著者の答えはちなみに、
「かなりの可能性で戦争が起こる」になります。
それは「トゥキュディデスの罠」によって説明可能だと。

→P12 
〈かつてのアテネとスパルタのように、
中国とアメリカは「トゥキュディデスの罠」へと
真っ逆さまに落ちていくのだろうか。

「トゥキュディデスの罠」とは、
紀元前五世紀のペロポネソス戦争に由来する言葉である。
『ペロポネソス戦争史』を著した
古代アテネの歴史家トゥキュディデスは、
この戦争の原因をこう述べている。
「戦争を避けがたくした原因は、
アテネの勃興およびそれがスパルタに引き起こした
恐怖心であった。」〉

、、、さらにこう続きます。

→P13 
〈もちろん、実例二つだけ(スパルタと英国)では
理論の証明にはならない。
そこで、次の驚くべき統計の出番となる。

世界史を概観すると、1500年以降、
中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に
対峙した15例のうち11例において
(すなわち70%以上の確率で)戦争が起きている。
この事実だけを考えても、賢明な投資家なら、
「今後十年間、中国は平和的に台頭する」に
大金を投じようとは思わないだろう。〉

、、、欧州の第二次世界大戦は、当時の覇権国であった英国が、
「新興国」ドイツの台頭を恐れたことにより起きましたし、
太平洋戦争は、新興国日本の台頭を
アメリカが恐れたことによって起きました。

現代における中国というのはじつは、
20世紀初頭のドイツや日本に「そっくり」な点が多い。
世界史が「繰り返す」のなら、今後米中が戦争になる確率は、
きわめて高い、とナヴァロ氏は指摘します。

今のは米国側(日本側とほぼ同義)から見た視点です。
では、中国側からはどうなのか。
次にはこんな「問題」があります。

→P17 
〈問題:過去200年間に中国を侵略した国を選べ。
1.フランス
2.ドイツ
3.イギリス
4.日本
5.ロシア
6.アメリカ
7.1〜6のすべて〉

、、、いかがでしょう?
私はちなみに正しく答えることが出来ませんでした。

答えはこうです。

→P17
〈読者が中国人、あるいは東洋史専攻の学生でなければ
驚くかもしれないが、
正解は、7の「1〜6のすべて」である。

実際、中国の軍事力増強の最も明白な理由は、
外国への恐怖心と国土防衛の追求である。
中国のこうした懸念は、
いわゆる「屈辱の100年間」に深く根ざした、
至極もっともなものである。〉

、、、たしかに中国の「防衛」は過剰に見える。
しかし過去200年間の中国の歴史を概観してみるならば、
その恐れは無根拠な妄想に基づいたものではなく、
いたってまっとうな「恐れ」なのだと。

、、、さらに事態を複雑にするこんな要素もあります。

中国は「自閉症国家」だと戦略・国家センターの、
ボニー・グレーザーという人が指摘しています。

自閉症的(強迫神経症)な人の「防衛」がときに、
本人が刃物などを持ったりした場合、
主観的には防衛だが他者に対しては脅威になるように、
中国の「防衛」もまたそうだ、ということです。

引用します。

→P259〜260 
〈中国側の視点から見れば、
中国の行動は自らの「積極的防衛」主義の実践に他ならない。
「積極的防衛」というプリズムを通して、
中国は、東シナ海と南シナ海の支配を、
そして、おそらくはアルナーチャル・プラデーシュの支配をも、
天然資源問題と「マラッカ・ジレンマ」を
解決するための手段と見なしている。
アメリカ軍を追い出し、東シナ海と南シナ海を支配すれば、
中国の海岸線と領土を防衛する能力も大いに高まることになる。

だが、中国の脅威にさらされている国々の目から見れば、
中国の行動は「積極的」かどうかを問わず、
とても「防衛」と呼べるものではない。
中国の全方位的進出はあらゆる意味で攻撃的行動にしか見えない。

戦略・国際研究センターのシニアアドバイザー、
ボニー・グレーザーは、この感じ方の大きなずれを
次のような率直な心理分析によってみごとに言い表している。

「中国は他国の身になって考えないから、
中国という国とその行動を他国がどう見ているかを理解しない。
これこそ、中国が抱えている問題だと思う。
私がよく中国を自閉症国家と呼ぶのはそのためだ。
自分の行動が近隣諸国をどれほど怖がらせているか、
中国には理解できないように思われる。」〉

、、、他にも、「資源を他国に大きく依存する国に、
禁輸措置による制裁をした場合、
その国が追い込まれた結果戦争になることが多い」という、
日本人には耳が痛い指摘も著者は紹介しています。

第二次世界大戦の日本の「真珠湾先制攻撃」は、
ABCD包囲網による石油の禁輸措置を「解決」するための、
「防衛手段」だったわけですから。

今の中国も同じアキレス腱を抱えており、
特に米国はその辺を踏まえて慎重かつ大胆に、
「力の均衡による平和」を保つ努力をすべきだ、
というのが著者の結論になります。

説得力のある具体的な議論で、読み応えがありました。
「中国脅威論」を一つ覚えのように騒ぎ立てる右翼や、
「中国良い奴説」を唱える「反・右翼」がいます。
(これは左翼とも違うんだよなぁ。)

いずれにせよそれらは「印象論」の域を出ない話であり、
現実はもっと複雑で重層的です。

中国の国民と中国共産党は違いますし、
中国共産党と中国の「人民軍」も違います。
かつて日本で陸軍が、
政府のコントロールの効かない暴走をしたように、
今の人民軍もそれに近い、という説もある。

現実は複雑です。

複雑な問題を、複雑なまま引き受けて、
その上で議論する人の数が一人でも増えることが、
国を強くするのであって、
逆に「我が偉大な日本」を誇り、
隣国に唾する人は国を弱くします。

*140文字どころではなく、本を「概説」してしまいました。
今週は読んだ本がいつもより少なかったし、
面白い内容なので、いつもより濃厚に説明しました。

(2,503文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年5月第四週 全思考(北野武)他6冊

2017.11.23 Thursday

+++vol.015 2017年5月30日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第四週 5月21日〜27日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

読了した日:2017年5月22日
読んだ方法:蒲郡のカフェリールの蔵書をコーヒーを飲みながら

著者:松浦弥太郎
出版年:2012年
出版社:マガジンハウス

リンク: http://amzn.asia/g9VwKTm

▼140文字ブリーフィング:

蒲郡の「カフェリール」においてあったのを読みました。
30分ぐらいで読める本ですので、
先週号のメルマガを執筆する息抜きに読めました。
著者の松浦さんは「暮しの手帖」の編集長でCOWBOOKSの社長です。
前半は彼の「暮らしのルール」が、
後半は彼の経営する本屋のスタッフの「働き方のルール」が、
それぞれ100個ずつ、簡潔に書かれています。
前半からいくつか抜粋します。
004 過去についてうそをつかない
013 小さい約束ほど大切にする。
021 思いやりではなく想像力
062 買わなくては何も学べない。知りたいことには大枚をはたく。
072 考えや思い、アイデアは、紙に書く
(275文字)



●舟の右側 vol.40 2017年4月号

読了した日:2017年5月24日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク: http://www.jibikiami-book.jp/?pid=115391490

▼140文字ブリーフィング:

これはキリスト教会のための「業界誌」でして、
「月刊ボディビル」とか「月刊釣り」みたいな、
ちょっとコアな読者層への「専門誌」です。
一般書店では手に入りません。
この雑誌は私が所属する教会でも講読しているので、
私は実は買わなくても教会に行けば読めるのですが、
本誌に寄稿している知り合いの牧師から、
「教会全体に仕えたい」という本誌編集長の谷口さんの志や、
経営状態もとても大変だ、というお話を伺い、
谷口さんのミッションへの賛同と金銭的サポートの意味合いも込め、
個人的に定期購読することにしました。

果たしてこれを「読んだ本」に入れて良いのかどうかは謎ですが笑、
でも、有益な情報が毎回含まれているので、
雑誌の宣伝にご協力する意味合いも込めて、
ここで紹介していきたいと思います。

キリスト教徒でない読者の方には、
「どうでもいい話」かもしれませんが、
おつきあいくだされば幸いです。

、、、しかし私が思うに、
キリスト教会で起きている問題や話されている課題は、
多かれ少なかれ現代の日本が抱えている社会の問題の、
「映し鏡」になっていますので、
おそらく非キリスト教徒が読んでも、
「舟の右側」の内容の多くは、応用可能だし、
学び取る教訓に満ちていると思います。

では紹介します。

今回は、巻頭の谷口さんによるコラム「風知一筆」が秀逸でした。
内容は「ユース(若者)が少ない」と嘆く教会の姿への「疑問」です。
谷口さんはディケンズの小説でスクルージじいさんに起こったことや、
アブラハム、モーセなども老境からミニストリーをはじめたことに言及し、
「すべての年代を教えることが大切なのではないか」
「若い世代をことさらに強調する背後には、
組織の生存本能が見え隠れしていないか」
という問題を提起しています。
私もこれに激しく賛同します。
引用します。

→P7 
〈「うちの教会は年配者ばかりで若者がいない」と嘆いて
「じゃあ若者伝道を」「子ども伝道を」と言う前に、
今いる方々の存在に感謝し、年齢にかかわらず、
一人ひとりの霊的成熟を本気で考えてはどうだろうか。
(マラソンでいう)残り10キロメートルを
ひたすら主を見上げて走っている信仰者の姿は、
どんな年齢の人をも引きつける力を持っているはずだ。〉

、、、つまり、「若者を重視しすぎる態度」というのは、
「そこに現在集う人々の尊厳」よりも、
「組織の未来」というと格好が良いですがその実、
「組織の生存本能」を優先させる態度の表れである、
という可能性はないだろうか?
と、谷口さんは言っているのです。

逆説的にではあるけれど、
「高齢の方々も含め、それがどんな世代だろうと、
 しっかりと神にあって生き生きと歩む、
 ということをサポートしている教会こそが、
 若者を惹きつける教会である」
ということにはならないか?

、、、だって、その姿を見た若者は、
「ここに所属すれば、
俺も年を取っても大事にして貰えるんだ」
と感じるわけですから。

私のメンターであるアメリカ人のボブ・モフィット氏は、
あるとき私にメールでこう言っていました。
「現代世界で最も成功しているサタンの嘘は、
 『若さを礼賛すること』だ。
 そのせいで多くの人々が、成熟することの恵みを、
 味わえなくなってしまった。」と。

魅力的な「非」ユースが集う教会というのは、
ユースにとっても魅力的なのです。
(1,331文字)



●舟の右側 vol.41 2017年5月号

読了した日:2017年5月26日
読んだ方法: 年間講読

著者: 地引網出版
出版年:2017年
出版社: 地引網出版

リンク:http://www.jibikiami-book.jp/?pid=117003750

▼140文字ブリーフィング:

この号では、
知り合いの教会「津田キリスト教会」が紹介されていたり、
妻の親友のお母さんのストーリーが載っていたりして、
親しみを感じました。

もちろんそれらも面白かったのですが、
記事の中で「神学的に」興味を引いたのは、
京大名誉教授の水垣渉先生の、「ハヤトロギア」という話でした。

→P19 
〈水垣:「われは有りて有るもの」(出エジプト3:14)の
ヘブライ語原文「エヒイェ・アシェル・エヒイェ」の、
エヒイェの語源となっているのがハーヤーです。

これはヘブライ語の基本動詞ですが、
学的水準の高いヘブライ語辞書を見ると、
第一の意味は「become」(〜になる)となっている。
そして次に「is」(〜である)という意味が来ます。

ですから、ハーヤーというのは「有る」というよりも、
「生起する」とか「有らしめる」などの意味になる。
このハーヤーという言葉を元に、
そのロジー(論理)ということでハヤトロジー、
ラテン語に言って「ハヤトロギア」となります。

これがヘブライ的な力動的神観で、
有賀鐵太郎(てつたろう)先生が名付けました。

一方で、ギリシア的思考の論理として
存在の論理「オントロギア」(オンの論理)があって、
これを古代ギリシア人が、哲学的にもの凄く発展させました。
そしてこれがキリスト教にも入ってきて、
中世になってそれは神学的に自覚されるわけですが、
それがいわばキリスト教の学問の基礎のようになっているわけです。

つまり、ヘブライ的なハーヤーの論理と
ギリシア的なオンの論理が結びついて、
ハヤ・オントロギアとなっている。

有賀先生も、確かにそうなっていると認めるわけですが、
しかしキリスト教自体の元の考え方は、
旧約以来のハヤトロギアであると、そう主張されたわけですね。〉

、、、水垣先生がここで言っているのは、
動的(ダイナミック)な性質をもつヘブル語と、
静的(スタティック)な性質をもつギリシャ語の違いのことです。

ヘブル語的なるものを「ハヤトロギア」
ギリシャ語的なるものを「オントロギア」と、
先生は表現したわけですね。

キリスト教神学というのは実は、
ギリシャ語圏の思想哲学を下敷きに発展してきましたから、
「本来動的なものを静的な言語で説明する」という、
「原理的に不可能性をはらんだ翻訳」を経ています。

イエスが話されたのはヘブル語もしくはアラム語でしたから、
そもそも「新約聖書」がコイネーギリシャ語で書かれたことで、
「それによって失われた何か」があるに違いないと考えるのが普通です。

俳句を英訳したときに何かが失われるのと同じです。

ではその「失われたものは何か」を研究するには、
ヘブル語の性質を知る必要があるわけですね。
2年前に私は八木誠一という神学者の著書を立て続けに読みましたが、
彼の人生のテーマもそのあたりにあり、
非常に興味深く読んだのを思い出しました。

▼参考リンク:「イエスと現代」八木誠一
http://amzn.asia/a31fwQi



●なつみはなんにでもなれる

読了した日:2017年5月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:ヨシタケシンスケ
出版年:2016年
出版社:PHP研究所

リンク: http://amzn.asia/fnXZfVp

▼140文字ブリーフィング:

Q&Aコーナーで取り上げました、
ペンネームのりまきさんの紹介で、
興味を持ち、旅先でしたのでKindleで購入しました。
普段だったら買うまではしないかもですが、
10月に子どもが生まれる予定ですので、
「予習」の意味合いも含めて。
子どもの思考の自由さに、「はっ」とさせられます。
絵のタッチも好きです。
(147文字)



●デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか

読了した日:2017年5月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:木村忠正
出版年:2012年
出版社:平凡社新書

リンク: http://amzn.asia/dMqxV7X

▼140文字ブリーフィング:

著者は質的研究、グラウンデッドセオリーにもとづき、
質と量のハイブリッドな方法(ハイブリッドメソッド)によって
「世代論」という実証性の低いネット論を
ソリッドなものにしようと試みています。

新書ですが、内容は学術的に厳密です。

著者はひとりにつき数十時間という厖大なインタビューと、
アンケート調査などの結果から、「ネットネイティブ世代」は、
4世代に分かれると言います。
80年前後生まれ、83〜87年生まれ、
88年〜90年生まれ、91年以降生まれの4世代です。

では、何が違っていたのか?
引用します。

→P85 
〈では、具体的にどのような特性が以下に構造化し、
変容させてきたのか。
特性として浮かび上がってきたのは次の四つである。

1.空気を読む圧力

2.対人距離を構成する「親密さ」と「テンションの共有」が
相互に独立し、「テンションの共有」のみによる
(親密さを伴わない)「親しさ」への移行

3.「コミュニティ」「ソーシャル」とは異なる
「コネクション」という社会原理の拡大

4.サイバースペースへの強い不信感、
低い社会的信頼感と強い「不確実性回避傾向」〉

、、、著者は、これらがネットネイティブの4世代によって、
グラデーションを持って段階的に濃くなる、
というような結論には持っていきません。

安直な世代論に飛びつかないのは、
さすが社会学者です。

むしろ、これらの4つの傾向は各世代に共通の、
「日本的な資質」であり、
これらの特性がそれぞれどのメディアと相関するかが、
デジタルネイティブ4世代によって異なるのだ、
という理論立てをしています。

この本を読んでいて面白いと感じたのは、
生まれたときからスマホがデフォルトである、
ネットネイティブ世代が現れ、メールやSNS、SMS、
LINEやInstagram、動画共有など、
情報共有の自由度と利便性が高まることにより、
若い世代における「同調圧力」はむしろ逃げ場のないものとなり、
コミュニケーションは息苦しくなってきている、という逆説です。
(819文字)



●全思考

読了した日:2017年5月27日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:北野武
出版年:2007年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/8yXe0Cr

▼140文字ブリーフィング:

振り返ってみますと、
北野武の本を私は定期的に読んできました。
彼の本はたぶん口述筆記ですが、
それだからといって彼の頭の良さが色あせる訳ではありません。

今週の「聴き方講座」でも引用しましたが、
この本は北野武の本の中でも特に内容が濃く、
珠玉のような言葉がたくさんちりばめられていました。

いろいろと紹介したいくだりは他にもあるのですが、
「友情」に関する彼の持論にはうならされました。

→位置No.1434 
〈友情が金で買えないのは当たり前だ。
なぜかと言えば、そんなものはハナっから存在しないからだ。
ないものを買おうとしちゃいけない。

「おまえが困ったことがあったら、必ず俺が助けてやる。
俺が困ったときはおまえが助けてくれ。俺たち友達だよな。」
こんなものは友情なんかじゃない。
ヤクザの兄弟杯と一緒で、単なる保険の掛け合いでしかないわけだ。
保険は大きく、沢山あった方がいいから、
ヤクザは兄弟分をできるだけ増やそうとする。

だけど2、3人の仲間内で掛け合う保険は、おろしようがない。
というか、誰かが損をしなけりゃいけなくなる。
ということは、誰かと友人になると言うことは、
最初から損をする覚悟をしておかなきゃいけない。

良い思いをするというのは、相手に確実に迷惑をかけることになるのだ。
「おまえが困ったら、俺はいつでも助ける。
だけど、俺が困ったときは、俺は絶対におまえの前には現れない。」

これが正しい。

お互いにそう思っているところに、初めて友情は成立する。

昔助けてやったのに、なんで今度は俺のことを助けてくれないんだ?
なんて思うとしたら、そんなもの初めから友情じゃないのだ。
自分がほんとうに困っているとき、
友達に迷惑はかけたくないと思うのがほんとうだろう。

要するに友情というのは、
こっちから向こうへ一方的に与えるもので、
向こうから得られる何かではない。

友情とは、自分の相手に対する気持ちだ。
友情から何かを得ようと考えることが、そもそも間違っている。
損得尽くで考えるなら、友情は損するだけのもの。

だけど、アイツが好きだ。
困っているのを知ったら、助けてやりたい。

そういう自分の気持ちを、
買えるとか買えないとかいっている事自体がおかしな話なのだ。

ふっと周りを見回して、
そういう風に思える友達がひとりでもいたら幸せだ。

変な言い方だけど、
自分のために死んでくれる人間が何人もいるよりも、
そいつのためなら命を賭けられるって友達がひとりでもいる方が、
人間としては幸せだと思う。

友情が大切だっていうのは、ほんとうはそういう意味だろう。〉

、、、友情を「得る」というのは言葉の使い方として、
間違っているのだ、と北野武は言っているのです。

自分のために死んでくれる人が何人いるかを、
数えることに意味はありません。

自分がその人のために死んでも良い、
と思える人が何人いるかが、親友の数なのだと。

イエスのために死んだ人は歴史上数えきれませんが、
それはイエスが「友のために命を捨てた」からです。
(1,218文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年5月第三週 芸人式新聞の読み方 他3冊

2017.11.16 Thursday

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第三週 5月14日〜20日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●サピエンス全史(下)

読了した日:2017年5月16日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
出版年:2016年
出版社:河出書房新社

リンク: http://amzn.asia/b9dMBDK

▼140文字ブリーフィング:

先週フィリピンにいるときにこの本の上巻を読了し、
帰りの飛行機で下巻を読みました。
Kindleは旅行者にとっての「福音」です。
持っていく本の「質量」をゼロにしてくれますから。

「認知革命」「農業革命」「科学革命」が、
人間の認知に革命を起こし、それが歴史を、
「前進」させてきたのだ、という大づかみな歴史観を語ります。

先週も書きましたが大づかみな歴史観を素描するには、
「切り口」を措定する必要があり、ハラリの場合それは、
「認知」でした。
人間の認知の変化が地殻変動的に歴史を進めてきた、
という仮説に基づき、本書は書かれています。

下巻には最も重要な「科学革命」について書かれています。
「科学革命」は人類が「今日よりも明日が優れているかもしれない」
と有史以来初めて考えるようになったという意味で革命的だった、
そしてそれはコロンブスのアメリカ大陸発見と、
「自分たちはまだ世界のすべてを知らない」という、
「無知の知」が利益を生む、と考えた、
アメリカ大陸の名付け親、「アメリゴ・ヴェスプッチ」にルーツがある、
という論は初めて聞きましたが新鮮でした。
確かにそうかもしれない。

「アメリカ大陸の発見」が「近代人」の原風景となり、
それがニュートンの「プリンキピア」を生み、
蒸気機関車を生み、ダイナマイトを生み、
相対性理論を生み、月にまでロケットを飛ばし、
火星を探索し、遺伝子をすべて解析するまでに至った。
「人類史」という24時間の時計があったとしたら、
「科学革命」は23時50分以降ですが、
その最後の10分に、人間は宇宙にまで飛び出した。
それをもたらしたのは「良いものは未来にある」という、
認知の革命だった、というのは言われてみないと分からない。

なぜなら私を含め読者も近代人だからです。
人間は自分の眉毛を観ることができませんから。

人類史全体を見るとなるほど、
近代以前は何千年もの間、
人間は「良いものは過去にあった」と考えてきた。
孔子、老師の思想もそうですし、
ソクラテスやプラトンも、
ユダヤ教も仏教もバラモン教も、
日本の神道もそうですし、
ローマカトリックもそうです。

プロテスタントと「近代革命」のタッグが、
現在我々が知っている近代社会を構築した、
という「物語」には説得力があります。

ハラリは最後の章で、
遺伝子工学の進歩によって、
人間は早晩「第二の認知革命」を
人工的に引き起こすのではないか、
という「不気味な予言」をしています。

つまり「現行の人類」が、
「ネアンデルタール人」に見えるような、
「超・人間」を人類は作ってしまうのではないか。

それは人類史における「特異点」となり、
その時点を境に、現在私たちの世界に
意義を与えているもののいっさいが、意味を持たなくなる、
というような「特異点」になる、と。

つまり「認知革命を引き起こした超・人間」からみると、
現在生きている私たちはチンパンジーに見える、
というような。

もはやニーチェの「ツァラトゥストラ」の世界です。
「人類が人類を超える日」は来るのか?
それは分かりません。

それが実際に起こるかどうかは重要ではなく、
「そのような未来があり得るという段階まで、
 人類史はさしかかっている」ということは、
やはり事実であり、それについて考えることは大事です。

「そんなのは間違っている!!」と一蹴しても、
時代の歯車は止りません。
大事なのはすべてを考えることです。
歴史から学べる唯一の教訓というのは、
未来を予測できることではなく、
「未来にはどんなことも起こりうるのだ」
という歴史の複雑系を体感することだ、
とハラリは言っています。(1,458文字)



●劇場

読了した日:2017年5月18日
読んだ方法:Amazonで予約して購入

著者: 又吉直樹
出版年:2017年
出版社: 新潮社

リンク: http://amzn.asia/8h4lid3

▼140文字ブリーフィング:

又吉直樹の「火花」以来の第二作です。
私はこれを楽しみにしていて、
Amazonで予約して購入し、すぐに読みました。
ネタバレになりたくないので内容は何も語りませんが、
個人的には「火花」のほうが好きかな。
相変わらず繊細でリアルな空気感を描くのが上手だなぁ、
と感じたくだりを引用します。

→P113 
〈「具志堅用高やったやろ?」
 野原は僕の反応を見たうえで、そう言ったのだと思う。
 「かなり具志堅用高やった。」
 それは僕達が中学時代によく使っていた、
 素晴らしいものを表するための最大級の賛辞だった。
 『まだ死んでないよ』の作・演出を手がける
 小峰という男が自分と同じ年齢だと知り、
 不純物が一切混ざっていない純粋な嫉妬というものを感じた。
 彼を認めるということは、
 彼を称賛する誰かを認めることでもあって、
 その誰かとは、僕が懸命にその存在を否定してきた連中でもあった。〉
(371文字)



●芸人式新聞の読み方

読了した日:2017年5月19日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:プチ鹿島
出版年:2017年
出版社:幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/g1cJVOQ

▼140文字ブリーフィング:

この本はラジオで知りました。
とても面白かったです。
プチ鹿島さんは「時事芸人」で、
一般紙六紙(読売、毎日、産経、朝日、東京、日経)
と、スポーツ新聞5紙(だったかな?)を講読して、
毎日目を通しているという強者。
全部で10紙以上毎日読むというのは相当なことです。
そこから「社会のグラデーション」を読み取るのが大事なんだ、
と彼は言います。

たいていリベラルの人は朝日、東京サイドから産経、読売を批判し、
保守の人は産経、読売サイドから朝日、毎日を批判しますが、
それは本質的なことではないんだ、というのが彼のメッセージです。
そうではなく、ひとつの出来事を「いろいろに語れる」という、
つまり「現実がグレーである」という「メタ知見」を得ることが、
新聞を複数読むと見えてくるのであり、それが大事なのだ、と。

保守だろうとリベラルだろうと、
相手を言い負かし、自分の主張をオウムのように繰り返す、
「ポジショントーク」をしている限り、
社会を変えていく力はありません。

そうではなく「情報の解釈は複数あり、そこにはゆらぎがある」
ということを一度引き受けたうえで、
ではこのトピックに関して、私はどう自分の意見を構築していくか、
ということを考えることこそ、
社会全体を強くする教養ある人の態度です。

プチ鹿島さんは芸人ですから、
そういった難しい問題を、
「新聞六紙」を「おじさんというキャラクター」で色づけしたりして、
わかりやすくたのしく解説しています。
新聞には「芸風」があるのだ。
それを楽しまなきゃ、というのが彼のスタンスであり、
私もそれに同意します。

例えば、
朝日新聞は高級な背広を着たプライド高めのおじさん。
産経新聞はいつも小言を言っている和服のおじさん。
毎日新聞は書生肌おじさん
東京新聞は問題意識が高い下町のおじさん。
日本経済新聞は現実主義のビジネス一筋おじさん。
読売新聞はずばり「ナベツネ」
というふうに(笑)。

なんだ、みんなおじさんじゃないか、と笑。
そう、新聞はおじさんメディアです。
そしてそれぞれにキャラがあり、芸風がある。
それらを見比べることで、「現実の重層性」を学ぶ。
それが大切なスタンスです。

この本は面白かったので、
いつかもうすこし語ってみたいと思っています。
(917文字)





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陣内が先週読んだ本 2017年5月第一週 神学の思考 他9冊

2017.11.02 Thursday

+++vol.012 2017年5月9日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年5月第一週 4月30日〜5月6日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●第2図書館係補佐

読了した日:2017年5月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:又吉直樹
出版年:2011年
出版社:幻冬舎よしもと文庫

リンク: http://amzn.asia/bZ0EK1i

▼140文字ブリーフィング:

芸人の又吉直樹が、雑誌に連載した、
「書評」の単行本化です。
この本には数多くの小説が彼の切り口で紹介されていますが、
既読のものはほんの3冊ぐらいで、知らない本ばかりでした。
書評と言うよりも「エッセイ」です。
最後に作家の中村文則と又吉の対談が収録されていて、
それがめちゃくちゃ面白いです。
引用します。

→P239〜240
〈中村:でも、又吉くんは本を研究したわけじゃなく、
本を大量に読んだんですよ。
で、大量に本を読むと人間の中に何が起こるかと言うと、
変な海みたいなものが出来上がる。
(中略)純文学っていうものをたくさん読んだ人っていうのは、
自分の内面に自然と海みたいなものが出来上がるんです。
で、それは作家になるとかお笑い芸人になるとか、
もちろんそれ以外のいろんな職業の人たちにとっても、
非常に素晴らしいものなんですよ。
つまりいろんな角度から物事を考えられるようになる。
(中略)
それは、僕が本をすごく読んでいる人からいつも感じられることですよ。
そういう変な海を持っている人は芸人さんに限らず面白い。
どんな職業の人手もね。
もちろん僕は映画や漫画も大好きなんだけど、
たくさんの小説を読んでいる人に出来る変な海は、
どんな職業の人でも何かしら役に立つと思う。
その海が、又吉君の場合は芸人という形になって役に立ってくれていたら、
一応、僕も作家という職業をしているので嬉しいなとは思うんだけど。〉

、、、今日のQ&Aコーナーにも通ずるところがあるのですが、
ここで中村文則氏が言っているのは、
つまり「本という情報のプール」がある閾値を超えると、
自分のなかに彼の言う「変な海」が出来上がる。
そこから「笑い」というものも生まれるのだ、と言っています。
これは私の以下の持論とも合致します。

「博識な人がすべて面白いわけではありませんが、
本当に面白い人は、みな博識です。」
機知に富んだユーモアで人を笑わせられるかどうか、
というのは欧米諸国では最も洗練された教養の形で、
「年収がいくらある」みたいなステータスよりもよほど重要です。
「年収」の話をすると逆に成金趣味に思われ軽蔑されます笑。
教養とユーモアというのは金銭以上に万国共通の、
人的資本なのです。
(907文字)



●アイアムレジェンド

読了した日:2017年5月2日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: リチャード・マシスン
出版年:2007年  (英語初版1954年 原題「地球最後の男」)
出版社: ハヤカワ文庫NV

リンク: http://amzn.asia/567WVCm

▼140文字ブリーフィング:

同名タイトルの映画を観て興味を持ちました。
映画評論家の町山智浩さんが、
ラジオでこの映画について解説していて、
リチャード・マシスンによる原作「地球最後の男」が、
SF小説の金字塔的な名作であり、
これまで4度映画化されていることを知りました。
私が見たウィル・スミス主演の映画は最も新しく、
そしてもっとも劣悪な脚本書き換えが行われているのを、
町山さんが指摘していました。

(注:これ以降は致命的なネタバレ要素を含みます。)

原作の「キモ」は何かを説明します。
新種のウィルスによって一人、
また一人とゾンビ化し、「人類最後の男」となってしまった、
ロバート・ネヴィルという主人公が、
自宅に立てこもり生き残りをかけて戦うのですが、
途中からゾンビたちの様子がおかしくなってくる。
だんだん彼らは高度な知性を発達させ、
なにやら「組織」のようなものをつくり、
「社会」を形成しはじめているらしい。
ネヴィルはあるとき「はっ」と気がつきます。
いまや「ゾンビ社会」がデフォルトで、
彼らの持たないマシンガンを持って殺戮を繰り返す自分こそが、
まさに「排除すべき異物」なのだと。
つまり自分は仮面ライダーだと思っていたけど、
「怪人」だった、というわけです。
この原作は1950年代に出版されていますが、
現代に引きつけて解釈することも可能です。
たとえば2001年以降のアメリカのイラクへの侵攻は、
イラク側から見ればテロ行為に他ならず、
アメリカの「ゾンビ狩り」は、
自らがゾンビであることに無自覚だ、
という具合に。

この小説の最後のストロークが最高にクールなので、
ここに掲載します。翻訳も上手です。

→P269 
〈ロバート・ネヴィルは新しい人類を見渡した。
俺は彼らとは相容れない存在だ。
吸血鬼どもと同様に、彼もまた”呪われたもの(アナテマ)”であり、
破壊すべき不吉な存在なのだ。
不意にそれを悟ると、苦痛に苛まれながらも気が楽になった。
咳混じりの笑い声を漏らす。
向き直り、薬を飲み下しながら壁にもたれた。
悪循環だな、と週末の気怠さが手足に広がって行くなかで考えた。
まさに悪循環だ。
死のまっただ中から新たな恐怖が生まれ落ち、
いつまでも滅びることのない要塞に新たな迷信が誕生する。
この俺が伝説の存在なのだ。(I am legend.)〉
(934文字)



●チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦

読了した日:2017年5月2日 途中飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:大野裕之
出版年:2015年
出版社:岩波書店

リンク: http://amzn.asia/6OAaO9F

▼140文字ブリーフィング:

この本はラジオで知りました。
チャップリンとヒトラーは、同じ年に生まれています。
二人ともちょび髭を生やしている。
二人がお互いを強く意識していたのは明白であり、
チャップリンのナチスを「ディスった」映画「独裁者」は、
ドイツや日本やイタリアでは公開禁止でした。
「笑い」と「力による専制」のどちらが勝ったのか?
長い目で見れば笑いが勝った、と言えるでしょう。
専制に走る独裁者がまず社会からなくしたいものが、
ユーモアだ、というのを著者は指摘しています。
ユーモアには権力を脱構築する力があることを、
独裁者は知っているからです。
今暮している国の政府がユーモアや笑いを規制はじめたら、
本当に危ないところまで来ている、
と考えた方が賢明でしょう。
(309文字)



●治りませんように

読了した日:2017年5月3日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:斎藤道雄
出版年:2010年
出版社:みすず書房

リンク: http://amzn.asia/fhdTsK3

▼140文字ブリーフィング:

4月18日配信号(vol.009)のメルマガで、
「べてるの家の『非』援助」を紹介しました。
この本は浦河の「べてるの家」を取材した著者が、
そこで起こる悲喜こもごもをリポートしています。
リポート中断続的に著者は浦河に滞在していて、
滞在期間中にも関わっていた当事者が亡くなってしまったり、
傷害事件を起こして警察沙汰になったりと、
向谷地さんの言葉で言うのなら、
「今日も順調に問題だらけ」です。
川村先生の言葉を著者は収録していて、
1年半前に浦河で川村先生とお会いしたときのことを、
昨日のように思い出しました。
「あーそうそう、そんなこと言ってた!」と。
患者が「先生のおかげで治りました!」
みたいに言ってくるというのはまだ「神の位置」を、
医者が占めているのでそれじゃダメなんだ、
と川村先生はおっしゃいました。
そういう人は必ず再発して病院に戻ってくる、と。
患者が「自分の悩みを悩みきり、自分の言葉を紡ぐように」
なることを目指さなければならないと。
医者は忘れられなければならない、と。
引用します。

→P210〜211
〈そんな川村先生に、べてるの家のメンバーは鍛えられている。
ちゃんと苦労するように、悩みを増やすように、
「ひとこと俺に言わせろ」といえるように。
その期待に応えて、メンバーの松本寛さんは
「分裂病は友だちができる病気です」といった。
林園子さんは「もう治さないでください」といった。
山本賀世さんは「むなしさを絆に」といい、
大林美枝子さんは「病気は宝だ」といっている。
そして早坂潔さんは、川村先生と公演に出かけたある日、
大勢の聴衆にむかってこういったことがある。
「ぼくたちは、先生の失敗作です」
治っていないし、治せていない。
とはいえ、それがちょうどいいかげん、なのだ。
そういう患者を育て、そういう患者に育てられて、
治すと言うよりは付き合いながら、
年月を経て先生がたどり着いた姿は、
「自然体」ということだったかもしれない。
それはまた、べてるの家の人々が、
それぞれに程度の差はあれ、
たどりついた姿でもあったのだろう。〉
(850文字)



●安倍政権を笑い倒す

読了した日:2017年5月3日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 佐眇 松元ヒロ
出版年:2015年
出版社: 角川新書

リンク: http://amzn.asia/hWho8k2

▼140文字ブリーフィング:

松元ヒロさんというスタンドアップコメディアンがいまして、
この方のネタは「憲法くん」など政治に関わるものが多い。
「どうも、日本国憲法です。今年で70歳になります。
『ケンちゃん』なんて言われています。
私の顔は時代にそぐわなくなってきたので、
整形したほうが良いと考える人が、
最近増えてきているようで、、、」
みたいな感じで。
「チャップリンとヒトラー」のテーマもそうですが、
笑いの本質のひとつは反骨精神です。
茂木健一郎氏も指摘するように、今のお笑い界というのは、
日本の大手企業のスポンサーする番組で食っています。
スポンサーは大本の経団連の影響を受け、
経団連というのは時の政権与党を怒らせたくないですから、
巡りめぐってやはりお笑い芸人は政権批判を避ける。
誰も「干されたくない」ですから。
あからさまに政権批判をしたければ、
松元さんのように「在野の旅芸人」みたいな感じで、
やらなければならないというのが、日本のつらいところです。
(406文字)



●新しいパパの教科書

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法:

著者:NPO法人ファザーリング・ジャパン
出版年:2013年
出版社:学研マーケティング

リンク: http://amzn.asia/e2j3eLa

▼140文字ブリーフィング:

私たちの夫婦は結婚5年目にして新しい命を授かりまして、
現在妻は妊娠5ヶ月です。
大きなトラブルなどがなければ10月初旬には、
私は「父になる」予定です。
それに備えてこの本を読みました。
ファーザリング・ジャパンというNPOが出している本ですが、
このNPOのモットーが気に入りました。
「いい父親ではなく、笑っている父親になろう。」(P12)
この言葉は深く、そのためには誇りをもって仕事を楽しみ、
妻を愛し、家族に奉仕し、神を第一とする必要がある、
と私は考えます。これを目指したいと思います。
(240文字)



●新・哲学講義 哲学に何ができるか

読了した日:2017年5月5日 途中とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:野家啓一ら
出版年:1999年
出版社:岩波書店

リンク: http://amzn.asia/2FVbmhI

▼140文字ブリーフィング:

8人の高名な哲学者による小講義が収録されています。
井上達夫という、ジョン・ロールズなどを研究している先生だけは、
他の本を2冊読んだことがありました。
井上達夫氏の章が抜群に面白かったです。
「価値相対主義というのは最も傲慢な普遍主義だ」
という彼の指摘には迫力があります。

→P192 
〈相対主義的応答は普遍主義の否定どころか、
最も傲慢な種類の普遍主義への回帰である。
この応答をする者は解釈論争を超越した
「中立的」な傍観者の高みに自己を置いて、
「すべての解釈は等価である」というスイーピングな
普遍的メタ言明のご託宣を、すべての現実的、
可能的論争参加者に下している。〉
(278文字)



●神学の思考

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:佐藤優
出版年:2015年
出版社:平凡社

リンク: http://amzn.asia/0pRLbq1

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白かったです。
非キリスト教徒にむかって「神学の思考」を語る。
それが現代社会を生きる人々の「役に立つ」。
フロマートカ、カール・バルト、ユルゲン・モルトマンら、
近世〜現代に至る神学者達の内的論理をなぞっていくことで、
「神学のメガネで世界を見るとはどういうことか」
を佐藤さんは非キリスト教徒に向けて解説します。
彼が強調しているのは「キリスト教の用語を使わずに、
キリスト教の本質を表現する」ということで、
これは実は、
私自身が自分の人生のミッションと考えていることと、
それは符合します。
規模はまったく違いますが、佐藤さんと私は、
「人生の召命」を共有していると感じました。

→P300〜301 
〈教会に日常的に集まるのは、
世俗化される以前の言葉に慣れたキリスト教徒たちです。
この人たちは、礼拝の時には、社会で主流になっていない、
非世俗的な言語でコミュニケーションをとります。
それは、教会外の人たちにとって、理解することが難しい言語です。
あるいは、言葉の意味は理解出来るとしても、
納得できない内容です。
従って、現在、教会の内部で語っている言葉で、
教会の外部の人々に語りかけても、
それは徒労に終わることになると思います。
私は職業作家ですので、
社会的に通常に流通している言葉でコミュニケーションを取ります。
この日常的な言語に、伝統的なキリスト教的な使信を
どのようにすれば乗せることができるかについて、
いつも悩んでいます。
(中略)
私は、自分の仕事は、伝統的なキリスト教徒ではなく、
日本で圧倒的大多数を占める世俗的な非キリスト教徒を対象に
イエス・キリストは救いであると言うことを
語っていくことだと思っています。〉
(704文字)



●都市の骨格を創りかえるグリーンインフラ

読了した日:2017年5月5日
読んだ方法: 義理の兄にいただく

著者: 日本政策投資銀行 地域企画部
出版年:2017年
出版社: 日本政策投資銀行

リンク:
▼PDF
http://www.dbj.jp/ja/topics/region/industry/files/0000027136_file2.pdf

▼サイト
http://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2017/html/0000027117.html

▼140文字ブリーフィング:

政策投資銀行という政府系の銀行で働く、
義理の兄が手がけたプロジェクトです。
彼はこれが完成するまで毎日多忙な日々を過ごしていました。
(今はまた別の理由で彼は多忙ですので、
 なかなか遊んでもらえません笑。)
政策投資銀行は銀行であると同時に、
地方自治体や企業が今後どのように投資や政策の舵を切っていくか、
ということのシンクタンク的な役割も果たしています。
義理の兄のこの仕事は完全にシンクタンクの部分で、
この提言が各地方自治体であったり中央官庁に読まれ、
そして政策に反映されます。
義理の兄は「自然環境」ということを人生のテーマにしており、
本当は研究者になりたかったのだけど、
神の導きにより今の仕事をしていると思っている。
彼が今していることは研究者以上に、
日本の社会が環境に配慮することに寄与しているわけですから、
「神の召命と賜物は変わらない」のだなぁと、
感慨にひたりつつ読みました。
ちなみにグリーンインフラとは何か。
引用します。

→P5 
〈都市緑地の増加により、
景観の形成を通じて都市の魅力や空間の質を高める
という美観上の目的に加えて、
ヒートアイランド現象の緩和、雨水の貯留浸透、
水質改善、地下水涵養、火災時に焼け止まり帯となること、
(津波、高潮の)防波等の環境改善機能および防災機能が発揮され、
都市全体としての社会的便宜が高まることが期待される。
このように、生態系としての緑地が発揮する
「機能面」に着手した上で、計画的に緑地を
整備・誘導する場合、これらの緑地を
「グリーンインフラ」と通称する。〉

、、、つまり、護岸工事や防波堤など、
コンクリートによる灰色のインフラによってではなく、
芝生や緑地造成や里山など、「緑のインフラ」で、
それを代替していこうよ、という話です。
そうすることによって、どれぐらいのおカネがかかるのか。
一方で「灰色のインフラ」によって失われる、
景観、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性などの、
デメリットなども換算したとき、それは「ペイ」するのか、
ということを実証的に分析しています。
私は別の本で読んだのですが、
コンクリートの耐用年数というのは、
だいたい50年から60年と言われており、
高度経済成長期に造った道路や橋や歩道橋などの、
「灰色のインフラ」が一斉に寿命を迎えるのが、
2020年ごろだと言われています。
もうそれはすでに始まっており、
記憶に新しい2012年の笹子トンネル崩落事故は、
その「終わりの始まり」です。
日本は本当にさまざまな意味で今「過渡期」であり、
そういう時代にこういう「長い視点に立つ見通し」を、
提言するということは非常に重要です。
身内の仕事ながら、グッジョブです。(1,095文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年4月第四週 一九八四年 他

2017.10.26 Thursday

+++vol.011 2017年5月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年4月第四週 4月23日〜29日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●一九八四年

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ジョージ・オーウェル
出版年:2009年 (英語初版1949年)
出版社: 早川書房

リンク: http://amzn.asia/7p3EFLF

▼140文字ブリーフィング:

「ディストピアSF小説」の金字塔。
もはや古典の域に入る、「一九八四年(原題:1984)」は、
今読んでもまったく鮮度が落ちていない。
本当は英語で読もうとKindleで買ってたのですが、
途中で挫折して日本語訳を読みました(笑)。
「ビッグ・ブラザー」の支配する独裁国家、
「オセアニア」が舞台ですが、
「ビッグ・ブラザーなる存在」が実在するかどうかも謎です。
官僚機構がそういう「架空のイメージとしての絶対者」を、
措定しているだけかもしれない。
この政府のスローガンが秀逸です。
 戦争は平和なり
 自由は隷従なり
 無知は力なり
近年の国内外の政治状況を見ていると、
もはやこれはジョークではなく現実なので、
背筋が凍る思いがします。(302文字)



●モノやお金がなくても幸せに暮らせる

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ヘンリー・D・ソロー
出版年:2015年
出版社: 興陽館

リンク: http://amzn.asia/f7VlBVF

▼140文字ブリーフィング:

ヘンリー・D・ソローの古典、「ウォールデン」の、
「超訳」みたいな形式で、そのエッセンスを紹介する本です。
ソローは今で言えば「北の国から」の黒板五郎さんのような人で、
富良野に移住した倉本聰さんは確実にソローの影響を受けています。
ソローが言っている
「世界を探求するより自分の内側を探求する方が面白い。
 珍獣を猟銃で撃つより、自分の内面世界を撃ち抜いた方が、
 お宝が沢山ある」という言葉には私も共感します。
→P270 
〈キリンを追いまわしに、
いそいそと南アフリカに出かける人がいる。
でも彼らがほんとうに追い求めているのは、
そんなものではないはずだ。
いったいいつまでそんなことを続ければ気がすむのだろう?
シギを撃っていればじゅうぶん気晴らしになるのに。
でもぼくが思うに、なにより高尚なゲームとは、
自分自身を打つことなのだ。
その目を内に向けよ。
そうすれば、これまで気付かなかった千もの世界が見えてくる。
それをひとつずつ渡り歩けば、
やがては内なる宇宙を統治できる。〉
(424文字)



●知の操縦法

読了した日:2017年4月23日
読んだ方法: Kindleで電子書籍購入

著者: 佐藤優
出版年:2016年
出版社: 平凡社

リンク: http://amzn.asia/68h3cVN

▼140文字ブリーフィング:

佐藤さんは、「新しい情報格差」が起きている、
と警鐘を鳴らすところから本書をスタートさせます。
以前は「インターネットへのアクセスやパソコンの使用」の有無で、
情報格差があると言われていましたが、今はそうではない、と。
むしろ大きな情報格差(思考力の格差)は、
「スマホ派」と「パソコン派」の間で起きている、と。
引用します。

→位置No.11 
〈一昔前まで、インターネットにアクセスできる人と
そうでない人の間で、情報空間に大きな差異が
生じると言うことが言われた。、、、
(実は新聞などを読んでいればそんなことはなく)
むしろ深刻な情報格差は、
日常的に電子媒体を用いる人の間で生じている。
パソコンしか持っていない、
もしくはパソコンとスマートフォンを併用しているが、
主にパソコンを利用している人は
「読む力」を維持することが出来ている。
これに対してスマートフォンしか持っていないか、
パソコンを持っていても使わずにほとんどスマートフォンから
情報を得ている人の「読む力」が
落ちているとの感触を私は得ている。
それはスマートフォンを多用する人が、
LINEをはじめとするSNS、SMS(ショート・メッセージ・サービス)を
もっぱら利用することと関係している。
SNS、SMSでは、限られた語彙しか用いられず、
単文、体言止めが多い。
しかも絵文字やスタンプで感情を表現する。
ここで用いられているのは話し言葉だ。
学校や職場では複雑な日本語を用いていても、
日常的には簡単な話し言葉しか用いていないと、
急速に「読む力」が退化する。
「読む力」は表現力の基本だ。
「読む力」以上の「聞く力」「話す力」
「書く力」を持っている人はいない。〉

→位置No.909 
〈LINEで瞬時に返信することばかりしていると、
千語くらいの単語数でしかコミュニケーションをしなくなるので、
長いものや難しいものを読めなくなってしまうし、
他人に伝わる文章を書くことも出来なくなります。〉

、、、では、どうすれば思考力が養われるのか。
それは「長い論理」に接することだ、というのが佐藤さんの答え。
そこでヘーゲルの「精神現象学」という難解な本の代表のような、
哲学書を読者と一緒に読み解いていく、というのがこの本の構成です。
「精神現象学」という入り組んだ論理を、
絡まったたこ糸をほぐすように、読み解き、ほぐし、
そして日常生活に応用していく手際はみごとです。
(977文字)



●pepita2

読了した日:2017年4月26日
読んだ方法: Amazonで中古書籍購入

著者: 井上雄彦
出版年:2013年
出版社: 日経BP社

リンク: http://amzn.asia/0824LSU

▼140文字ブリーフィング:

pepitaというのは、「創造力の種」のことで、
それを求めて井上さんが旅するという内容。
前回はガウディの建築物を観にスペインへ渡りましたが、
今作では伊勢神宮の遷宮をメインにしています。
現在休載中の彼の漫画が今後、これらの種を経て、
どのように開花していくのか楽しみです。(134文字)



●いのうえの 満月篇

読了した日:2017年4月26日
読んだ方法:友人からいただく


著者:井上雄彦
出版年:2008年
出版社:株式会社フラワー

リンク: http://amzn.asia/h59m7Wy

▼140文字ブリーフィング:

2008年に上野の森美術館で開かれた、
「バガボンド」の漫画展の会場で売られた本です。
友人からプレゼントしてもらいました。
私は2009年1月に大阪でのこの漫画展を観ました。
その場でしばらく動けないほど感動したのを覚えていますが、
その感動が蘇ってきました。(125文字)



●教育勅語

読了した日:2017年4月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入 

著者:明治天皇
出版年:1890年
出版社: Amazon Services International, Inc.

リンク: http://amzn.asia/0SH7Ycv

▼140文字ブリーフィング:

「森友学園問題」で話題になった「教育勅語」です。
そういえば、原文を読んだことないな、と思い、
Kindleで購入しました。意外にというか、
めちゃくちゃ短いんですよね。1ページに収まりますし、
全文をここに掲載することもできますが、
「引用」の範囲を超えるので差し控えます。
よく言われるように、親孝行とか、友人を大事に、とか、
普遍に正しいことも書かれています。
ただ、敢えて
「この精神を現代に召喚しようとする」日本会議などの勢力が、
何を願っているのかと考えると恐ろしいです。
それは終盤のこの一節に集約されます。
「もし危急の事態があれば、
義勇の心を持って公のために奉仕し、
それによって永遠なる皇室を助けよ。」
これは、ただ単に時代錯誤的であるだけでなく、
とりもなおさず、「国民は国のために命を捧げよ」
みたいなロジックの根幹をなす思想であり、
明治政府の成り立ちを考えますと、この国民が助けるべき
「皇室」というのは文字通りの天皇陛下ではなく、
それを「担ぎ上げた体制」つまり「明治レジーム」であり、
それこそが、多くの人が指摘するとおり、
安倍首相が「取り戻したい」日本だったりするのが、
透けて見えるから不気味なのです。
(498文字)



●荒地

読了した日:2017年4月26日 後半とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者: T.S.エリオット
出版年:2010年 (英語初版1922年)
出版社: 岩波文庫

リンク: http://amzn.asia/7jV0DRl

▼140文字ブリーフィング:

西洋の人の書いたものに、異常に高い頻度で引用される、
T.S.エリオットですが、そういえば一冊も読んだことないなぁ、
と思い手に取りました。結果、難しくて分からなかった(笑)。
これは詩集なのですが、詩に対する訳者の「注釈」が、
詩より長いという笑。
注解のほとんどは、シェークスピアとギリシャ神話と聖書です。
西洋思想を理解しようとすると、シェークスピア、
ギリシャ神話、聖書の3つを押さえておかないと、
ほんとうには理解できない、
と佐藤優が以前どこかに書いていましたが、
その意味がよく分かります。(242文字)



●キリスト教とローマ帝国 小さなメシア運動が帝国に広がった理由

読了した日:2017年4月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ロドニー・スターク
出版年:2014年
出版社:新教出版社

リンク: http://amzn.asia/g1DPEW4

▼140文字ブリーフィング:

この本はめちゃくちゃ面白いです。
原題は「The Rise of Christianity」といい、
私が翻訳した「If Jesus Mayor」という、
私のメンターのボブ・モフィット師が書いた本でも、
がっつり引用されていました。
日本語訳されていたのを最近知りまして、
慌てて読んだ次第です。
一言では要約不能なのですが、著者は一次資料に当たり、
社会学的な手法で分析し、そして、
「ローマ帝国でキリスト教が興隆した理由は、
 その教義が魅力的だったからだ」という、
社会学者が一番嫌うタイプの結論を出します。
いつか「本のエスプレッソショット」で紹介したい。
この本はオススメです。
(276文字)




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陣内が先週読んだ本 2017年4月第三週 成長の限界 他9冊

2017.10.19 Thursday

+++vol.010 2017年4月25日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年4月第三週 4月16日〜22日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●自分の小さな「箱」から脱出する方法

読了した日:2017年4月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:アービンジャー・インスティチュート
出版年:2006年
出版社:大和書房

リンク: http://amzn.asia/4zmUkS3


▼140文字ブリーフィング:

挿話形式の「自己啓発書」です。
わりとよく出来ています。
翻訳が上手なのと、テーマが絞られているのが、
この本の成功の要因かと思われます。
テーマは「相手を攻撃し自分を正当化する、
相手と自分を隔てる心理的な『箱』から、
どうやって出ることが出来るのか」ということです。
主人公が管理職として採用されたザグラム社では、
この「箱の研修」を、全員が受講している、、、
さて、その秘密とはどこにあるのだろう、という筋書き。

参考になったのは「ハードなアプローチかソフトなアプローチか」
が問題なのではなくそのさらに深層にある、
「相手に対して箱の中にいるか外にいるか」
つまり「相手を一個の人格として認めているか」が重要、
ということです。

相手を人格として認めていれば、失敗した部下に
「失敗はよくあるよ。次がんばろう」と言っても、
「君の仕事に私は失望した。次からこのようなことのないと信じてるぞ。」
と言っても、どちらも相手にやる気を起こさせる。

逆に相手を人格として認めず自己正当化を行い、
問題は相手にあるのだという心理を持った上で、
コミュニケーションスキルを磨いたところで、
相手は「自分を操作しよう」という意図をちゃんと感じるので、
それらは意味がないのだ、と。

中間管理職の立場にある人などは、
本書から多くの示唆を受けるのではないでしょうか。
(554文字)





●人間 現代の闘争の中におけるキリスト教人間像

読了した日:2017年4月17日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ユルゲン・モルトマン
出版年:1973年
出版社: 新教出版社

リンク: http://amzn.asia/cEgN4lj

▼140文字ブリーフィング:

ユルゲン・モルトマンは、現代に生きている神学者のなかで、
「最大の大物」と言っても過言ではない。
「2000年間のキリスト教の歴史で重要な神学者を30人挙げよ」
と言われたら、トマス・アクィナス、マルチン・ルター、
カール・バルトなどと共に、彼はその30人の中に入ります。
「希望の倫理」という4,000円する彼の神学書を先月購入しました。
これを読むために「複読書」としてこれを図書館で先に借りました。
彼の思考の「鋳型」を理解するために。
モルトマンはマルクス、フォイエルバッハなど、
現代の哲学者や心理学者や経済学者の「無神論的人間観」から出発し、
その功績を認めた上で「批判」を行い、最後に、
「十字架による希望」を語る、というロジックを多用します。
バルトの「弁証法的な神学」の系譜に正統につらなる人、という感じがします。
「希望の神学」を読むのが楽しみです。
(372文字)





●だいじょうぶだよ

読了した日:2017年4月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:晴佐久昌英
出版年:2001年
出版社:女子パウロ会

リンク: http://amzn.asia/jjf4xr4

▼140文字ブリーフィング:

晴佐久神父は、神父であると同時に「詩人」なんだなぁ、
ということがよく分かります。
星野富弘さんだとか、水野源三さんなどを思い出しました。
合理主義の時代だからこそ、論理を超えた「詩」には力があります。
この本には代表作「病気になったら」はじめ、
10以上の詩が収録されています。

「掟破り」ではありますが、
「病気になったら」を全文引用、収録したいと思います。
名作だと思います。

〈「病気になったら」
病気になったら どんどん泣こう
痛くて眠れないといって泣き
手術がこわいといって涙ぐみ
死にたくないよといって めそめそしよう
恥も外聞もいらない
いつものやせ我慢や見えっぱりを捨て
かっこわるく涙をこぼそう
またとないチャンスをもらったのだ
自分の弱さをそのまま受け入れるチャンスを

病気になったら おもいきり甘えよう
あれが食べたいといい
こうしてほしいと頼み
もうすこしそばにいてとお願いしよう
遠慮も気づかいもいらない
正直に わがままに自分をさらけだし
赤ん坊のようにみんなに甘えよう
またとないチャンスをもらったのだ
思いやりと まごころに触れるチャンスを

病気になったら 心ゆくまで感動しよう
食べられることがどれほどありがたいことか
歩けることがどんなにすばらしいことか
新しい朝を迎えるのがいかに尊いことか
忘れていた感謝のこころを取りもどし
この瞬間自分が存在している神秘
見過ごしていた当たり前のことに感動しよう
またとないチャンスをもらったのだ
いのちの不思議を味わうチャンスを

病気になったら すてきな友達をつくろう
同じ病を背負った仲間
日夜看病してくれる人
すぐに駆けつけてくれる友人たち
義理のことばも 儀礼の品もいらない
黙って手を握るだけですべてを分かち合える
あたたかい友達をつくろう
またとないチャンスをもらったのだ
試練がみんなを結ぶチャンスを

病気になったら 必ず治ると信じよう
原因がわからず長引いたとしても
治療法がなく悪化したとしても
現代医学では治らないといわれたとしても
あきらめずに道をさがし続けよう
奇跡的に回復した人はいくらでもいる
できるかぎりのことをして 信じて待とう
またとないチャンスをもらったのだ
信じるよろこびを生きるチャンスを

病気になったら 安心して祈ろう
天にむかって思いのすべてをぶちまけ
どうか助けてくださいと必死にすがり
深夜 ことばを失ってひざまずこう
このわたしを愛して生み 慈しんで育て
我が子として抱き上げるほほえみに
すべてをゆだねて手を合わせよう
またとないチャンスをもらったのだ
まことの親に出会えるチャンスを

そしていつか 病気が治っても治らなくても
みんなみんな 流した涙の分だけ優しくなり
甘えとわがままを受け入れて受け入れて自由になり
感動と感謝によって大きくなり
友達に囲まれて豊かになり
信じ続けて強くなり
自分は神の子だと知るだろう
病気になったら またとないチャンス到来
病のときは恵みのとき〉
(1,169文字)


▼参考リンク:「恵みのとき 病気になったら」晴佐久昌英
http://amzn.asia/7Oq0qph





●そして生活はつづく

読了した日:2017年4月17日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:星野源
出版年:2013年
出版社:文春文庫

リンク:http://amzn.asia/7PopiV4

▼140文字ブリーフィング:

友人に勧められ、Kindleで電子書籍を購入して読みました。
下痢、近眼、コインランドリーでブラジャー間違えて持ってくる、
など、身近な出来事を自虐を交えて、軽い文体でユーモアに昇華する、
というのは相当に頭の良い人にしかできません。
先日紹介した著者、細谷功さんも言っていますが、
「自虐ネタ」をちゃんと笑いとして成立させられるというのは、
「メタ思考」のできる人のひとつの明確なサインです。
彼の活動はマルチなので、ラジオも、演技も、歌も、ファンは多いでしょうが、
最も「濃密でコアなファン」は彼の読者にいるのでは、と思いました。
(259文字)





●ノット・ワーキング 結び合う人間活動の創造へ

読了した日:2017年4月17日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: ユーリア・エンゲストローム
出版年:2008年
出版社: 新陽社

リンク: http://amzn.asia/5DaWFcR

▼140文字ブリーフィング:

ユーリア・エンゲストロームという、
フィンランドのヘルシンキ大学の教授は、
「ノット・ワーキング」という活動理論を提唱した有名な学者です。
ITが普及してから「ネットワーキング」が盛んに言われましたが、
それをさらに前進させ深化させる、
「ノット(結び目)」ワーキング、という概念を、
エンゲストロームさんは提案しているわけです。

本書はエンゲストローム自身によるテキストは一部だけで、
その他の部分は日本の複数の研究者らが、教育現場や、
災害支援、限界団地の再生、医療現場などで、
この活動理論を実践した、という研究報告になっています。

「まえがき」のエンゲストローム自身による、
「ノットワーキング」の概念の説明がわかりやすいので引用します。

→P1
〈ノット(結び目)という考え方が指し示そうとするのは、
行為者や活動システムは弱くしか結びついていないのに、
それらの間の協働のパフォーマンスが急遽、脈打ち始め、分散・共有され、
部分的に即興の響き合いが起こってくる、ということである。
協働でなされる仕事の中で、ノットは結ばれたりほどけたりするが、
特定の個人や固定された組織がコントロールの中心になるわけではなく、
ノットをそのような存在に還元することは出来ない。
主導権のありかは、一連のノットワーキングにおいて、
刻々に変化していく。〉
(553文字)





●ただしい疲労回復術

読了した日:2017年4月18日
読んだ方法:Amazonプライム特典の月一冊Kindle無料本

著者: 木村健治
出版年:2016年
出版社: ラポム舎

リンク: http://amzn.asia/bRMurYS

▼140文字ブリーフィング:

Amazonプライム会員になると、月に一冊Kindle本を無料で読めます。
当初はこれにも期待していたのですが、思いの外良い本がないので、
限定された品揃えの中毎月「選ぶのに苦慮」しています。
この本は、病院の待合室にある冊子のような、
通り一遍のことが書いてあって「面白い」という訳ではないのですが、
現在の医学的知見に基づき、極めて常識的な内容が書いてあって、
参考になりました。
少なくとも「長生きしたけりゃ今日から納豆を食べるな!」
みたいな、
「タイトルだけで売ろうとしているのが丸わかりの、
中身スッカスカの極論健康本」よりは有益です。
ちなみに同タイトルの横には別の著者による、
「納豆を食べれば万病が治癒する」
みたいな本があったりします笑。
どっちだよ、と笑。
私は獣医ですので医学的知識に基づき「マジレス」しますと、
どちらも絶望的に間違っています笑。
「穏当な内容の本」が正解なのですが、
「穏当な内容の本」は売れないのです。
医学的知見と、市場原理は食い合わせが悪いわけですね。
まったくの余談ですが、
Kindleを開くたびにこの本の表紙が目に入るのですが、
毎回「おびただしい疲労回復法」と見間違えて、
「何だこのタイトル!!」とびっくりします。
逆に「おびただしい疲労回復」なら売れるのかな?
何なんでしょうね笑。
(547文字)





●成長の限界 人類の選択

読了した日:2017年4月19日 途中とばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者: ドネラ・H・メドウズ+デニス・L・メドウズ+ヨルゲン・ランダース
出版年:2005年
出版社:ダイヤモンド社

リンク: http://amzn.asia/gXWu1gH

▼140文字ブリーフィング:

友人とのEvernoteチャットで、
「ローマクラブ」の「成長の限界」の存在を知りました。
「ローマクラブ」というのは識者連合によるシンクタンクの名前です。
人類の経済成長がこのまま進むと、環境というボトルネックによって、
必ず成長が止る(止らざるを得ない)限界点を迎える、
という「予言」をしました。
膨大な科学的、数量的なデータに基づいたシミュレーションを元に、
彼らが「成長の限界」という本で世界に警鐘を鳴らしたのは1972年で、
この本は全世界に多大な影響を与えました。
この本はその「続編」にあたります。
「、、、でも、冷静になれよ。
この何十年も、オゾンホールだとかCO2だとか、
みんな騒いでいるわりには何も破局的なことは起こってないじゃん。
ああいうのはでっち上げで、成長をこれからも続けていけばいいんだ」
という論を唱える人が時々いますがそれは間違いです。
その人は「等比級数的増加(乗数曲線)」の原則を理解していない。
環境負荷というのは人口増加にせよ経済活動の肥大にせよ、
有害排出物の排出にせよ漁獲量の増大にせよ、
一次関数の「線形モデル」ではなく、
等比級数的に増加します。

等比級数モデルの恐ろしさを説明するために、
この本では「池の中の睡蓮」を例に挙げます。

池の表面に睡蓮(スイレン)がある。
第一日目には肉眼では確認できないほどの小ささだ。
第二日目にそれは倍に増える。
第三日目にはさらにその倍、、、
という風に増えたとします。
29日目に池の半分をおおった睡蓮が、
池の全面をおおうのに、あとどれぐらいの時間が必要か?
おわかりですね?
そう、あと24時間です。
この比喩には続きがありまして、
では、第25日目の睡蓮はちなみに、
池の何%を覆っていたでしょうか?
、、、
答えは、なんと3%です。
21日目には、0.2%です。

私たちが「オゾンとかCO2とか、
マグロが減ったとか、
たいした問題じゃないじゃん」
と言っているのは、
じつは25日目の「3%」を見て言っているかもしれないし、
21日目の「0.2%」を見て言ってるかも知れない。

いずれにせよ確かなのは、
池の半分をおおったのを私たちが目撃したときには、
もはやすでに時遅し、という事であり、
破局を免れることはできません。

大切なのは「1%」に達する前に、
何らかの対策を講じることです。
ローマクラブはかの「京都議定書」にも影響を与えましたが、
このようなシンクタンクは100年後の地球を左右する、
重要な役割を担っています。

まぁ、今の米国の大統領は不動産屋さんですから、
四則演算しか理解出来ず、「等比級数」は無視するでしょう。
睡蓮が池の半分をおおっても、
「あと半分も大丈夫じゃないか、ディールだ」とか言って、
資源を使い尽くすタイプに見えますから、
世界の先行きはあまり明るくはなさそうです。
(1,148文字)





●パチンコに日本人は20年で540兆円使った

読了した日:2017年4月19日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 若宮健
出版年:2012年
出版社: 幻冬舎

リンク: http://amzn.asia/bZUJyVn

▼140文字ブリーフィング:

著者はパチンコ依存症により経済破綻し、
自殺してしまった友人がいて、
そこからパチンコの「闇」について調べはじめた人です。

よく知られているように、
パチンコの「三店方式」と呼ばれている換金方式は、
明確な賭博行為であり、パチンコ以外の業界でこれをやると、
確実に逮捕されます。

ではなぜ、パチンコだけが例外的に「お目こぼし」をされているのか。
それは、パチンコの関連団体(例えば新台の許可を出す財団法人など)が、
警察組織の大口の天下りに先になっているからです。
これらの団体の主要ポストの9割ぐらいは、
警察OBで占められており、
警察は「三店方式は賭博行為」という判断をすると、
自らの食い扶持を失うことになるので、
ダブルスタンダードを放置しています。

マスコミもまたパチンコ関連団体からの広告収入がありますので、
「パチンコ批判はタブー」です。

私が驚いたのはパチンコの売上高です。引用します。

→P29 
〈アジアを代表するカジノ大国であるマカオは、
2007年にラスベガスを抜いて世界一の売り上げを達成した。
筆者は2011年5月に久しぶりに当地を訪れたが、
まさにカジノ・バブルの様相を呈していた。
 しかし、そのマカオでさえ、
売上高は日本のパチンコ市場に遙かに及ばない。
マカオの2010年の売り上げは1兆8834億円、
日本のパチンコ19兆3800億円の10分の1にすぎない。〉

あとがきにもありますが、
パチンコは年間20兆円を売り上げ、
これは本の売り上げの2兆円の10倍です。
「こんな国に未来はあるのか」
と著者が絶望するのも無理はありません。

酒税やたばこ税のように、売り上げの1割で良いので、
「パチンコ税」として徴収すればそれだけで、
年間2兆円の税収になり、これは消費税1%の税収分と同じです。

ただ、「パチンコ税」を取るとなると、
それが賭博行為であるかどうかの白黒はっきりつけなくては、
前に進めないため、警察組織とパチンコ業界から献金をもらっている、
政治家が反対するため法案は否決されるでしょう。

私はカジノを日本に作ることは意味があると思いますし、
賭博行為をすべてこの世から一掃すべきだという論には与しませんが、
法律が白昼堂々破られているのが、恣意的にお目こぼしされている、
という状態が最も「気持ちが悪い」です。
三店方式は全部オッケーにするか、
全部ダメにするか、法の運用を公正にして欲しい。
それだけです。
(仮にオッケーにすると
バカラなどの賭博で逮捕され
オリンピックに行けなくなった人たちは、
いったいなんだったんだ、と思うでしょうが。)
「法治国家」としての基本が抑えられていないというのは、
いろんな形で国家の根を腐らせていきますから。
(1,092文字)





●1st Annual National Convention for the Values Restoration Officers 記念誌

読了した日:2017年4月20日
読んだ方法: 友人にいただく

著者: Council for the Restoration of Filipino Values
出版年:2015年
出版社:Council for the Restoration of Filipino Values

リンク:http://www.crfv-cpu.org/vrp.html

▼140文字ブリーフィング:

これは「書籍」というよりも、
なんというか、「学会の冊子」みたいな記念誌です。

英語で書かれたこの冊子を私が今週なぜ読んだかと言いますと、
来月、私が仕事で5月8日〜16日にフィリピンの、
バギオというところに行くことになっていることと関連があります。

今回私がフィリピンを訪問する目的は、
この冊子の「会議」を主催している、CRFVという団体と、
FVIのパートナーシップ構築の可能性を探ることです。
彼らはキリスト教系のNGOとして、
「公務員の倫理向上」という働きを担っており、
私たちの「国をキリストの弟子とする」というビジョンに、
共鳴してくれています。

読んで驚いたのですが、この大会に寄せて、
当時のフィリピンの大統領と、
当時のバギオ市長がメッセージを寄せています。

来月、どんな出会いがあるのか、楽しみになりました。
以下にバギオ市長と大統領のメッセージ(私訳)を掲載します。


▼大統領のメッセージ:

〈『第一回・公務員 倫理向上のための全国大会』開催にあたり、
CRFVの皆様にご挨拶申し上げます。

我が国はかつて経験したことのないほどの
活況と発展を目の当たりにしていますが、
それが始まったのは私たちがまっすぐな義の道を
断固として歩むと決意したときでした。

政治家による不正利得や
少数の既得権益者による近視眼的な蓄財という
くびきからとき放たれたとき、
フィリピンという国にはどれほどの潜在的な力があるのか、
ということを私たちは知ったのです。

CRFVの皆様におかれましては、過去20年間、
フィリピンの道徳的価値観の改革運動家として活躍され、
5年前からは社会の中にそれらの価値観が浸透していくために
具体的な働きを続けてこられました。

政府の中に誠実、責任感、高潔な職業意識という価値観が
充満していくことに対する皆様の確信とその献身的活動によって、
官僚組織は変革され、国民は恩恵を受けてきたのです。
ここに感謝を申し上げます。

私の願いは、私たちが去った後も、
私たちのチームが支持するこのリーダーシップ理念が広がり、
高貴な道徳理念と良心への市民的なうねりが
国内に生み出されていくことです。

Daang Matuwid党の歩みが続く限り、
私たちは社会の包括的発展への熱意と確信を持ち続ける所存です。

実り多き大会となりますよう祈願しています。

2015年12月8日
ベニグノ・アキノ三世 
フィリピン共和国大統領


▼バギオ市長のメッセージ:

〈バギオ氏のMagsaysay通りにあるシュプリームホテルで開催されます、
第一回・公務員倫理向上のための全国大会を開催されるCRFVの皆様に、
私の家族とバギオ市職員を代表してご挨拶とお祝いを申し上げます。

 よく知られているように、皆様の団体の本市における活動は、
公務員が高貴な価値観の体現者として市民の模範となることに寄与し、
国家における行政サービスの質的向上にも影響を与えてきました。
私たちはこの活動を推薦しています。

皆様のスローガン「変革の体現者、模範であれ
(Be the manifestation. Be the demonstration. Be the transformation )」は、
たいへん時機に叶い適切です。なぜなら、
すべからく政府および自治体の職員は、
国民および市民への奉仕というその仕事において、
良き価値観の体現者となり、
行政の質的向上を目指すべきであるからです。

志を同じくする職員たちと共に、
行政組織における価値改革のために歩むべき
正しい道のりを前進して参りましょう。

重ねて、皆様に温かいご挨拶と
お祝いのことばをもってご挨拶に代えさせていただきます。

Mabuhey tayong lahat!
(タガログ語で、どうもありがとうございます、の意)

市長 マウリシオ・ドモガン>
(1,529文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年4月第二週 見えない宗教 他7冊

2017.10.12 Thursday

+++vol.009 2017年4月18日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年4月第二週 4月9日〜15日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●東京百景

読了した日:2017年4月9日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 又吉直樹
出版年:2013年
出版社: ワニブックス

リンク: http://amzn.asia/3QtzkpU

▼140文字ブリーフィング:

又吉直樹は「火花」で2015年芥川賞を受賞しました。
私は「火花」は発売日にAmazonで取り寄せて読みましたが、
彼の文章と物語はまごうことなき「文学」であり、
現代人の実存の不安について繊細に描くことに成功しています。

彼は芸人ですから「文章を書く」という仕事は、
雑誌から頼まれたりして片手間にしていたといいます。
この本にも書かれていますが、
はじめて「文章でお金をもらえた」のは、
書き始めて6年経ってからだったそうです。

彼の書く文章が私はとても好きで、
「巧いなぁ」とため息が出る。

彼のリスペクトして止まない
太宰治の影響はもちろんあるのでしょうが、
その真似事の領域を超え、
自分の文体として昇華しています。

いろいろ説明するよりも、彼の「巧さ」が如実に表れている、
いくつかの文章を以下に引用します。

→P166 
十九歳の僕は東京に出てきたことを後悔していた。
なぜ自分程度の才能で東京で何かになれると思ってしまったのか。
全く歯が立たなくて驚いた。
毎日、自動販売機で缶珈琲を買うことと、
日に焼けた新潮文庫の太宰治をポケットに入れて散歩するだけの生活。
飲み終えた空き缶を電柱の下や、駐車場のブロック塀の上に置き去る。
そして、それが爆発することを想像する。
でも、これは梶井基次郎の『檸檬(れもん)』のイメージだったと
気付いてえずいたこともある。
苦悩の仕方まで誰かの模倣になってしまうのか。

→P176 
東京で芸人になってテレビに出たら、
街でカメラマンに隠し撮りされて、
「熱愛発覚」なんていう見出しを添えられ、
週刊誌に載ったりするのだろうか。
そんなことになったら面倒くさくてかなわない。
そのようなミーハーな想像をしたのは、遠い昔の夕暮れだった。
いつの間にか、そんなイメージは遙か彼方に飛んでって、
日々は敗走に次ぐ敗走、七転八倒、心身挫傷、
やがて泣き言も尽き自分の才能のなさと精神の脆弱さに辟易し、
見るに堪えない嘔吐を繰り返しながら何とか生きていた。

→P178 
コンビニの店先にある青い照明に
寄っていった虫が「ジッ」と焼かれる音に夏を感じる。
ドリンクの扉を開き冷気を浴びて油断した矢先に、
ドリンクの後ろの暗闇で作業する店員と目が合い、
弛緩した表情を見せてしまったことを恐縮する。
色々あった一日の帰り道に、近所のコンビニに立ち寄り、
店内に流れていた曲がエンディング曲のように聴こえたりする。
そういう瞬間が僕にとっての東京だったりする。

→P275
死にたくなるほど苦しい夜には、
これは次に楽しいことがある時までのフリなのだと信じるようにしている。
のどが乾いている時の方が、水は美味い。
忙しい時の方が、休日が嬉しい。
苦しい人生の方が、たとえ一瞬だとしても、
誰よりも重みのある幸福を感受できると信じている。
その瞬間が来るのは明日かもしれないし、死ぬ間際かもしれない。
その瞬間を逃さないために生きようと思う。
得体の知れない化物に殺されてたまるかと思う。
反対に、街角で待ち伏せして、
追ってきた化物を「ばぁ」と驚かせてやるのだ。
そして、化物の背後にまわり、こちょこちょと脇をくすぐってやるのだ。


どうです?
魅了されませんか?

彼が去年出した新書「夜を越えて生きる」も、
とても良かった。
彼の母親は奄美の人でクリスチャンです。
彼は信仰を持っていない、と言っていますが、
彼の書く文章の端々からは、
「世界や人間というものに対する普遍的な慈愛」
がしみ出していて、おそらくそれは、お母さんの信仰と、
無関係ではないと私は推察しています。
(1,435文字)

参考リンク:
▼「夜を乗り越える」又吉直樹
http://amzn.asia/1BjZACG





●メタ思考トレーニング

読了した日:2017年4月10日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 細谷功
出版年:2016年
出版社:PHPビジネス新書

リンク: http://amzn.asia/0LNK9pv

▼140文字ブリーフィング:

たしか先々週のメルマガで、
この人の著書「具体と抽象」の話をしまして、
「そういえばあの本面白かったなぁ」と思い、
細谷さんの他の著書を手に取りました。
「メタ思考」というのは、「自分の思考自体を考える思考」のことで、
敢えて言えば「自分を疑う力」のことです。
これがある人とない人では成長の度合いがまったく違い、
これからの世の中、「メタ思考」が出来ないということは、
大きな大きなハンデを背負うことになるだろう、と著者は言います。
なぜか。
「思考」はほとんどすべて、AIに代替されるだろうからです。
つまり「人間はゲームでAIに勝てない」時代になる。
ということは人間の頭脳の比較優位は「メタ思考」だけです。
「ゲームに勝つ」のは思考力であり、
「面白いゲームを考える」というのはメタ思考力ですが、
後者に強みを持っている人以外はこれからAIに仕事を奪われていきます。
面白かったのが序論の、
「こういう人はメタ思考力が弱い」という自己診断リストです。
引用します。

→P6−7 
・感情にまかせて行動する人
・思い込みが激しい(ことに気づいていない)人
・常に具体的でわかりやすいものを求める人
・(根拠のない)自信満々の人
・他人の話を聞かずに一方的に話す人
・「自分(のおかれた環境)は特別だ」という意識が強い人

自分はどうだろうか?
著者によると往々にしてこれらの人は行動力があり、
成功体験を経ていて地位も高かったりするので、
そうなるともう治癒不能(笑)だそうです。
しかし、そのような治癒不能な人はそもそも、
この本を手に取ることもない。
この本を手に取っている時点で、
「自分の思考について考える」という余地のある人なので、
みなさん、これからです、と励ます。
手前味噌のようですが実はこのメルマガも、
「メタ思考力」を鍛えるための、
良い教材なのではないかと私は最近思っています。
(764文字)





●曲げないドイツ人 決めない日本人

読了した日:2017年4月10日
読んだ方法: Amazonプライム特典の月一冊無料本をKindleで

著者: ネルケ無方
出版年:2016年
出版社: サンガ新書

リンク: http://amzn.asia/gmCvAiJ

▼140文字ブリーフィング:

著者はドイツ人で、若い時に鈴木大拙の本に出会い感動し、
単身日本にわたり禅寺で修行をして「お坊さん」となった、
という異色の経歴を持つ人です。
昔から「比較文化論」はノンネイティブな人のほうが優れている、
といわれており、私もそう思います。
たとえばいまだに引用され続けるアメリカ分析の、
「アメリカの民主主義」という古典の著者トクヴィルはフランス人ですし、
日本人論の金字塔「菊と刀」の著者ルース・ベネディクトはアメリカ人です。
ご多分に漏れず著者の日本分析も優れており、
著者の場合、「仏教」という形で日本を内面化していますから、
最後のところで「西洋的二分法」にならない。
断定せず、留保を残す。
これが修行の成果かぁ、と、違う読み方をしていました(笑)。
(319文字)





●見えない宗教

読了した日:2017年4月11日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:トーマス・ルックマン
出版年:1976年(英語初版1967年)
出版社:ヨルダン社

リンク: http://amzn.asia/0ndg0zi

▼140文字ブリーフィング:

この本は古典的な「定本」と言えます。
昨年読んだ面白い本に「日本人はこれから何にお金を落とすのか」
という、「消費動向」を研究しているコンサルの人が書いた本があります。
この本では、戦後日本の消費動向というのは、
「大量生産と大量消費」
→「記号消費」または「顕示消費」
→「社会的消費」または「つながり消費」
という段階を経て、現在の傾向は「宗教消費」と言える、
ということを看破しています。
このロジックを背後から支えているのは、
「宗教性を伝統的宗教への帰依をもってのみ測定するのは誤りで、
 現代の宗教は『世俗』のなかに潜在している」
という前提です。
私(陣内)はこれを「オルタナ宗教」と名付けましたが、
それには「アイドルへの帰依」「SNS上のカリスマへの帰依」
「ナショナリズムへの帰依」「出世と金銭への帰依」などがあります。
これらの議論の「前提」である、
「宗教性と組織化された伝統的宗教との切り離し」
をした最初の人が、このトーマス・ルックマンです。
「世俗とは宗教がないこと」という「宗教VS世俗」の構図を疑い、
「宗教性が世俗に潜り込んでいる」というロジックで、
現代を分析をしている本は今では多く見かけますが、
それらには必ずトーマス・ルックマンが引用されます。
古典的著作は大抵そうですが、40年前に書かれた本書は今読んでも新鮮で、
そして非常に示唆に富む内容でした。
(565文字)

▼参考リンク:
「日本人はこれから何にお金を落とすのか」坂口孝則
http://amzn.asia/eEjusJS






●書く力 私たちはこうして文章を磨いた

読了した日:2017年4月13日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:池上彰 竹内政明
出版年:2017年
出版社:朝日新書

リンク: http://amzn.asia/baCDGrH

▼140文字ブリーフィング:

読売新聞の朝刊一面コラムの「編集手帳」の執筆者・竹内政明さんと、
池上彰さんが、「文章術の手の内」を明かし合うという対談本です。
「自分が腹の底から意味のわかる言葉以外は使わない」
と池上さんは言っています。
読んでも頭に入ってこない文章というのは、
書き手自身がよく理解していないのです。
(140文字)

*久々に「140文字以内」を実現しました。
 本来こうあるべきだったんだけどなぁ 笑。





●超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃

読了した日:2017年4月13日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 荒川和久
出版年:2017年
出版社: PHP新書

リンク: http://amzn.asia/43YjlWm

▼140文字ブリーフィング:

「生涯未婚率」が、男性で24%、女性で14%という、
過去最高の水準に達した、というニュースが先日報じられました。
これが一体何を意味するのか、ということを、
著者はさまざまな統計資料から読み解きます。
著者が指摘するのは、「ソロ化はヤバイ」
という文脈で騒ぎ立てるのは的外れだということです。
そもそも男女の人口比の違いや、
(生物学的な理由からいつの時代も男性のほうが1%多い)
男女の平均余命の差を考えれば、結婚しようがしまいが、
人は人生の半分ぐらいを「ソロ」の状態で過ごすのが、
21世紀の社会の常識になるというのです。
言われてみれば確かにほとんどの夫婦は、
一緒に死にませんから(笑)。

、、で、そういう時代に、消費動向はどうなるのか、
これから社会と個人はどう変化していけば良いのか、
ということを著者は分析するわけですが、
「一人の人間がいろんな側面を持つ」
ということがひとつの鍵だと指摘しており、
これは私も納得し、なるほどと思いました。
引用します。

→P246
思えば、大量消費時代は、「十人一色」だった。
みんなが同じモノを買い、同じテレビを観て、
同じような家庭を築いた時代。
それが、自己表現や個性重視の時代には「十人十色」に変化し、
それが今や「一人十色」となったのである。
(526文字)





●スラムダンク あれから10日後

読了した日:2017年4月13日
読んだ方法: 友人からいただく

著者: 井上雄彦
出版年:2009年
出版社: 株式会社フラワー

リンク: http://amzn.asia/cyZxwHD

▼140文字ブリーフィング:

こういうのも「読んだ本」に入るのかどうかわかりませんが(笑)、
そこは私の裁量次第なので、入れます笑。
友人からいただきました。
これは「スラムダンク」が1億部を突破した2004年に、
井上雄彦さんがファンに感謝を表わすために、
「あれから10日後」というタイトルで、
神奈川県の学校校舎を借り切り、
黒板に漫画を描くというイベントを開きました。
この本はそのときの「23枚の黒板に書かれた漫画」を、
写真で収録したものです。
私は10年前に愛知県のビレッジ・バンガードで、
この本は立ち読みしていましたが、じっくり読むのは初めてです。
1枚目で、山王戦で背中を痛めた桜木花道が、
リハビリ先の病院から赤木晴子さん(ゴリの妹)に、
手紙を書くのですが、その手紙の文章が秀逸です。
引用します。
「天才桜木はすでに、リハビリ王として、
 リハビリ界の頂点に立っています、、、」

、、、ウケました。
(379文字)



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陣内が先週読んだ本 2017年4月第一週 釜ヶ崎と福音 他7冊

2017.10.05 Thursday

+++vol.008 2017年4月11日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年4月第一週 4月2日〜8日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●ナショナリズムは悪なのか

読了した日:2017年4月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者: 萱野稔人
出版年:2011年
出版社: NHK出版新書

リンク: http://amzn.asia/c6CtGuh

▼140文字ブリーフィング:
近年、「右傾化」が囁かれているのは日本だけではありません。
トランプ大統領の誕生、イギリスのEU脱退、
フランスの「国民戦線」、先のオランダでの極右政党の躍進など、
「ナショナリズムの台頭」は、世界的な傾向と言えます。
私は、ファナティック(原理主義的)なナショナリズムとは距離を取りますし、
日本に限らず世界全体の右傾化を憂慮する立場ですが、
「反ナショナリズム」にナショナリズムを脱構築する力はない、
という著者の主張に賛成します。

引用しますと、
→P17
〈確かにナショナリズムには危険なところがある。
しかしその危険を小さくしていくためには、
単に反ナショナリズムの立場に立つだけでは不十分だ。
それどころか、そうした反ナショナリズムの立場が
逆にその危険を増幅させてしまうことすらある。
では、ナショナリズムとどう関わっていくべきなのか。〉

このような問題意識から著者はこの本を書きました。

アーネスト・ゲルナーの古典的定義から出発し、
「近代という時代はナショナリズムを超克することは出来ず、
 外部からナショナリズムを批判することは、
 逆にナショナリズムのリスクを極大化させる。
 だとしら私たちはナショナリズムを『利用』し、
 そしてナショナリズムの副作用を最小化させるような努力をすべきだ」
という結論に至ります。
著者の「内的批判にしか世の中を変える力はない」という態度は、
資本主義にもナショナリズムにも安全保障にも言えることで、
じつはあらゆることに敷衍して応用可能です。
卑近な例では、
「職場を批判ばかりしている人に、
 その職場を変える力はない」し、
「口を開けば教会批判を繰り返すだけのひとに、
 教会を変える力はない」わけです。
自分自身がその中に「コミット」して、
自分自身の身を切る内的批判にならなければ、
「実際的にはそれに依存しながら観念的にはそれを否定する」
という、イデオロギーが陥る罠に簡単にはまります。
(787文字)





●新戦争論 ”平和主義者”が戦争を起こす

読了した日:2017年4月3日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 小室直樹
出版年:1981年
出版社: 光文社

リンク: http://amzn.asia/24VZpTb

▼140文字ブリーフィング:
本書のエッセンスは以下の引用に要約されています。

→P14 
〈第二次大戦が終わったとき、イギリスの首相であった、
 かのチャーチルは、この戦争の意義について問われ、
 次のように答えた。
ーこれは必要のない戦争であった。ー
ーわれわれがもっと早く戦争の決意さえしていれば、
 容易に防げた戦争であったー 
これは、たいへんに示唆に富んだ言葉である。
わたしなりのことばで言い換えれば、
ー第二次大戦は、「平和主義者」の巻き起こした戦争であるー
ということになる。〉

「安全保障の逆説」というのがありまして、
それは「国の指導部が強硬であればあるほど、
破局的戦争を回避したいという力学が働くため、
戦争は少なくなる」というものです。
「力の均衡による平和」というやつです。
今の日本には、この現実を無視して「平和を唱えていれば実現する」
という「非武装中立」を唱える人は少数派で、
おそらく共産主義者ですら非武装中立を本気では信じていない。
しかし、「だから軍備をとにかく増強しなければならぬ」
というマッチョ思想が「平和への正解」と思うのも、
これもまた「パシフィズム」と同じぐらい馬鹿な発想です。

「ナッシュ均衡」あるいは「囚人のジレンマ」といわれる、
思考実験がありまして、この理論によると軍拡競争は止らない。

これを推し進めると、人類はいつか、最後の一人が死ぬまで、
核戦争への歩みを止めないだろうから、それを座して待つのみ、
という「現実主義という名の薄っぺらなニヒリズム」に陥ります。
それは「文明の否定」になってしまう。

「力の均衡による平和」と、「理想としての平和」の、
弁証法的な「ゆらぎ」が必要で、そのためには、
「考えるのをやめないこと」が必要です。

『内心「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』
という本がありまして、この本の複数の著者の中に、
東郷和彦という元外交官がいます。

この人が「右からの平和ボケ」と「左からの平和ボケ」という、
巧い表現を使って、今の日本の世論の、右派と左派、両方に存在する、
「危うさ」を指摘していますが、それは非常に参考になります。
(857文字)

▼参考リンク:
内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ 
http://amzn.asia/cUxuzn7





●〈映画の見方〉がわかる本『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで

読了した日:2017年4月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:町山智浩
出版年:2002年
出版社:洋泉社

リンク: http://amzn.asia/8HVHsPa

▼140文字ブリーフィング:

町山智浩さんは私の好きな映画評論家です。
先日の「観た映画」コーナーで、
『タクシードライバー』について書きましたが、
町山さんの本を読むか読まないかで、
映画の見方の「深さ」が違います。
キューブリックの有名な『2001年宇宙の旅』も、
じつはニーチェの「ツァラトゥストラ」をなぞっている、
というのはこの本を読むまで知りませんでした。
「2001年、、、」のラストシーンの「スペースチャイルド」が、
いったい何を象徴するか、というのは映画ファンの間でも、
議論があるのですが、町山さんの
「あれはニーチェの『ツァラトゥストラ』に出てくる、
 ラクダ→獅子→赤ん坊」の「赤ん坊」つまり「超人」だ、
という説明が最も腑に落ちました。
じっさいあのシーンで流れる曲は、
シュトラウスの『ツァラトゥストラかく語りき』ですので、
この解釈は「ほぼ確実」と言って良いでしょう。
ただ映画をぼーっと観ているだけではできない楽しみ方を、
手ほどきしてくれる町山さんのような人は、
もっと評価されていいと私は思っています。
(433文字)





●せいめいのれきし

読了した日:2017年4月5日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: バージニア・リー・バートン
出版年:2015年(英語初版1962年)
出版社: 岩波書店

リンク: http://amzn.asia/cfo9WbF

▼140文字ブリーフィング:

先日読んだ福岡伸一さんと阿川佐和子さんの、
『センス・オブ・ワンダーを探して』という書籍のなかで、
阿川佐和子も福岡伸一さんも、この本の素晴らしさを、
熱く語っていたため興味を持ちました。
リー・バートンの『ちいさいおうち』と、『けいてぃー』
は読んでいて、二つとも大好きな絵本なのですが、
これは未読だった。
進化論に基づく世界観で「人間の人生」を語る本書は、
ファンダメンタルなキリスト教信仰を持つ人からすると、
眉をひそめる内容かも知れませんが、
この本は科学的な本と言うよりもむしろ宗教的な本で、
「私たちの人生には意味がある」という「物語」を紡ごうとする、
リー・バートンの誠実な格闘が見て取れます。
そのような意味合いにおいて私はとても好きです。
(315文字)





●キリスト教のリアル

読了した日:2017年4月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:松谷信司
出版年:2016年
出版社:ポプラ社

リンク: http://amzn.asia/1oSkssv

▼140文字ブリーフィング:

この本は実は、
(たぶん)面識のないメルマガ読者のmiyongさんという方が、
「ご質問フォーム」にてお勧めしてくれた本で、
キリスト新聞社取締役の松谷信司さんを中心に、
プロテスタントの牧師3名と、カトリックの神父1名が、
「キリスト教ってどうなのよ?」と、
ざっくばらんに語り合う、という内容になっています。
そのなかのカトリックの晴佐久神父の言葉が、
私にはビシバシ響きました。
ちなみに晴佐久神父の、
「恵みのとき 病気になったら」という詩は、
素晴らしい本で、めちゃくちゃお勧めです。
私は何冊か買って折に触れ人にプレゼントしています。
(260文字)

▼参考リンク:恵みのとき 病気になったら
http://amzn.asia/3wNY9Y4






●日本の伝統行事

読了した日:2017年4月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:村上龍
出版年:2016年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/divvcuV

▼140文字ブリーフィング:

村上龍の「14歳のハローワーク」という本は有名ですが、
小説家である彼が、10年に一度ぐらいする、
「この手の仕事」が、私はけっこう好きです。
正月、端午の節句、七夕、お盆、大晦日など、
日本の伝統行事を紹介していくのですが、
村上龍のあとがきにあった、
「これらの行事はイデオロギーや宗教を広め定着させる装置ではない」
という指摘は「目から鱗」でした。
歴史を通してこれらの行事はむしろ、権力側は、
「お目こぼし」をしてきたのであり、
民衆のガス抜きの役割を果たしてきた、という見方です。
河合隼雄が、「民話」は共同体の見る夢であり、
「神話と昔話」になるとイデオロギーが入り込むので、
純粋でなくなる、と指摘しています。
とすると、日本の伝統行事の中には、「民話的な純粋な記憶」が、
残っているのではないだろうか、と思えてくるわけです。
面白かったし、付属CDの、坂本龍一が監修している、
「お正月」「ふるさと」などの日本の歌は、
なんだか心洗われる気持ちがしました。
5000円する本を今回は図書館で借りましたが、
一冊家に置いておいてもいいかな、という気持ちになりました。
(470文字)




●釜ヶ先と福音

読了した日:2017年4月5日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 本田哲朗
出版年:2006年
出版社: 岩波書店

リンク: http://amzn.asia/hL3CkRC

▼140文字ブリーフィング:

この本も、先ほどの、
「キリスト教のリアル」を勧めてくれたメルマガ読者の方に、
勧められて手に取りました。本田神父のことは
他の本で何度も目にしたことはあったので、
「いつか読みたい」と思っていたのもあるのですが。
結果、めちゃくちゃ読んで良かったです。
北九州のホームレス支援で有名な奥田知志牧師の、
「もう、ひとりにさせない」という本も素晴らしいですが、
この本も劣らず良かったです。
「実践現場から生まれる本物の神学」という迫力があります。
いつか「本のエスプレッソコーナー」で紹介したい。
(244文字)

▼参考リンク:
『もう、ひとりにさせない』奥田知志
http://amzn.asia/1UNQTd5






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陣内が先週読んだ本 2017年3月第五週 僕が落語家になった理由 他8冊

2017.09.28 Thursday

+++vol.007 2017年4月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年3月第五週 3月26日〜4月1日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。




●潜水服は蝶の夢を見る

読了した日:2017年3月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジャン=ドミニク・ボービー
出版年:1998年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/gVvL7CM

▼140文字ブリーフィング:
ELLEの名物編集長、ジャン=ドミニク・ボービーは、
43歳の働き盛りで脳溢血になり、脳幹にダメージを受け、
「左目のまばたき」以外のすべての随意筋運動を奪われます。
「先月観た映画」でも紹介しましたが、
映画を観て原作を読みたくなり手に取りました。
本は短いですが簡潔かつ詩的です。
タイトルの「潜水服」というのは、
「自分の自我が閉じ込められた鉛のような自らの肉体」を意味し、
「蝶」は、それでも飛翔することを辞めない想像力を意味します。
重い話題のなかにもユーモアと皮肉を失わない、
フランス人のしなやかさを感じ、
この本が世界中で売れるのが分かります。
著者はなんと20万回ものまばたきを行いこの本を「執筆」しました。
本が出版されて2日後に彼は亡くなりましたが、
彼の言葉は蝶のように自由に世界中を飛び回り、
人々に勇気を与えたのです。
この本は翻訳者による「あとがき」も秀逸です。
なぜ健常者である読者がこの本を読みここまで魂を揺さぶられるのか、
について訳者はこう分析しています。
それは、現代人は身体は何一つ不自由なくても、
精神はまるで潜水服を着たように重く水中に沈み自由を奪われている。
身体は鉛だが想像力が蝶のようなボビーと、
身体は自由だが想像力は鉛のような現代人は、
ある種の反転関係にあり、
それが人々の琴線に触れるのではないだろうかと。
卓見だな、と思いました。(573文字)





●還れぬ家

読了した日:2017年3月26日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 佐伯一麦
出版年:2013年
出版社:新潮文庫

リンク: http://amzn.asia/9pVfCPc

▼140文字ブリーフィング:
義理の兄にEvernoteチャットで勧められて手に取りました。
50代の夫婦が80代の認知症の父親を介護する、
という平凡な話を、これでもかというぐらい、
平凡な文体で綴った、「私小説」です。
驚くほど何も起こらず、一歩間違えばただの日記です。
「文体の濃度」でいうと、「お粥」を通り越し、
「重湯」、いや、「重湯をさらに水で薄めたもの」という感じ。
こういうのを「成立」させるのは読み手が思う以上に、
難しいんだろうな、と想像しながら読みました。
連載途中に東日本大震災が起こります。
著者は仙台の人ですから、そこで突然、
時間の断絶が起こり私小説から、著者自身の話に切り替わります。
淡白な文体が逆に震災時の異常事態を引き立たせます。
著者が実家の母の安否を気遣い東京と仙台を往復するシーンは、
「既視感」をおぼえました。
震災直後、私も福島の磐梯山サービスエリアをよく利用しました。
そこで自衛隊の一団に会い、また、
「たった今、いわきの体育館で遺族の顔を見てきた」という、
福島県浜通りの出身者とも立ち話をしたのを記憶しています。
「起こったことを澄んだレンズで文章にする」
という技術をこの作家は持っています。
こういうのの良さは年を経ないと分からないので、
20代の読者はほとんどいないと推察します。
(534文字)





●世界史を動かした思想家たちの格闘

読了した日:2017年3月26日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 茂木誠
出版年:2015年
出版社: 大和書房

リンク: http://amzn.asia/59HjCGA

▼140文字ブリーフィング:
この著者の「ニュースのなぜ?は世界史に学べ」が、
非常に良かったので別の本を手に取りました。
「ニュースのなぜ?、、、」ほどではありませんが良い本でした。
とくにデカルトの合理論(仏)VSバークリーの経験論(英)の、
総合と折衷を試みたのがドイツのインマニュエル・カントである、
という整理の仕方は参考になりました。
養老孟司はこれを「脳の機能」に還元していて、
デカルト的な合理論は脳(神経)の中枢系(大脳新皮質)の作用、
バークリー的な経験論は脳(神経)の末梢系(感覚器系)の作用、
という風に整理しています。
とするとカントは、「神経系の働き全体」について語ろうとした、
という帰結になります。(289文字)






●嫉妬の世界史

読了した日:2017年3月26日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 山内昌之
出版年:2004年
出版社: 新潮社

リンク: http://amzn.asia/9nvILVZ

▼140文字ブリーフィング:
佐藤優氏の「嫉妬と自己愛」で、
強烈に勧められていて読みたくなりました。
この本を読むと、「世界史」という理性と政治力学の物語が、
「男の嫉妬」という非常に情念的な要素に左右されていることが分かります。
小平(とうしょうへい)に嫉妬した毛沢東、
トロツキーに嫉妬したスターリン、
天才・石原莞爾に嫉妬した努力型秀才・東条英機、
同業他社の嫉妬を買い役人にいじめられた星一(星新一の父)、
西郷隆盛に嫉妬した島津久光、
軍事の天才ポンペイウスに嫉妬したカエサルなどなど。
そして関ヶ原も、秀吉の寵愛を受けた石田三成への嫉妬を、
徳川家康がたきつけて反対軍を作ったという力学があります。
有能な人はどうしたって嫉妬を買います。
それは避けられない。
大事なのは「言葉で嫉妬心を刺激しないこと」
というのがこの本の教訓です。
有能でない私には無縁ですが笑。
しかし、佐藤氏も指摘するように、
「自分は嫉妬の感情が希薄だ」と思っている人ほど、
嫉妬の罠に捕らわれやすい、というのはなるほどと思いました。
嫉妬の感情が希薄な人というのは、
自分が他者に嫉妬することがないから、
他者が自分に嫉妬する、という気持ちが分からない。
だから無自覚に他者のコンプレックスや、
嫉妬を刺激してしまうようなことをしたり、
「嫉妬を避けよう」というリスク管理が甘かったりする、というのです。
確かにそういうところはあるなぁ、
と自分の周囲を見渡しても納得します。
(593文字)





●センス・オブ・ワンダーを探して

読了した日:2017年3月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 阿川佐和子 福岡伸一
出版年:2011年
出版社: 大和書房

リンク: http://amzn.asia/4dv6YBL

▼140文字ブリーフィング:
福岡伸一さんはちょっと養老孟司の後継者みたいなところがあり、
「生命というものを機械みたいに語るな」という、
西洋的合理主義に対するアンチテーゼを唱えている人です。
阿川佐和子さんは皆さんご存じの通り、
父親が有名な作家で、卓越した「インタビュアー」でもあります。
「センス・オブ・ワンダー」というのは先週ブリーフィングしましたとおり、
元ネタは「沈黙の春」のレイチェル・カーソンです。
福岡教授の村上春樹の読解「リトルピープルはゲノムの比喩」というのは、
非常にユニークな読み方で魅了されました。(241文字)






●国家と人生 寛容と多元主義が世界を変える

読了した日:2017年3月28日 途中とばし読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 竹村健一 佐藤優
出版年:2007年
出版社: 太陽企画出版

リンク: http://amzn.asia/8BgQh3x

▼140文字ブリーフィング:
この本は実は2012年に購入して読んでいた、というのが、
Amazonの購入履歴から分かりましたが、
図書館で借りてしまったので再読しました(笑)。
私は読み終わった本は基本的に片っ端から売っていきますので、
時々こういうことが起こります。
再読の良い点のひとつは、「数年前は難しいと感じた本が簡単に感じる」
ということです。自分の知的体力の向上を実感できます。
この本の内容については多岐にわたりますので割愛(笑)!
(202文字)





●リバース

読了した日:2017年3月30日
読んだ方法:友人がプレゼントしてくれた

著者:湊かなえ
出版年:2015年
出版社:講談社文庫

リンク: http://amzn.asia/j4hhejN

▼140文字ブリーフィング:
友人が私に別のものを郵送するついでに
「今何か読みたい本ある?」と尋ねてくれたので、
この本をリクエストしたら次の日にメール便で贈呈してくれました。
この手の本は図書館で予約待ちが多いので、
読みたいときは購入することも多いので本当にありがたい。
湊かなえは映画化もされた「告白」が有名ですが、
この本は「グロテスクなドロドロ」がなく、
ミステリー要素は残しつつの、さわやかな読後感です。
(187文字)





●僕が落語家になった理由

読了した日:2017年3月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:月亭方正
出版年:2013年
出版社:アスペクト

リンク: http://amzn.asia/2cB93sO

▼140文字ブリーフィング:
私は月亭方正(山崎邦正)が昔から好きです。
「ガキの使い」において、じつは方正は、
他者が思っている以上に重要な役割を果たしている、
というのが私の見解です。
それはかつて「内村プロデュース」において、
ふかわりょうが重要だったのと同じであり、
ONE PIECEにおいて、ウソップが重要なのと同じです。
彼らは神話論でいう「トリックスター」なのです。
、、、で、この本に関して言えば、「とても面白かった。」
「文体は思想そのものだ」と佐藤優氏がよく言っていますが、
月亭方正の文体からは、彼の「素直な人柄」がにじみ出ていて、
これまで以上に彼のファンになりました。
(270文字)







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陣内が先週読んだ本 2017年3月第四週 嫉妬と自己愛 他6冊

2017.09.21 Thursday

+++vol.006 2017年3月28日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年3月第四週 3月19日〜25日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●嫉妬と自己愛

読了した日:2017年3月19日
読んだ方法:Amazonで書籍購入

著者:佐藤優
出版年:2017年
出版社:中公新書

リンク:http://amzn.asia/77EROgH

▼140文字ブリーフィング:
佐藤氏はマルクスや神学や外交(とくにロシア)が専門分野ですから、
この本のテーマは彼の著作のなかでは「異色」です。
佐藤氏は多くの編集者と付き合う中で、
今の若い世代を読み解くのに「歪んだ自己愛」というのが鍵である、
と直観するようになります。
かつては「嫉妬」が大きなテーマだったのが、
35歳以下の人で特に顕著だが、「嫉妬」の感情が薄く、
「自己愛」の感情が強い。
「自信がないけど、プライドが高い」というタイプ。
だから負けるリスクのある「戦い」に参加せず、
「オレはまだ本気出してないだけ」と言い続けるタイプ。
こういうタイプが今の若い世代に増えてきている。
佐藤さんと精神科医の斎藤環さんの対談部分を引用します。
→P112 
〈佐藤:ですから、「嫉妬」というテーマを投げても、
    特に今の35歳以下の世代には全然響きません。
    ところが「自己愛」に話を向けると、
    身を乗り出してくるようなところがある。
    この響き方の違いに、すごく関心があるのです。
 斎藤:よく分かります。
    やはり、自分より遙かに高い人を目標にして、
    そこまで行きたい、という願望を
    あまり抱かなくなっているのでしょうね。
    かわりに、歪んだ自己愛、
    羨望の方向にシフトしているのかも知れません。
    、、、
    今の若者たちは、そもそも自己実現したいと思わない。
    「自己実現に足る社会がどこにあるの?」
    という意識でいるわけです。
    そんなことより「仲間」に認められていることの方が、
    よっぽど大切なのです。
 佐藤:自己実現を喪失し、承認欲求、
    しかもバーチャルなそれが肥大化していく。
    そのステージで、いびつな自己愛が
    温存され増殖されているわけですね。〉

佐藤さんは、「自分は歪んだ自己愛にとらわれているかどうか?」は、
「親友がいるかどうか」つまり、
「三つの愛(アガペ・エロス・フィリア)」のうち、
フィリアを醸成できているかどうかで自己診断可能だ、と言います。
以下が私の要約です。

「自己愛は『フィリア』で診断できる。
 自分の自己愛が歪んでいないかどうかは、
 自分の中を見つめても分からない。
『自分には腹を割って何でも話せる親友がいるか』
 と問えば分かる。
親なら何でも話せる、恋人なら何でも話せる、は駄目。
それはアガペとエロスだから。
あくまで健全な自己愛の診断
『自分を大事に思っているように
 相手も大事に思うという健全な想像力』
はフィリアで診断すべし、ということになる。

私がこれに付け加えるなら、
「自分に苦言を呈してくれるような親友がいるか」
と付け加えます。
「ウチらわ永遠に親友」といつも確認し合うような関係は、
共依存関係であって親友とは呼べません。(1,068)

(また極端な文字数オーバーしました、すみません汗)




●蘇える変態

読了した日:2017年3月19日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:星野源
出版年:2014年
出版社:マガジンハウス

リンク: http://amzn.asia/c8gB5vX

▼140文字ブリーフィング:
「星野源のエッセイ、おもしろいよ」と、
友人から教えてもらい手に取りました。
例の「恋ダンス」のドラマは1分たりとも見たことないのですが、
彼が出ている映画を観て演技は嫌いじゃないと思いました。
彼はくも膜下出血という大病を患ったこともあり、この本には、
その経緯も書かれています。
「さくさくと読めるポップコーンのような軽い文体」というのは、
読み手が感じる何倍も、書くのが難しいのは私も経験から知っています。
彼は非常にそれが上手です。
「軽い文章」を、私もまたいつか書きたくなりました。
(236文字)





●信仰が人を殺すとき(上)

読了した日:2017年3月19日 後半とばし読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者:ジョン・クラカワー
出版年:2014年
出版社: 河出文庫

リンク: http://amzn.asia/fFqkzGR

▼140文字ブリーフィング:
モルモン原理主義者が、
「兄弟の妻とその子どもを殺すように」
という「神の啓示」をうけ、実際に殺した、
という事件は全米を震撼させました。
クラカワーというジャーナリストは、
この事件が「なぜ」起きたのかを分析するために、
モルモン教の創始者、ジョゼフ・スミスの物語から、
その後さまざまな形で派生する「モルモン原理主義」を追います。
この書き手は話が飛ぶ癖があり、「幹」を捉えるのが難しいです。
内容は非常に興味深いのですが、(下)を読むのは諦めました(笑)。
(221文字)





●養老孟司の人生論

読了した日:2017年3月19日
読んだ方法:図書館で借りる

著者: 養老孟司
出版年:2016年
出版社: PHP研究所

リンク: http://amzn.asia/bppNz2D

▼140文字ブリーフィング:
10年以上前に発刊された本をタイトルを変えて再版したものです。
なので私は10年ぶりに同じ本を読んだ、ということになる笑。
しかし、初めて読むかのように新鮮に、
「目から鱗」が落ちまくりでした。
どんだけ厚い鱗におおわれているんだ、という(笑)。
今回この本で私がハイライトしたひとつは、
「対象と方法」のどちらを選択するか、と言う話でした。

→P132 
〈いわゆる常識では「その人が選ぶのは対象だ」
 と思っているわけです。私はそうではなくて、
 自分が選ぶのは方法だと決めた。
 、、、これはじつは、人生の何事にも通じる話でしょ。
 嫁さんをもらうんだって、同じ事じゃないですか。
 だれに決めるかって、ふつうは考えるけど、
 どうやって決めるかってこともある。
 「だれ」は対象ですが、「どうやって」は方法です。
 、、、いまの人は対象を選ぶことこそが、
 自分の選択だと思い込みすぎてるんじゃないですか。
 それを「方法」だと考えてみると、
 対象に関する「うるささ」が減ります。
 仕事でもそうでしょ。
 問題は仕事という対象そのものじゃありません。
 「仕事をどうやるか」、つまり仕事から自分が何を得てくるかでしょ。
 「給料に決まってるじゃないか」。すぐそう思っちゃう。
 秀吉の草履(ぞうり)取りの話があるじゃないですか。
 どんな仕事であれ、そこから自分が得るものがどれだけあるか、
 それが重要なんです。〉

養老さんはここで、「誰と結婚するか」を選ぶことも良いが、
「どういう基準、方法で、結婚相手を選ぶか」を選ぶ、
という選び方もある、と言っている。
「何を仕事にするか」を選ぶことも良いが、
「仕事をどんな風にするか」ということを選ぶ、
という選び方もある、と言っている。

対象を選択だと思うとずいぶん不自由になるところがあります。
「どのパソコンにしよう」と思い悩むのも大切ですが、
「そのパソコンでどんな仕事をするか」がもっと大事なのです。
結婚も仕事も教会も友人も、おおよそあらゆることにこの、
「方法と対象、どちらを選ぶか」の話は適用可能です。
(833文字)





●蛇行する月

読了した日:2017年3月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:桜木紫乃
出版年:2013年
出版社:双葉社

リンク: http://amzn.asia/16xPk0i

▼140文字ブリーフィング:
友人を通して知りました。
釧路出身の女性作家で、この作品も釧路が舞台です。
私は帯広に6年住んでいましたので、
「道東の息苦しい雰囲気」が、
よく捉えられてるなぁ、と思いました。
女性の行き詰まりや迷いがテーマの「ウェットな」作品で、
湊かなえや桐生夏生といった作家が好きな人は、
きっと好きです。(142文字)





●センス・オブ・ワンダー

読了した日:2017年3月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:レイチェル・カーソン
出版年:1965年(英語初版)
出版社:新潮社

リンク: http://amzn.asia/gib1RgS

▼140文字ブリーフィング:
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は60年代に出版され、
DDT農薬の被害を告発し、その後の「環境保護運動」の、
はしりとなった本です。
池上彰の本の中で、聖書、コーラン、資本論などとともに、
「世界を変えた10冊の本」に数えられています。
そのカーソンが最晩年の「遺稿」として残したのが、
遺児となった甥っ子に捧げた本書。
「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性」が、
子どものその後の人間としての知的発達の「種」になる。
その「種」を育てるには、一人で良いので、子どものそばで、
子どもと一緒に、星のきらめき、風のささやき、草木の色、
虫の不思議さ、そういったものに、「一緒に驚いてあげる」大人が必要、
とカーソンは言います。
「星というのは太陽の光を反射する惑星と、
 自分で光を発する恒星があり、、、」
などという「うんちく」は必要ないのです。
「わぁ!すごい!!」という「感動」があれば、
その「センス・オブ・ワンダー」が、
知的好奇心の「種」になる。
その種さえあれば、彼はその後の人生で、
さまざまなことを自力で学び取っていくでしょう。
人生賛歌としても読めますし、
自然主義者の本としても読めますが、
この本は「最良の教育書」としても解読可能です。
手もとに置いておいて損はない本です。
(536文字)

参考:
▼「世界を変えた10冊の本」池上彰
http://amzn.asia/4xamZpL





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陣内が先週読んだ本 2017年3月第三週 ビギナーズ「資本論」 他3冊

2017.09.14 Thursday

+++vol.005 2017年3月21日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年3月第三週 3月12日〜18日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。




●ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ

読了した日:2017年3月16日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:茂木誠
出版年:2015年
出版社:SB新書

リンク: http://amzn.asia/2w7QJhU

▼140文字ブリーフィング:
良書です。
何度説明を聞いても次の日には分からなくなる、
イスラム教のスンナ派とシーア派の違いについて、
非常にわかりやすく解説されている。
イスラエルVSスンナ派のヒズボラ
イスラエルVSシーア派のハマスという構図、
スンナ派はアルカイダ、ISとつながりがあり、
シーア派はイランとつながりがある。
スンナ派は教典至上主義でキリスト教だとプロテスタント右派に近い。
シーア派は血族主義でイコン(偶像)も容認するカトリックに近い。
両者は犬猿の仲だから、オバマ大統領がイランを利用して、
スンナ派のISを押さえ込もうとしたことはイスラエルの逆鱗に触れ、
米国とイスラエルの関係はかつてないほど悪くなっている、
という骨子に、サウジ、ロシアなどが肉付けされていきますが、
いままでに聞いたどんな説明よりも中東情勢はわかりやすかったです。
また、ロシアのクリミア併合、アメリカにおけるユダヤ人の地位とその意味、
東アジアをめぐる情勢など、大づかみに説明するのが非常に上手な人です。
この著者は今後も注目していこうと思いました。(444文字)




●ビギナーズ「資本論」

読了した日:2017年3月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マイケル・ウェイン
出版年:2014年
出版社:ちくま学芸文庫

リンク:http://amzn.asia/4dLi90G

▼140文字ブリーフィング:
友人に勧められて手に取りました。
これも良書です。
解説を読んで、マイケル・ウェインという人は、
イギリスの池上彰みたいな人だと思いました。
「知識人の仲間内のサークルとしての教養」ではなく、
「一般の人々の教養のレベルを底上げする」という志を持ち、
彼は自分で出版社を立ち上げ、古典的な名著を、
素人にもわかりやすく解説する「ビギナーズ」シリーズを、
次々と刊行していったそうです。
ビギナーズ「資本論」は、難しい言葉を使わず、
「資本論」の本質について説明してくれます。
ウェイン氏は資本論のすごさは、
それが「内在的批判」というヘーゲル弁証法の方法論を使っているからだ、
と言っていたのがもっとも心に残りました。

マルクスは「経済学批判要綱」に、こう書いています。
→P254
〈もしわれわれが現行の社会の中に階級なき社会を実現するための
・・・条件が隠れていることを見ないならば、
現状を破壊するあらゆる試みはドンキホーテ的行為にすぎない。
・・・資本自身によって歴史的発展の中で実現された生産力の発展は、
ある一点に達すると、資本の自己増殖を促すかわりに、それを停止させる。
ある一点を越すと、生産力の発展は資本に対する障害物と化す。
すなわち、資本関係が、労働生産性の発展に対する障害物となるのだ。
・・・社会の生産力の発展と従来の生産関係の間の矛盾が次第に拡大し、
それが鋭い矛盾として、恐慌として、闘争として表面化する。
外的状況によってではなく、資本の自己保存の条件として生じる
この資本の暴力的破壊こそは、資本に、そろそろ退場して、
もっと高度な段階の社会的生産に席を譲るようにとアドヴァイスを与える、
もっとも衝撃的な形態である。〉

マルクスは、「外的な批判」つまり、
「体制批判」のような「外在的な希望の源泉」からは何も生まれない、
と言っているわけです(P253)。

マルクスは資本主義という「体系」を分析し、
その内部に生じる矛盾をあぶり出し、検討を加え、
思考を広げる。そうすると次の矛盾が出てくる、、、
と言うぐあいに、資本主義というものを、
「内在的に批判」するのです。

(ちなみに付言すると「批判(critic)」を、
 日本人は「否定」と混同することが多いのですが、
 批判は否定ではなく、「分析」という言葉に近く、
 価値判断を伴うものではありません。)

芋虫が木を内側から食っていくと、
大木が倒れるように、
マルクスが「批判」を終えたころには、
資本主義という大木が倒壊するのです。

この引用によればマルクスは「資本主義・ハンターイ!」
という国会前デモをするというようなアプローチを軽蔑します。
むしろ「資本主義とは何だろう」と真摯に向き合い、
その内部から「批判」していく。
その積み重ねが内側からその体系を変容させてしまう。

そういう「内在的批判」をしているのが「資本論」です。
この手法はじつは、あらゆることに役立ちます。
外在的批判、つまり、
「○○ハンターイ!」には社会を変える力はありません。
「反体制」に人々が失望している理由はここにあります。

「原発ハンターイ!」からは何も生まれないのです。
原発に対する内在的批判をするには、
いったん「内部の技術者」の視点に立ち、
その利点と共に構造的矛盾を探す必要があります。

「戦争ハンターイ!」からは何も生まれません。
戦争に対する内在的批判をするには、
「自分が外交官で、今の局面について首相を補佐する立場だったら?」
「自分が自衛官だったら?」
「自分が米軍基地のジェネラルだったら?」
「自分が習近平だったら?」
という内部の視点をいったん持つ必要があります。
そのうえで力の均衡による外交を、
世界史的なスケールで考えなければなりません。

体制を否定し続けても、
それは親のすねをかじりながら
親父の悪口を言う少年と変わらない。

むしろ「自分が体制の一員だったら、どう考えるだろう?
何をするだろう?何をなしえるだろう?」
と徹底的に考えます。
芋虫が木を食べるようにそれをするのです。
そうすると、あなたが食べ終わったときには、
その「体制」は変えられている。
それが「内在的批判」であり、社会を変えていく力です。

これは教会にも学校にも企業にも地域社会にも、
敷衍して適用できる「手法」ですので、
覚えておいて損はないです。(1737文字)





●知の仕事術

読了した日:2017年3月18日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 池澤夏樹
出版年:2017年
出版社: 集英社インターナショナル新書

リンク: http://amzn.asia/8wnjMW6

▼140文字ブリーフィング:
これもEvernoteでチャットしていて友人が読んでいて、
「面白そう」と思い手に取りました。
著者は芥川賞作家であり、札幌在住の「文筆家」です。
作家である彼が「自分の厨房を見せる料理人」や、
「自分のネタ帳を開陳する芸人」よろしく、
企業秘密であるはずの知的生産の手法を開示しています。
その背景には、日に日に色濃くなっていく
日本社会の「反知性主義」への著者の危機感があります。
私もその危機感を著者と共有しています。
具体的に私が著者の手法から学んだこととしては、
書くものを「電源のいらないハードディスク」であるA4用紙に
ペンでメモをして構想する、という手法は真似してみたいと思いましたし、
書くことは思考そのものであり、
最大の着想源は書いている間だ、というのは私も感覚がわかり、
共感しました。(341文字)






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陣内が先週読んだ本2017年3月第二週 騎士団長殺し 他4冊

2017.09.07 Thursday

+++vol.004 2017年3月14日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年3月第二週 3月5日〜11日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●騎士団長殺し 第一部 顕れるイデア編

読了した日:2017年3月5日
読んだ方法: Amazonで予約注文して購入

著者: 村上春樹
出版年:2017年
出版社: 新潮社

リンク: http://amzn.asia/hpf0aYX

▼140文字ブリーフィング:
2009年の「1Q84」以来、
8年ぶりの村上春樹の長編書き下ろしです。
私は彼の書いたものはエッセイなども含め9割方読んでいますから、
村上春樹の「ファン」と言っても良いと思います。
彼の物語のモチーフのうちの大きな一つは、
「父なきポストモダンの世界で、人はどのように生きられるか」
という問いだと思います。
村上春樹の長編に唯一の欠点があるとしたら、
面白すぎてこれを読んでいる間他のものが読めない、
ということでしょうか。
物語にドライブ感があり、文体は技巧を押さえてますます透明になり、
お酒でいうところの「水のような口当たりの日本酒」のような感じ。
文章の巧さはすごいところまで行っており、
それだけで読む価値があります。
(304文字)




●アップルを創った怪物

読了した日:2017年3月5日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:スティーブ・ウォズニアック
出版年:2008年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:http://amzn.asia/3cR1Rs5

▼140文字ブリーフィング:
先月、伝記「スティーブ・ジョブズ1・2」を読んだことで、
俄然「アップルのもうひとりの生みの親」である、
スティーブ・ウォズニアックに興味が出てきて、
彼の自伝を手に取りました。
彼は何から何までジョブズと対照的な人間で、「超良い奴」です。
彼の「ファン」には熱狂的な心酔者が多いというのもうなずけます。
アップルが革新的な企業であると同時に「楽しい」企業である、
というのは、彼に負うところが大きいと思われます。
彼は若いころ儲けを山分けするという約束をしたジョブズに嘘をつかれ、
本来の報酬を受け取れなかったことがありました。
そのときのことを回顧する彼の語りに、すべてが凝縮されていますので、
以下に引用します。

→P198
〈そう言えば、ちょっと変な話なんだけど、
 最終的にアップル1ボードになるものを作り始めたころ、
 同じ日に死ぬ二人の男のことが頭に浮かんだ。
 片方は成功者。会社を経営し、いつも目標の売り上げを達成し、
 利益を出し続けるんだ。
 もう一人はのらりくらりとしてて、お金もあんまり持っていない。
 ジョークが好きで、世の中で面白いと思うこと、
 変わった装置とかテクノロジーとか、なんかかんかを追っかけ、
 ただただ笑って人生を過ごすんだ。
 物事をコントロールする人より、
 笑って過ごす人の方が幸せだって、ぼくは思う。
 それが僕の考え方なんだ。
 僕は、人生で一番大事なのは幸せであり、
 どれだけ笑って過ごせるかだと思うんだ。
 頭がちょっとイカれたようなヤツのほうが幸せなんだ。
 僕はそういう人間だし、そうなりたいとずっと思ってきた。
 だから「ブレイクアウト」で起こったこと
 (注:報酬ごまかし事件)なんかも、
 気にせずに来た。もちろん、違う考え方もあるし、
 あの時、関係を断ってしまうという考え方だってある。
 でも、だからといって相手を非難しなくても良いと思う。
 みんな違うんだ。
 そう思って暮らすのが一番いいし、幸せになれる方法だとぼくは思う。
 僕は、スティーブと一緒にアップルを創設する前から、
 こんな風に考えていた。〉
(833文字)





●本を読む本

読了した日:2017年3月5日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:M.J.アドラー C.V.ドーレン
出版年:1997年(英語初版1940年)
出版社:講談社学術文庫

リンク: http://amzn.asia/9I6fUNj

▼140文字ブリーフィング:
英語初版はなんと1940年!
日本で言うところの戦前に出版された本です。
読書に関する本で頻繁に引用される古典的な書籍です。
第一段階:初級読書 
第二段階:点検読書 
第三段階:分析読書 
第四段階:シントピカル読書
という風に、「読む」ことが段階的、体系的にまとめられており、
非常にロジカルに整理されています。
「読者として成長するためには、自分の力以上の本を読まねばならない」
というくだりが心に残ったので引用します。
→P247 
〈優れた読者になるためには、本にせよ、論文にせよ、
 無差別に読んでいたのではいけない。
 楽に読める本ばかり読んでいたのでは、読者としては成長しないだろう。
 自分の力以上の難解な本に取り組まねばならない。
 こういう本こそ読者の心を広く豊かにしてくれるのである。
 心が豊かにならなければ学んだとは言えない。〉
(352文字)





●騎士団長殺し 第二部 遷ろうメタファー編

読了した日:2017年3月7日
読んだ方法:Amazonで予約注文して購入

著者:村上春樹
出版年:2017年
出版社:新潮社

リンク: http://amzn.asia/2ijdl2x

▼140文字ブリーフィング:
ちょっとずつ楽しみながら読もうと思っていたのですが、
結局すべて読んでしまいました(笑)
「1Q84」のときと同じで、第三部(以降?)も続きます。
村上春樹がミュージシャンだとしたら、この作品はなんとなく、
「ベストアルバム」みたいな様相を呈していると感じました。
『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくる五反田君に似た人が出てきます。
『ねじまき鳥クロニクル』の「ノモンハン事件」にあたるトラウマも、
それからワタヤノボルという「邪悪なるもの」にあたる人物も、
『1Q84』に出てくる天吾と認知症の父親のドッペルゲンガーとの邂逅、
さらに「ふかえり」に非常によく似た「巫女」の役割を果たす10代の少女、
さらに、「イデア」である騎士団長は「リトル・ピープル」と重なります。
分かる人には分かるけど、分からない人にはまったく分からない説明で、
どうもすみません。
村上春樹をけっこう読んでいる、という人といつか語り合いたいです。
(395文字)







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陣内が先週読んだ本2017年3月第一週 キリスト教の主要著作 他6冊

2017.08.31 Thursday

+++vol.003 2017年3月7日配信号+++


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年3月第一週 2月26日〜3月4日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
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●スティーブ・ジョブズ 2

読了した日:2017年2月26日
読んだ方法:ブックオフで中古書籍購入

著者:ウォルター・アイザックソン
出版年:2011年
出版社:講談社

リンク: http://amzn.asia/7545Ixc

▼140文字ブリーフィング:
非常に面白く、最後は「読み終わるのがもったいない」
と思いながらページをめくりました。
日本の伝記って、故人を神格化してしまうようなところがありますが、
欧米の伝記はわりとそういうところがないのも好きです。
著者のアイザックソンが、
「この伝記にはあなたが怒るような嫌なことも書いている」、
と告げるとジョブズはこう答えます。
「それは良かった。
それなら社内で作った社長礼賛本みたいになる心配はないな。
かっかするのは嫌だから、当分、読むのはやめておくよ。
読むのは1年後ぐらいかなーーそのころまだ生きていたらね」

このときジョブズは癌の末期で体重は30キロ台であり、
ジョブズが完成した伝記を生きて読むことはありませんでした。
「宇宙に衝撃を与えた」人物の「圧巻の伝記」でした。

他に書くことは山ほどありますし、
すでに140文字制限は振り切っていますが(笑)、
ひとつだけ。
ジョブズは「マーケティング」なるものを信用していません。
それを現す引用だけ載せておきます。

→P424 
〈「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。
僕の考え方は違う。顧客が今後、なにを望むようになるのか、
それを顧客本人よりも早くつかむのが僕らの仕事なんだ。
ヘンリー・フォードも似たようなことを言ったらしい。
「なにが欲しいかと顧客にたずねていたら、
『足が速い馬』と言われたはずだ」って。
欲しいモノを見せてあげなければ、みんな、
それが欲しいなんて分からないんだ。
だから市場調査に頼らない。
歴史のページにまだ書かれていないことを
読み取るのが僕らの仕事なんだ。〉

人々は自分が何を欲しているか、
本当には分かっていない、という本質を捉えていた彼は、
論理や分析的な能力よりも直観が卓越した「天才」であることは、
間違いないでしょう。
(731文字)





●「強すぎる自民党」の病理

読了した日:2017年2月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:池田信夫
出版年:2016年
出版社:PHP新書

リンク: http://amzn.asia/hn9JWwe

▼140文字ブリーフィング:
この本で著者が言いたいことは、
「はじめに」で言い尽くされてますから、
その部分を引用します。
→P3-4
〈(ろくな政策もない自民党が強い)もう一つの答えは、
自民党が増税など有権者の嫌がる政策をすべて先送りし、
財政や社会保障などの厄介な問題にまったく触れないことだ。
2017年4月に予定されていた消費税の増税は再延期されたが、
高齢化は急速に進み、将来世代に莫大な負担が転嫁され、
最悪の場合は財政が破綻する。
ところが与野党共に、財政にも社会保障にも全く触れない。
投票者の多数派が社会保障の受益者である老人だからである。
このような老人支配を「シルバー民主主義」と呼ぶが、
このように社会保障が争点にさえならない状態では、
国民に選択肢がなく、民主主義は機能しない。〉

池田氏は現在の日本の政治を、
「老人の老人による老人のための政治」と呼びます。
小選挙区がそれを助長しています。
これ以上「孫世代」を追い込まないためには、
選挙制度の大胆な改革が必要ですが、
それもまた既得権に切り込むことなので、
しばらくは誰もしようとしないでしょう。
(456文字)





●逆説の軍事論 

読了した日:2017年2月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 富澤暉
出版年:2015年
出版社: バジリコ

リンク: http://amzn.asia/68fXxJk

▼140文字ブリーフィング:
著者は元陸上自衛隊幕僚長の軍人です。
戦争の古典、クラウゼヴィッツの「戦争論」に、
「戦争は他の手段をもってする政策の継続に過ぎない」
という有名な一節があります。
現在の国際社会を巡る状況を考えたとき、
一国平和主義は現実的と言えず、
安保法制はきわめて常識的な判断だった、
と著者は言いますが、私もおおむね同意します。
武力行使はないほうが良いのは当然ですが、
それがなくても人類社会が機能すると考えることは、
人間の理性の過信であり、人間の欠陥や歴史を無視する態度です。
かといって、右派の人のいうような「武力があれば安全」、
「9条がなくなれば安全」というのもまた、思考停止であり、
非常に危険だと多くの軍事や外交のプロが指摘していますが、
著者も同じ事を言っています。
現代の日本は右も左も両方平和ボケだ、というのがよく分かります。
(356文字)






●キリスト教神学の主要著作

読了した日:2017年3月1日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: R.A.クライン/C.ボルケ/M.ヴェンテ
出版年:2013年
出版社: 教文館

リンク: http://amzn.asia/2NzLIJN

▼140文字ブリーフィング:
サブタイトルは「オリゲネスからモルトマンまで」。
1世紀から20世紀までの、18人の「神学の大家」の、
主要著作をそれぞれ要約説明する、という分厚いハードカバーです。
アウグスティヌス、ルター、カルヴァン、バルト、
ボンヘッファー、シュライエルマッハーなどそうそうたる面々。
神学の2000年間の歴史には大きな「転回点」がいくつかありました。
「この転回点を知らない者は、現代の神学的討論に加わることが出来ない。」
とまえがきに書いていますが、それはそのとおりで、
あらゆる学問が過去の積み上げであり、私たちは、
「巨人の肩に乗って風景を見ている」のです。
その「巨人」の概要を知る一助として、本書は優れた資料です。
(298文字)






●「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜

読了した日:2017年3月1日 途中速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:早川タダノリ
出版年:2016年
出版社:青弓社

リンク: http://amzn.asia/awFS6NU

▼140文字ブリーフィング:
この数年「日本人ってスゴイ」「世界が驚嘆した日本の○○」
みたいなテレビ番組や書籍の多さに、私は胸やけがしていました。
それとセットで「韓国はこんなにひどい」「中国の愚劣さ」みたいな、
隣国を賤しめる内容の書籍がセットだったりする。
こういうのを世間では「夜郎自大」と言い、
誉められた態度ではありませんし、
私はそこに腐敗臭と悪趣味を感じ取ります。
、、著者は、この「現象」は実は「デジャヴ」で、
それは満州事変以降、日本が太平洋戦争に突き進んだときに、
まったく同じ事が出版界で起きていた、と指摘します。
新潮社「日の出」(1933年)はその「はしり」ですが、
ここに登場する「日本の偉大さ」ネタを観察すると、
1.立派な日本人(個人)のエピソード
2.海外で活躍する日本人(個人)のエピソード
3.日本の美術工芸品や工業製品についての海外からの称賛
4.日本人は肉体的にも西洋人(白人)に劣っていないことを「証明」
5.日本が持っている世界一の記録集
に分類されるそうです。
現代の日本で流行している構文とあまりに似通っていて、
背筋が寒くなります。
これが何かの悪い予兆でないといいのですが、、、。
(483文字)






●荒野へ

読了した日:2017年3月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ジョン・クラカワー
出版年:2007年
出版社:集英社文庫

リンク:http://amzn.asia/feRWeS8

▼140文字ブリーフィング:
今週の140文字映画評論で紹介した「イントゥ・ザ・ワイルド」の、
原作書籍です。
あまり良い翻訳でなかったということを差し引いたとしても、
書籍よりも映画のほうが数倍良かったです。
アラスカで死んだマッカンドレスの足跡を追っていくのですが、
過去にこんな冒険者もいた、などのサイドトラックが過剰で、
物語に集中できませんでした。
(158文字)






●森の生活 ウォールデン (下)ヘンリー・ソロー

読了した日:2017年3月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ヘンリー・ソロー
出版年:1854年
出版社:岩波文庫

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▼140文字ブリーフィング:
この本が書かれたときソローは変わり者としてほとんど無視されましたが、
20世紀になって突如注目を集めます。
「あとがき」で知りましたが、ソローの「市民の反抗」という文章は、
20世紀のガンジーやマーチン・ルーサー・キングなどの市民運動家の、
論理的支柱として愛読されたそうです。
→P294
〈われわれの眼をくらます光は、われわれにとっては暗闇である。
 われわれが目覚める日だけが夜明けを迎えるのだ。
 新たな夜明けが訪れようとしている。〉
という終盤のこの文章は、「啓蒙こそ暗闇であり、
太陽の光こそ本当の光だ」という、近代批判にもなっています。
ソローは45歳で結核で亡くなりますが、
彼もまた多くの預言者と同じく、「生まれるのが早すぎた」人です。
(313文字)







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