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陣内が先週観た映画 2019年5月 『ヘレディタリー 継承』他

2019.11.05 Tuesday

第094号   2019年6月4日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2019年5月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●風の外側

鑑賞した日:2019年5月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:奥田瑛二
主演:安藤サクラ
公開年・国:2007年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2PnQy90

▼140文字ブリーフィング:

ストーリーが散漫かつ強引で、
いまいち、乗れなかったですね。
奥田瑛二とその奥さんの安藤和津と、
娘の安藤サクラが出演していて、
奥田瑛二が監督しています。
「家族映画」ですね笑。
舞台の長崎の風景は良かったです。
(101文字)



●レディ・バード

鑑賞した日:2019年5月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレター・ガーウィグ
主演:アシーシャ・ローナン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2V4eu7A

▼140文字ブリーフィング:

思いの外面白かったです。
アメリカの女子校生の話しなのですが、
「ピアプレッシャー」の感じとか、
「親に反抗することでしか自我を確立できないもどかしさ」とか、
「本当は『クラスの二軍』だが、
イケてるグループと背伸びいて付き合う痛々しさ」など、
日本人にもよく分かる普遍的な、
「十代ならではの生乾き感」が上手に描かれていて面白かった。
主人公は「何もないサクラメント」を嫌い、
「何でもあるニューヨーク」に憧れます。
「所帯じみた母親」が嫌いで、
「何にでもなれる自分の無限の可能性」を信じます。
紙を赤く染め、親がつけた名前を嫌い、
自分のことを「レディ・バード」と呼んで、
と周囲に要求するイタさ加減。

日本だと、「自分は椎名林檎だ」と信じて疑わない、
凡庸な才能の女子校生や女子大生みたいな感じでしょうか。
ゴスロリとか着ちゃって、
下北沢とかに住んじゃう感じの。

周囲はしかし、
「化けの皮の下の凡庸さ」に気づいている。
周囲が気づいていることに、
自分だけが気づいていない。
そういう「痛々しさ」を主人公は持っています。

彼女はワガママを押し通しニューヨークに行くのですが、
そこで知るのはサクラメントの美しさと、
母親の偉大さでした、、、。

という、けっこう古典的な、
「母と娘の胸が熱くなる話し」に着地します。
だれが言ったか忘れましたが笑、
この映画のなかに登場する、
「お金は人生の成績表じゃない」というセリフは、
心に残っています。
(589文字)



●しゃぼん玉

鑑賞した日:2019年5月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:東伸児(あずま・しんじ)
主演:林遣都(はやし・けんと)、市原悦子
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2DE8qrn

▼140文字ブリーフィング:

今は亡き市原悦子の「遺作」となった映画です。
市原悦子の演技も凄いですが、
主役の林遣都が良かった。
「すごい俳優が出てきたな」と思いました。
ストーリーは、正直、私はいまいち乗れませんでした。
「教育テレビ的な良い話し」に落とすのですが、
いや、そんないい話じゃねぇよ、っというね。
「きれいごと」感がどうしても拭いきれない。

あとこの映画、
ずっとご飯がおいしそうな映画なんですよね。
映画の「フード理論」っていうのを言ってる人がいて、
映画のなかで「ご飯をおいしそうに食べる人」が出てきたら、
その人は善良な人だという「記号」なのだそうです。
あと、宮崎の風景が非常にきれいな映画でもあります。
(287文字)



●ナイト・アンド・デイ

鑑賞した日:2019年5月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェームズ・マンゴールド
主演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2IP8sB6

▼140文字ブリーフィング:

公開当時評判の良い映画だったと記憶していたので見ました。
たしかに「ハリウッド的傑作」かもしれないが、
私はまったく面白くなかったです笑。
「陣内の映画評がいつも不満」なひとは、
絶対に面白いと思うだろう作品です笑。
(104文字)



●君の膵臓をたべたい

鑑賞した日:2019年5月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:月川翔
主演:浜辺美波、北村匠海
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2V8WkRW

▼140文字ブリーフィング:

実は原作小説をKindleで買ってて、
インドにいるときに読了しました。
近くレビューします。

で、その映画化ですが、
Amazonの評価が異常に高いので興味を持って見ました。

自分の感覚を疑いたくなるぐらい、
私はまったく面白くなかったです(爆死)。
こういう「世間と自分の評価が逆」が続くと、
自分の方がおかしいのでは?
と思えてきます。
実際おかしいのでしょう笑。

でも、もう一度言いますが、
まったく面白くなかったです(即死)。

小説のほうがまだ良かった。
大事な「泣けるしかけ」みたいなのが、
小説にはあります。
(私は泣きませんでしたが)。

それが映画では大胆にカットされていて、
「そここそが小説のキモだろうがぁ!」
と、1ミリぐらい怒りました。
そもそも思い入れがないので、
怒りも小さいのだけど笑。

エンディングで流れる、
ミスチルの「himawari」だけは良いです。
映画のテーマと合っていて。
邦画のテーマ曲は今後、
全部ミスチルで良いんじゃないでしょうか(暴論)。
(417文字)



●ヘレディタリー

鑑賞した日:2019年5月8日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:アリ・アリスター
主演:トニー・コレット
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2Y0AQ6Z

▼140文字ブリーフィング:

私の私淑する映画評論家・ラッパーの宇多丸氏が、
2018年映画ランキングで、
この映画を1位にしていたので、
「そりゃ見るっしょ」ということで、
休日に観賞しました。

「ホラー映画の新たな金字塔が出来た」
と宇多丸氏は評価していましたがその評価は正統です。

度肝を抜かれましたね。
見終わった後に最悪な気分になります(褒め言葉)。

どことなくM・ナイト・シャマランの作品のような不条理性が漂います。
過去のホラー映画でやられてきた技法を備えつつ、
自分のものとして昇華し、それを一歩前に進めている感じ。
この映画の主人公(ヤバい娘を持つ母親)は、
ジオラマを作って売ることを職業にしています。
「ジオラマ作家」なのですが、
彼女はそれをすることによって、
「自分を癒そうとしている」ことが、
だんだんと分かってきます。
それは彼女の死んだ母の異常性と関係しているのですが、
まさにこれが「箱庭セラピー」です。

「ホラー映画」というのは、
「現実世界の比喩」です。
ホラー映画に登場する「この世ならぬもの」は、
この世の苦痛やスティグマや不条理やトラウマを、
比喩として具現化したものなのです。
ゾンビ映画のゾンビもそうです。
これは映画のシナリオを学んだ人なら、
常識的に知っていることだと、
町山智宏さんが言ってました(受け売り)。

、、、で、
実はこの映画自体が、
監督自身のセラピーでもある、
と監督が告白しているそうです。

具体的な内容までは言明していませんが、
アリスター監督は「自分の家族にまつわるある『トラウマ』」を、
この映画を撮影することで「昇華」させようとしたわけです。
この映画自体が「箱庭セラピーの箱庭」になっている。

そういう入れ子構造になっている作品です。

あんまり面白いんで2回見ました。
めちゃくちゃ良く出来た脚本です。
すべてのシーンに意味があり、
張り巡らされたすべての伏線が回収され、
最後は最低で最高のカタルシスを迎える。

素晴らしい映画でした。

まぁ、アマゾンレビューは低いんですけど笑。
やはり私は世間とソリが合わないみたいです。
(842文字)



●未来を花束にして

鑑賞した日:2019年5月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:サラ・ガヴロン
主演:キャリー・マリガン
公開年・国:2017年(イギリス)
リンク:
https://bre.is/_6RTqL4Xh

▼140文字ブリーフィング:

イギリスにおける、
女性の投票権獲得運動に身を投じた女性たちの話しです。
現代世界で女性に参政権がない社会といういうのは、
「まったくもって常軌を逸した社会」ですが、
比較的早かったイギリスにおいてすら、
女性参政権が認められたのは、
案外最近のことで、1918年です。
日本はちなみに1945年になってからです。

当時の(言うまでもなく全員が男性の)議会は、
女性の参政権や養育権に関する法律を握りつぶそうとします。
それに対して女性参政権を認めさせるための女性活動家たちは、
ロンドンの街で窓ガラスを割ったり、
(法律で禁止されていた!)集会・結社を作ったりして、
議会に対抗します。
(憲法に「集会・結社の自由」が書かれていることの重要性!)

映画を観れば分かりますが、
彼女らは今の定義で言うと「テロリスト」なんですよね。
現代世界では、
「テロを絶対悪」とする風潮がありますが、
実はそれって、
「ステイタス・クオ(現状の既得権)」を、
絶対肯定することであり、
「社会発展の可能性を紡ぐ閉塞」
を意味するこなのですが、
それに人々が気づいてすらいないことが問題です。

私はテロを肯定しません。
しかし、「テロ」というかたちでしか、
変わってこなかった世の中の現実があるのも事実です。
女性参政権もしかり、
黒人の権利もしかり、
インドの独立運動もしかり。

実は、みんな忘れてますが、
江戸幕府を倒した薩長の明治政府も、
あれって「無血クーデター」であり、
広義にはテロリズムですから。
松下村塾なんて、
テロリスト養成学校みたいなもんですから笑。
だから吉田松陰は獄中で処刑されたんでしょ。
彼の処刑は「老中殺害計画」がバレたことが理由ですから。

、、、その薩長政府の系譜に連なる現在の自民党が、
「テロを絶対に封じ込める」
と言っているのは、
「自らの出自を知っているがゆえの同族嫌悪」
と考えるのは穿ち過ぎでしょうか?
「泥棒の家の施錠が一番厳重だ」みたいな話しで。

何が言いたいかというと、
テロを擁護するとかそういう話しではなく、
「テロは絶対悪」みたいなかたちで、
公権力の監視機能を強めていく方に、
国民が諸手を挙げて賛成し、
それにだれひとり違和感を覚えていないとしたら、
それは「ヤバい」んじゃないの?
ということです。

この映画、面白かった。
最後のエンドロールは特にズルい。
胸が熱くなっちゃいます。
(887文字)



●シリアスマン

鑑賞した日:2019年5月18日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(199円)

監督:コーエン兄弟
主演:マイケル・スタールバーグ
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/ggvAFuvGW

▼140文字ブリーフィング:

『ファーゴ』『ノー・カントリー』などで知られる、
コーエン兄弟の作品です。
コーエン兄弟ってユダヤ人なんですよね。
この作品はコーエン兄弟の自伝的作品だそうです。

だから、アメリカに存在するユダヤ人コミュニティのことが、
この映画を観ると分かります。
ヘブライ語の学校の通ったり、
近所もユダヤ人なので、ユダヤ人の会堂で、
13歳の「ユダヤの成人式」には、
近所中のひとが集まったり、、、。

この映画は「あるユダヤコミュニティに住むお父さん」が主人公です。
お父さんは大学教授で、「真面目な人」です。
この「真面目な人」が、次々と不幸に遭う、という筋書き。

妻が不倫していて「離婚してくれ」と言います。
娘には無視され毛嫌いされます。
息子は父のクレジットカードで、
父に無断でロックバンドのCDを買っています。
隣の家に住む保守派のプロテスタント信者は、
猟銃で彼を殺すのではないかと言うぐらい、
(さしたる理由もなく)彼のことを憎んでいます。
学生から「採点が不公平だ」と訴訟されます。
テニュア(終身在籍権)の審査は、
この訴訟によって危うくなります。

この映画は、
「ただただ正しい人が、
 ただただ苦しむ話し」です。

何か聞き覚えがありますね?

そうです。

『ヨブ記』がこの映画のテーマなのです。
コーエン兄弟は「現代のヨブ記」として、
この映画を作っています。

「お父さん=現代のヨブ」は、
高名なユダヤ教のラビに、
「なぜ私はこんなに苦しんでいるのか?」
を聞きに行きます。

ラビは3人出てきます。
そうです。
ヨブの3人の友人です。

このお父さんが大学で教えているのは、
「量子論」だというのがまた面白い。
彼は授業で「不確定性原理」とか、
「シュレーティンガーの猫」を教えています。

(ユダヤ人の!)アインシュタインは、
量子物理学者のニールス・ボーアを批判し、
「神はサイコロを振らない」と言いました。
論理整合的な世界を固く信じていたアインシュタインには、
「確率が支配する世界観」は受け入れがたかったのです。
しかし歴史は(このトピックに関しては)、
ボーアに軍配を上げました。

因果応報が成り立たず、「意味」が崩壊し、
その後ろの世界で何が起きているのかを誰も説明できない
「量子論的な世界」に私たちは生きています。
可愛そうなこのお父さんは高名なラビの元に行きますが、
ラビがお父さんにする「お話」は、
まったくもってナンセンスで、
意味をなしていません。

「いったいこの話しのどこに、
 何の教訓があるんだろう?」
と思うような例話をラビはお父さんに繰り返し聞かせます。
オチもなければ要点も分からない、
ただただ不可思議な話しをラビはお父さんに語ります。
「それで?」と当然彼はラビに聞きますが。
「これでこの話しは終わりだ」とラビは言うだけ。
そこから引き出せる教訓などありそうにない。
唯一メタメッセージがあるとしたら、
「世界に意味なんてない」という
ニヒリスティックな結論だけです。

「不合理なこの世界」で、
「ヨブ」となった主人公はいかに生きるべきか、
という問いがこの作品の主題です。
つまりこの可愛そうなお父さんは、
不条理な現代を生きる私たち一人ひとりのことでもあるのです。

お父さん(ヨブ)が会いに行く3人のラビを軸に、
物語が進んで行きますが、
最後のラビ「マーシャク師」が口にするのは、
1967年のヒット曲"Somebody to Love"(邦題『あなただけを』)の歌詞です。
そのメッセージは、要約すればこんな意味です。

「真実が偽りとわかり、
 すべての喜びが消えたときであっても、
 心を尽くして人を愛しなさい」。

また、この映画、ベースは悲劇なのですが、
どことなくコミカルで、
ところどころにユーモアがちりばめられています。
量子論的に不条理なこの世界で生き抜くための、
コーエン兄弟が導き出した暫定的な答えは、
「愛すること」と「ユーモア」なのです。

そうです。

ここでまた戻ってきます。
そういえば、ユダヤ人たちは過酷なその歴史のなかで、
「愛とユーモア」によって生き残ってきた民族でしたね。
(1,509文字)



●トゥルー・グリット

鑑賞した日:2019年5月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:コーエン兄弟
主演:ジェフ・ブリッジス、ジョシュ・ブローリン、マット・デイモン
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/bqqnwwmDP

▼140文字ブリーフィング:

こちらもコーエン兄弟。
コーエン兄弟は最近のマイブームです。
重厚な西部劇で、面白かったです。
なんといっても、馬が美しい映画ですね。
タランティーノ監督の、
「ヘイトフル・エイト」にも、
ちょっと似た雰囲気があります。
(104文字)



●はじまりへの旅

鑑賞した日:2019年5月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マット・ロス
主演:ヴィゴ・モーテンセン
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/w5n-9emm6

▼140文字ブリーフィング:

原題は「Captain Fantastic」
邦題と似ても似つかぬタイトルですね。
「哲人王」として育てられた子どもたちと、
その父親のロードムービーです。
哲人王とはプラトンの概念なのですが、
その意味はこの映画を観ると分かります。

お父さんは元大学教授の、
ゴリゴリの無神論者で、
ハイパー知識人です。
6人(だったかな?)の子どもたちはみんな、
未就学年齢からプラトンの『国家』とか、
ニーチェの『ツァラトゥストラ』とか、
ヘーゲルとかカントとか読んでて、
アイビーリーグの学生よりも賢い知性を持ちます。

お父さんは言ってみたら、
「北の国から」の黒板五郎の最終進化形みたいな感じなので、
恐るべき知性だけでなく子どもたちは全員最低5カ国語を操り、
アスリート並みの肉体を持ち、
あらゆるサバイバル技術に長けています。

その家族が「お父さんと別居していた妻」の遺言に従って、
「お母さんを火葬に付すための旅」に旅立つという話し。
うつ病だったお母さんもまた、
お父さんと同じ「哲人王的な思想」を持ってるので、
火葬にして川に灰をまいてほしい、という遺言を残すのですが、
保守的なキリスト教家族のお母さんの親たち(祖父母)は、
絶対に土葬だし、絶対にキリスト教式で葬儀をする!
と言って両者は対立する、、、という話し。

お話も面白いですし、
音楽や映像や、
何と言っても自然の描写が素晴らしいです。
ただ、「一点だけこの家族にどうしても共感できない」
部分があるんですよね。
映画や小説を楽しむ上で、
必ずしも登場人物に共感する必要はありません。
よくレビューで「共感出来なかった」
といって低い点数を付ける人がいますが、
それはバカの所行というものです。
私がここで「共感できない」といったのは、
もうちょっと説明が必要で、
主人公たちは「最高に知性的」という設定になっていて、
その知性ゆえにアメリカのバカさ加減を見下すわけです。
そこまでは良い。
しかし、ある一線を超えるところで、
「もうそれって知性じゃないんじゃないの?」
ということになる。
ソクラテスやプラトンをあなたたちは崇拝しており、
アメリカ的キリスト教根本主義をバカにしている。
それは良い。
でも、あなたたちのその行動は、
ソクラテスやプラトンからすると、
「知性の真逆」なんじゃないの?
というツッコミが拭いきれないシーンがあるわけです。

監督は衒学的に様々な知性を、
主人公たちの口を通して観客に見せつけるが、
監督の「知性とは何か??」の定義に、
私はまったく同意できない。
そういう意味の「メタ的な共感できなさ」が、
この映画にはありました。

平たく言うと、監督は彼らを、
とんでもなく賢いものとして描きたいはずなのに、
その一点によって、
「こいつらさほど賢くないな」と思っちゃうわけです。

そこが一番大事なのに、、、、。

アキレス腱が弱いというか、詰めが甘いというか、、、。
もったいない映画でした。
テーマとか音楽とか映像とか、
その他の部分が凄く良かったので、
余計残念でした。
(750文字)



●22年目の告白 私が殺人犯です

鑑賞した日:2019年5月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:入江悠
主演:藤原竜也、伊藤英明
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://bre.is/ZFe2bOe9k

▼140文字ブリーフィング:

演出が過剰かつ矛盾に満ちていて楽しめなかったです。
味付けが濃すぎるんですよねぇ。
最後の「銃を向ける」シーンは失笑ものです。
あんな行動はあり得ないです。
ガスのにおいに気づいている場所に、
警察官が飛び込むとかもあり得ないし。
それで「ドカン」とか。
警察はそんなにバカじゃないでしょ。
登場人物がいちいちバカすぎる。
邦画の悪いところが出た作品。
例によってAmazonレビューでの評価は高いです。
私の評価がいつも気にくわないという方は(以下省略)。
(160文字)



●ミスター・ガラス

鑑賞した日:2019年5月10日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:M・ナイト・シャマラン
主演:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・マカヴォイ、アニャ・テイラー=ジョイ
公開年・国:2019年(米国)
リンク:
https://bre.is/Y-USImXdA

▼140文字ブリーフィング:

私はシャマラン監督の不条理感が好きな、
「シャマラニスト」ですので、
アンブレイカブル、スプリットの続編にして完結編である、
本作は見ないわけには行かないでしょう、
というこで休日に観賞。

面白かったです。

「人間を超えたものたち」を隠蔽しようとする組織と、
「すべてを解き放とうとする人々」の物語です。
その動力源は「虐待などのトラウマだ」というのも凄い。
「コインロッカー・ベイビーズ」という村上龍の作品があります。
コインロッカーに捨てられた2人の赤ん坊が、
世界を転覆する、という話しなのですが、
ちょっとそれに構図としては似ている。

あと、マーベルヒーローズの、
「エピソードゼロ」としても鑑賞可能。
そのポップ性みたいなものは、
真逆に振れているわけですが。
シャマランはサブカルの神になれる、
と思いました。
(343文字)



●ギフテッド

鑑賞した日:2019年5月25日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(セールで100円)

監督:マーク・ウェブ
主演:クリス・エヴァンス
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/_y16TyciIa

▼140文字ブリーフィング:

自殺した天才数学者の母を持つ天才の女の子と、
その子を「普通に育てたい」と願う叔父(母の弟)の物語です。
母と叔父の母(女の子の祖母)が、
実は「毒親」だというストーリー展開になっていくあたりから、
かなり引き込まれます。
かなり面白かった低予算映画、
『500日のサマー』の監督だそうです。
子役の演技がすさまじく上手いのと、
「毒親」という日本にも多く見る現象を、
テーマとして選んでいるという意味で、
日本人が見ても、かなり「刺さる」のではないでしょうか。
(222文字)



●トランセンデンス

鑑賞した日:2019年5月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ウォーリー・フィスター
主演:ジョニー・デップ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/2OfJg1lQr

▼140文字ブリーフィング:

脳のシナプスを全部、
コンピューターに投射することで究極のAIを作る、
という『SFとしてはありふれた』話しです。
でも、結構楽しめました。

主人公の科学者は死後もインターネットの中で生き続け、
世界を変革していきます。
水滴の中に量子コンピュータがあるので、
それが世界を究極の「モノのインターネットIOT」
にしていくというは発想として面白かった。
タイトルの「トランセンデンス」は、
人工知能の世界でいう、
「シンギュラリティ」の意味です。
(212文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ヘレディタリー」

コメント:

完全に圧倒されました。
多分だれも見ないでしょうけど笑。

ホラー、みんな好きじゃないよね笑。

ホラーを喜々として語れる人と、
心ゆくまで話し合いたい、
と思える作品でした。
なんせ、2回見ましたからね笑。


▼主演(助演)男優賞
対象者なし


▼主演(助演)女優賞
アシーシャ・ローナン(レディ・バード)

コメント:

クラスの「一軍」ではないのに、
一軍と付き合おうとする痛々しさ。
十代の「自我の首が据わってない感じ」
など、演技として非常に難しい「危うさ」バランスを、
絶妙なさじ加減で演じていました。
ほとんど他で見たことない女優さんですが、
脳裏に焼き付きました。


▼その他部門賞「不条理賞」
「シリアスマン」

コメント:

シャマランのミスター・ガラスも不条理ですが、
シリアスマンの不条理さにはかないません。
生活の「そこはかとない一貫性のなさ」
みたいなものが、現代という時代の、
残酷なまでに解釈を拒む感じを伝えていて良かった。
主人公の大学教授の授業のなかで、
「ハイゼンベルクの不確定性原理」とか、
「シュレーティンガーの猫」が出てきますが、
現代のヨブとしての主人公自身が、
量子の確立に生命を委ねる以外ない、
可愛そうなシュレーティンガーの猫に見えてきます。

陣内が先月観た映画 2019年4月 『百円の恋』他

2019.10.15 Tuesday

第90号   2019年5月7日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2019年4月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●祈りの幕が下りるとき

鑑賞した日:2019年4月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:福澤克雄
主演:松嶋菜々子、阿部寛
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
https://goo.gl/RinftH

▼140文字ブリーフィング:

東野圭吾原作映画です。
東野圭吾自体は好きですが、
本作はうーん、、、。
ずっと「濃い味付けの浪花節」みたいな感じで食傷しました。
「浪花節」は嫌いではないが、
全篇それはちょっと違うと思うんだよなぁ。
調味料は水で割ってこそ生きるわけで。
読んでないですが、東野圭吾の原作は、
もっと「あっさりとした話し」のような気がします。
そちらのほうが私の好みですね。
(170文字)



●サバイバルファミリー

鑑賞した日:2019年4月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:矢口史靖(やぐちしのぶ)
主演:小日向文世、深津絵里
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://goo.gl/aaoDv7

▼140文字ブリーフィング:

「ウォーターボーイズ」「ウッジョブ!」などの、
矢口史靖監督作品。
期待して見ましたが、矢口監督作品のなかでは「?」という感じです。
突然、電気がなくなった世界で、
どんなことが起きるのか、というシミュレーション。
福島原発事故を意識して造ったのだと思いますが、
リアリティに欠く感じでした。

じっさいはもっと大量に人が死にます。
具体的には人口の3分の1か半分ぐらいが死ぬと思います。
体力が平均以下の私も多分死ぬでしょう。
中世のペストのときと同じ悪夢ですね。
そこら中に死体が転がり、
そこからウジ虫が湧き、、、
人肉を食らう、みたいな世界。
そうすると映画としては絶対に売れないので笑、
こういう「ほっこりロハス路線」になるのでしょうが、
ロハス路線にそこはかとなく漂う欺瞞性が、
正直、私は嫌いです。
「自然をなめんなよ」と思う。
自然はもっと凶暴で、残虐で、汚く、無慈悲で、
そして、だからこそ、泣きたくなるほど美しいのです。
(380文字)



●不都合な真実

鑑賞した日:2019年4月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デイヴィス・グッゲンハイム
主演:アル・ゴア
公開年・国:2006年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/JWWdSo

▼140文字ブリーフィング:

「遂に見た」、という感じ。
「あれね、見たよ」という顔をしながら、
13年間知ったかぶりをしてきた映画。
別に誰かに詰め寄られたわけではありませんが笑。

会話の中で「常識」のように登場するが、
じっさいは過半数が読んでいない本、
見ていない映画、ってあるじゃないですか。

そういうのって、やっぱり、
読んだ方がいいし、見た方が良いですよ。
けっこう人間の教養って、
そういったものを本当に読む(見る)か、
それとも死ぬまで知ったかぶりでやり過ごすかという、
そこに分水嶺があると思う。

私は13年間見たような顔をしながら見ていなかったので、
人に講釈をたれる立場にはありませんが笑。

端的にいって素晴らしい内容でした。
地球温暖化の「事実」がよく分かります。
でも、悲観主義ではなく、
かつてオゾンを減らすことに成功した人類は、
自分を変えられる、という希望がを語ります。
トランプ政権になってから、
米国は「地球温暖化などというものはない」
という、まともな科学者が失笑するようなことを、
堂々と言い始めていて、目も当てられませんが。

現実を無視し、世界で最も狂気じみたことをするのも米国ですが、
現実を見据え、世界で最もクリエイティブに問題を解決するのも米国です。
私は米国の後者の側面に今後も期待し続けたい。
(532文字)



●リメンバー・ミー

鑑賞した日:2019年4月3日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(100円)

監督:リー・アンクリッチ
主演:アンソニー・ゴンザレス
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2OLFEJX

▼140文字ブリーフィング:

素晴らしかったです。
制作陣が「トイストーリー3」のスタッフなのだそう。
ルックスは異なりますが実はこの映画、
「トイストーリー」とテーマがまったく一緒なのです。

メキシコを舞台とするこの映画には、
「冥界」が登場します。
死んだ人が一時的に行く場所です。
ここでは、「今生きている人がひとりもその人を覚えていない」
という状況になると、魂が消えてしまいます。

「人は2回死ぬ。
 肉体的に死んだときと、
 生きている人に忘れられたときだ」
みたいな言葉をいつかどこかで聞いたことがありますが、
この映画の扱うテーマはそういうことです。

「トイストーリー3」では、
アンディがティーンエイジャーになっています。
バズライトイヤーやウッディは、
彼にとって「子どものころに遊んだ過去のおもちゃ」なのです。
アンディはもうおもちゃごっこに興味はなく、
プレイステーションやXboxに夢中になっている。
ときどき部屋の片隅にあるウッディを眺め、
「あぁ、昔遊んだなぁ」と思い出すが、
彼の中でその存在は年々小さくなる。

アンディ(子ども)に完全に忘れられたとき、
おもちゃは完全に「死ぬ」のです。
だからトイストーリー3で、
バズとウッディは、「次の子ども」のもとへ、
アンディのもとから旅立っていきます。
それを必要とする誰かのために、、、。

ほら、同じテーマでしょ。
私たちが「生きている」というのは、
「誰かの(記憶の)中で生きている」のです。
無人島で完全に孤立している「生」は、
果たして「生」と言えるのか?
トイストーリーもリメンバー・ミーも、
実は深い存在論的なテーマを取り扱っています。
そういうテーマを、子どもにも大人にも、
見た人のレベルに応じてレイヤーで伝わるように映画を作る。
ピクサーって、もはやとんでもない領域に脚を踏み入れています。

凄すぎる。

あと、ピクサーって、
作品ごとに「CGによる映像表現のイノベーション」を、
毎回起こしていく、というのも知られています。
モンスターズ・インクならば「毛の表現」、
カールおじさんならば「浮遊表現」、
ファインディング・ニモならば「水の表現」、
ウォーリーならば「錆びた金属の表現」など。
今回はあきらかに「シワの表現」ですね。
あの「おばあちゃんのシワ感」。
あれは凄い。
あれをCGでやられてしまうと、
実写である意味はますます失われていく。
あれを見るだけでも、
「リメンバー・ミー」を見る価値があります。

文字数の関係で割愛しますが、
リメンバー・ミーでは、
音楽と靴職人、という対比も面白いです。
これは「リアリズムとロマンシティズムの闘い」
という思想的テーマです。

映像も音楽も素晴らしいです。
私はタブレットで見ましたから魅力の10分の1も体験できてません。
これを映画館で観た人はラッキーです。
(815文字)



●ジャンゴ 繋がれざる者

鑑賞した日:2019年4月1日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(199円)

監督:クエンティン・タランティーノ
主演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2VlnvoK

▼140文字ブリーフィング:

「黒人の西部劇」です。
そんなものは本当は存在しないので、
「フィクション」なのですが、
そのフィクションを借りて奴隷制度の悲惨さを描いています。
そして完全なる勧善懲悪、つまり、
「半沢直樹的なフィクション」ですが、
非常に面白く痛快でした。
3時間に迫るのにまったく長く感じないのは、
さすがタランティーノです。
(150文字)



●奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

鑑賞した日:2019年4月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:大根仁
主演:妻夫木聡、水原希子
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2Vqynlr

▼140文字ブリーフィング:

大根仁監督が好きなので、
プライム特典になっているのを見つけすぐに見ました。
「ヤバい女」の話しです。
「出会う男すべて狂わせるガール」って、
実在するんですよね。
「サークルクラッシャー」とか、
「職場クラッシャー」とも言われます。
ある種の「サイコパス」なのでしょう。
合法的に他者の人生をめちゃくちゃに出来る、
最も手堅い方法が、この「魔性の女」タイプでしょうね。

彼女との、それはそれは怖ろしい恋愛と、
手痛い別れを経験した主人公は、
彼女から「表層的に生きること」という処世術を獲得します。
怖ろしい話しです。
原作漫画をちょっと読みたくなりました。
(266文字)



●この世界の片隅に

鑑賞した日:2016年11月24日
2019年4月8日 二回目観賞(Amazonプライム特典)
鑑賞した方法:池袋の映画館で鑑賞。

監督:片桐須直
主演:のん
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
https://bre.is/1IlYEI0fA

▼140文字ブリーフィング:

観賞は二回目です。
最初は、3年前に、
妻と一緒に映画館で観ました。
そのときも泣きましたが、今回も泣きました。
この作品はルックスとは裏腹に、
めちゃくちゃな情報量をぶち込んでいる作品なので、
何回見ても新しい発見があります。
そして何度見ても新しい感動があります。

池袋の満員の映画館で3年前に観たとき、
エンドロールが終わった後、
私を含め誰一人「立たなかった」のを思い出しました。

あれは「立たなかった」のではありません。
「立てなかった」のです。
それほどに「みぞおちに来る」映画です。
(235文字)



●万引き家族

鑑賞した日:2019年4月6日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:是枝裕和
主演:リリー・フランキー、樹木希林、松岡茉優、安藤サクラ他
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://rebrand.ly/539b0

▼140文字ブリーフィング:

是枝監督の作品は、
この10年ぐらいのやつは全部見てます。
私の中の「是枝監督ベスト3」は、
1.三度目の殺人
2.そして父になる
3.誰も知らない
ですが、「万引き家族」は、
2と3の間ぐらいかな、暫定的に。
つまり3位。

ちなみに本作はカンヌ映画祭パルムドールを受賞した作品です。
世界的な評価では最も高い作品、ということになります。
じっさいこの作品は、
過去の是枝作品の集大成と言って良い。
「誰も知らない」要素も入っていますし、
「そして父になる」要素も入っている。
「海街diary」要素も入っているし、
「三度目の殺人」要素も入っている。

社会から「忘れられた」子どもたちと、
その「代替家族」として機能する、
社会から抑圧された人々の相互扶助(誰も知らない)。
家族の新しいメンバーとしての「妹」(海街diary)、
血縁をもたない疑似家族の「父」が、
「父になっていく」ということ(そして父になる)。
さらに、弱き者を裁く「システム」としての、
児童相談所や裁判所(三度目の殺人)。

こうしてみると、
「万引き家族」は、
「是枝幕の内弁当」なんですよね。
まさに「集大成」。

では、いちばん面白かったかというと、
私はそれぞれのテーマを深掘りした過去作のほうが好きです。
これは人それぞれでしょうね。

ただ、この作品で確実に言えるのは、
「安藤サクラの演技はヤバい」ということです。
ケイト・ブランシェットはカンヌで安藤サクラの演技を見て、
「今後私が何かの映画で『あの泣き方』をしたら、
 そのときは安藤サクラの真似をしたと思ってくれて良い」
と発言しているそうです。
「あの泣き方」を見るだけでも、
『万引き家族』には鑑賞の価値があります。

ちなみに是枝監督はカンヌ受賞後、
内閣表敬訪問を固辞しました。
それに対して百田尚樹は腹を立てているみたいですが、
マジでバカとしか言いようがありません。

是枝裕和監督はブログで、
「国に感謝をしていないとかそういうことではなく、
 何かしらの発言をする文化的な活動をする人間は、
 公権力から一定の距離を保つべきだと思うので、
 そうさせていただいた。
 それでも日本の映画現場の経済状況は、
 非常に逼迫していて現場は苦労している。
 引き続きご理解とご支援をいただけるとありがたい。」
ときわめて簡潔に立場を表明しています。

現政権とベッタベタでズッブズブの、
百田尚樹は是枝監督の爪の垢を焙煎し、
エスプレッソにして飲むべきでしょう。

あと、高須クリニック院長の高須克弥氏も、
『万引き家族』についてこのようにツィートしています。

〈万引き家族で日本人のイメージを作られるのは嫌です。
 日本人は勤勉で正直で礼儀正しいです〉

、、、これもバカとしか言いようがありません。
もう一度言います。

バカです。

アメリカには奴隷制度を批判する映画がありますが、
あれを見た外国人は
「今もアメリカは黒人を差別する酷い国だ」
と思うでしょうか?

逆でしょ?

イギリスは、
「社会風刺精神に溢れるドキュメンタリーや映画」を、
とても多く作っていますが、
それを見た外国人は、
「イギリスは酷い社会なのだ!」と思うでしょうか?

逆でしょ?

こういう問題を顕在化して、
批判する気骨のある人が評価される国は、
きっと未来があるに違いないと思う。

逆に北朝鮮や中国で量産されている、
「自国賞賛映画」や、
「自民族マンセー映画」を外国人が見て、
「中国、北朝鮮は素晴らしい国だ!」
と思うでしょうか?

逆でしょ。

あぁ、ヤバい国なんだなぁ。
批判する映画監督は獄中死したんだろうなぁ。
かの国に生まれなくて良かったなぁ、
と外国人は思うのです。

高須や百田はいつも、
日本の問題点を指摘し、
日本を「批判」する人を
「売国奴」とののしりますが、
それはいったいどちらなのか、、、、?
どちらが国益を毀損していて、
どちらが日本の信頼性を高めているのか?

ここから先は、
各自でお考えになってください。
個々の判断におゆだねします。
(1,548文字)



●リップヴァンウィンクルの花嫁

鑑賞した日:2019年4月10日(インドへの飛行機の中で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:岩井俊二
主演:黒木華、綾野剛、Cocco
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
https://bit.ly/2GhNYhT

▼140文字ブリーフィング:

岩井俊二監督も、是枝監督と同じく好きな監督でしたが、
この10年ぐらい、全然見てなかったんですよね。
、、、と思ったら、
そもそも映画を作っていなかったらしいです。

本作は久しぶりの映画でした。
といっても、もともとテレビドラマだったものの劇場版だそうですが。

うーん。

正直、失望しました。

岩井俊二がこれを、本当に面白い思っているとしたら、
正直「がっかり」です。
映像は美しいです。
黒木華の演技も素晴らしい。
しかし、ストーリーが酷すぎる。
「現代性」を盛り込んだようなつくりになっていますが、
あまりにも空疎で、実は前時代的です。

彼は「映像作家」であって、
もはや「映画作家」ではないのかもしれない、
と思いました。

今回の黒木華と、
「リリィ・シュシュのすべて」で脚光を浴びた蒼井優は、
顔の系列がよく似ています。
岩井俊二の好みが出ているなぁと思いました。
(365文字)



●シッコ

鑑賞した日:2019年4月10日(インドへの飛行機の中)
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:マイケル・ムーア
主演:マイケル・ムーア(ドキュメンタリー)
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2Z6qt2v

▼140文字ブリーフィング:

めちゃくちゃ面白かったです。
マイケル・ムーア監督作品はこれまで、
「ボーリング・フォー・コロンバイン」とか、
「世界侵略のススメ」などを見てきましたが、
本作がいちばん面白かったかもしれない。

米国の医療制度の矛盾、
という、いかにもNHKとかがやりそうな、
社会問題に関する教育的内容なのですが、
マイケル・ムーアの手にかかると、
ここまでエンターテインメントとして面白くなるのか!
というのが今回私が改めて感動してことです。

この話題について、
「つまらなく」語ろうと思えば簡単です。
5分で8割の人間を寝かせることも出来るでしょう笑。
マイケル・ムーアの凄いのは、
その思想性もそうなのだけど、
「エンターテイナー」として卓越しているところだ、
ということに気づいたとき、
「すげぇな」と改めて思いました。

あまり、その部分に注目する人は多くないですが、
ここが一番大事なのだと今回思いました。
「とても重要で正しい問題提起」だったとしても、
それがつまらないものであり、
聞いている人が眠くなるようなら、
その問題提起に力はない。
「エンターテインメントとしてめちゃくちゃ面白い」
からこそ、多くの人に耳を傾けてもらえるのです。
アル・ゴアの『不都合な真実』もそうですが、
アメリカはそのへんをよく知っています。

では、どうやってるのか?

マイケル・ムーアの映画の作り方は完全に、
「サンプリング世代」のそれです。
ヒップホップ世代と言っても良い。
つまり、音声・映像・文字・会話・過去のアーカイブなどの、
ものすごい情報量をいったんバラバラに切り刻み、
それをコラージュ的に再構成していくのです。

その編集は、
彼の太った見た目とは裏腹に軽快で、
彼の極左の政治意見とは裏腹にポップで、
それらが圧倒的に面白いエンターテイメントとして成功しています。
見ていて単純に「楽しい」のです。
これは「売れる」よな、と思いました。

さて、この映画が投げかけるテーマは何か?
とんでもないですよ。
映画を観た人は必ず語りたくなります。
日本の保険と医療の未来について、、。
日本の未来がアメリカ型にならないように、
と願わずにはいられなくなるでしょう。

ちなみにタイトルの「シッコ (sicko)」とは、
「狂人」「変人」などを意味するスラングだそうです。
「病気の」「病気にかかる」という意味の単語、
「シック(sick)」と掛けているわけですね。

日本語で「疾呼(しっこ)」=病を呼ぶ
という造語を作ったら、
この映画と相性がいいなー、
なんて思いながら観ました。
この映画、いろんな意味でオススメです。
(1,048文字)



●アトミック・ブロンド

鑑賞した日:2019年4月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(インドへの飛行機の中で)

監督:デヴィッド・リーチ
主演:シャーリーズ・セロン
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2DkogaP

▼140文字ブリーフィング:

映像はカッコいいです。
音楽もスタイリッシュです。
何よりシャーリーズ・セロンが、
信じられないほどクールです。
(サリーと私の魔法の時間との差!)

しかし、中身は何もない感じかな。
スパイモノが好きな人は絶対好きです。

私はスパイモノって、
あまりストーリーが追えないんですよね。
途中でよく分からなくなる笑。
きっとスパイには向かない性格なのでしょう笑。
なのでぶっちゃけ、よく分かりませんでした。
最低な感想ですね笑。

ただ、セロンが凄すぎる。
それだけ。
本当にそれだけは確かです。
(230文字)



●百円の恋

鑑賞した日:2016年4月20日 
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSで借りて自宅で鑑賞

監督:武正晴
主演:安藤サクラ
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2URd0x9

*2019年4月24日(Amazonプライムで二回目観賞)

▼140文字ブリーフィング:

この映画は二度目の観賞です。
『万引き家族』の安藤サクラの演技に心打たれて、
安藤サクラブームが訪れました。
それで過去に見たこの映画を、
デリーにいるときに見ました。
あらためて、安藤サクラの演技がすさまじいです。
あと、この映画、一回目もそうでしたが、
普通に涙をぽろぽろ流して泣いちゃいました。
一回目のときより泣きました。
これは、私の涙腺の「ツボ」なんですよねぇ。
このタイプ、一番泣くかも。
興味ある人は是非鑑賞してみてください。
大好きな映画です。
(219文字)



●インサイダーズ 内部者たち

鑑賞した日:2019年4月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ウ・ミンホ
主演:イ・ビョンホン、チョ・スンウ
公開年・国:2015年(韓国)
リンク:
https://amzn.to/2PkncZd

▼140文字ブリーフィング:

勧善懲悪ものです。
あまり面白くなかったです笑。
俳優の演技は悪くない。
(37文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「百円の恋」

コメント:

『シッコ』と悩んだのだけど、
やっぱりこの映画が好きですね。
百円の恋、最高でした。
胸が熱くなりました。
クリープハイプの主題歌も素晴らしいです。


▼主演(助演)男優賞:該当なし


▼主演(助演)女優賞
シャーリーズ・セロン(アトミック・ブロンド)
安藤サクラ(百円の恋/万引き家族)

コメント:

今回は二人。
まずはセロン。
とんでもねぇ女優さんです。

彼女はアラフォーですが、
この映画をノースタントで撮ったそうです。
この映画のアクションシーンって、
本当に「リアル」です。
格闘技の専門家の考証を経て、
「こんな打撃で男が吹っ飛ぶとかあり得ない」
とか、そういうリアリズムを追求して撮ってるので、
アクションシーンは、
ジャッキー・チェンとか、
トム・クルーズのレベルに達していると考えて良い。

なんと彼女、この映画の撮影準備のために、
奥歯を2本折ったそうです。

転んだの?

殴られたの?

と思うじゃないですか。

違います。

「筋トレで歯を食いしばりすぎて」です。
ヤバいでしょ。

そうやって作った身体を、
本作では見ることができるのです。
「筋トレするとムキムキになっちゃうしー」
とか寝ぼけたことを言ってる日本の女子は、
どうかこの映画を観てください。
「ムキムキになんて、そう簡単になれるかボケ!」
ってことです。

じっさいトレーニングで奥歯を2本折ったセロンの身体は、
「ムキムキ」ではありません。
筋肉が適度についた「締まった身体」です。
筋肉はそう簡単につかないんです。

もう一度言わせて下さい。

筋肉はそう簡単につきません。
筋肉は「一円貯金」なんです。

「ムキムキになるのが嫌だから筋トレはなぁ、、、」
ってほざいてる日本の女子は、
「億万長者になるのが嫌だから、
 一円貯金始めるのはなぁ、、、」
って言ってるのと同じなんです。
「なれねーよ、バーカ」ってことです。

筋肉をナメるな、ってことです。







??


???


何の話し?

私はいったい何に怒っているのでしょう笑?
すみません。取り乱してしまいました笑。
筋トレユーチューバーの、
コアラ小嵐さんが一瞬乗り移ったみたいです笑。

そう。セロン姉さんがハンパないってことです。

ハリウッド女優が一本の映画で何十億も儲けて、
「もらいすぎじゃないの?」と思うこともありますが、
このプロ意識ならそりゃそんぐらい稼ぐかもな、
と思わせる迫力がシャーリーズ・セロンにはあります。
わりと短いスパンで撮られた2本の映画の比較を載せます。

▼参考画像:「タリーと私の秘密の時間」のセロン
https://bre.is/HPIxpLp5x

▼参考画像:「アトミック・ブロンド」のセロン
https://bre.is/gN526FHdo

、、、とんでもなくないですか?
同じ人間ですよ。


、、、あと、安藤サクラですね。
この人の演技はすごいです。
「百円の恋」の彼女の身体の変化も、
セロン姉さんに引けを取らない。
たしかこの映画って、
1ヶ月以下とか、そんな期間で撮られてるんですよね。
それが、最初のシーンと最後のシーンの安藤サクラを、
どうか比べてみて下さい。
別人ですから。

「ライザップ」なんて生ぬるいと思いますから。
体つきだけではなく、
身のこなしとか目つきとか、
人相すら変わってますから。


▼その他部門賞「映画音楽賞」
「百八円の恋」(クリープハイプ)

コメント:

この曲はこの映画のためにある!
っていうほどにハマる映画の主題歌って、
多くないと思うんですよね。

『君の名は』の「前前前世」(RAD WIMPS)とか、
『青天の霹靂』の「放たれる」(Mr.Children)とか、
『スタンド・バイ・ミー』の「スタンド・バイ・ミー」(Ben.E.King)とか、
「テーマ曲ドハマり」映画ですね。
これらの作品の場合、
映画ありきで音楽が「寄せてる」わけです。
そりゃハマりますよね。
「百八円の恋」もこれらと肩を並べます。
エンドロールでこの曲が流れるとき、
今まで観てきた主人公の闘いが走馬燈のように駆け巡り、
涙腺崩壊必至、っていうね。
これは映画とセットで味わわないと意味がない曲です。
オススメです。

陣内が先月観た映画 2019年3月

2019.08.15 Thursday

第86号   2019年4月2日配信号

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■2 陣内が先月観た映画 2019年3月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●リトル・ミス・サンシャイン

鑑賞した日:2019年3月22日
鑑賞した方法:Amazonビデオセールで有料レンタル(100円)

監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファレス
主演:グレッグ・キニア
公開年・国:2006年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/4mGG5a

▼140文字ブリーフィング:

これは札幌に向かう飛行機の中で見ました。
ずっと観たかった映画なんですよね。
「見た」っていういろんな人からの話を聞いて、
「絶対面白い」と分かっていたんですよ。
でも、今まで観られていなかった。

Amazonビデオでセールしてて、
100円でレンタル出来ると言うことで、
タブレットにダウンロードしておきました。
、、、で、飛行機の中で一気に観たわけです。

端的にいって素晴らしい映画でした。
やっぱ「ロードムービー」って好きだなぁ、
と改めて思いました。

ロードムービーというのは、
「旅」を軸に作られた映画のことですが、
映画と「旅」は相性が良い。
たぶんそれは、
旅というのは人生の縮図で、
映画というのは旅の縮図だからです。

ロードムービーってたいてい、
ストーリー自体は「なんていうことはない」のですよね。
でも、そこに「すべて」が詰まっている。
出会い、分かれ、人の成長、新たな視点の獲得、
そういったすべてが旅にはある。

この映画の場合、
ニューメキシコ州アルバカーキという田舎に住む、
とある家族の旅が描かれます。

この映画のすごさは、
この家族のメンバー構成の妙です。
6人家族の「幕の内弁当感」がすごいのです。

旅のきっかけは、
「リトル・ミス・サンシャイン」という、
日本で言う「美少女コンテスト」に出場権を獲得した、
下の娘のオリーヴが、
「カリフォルニアで開かれるコンテストに参加したい!」
と言い出したことがきっかけです。
ところがこのオリーヴ、
どう見ても「美少女コンテスト」タイプではありません。
彼女は明らかに太りすぎており、
まったく洗練されていない。

日本で言うと、
「県の応募者2名だったコンテストで、
 島根県代表に選ばれた『自称美少女』が、
 東京で開かれるコンテストに参加する」
というような話しで、
東京に集まった美少女たちは「ガチ」なのです。
そうするとその差はとてつもないものがあり、
オリーヴはかなりの確率で大恥をかく。
それに家族は「会場」で気づくわけですが、
これが非常に重要な伏線になっています。

とにかく、オリーヴの出場のために、
家族全員で、古いフォルクスワーゲンのマニュアル車に乗って、
家族は1,000キロ以上のドライブに出かけます。

この映画の「作りが良い」のは、
「6人全員が他の方向を向いている」というところです。
そして何とこの6人は、
「アメリカ合衆国の縮図」でもあるのです。
「勝利(強さ、成功)へのオブセッション(強迫観念)」に、
支配された父、
それを軽蔑しニヒリズムに陥る息子、
典型的な現実主義者でアメリカの家庭の事実上の大黒柱、
しかし「イライラと不満の塊」である母親。
うつ病でゲイの「母親の兄」。
そして祖父は「ポルノ好きで麻薬常習の大俗物」です。

これらの人々が旅の中で、
「変わっていく」様が見事です。
父親は「人生を成功に導く9つのステップ」という、
自己啓発メソッドを開発しました。
そのセミナー、書籍、DVDで、
一山当てようとしているわけです。
しかしその「成功神話」が、
旅の途中ガラガラと音を立てて崩れていくのです。

しかしその先には絶望があるのではなく、
希望が待っています。
その希望を象徴するのがコンテストに出場するオリーヴです。

この映画の原作本を書いた作者は、
ある日テレビを付けたら、
アーノルド・シュワルツネッガーが、
「人間には2種類しかない。負け組と勝ち組だ」、
と自信満々に語っているのを観て、
「これではアメリカはダメになる」
と思ってこの小説を書いたそうです。

素晴らしい映画でした。
(1,435文字)



●ベンジャミン・バトン

鑑賞した日:2019年3月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デビッド・フィンチャー
主演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット他
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/Pk2XTv

▼140文字ブリーフィング:

デビッド・フィンチャー監督は好きなのですが、
この映画は正直、私には響きませんでした。
年老いて生まれ、若返り、最後は赤ちゃんになって死ぬ、
ベンジャミン・バトンという人の生涯を描くSFです。
彼の人生を振り返ることで、
アメリカの歴史が見えてくる、というのは、
ちょっとフォレスト・ガンプに似ている感じがしました。
なんと原作者はあのフィッツジェラルドだそうです。
(176文字)



●ヘイトフル・エイト

鑑賞した日:2019年3月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:クエンティン・タランティーノ
主演:サミュエル・L・ジャクソン他
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/7sCvkr

▼140文字ブリーフィング:

友人とタランティーノ談義をしていて、
この映画の存在を知りました。

面白かった。
私はめちゃくちゃ好きでした。

「12人の怒れる男」という、
密室で男たちが話し合うだけの名作映画がありますが、
ワイオミング州の冬山で山荘に閉じ込められた人々が、
そこで順番に口上を垂れるという構造は、
ちょっとそれを思い出しました。

結局「何かが起きている」わけではないのですが、
(起きていますが、派手なことは何もない)
それでもずっと観ていられるのは、
タランティーノという人の、
編集の妙であり、音楽の使い方の巧さであり、
何より登場人物の「台詞回し」が唯一無二だからでしょう。
3時間以上の映画ですがまったく長く感じませんでした。
さすがです。
(302文字)



●サーチ

鑑賞した日:2019年3月9日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル視聴(399円)

監督:アニーシュ・チャガンティ(インドネシア人監督)
主演:ジョン・チョー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/XJzKax

▼140文字ブリーフィング:

これは、めちゃくちゃ面白かったです。
文句なしに、留保なしに、ほぼ誰にでもお勧めします。
「面白くなかった」という人は皆無じゃないかというほど。
構成が面白くて、
約100分の上映時間中、
全部が「パソコンのモニター上」で展開するのです。
SNSの画面、動画通話の画面、メールの画面など。
そんなのは「不自由」ではないか。
そうではないのです。

「ある事件」をこの映画は、
パソコンの画面内でこそ完璧に、
もしかしたらリアルな映像を使う以上にリアルに描き出す、
という離れ業を成功させているのです。

こういう映画って予算はあまりかかりません。
「発想力の一本足打法」でここまで面白く出来るのです。
なぜ日本でこれを作れなかったのかが非常にくやしいところ。
まだ映画ってこんなに面白いことが出来るんだ、、、と感動しました。
「ユージュアルサスペクツ」という知る人ぞ知る名作がありますが、
それが好きな人には200%お勧めしたい。
そして語り合いたい。
是非観てみて!
エロくないし、グロくないし、
暗くないし、暴力的じゃない。
そして後味悪くない。
ファミリーでも観れてしまうという。
でもちゃんとハラハラするという。
映画として200点ですね。
(455文字)


●500日のサマー

鑑賞した日:2019年3月17日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(100円)

監督:マーク・ウェブ
主演:ジョセフ・ゴードン・レヴィット、ズーイー・デシャネル
公開年・国:2010(日本)
リンク:
https://goo.gl/RAcQmi

▼140文字ブリーフィング:

こちらも後で語りたくなる映画です。
「サマー」は主人公トムの「彼女」です。
このサマーが「クソ女」なのです。

少なくとも途中までは誰でもそう思う。

しかしこの映画の構成は見事で、
最初に主人公がサマーに謎の振られ方をするところから始まり、
時間を前後しながら、そして様々な角度から、
出会いから別れまでを「切り取っていく」と、
パズルのピースが埋まり、風景の全貌が見えてくるように、
起きたことの真相が浮かび上がる。

そうすると、まるでミステリー映画のように、
「実際に起きていたこと」が客観的に観られるようになる。
そうすると「サマー=クソ女」というのは、
それはあくまで主人公から見たときにそうなのであって、
同じシーンを違う角度からみると、
主人公が何度も何度も、
サマーの心の叫びを無視していることがわかるのです。
お互いが深く傷ついた恋愛と失恋で、
実はお互いが成長する、というのがこの映画のテーマです。

最後のシーンは印象的です。

、、、あ、ここからは自己責任で読んで下さい。

▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


サマーは出会った当初「愛や運命なんて信じない」と言っていました。
だから彼女は特定の男性と「コミットした関係」になるのを極端に嫌がり、
セックスするのも特別なことではなくカジュアルなことで、
複数の男性とそういう関係にあることも気にかけない。
それを束縛する人間を彼女は極端に嫌います。

しかし終盤、彼女は「運命を感じて」、
トム以外の男性と結婚するのです。

主人公のトムは最初「運命と愛」を力説します。
しかしサマーに振られた彼は、
「運命」に失望します。
そして運命の失望が彼を「主体的」にし、
彼は「いつかなりたい」と言っていた建築家への道を、
自ら切り拓き始め歩み始めます。
そして次の彼女(オータム)に出会ったとき、
常に受け身だったサマーのときとは対照的に、
自分からオータムに声をかけます。
こういうことってありますよね。
お互いがケンカした後、
お互いの意見が相手に影響されていたという。
この映画も「語りたくなる」映画です。
(844文字)



●キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

鑑賞した日:2019年3月4日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス
公開年・国:2002年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/QnkBG5

▼140文字ブリーフィング:

さすがスピルバーグ、という感じですね。
エンターテインメントとして一級品です。
嘘に嘘を重ね、パイロット、弁護士、医師など、
様々な職業を遍歴しながら、
巨万の金をだまし取ることに成功した詐欺師(ディカプリオ)と、
それを追い続けた刑事(トム・ハンクス)の物語。
これが実話だというのだからさらに驚きます。

この映画、
二人が「仲良し」に見えてくるのが不思議で、
そこがなんとも良い映画にしています。
「ルパンと銭形警部」とか、
「トムとジェリー」みたいな関係性ですね。

かと思えばテーマは深く、
底なしに孤独な青年の、
魂の徘徊の物語でもあります。
序盤に登場する彼の父親の、
あまりにも空虚な目と空虚な性格を考えたとき、
彼がどれほど孤独だったかが想像出来るのです。
そして胸が痛くなる。
もしかして彼はトム・ハンクス扮する刑事と、
知恵比べをしているときだけ、
孤独から癒されたのかもしれない。
刑事は彼にとって「疑似的な父」だったのかもしれない、と。
(407文字)



●クリミナル 2人の記憶を持つ男

鑑賞した日:2019年3月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:アリエル・ヴロメン
主演:ケヴィン・コスナー
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/QnPQHg

▼140文字ブリーフィング:

とくに何の記憶にも残らないような映画でした。
他人の記憶を埋め込まれた男の話で、
「100万回ぐらい見たことあるシーン」と、
「100万人ぐらい思いつきそうな設定」の連続でした。
ロンドンの街並みがきれいだったことだけが救いでした。
(112文字)



●イコライザー2

鑑賞した日:2019年3月1日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(399円)

監督:アントニー・フークワ
主演:デンゼル・ワシントン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/KkCaFy

▼140文字ブリーフィング:
「イコライザー」が面白すぎたので、
「続編」であるこちらを、お金を払って観ました。
「2」のジンクスってあるじゃないですか。
シリーズ化した映画の第2作はたいてい「地雷」っていう笑。

まぁ、そりゃそうですよ。
特にこの映画は「ダイ・ハード」と同じで、
キャラが濃い主人公によるアクションが軸なので、
より第2作は難しいのです。

「金田一少年問題」と私は呼んでいるのですが、
「大事件」がある人物の周りで何度も何度も起こる、
というのは明らかに不自然なのです。
「最もシンプルな説明が最も確からしい」という、
「オッカムの剃刀」の原則によって思考するなら、
一番シンプルな説明は、
「金田一少年(またはその彼女)こそが連続殺人魔」だ、
ということになります。
状況証拠がそれを示しているわけです。

だって行く旅行行く旅行で、
同じ宿で人が死ぬっておかしいでしょ笑。

「イコライザー」や「ダイ・ハード」などの映画も、
同じ理由で続編が作りにくいのです。
一気に「フィクションラインが上がって」しまう。
つまり「お話感」が強くなっちゃう。

、、、という「自己弁護」をしたうえで、
この映画はどうだったか?
面白かったですよ笑。
ダイ・ハード2よりは絶対面白いです。

私の場合この映画の主人公にホレちゃってるので、
もう何してもカッコいいんですよ。
特に、労働者としてひっそりと生活しながら、
「弱者を救う」という覆面ヒーロー的なところが。
そして彼がいつも弱者の味方であるところが。

第一作の映画評で私は、
この映画は「正義とか悪が相対化された時代」に、
それでもやはり正義はあるのか?
という問いに答えようとしている、
と語りました。

第二作ではこのテーマがより露骨になっています。
主人公に敵対し殺害しようとする男が、
主人公にこう言います。

「正義を振りかざすな。
この世にはいい人間も悪い人間もいない。
悪もない。敵もいない。
いるのは不運な人間だけだ。、、、善も悪もない。
こう考えよう。
罪もない。善ももない。人は愚かだ。」

この言葉に誰が反論できるでしょう?
この残酷な世界で、彼がいっていることは真実です。
この問いにたいして主人公は、
「正義と悪があった時代」に逆戻りすることなく、
「もっと深い位層における正義」を具現化しようとするのです。
ハードルを下げていたのもありますが、
十分面白い映画でした。
(970文字)



●ブレードランナー2049

鑑賞した日:2019年3月1日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(299円)

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/3zpHtv

▼140文字ブリーフィング:

かなり話題になった映画ですね。
リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」は、
知る人ぞ知るカルト映画で、
この映画以前とこの映画以降で、
「近未来」の描き方は変わった、と言われるほどです。
この映画のルーツが知りたくて、
私はフィリップ・K・ディックの原作
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」も読みました。

ブレードランナーの世界には、
「人間型のアンドロイド」が、
人間と区別がつかなくなった未来に、
人間のふりをしているアンドロイドを「取り締まる」警察がいます。
この警察もアンドロイドです。
このアンドロイドが「人間とアンドロイドの判別」
をするのですが、それが「共感能力」だったりするのです。
しかし、どうみても人間のほうが非人間的であり、
アンドロイドのほうが共感能力があるように見える。

、、、とすると「人間」って、
いったい何なの?
という哲学的なテーマに突き当たることになる。

「2049」では前作へのオマージュをたくさん入れ込みつつ、
「レプリカント同士の子ども=初子(救世主)」を殺す、
という「出エジプトおよび福音書」や、
「ラケル(レイチェル)の子どもがジョー(ヨセフ)」
などの聖書からのモチーフも多用されます。

でもこの物語の骨子は明らかに「ピノキオ」です。
「造り主」である人間に、
「ぼくは本当は人間なんじゃないの?」と問う、
木彫り人形の切ない話しです。
これは「A.I.」という映画で、
スティーブン・スピルバーグがやったテーマでもあります。
(608文字)



●ジュラシック・ワールド

鑑賞した日:2019年3月4日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:コリン・トレヴォロウ(制作総指揮スティーブン・スピルバーグ)
主演:クリス・プラット
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/sXXh5U

▼140文字ブリーフィング:

映像は凄いですが、
他は何も凄くなかったです。
特に内容のない作品でした。
IMAXとかで見たらきっと凄いんでしょうね。
(57文字)



●ノーカントリー

鑑賞した日:2019年3月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:コーエン兄弟(ジョエル・コーエン)
主演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/7o9G6J

▼140文字ブリーフィング:

めちゃくちゃ面白かった。
コーエン兄弟恐るべし!!

大好きな映画のひとつになりました。

犯人(アントン・シガー)はサイコ度、
史上ナンバーワン!!です。
彼を超えるサイコパスは、
もう浦沢直樹の「MONSTER」に出てくるヨハン以外いないでしょう。
二人とも「彼を観たら人生が終わる」という恐ろしさがあります。
二人を対決させたい笑。

シガーが使う「空気圧ポンプの兵器」は、
一生脳にこびりつきます。
最低つまり最高です!
(200文字)



●オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

鑑賞した日:2019年3月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブン・ナイト
主演:トム・ハーディ
公開年・国:2015年(イギリス)
リンク:
https://goo.gl/G9TSxY

▼140文字ブリーフィング:

イギリス映画です。
最初から最後まで「本当に」ひとりしか登場せず、
場面は「本当に」車のなかだけ、
という非常に大胆な構成の映画です。

会話劇だけで見せるという。
ある男が職場からの帰り道に妻に電話をかけます。
妻に言います。
「これからある女のところに行く。
 去年の出張のときに関係を持った。
 私は彼女の出産を見届けなければならない。
 でも信じてほしい。
 私がキミを裏切ったのはその一回きりだし、
 出産を見届けたら必ず家族の元に帰る」
妻はパニックを起こし、電話で離婚を言い渡します。

彼はなぜそこまでして一度しか会ったことのない女性の、
出産を見届け認知することにこだわったのか?
彼の父が彼を認知しなかったために、
彼は私生児として過ごしたことがだんだんと分かってきます。
彼は「オヤジよ、オレはお前とは違う!」
と、どうしても行動で示す必要があったのです。

現場監督者の彼は今度は職場の上司に電話します。
明日、大切な工事があるが、
私は行けません。
部下に任せてあります。
上司は激昂し、彼は解雇されます。

車で職場を出たとき、
彼には仕事も家庭もありましたが、
高速道路を下りたとき、
彼は仕事も家庭も失っていました。

そこまでして彼が、
「出産を見届ける」ということにこだわったのは何故か?
それは、どうしても「父親を超える」必要があったからです。
そうです。オイエディプス神話です。
彼は「父殺し」を達成せねばならなかった。

これを全部「社内の電話の会話」だけで説明します。
ナレーションも過去シーンのカットバックもいっさいなし。
そういう映画です。

宮台真司の評論が凄いので、
リンクを紹介します。
この映画はイギリス経験主義のジョン・ロックへのオマージュであり、
ギリシャ悲劇の踏襲、という解釈です。
興味のある方は以下を参照下さい。
https://realsound.jp/movie/2015/08/post-63.html
(732文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞(ダブル受賞)
『リトル・ミス・サンシャイン』/『サーチ』

コメント:

先月は、優劣付けがたい、
ということで2作品同時受賞です。
両方とも文句なしに面白い!!
文句なしに「観てみて!」
と万人にお勧めできる。

わりと私が激推しする映画って、
「大好きな人が2割、大嫌いな人が6割以上」
みたいな「癖が凄い」映画が多いですが、
この2本は「クセスゴ映画」でもありませんし。
両方エンターテインメントとして一級品です。
リトル・ミス・サンシャインはスローな感じ、
サーチはスピード感、という違いはありますが。



▼主演(助演)男優賞
ハビエル・バルデム(ノーカントリー)

コメント:

歴史に残るキャラクターだと思います。
「ノーカントリーのシガー」を、
これからも私は何度も思い出すと思います。
それほど脳髄に焼き付く恐怖と戦慄を与えるキャラでした。
町山智宏さんは彼に直接インタビューしたそうですが、
めちゃくちゃいい人だったそうです笑。
「あの役を演じてから、
 レストランに入ると周りから人がいなくなる。
 どうにかしてくれ」
と言っていたそうです笑。
レストランからいなくなった人は、
「あ、死ぬ」と思ったんでしょう笑。


▼主演(助演)女優賞
アビゲイル・ブレスリン(リトル・ミス・サンシャイン)

コメント:
子役ですが、とても良かったです。
この映画の6人の家族の中の「核」となる存在であり、
彼女を媒介として他者が変えられて行く、
という意味で非常に重要な役どころ。
しかも設定上、可愛すぎてもダメだし、
可愛くなさ過ぎてもダメ。
「神の国は子どもにこそ与えられる」
とイエスは言いましたが、
この映画を観るとその意味がよく分かります。
オリーヴの天真爛漫なキャラクターに、
完全にハマっていました。



▼その他部門賞「脳に焼き付く賞」
『ノーカントリー』

コメント:
作品賞の2作『リトル・ミス・サンシャイン』
と、『サーチ』に勝るとも劣らないぐらい面白かったです。
あんまり分かりやすいエンターテイメントではありません。
私の好きな映画テーマ「サイコパス」が出てきます。
しかし、みた人は「ずーん」と重く何かがのしかかる。
良い小説の読後感に似ています。

陣内が先月観た映画 2019年2月

2019.07.18 Thursday

第081号   2019年3月5日配信号

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■2 陣内が先月観た映画 2019年2月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●ロッキー2

鑑賞した日:2019年2月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:シルベスター・スタローン
主演:シルベスター・スタローン
公開年・国:1979年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/bjDeCLP

▼140文字ブリーフィング:

去年「ロッキー」を見て、
衝撃の面白さだったんですよね。
「え?こんなに面白かったっけ?」って。
「ロッキー2」は、アポロ・クリードとの再戦です。

ロッキーがジョギングをしていたら子どもたちが着いてきて、
最後にフィラデルフィア美術館でガッツポーズ、
っていうシーンありますよね。

有名な。

▼参考画像:フィラデルフィア美術館のロッキー
https://goo.gl/c4f1VE

これって、ロッキー1ではなく、
ロッキー2なんですよね。
それを再認識しました。
映画の面白さは明らかに半減しています。
「3」はどうなんだ?
「復習」の旅は続きます。
分かっているのは「クリード」は最高に面白いということです。
(289文字)



●聖の青春

鑑賞した日:2019年2月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:森義隆
主演:松山ケンイチ
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/2idQ17r

▼140文字ブリーフィング:

29歳で腎不全で亡くなった天才旗手、
村山聖の生涯を描きます。
彼は羽生善治のライバルと目されており、
「東の羽生、西の村山」と言われていました。
腎疾患をかかえて全身がむくんでいる村山になりきるため、
20キロだかの増量をした松山ケンイチの役作りは凄いです。
ただ、映画としては「平均的」かな。
将棋自体の面白さを伝えることは、
この作品では完全に割愛されています。
もっと「この手がなんでそんなに凄いのか」
みたいなことを語る映画のほうが私は好みです。

映画見ながら、原作はきっと面白いんだろうなぁ、
と思っていますと、
先日弟と会ったときに彼が文庫本でこれを読んでいて、
「これ、面白いよ」と勧められました笑。
興味ある人は映画でなく小説をオススメします。
(294文字)



●ソロモンの偽証 前篇・事件

鑑賞した日:2019年2月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:成島出
主演:藤野涼子他
公開年・国:2015年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/2RZEdX9

▼140文字ブリーフィング:

これは、宮部みゆきの原作小説を過去に読んでいました。
映画化されたのは知っていたけど、
原作の性質からすると「あんまり面白くはならないだろうな」
という予感があったのでスルーしてました。
しかし、YouTubeでラジオ代わりに聞いている番組で、
岡田斗司夫が絶賛していて興味を持ちました。

じっさい、面白かったです。
少なくとも前篇は。

主演の藤野涼子は、
オーディションで選ばれ、役名がそのまま芸名になった、
というこの映画デビューの子役。
あと、「まえだまえだ」という兄弟漫才コンビの、
前田君の演技も素晴らしいです。
小説と同じぐらい面白かったです。

劇中で90年代初期に中学生だった主人公たちは、
ちょうど私と同じ年代なので、
当時の時代的な空気感みたいなものも追体験できて、
けっこう拾い物の映画でした。
(340文字)



●ソロモンの偽証 後篇・裁判

鑑賞した日:2019年2月11日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:成島出
主演:藤野涼子他
公開年・国:2015年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/7smGIs2

▼140文字ブリーフィング:

問題の後篇ですね。
中学校で起きた「自殺」事件。
警察は自殺として処理したが、
本当に自殺だったのか、ということを、
「校内裁判」で明らかにしよう、
と死んだ生徒の同級生たちが立ちあがる、、、
というのが物語の骨子です。
サブタイトルの通り、
前篇は事件が転回し、後篇は学校裁判が行われます。

結論から言いますと、
いまいち面白くなかったですね。
原因は「失速」ですね。

構成は原作に忠実なのですが、
裁判を1日目、2日目、3日目、
と言う風にトピック分けすることで、
物語のダイナミズムが失われている感じがしました。
ただ、藤野涼子役の新人女優は素晴らしかったです。
(268文字)



●ベイビー・ドライバー

鑑賞した日:2019年2月2日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:エドガー・ライト
主演:アンセル・エルゴート
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/4w7yA8X

▼140文字ブリーフィング:

これは休みの日に大画面で見ました。
町山智宏さんが書籍で紹介していて興味を持ち。
2017年、2年前の映画ですが、
案外この映画、後々重要な作品になるかも、と直観しました。

というのもこの作品、
「いままでに一回も見たことのない手法」で撮られているからです。
それがまた、めちゃくちゃカッコいい。
きっとこの先10年ぐらい、
これを真似した映画というのが量産されるのでは?
と思うほど。

そういう意味でこの映画は、
タランティーノの「パルプ・フィクション」とか
スコセッシの「グッド・フェローズ」とかと並び、
新しい映像技法の震源地として語られる可能性がある。

どう新しいか?

端的に言うと「ミュージカル」なんですよ、この映画。
でも、ミュージカルっぽくない。
詳しくは見ていただくしかないのですが、
この映画においてすべての「音」は、
背景の音楽(あらゆるジャンルの名曲)とシンクロして、
ビートを刻んでいるのです。
銃撃戦シーンならば銃声が、
カーチェイスシーンならば車がぶつかる音が、
歩くシーンなら足音が、
誰かが何かを説明するシーンならその台詞が、
すべてリズムを刻んでいて、それが音楽と同期している。

見ていただければ分かりますが、
それが「脳内快楽物質」を放出させるのです。
モルヒネ的中毒性がある。
めちゃくちゃテンポが良い上手い漫才を見ていて、
「もはやこれは音楽なのでは?」
みたいな「ゾーン」に入るときあるじゃないですか?
たとえばブラマヨのM-1優勝のときのネタとか、
ジャルジャルのリズムネタっぽいネタとかですね。
あのときと同じ気持ちよさです。

この映画の凄いのは、その撮影技法のイノベーションだけでなく、
それがストーリー的必然も孕んでいるということです。
主人公の「ベイビー」は、銀行強盗の逃がし屋をしています。
彼は過去に交通事故で両親を失ったトラウマのため耳鳴りがなりやまず、
24時間音楽を聴くことで音楽でそれを消しています。

なので、「音楽を聴かないと人性を生きられない」
という主人公が抱える困難と、
アクションや会話シーンのリズムがシンクロする、
という技法上の必然が絡み合って、
非常に完成度の高い仕上がりになっている。
久しぶりに映画で「やられた」と思いました。

、、、私はカーチェイスシーンが大嫌いだと、
メルマガで何度も公言していますが、
この映画に関しては例外です。
この映画における銃撃やカーチェイスは、
ただの「お約束的な記号」としてではなく、
それをやるストーリー上、および音楽上の、
「必然」があるからです。
(1,026文字)



●リンカーン

鑑賞した日:2019年2月9日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:ダニエル・デイ・ルイス、トミー・リー・ジョーンズ他
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/1JPKGM

▼140文字ブリーフィング:

ずっと観たかったんですよね、これ。
2年前の「年間読んだ本ランキング」の、
第一位は、ジョシュア・ウルフ・シェンクという人が書いた、
『リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』でした。
本のカフェ・ラテ形式で紹介しており、
アーカイブブログもアップロードされていますので、
詳しくはそちらをご参照ください。

この本はかなりマイナーかつ分厚く高価なため、
普段本を読まない人にとっては「三重苦」と言いますか、
読まない理由がありすぎる本です。

しかし、何人の人から、
私のメルマガを読んだあとに買って読んだ、
という声をいただき、
別に出版関係者でもないのに嬉しくなりました。

それほどに思い入れの強い本です。
この本を読んだことで私は、
イエス以外の歴史上の人物でもっとも尊敬する人が、
マハトマ・ガンジーからアブラハム・リンカーンに変わったぐらいですから。

スピルバーグという監督は、
何か映画を撮るとき、
決してそれとは言わずに、
この世界の現実に対してメッセージを発しています。
現代の「分断のアメリカ」において、
「リンカーンを語る」ということは、
非常に重要だというのが分かります。

「Divided States of America」をもう一度、
「United States of America」にしなければならない。

そのカギを握るのが、
リンカーンの行動や思想なのではないか、
というのがスピルバーグの伝えたかったことなのではないか、
というのが私の解釈です。

じっさい、この映画には、
「南北戦争」の戦争シーンは、
ほぼまったく、出てきません。
そうではなく、アメリカ合衆国憲法修正第13条という法案を、
リンカーンが議会や有力者にあらゆる根回しをして、
「是が非でも通す」という、「政治劇」なのです。

ちなみに、リンカーンが通した「修正十三条」は以下のとおりです。

第1節 
奴隷および本人の意に反する労役は、
犯罪に対する刑罰として当事者が適法に宣告を受けた場合を除き、
合衆国内あるいはその管轄に属するいずれの地にも存在してはならない。

第2節 
議会は、適当な法律の制定によって本条の規定を施行する機能を有する。


、、、つまり、奴隷制の廃止ですね。
私もこの映画で改めて気づいたぐらいなのですが、
当時はリンカーンら共和党が奴隷制撤廃を、
民主党が奴隷制継続を主張していました。
今のスタンダードでいうと逆だと思うでしょ?

下院で修正13条が通過するには、
反対している民主党から20人の賛成を取り付けなければならなりませんでした。
「世界で最も純粋な男」=リンカーンが、
世界で最も狡猾な政略を使い、
「和平と法案の二重工作」まで行って奴隷制撤廃を達成するのです。

急進派のスティーブンス議員(トミー・リー・ジョーンズ)に、
リンカーンが語った言葉が印象的でした。
「コンパスは常に真北を指してくれる。
しかし、山があり谷があり川がある。
直進するだけならきっと谷に落ちてしまうだろう。
直進しか知らないなら真北を知る意味はない。」
急進派のスティーブンス議員は「人種にかかわらず平等」と、
議会で主張すると考えられていましたが、
これを主張すると共和党の穏健派の賛成が取り付けられません。

スティーブンス議員はリンカーンに影響され、
自分の考えを曲げて、「法の下に平等」というにとどめました。
妥協に妥協を重ねるのが政治だ、というのがよく分かります。
政治家を尊敬できるようになる数少ない映画のひとつです。
民主政治というのは妥協の産物です。
理想と妥協を天秤にかけ、
ギリギリのラインで譲れない一線を通す、
という信念の人が良い政治家なのですが、
現代世界を見渡したとき、
そういう政治家はほとんど見当たりません。
(1,501文字)



●哀しき獣

鑑賞した日:2019年2月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ナ・ホンジン
主演:ハ・ジョンウ
公開年・国:2012年(韓国)
リンク:
http://amzn.asia/d/6AIkc61

▼140文字ブリーフィング:

去年ナ・ホンジン監督の「コクソン」という映画を観て、
めちゃくちゃ面白かったので、
同監督のこちらの映画を観ました。
「コクソン」のときに解説しましたが、
ナ・ホンジン監督は神学校に行って、
真剣にキリスト教聖職者になることを考えたぐらい、
キリスト教に精通しています。
彼は宗教界ではなく映画界で、
「神学する」ことを選んだ。
そういう監督です。

この映画の主人公は、
中国と北朝鮮の国境付近に住む、「朝鮮族」です。
私もまったく無知だったのですが、
彼らは民族としては朝鮮人ですが、
国籍としては中国人です。
彼らは虐げられた生活を強いられているので、
ときどき韓国に逃亡します。
韓国の人は街で「朝鮮族」を見かけることもあるのですが、
「苦しんでいる同胞」という扱いで、
密告する人は少なく、施しをしたりもします。

こういった「悲しい文脈」は、
分断も被支配も経験していない日本人には、
本当に理解するのが難しい。

「コクソン」ほど面白くはありませんでしたが、
韓国映画の役者の「顔力」は相変わらず凄いです。
あと、「ジャンプカット」で状況を説明する手際が、
とても良い監督だと再確認しました。
北野武監督も言っていますが、
多くの映画は「説明しすぎ」なんですよね。
主人公がスーツに着替えて人を殺してその場を後にする。
これを全部のプロセスを撮ると「ダルい」わけです。

主人公がスーツに着替える。
次のカットで主人公は道を歩いていて、
その後ろで人が死んでいる。
これでいいわけです。
「説明しなさすぎ」になって観客を置いてけぼりにせず、
「説明しすぎ」の冗長さをなくす。
この線引きが上手い監督の映画はそれだけで観ていて気持ちよいです。
(686文字)



●アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

鑑賞した日:2019年2月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ギャヴィン・フッド
主演:ヘレン・ミレン
公開年・国:2015年(イギリス)
リンク:
http://amzn.asia/d/1QGwR1s

▼140文字ブリーフィング:

この映画はヤバかったです。
もう「観てください」としか言いようがないですね。
現代の戦争が「どうなってるか」よく分かります。
つまり、ドローンと無人爆撃機の組み合わせによって、
あたかもゲームをするように、
テロリストを「消去」できるようになった米軍と英国軍は、
現代どんな「戦争」を、中東やアフリカでしているのか?
バラエティ報道番組を1万時間観るよりも、
この映画を1本観ることをオススメします。

「ゲームのような戦争」に、痛みはないのか?
いや、痛みはあります。
それも、壮絶で屈折した痛みが。

、、、ここからは好例のネタバレ解説です。


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


まず、この映画、アイキュロスという人の、
以下の言葉の引用で始まります。

「戦争の最初の犠牲者は、真実である」


、、、この意味が、最後まで観ると、
よく分かるつくりになっている。
あとこの映画の構成上の凄いところは、
約90分の出来事を、
約90分の映画に撮っているというところです。
つまり、リアルタイムドキュメンタリーになっている。
「警察24時」みたいな番組とほぼ同じ作りで、
実際の事件を鑑賞者は「追体験」します。

正直私はこの映画を観るまで、
「ドローン戦の現実がここまで来ていた」とは、
純粋に知りませんでした。

ISなどのテロ組織の最重要人物を「消す」ことが、
米軍のミッションです。
そのへんのスパイ活動については、
「ゼロ・ダーク・サーティ」という、
パキスタンでのビンラディン殺害において、
重要な役割を果たした女性捜査官の実話映画が詳しい。

しかし、ドローン戦についてはこの映画がもっとも良く描いている。
まず、カナブン型の偵察ドローンというのが出てきます。
どこからどう見てもカナブンにしか見えない。
しかしそれは「カメラ」であり、
テロリストが打ち合わせをしている家にまで入ることが出来る。
それを英国と米国の2箇所で、
軍の上層部は観ている。

場所が特定できたら次は爆撃です。
それは無人爆撃がします。
この爆撃機は人工衛星からの、
「人の顔の表情まで見える映像」により、
誤差10センチぐらいで爆撃し、
家をテロリストごと吹き飛ばすことが出来る。
その無人爆撃機を「操縦」するのは、
アメリカのネバダ州にある米軍基地に、
「シフト制勤務」する、
学生ローン免除目的の20代の「新米社会人」二人です。

めでたしめでたし。

、、、ではないのです。

ここには重大な倫理的問題があります。
この家の塀のそばには、
「パンを売る少女」がいます。
もし家を爆撃すれば、
何の罪もない少女は9割の確率で死にます。

しかし今このテロリストを爆撃しなければ、
彼らは実行犯となりショッピングモールで、
数百人の犠牲者が出ることになる(可能性が高い)。

「トロッコ問題」というのがあります。
マイケル・サンデル教授によって有名になりました。
それはこういうものです。
以下に紹介するのは脳科学者の、
マイケル・ガザニカさんの考えたバージョンです。

問題1:
トロッコが5人の作業員に向かって暴走している。
このままだと5人は死ぬ運命にある。
彼らを助ける唯一の方法は、
スイッチを押してポイントを切り替え、
トロッコの進路を変えることだ。
だがスイッチを押すと、
5人は助かるが別のひとりが犠牲になる。
この人を犠牲にしても5人を救うべきだろうか?

問題2:
今度もトロッコが暴走し、作業員5人の命は風前の灯だ。
あなたはトロッコと5人の間で線路上に渡された橋の上に立ち、
隣には見ず知らずの太った人がいる。
その人を線路に突き落とせばトロッコは止まる。
その人は死ぬけれど、5人の命は助かる。
さて、あなたはその見知らぬ人を線路に落として5人を助けるべきだろうか?


、、、二つの問題は客観的には「等価」です。
「5人を救うために1人を犠牲にするのは正しいのか?」

、、、しかし倫理的・主観的に、
あるいは脳科学的には「等価」ではありません。
じっさい、大多数の人は問題1にイエスと答えるが、
大多数の人は問題2にはノーと答えるのです。
二つのシナリオの人数は同じなのに、答えは違ってしまいます。

なぜか?

問題2のシナリオの場合、
あなたは「殺人」に直接加担するからです。

話しを映画に戻しましょう。
虫型ドローンと人工衛星からの映像を通して、
「神の目(アイ・イン・ザ・スカイ)」によって、
状況を観察している英米両軍の軍曹と、
ネバダ州の(誰も殺したことのない)若い兵士2人は、
問題2のシナリオに直面するのです。

ガザニカの思考実験の、「見ず知らずの太った人」が、
今は、「家の前でパンを売る少女」になっただけで、
じっさいに起きていることは同じです。

映画はどう転がるか?

「この少女が死ぬ確率」をめぐって英国と米国の軍曹、
外務大臣、さらに首相まで巻き込んだ論争が起きます。
論争とはいえ時間をかけられません。
テロリストが家から出たらタイムオーバーなのです。
どうしてもテロリストを除去したい英国の軍人は担当者に、
「爆心地をあと1メートルずらすことで、
 テロリストたちは確実に殺した上で、
 少女の致死率を60%以下に下げられないか?」
と交渉します。
英国首相と米国の国務長官は、
「爆撃の指令」を与える権限を持っていますが、
最後まで決断を先送りします。
少女を助けたいからでも、
テロリスト除去を遅らせたいからでもありません。

支持率が気になるからです。
もし爆撃によって何の罪もない一般市民、
しかも純真な少女が死んだ、
ということがマスコミの知るところとなり、
それが一般市民に知れ渡ったら?
それこそ「スノーデン事件」や、
ベトナム戦争のときの米軍の蛮行報道のように、
一気に国内は反戦ムードが高まり、
戦争を推進し爆撃を許可した政治家は、
次の選挙で当選できません。

政府の法務担当者はそれが一番気になりますから、
「少女がここを去るか、
 少女の致死率が0%に近づかない限り、
 爆撃をすることに反対だ」と主張します。

どうしてもテロリストを排除したい軍人、
どうしても責任をとりたくない政治家、
どうしても政府に倫理的ミスを犯させたくない倫理委員、
そしてその間で、
「自分の手で太った男をトロッコのレールに落とすかどうか」
の最終判断を自分以外の誰かに委ねる以外ない、
つい最近まで大学生だったネバダ州の若い二人の「操縦士」。

現場でドローンを操縦する、
米軍に雇われた現地のケニア人は、
指令を受けて少女のパンをすべて買い取ろうとしますが、
地区中にちりばめられたISの諜報員に見つかり、
その企ては失敗します。

「どちらを殺すか」というこの決断は、
この若い兵士が、この後どんな心の傷を抱えるかを考えれば分かるように、
人間にはあまりに「ハード」すぎます。
実は今、これをAIに任せようとしている、
という動きがあります。

爆撃するかどうかは、人間ではなくAIに判断させよう。

これで一件落着でしょうか?

違います。

それは考えが甘すぎる。

そうすると、今度はそのAIをプログラムする人間が、
「トロッコのレールの前の太った男を突き落とす選択をする人」
になります。
私たちはこの「ハードな選択」から逃れることができません。

どこまでいっても、
戦争というのは人間が人間を殺す行為なのです。

ここでアイキュロスの最初の引用が思い出されます。
「戦争の最初の犠牲者は、真実である」

この映画を見終わったとき、
つまり90分の爆撃作戦を終えたとき、
作戦本部長も、英米両軍の軍曹も、
米国国務長官も、英国首相も、
2人のネバダ州の新米兵士も、
現地で雇われたドローン操縦者も
そして鑑賞者も、
「まるで全部の生気が奪われたように」、
身体からエネルギーが失われ、
ぐったりします。

誰も幸せではない。
そして、心がダメージを受けます。

、、、それはなぜか?


いたいけな少女が死んでしまったからではありません。
もちろんそれもある。
しかし、もっと大きな無力感は、
「真実(あるいはその一部)が、
 『大義』によって傷ついた」
のがわかるからです。

人間は、真実が傷つくとき、
自分も傷つくのです。

なぜか?

「この世が生きるに値する場所である」
という確信が傷つくからです。

映画の最後に英国軍の上層部が、
英国の作戦会議本部で、
「われわれがクッキーとコーヒーと共に観たこの戦場は、、、」
と語ります。

彼はこれまでに4度、
自爆テロの現場処理に立ち会い、
転がっている数百の死体を目にしたことのある男です。

「誰も、われわれ軍人に対して、
失ったもの(少女の命)に葛藤していないなどと言えない」と。

その言葉は、コーヒーとクッキーのかわりに、
コーラとポップコーンを手に「世界一安全な場所=映画館」で、
「戦場を観賞」する映画鑑賞者に矢印が戻ってくる作りになっている。

監督はこう言いたいのです。
「この映画を見終わったあなたたちは、
 きっと人権活動家よろしく、
 『現代の戦争の悲惨さ、残酷さ、不正義さ』を叫ぶだろう。
 『いたいけな少女』の命を奪った、
 英米両軍を責めるだろう。
 事の発端となったブッシュ大統領にその非難を向けるかもしれない。
 しかし、忘れてはいけない。
 あなたちは、神経をすり減らすようにして、
 この作戦を『世界一安全な戦場』から見届けた軍人よりも、
 さらに安全な場所=映画館や自宅のカウチにいて、
 ポップコーンとコーラを口に入れている。
 あなたたちに果たして、
 軍人たちに何か言えることがあるだろうか?」と。

『世界一安全な戦場』は、
市民が望んだものです。
それを推進するアメリカ政府を、
選挙という形で支援しているのも、
徴兵制を拒否し、志願制にすることで、
学生ローンを払えない貧困層を過酷な戦場に送り続けているのも、
自分だけは火の粉すら浴びたくないと思っているのも、
私たち市民一人ひとりです。

自分だけはまったく手を汚さず、
「テロのない世界」を望み、
それを担保するために自分の代わりに手を汚す、
戦争の遂行者を非難するのは、
あまりにも虫が良すぎるのではないですか?
というのが監督の言いたいことです。

「ぐうの音も出ない」
とはこのことです。

、、、だから映画を観ないでいい、
とは思いません。
だからこそ、この映画は絶対観た方が良い、
と私は思います。
ギリギリの選択をする兵士の神経をすり減り方を、
たとえバーチャルな体験としてであれ、
追体験したかどうかは、
私たちが次の戦争を始めるかどうかを市民として、
「一票」によって決める祭の、
「良心の差動装置」になると考えるからです。
(4,193文字)



●インターステラ―

鑑賞した日:2019年2月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:クリストファー・ノーラン
主演:マーク・マコノヒー、アン・ハサウェイ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/1lEniqG

▼140文字ブリーフィング:

クリストファー・ノーラン監督は好きなんですよね。
『ダーク・ナイト』で鮮烈メジャーデビューし、
『インセプション』という大作を成功させました。
『ダンケルク』ではまったく新しい手法で、
有名な第二次大戦のドイツ上陸作戦を新鮮に描いて見せた。

、、、で、これですよ。

大絶賛するレビューも多くて期待しましたが、
正直な話し、私は「んんーーー?」でしたね。

この映画は完全に、
クリストファー・ノーランが考える、
「2001年宇宙の旅」なんですよね。
キューブリックの「2001年・・」に、
「モノリス」という墓石みたいのが出てきますが、
この映画に登場するロボットはまさに「そのもの」です。
露骨なオマージュですね。

映像表現とかは凄いと思うんですが、
あんまり乗れなかったんですよねぇ。

五次元空間、アインシュタイン効果、
未来から現在への人間からのメッセージなど、
「メッセージ」「コンタクト」「オデッセイ」「ゼロ・グラビティ」
など、宇宙がらみの名作映画を想起させる要素が多いのですが、
あくまでストーリーと「何を見せたいか」が大事だと思うんですよ。
その意味でこの映画は何がしたいのかよく分からなかった。

一番の問題は物理学の「時空表現」が、
あまりにご都合主義なところです。
めちゃくちゃリアルなものを撮ろうとしているのに、
タイムトラベル表現が「ドラえもん」レベルなんですよね。
なので「フィクションライン」がどこに設定されているのか、
いまいちよく分からない。

先ほど上げた4作品は全部、
フィクションラインに整合性がある。
だから面白いんですよねぇ。
ちょっとノーラン監督の「中二病」が発動した感じで、
私は乗れませんでしたね。
凡庸な映画でした。

私の映画レビューがいつも自分と逆、
という人は絶対に面白いはずです笑。
その人は観ましょう笑。
(736文字)



●レザボア・ドッグス

鑑賞した日:2019年2月9日
鑑賞した方法:Amazonでレンタル(199円)

監督:クエンティン・タランティーノ
主演:クエンティン・タランティーノ他
公開年・国:1992年
リンク:
http://amzn.asia/d/iRrbp9o

▼140文字ブリーフィング:

友人とタランティーノの話をして、
突如観たくなりました。
『パルプ・フィクション』のほうがエンターテイメント性は高いけれど、
その元となるアイディアはすべてここに詰まってるんですよね。
やはりこの映画の影響力は凄い、
と思いましたね。
タランティーノ以前の映画って、
「劇中のすべてのセリフはストーリーと関係ある」
という「コード(約束事)」があったのです。

タランティーノはそれを破り、
「ストーリーと関係のない雑談」を、
長尺でぶちこむ。
しかもそれがクールで、
なおかつメタレベルではストーリーを補強する、
という、誰もしたことのない技を編み出したのです。

オープニングの全員ダークスーツを来て、
スローモーションシーンで歩くシーンは、
その後の映画作家が「みんな真似した」ほどクールでした。
90年代以降の映画を語る上で外せないマスターピースですね。

先週テレビプロデューサーの藤井健太郎氏の本で解説したとおり、
タランティーノの作品というのは、
あらゆるシーンがあらゆる映画からのオマージュ(パクリ)であり、
サンプリングからなるヒップホップの手法を映画でやっている、
という点において、過去にいたあらゆる映画監督と、
そもそも作り方からして違うのです。
彼がなぜそれを出来たか?
それは彼が映画業界のプロパーなキャリアではなく、
「オタク」出身者だからです。
「オタク万歳!」ですね。
(570文字)



●クワイエット・プレイス

鑑賞した日:2019年2月9日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(399円)

監督:ジョン・クラシンスキー
主演:エミリ・ブラント、ジョン・クラシンスキー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/8oCDiGU

▼140文字ブリーフィング:

ごめんなさい。
もっと解説したいのだけど、
文字数が制限に近づいてきましたので、
ここからは駆け足で解説します。
最近、後半はいつもこうですね笑。

音を立てると「何か」が襲ってくるという設定が面白く、
その面白さだけで最後まで引っ張っていく映画です。
構造的には『ドント・ブリーズ』という2016年の映画と酷似しています。
設定の矛盾のなさ、物語の建て付けは、
『ドント・ブリーズ』のほうが優れていますが、
エンターテイメント性などではこちらも引けを取りません。

ちなみに、
監督(兼主演)のジョン・クラシンスキーと、
主演のエミリ・ブラントは本当の夫婦だそうです。
奥さんのほうが成功していて有名、
という「格差夫婦」だったのが、
この映画の大ヒットによって、
旦那さんの株が一気に上がったのだそう。
なかなか胸熱ですね。
(344文字)



●ペンタゴン・ペーパーズ

鑑賞した日:2019年2月11日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス他
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/Tmxnmg

▼140文字ブリーフィング:

アメリカ政府が、
「このままではベトナム戦争に勝てない」
というレポートを無視し、
戦線を拡大していたという事実を、
ローカル紙のワシントンポスト紙が報じ、
これに全国紙も追随します。

政府はこれを握りつぶそうとし、
日本で言う「特定秘密保護法」違反だとして最高裁に訴えるが、
最高裁で政府は敗訴するのです。
よく似た映画に、
「スポットライト 世紀のスクープ」
という名作があります。
こちらの場合、スキャンダルは司祭による少年の性的虐待、
「圧力」はカトリック教会とバチカンでしたが。

この映画は監督のスピルバーグ本人が、
トランプ大統領就任を受けて、
「フェイクニュースに対する解毒剤」として撮った、
と自ら語っている映画です。

「大事なニュースというのは、
誰かがそれを圧力でつぶそうとするようなニュースだ」
と劇中のセリフに出てきますが、
それがスピルバーグがもっとも語りたかったことでしょう。
日本も「耳が痛い」話しです。
(394文字)



●みんなのいえ

鑑賞した日:2019年2月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:三谷幸喜
主演:田中直樹、田中邦衛、唐沢寿明
公開年・国:2001年(日本)
リンク:
https://goo.gl/reMScy

▼140文字ブリーフィング:

いまいち楽しめなかったですねー。
三谷幸喜映画、昔好きだったんだけどなぁ。
最近あまり刺さらないんですよね。
ただ、「田中邦衛を見るイメージビデオ」としては最高でした。
(81文字)



●ピクセル

鑑賞した日:2019年2月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:クリス・コロンブス
主演:アダム・サンドラ―
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/ecFgkj

▼140文字ブリーフィング:

ずっとばかばかしい映画です。
ずっとばかばかしい映画と分かっていても、
それでもばかばかしいです。
「無」の映画。
純粋な時間の浪費をしたい人には良いチョイスです笑。
(79文字)



●おのぼり物語

鑑賞した日:2019年2月26日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:毛利安孝
主演:井上芳雄
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
https://goo.gl/L134U7

▼140文字ブリーフィング:

愛知県で友人が教えてくれて、
東京への帰りの新幹線で鑑賞しました。
私が住む街、東伏見を舞台にしたマンガ原作の映画です。
映画としては、特に語るべきことはありませんが笑、
近所の風景で映画を観られるうれしさがありました。
家から徒歩1分のところに雰囲気の良い喫茶店があるのですが、
そこも重要なシーンで何度も出てきたりして。
東伏見がさらに好きになりました。
(172文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「アイ・イン・ザ・スカイ」

コメント:

解説の熱量で分かったかもしれませんが、
やはりこの映画は衝撃でしたね。
かなり「消耗する」映画ですが、
観て損はない、というか、
観た人はほとんど「みなが観るべきだ」と思うような、
そんな映画です。



▼主演(助演)男優賞
ダニエル・デイ・ルイス(リンカーン)

コメント:

本物みたいでした。
(本物観たことないけど笑)

リンカーンって痩せていて背が高くて(193cm)、
そして片足が悪かった、
ということが知られています。
そして小さな声でジョークを言う。
そういった史実に基づくリンカーン像が忠実に再現されていたのは、
もちろんスピルバーグの腕前なのですが、
役者の憑依の仕方もすごいものがありました。



▼主演(助演)女優賞
メリル・ストリープ(ペンタゴン・ペーパーズ)

コメント:

ワシントンポスト社が、
ベトナム戦争を終結させ、
後のウォーターゲート事件と、
ニクソン大統領の弾劾にまでつながる流れを作った、
というのはものすごい快挙だったのです。
首都とはいえ、一地方紙ですから。

それをやったときのポスト社の社長は、
ずっと専業主婦だったが、
夫で社主が病死したことをきっかけに、
「いちども社会で働いたことのない女性」だった、
ということが物語をさらに面白くします。
しかもそれが実話だというのが凄い。

この社長を演じたのがメリル・ストリープなのですが、
彼女の演技により「世間知らずだが純粋」
「この記事を出すと会社が潰れるかもしれないが、
 それでもやるべきことをやる」
という決断に多義性を生んでいます。



▼その他部門賞「撮影技法賞」
「ベイビー・ドライバー」

コメント:

これは完全にやられました。
めちゃくちゃクールです。
自分が映画監督だったら、
真似したくなりますもん笑。


陣内が先月観た映画 2019年1月 『葛城事件』他

2019.06.19 Wednesday

+++vol.077 2019年2月5日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2019年1月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●葛城事件

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:赤堀雅秋
主演:三浦友和
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/bURhe3A

▼140文字ブリーフィング:

葛城(かつらぎ)事件と読みます。
これはねぇ。
テーマがテーマなので、
嫌いな人が多いと思いますが、
私はめちゃくちゃ楽しめました。

これは監督自身が言っていますが、
2001年「池田小事件」(宅間守死刑囚)と、
2008年の「秋葉原無差別殺傷事件」という、
実際に起きた日本犯罪史上最悪の二つの事件をベースに、
「架空の事件=葛城事件」という事件を描くという試みです。

しかし、この映画の「軸」は、
事件を起こし死刑囚となった、
次男の葛城稔(若葉竜也)ではありません。
自殺した長男の葛城保(新井浩文)でもない。
父親の葛城清(三浦友和)こそが、
この映画における最重要人物にして、
「最狂(最も狂っている)」の人間です。

次男の葛城稔がしたこと
(地下鉄の駅でダガーナイフで人々を殺傷する)は、
おぞましいですし、言葉もありません。
しかし、それよりももっと深い闇が、
父親の葛城清にはある。

見ていると吐き気のようなものを覚えてきます。
(映画の紹介として、これはどうなんだっていうね笑)
ただ、このジャンルの映画は、
「最低=映画として最高」なわけで、
その意味でこの映画は傑作なのです。

葛城清とはいかなる人物か?
彼はサイコパスなのだけど、
完全なそれではない、というのがまた恐ろしいのです。
もし彼がマンガに出てくるような、
典型的なサイコパスならそこまで怖くない。

しかし彼はそうではない。
完全に「共感能力」はぶっ壊れているし、
論理は破綻しているし、
世間と彼の常識はまったくかみ合わず、
どこまでもエゴイスティックなのです。

しかし、彼は、
「私たちが知る誰か」と、
地続きなのです。

具体的に葛城清という人物を素描すると、
彼は典型的な団塊世代の悪い部分
(男尊女卑、DV、無駄に高いプライド、
二言目には「日本人のほこり」、
正論で人をなじる、能力が低い)などを、
煮詰めたような存在です。

その葛城清が家族の力学を崩壊させていきます。
真綿で締められるように、
妻も、長男も、次男も、
それぞれにそれぞれの仕方で狂っていきます。
妻は人間であることを諦め、
長男は「良い子を演じて自我が死んだ」結果自殺する。
そして次男は無差別殺傷事件の犯人となる。
家族という太陽系を回る惑星たちは、
それぞれに崩壊していくのですが、
その「地場」を引き起こしているのは父親の清であり、
その清は「私たちが知る誰か」の顔をしている。

めちゃくちゃ怖くないですか?

鑑賞中、「家族という地獄」という言葉がずっと、
私の心に響いていました。
「これは、家族という地獄だ」と。
後で作品について調べると、
私の中に鳴り響いていた「家族という地獄」という言葉こそが、
この作品のポスターに刷られていたコピーだった、
ということを知り、ぞっとしました。
「家族という地獄」などという言葉は、
台詞として一度も発せられていないのにもかかわらず、
監督は「イメージを共有する」という精度において、
これほどの力量を持つ、という証左ですから。

葛城家を象徴するひとつのこととして、
この家族が一度も「料理されたもの」を食べない、
というものがあります。
彼らはうわべだけを見れば仲の良さそうな家族にさえ見えます。
しかし、彼らは一度たりとも、
「料理されたたべもの」を食べません。
何度も何度も食事シーンが出てくるにもかかわらず、
そのすべてが、
出前の寿司、カップラーメン、コンビニ弁当など、
「出来合いの買った食品」なのです。

唯一の「まともなもの」を食べる中華料理のシーンは、
清が「マウンティング目的で」いちゃもんをつけ始め、
最終的に店員に罵声を浴びせ、
「店長を呼べ店長を!」状態になることで、
家族での記念日の団らんは、
台無しになっています。
(清自身は家族が居心地の悪い思いをしていることに気づかず、
自分の権威を示すことが出来たことにご満悦している)

葛城清という男がとにかく最低なのです(つまり映画として最高)。
ゴミです。
「救いようのない人間」というものがいるとしたら彼でしょう。
死刑判決を受けた次男もサイコパスですが、
彼の方がまだ希望があるかもしれない、
と鑑賞者は思う。

そして気づくのです。
「本当の闇」は、
拘置所の壁の「向こう側」にではなく、
「こちら側」にあるかもしれない。
そしてそれは、案外私たちの身近にいるかもしれない、
ということに。

『約束された場所で』という、
村上春樹がオウム真理教の実行犯を含め、
加害者側になった(元)信者達にインタビューした本があります。
この本には村上春樹と
心理療法家の泰斗、河合隼雄の対談も収録されています。
その中で二人が、「オウム事件」を、
マスコミが報道するように、
「あちら側に行ってしまった」人の起こした、
理解不能で凶悪な事件と捉えると、
私たちは認識を誤る、と指摘しています。
そうではなく、彼らと私たちを隔てる壁は、
もっともっと薄く、彼らのいる場所と私たちのいる場所は、
断絶しているのではなく地続きなのだ、
ということを認識しなければならない、と。

『葛城事件』は同じメッセージを私たちに伝える、
優れた作品です。
(2,045文字)



●スノーデン

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:オリバー・ストーン
主演:ジョセフ・ゴードン・レヴィット
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/jkZsCrZ

▼140文字ブリーフィング:

エドワード・スノーデン事件を知らない、
と言う人はほとんどいないと思います。
当時日本でも大々的に報道されていましたから。
しかし、スノーデンという人がいったいどんな人で、
どんな経緯を辿って、
「米国政府はアメリカ人のすべてのSNS、
 テキストメッセージ、ホームページの閲覧を把握しており、
 それらの個人情報はすべて政府にアクセス可能になっている」
という衝撃的な事実をリークしたのか、
という詳細を知る人は多くはないでしょう。

私もご多分に漏れず、
事件の概要をぼんやりと把握していただけで、
これがどんな事件なのか、
映画を観るまで知りませんでした。

まず、スノーデンはハッカーです。
米国政府はハッカーを、
それも天才的なレベルのハッカーを、
大枚をはたいて雇っています。
本人は自分が政府で何の仕事をしているのか、
恋人にすら口外することを許されていません。

それらのハッカーが何をするか?
インターネットの情報の海に入り込み、
米国人3億人、およびネットに接続されている、
世界のほとんど全ての人間(当然日本人も含む)の、
インターネットアクセス履歴、
SNSの友だちのネットワーク、
投稿、ツィッターのダイレクトメッセージ、
Eメール、商品購入履歴などの、
個人情報の「鍵を開けていく」のです。

技術的には、
米軍は私、陣内俊のネット閲覧履歴、
Eメールの文章、
私の連絡アドレス帳、
過去のSNSの投稿、
過去のツィッターやFacebookのダイレクトメッセージ、
そういった情報を、
「意志さえあればいつでも参照可能」な状態にある、
ということです。

さらに、私のパソコンの画面の上には、
小さなウェブカメラが搭載されています。
米軍は遠隔操作できるミームソフトウェアを使い、
私がパソコンを起動すると、
カメラがそれと気づかず起動し、
そのレンズから私の生活をのぞくことも可能です。

これらがすべて、
9.11のテロの後、
「テロとの戦い」を掲げて米軍が進めてきたことです。

もはやジョージ・オーウェルのディストピア小説、
『1984年』の世界の、
「ビッグブラザーはあなたを見ている」
の世界です。

「いや、アメリカは善意の政府であり、
 テロという巨悪と戦うために必要だから、
 こういった行為は正当化される!」
と考える人もいるでしょう。

しかし、私はマックス・ヴェーバーが言った、
「国家とは基本的に暴力装置である」
という定義を忘れてはならないと思います。
政府は善意かもしれない。
政治家は「いい人たち」かもしれない。

しかし市民として国家と対峙するとき、
「国家性悪説」に基づき、
市民は国家に向き合うべき、
と私は思います。

「憲法」を市民が勝ち取った歴史を考えれば分かります。
自民党の政治家たちは完全に勘違いしていますが、
「近代の憲法」は、
国家という暴力装置から、
市民を守るために、
国家を鎖につないでおくために存在しています。
「市民が憲法を守る」ことは出来ません。
憲法を守る主体は国家権力であり市民ではないからです。
「市民の権利を国家は干渉してはならない」
というのが憲法の基本思想です。

こう考えてきますと、
スノーデンが告発したことで明るみにだされた、
アメリカの政府が進めてきた情報戦略は、
憲法に抵触するものだったのかどうか?
これは一考の価値があります。

スノーデンは米国の法律に違反し、
「国家に反逆した罪」で、
米国に入国することが出来なくなりました。
(彼は今ロシアにいると言われている)
アメリカに帰るやいなや、
裁判→有罪→懲役(死刑を求める議員もいる)です。

じっさい、日本にも「特定機密保護法」という法律があり、
それに違反すると最長懲役10年の量刑に処されます。
スノーデンが米国の法律に違反したのは異論の余地はありません。
しかし、劇中でスノーデンは「ニュルンベルク原則」について語ります。
それは第二次大戦後のナチスの実行犯を裁くために採用された、
国際法に関する原則で、こういうものです。

「法令遵守という国民の義務を超越した、
人類普遍の義務を、すべての個人は有している。
したがって、個々の市民は、
平和と人道に対する犯罪が生じることを防ぐために、
ときに国内法にそむく責務を持つ」

「法令遵守という国民の義務」を超越した、
人類普遍の義務があるので、
たとえば国内法が「ユダヤ人を殺す」ことを要求する場合でも、
それを「破る義務」が「人間として」あるのだ、
というのがこの原則です。

この原則でなければアイヒマン(ナチスの高官)は裁けないわけです。
だってアイヒマンはナチスの国内法を、
完全に遵守していたので、
あの枠組みの中ではまったく犯罪者ではないわけですから。

この映画「スノーデン本人」が最後に登場します。
あれ、どうやって撮ったんだろ。
監督がロシアまで行ったのかな?
いずれにせよ面白い映画でした。
(1,933文字)



●blank13

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(500円)

監督:斎藤工
主演:高橋一生、松岡茉優、斎藤工、リリー・フランキー
公開年・国:2018年
リンク:
http://amzn.asia/d/g9hll2t

▼140文字ブリーフィング:

義理の兄が「出張に行く飛行機で見て面白かった」
と以前話していたのを聞いていて、
Amazonでレンタル出来たので観ました。

これはねぇ。

映画と言うよりも、
「斎藤工による70分の長編コント」と考えた方が良い。
松本人志の「ビジュアルバム」という、
長編コントだけを収録したDVDがあるのですが、
その類いと考えた方が良いでしょう。

しかも「葬式コント」。

しかし、といいますか、
それなのに、といいますか、

いや、だからこそ、泣けるのです。

借金だけを残して失踪した父親(リリー・フランキー)に、
息子(斎藤工と高橋一生)が、
13年ぶりに会う。

父親がガンで余命わずかだという知らせが、
再会のきっかけになります。
後半はほとんど「葬式コント」です。
葬式という特殊空間のなかで、
お父さんの友だちだという人々の、
「キャラ祭り」なわけですよ。
お父さん、どんな人生歩んできたんだよ、という。

詳しくは言えませんが、
最後の「作文のくだり」はヤバいです。
ヒントを言いますと、構造的には、
「オールウェイズ三丁目の夕日」に、
茶川先生(吉岡秀隆)お田舎のお父さんが死んで、
実家に帰るシーンに似ています。

この作品、
はしもとこうじさんという放送作家のお父さんの、
実話に基づく話しだそうです。
(516文字)



●渇き。

鑑賞した日:2019年1月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:中島哲也
主演:役所広司、小松菜奈
公開年・国:2014年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/0k3uA6P

▼140文字ブリーフィング:

『告白』の中島哲也監督の作品ということで、
期待して見ました。

失踪した娘を追う父親(役所広司)が、
娘の加奈子(小松菜奈)の異常さ、
恐ろしさに出会う、という筋書きです。

加奈子がもう「すげーサイコパス」なわけです。
系列でいうと東野圭吾の『白夜行』の雪穂に近いかな。
「サイコパスもの」と中島哲也監督の相性は良いし、
撮り方も嫌いじゃないです。

ただ、構成的にこの映画、
加奈子の「サイコパスパート」と、
役所広司の「ハードボイルドパート」が、
交互に展開されるのですが、
ハードボイルドパートがちょっと「?」だったかな。

「ぶっ殺す、クソがぁ!」の連続で食傷しました。
もう、お腹いっぱい。
「ぶっ殺すキャラ」の役所広司が「ノイズ」になって、
サイコパスの怖さをちゃんと感じることが出来ないんすよね。
どちらかが正常じゃないと、
味わえないタイプの映画だと思うんですよ。
『白夜行』で、雪穂を追いかけ続ける笹垣刑事が、
ずっと血まみれで、銃をぶっ放しまくり
「ぶっ殺すぞコラァ」って言い続けてたら、
なんか「冷める」でしょ。
雪穂の怖さが際立たなくなる。
異常者が異常者を追いかける話になっちゃうから。

志は面白いが、失敗作と感じました。
(496文字)



●ザ・ウォーク

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ロバート・ゼメキス
主演:ジョゼフ・ゴードン・レヴィット
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/f0fkMmN

▼140文字ブリーフィング:

実話に基づく話です。
「スノーデン」に続き、
今月2本目のジョゼフ・ゴードン・レヴィット主演作品。

フィリップ・プティという実在の大道芸人の話です。
フランス人の彼は「芸術的犯罪」を行う芸人で、
1971年にはノートルダム大聖堂の二つの尖塔の間にワイヤーを張り、
綱渡りに成功しています。

当然建物の管理者も警察もそんな奇行を許すわけがありませんから、
無許可です。
「誰も殺さないテロリズム」なのです。

しかし、そこを通りがかった人々は熱狂の渦に包まれる。
翌日の新聞も騒ぎ立てる。
当局は彼を拘留し、
「なんかいろんな条例に違反してるので」
という理由で罰則を与えますが、
彼の「犯罪」は各地で人気を博するのです。

そんな彼がある日、
ニューヨークにワールドトレードセンタービルという、
世にも巨大なツインタワーが建設中であることを、
新聞で読んでから、それに取り憑かれたようになります。

そしてチームを形成し、
アメリカに渡り、
その「犯行計画」を実行に移す、
というのがこの映画が描いていることのすべてです。

「ケイパーもの」という映画のジャンルがあります。
チームで強盗などのミッションを行う有様を描くジャンルがそれで、
オーシャンズシリーズが代表的ですし、
日本のアニメ「ルパン三世」もケイパーものですね。

この映画、高所恐怖症の人は見ない方が良いです。
つまりこれは映画に対する褒め言葉であり、
それだけ「高いところにいる恐怖」がちゃんと伝わっているということです。

まだ完成していないワールドトレードセンタービルにワイヤーを張り、
プティが綱渡りを敢行した犯行当日、
ニューヨーク市は騒然となります。
地上には黒山の人だかりが出来、
テレビ中継車が集まり、
たくさんの消防車、パトカーが出動し、
消防のヘリコプターが飛ばされます。
ヘリコプターから警察がプティに拡声器で警告します。
「あなたは今100以上の条例に違反しています。
 落ち着いてゆっくりと、
 ただちに戻ってきなさい。」
そんなヘリコプターをおちょくるように、
彼はロープを何往復もした後、
「やりとげた満足感」に浸って、
数十人の警察に逮捕されます。

彼は一躍「時の人」となり、
ニューヨーカーは彼のしたことを大絶賛します。
警察はそんな彼に重罰を科すことは出来ず、
「厳重注意」だけで釈放する。
(実は警察官も「人間としては」彼のした、
 「オシャレな犯罪」を心では応援していたのが分かります)

この映画、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、
『フォレスト・ガンプ』のゼメキス監督が撮ってるんですよね。
ゼメキス監督は愛国主義者で知られていて、
背後に政治性が潜んでいることが指摘されることもある。
なんでそんな人が「こんな題材」を選んだんだろう?
という疑問があります。

私は「9.11」にその理由があると思っています。
世界の誰もが知るように、
21世紀が始まった年に、
ワールドトレードセンタービルは民間機の突撃という、
衝撃的なテロ行為によって、
この世から姿を消しました。

ニューヨーカー(およびアメリカ人)にとって、
1974年に完成したツインタワーは、
30年以上、「景色の一部」であり、
自分たちのアイデンティティでもあったと思うんですよ。
東京という街にとっての東京タワーとスカイツリー、
パリという街にとってのエッフェル塔みたいなもので、
「それが消えてなくなる」というのは、
心にぽっかり穴が空くような、
自分たちのアイデンティティがダメージを受けるような、
そんなトラウマ体験だと思うのです。

日本から「富士山」が消えたら、
「何か足りない」と思うのと同じで、
ニューヨーカー(およびアメリカ人)は、
9.11以降ずっと、「何かが失われた感覚」を、
持ち続けているだろうことは想像に難くない。

この映画の最後に、
「ニューヨーカーはこの一件で、
ワールドトレードセンタービルが好きになった。
彼がしたことがツインタワーに命を吹き込んだ」
という後の言説が紹介されます。

ワールドトレードセンタービルは、
エッフェル塔がかつてそうだったように、
建設前、建設中は、批判する人が多かったのです。
「景観が損なわれる」とか、
「そんなデカいものを作って、
 ニューヨーク市の美しい景観を乱す」とか、
そういうことを言う人も多かった。
しかし、プティの「テロ行為」により、
ツインタワーは「物語」を与えられたのです。
それにより、ツインタワーが「ニューヨーカー」になった。

何が言いたいのか?
この映画『ザ・ウォーク』は、
ロバート・ゼメキス監督なりの、
ツインタワーへの「追悼」なのだ、
というのが私の見立てです。
こんなことを言ってる人は他にいないので、
間違っているかもしれませんがあくまで私の読みとして。

ツインタワーは「テロ行為」によってこの世から姿を消しました。
しかし「テロ行為」によって命を吹き込まれたビルでもある。
それを思い出すことによって、
「かつてのニューヨークのシンボル」に、
ちゃんとお別れを告げる儀式だったのではないか、
と私は思うわけです。
(2,027文字)



●アイヒマンを追え!

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ラース・クラウメ
主演:ブルクハルト・クラウスナー
公開年・国:2015年(ドイツ)
リンク:
http://amzn.asia/d/0Dsudrh

▼140文字ブリーフィング:

アイヒマンっていう名前、
聞いたことがある人ってどのくらいいるんでしょう?
アドルフ・ヒトラーは知ってるけど、
アイヒマンは知らないっていう人が多いかもしれない。
ただ、アイヒマンはナチスを語る上で外せない重要人物です。
彼はナチスの「SS」と呼ばれる親衛隊のトップで、
ナチスのユダヤ人虐殺の実務における最高責任者でした。

私はハンナ・アーレントという哲学者が、
アイヒマンについて書いたとき、
「凡庸な悪」という有名な形象を使ったことを知っていました。
700万人とも言われるユダヤ人の虐殺をその手に掌握していた、
アイヒマンという人物はさぞかし悪人の形相をしており、
さぞかし悪魔的な人間なのだろう、
と誰もが思っていたが、その実相は違った、と。
彼は「小役人」だったと。
自分の保身のことだけを考える、
「生真面目で小心で偏差値秀才的な官僚」だった、と。
本当の巨悪は、マンガに出てくるような「いかにも悪者」ではない、と。
そうではなく、
「あなたや私のような小市民」も、
その悪と地続きなのだ、ということを、
アーレントは「凡庸な悪」で語っています。
そういえば東京裁判で日本の将校たちも、
「上に言われたのでやるしかなかった」と、
口をそろえていましたね。

はい。
先ほどの話とつながりますね。

葛城事件ともつながります。
巨悪は私たちと地続きであり、
私たちはいつでも「向こう側」に堕ちかねない。
そういう認識を持つ人だけが、
巨悪に肩を叩かれたとき、
それと自覚的に戦うことが出来るのです。

、、、で、
ヒトラーは敗戦直前に自殺したことは多くの人が知っていますが、
アイヒマンはどうなったか?
彼は戦後もしばらくアルゼンチンに潜伏していたのです。
私はこの事実を知らなかった。
戦後すぐニュルンベルク裁判で裁かれ処刑された、
というのが私の認識でしたから。
やはり私は近現代史に弱い。

この映画は、アルゼンチンに潜むアイヒマンに気づき、
それを追いかけるバウアー検事の物語です。
日本もそうですが、戦前と戦後って、「地続き」です。
戦後日本を作った二人の総理大臣、
安倍首相のおじいちゃんの岸信介と、
麻生太郎のおじいちゃんの吉田茂が、
戦前の日本政府が太平洋戦争を推し進める上で、
最重要人物だったのと同じで、
戦後西ドイツの指導部には、
あらゆる場所に「ナチの残党」が残っていました。
バウアー検事がしたことは、
彼らの「虎の尾を踏む」ことだった。

つまり、アイヒマンが捕まると、
芋づる式に自分たちにも捜査の手が及ぶのでは、
と彼らは恐れたのです。
あらゆる汚い手を使って、
バウアー検事のアイヒマン追跡は妨害されますが、
最終的にバウアー検事は、
イスラエルのモサド(イスラエル版CIA)の協力を取り付け、
アイヒマンを追い詰めることに成功します。

アイヒマンは最終的にどうなったか?
イスラエルで裁かれるのです。
いやー知らなかった。
自分の近現代史の知識がアップデートされました。
(1,190文字)



●ムーンライト

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタルして観賞

監督:バリー・ジェンキンス
主演:トレヴァンテ・ローズ
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/aXIV8hR

▼140文字ブリーフィング:

2017年アカデミー賞の作品賞受賞作品です。

アカデミー作品賞って、
日本の芥川賞と似たところがあるんですよね。
「エンターテインメントとして面白いかどうか」よりも、
「文学的かどうか」が評価基準になる。

『ムーンライト』もまさにそれで、
映画というより、明治の私小説を読んでいるような、
文学的な趣のある作品でした。

ゲイ・黒人・ドラッグ・虐めなどの悲惨な現実にゆれる、
ひとりの黒人青年の半生を描く作品です。
三部構成が特徴的で、
第一部(少年期)、
第二部(十代)、
第三部(青年)となっています。

第一部、第二部でいじめにあっていた主人公のシャイロンが、
第三部で筋骨隆々になり、金歯を入れ、
金のネックレスを付けたドラッグディーラーになります。
彼の過去を知る私たちは、
「彼がなぜこの鎧をまとっているのか」ということを、
身を切られるほど痛々しく知っているわけです。
切なく甘酸っぱく、そして美しい話でした。
(390文字)



●イントゥ・ザ・ストーム

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル

監督:スティーブン・クォーレ
主演:リチャード・アーミティッジ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/9myQ9J5

▼140文字ブリーフィング:

低予算のB級映画の部類ですが、
けっこう凄い映画でした。
竜巻の中心に行き、そこで映像を撮る、
ということに人生をかけた、
「ハリケーンハンター」という人たちがアメリカにはいます。
テレビ番組の『クレイジージャーニー』に出てきそうですね。
そのハリケーンハンターチームが、
巨大な竜巻に遭遇し、、、という筋書き。

実はこの映画、「怪獣映画」なんですよね。
怪獣が竜巻だ、というだけで。
では怪獣映画として出来はどうか?
素晴らしい出来でした。
能書きは抜きにしていきなり本題に入る感じとか、
竜巻が出てきてからのスピード感とか、
「竜巻」というフォーカスが、
ひとつの街の人々の群像を浮き彫りにし、
それぞれの人生の歯車が狂ったり変わったりする感じとか。

私の映画評論の師匠、ライムスター宇多丸氏が、
ハリケーンハンター「タイタス」のリーダーは、
メルヴィルの名作「白鯨」におけるエイハブ船長なのだ、
と語っていて思わず唸りました。
「ああ、ホントだ、その通りだ」と。
(413文字)



●勝手にふるえてろ

鑑賞した日:2019年1月3日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(400円)

監督:大九明子
主演:松岡茉優
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/8wL1zxV

▼140文字ブリーフィング:

これは面白かったです。
これは松岡茉優の演技力の勝利ですね。
「自意識の中に引きこもってしまった」、
オタク的なこじらせ女子の話なのですが、
彼女じゃない下手な人がやると、
「キワモノ」みたいになってしまうでしょう。

過剰なモノローグや妄想を、
「これは特別な人間の話ではなく、
 普通の女の子の話である。
 いや、これは私の話だ」
と多くの女性に思わせる説得力を備えている。

そしてこれは「他者性」の話しでもあります。
主人公は誰の名前も覚えません。
自分の中で勝手に周囲の人々に名前を付け、
「記号化」します。
(それを当人にも、もちろん他人にも言いません。
 基本的に自分以外の人間はバカだと思っているので、
 それを他人に共有しても理解しないと、
 ハナから決めつけているので)
彼女には自分に言い寄ってくる彼氏候補「二」と、
学生時代から妄想の中で恋人にしている「一」という、
二人の男性がいます。

その二人の間で揺れてる、と彼女は思っているが、
それを誰にも共有していない。
(どうせみんなバカだから)

、、、この先はネタバレ注意です。


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


「二」は会社の同僚なのですが、
うざいぐらいに彼女にアプローチをかけてきます。
彼女はラストシーンで初めて、
「二」の名前を「○○君」と呼びます。
このとき初めて彼女は「他者に対して開かれる」のです。
「他者に対して開かれる」ことは、
現代の若者にとっての救済の物語だ、
というのがよく分かります。

「他者」がないときの彼女が、
同窓会で会った「一」と話しているとき、
「まるで自分と話しているみたいだから好き」
と言います。
その後、「一」は彼女の名前すら覚えていなかったことを知り、
そのショックで彼女は会社に「不登校」になります。

これに対して彼女のことを心配して、
ほとんどストーカーのように、
家の前まで来て叫ぶ「二」は、
「あなた、私の何を知ってるって言うのよ」
と突き放す彼女に対し、
「君のことを僕は何も知らない。
 正直、まったく分からないことだらけだ。
 だから好きなんだ!」
と叫びます。
この瞬間「二」によって心をこじ開けられた彼女は、
初めて「二」を名前で呼ぶのです。

現代の若者の「自己という地獄」は、
「自らが閉じた系になっている」
というのが特徴です。
オタクカルチャーに、
「セカイ系」という言葉がありますが、
その特徴を良く表しています。
この映画、かなり変化球に見えて実は、
「セカイ=自分」の、「自我こじらせOL」が、
「他者」と出会うという正統派のストーリーなのです。
(1,043文字)



●ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

鑑賞した日:2019年1月5日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(400円)

監督:アレクサンダー・ペイン
主演:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/epQep5S

▼140文字ブリーフィング:

おじいちゃんになった父親が、
「宝くじに当たったから100万ドルを取りに来てください」
というダイレクトメールを受け取り、
「取りに行く!」と言って聞かない。
40代の息子は当然止めます。
「それはよくある詐欺だ!」と。

しかし、息子は、
行けば気が済むのなら、、、
と途中で考えを変え、父と息子の二人旅を始める、、、
という筋書きです。

アメリカにおけるネブラスカというのは、
ワイオミングなどと一緒で「田舎」の代名詞でして、
アメリカ人はネブラスカと聞いて、
「何もないところ」と連想するのです。
英語で「ネブラスカ州」を検索すると、
検索バーの第二検索ワードに「何もない」が出る、
と町山智宏さんがラジオで言ってました笑。

田舎をおじいちゃんが旅する映画が私は好きです笑。
「シルバーロードムービー」とでも言いましょうか。
このジャンルには『ストレイト・ストーリー』という名作がありますね。

町山智宏さんの書籍によると、
アレクサンダー・ペイン監督はネブラスカ州出身で、
小津安二郎の大ファンだそうです。

そうか!!

これはアメリカ版『東京物語』なのです。
「老人の旅」が家族の再発見をもたらす、という。

何のこと?

という人は是非『東京物語』見てください。
映画の古典中の古典ですから、観て損はないです。
白黒映画苦手っていう人は、
山田洋次監督のリメイク『東京家族』でも良いので。
(565文字)



●シェフ 三ツ星フードトラック始めました

鑑賞した日:2019年1月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョン・ファブロー
主演:ジョン・ファブロー
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/3MdNVbc

▼140文字ブリーフィング:

これは予想をはるかに上回って面白かった、
「掘り出し物ムービー」でした。
素晴らしかった。

監督は『アイアンマン』の監督をしてブレイクした、
ジョン・ファブロー。
なんと主演もジョン・ファブロー。
ジョン・ファブローの監督&主演作です。

脇役がやたら豪華なのも納得です。
スカーレット・ヨハンソンや、
ロバート・ダウニー・Jrなどが、
「ちょい役」で出ています。

この映画の素晴らしいところは、
1.料理がとにかく美味そう。(空腹時には観ないほうが良い)
2.「料理の手際」がとにかくセクシー。惚れる。
3.音楽が最高にアガる。
3.父と息子の絆、同僚の絆にグッとくる

これだけ揃ってれば、
あとは何の情報もなくても観て損はないのですが、
さらにさらにこの映画、
私は宇多丸師匠の解説で知ったのですが、
ジョン・ファブロー監督の、
「監督としてのキャリアの葛藤」を、
主人公のシェフとしてのキャリアの葛藤として、
換骨奪胎して語った「自伝的作品」でもあるのです。

胸熱ですね。

手際よく解説してくれるAmazonレビューを見つけたので、
それを引用します。

〈映画単体としては薄っぺらいという意見も目立つけど、
本作の主演・監督はアイアンマンを撮った監督。
アイアンマンの成功を皮切りに今日のマーベル関連作品があるわけだが、
監督はある作品の興行的失敗をきっかけにドン底に陥る。
本作はそこからの再起を料理に置き換えた脚本。
(中略)
料理と映画が多重構造になっているのが、本作の隠し味だと思う。〉


、、、映画の中で主人公は、
雇われシェフとして高給を貰うが、
オーナーの言うとおり、
「万人受けするつまらない料理」を作ることに葛藤を覚えます。
自分はもっと、人に感動を与えるような料理を作りたい。
自分が料理人になったのは、
金儲けしか興味がないオーナーの言いなりになるためなのか?
有名レストランを辞職し、
フードトラック(屋台)を始めた彼は、
料理を通して人が笑顔になる、
という原点に返ります。

雇われシェフを「ビッグバジェット雇われ監督」
オーナーを「マーベルや大手配給会社」
フードトラックを「低予算の手作り映画=この映画!」
と置き換えたら、まったく彼自身の話なのです。
素晴らしい映画でした。
(905文字)



●ボヘミアンラプソディー

鑑賞した日:2019年1月11日
鑑賞した方法:大泉の映画館で鑑賞(1800円)

監督:ブライアン・シンガー
主演:ラミ・マレック
公開年・国:2018年(イギリス)
リンク:
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

▼140文字ブリーフィング:

これは解説の必要があるのでしょうか?
世界的に「社会現象」となっている本作。
「東京ポッド許可局」というお気に入りのラジオ番組でも語られていて、
興味はあったのですが、友人が「観た、良かった!」
というのを聞き、なんとか時間を作って観に行きました。

この映画は、映画というよりも「コンサート」なので、
批評には向きません。
クイーンの音楽の力であり、
フレディ・マーキュリーの天才の力です。
最後の「ライブエイド」の20分はサブイボものですよ。

あと、フレディ・マーキュリーがゲイだというのは知っていましたが、
彼がインドからの移民だとは私は知りませんでした。
彼の孤独の深さが映画を観るとよく分かります。
「孤独と創造性」というのは表裏一体なんですよね。
(315文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
『葛城事件』

コメント:

ブリーフィングの熱量から予想はついたかもしれませんが、
『葛城事件』が、「月間陣内アカデミー賞・作品賞」です。
たぶんこの映画は、嫌いな人のほうが多いでしょう。
観た後に心理的にダメージを受ける、
そしてそれを楽しむ「マゾヒズム映画」ですから。
激辛ラーメンを好んで食べに行ったりする心理に似てますね。

でも、マゾヒズム的な面白さだけじゃないんですよね。
この映画はある意味、「ディストピアSF」と同じで、
「徹底的に病んだ個人と家族」を見せられることで、
その裏側の「では健全とは何か」のヒントが得られる。

凶悪な殺人事件などがあると、
ワイドショーで何週間も何週間も、
「犯人の心の闇とは何だったのか?」
みたいな報道が繰り返されますよね。

あれを1,000時間観るより、
この映画を1本観た方が、
よほど役に立ちます。

なぜか?

ワイドショーは、
「凶悪な犯人はあちら側におり、
 善良な視聴者(我々)はこちら側にいる」
という人間観に基づくが、
この映画(や村上春樹のオウム関連ノンフィクション)は、
「私たちと犯人を隔てる膜は驚くほど薄い」
という前提に立つからです。

そして、耳の痛いことに、真実は後者にあります。
真実とは多くの人が聞きたいと思わないことなのです。
「真実は視聴率を取らない」。
マスコミ報道のジレンマがここにあります。



▼主演(助演)男優賞
三浦友和(葛城事件)

コメント:

葛城事件の三浦友和は、
めちゃくちゃ説得力がありました。
もうね「クソ」なんですよ。
真まで腐ってしまってるんですよ。
つまり、映画として最高、ってことです。



▼主演(助演)女優賞
松岡茉優(勝手にふるえてろ)

コメント:

解説した通り、
このポジションの役は、
めちゃくちゃ難しいバランスの上にあります。
「普通の人の中にある深い病理」を描く上で、
普通じゃんと思わせたら駄目だし、
これは異常な人じゃんと思わせても駄目。
明らかに異常なんだけど、
でも、満員電車の向かいの席に座るOLの、
10人に7人ぐらいの内面は、
実はこれと似たものなのかもしれない、
と思わせなければならない。
そのバランスを成立させている、
松岡茉優の演技は白眉です。



▼その他部門賞「胸熱賞」
『シェフ 三ツ星フードトラックはじめました』

コメント:

これは胸が熱くなりました。
ジョン・ファブロー監督が凄いんですよとにかく。
じっさいこの低予算映画のために、
彼は一流シェフの弟子入りをして、
料理の手際などを身に着けています。
彼が野菜を切るシーン、
パスタをゆでるシーン、
肉を皿に盛り付けソースをかけるシーン、
本当にそそります。
惚れます。

この映画の興行成績はどうだったか?
メガヒットだそうです。
米国で当初小数の映画館での上映だったのが、
SNSの口コミにより火がつき、
異例のロングランヒットになった。

まさにこの映画のシェフに起きたことと同じです。
自分自身の自画像を映画で描き、
しかもそれが自分の本当のキャリアの再起となった、
という意味では、「ロッキー」における、
スタローンとまったく同じですね。

彼はあの映画の脚本を書いて主演し成功する前は、
劇中のロッキーとまったく同じで、
鳴かず飛ばずの脚本家志望の30代であり、
もう人生を棒に振ってしまったのか、
という危機の中にあり、
ロッキー本人と同じく、あの映画で起死回生しましたから。

陣内が先月観た映画 2018年12月 『こんな夜更けにバナナかよ』他

2019.05.08 Wednesday

+++vol.072 2019年1月1日配信号+++

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■2 陣内が先月観た映画 2018年12月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
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●イット・フォローズ

鑑賞した日:2018年12月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
主演:マイカ・モンロー他
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/1MmrmZ9

▼140文字ブリーフィング:

これはかなり面白かったです。

ここで豆知識を。
アメリカで「イット」というのは、
鬼ごっこの「鬼」のことです。
子どもが鬼ごっこするとき、
じゃんけんで負けた子どもに、
「お前がイットだ」「じゃあ、私がイットね」
と良います。

この映画のタイトルの「イット」は、
「鬼ごっこの鬼」の意味と、
「得体の知れない何か」という意味がかかっています。

さて、この映画ですが、
低予算なのに口コミを通して全米に広がり、
結果的に大ヒットした、という、
日本で言う「カメラを止めるな!」的な映画です。

十代の子どもたちが主人公で、
「セックスをすると、
 『何か』が追いかけてくる。
 誰か他の人とセックスをすると、
 『何かに追いかけられる状態』が相手に感染し、
 自分が自由になるかわりに、
 セックスをした相手が今度は、
 『何かに追いかけられる』ようになる。」
という筋書きです。

は?

何いってんの?

ですよね。

まったく何のことか分かりません笑。

『何か』というのは、
「鬼」なんです。
この鬼は、一度感染した人にしか見えません。
そして、必ず歩いています。
走ることは出来ない。
しかし、どこまでも追いかけてきます。
鬼は、その人の知り合いの姿をしていますが、
何故か卑猥な格好をしています。
裸足だったり、裸だったり。
町中なのに。

怖いでしょ。
ゾンビ映画のようでもあり、
ホラー映画でもあり、
何かしらの教育的・哲学的な要素が背後にあるような香りもします。

たぶん一番近い映画は、
ヒッチコックの「鳥」という映画です。
鳥がひたすらに自分を襲ってくる、
というだけの映画ですが、
得体の知れない不気味さがあります。

なぜホラー映画、ゾンビ映画を人々は観るかというと、
ゾンビや、ヒッチコックならば「鳥」が、
現実の世界に生きるわれわれにとっての「何か」の比喩だからです。

鑑賞者によってそれは変わります。
それは「実存的不安」かもしれない。
ある人にとっては「借金」かもしれない。
ある人にとっては「会社での業績」かもしれないし、
ある人にとっては「家族」かもしれない。

「イット・フォローズ」は、
セックスを媒介して感染する、
というところから、
米国では当初、
「これは性感染症のメタファーであり、
ゆえにこの映画は貞操を守るようにという、
教育的な意味を込めた映画なのだ!!」
という解釈が流布したそうです。

しかし、後のインタヴューで、
監督はこれを否定します。
そうではなく、「イット」とは「死」なのだと。
媒介するものがなぜ「セックス」なのか?
それは、「セックス」が「生きること」の象徴だからだと。
つまり、私たちが生きるというのは、
「死の足音」から逃げる鬼ごっこのようなものだ、
という「根源的不安」をこの映画は描き出したのです。

だから人々は、
「なんかよく分からないけど、
 この映画に引きつけられる」
という状態になり、
低予算にもかかわらず観客動員数が伸びたわけです。

、、、実はこの手法というのは「古典的」で、
先ほどのヒッチコックの「鳥」もそうですが、
カフカの『城』や『変身』、
安部公房の『砂の女』なども、
この系譜に連なります。
(1,249文字)



●奇蹟がくれた数式

鑑賞した日:2018年12月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マシュー・ブラウン
主演:デヴ・パテル、ジェレミー・アイアンズ
公開年・国:2016年(イギリス)
リンク:
http://amzn.asia/d/8qhSTTD

▼140文字ブリーフィング:

私は数学や数学者に関する本を読むのが好きです。
この「ジャンル」には、
『素数の音楽』『フェルマーの最終定理』など、
めちゃくちゃ面白い本がたくさんあります。

、、、で、
結構多くのこれらの本に登場するのが、
彗星のように現れたインドの天才数学者、
ラマヌジャンです。

ラマヌジャンは数学者をして「天才」と言わしめる、
「真正の天才」です。
ある数学者によれば、
「アインシュタインよりも凄い頭脳であり、
とても地球人とは思えない」そうです。

ある日、ケンブリッジ大学の数学者ハーディ卿は、
インドのラマヌジャンと名乗る男から、
膨大な数式を書いた手紙を受け取ります。
どうやらこの男、
正規の教育すら受けていないらしい。

ばかばかしいと思って、
その手紙をしばらく放っておきますが、
ある日それを見てハーディ卿は度肝を抜かれるわけです。
それらの数式が、
「とてつもない内容」だったからです。

ハーディ卿はラマヌジャンを呼び寄せ、
ケンブリッジの寮に住まわせ、
共同研究を始めるが、、、
という実話に基づく話しです。
当時はまだ英国社会において、
「かつて属国だったインド人」の地位は低く、
ラマヌジャンは様々な差別に直面しますが、
ハーディ卿がだんだんと彼を、
「100年にひとりの天才」としてだけでなく、
「友人」として認識していく様は、
胸が熱くなります。

主演はスラムドッグ$ミリオネアのデヴ・パテル。
インドロケをしたインドの映像や、
ケンブリッジのトリニティアカデミーの風景が非常に美しく、
「良い映画を観たなぁ」という気持ちになりました。
(640文字)



●マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

鑑賞した日:2018年12月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マイケル・ムーア
主演:マイケル・ムーア(ドキュメンタリー)
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/8JkPYLD

▼140文字ブリーフィング:

これはめちゃくちゃ面白かったです。
マイケル・ムーアは「左翼的だから」という理由で、
嫌いな人も多いですが、
この映画はオススメできます。

マイケル・ムーアが、
「アメリカは世界各地で、
 軍事的に世界侵略を進めてきた。
 私も世界に飛び出して、
 軍事的ではない方法で、
 米国の世界侵略を進めよう!」
と旅立ちます。

彼は主にヨーロッパ各地に飛び立つのですが、
そこで出会う様々な制度や社会の在り方が、
アメリカとは「真逆」なわけです。
そしてムーアは言います。
「ここに星条旗を立て、
 この『文化的戦利品』を、
 アメリカに持ち帰って良いですか?」

具体的にどんなものがあるかというと、
イタリアのバカンス(年に4週間は皆が取る)、
フランスの学校給食
(1時間たっぷり時間を掛け、一流のシェフが料理する。)、
ドイツの労働観(5時になると皆一斉に家に帰る)と、
過去の歴史への真摯な姿勢(学校でナチスのことを教え続ける)、
スロヴェニアの大学無償化(説明不要)、
ノルウェーの刑務所(受刑者が人間として尊厳ある生活を営む)
女性経営者によって国家的破綻から免れた、
アイスランドの銀行などです。

世界で最もお金を稼ぐ国でありながら、
同時に世界で最も「忙しく」、
食事は「ガソリン補給」のようで、
学校給食はピザとコーラ、
家にも仕事を持ち帰り、
共働きでベビーシッターを雇い、
過去の黒人奴隷への仕打ちや、
日本への原爆投下を「正当化」し、
多くの社会人が地獄の学費ローンに苦しみ、
刑務所ではほとんどの男が「カマを掘られ」、
いまだ社会の多くの場所で、
「男性優位思想(マッチョ主義)」が跋扈する、
アメリカとは確かに逆だ、
とムーア監督は「感動」します。
そして、言うのです。
「私はこれに感動した。
これをアメリカに持ち帰ることにする!」

激怒するアメリカ人もいるかもしれないが、
最後の「アメリカン・ドリームはいまやアメリカの外にある。
しかし、これらはみんなアメリカ生まれだ。
われわれは落としたものを拾うだけで良いんだ」
というメッセージからは、
アメリカではしばしば「売国奴」と軽蔑される、
ムーア監督もまた、真の愛国者だということが伝わります。

実はこの「アメリカ」の部分を、
「日本」と代入しても、
ほぼすべて読み替え可能ですので、
日本人にとっても勉強になる映画です。
(950文字)



●帰ってきたヒトラー

鑑賞した日:2018年12月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デヴィッド・ヴェント
主演:オリヴァー・マスッチ
公開年・国:2015年(ドイツ)
リンク:
http://amzn.asia/d/7FGggaB

▼140文字ブリーフィング:

現代のドイツにヒトラーが甦り、
彼がSNSのスターになる、という筋書きです。
彼をモノマネコメディアンと勘違いした人々は、
面白がって彼を主人公に映画を撮ったりするが、
彼が「本当のヒトラー」だと気づいたのは
第一発見者のフリー映像作家ただひとりでした。
最後に彼は精神病院に入れられてしまい、
「甦ったヒトラー」は、
まさにトランプ大統領的に、
「歯に衣着せぬ物言い」で、
自信を失ったドイツ人たちに、
ツイッターを通して熱狂的に支持され、、、
という筋書きです。
人々が閉塞感をぶち破るポピュリストを求める理由は、
「政治的無関心と無気力」です。
これらが立ちこめているところに、
静電気の発火ほどの火種があれば、
「ナチスの悪夢」は再来するのです。
日本を含め、今全世界にこのガスは充満しています。
(314文字)



●はじまりのうた BIGIN AGAIN

鑑賞した日:2018年12月4日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョン・カーニー
主演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2gkOlFN

▼140文字ブリーフィング:

失恋したシンガーソングライターの女性が、
失業したレコードレーベルの創始者に出会い、、、
という話し。
「音楽の力」を純粋に見せてくれる良作でした。
詳しい説明は割愛しますが、
主人公のひとりの音楽プロデューサーの娘が、
ギターを弾くシーンでは涙が出そうになりました。
(128文字)



●ロボコン

鑑賞した日:2018年12月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:古厩智之
主演:長澤まさみ、小栗旬他
公開年・国:2003年(日本)

リンク:
http://amzn.asia/d/bbFnDEU

▼140文字ブリーフィング:

酷かったです。
編集がダルすぎる。
テンポが悪い。
そもそもこの映画、
広島県だかそのあたりの専門学校が舞台のはずなのに、
主演俳優のだれひとり、広島弁を話さない。
ここだけで「手抜き」なのが分かります。
この時点で見るのを辞めるべきだった笑。

「ロボコンの競技」自体は面白いですが、
それ以外はD級です。
ただ、15年前の長澤まさみはめちゃくちゃ可愛いですから、
長澤まさみファンのための
「アイドル映画」としては優れています。
(203文字)



●イコライザー

鑑賞した日:2018年12月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デンゼル・ワシントン、クロエ・グレース・モレッツ、
主演:アントワ・フークワ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/hDfpHz6

▼140文字ブリーフィング:

こちらは、先週の、
「2018年版・今年観た映画ベスト10」で、
紹介しました。
2018年の、輝ける「第二位」の映画です。

「正義と悪」が脱構築され、相対化される、
「ポストモダン」の時代において、
「それでも絶対的な正義があり、
 絶対的な悪もある」
ということを描ききっています。
詳しくは先週号をご参照下さい。
デンゼル・ワシントン最高!でした。
(166文字)



●トレーニング・デイ

鑑賞した日:2018年12月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:アントニー・フーコア
主演:デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク
公開年・国:2001年
リンク:
http://amzn.asia/d/7RQBMWB

▼140文字ブリーフィング:

「イコライザー」が「デンゼル・ワシントン最高!映画」なら、
こちらは「デンゼル・ワシントン最低!映画」です笑。
なんと、この二作の監督は同じ、
アントニー・フーコアです。

こうも真逆な役を同じ監督が同じ役者にやらせる、
というのがすげーな、と思いました。
この映画を観た理由はただひとつ、
『イコライザー』があまりに良かったからです。
同じフーコワ監督とデンゼル・ワシントンのコンビなら、
面白いに違いない、と。

この映画は、
「一線を超えてしまった麻薬捜査官(デンゼル・ワシントン)」と、
その捜査官に訓練される新米刑事(イーサン・ホーク)の話です。

『日本で一番悪い奴ら』という綾野剛主演の邦画があります。
私はこの映画を2018年の夏に観ましたが、
実話に基づく本作は、かなり衝撃の内容でした。
北海道警が「拳銃・麻薬検挙数」を上げるために、
「どちらが犯罪者かわからない」ような手段を使います。
その中心にいた元麻薬捜査官が書いた告発本をもとに、
この映画は作られています。
綾野剛の「ぶっ壊れた演技」にも魅せられましたが、
何よりこれが実話だということに戦慄を覚えました。

、、、で『トレーニング・デイ』は、
『日本で一番悪い奴ら』のアメリカ版と言って良いでしょう。
「蛇の道は蛇」と言いますが、
麻薬捜査官として「麻薬の巣窟」に入っていく刑事は、
「ヤクザより怖い」ですし、
極道より「道を極め」ちゃってます。
こういうことって、今も少なからずあるのでしょう。
すげー世界だと思います。
(660文字)



●チア★ダン

鑑賞した日:2018年12月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:河合勇人
主演:広瀬すず、中条あやみ、天海祐希他
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/2Dt078b

▼140文字ブリーフィング:

この映画、サブタイトルがくせ者です。
「女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃった本当の話」
とあるので、オチを先に聞いちゃった漫才を見るような、
複雑な気持ちで期待せずに見ました。

この手の映画で結末を言っちゃってるというのは、
「今から面白い話しをします」
といって話し始めるようなもので、
そうとう自信があるんでしょうね。
さぞ面白いんでしょうね、、、

どれどれ?

という感じで。
がっかりする心の準備をして笑。

結果、どうだったか?

めちゃくちゃ面白いじゃねーかよ(爆死)。

なんだったら、最後ちょっと泣いちゃったじゃねーかよ。
というね笑。

まんまとやられました笑。

先ほどの『ロボコン』で痛い目に遭っていた私は、
設定が福井だったので、
福井弁で話していなかったら
見るのを辞めると決めていました。

主演俳優たちはゴリゴリの福井弁を話していました。

うん、なかなか良いじゃないか。

ふむふむ、、、。

、、、見終わった後、
この「青春群像・役者たちの成長もの」というジャンルにおいて、
「ウォーターボーイズ」を超えるほどの傑作かもしれないと思いました。
この手の映画って何が難しい(と同時に見る方は面白い)かというと、
撮影期間の2ヶ月とか3ヶ月の短期間に
出演する若手の役者たちもまた、
ウォーターボーイズならシンクロナイズドスイミング、
チアダンならチアリーディングの技術を、
ゼロから学ばなきゃいけないわけです。
最後の「見せ場の演技」では、
実際に十代の俳優たちが、
「十分に説得力のあるダンス」を、
踊れている状態に、3ヶ月でもっていかなければならない。
まさか全部CGにするわけには行きませんから。

なので、「青春スポ根」を演じながら、
役者たち自身も「青春スポ根」を、
実際にガチでやっている、
という「入れ子構造」になります。

そこが観客の心をくすぐるわけですが、
この映画はその点がすさまじかった。

中条あやみは詳しく知りませんが、
広瀬すずは相当に運動神経が良い、
というのを再認識しました。
是枝裕和監督の『海街diary』という映画で、
広瀬すずがサッカーをする10秒ぐらいのシーンがありますが、
あれを見た時、「ちょっと普通じゃない運動能力」
を感じたのですが、本作で確信しました。

、、、というわけで、
俳優たちのダンスが素晴らしいし、
あと詳しくは言いませんがラスト30分の、
「コーチ=天海祐希視点」には、
危うく泣きそうになりました。
よにでしセミナーでいうところの、
「複眼的視角」ですね。

良い意味で裏切られた映画です。
(1,014文字)



●リスボンに誘われて

鑑賞した日:2018年12月22日
鑑賞した方法:友人に借りる

監督:ビレ・アウグスト
主演:ジェレミー・アイアンズ
公開年・国:2013年(ドイツ・スイス・ポルトガル合作)
リンク:
http://amzn.asia/d/bHtRgws

▼140文字ブリーフィング:

同じ教会に通う同世代の、
長尾さん(メルマガ読者)に、
DVD(と原作の書籍)を貸していただきました。
「俊君はこういうの好きかなと思って」と。
これは借りなければ絶対に観てないでしょうね。

結果から言いますと面白かったです。

スイス人の大学教授が、
ある本に出会ったことをきっかけに、
著者に会いにポルトガルのリスボン行きの電車に飛び乗り、、、
というところから物語は転がり始めます。

この映画はテーマが何より面白かった。
ポルトガルって、
1974年まで独裁政権が支配していたのです。

知ってました?

「いや、知ってるよ、常識だろ」
という人もいるだろうと思いますが、
私はいかんせん、「知識の円環」のなかで、
「歴史」が一番の弱点ですので、
この事実を知らなかったのです。

アントニオ・サラザールという独裁者が実権を握り、
ドイツのゲシュタポのような組織が、
反対勢力(レジスタンス)をスパイし、、、
ということが行われていたのです。
この独裁政権が転覆した革命のことを、
「カーネーション革命」というそうです。
映画の中で、ある重要人物が死んだとき、
棺桶に山ほどのカーネーションが手向けられますが、
この歴史を知らないと、
「は?何のこと?」となります。
実際、私もそうでした笑。

映画を楽しむには、
ある程度の教養が必要なのですね。

この映画を観たことにより、
ポルトガルの近代史について、
めちゃくちゃ勉強になりましたし、
「もっと知らなきゃ」と思わされました。

かのスイス人教授は、
「一冊の本」に出会ったことにより、
独裁政権を転覆させようとする、
レジスタンス(革命勢力)たちの「青春」を、
まるで探偵のように、あるいは考古学者のように、
「遺跡を復元させる」作業をしていきます。
この「一冊の本」と復元作業により、
教授は「人生のきらめき」とは何か、
ということを再発見していく、、、というストーリーです。

ストーリーも面白かったのだけど、
リスボンの風景がすべて生き生きしていて、
ポルトガルに行きたくなりました。
(807文字)



●こんな夜更けにバナナかよ

鑑賞した日:2018年12月29日
鑑賞した方法:池袋シネマロサにて観賞

監督:前田哲
主演:大泉洋、高畑充希
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
http://bananakayo.jp/

▼140文字ブリーフィング:

メルマガにも書きましたが、
11月に北海道で、
私はこの映画の監督の前田哲さんと、
原作者の渡辺一史さんにお会いしています。

、、、で、この映画の医療監修を、
友人の土畠智幸氏がしていて、
制作段階からいろんな話しを聞いてました。
役者たちとスタッフ全員の、
「土畠先生、ありがとうございました」
というメッセージの寄せ書きが書かれた台本を、
見せて貰ったりしている映画なので、
もう、なんか「自分もスタッフのひとり」みたいな、
「謎の当事者意識」が芽生えちゃってるんですよね笑。
一方的に「中の人」になっちゃってる。
中の人じゃないのに笑。
なので、客観的な評価はもはや出来ない、
という前提でどうか読んでいただきたい。

、、、というエクスキューズをした上で。

、、、そりゃ面白かったですよ(爆死)。

いや、マジで。

年末に母が愛知県から孫に会いに来てくれていたので、
5時間の間、母に娘を見て貰って、
その間に、ひっさしぶりに、
妻と池袋で「映画デート」をしました。
娘が生まれてからは初めてです。

それもまた「多幸感」を強めるので、
やっぱり何重にも客観的評価は不能です。
でも、妻も私も上映中、何回も笑いましたし、
何回か泣きました。

妻は「もう一回観たい」と言ってましたし、
私はパンフレットを購入しました。

もう、大ファンじゃないですか。

「スターウォーズマニア」の、
「スターウォーズ」の映画評は当てにならないのと同じで、
「大ファン」って言っちゃってる私の映画評が、
どれだけ公正かは分かりませんが、
もうね、皆さん、観てください。

ヒットして欲しいので(←中の人)

、、、エクスキューズに次ぐエクスキューズはこの辺にして、
真面目に映画について語りますと、
「障がい」を描く映画というのは多くありますが、
こういう切り口で障がいを描いた映画は、
日本では初めてかもしれないと思いました。
初めてではなかったとしても、きわめて珍しく、
私は他に知りません。

何年か前のフランス映画に、
『最強のふたり』というのがあって、
それは車いす生活をする障がい者と、
その介助者の「友情」に基づく実話なのですが、
あの映画の素晴らしかった点は、
「障がい者を『かわいそうな人』として、
 いっさい扱わなかった」
ところにあると思います。

『こんな夜更けにバナナかよ』も、
志としてはそれと似たようなところがある。
そうでありながら、
もう一歩踏み込んだことを言おうとしている。

それは劇中のいくつかの台詞に現れています。
紹介します。

「障がい者のお世話は家族が全部見るべきという、
 日本の常識に抗いたい」
「生きるということは人に頼るということ。」
「命がけで人に頼る」
「出来るヤツ風なのが嫌いだった。
 人間てのは出来ないことの方が多いんだよ。」
、、筋ジストロフィー患者の鹿野(大泉洋)の、
上記のような台詞は、
この映画がコメディでありながら、
日本社会の「人に頼らないことが美徳という幻想」
に基づく「強すぎる社会規範」が、
社会全体を結果的にバラバラにしてしまっている、
ということの批判になっています。

日本では「人に迷惑をかけてはいけません」
と子どもに教えますが、
インドでは
「人間というのは生きてるだけで誰かに迷惑かけるのだから、
 あなたも迷惑をかけられても寛容でいなさい」
と教えるそうです。
どちらが「社会の風通しが良くなる」のでしょう?
大泉洋演じる鹿野さんの生き様は、
息苦しい日本社会へのアンチテーゼになっています。

また、障がい者というのは、
「生老病死」という人間が誰しも経験する人生の学びが、
「圧縮された形でそこに存在する」ので、
障がい者本人も、それと関わる人々も、
「学習のスピード」がハンパないんです。

私自身、自分の闘病からも、
じっさいに経験したこととしてよく知っていますが、
この映画からもそれが伝わってきます。
「障がい」を通して、
鹿野も、鹿野の両親も、
ボランティアたちも、
そして社会も学び、成長し、成熟していく。
「生きる」ということのエッセンスが、
濃縮した形で存在しているわけです。

自分で寝返りを打つことも出来ず、
手を数センチ動かすことしかできない鹿野が、
片思いしている学生ボランティア(高畑充希)に、
「普通の男ならここで抱き寄せるんだろうな」
といって、側にある手に「コト」っと手を寄せるシーンがあります。

そのシーンでは、
「鹿野が抱き寄せる」のが「見える」んですよね。
監督、すげーな、と思いました。
大泉洋、すげーな、とも。

特典映像とかも観たいので、
DVD出たら買います。
(1,689文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「こんな夜更けにバナナかよ」

コメント:

え?『イコライザー』じゃないの?
と思われるかもしれませんが、
久しぶりに夫婦で映画館で映画を観られたこととか、
その制作プロセスを垣間見ていたとか、
いろんなことが相まって、
作品賞は『こんな夜更け』です。
『イコライザー』は先週号で、
十分語り尽くしたというのもありますし笑。

『こんな夜更け、、』は、
鑑賞後に「うん、良い映画を観た」と思える、
幸せな映画体験でした。

あと、ブルーハーツの、
『キスして欲しい』の使われ方が良かった!
あれはグッときます。

先ほどから言っているように、
「近親者バイアス」がかかっているので、
もはや公正な評価は出来ませんが、
私はこの映画、オススメします。
観てください(宣伝)!



▼主演(助演)男優賞
デンゼル・ワシントン(イコライザー)

コメント:

え?
大泉洋じゃないの?

と思われるかもしれませんが笑、
ここはデンゼル・ワシントンです。

『こんな夜更け、、』の大泉洋は確かに凄いです。
彼は役作りのために10キロ体重を落としました。
さらに、時系列がバラバラになる映画撮影において、
進行性の病である筋ジストロフィー患者を演じるために、
それぞれのステージで、「出来る動き、出来ない動き」を、
頭に入れた上で、病気が進行していくことを、
「身体表現」を演じ分けるのは至難の業でしょう。
また、実際に北海道に住んでいた、
「ステレオタイプの障がい者」の枠に収まらない、
鹿野さんという実在の人物に、
北海道が生んだ「異能の天才」、
大泉洋は「完全なハマり役」です。

ただ、「設定がもうすでにウルトラC」なので、
それが演技の良さゆえなのか、
それとも設定が凄いのかが、
素人の私にはわかりにくかった。

むしろ演技ということで言えば、
後に言うように、
高畑充希が「大泉洋を食ってる」
んじゃないかと思うところもあった。
ただいかんせん「競技」自体が違うので、
比較のしようはないのですが、、。

というわけでデンゼル・ワシントン。
とにかく『イコライザー』のロバートという人物に、
私はもう惚れてしまったわけですよ。
ニューヒーロー誕生の瞬間を目にしたようなうれしさがありました。
どうやら「2」も作られているようです。
ダイ・ハードもそうでしたが、
「2」は「鬼門」なので、
あまり期待は出来ないかもですが、楽しみです。



▼主演(助演)女優賞
高畑充希(こんな夜更けにバナナかよ)

コメント:

劇場で強く感じたことのひとつは、
「高畑充希、上手いなぁ」でした。
ある種の「コスプレ要素」がある、
テレビドラマはまだ良いのですが、
映画の場合、観ている人に
「役者が演じているなぁ」と思わせたら、
絶対だめだと思うんですよね。
「こういう人が本当にそこにいる感じ」
が出せるかどうかというのが、
役者の天性の素質のひとつだと思うのですが、
これってもう「天賦の才」だと思うんですよね。
高畑充希はその点において秀でていました。
こんな上手な人とは知りませんでした。
じっさい「鹿野」を「人が成長するための触媒」
と見た場合、物語的には、
高畑充希が主人公ですから。
この映画は。



▼その他部門賞「舐めてたらすごかったで賞」
『チア★ダン』

コメント:

完全に舐めていたのですが、
完全にやられました。
面白かったですねぇ、これは。
普通に胸が熱くなる「良い映画」でした。

陣内が先月観た映画 2018年12月 『スリービルボード』他

2019.04.10 Wednesday

+++vol.068 2018年12月4日配信号+++

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■2 陣内が先月観た映画 2017年11月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●ブルーバレンタイン

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:アマゾンでストリーミング購入(300円)

監督:デレク・シアンフランス
主演:ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/1KYGueC

▼140文字ブリーフィング:

前からずっと見たかった映画です。
各方面で評価が高い映画だったので。

「東京でゆっくりできる休日」が、
フリーランスの私にはときどき何の前触れもなく、
まるで間欠泉のように、ぽっかりと訪れます。
月にそんな日が4、5日訪れることもあれば、
一度も訪れない月もある。
突如として平日4連休があるかと思えば、
気がつけば20日ちかく一度も休んでなかった、
ということもある。
前触れもなく訪れる「それ」は、
例外なく平日です。
業態上、土日祝日はたいてい忙しいので。

11月はそんな日が何日かあったので、
Amazonビデオでレンタル料を払い、
昼間からテレビにそれを映して映画を観ました。

このブルーバレンタインもそのひとつです。
私の「見たいランキング」のベスト3に入っていたので。

どうだったか?

めちゃくちゃ面白かったです。

「ビフォア・サンセットシリーズ」が好きな人は、
この映画、絶対好きです。

ただ、失恋したての人とかは、
絶対に見てはいけません。

心がえぐられますから。
失恋していない人ですら、
「心に深い傷跡を残す力を持つ映画」です。

これは健康なときしか見られないですね。
スーパー激辛ラーメンのようなものです。
「マゾヒズム映画」ですね。

ストーリーの悲しさ、重苦しさは、
最低(褒め言葉)レベルです。
でも、映画としての出来は最高です。
編集と脚本が120点なので。
ライムスター宇多丸の言葉を借りるなら、
「最低だ!でも最高だ!」
という映画でした。
見て良かった。
(513文字)



●スリービルボード

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:アマゾンでストリーミング購入(400円)

監督:マーティン・マクドナー
主演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル
公開年・国:
リンク:
http://amzn.asia/d/0rMrj6D

▼140文字ブリーフィング:

こちらの映画も、
「ぽっかりと落ちてきた休日」に見ました。
「ミーズリ州」という架空の州の物語です。
モデルがミズーリ州なのは言うまでもありませんが、
それはミズーリ州が、
白人警官が黒人をリンチするなどの差別が酷い、
保守的な州のひとつとして知られている、という背景があります。

この映画はアカデミー賞複数部門にノミネートされるなど、
数多くの賞を受賞した「2017年を代表する映画」なので、
知っている人も多いのでは。
こちらも、「見たいリストベスト3」に入っていたので、
お金を払って見ました。

めちゃくちゃ面白かったです。
とにかく脚本が素晴らしい。
この脚本は、本当にすごい。
(2回言った)

「ミーズリ州」の田舎町のはずれに立つ、
3枚の路肩看板(ビルボード)から、
ストーリーが転がり始めます。

この3枚の看板には多重メタファーが仕込まれています。
まず主要登場人物3人。

ひとりめは、
娘を何者かにレイプされ殺されたヘイズ夫人。
ヘイズ夫人が看板会社に行き、
誰も使っていない3枚の看板に、
「娘がレイプされ殺された(1枚目)
 犯人はまだ捕まっていない(2枚目)
 ビル署長は一体何をやってるの?(3枚目)」
という真っ赤な意見広告を出すところから、
この小さな街で物語が動き始めます。

ふたりめは差別主義者の田舎者、ディクソン巡査。
こいつは「マザコン人種主義者のクソ野郎」なのですが、
ある出来事がきっかけとなり、
彼の優しく柔らかい人間性が目覚めるシーンは、
過去数年の映画シーンのなかで最も感動したかもしれません。

そして街いちばんの人徳者で、
「保守的なこの街の良心」のようなビル署長。
ビル署長はヘイズ夫人の挑発の後、
事件の捜査を始めますが、ある理由で、
途中でそれを挫折せざるを得なくなる。

3枚の看板のもう一つのメタファーは、
キリスト教文化圏のひとなら誰でもピンとくる、
「あれ」です。

そう。

キリストの十字架です。
キリストが磔刑に処されたとき、
二人の強盗が両サイドで十字架刑に処されました。
つまりゴルゴダの丘の上には3本の十字架が立っていたのです。

3枚の看板はそのメタファーでもあります。
3枚の看板それぞれが、
ヘイズ夫人、ディクソン巡査、ビル署長を象徴しています。

、、、


、、、


このへんで恒例の「あれ」を。
ここから先は自己責任でお読みください。



▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


、、、ビル署長は癌を患っていて、
彼は志半ばで死んでしまいます。
ビル署長はキリストのメタファーです。
これには証拠があり、
主要登場人物3人にはそれぞれ、
「テーマソング」があるのですが、
ビル・ウィロビー署長のテーマソングは、
「讃美歌」なのです。
この讃美歌はキリストのことを歌っています。

そしてビル署長は匿名でヘイズ夫人に遺産の一部を残し、
自分を批判する看板の広告料を支払ってこの世を去ります。

そうするとヘイズ夫人とディクソン巡査は2人の強盗なのか?
この二人は強盗と言うよりも、
ビル署長の遺した「赦し」という財産を託された、
保守的なアメリカ人そのものに見えます。

ディクソン警部は典型的な差別主義のアメリカ人として描かれますが、
彼がキリスト(=ビル警部)によって「変化」するところに、
この映画の希望があります。

この映画の脚本のすごいところは、
登場人物の誰ひとりとして、
「このひとはこういう人」というキャラクターが、
固定されていないところです。
時系列ですべての登場人物が、
「変わっていく」のです。
じっさい現実世界というのはそうですよね。
私たちはキャラによって固定されているのではなく、
人間というのは「まさかこの人がこんなことをするとは」
「あの人がこんなふうに変わるとは」
という驚きの連続です。
2時間の映画でこの人間のダイナミズムを描ける、
というのはスゴイです。

素晴らしい映画でした。
(1,545文字)



●僕のワンダフルライフ

鑑賞した日:2018年11月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ラッセ・ハルストレム
主演:ブリット・ロバートソン
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2MUt4rK

▼140文字ブリーフィング:

犬を主人公とした映画。
監督は「ギルバート・グレイプ」の監督です。
「ギルバート・グレイプ」は名作でしたし、
Amazonの評価も高かったので期待したのですが、
全然面白くなかったです。
ほとんど早送りで見ました。
驚くほど単調で冗長で凡庸です。
「犬が輪廻転生する」というアイディアが入っているが、
それ自体が別に深いメッセージでもない。
仏教の素養があるわけでもない。
何のために撮ったのか分からない映画でした。
(198文字)



●悪人

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:李相日
主演:妻夫木聡、深津絵里
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/7qsMIMm

▼140文字ブリーフィング:

この映画、観るのは二回目です。
公開された2010年に、
私はユナイテッドシネマ豊島園で観賞しました。
なんか記憶に焼き付く映画だったという記憶がありましたので、
Amazonプライムに追加されているのを見つけて、
8年ぶりに再度観賞してみました。

改めて、面白かったです。
傑作の部類ですね。

満島ひかり、深津絵里、妻夫木聡の演技がすごいのですが、
なによりも樹木希林がスゴイです。
役者の演技だけで2時間引っ張れる映画というのも珍しい。
あと、地味ですが岡田将生の、
金持ち腰抜けボンボン役のクズぶりもスゴイです。
近年まれに見るクズでした笑。
(これは褒め言葉ね。
 だって彼は「クズ」を要求されてるんですから。)

吉田修一原作のストーリーも素晴らしいです。
九州の田舎の閉塞感、
「携帯時代」における、
孤独な魂同士が惹かれあう磁力の強さなど、
時代を切り取ることに成功しています。
李相実と吉田修一のタッグにやられました。

詳しくは言いませんが、
最後に樹木希林がマスコミにお詫びするシーンでは、
タブレットを観ながら涙がこぼれてしまいました。
電車の中じゃなくて良かった笑。
(406文字)



●怒り

鑑賞した日:2018年11月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:李相日
主演:宮崎あおい、妻夫木聡他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/dewHhhZ

▼140文字ブリーフィング:

李相実と吉田修一タッグ再び。
「悪人」があらためて面白いなぁ、
と思っていたら、
同じタッグの「怒り」もまた、
Amazonプライム特典に加わっているではありませんか!
しかも「怒り」は小説も既読です。

これは観るしかないでしょう、
ということで観ました。

こちらも役者の演技がとにかくすごかったです。
役者の演技でいえば「悪人」以上かも。
なにせ単独で主役を張れる「千両役者」が7人も出ていますから。
・妻夫木聡
・宮崎あおい
・渡辺謙
・森山未來
・広瀬すず
・綾野剛
・松山ケンイチ

あと、当時はあまり「主演級」でなかった、
高畑充希も地味に出演しています。

もうこんなの、「日本俳優のアベンジャーズ」ですね。
誰がアイアンマンなのか分かりませんが笑。

重要な役回りを果たす、
「沖縄の少年」も、方言が嘘くさくなくて素晴らしい。
演出も重厚でしたし、最高です。
ただ、この映画もまた『ブルーバレンタイン』とおなじで、
観るだけでダメージを受けるマゾヒズム映画です。

元気な人だけ見ましょう笑。
(422文字)



●ポーカーナイト

鑑賞した日:2018年11月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレッグ・フランシス
主演:ボー・マーショフ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2vzAwix

▼140文字ブリーフィング:

全然面白くなかったです笑。
劣化版「Saw」みたいな感じでしょうか。
「Saw」がヒットしてから、
監禁モノの映画は多数作られましたが、
これは駄作の部類でしょう。
特記するところのない映画です。
(93文字)



●暗黒女子

鑑賞した日:2018年11月11日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:耶雲哉治
主演:清水富美加、飯豊まりえ
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/9nGnQZv

▼140文字ブリーフィング:

女子校で学園一の美少女が殺された事件を巡る、
「順番語り」の手法はちょっと面白いのですが、
志を最大限に消化できてない感が否めない。
「キサラギ」という有名な映画がありますが、
それに似ています。
古くは「十二人の怒れる男」という名作があります。

こういう構成の映画というのは、
「どんでん返し」の見せ方がポイントです。
本作の場合、どんでん返しが「あるぞあるぞー」という演出が、
逆効果でした。
「オバケがでるよー、でるよー、怖いよー、絶対でるよー」
とやればやるほど、オバケには驚かないものなのです。
CMをひっぱり過ぎて逆にウケないバラエティ番組みたいな感じで。
清水富美加の演技は割と良かったですが、残念でした。
(298文字)



●白ゆき姫殺人事件

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:中村義洋
主演:井上真央、菜々緒、綾野剛他
公開年・国:2014年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/fxJOg3O

▼140文字ブリーフィング:

こちらも「キサラギ」パターンです。
ある殺人事件をめぐり、
複数の主要登場人物の証言のパズルのピースがかみ合わない、
という違和感を最後まで引きずる、という構造です。
こちらも編集が冗長なためテンポが悪いなど、
全体的に「下手だ」と感じたました。
ただ、菜々緒の「説得力」はすごかったです。
あの「非現実感」は彼女にしか出せないですね。
あと、女同士のどろどろ感というか、
そういう要素も楽しめた。
むしろ「どろどろに振り切った」ほうが良い映画になったかも。
鑑賞後に湊かなえ原作だと知り納得です。
(238文字)



●パウロ 〜愛と赦しの物語〜

鑑賞した日:2018年11月16日
鑑賞した方法:ヒューマントラストシネマ渋谷にて観賞

監督:アンドリュー・ハイアット
主演:ジム・カヴィーゼル他
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://www.paul-love.jp/

▼140文字ブリーフィング:

非常に久しぶりに、
映画館で映画を観ました。
多分2016年の「この世界の片隅に」以来じゃないでしょうか?

いや、違う。
その後に友人とクリント・イーストウッドの、
「ハドソン川の奇跡」を愛知県で観てました。

いやいや、それも違う。
8月の「カメラを止めるな!」以来です。

、、、いや、
けっこう最近じゃねーかよ笑!

いずれにせよ、普段なら行かないような、
渋谷の映画館に入りました。
渋谷ってマジで普段近づかないんですよね笑。

映画館でこの映画を観た理由は二つありまして、
前売り券(1,200円)を買っていたのと、
この映画、見逃すと「ソフト化」がずいぶん先になる、
もしくは日本語では実現しない可能性もあると思ったからです。

なにせ首都圏全体で公開館数が、1館のみですからね。
4000万人の人口につき1館。
これは相当にマイナーな映画と言って良いでしょう。

映画の内容ですが、
タイトルのとおり、使徒パウロが主人公です。
この映画は視点が面白くて、
パウロの伝道旅行に帯同し、
晩年に軟禁されたパウロの言葉を聞いて、
書簡にする作業を手伝った、
医者のルカの視点で描かれているところです。

先日、飢餓対策機構時代の恩師であり、
今はカリフォルニアで牧師をされている辻本先生と、
久しぶりにお会いしたときに、
先生が面白いことを言っていたのを思い出しました。

「新約聖書のいちばん多くを書いたのは、
 書物の数ではパウロだが、
 文字数(単語数)ではルカなんだ。
 しかもルカは新約聖書著者のなかで、
 三代目のクリスチャン、
 つまりイエスに直接会っておらず、
 イエスのことを聴いた人から伝道されたクリスチャンなんだ。
 日本人はルカから多くを学べる」と。

どういうことか。

じっさい書簡数ではパウロが一番書いています。
しかし、ルカは「ルカの福音書」と「使徒の働き」を書きました。
これらの章数を全部足すと、24+28で52章書いています。
しかもルカの書簡は一章が長い。
たしかに文字数では、
新約聖書を一番多く書いたのはなんと、ルカなのです。

そのルカの視点から見たパウロ像を描く、
というのがこの映画の試みです。

さて、この映画の評価ですが、、、
評価はめちゃくちゃ難しいですね。

「礼拝メッセージ」としては良かったが、
映画として面白いかどうかは別の話、
というのが私の感想です。
これは「映画に何を求めるのか」という、
「映画観」によるのですが、
私の場合映画というのは「余韻」とか、
「ゆらぎ」が大事だと思っています。
結論ありきの映画は好きじゃない。
見た結果、自分の持っていた世界観が揺るがされるような映画が、
私にとって「最も面白い映画」です。

、、、という観点で見ますと、
この「パウロ」はそういった要素はありません。

ただ、「礼拝のメッセージ」として観ますと、
非常に良いメッセージを聴いたなぁ
という感想。
素晴らしい励ましに満ちた映画でした。

パウロが言う一言一言が、
新約聖書になっていく過程が見えるのが新鮮でした。
ひとつ面白かったのが、
パウロもルカも「アメリカン」なところです。
二人とも当然(?)英語を話していますし、
キャラクターも超アメリカ人です。
このシーンはちょっと「やりすぎ」なんじゃないかと、
私は笑ってしまいました。

ルカ:「例の新しい書物(=私たちが知る使徒の働き)の、
 最後の一行が今、決まったよ。
 『パウロは少しもはばかることなく、
 また妨げられることもなく、
 神の国を宣べ伝え、
 主イエス・キリストのことを教えた』
 、、、どうだい?」
パウロ:「それは最高にクールだ。」
ルカ:「イェ!」
パウロ:ウィンク

みたいなノリのシーンです。

パウロとルカがそんな
「アメリカンなやりとり」をしていたかどうかは、
史実かどうかは分かりませんが、
皇帝ネロによる迫害や、
書かれた聖書の内容は史実です。
映画を観ながら、
途中からパウロがマハトマ・ガンジーに見えてきて、
不思議な感覚を抱きました。
パウロが身近な存在になったというか。
(1,497文字)



●とらわれて、夏

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェイソン・ライトマン
主演:ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/9sZMp8Q

▼140文字ブリーフィング:

なんか「午後のメロドラマ」的な邦題のせいで、
この映画の魅力は正しく伝わっていない気がします。
原題「Labor Day」のほうが絶対良い。

9月に観た「タリーと私の秘密の時間」と、
10月に観た「ヤング=アダルト」が面白かったので、
同じジェイソン・ライトマン監督の本作も鑑賞しました。

母ひとり、息子ひとりの母子家庭の家に、
脱獄犯が押しかけ、家族が二人をかくまうという筋書き。
母は脱獄犯に惹かれ恋に落ち、
息子は脱獄犯に、ときどき面会するだけの、
母と離婚した父親にはない「ワイルドな父親性」を見出し、
ふたりとも彼に好意を抱いていき、
3人はまるで理想の家族のようになっていくが、、、
という展開です。

この映画はローティーンの息子の視点から語られますが、
彼は「二次性徴」が現れ、
自らの自我と「男としての目覚め」と葛藤していますから、
その「自らの葛藤がレンズを濁らせ、
適切な判断が出来なくなる」という仕掛けがまた面白い。
この映画は小説が原作ですが、
本当に「良い小説を読んでいるような」感覚を味わうことが出来る。
上手な監督だと思います。

脱獄犯がなぜ牢獄に入っていたかも、
徐々に語られていくわけですが、
それがあまりにも理不尽で、
鑑賞者は脱獄犯にどんどん肩入れしていきます。

、、、脱獄犯はどうみても「まともな人」なのですが、
彼が「まとも」であることを、
台詞や説明ではなく分からせるところも上手い。

彼が料理をするシーン、
彼が家を直すシーンなどによって、
鑑賞者は「彼はまっとうな人間だ」と確信していくのです。
日常の料理、洗濯、道具のメンテナンス、掃除、
そういったものを大切に取り扱う人は、
他者や人生をも大切に取り扱う、
ということを人は心のどこかで知っていますから、
鑑賞者は「うん、彼はまっとうな人間に違いない。
牢屋にはいっていたのは、
何かよほどのっぴきならない事情があったに違いない」
という風に、彼に感情移入していくのです。

この映画の柱は、
「ストックホルム症候群」と呼ばれる、
誘拐、監禁された人々が、
犯人に共感し、犯人を好きになっていく、
という現象です。
「ストックホルム症候群」は数多くの映画で使われますが、
この映画の面白いのは、
映画を鑑賞する私たちも、
ストックホルム症候群の当事者としての心理状況を、
味わえるところです。

「パーフェクト・ワールド」という、
私の「生涯ベスト10映画」のひとつがありますが、
その脚本にちょっと似ています。
(950文字)



●15時17分発、パリ行き

鑑賞した日:2018年11月27日
鑑賞した方法:Amazonでレンタル視聴(299円)

監督:クリント・イーストウッド
主演:アンソニー・サドラー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/iW4TyUr


▼140文字ブリーフィング:

これはずっと観たかったんですよね。
11月の最後の週に、
3日間、家族の秋休みのために、
十勝地方を訪れた際、娘が寝てから、
妻と二人で久しぶりに映画を一緒に観ました。
私の小さな7インチタブレットという、
あまり理想的なデバイスではないですが、
妻と二人で映画を観て、
感想を言い合うのは至上の楽しみのひとつですので、
かなり久しぶりにそういったことが出来たことは感謝でした。

私も妻もクリント・イーストウッド監督作品が大好きで、
特に「グラン・トリノ最高!!」という点において、
意見が完全に一致していますから、
この映画は観ておきたかったんですよね。
たしか「アメリカン・スナイパー」は、
子どもが生まれる前に二人で映画観で観ましたし。

この映画は先述の「ハドソン川の奇跡」と似ています。
実際にあった事件をベースとして、
実話を映画化しているという構成が。

実はこの映画、「実話だからしょうがない」と言われれば、
黙るしかないのですが、
鑑賞後に多少脳しんとうのようなクラクラ感があります。
というのは、「パズルのピースがはまらない」からです。

フランスでのテロを未然に防いだ、
「英雄となったぱっとしない若者」を描くことで、
一見「アメリカは凄いんだ」という映画のようでもあり、
その若者の少年時代には、
キリスト教原理主義の教育によって、
人格がゆがめられる少年の姿があります。

キリスト教教育もWASPマザーも機能していないが、
問題含みの母親から教え込まれていた、
「平和の祈り」はちゃんと主人公のなかに生きていて、
彼が「いざというときに動ける奴」にさせていた、
という多面性、多声性が見事でした。
「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」という、
日米両者の視点から同じ出来事を撮るという、
複眼的視点をもつクリント・イーストウッドらしい、
といえばらしいのですが。

青年たちはまっすぐすぎて非常に危うく、
事件を知らなければ途中まで、
彼らがテロを起こす側なのではないか、
とハラハラするほどですが、
そんな彼らが「世界を救い」ます。

しかし、現実というのは、
パズルのパーツがハマらないものなので、
その整合性のなさがより現実感を増す、
という不思議なつくりになっています。

この映画、上映時間は90分ですが、
すべての台詞、何気ない行動が、
最後の1分、つまり「テロ未然防止事件」の、
伏線となっている、という構成は見事です。
90歳に近づくクリント・イーストウッドは、
もう「巨匠」を超えて、神の領域に近づいているのでは、
と思わせるような「淡泊なのに重厚な編集と演出」は、
誰もその背中を追えない存在になっていると思いました。

恐るべし、です。
(1,083文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「スリービルボード」

コメント:

この作品は、完全にやられましたね。
アメリカの保守的な小さな田舎町で起きる騒動を通し、
「赦し」を描ききっています。
人種間、社会階層間、政治的対立という、
目に見えない壁が高く深く築かれている現代アメリカにおいて、
「敵意を具現化した存在」であるヘイズ夫人と、
「差別感情を具現化した存在」であるディクソン巡査の間に、
「キリスト」としての三枚目のビルボード、
つまりビル署長が立つことによって、
彼らは赦しへといざなわれる。

彼らが「赦したかどうか」は、
最後まで語られないところがまた秀逸です。
「あなたはどうするのか?」と、
鑑賞者にボールが帰ってくるようになっている。
私たちはキリストの赦しに接したときに、
自らが赦す者になるのか?
それとも赦さない道を選ぶのか?

アメリカ社会が突きつけられている問題を、
見事に描ききった良作です。



▼主演(助演)男優賞
妻夫木聡(悪人/怒り)

コメント:

「悪人」では閉塞感に押しつぶされそうな田舎で暮らす、
孤独な魂を抱える殺人者を、
「怒り」では「誰か信じられる人」を求め、
彷徨い途方に暮れる東京の同性愛者を、
圧倒的な説得力で演じきっています。
妻夫木聡はやっぱりすごい。
「そこに昔からいたようなたたずまい」
というのは、役者にとって大切な資質のひとつであり、
こればかりは天性のものだと思うのですが、
この観点から妻夫木聡は天才だと思います。



▼主演(助演)女優賞:
フランシス・マクドーマンド(スリービルボード)

コメント:

「スリービルボード」における彼女の演技は素晴らしかったです。
彼女でなければこの映画は成立しない。
彼女ありきの映画と言っても良い。
私の「地味に好きな映画」に、
コーエン兄弟の「ファーゴ」がありますが、
「ファーゴ」でも絶望的な片田舎に住む、
骨太な女刑事の役を怪演しています。
「ファーゴ」と「スリービルボード」って、
ちょっと雰囲気が似てるんですよね。

、、、ちなみにフランシス・マクドーマンドは、
2017年の「本物のほうのアカデミー賞」でも、
「アカデミー主演女優賞」を受賞しています。
「陣内アカデミー賞」と、「アカデミー賞」の、
ダブル受賞、おめでとうございます。
今後、本人に会う予定の人がいたら伝えておいてください笑。



▼その他部門賞「監督・原作タッグ賞」
李相日/吉田修一(悪人/怒り)

コメント:

この監督・原作のタッグは最強だと思いました。
吉田修一の「どことなくずっと不安」な物語運びと、
李相実の撮る映画の「重苦しい空気感」が、
完全にフィットしています。

東野圭吾の「白夜行」が私は好きです。
これは綾瀬はるかでドラマ化、
堀北真希で映画化されており、
両方観ましたが、
どちらも成功しているとは言いがたい。

李相実監督がやったらかなりいい線行くのでは、
と今回思いました。


陣内が先月観た映画 2018年10月 『三度目の殺人』他

2019.03.13 Wednesday

+++vol.064 2018年11月6日配信号+++

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■2 陣内が先月観た映画 2018年10月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
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●フィフス・エレメント

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:リュック・ベッソン
主演:ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ
公開年・国:1997年(フランス)
リンク:
http://amzn.asia/d/35q2YDO

▼140文字ブリーフィング:

名作映画「レオン」の監督、リュック・ベッソンの作品です。
リュック・ベッソンだと、「ANGEL アンジェラ」も今年見ました。
リュック・ベッソンの話形はいつも同じです。
冴えない男に、「天使」としての美少女が舞い降り、
そこから話しが展開していきます。。
「アンジェラ」もそうだし「レオン」もそうです。
この話形は実は、宮崎駿とまったく同じなのです。
リュック・ベッソンと宮崎駿は気が合うに違いありません。
本作はSF作品ですが、
「レオン」や「アンジェラ」のほうが私は好きです。
リュック・ベッソンはどこかレトロな感じこそが持ち味なので、
本作のようなSFをやると、まさにレトロフューチャーになってしまい、
未来を旅している感じにはならないので。
映画としては「並」でした。
(324文字)



●岳

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:片山修
主演:小栗旬、長澤まさみ
公開年・国:2011年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/8qYivfQ

▼140文字ブリーフィング:

これはですねぇ。
あまり面白くなかったです。
すみません。
「特になんということはない」邦画です。
見た先から内容を忘れてしまう笑。
マンガが原作ですが、
マンガで読んだらもっと面白いかも。
(89文字)



●ブラックパンサー

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:横田家から借りる

監督:ライアン・クーグラー
主演:チャドウィック・ボーーズマン、マイケル・B・ジョーダン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/317JiQh

▼140文字ブリーフィング:

練馬グレースチャペルの牧師の横田師の息子さんが、
マーベル系の映画が大好きでいろいろDVDを持ってるので、
興味のあった「ブラックパンサー」を貸していただきました。
マーベルのなかでは一番面白かったです。暫定ベスト。
ライアン・クーグラーというこの監督、
実は「ロッキー」シリーズの最新作、
「クリード チャンプを継ぐ男」の監督です。
「クリード」は一昨年に観た映画のベスト5に入る面白さでした。
本作の凄いところは、「アメコミ」という舞台装置で、
架空のアフリカの都市国家「ワカンダ」の王子の話しをする、
という思いっきりフィクションに寄った設定のなかで、
「現実世界の差別や人種の多様性の問題」という、
非常に現代的な社会批評を語っているところです。
(314文字)



●イヴの時間

鑑賞した日:2018年10月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:吉浦康裕
主演:福山潤ほか
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/bvYrF6u

▼140文字ブリーフィング:

アニメーション作品です。

なんていうんでしょう、、、。

うーん、、。

全然面白くなかったです笑。

ロボットが人間と区別がつかなくなった未来で、
「ロボットに関する法律」がつくられ、
ある喫茶店ではロボットと人間を差別なく扱うというルールがある
、、、というアイディアは「非常に凡庸」です。

100回ぐらい見たことある。

音楽や効果やアニメーションも、
なんか「ドンシャリスピーカー」みたいで、あざとい。
どこで盛り上がって良いか分からないし、
何が良いのか分かりません。
「アニメであることの良さ」もありません。
シーンは三種類(喫茶店、家、学校、以上。)ぐらいなんだもの。
アニメっていうのは実写ではできない、
架空を描けるところにメリットがあるのに、
この作品では創造力の翼は骨折してしまっています。
舞台でやればいいのに。
Amazonのレビューの高評価の意味が私には解せません。
声優オタクとかが高評価をつけてるのかな?
分からん。
(399文字)



●ウルフ・オブ・ウォールストリート

鑑賞した日:2018年10月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(横須賀への往復電車のなかで)

監督:マーティン・スコセッシ
主演:レオナルド・ディカプリオ
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/bp9X78s

▼140文字ブリーフィング:

もはや映画の古典、『タクシードライバー』の、
マーティン・スコセッシ作品です。
最近だと、『沈黙』を撮った監督、
と言った方が分かりやすいでしょうか。

これはすごかったです。

「沈黙」と匹敵するぐらい面白いかも。
「沈黙」とはベクトルが真逆ですが笑。
マーティン・スコセッシの底力を見た気がします。
マーティン・スコセッシはかつてカトリックの司祭になることを夢見たほど、
敬虔なカトリック教徒として知られています。
しかし彼の宗教観は既存の伝統的な神学と相容れず、
だから彼は映画というフィールドで「神学」しているのだと、
私は解釈しています。
映画監督のなかには「在野の神学者」がけっこういます。

この映画は3時間ありますが、
3時間ずっと「金とセックスとドラッグと下品な言葉」の応酬です。
ずーっと不謹慎で、ずーっと公序良俗に反しています笑。
「こいつら狂ってる。
 最低だ!
 、、、
 ん?
 、、、
 、、、
 でも最低だ!
 、、、いや、やっぱり最低だ!」と思いながら、
アドレナリン出まくりで魅せられます。

「やられた」と思いました。

この映画は実在の人物、
ジョーダン・ベルフォードの伝記に基づいています。
人間という生き物の「生々しい欲望」をひたすら見せられる3時間。
圧倒的でした。

レオナルド・ディカプリオはこの作品の後、
一定期間俳優業を休業しました。
「まぁ、そうだろうな」と思います。
それぐらい「高カロリー」な作品ですから。
(570文字)



●ヤング=アダルト

鑑賞した日:2018年10月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェイソン・ライトマン
主演:シャーリズ・セロン
公開年・国:2011年(米国)
リンク:
http://amzn.asia/d/4sM6xg6

▼140文字ブリーフィング:

タイからの帰り道に飛行機で見た、
『タリーと私の秘密の時間(原題Tully)』は秀作でした。
私の私淑する映画評論家、ライムスター宇多丸さんがラジオで、
『タリー・・』と同じ主演女優&監督のタッグ作品があると知り、
本作を見ました。

『タリー・・・』では三段腹を揺らす、
「鬼神の役作り」のシャーリーズ・セロンは、
この映画では「性格の悪い超美人」を演じています。

映画を観ていて「この主人公はクソだ」と、
こんなに思うことも珍しいほど、
クソ主人公なのですが、
同時にクソ面白かったです。

美貌に恵まれたがゆえに人の痛みが分からず、
性格がねじ曲がってしまった主人公は、
「十代のころの栄光の日々」の精神のまま、
三十代に突入します。
プライドだけは怪物のように肥大し、
世間の認識と自意識が乖離した、
「痛い女」の標本のような主人公なのですが、
不思議なことにこのクソ主人公の気持ちが、
観客はちょっとだけ分かるようになるのです。

この映画、日本に置き換えるとこんな感じです。
主人公は田舎町から都会に出てきたクソ女です。
地元の高校では学校一番の美人で、
スクールカーストの最上位に位置し、
外見がイケていない男子をいじめることに加担したが、
その男子の名前すら覚えていない。
その子は地元の短大を卒業し、東京に出る。
そこで「六本木キラキラ女子」として、
華やかな世界に暮らしているが、
東京に出れば当然上には上がおり、
相対的に見れば「たいしたことはない」。

そんな彼女も、
田舎に帰ると全員が絶望的にダサく見える。
その中で孤立する姿がたまらなく痛々しい。
「田舎に順応することを大人になると呼ぶ常識人」
のなかで孤立していく彼女は、
クソであることは変わらないのですが、
「うん、分かるぞ。
 田舎で安定を志向した人たちの、
 本人は自覚すらしていない、
 底知れぬ傲慢さ、ってあるよね。
 お前はクソだが、
 その犠牲者であることは確かだ。
 分かる、分かるぞ!」
と、最後にはちょっと応援してしまう、
という不思議な作品です。

本谷有希子の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』という小説があります。
吉田大八監督が、佐藤江梨子主演で映画化もしています。
こちらは日本版の「ヤング=アダルト」と言えるかもしれません。
そう考えると、このテーマ(誰か名前をつけてくれ)は、
案外と世界中で普遍的なテーマなのかもしれません。
(891文字)



●三度目の殺人

鑑賞した日:2018年5月19日
鑑賞した方法:Amazonでレンタルストリーミング 500円

監督:是枝裕和
主演:福山雅治、役所広司、広瀬すず他
公開年・国:2017年(日本)
リンク:http://amzn.asia/eCkwlne

二度目の観賞 2018年10月11日
Amazonプライム特典にて

▼140文字ブリーフィング:

この映画をみるのは二回目です。
今年の5月に、Amazonビデオで新作レンタル料の500円を支払って、
ストリーミングで観賞しました。
そんで最近、なんとプライム特典で、
無料観賞出来るようになっているではありませんか。
こういうのを「損した」と感じる人もいますが、
私は「損した」とはまったく思いません。

観るのに500円払う価値があると思ったから観たのであり、
実際その価値があったのですから。
モノの価値というのは「絶対値」を観るべきです。
それが●●円払う価値があると自分が確信したら、
定価であってもそれを買えば良いし、
その価値がないと思えば、
いくら「90%オフ」で売られていても、
買わなければ良いのです。

私の経験から言って、
「相対値」で価値判断する人は、
買い物が下手な人です。

何かが1000円安くなっているとき、
「1000円得した」と感じる人は、
価値を相対値でみています。
それが定価であろうが割引後であろうが、
「現在それに●●円の価値があるかどうか」
だけを絶対的な基準とすべきです。

私は本や映画などのソフト(知的創造物)にお金を払うとき、
自分の選球眼にわりかし自信があります。
あと、ソフトにお金をちゃんと使うことは、
その業界自体を維持させるためにも、
絶対に必要だと考えます。
誰も本を買わなければ出版業は衰退しますし、
誰もが違法無料動画で映画を観るようになったら、
映画産業は衰退します。
結局そのツケは自分が払うことになるのです。

、、、何の話し?

そう。

「三度目の殺人」。

プライム特典で無料になっていたので、
私はテンションが上がって、
もう一度みました。

結果、めちゃくちゃ面白かったですね。
改めて、是枝監督の最高傑作かもしれない、と思います。
『万引き家族』を未見なので断定できないですが。

人を裁いて殺す権限を持っているのは誰なのか?という点で、
「裁く者と裁かれる者」「殺す者と殺される者」の、
主客が逆転するさまは見事ですし、また、
真実がどこにあるか敢えて分からないようにしている、
その「80%のシースルー感」もすばらしいです。

、、、あ、ここからはちょっと内容に立ち入るので、
恒例のアレを。
以降は自己責任において読んで下さい。


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


5匹の小鳥のうちの逃がした一匹が、
足をケガした少女(広瀬すず)だったりするメタファー、
「十字架」というシンボル、
「彼は器なのだ」という、
他者の殺意を具現化する人間としての犯人像が、
ヒントになっている点、、、
文句なしの100点の映画でした。

ここからは二度目に見たときの発見。

「これはキリスト論だ」と確信しました。
小鳥の墓が十字架のかたちになっていること。
殺人現場の人型の十字架。
雪遊びのシーンでの十字型に寝る姿。
ラストシーンの「十字路」。

「十字架」がこの映画を読み解く鍵です。
最後に法廷で役所広司は広瀬すずを救おうとし、
その罪を自らの身に背負います。

彼は「救済者」であり、キリストなのです。

広瀬すずを観ながら満足そうに死罪判決をうけ、
両手を縛られ法廷の外に連れて行かれる役所広司の視線は、
キリストの代わりに釈放された強盗犯のバラバへの、
キリストの視線と重なります。

三度目の殺人とはだから、
司法制度による役所広司の殺人であり、
司法制度全体がポンテオ・ピラトや、
ユダヤの大祭司のメタファーになっています。
その返り血を浴びた福山雅治は、
さしずめローマの兵隊や、
殉教者ステパノの返り血を浴びた、
使徒パウロに相当します。

是枝監督は、キリスト教の素養がかなりある監督だと、
改めて感心しました。
(1390文字)



●わたし出すわ

鑑賞した日:2018年10月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:森田芳光
主演:小雪
公開年・国:2009年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/dp1KkPu

▼140文字ブリーフィング:

面白くはなかったです笑。
ただ、目指したメッセージ性自体は面白かった。
それは、「過剰なお金がそのひとの本質を浮き彫りにする」
というメッセージです。
おそらく株で大儲けしている主人公(小雪)が故郷に行き、
いろんな旧友にお金を渡していきます。
それが彼らの人生を変えていく。
崩壊する人もいるし、より強靱になる人もいる。
過剰なお金は「その人の潜在的な問題や、
生の人間性を試すテスト」なわけです。

面白そうでしょ?
藤子不二雄Aの、
「笑うセールスマン」というマンガがありますが、
あれと感覚がちょっと似ています。

もっと上手にやれば、
もっと面白くなる映画なんだけど、
そのメッセージ性が、
なんか薄いというか、
薄ぼんやりしてるというか、、、。
ぱっとしませんでした。

素材は良いのだけど、
味付けを間違えた料理みたいな感じでした。
(302文字)



●グッド・フェローズ

鑑賞した日:2018年10月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーティン・スコセッシ
主演:ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタ、ジョー・ペシ
公開年・国:1990(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/6DGkEtG

▼140文字ブリーフィング:

出ました。
マーティン・スコセッシ再び。

ウルフ・オブ・ウォールストリートを観た後、
ラジオでライムスター宇多丸の解説を聞きました。
なんでもこの『グッドフェローズ』が、
宇多丸にとっての「生涯ベストワンの映画」だというので、
興味をもって見た次第です。

映画評論の師匠が言うなら、
観なきゃダメでしょ、ということで。

そんで鑑賞した結果、、、
これが90年の作だとすると、
確かに映画の流れを変えた一作だというのが分かります。
宇多丸が言っている、
「ヒップホップの技法・サンプリングの技法を使った初めての映画」
というのも良く分かります。
この映画が約30年前に作られ、
それが現在に至るまで映画の技法に影響を与え続けている、
という意味も分かりました。

ただ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、
同じ監督によるその「純粋な進化形」なので、
『ウルフ・オブ・・・』のほうが面白かったかな、正直笑。
最新モデルのマスタングに乗った後に、
「これが原点なんだ!」と、
T型フォードを見せられても、
あんまり興奮しないというか、、、。

伝わるのかな、このたとえ。

ただ、技法以外の部分で純粋に映画として面白い部分もいっぱいあります。
この映画はアメリカのイタリアマフィアの家族の話しです。
『ゴッド・ファーザー』とかと同じテーマですね。
あと、北野武は絶対認めないでしょうが、
『アウトレイジ』は確実にこの映画を参照しています。
オマージュと言っても良い。

あと、映画とはちょっと離れますが、比較文化論として、
イタリアンマフィアの家族を、
ユダヤ人妻が分析するところが面白かったです。
血族かどうかがモノを言う縁故主義、
ねっとりとした人間関係など、
イタリア、もっと言えばカトリック圏の文化を、
ユダヤ人の妻がアングロアメリカ的な視点から冷静に分析する視点は、
かなり勉強になります。

主人公が麻薬とトマトソースを同じテンションで話すシーンも面白いです。
死体を処理する帰り道に、お母さん(スコセッシの実母が演じる)の、
「何か食べて行きなさい」という言葉に逆らえないマフィアの姿も、
マリアを拝む「グレートマザー」のいるカトリック性が現れています。

カトリック圏は教皇という「グレートファーザー」と、
マリヤという「グレートマザー」がいるんだなぁ、と思いました。
だからカトリック圏は「大家族」が多い。
もちろん避妊禁止の影響もありますが、
カトリック圏のほうが家族が濃密なのは、
彼らがグレートマザーを持っており、
「父なき世界」を知らないからだと思います。

プロテスタントは「プロテスト」したわけです。

誰に??

それは「父」にです。
グレートファーザー、教皇と神父です。
よってプロテスタント性というのは、
母親も父親も持たない、「孤独な反抗児」的になります。

あるとき何かでこんなことを読みました。
世界のカトリック国とプロテスタント国を比較したときの違いについて。
カトリック国とは欧州の南部(イタリア・スペイン・フランス南部)、
そして南米、フィリピンとかが入ります。
プロテスタント国とはイギリス・ドイツ・北欧・アメリカ、
カナダ・オーストラリアなどですね。
後で説明しますが、日本もここに入ります。

そこで指摘されていたのは、
「豊かさ」ではプロテスタント国が圧倒しており、
「不正や汚職の指標」がプロテスタント国は低い。
プロテスタント国の職業倫理は高く、
犯罪率も低く、そして金持ちである。
ここまでは皆さんも知るとおりです。
マックス・ヴェーバーが、
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で言ったとおりです。
対するカトリックは職業倫理が低く、
不正や汚職の指標は高く、犯罪率は高く、
そして貧乏です。
南米やフィリピンの薬物汚染事情や大規模な不正、
イタリアのスリの多さなどを考えれば分かります。

ところが、ここからが面白い。

ここに、「幸福度」という指標を加えるのです。
すると何と、幸福度ではカトリック国が逆転するのです。
お金がなく、犯罪率が高く、職業倫理が低いカトリック国は、
「あなたは今幸せですか?」という質問に、
プロテスタント国以上に「はい」と答えるのです。
ちなみに、「自殺率の指標」も両者で逆転します。
プロテスタント国は自殺率が高く、
カトリック国は低いのです。
カトリックは長い間「自殺した人は地獄へ行く」
と言っていましたから、その影響もあるでしょう。
(第二バチカン公会議において、この見解は公式に覆りましたが)
しかし、紛争中の国々を除けば、
最も自殺率が高い国の常連はスウェーデンなどの北欧諸国であり、
北欧は濃厚なプロテスタンティズム文化が根付いています。

なぜカトリック国が幸せなのか?

その本には書いてませんでしたが、
『グッド・フェローズ』に描かれているような、
「濃密な家族関係と人間関係」が関係しているのは間違いありません。
フィリピンに何度か行ったことがありますが、
彼らはいつも、いつも、本当にいつも一緒にいます。
家族や友人でずっと一緒にいて、
ずっと何かを食べ、ずっと冗談を言って笑い合っています。
「幸福」の研究が明らかにしているのは、
人間の幸福にとって「所有」よりも「関係」のほうが大事だ、
ということです。
対するプロテスタント国は「個人主義」であり、
誰かの成功は、兄弟ですらそれに関係ない。
それは彼だけが成し遂げたことだ、
という世界観がある。
それがプロテスタント国を豊かにしたわけですが、
同時にその社会を孤独にしました。

あと、めちゃ乱暴に言うと、
「ご飯が美味しい」のもカトリック国です。
「不味いことで有名な」イギリスの食事と、
イタリア・南仏・スペインの食事を考えてみて下さい。
両者には雲泥の差があります。
「働くために食べる」(ご飯はエネルギーチャージ)と考える、
プロテスタント国(アメリカのファストフードを思い出して下さい)と、
「食べ、味わうために働く」(ご飯はそれ自体人生の喜び)と考える、
カトリック国(南欧では食事を2時間とかかけて食べます)、
食事のおいしさに差が出てくるわけです。
また、カトリック国の人々は良く踊り、
音楽を愛し、人生を楽しみます。

これは非常に示唆的なことだと思います。

プラトンの「真・善・美」という概念がありますが、
プロテスタント社会は「真・善」を独占したため、
対するカトリック社会が余った「美」を持っていったのかもしれない、
と私は思いました。

山本七平が指摘するように、日本もまた、
大別すると「プロテスタント国」に分類されます。
職業倫理が高く、不正・汚職指標が低く、豊かです。
そして自殺率が高く、国民の幸福度は低い。
日本もまた「真・善」だけを取り、
美を忘れた国なのかもしれません。

「美の回復」が、日本には必要です。

人生を「コスパ」で測るのを辞め、
今この瞬間、太陽が輝き、自然が美しく、
ご飯が美味しいことを堪能するセンスが必要です。
音楽に合わせて自然に踊り出すセンスが。
仕事をさぼって恋人と逃避行するセンスが。
朝から晩まで冗談を言い合い、
人生をシリアスに捉えすぎるのをやめ、
すべてを笑い飛ばすセンスが。

カトリック圏から学べることは、
実は思いの外たくさんあるのです。
(2,669文字)



●ヒューゴの不思議な発明

鑑賞した日:2018年10月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーティン・スコセッシ
主演:エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ
公開年・国:2011年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/07vgDvE

▼140文字ブリーフィング:

はい。
出ました。
マーティン・スコセッシ三たび。

先月は私は「マーティン・スコセッシ祭り」でした。

先月観た中ではこれが一番最近の作品でした。

これはねぇ。

日本語タイトルと、宣伝の仕方が悪いと思いました。
原題は単に「HUGO(ユゴー)」です。
フランス人作家の「ビクトル・ユゴー」という人がいますが、
その人と同じ、「ユゴー」です。
「ヒューゴの不思議な発明」という、
「のび太の鉄人兵団」とか「崖の上のポニョ」的な、
日本の子どもたちに耳馴染みの良いワーディングをすることで、
本作の本当の内容とはまったく違う印象を与え、
映画館で鑑賞した人は「え?こういうジャンルだったの?」
となったことでしょう。

ただ、難しいのは、
確かに表面上の内容は、「のび太の●●」的な内容でもあるのです。
しかし、本当の内容は全然違う。
この映画は「お菓子のパッケージにイカの塩辛が入っている」
みたいな映画なのです。

では、イカの塩辛とは何か?

それは、シネフィル(映画愛好家)の、
シネフィルによる、シネフィルのための映画です。
これは私はライムスター宇多丸や町山智宏の解説を聞いてやっとわかりました。
「映画の父」リュミエール兄弟とジョルジュ・メリエスの実話を題材にした、
「映画黎明期」の、「見世物としての映画」を、
現代の見世物小屋である3D映画館で上映する、
というメタ的オマージュにあふれるシネフィル作品なのだ、と。

日本だとどういうことなんだろう?

表面上は「のび太の●●」的な作品なんだけど、
登場人物が、黒澤明とか、小津安二郎とか、円谷英二とか、
日本の映画黎明期を作った人々の実話で、
彼らの映画技法などを余すところなく開陳しており、
日本古典映画マニアの垂涎が止まらない、
みたいな感じです。
「映画史博物館」とかで流すといい作品ですね。
(718文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「三度目の殺人」

コメント:

これは文句なしに面白かったです。
2回目に観ても、さらにいろんな発見があり楽しめました。
日本人の監督でこうい「キリスト論」を描けるというのは、
本当にスゴイことです。
是枝裕和監督は現代の日本人映画監督のなかで、
頭ひとつ抜けていますね。



▼主演(助演)男優賞
レオナルド・ディカプリオ(ウルフ・オブ・ウォールストリート)

コメント:

先ほども書きましたが、
この映画の撮影後、ディカプリオは俳優活動を一時休業します。
それほど「すべてを出し尽くした演技」だったのです。
俳優って、命を削って演じてますよね。
この映画に関しては、命を削ってるなぁ、、、
というのが観てて分かります。
「俳優が命を削る」というとき、
ジャッキー・チェンが「折ったことのない骨はない」とか、
トム・クルーズが骨折したままヘリコプターに捕まる演技をした、
とか、極度の減量とか増量は「分かりやすい」です。
しかし、「感情の消耗」のほうが私は過酷だと思います。
この映画でのディカプリオもまさにそれ。
ちなみにヒース・レジャーという俳優は、
『ダークナイト』というバットマンの映画で、
狂気の悪役、ジョーカーを演じ、
「役に呑み込まれる」形で、
直後に薬物過剰摂取で死んでいます。
『ダークナイト』を観ますと、
「まぁこれは、死んだとしてもおかしくない」と思います。
それほどにあのジョーカーの演技は鬼神の領域に踏み込んでいた。
「入魂の感情の演技」は命がけなのです。



▼主演(助演)女優賞
シャーリズ・セロン(ヤング=アダルト)

コメント:

先月の「タリーと私の秘密の時間」に続き、
今月も主演女優賞はシャーリズ・セロンです。
「タリー・・・」のあとにこの映画を観ると、
分かってはいても、同一人物と思えないほど、
まったく違う役を演じています。
「自分の美貌ぐらいしか頼るものがない、
 危うい杖に支えられている、
 どこまでもイタイタしい『キラキラ』女子」
を怪演しています。
この映画公開時にはまだ「Instagram」というツールは、
世の中に普及していないわけですが、
もし彼女がInstagramを手にしていたら、
その殺傷能力は何倍にもふくれあがっていたことでしょう。
もちろんそれは諸刃の剣ですので、
殺傷能力は他者に向かうとともに、
彼女にも返ってきます。
その場合、彼女の「崩壊の仕方」は、
この映画どころでは済まなかったでしょう。
観てみたい気もしますが、
怖くて観られない気もします。



▼その他部門賞「監督賞」
マーティン・スコセッシ

コメント:

先月は私の中で「スコセッシ祭り」でしたので、
彼の映画を立て続けに3本観ました。

同志社大学神学部の木谷佳楠(かなん)さんという人が、
卒業論文か何かで書いたものが書籍化され、
それを今年の3月に読みました。
佐藤優氏が絶賛していたので興味を持ち。
ちなみに後日談として、この本を読んだ翌月、
木谷さんの元同級生という方と、
名古屋で偶然お会いしました。

奇遇というものがあるものです。

その本の中で著者は、
マーティン・スコセッシについても語っていますので引用します。

▼参考リンク『アメリカ映画とキリスト教 120年の関係史』
http://amzn.asia/0DzGS3M

→P150 
〈したがってスコセッシは、
単なる話題性のためにイエスが女性と関係を持つ場面を含む
『最後の誘惑』を映画化したのではなかった。
彼は同年のヴェネツィア映画祭で、
『最後の誘惑』を上映した後の記者会見において、
彼自身の信仰やイエスへの愛、
そして1972年に初めて作家ニコス・カンザキスの原作を手にして以来、
『最後の誘惑』を撮り上げるまでの長い間に経験した
様々な困難や苦闘について率直に語る中で、以下のように述べている。

「私はこの映画を神への祈り、
あるいは礼拝のように作った。
私は司祭になりたかった。
私の人生はずっと映画と宗教が占めていて、
それ以外には何もないんだ。」

一時は司祭になることを目指したこともあるスコセッシにとって、
この映画を撮るという行為そのものが、
彼自身の宗教的なルーツに立ち返って祈る、
あるいは礼拝するという意味を持っていたのである。〉


、、、スコセッシにとって、
「映画を撮る」という行為は祈りなのです。
彼が遠藤周作の『沈黙』を映画化したというのは、
話しの流れとしてごく自然なことです。
キリスト教の神学的タブー領域に敢えて踏み入れることで、
人々の「規格品としてのイエスのイメージ」に揺さぶりをかけ、
より深い位相におけるイエスとの出会いに誘う、
という手法を観るとき、
遠藤周作がそうであったように、
スコセッシもまた「在野の神学者」の一人であるのが分かります。

陣内が先月観た映画 2018年9月 『ゲットアウト』他

2019.02.06 Wednesday

+++vol.059 2018年10月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年9月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●サウスポー

鑑賞した日:2018年9月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:アントワーン・フークワ
主演:ジェイク・ギレンホール、レイチェル・マクアダムス、フォレスト・ウィティカー
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2PIjYt1

▼140文字ブリーフィング:

かなり面白かったです。
ボクシング映画の「ベタ」を全部入れた感じ。
ボクシング映画にハズレは少ない、
というのは映画の方程式の一つかもしれないですね。
とにかくギレンホールの演技がすごいです。
彼は「眼光の役者」と私は思っているのですが、
別の映画では彼は「ガリガリ」なのに、
この映画ではプロボクサー並の筋肉を付けています。
筋肉と眼光に釘付けになりました。
(172文字)



●バクマン。

鑑賞した日:2018年9月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(愛知への移動中)

監督:大根仁
主演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太他
公開年・国:2015年(日本)

リンク:
http://amzn.asia/d/94jbl8j

▼140文字ブリーフィング:

大根仁監督が結構好きなので、
普段なら食指が動きませんが、見てみました。
結果、結構楽しめました。

ジャンプの「友情・努力・勝利」を地で行くストーリーに、
「リアリズム」はありませんが、
最初からそれを劇中で言葉にすることで、
あまり気になりません。

この手法を「フィクションラインを上げる」といいます。
「これはリアルですよ〜!」というのは、
フィクションラインを下げているのですが、
そうすると観客は感情移入しやすくなると同時に、
ちょっとでも「こんなの現実じゃない」と思うと、
一気に冷めてしまうという諸刃の剣になります。
逆に、これは漫画的な話しですよ〜、
作り話ですよ〜、と、
「フィクションラインを上げる」ことによって、
「これは自分の話だ」と思わせるのは難しくなりますが、
ちょっとご都合主義的な展開があっても観客は、
「まぁ、フィクションだから良いよな」
とそのまま飲み込めてしまう、という長所があります。

大根監督はそれをよくわきまえています。
元々が「マンガ」のこの作品を、
そのまま実写(実在の人物)にすると、
当然、二次元から三次元になったことで、
「フィクションラインが下がる」のですが、
劇中で「わざとらしい台詞」を意図的に言わせることで、
観客に「そうだそうだ、これはマンガの話しだ」
と思い出させるわけです。

、、、能書きが長くなりました。

ちなみに「バクマン。」のマンガの原作は未読です。
この映画を観ると、
今の日本で人への影響力を最も発揮したければ、
他のどんな職業よりも漫画化だというのがよく分かります。
ジャンプの最高出版部数630万部は、
すべての出版物で最大部数だし、
おそらく今後も塗り替えられることはありません。
「教師1万人の影響力」は、
尾田栄一郎一人の影響力に勝てない可能性があるのです。

一方で、「食える漫画化は0.1%、
それでも普通のサラリーマンの年収に届かない」
という現実も同時に真実です。
かつてジャンプの連載をしていた、
主人公(佐藤健)の叔父(宮藤官九郎)は、
39歳で過労のため死んだという設定になっていますが、
これもおそらく「現場のリアルな描写」なのでしょう。
「クリエイティブな仕事」の光と闇が上手に表現されています。

あと、映像表現そのものも楽しめました。
見ていて飽きさせない。
音楽の使い方も上手なので、
視覚的・聴覚的な快楽があります。

詳しくは言えませんが、ラストの、
「最高潮の2人の忘我のハイタッチ
→嘘みたいな幕切れ」の流れは、
200%『スラムダンク』オマージュで
胸が熱くなりました。
「スラムダンク好き」には、
嬉しくなる小ネタがたくさん入っている映画です。

また、ちょっと角度は変わりますが、
劇中で主人公の2人が、
「ドラゴンボールやキン肉マンを超えるマンガを書こうぜ!!」
「、、、いや、人口減少社会でそれは現実的じゃない」
という会話を交わします。

ここに私は、平成生まれの世代の、
「世代的な賢さ」を感じます。
こういうことが堂々と言えるようになってきた、
というのは大切なことです。

私たちは「全体が縮む社会」に生きているのです。
並外れた夢を持つこと自体は良いのですが、
「巨人の星」的な昭和根性論にドライブされると、
いろいろ無理が生じてきます。
今の野球選手が王貞治や長嶋茂雄を目指しても、
同じような人気や名声は得られません。
あれは、国民全員が野球を見ていたから成立したわけです。
今の起業家が松下幸之助に憧れても、
松下幸之助にはなれません。
あれはまだ国民が白物家電をもっていない時代に、
起業家になったから成立したのであって、
すべてがコモディティ化され供給過剰の現代に、
「ナショナル」のようなサイズの企業は生まれないでしょう。
少なくとも製造業においていは。
今の時代に若い牧師が、
「世界一の教会員数の教会、つまり100万人を建てる!」
と息巻いても、
おそらくその試みは失敗に終わるでしょう。

時代が違うのです。

「全体が縮小する時代」に、
それでも、「あなたにしか描けない固有の夢」を描くことが、
これからの世代には大切だと私は考えます。
(1,652文字)



●ハッピーフライト

鑑賞した日:2018年9月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:矢口史靖(しのぶ)
主演:綾瀬はるか、田辺誠一
公開年・国:2008年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/2ypcEzW

▼140文字ブリーフィング:

「ウォーターボーイズ」「ウッジョブ!」の、
矢口監督なので期待しましたが、
ぶっちゃけあんまり面白くなかったです。
矢口監督は好きだし、彼の「職業もの」は勉強になりますが、
これはちょっと「あんまり」でした。
これは私の類推に過ぎないのですが、
「ウォーターボーイズ」が当たった矢口監督に、
大きなバジェットが下りてきて、
そんでいろんなタレントを使うことになり、
結果、芸能事務所の都合で大胆なことが出来なくなったり、
本来の脚本が歪んだりして、こういう残念な結果になった、
というのが裏で起きたことではないでしょうか。
邦画の駄作はたいていこうして作られます。
(270文字)



●宇宙兄弟

鑑賞した日:2018年9月17日 
鑑賞した方法:Amazonプライム特典 愛知から東京への帰り道の移動中にタブレットで

監督:森義隆
主演:小栗旬、岡田将生
公開年・国:2012年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/iaIfmHq

▼140文字ブリーフィング:

こちらも「あんまり」でしたね。
唯一褒める点を先に挙げるとするなら、
プライマルスクリームの「ロックス」の楽曲に乗せたオープニングシーン。
あと、コールドプレイのエンディング曲も良かったです。
PVとしては優れています。
あれは「上がる」。

しかし、オープニングで「ぶち上がったテンション」は、
まるでロケット打ち上げ失敗かのように、
本編で急速に尻すぼみ、最後までその勢いは戻りませんでした。
ご愁傷様です。

「なんでこうなってしまったのか?」
敗戦の理由を私なりに分析するならば、
英語を日本人俳優のスピードに合わせているので、
アメリカ人の英語が不自然にゆっくりになり「学芸会感」が強すぎる、
というのがその理由です。
先ほどの言葉で説明するなら、
「フィクションラインの失敗」ですね。
この映画はフィクションラインを下げようとしているのですが、
どう見てもフィクションなので、ついて行けなくなるわけです。
「これはおとぎ話ですよ〜」というためには、
大胆に、NASAとかJAXAっていうリアルな機関ではなく、
近未来SFとしてまったく違う宇宙機構を作るか、
もしくは民間企業の宇宙事業の話しにしたほうが良かったんじゃないかな。
あまりに中途半端な処理の仕方が、
全体の建て付けを悪くしています。

原作は未読ですが、マンガなら、
上記の問題は無視できるので、
「きっと、マンガだと面白いんだろうな」
と思いながら見ました。
これは映画の評価ではなく、
読んでもないマンガの評価になるのですが笑、
「このテーマ」を漫画化した勇気が凄いです。
しかも、ヒットしてるんですから。
井上雄彦が「スラムダンク」を最初に書いたとき、
ジャンプ編集部から、「バスケマンガは当たらない」という、
業界ジンクスを聞かされたそうです。
だからスラムダンク1巻、2巻には、
青春、不良、ケンカ要素が入っているのです。
井上雄彦はその「業界の常識」を覆しました。
「宇宙兄弟」の作者も、きっとそういうことをしたんだろうな、
と思います。
(814文字)



●ファイト・クラブ

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスで)

監督:デイビッド・フィンチャー
主演:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン
公開年・国:1999年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/4QVq9tA

▼140文字ブリーフィング:

これは有名な映画ですね。
実はこの映画、記憶に依れば15年以上前に見ているはずなのです。
2度目に見るはずなのに、マジで何も覚えていなくて、
自分の記憶力の悪さを再確認しました。
「うん、俺は記憶力悪い!」と。

結果、めちゃくちゃ面白かった。
だって、主観的には初めて見てるんですから笑。
、、、でこの映画、
ネタバレ厳禁映画につき、恒例の警告を。
公開年からすれば、別に今更ネタバレもクソもないのですが、
まぁ、これから初めて見る人もいるでしょうから、一応。


++++ネタバレ注意++++



++++ネタバレ注意++++



++++ネタバレ注意++++


では始めて行きましょう。
この映画の公開年は1999年ですが、
コンプライアンス的に、2001年9月11日以降は、
完全にアウトです。
理由は「ビル爆破シーン」が、現実に起きたことと、
あまりに似ているからです。
あれはすべてのアメリカ人にとってトラウマ映像でしょう。
津波の映像が日本人にとってトラウマ映像なのと同じで。

で、この映画のトリックは基本的に先月ご紹介した、
「シャッターアイランド」とか、
シャマラン監督の「シックス・センス」と同じです。
私は記憶力が悪いので、そのことをまったく覚えておらず、
今回、最後まで気づきませんでした笑。

つまり、冴えない日常を送る主人公(エドワード・ノートン)と出会い、
ファイト・クラブという、世界を破壊する秘密結社の創始者のブラピは、
実際には存在しない人物だ、という話しです。
ブラピはエドワード・ノートンの「オルターエゴ」であり、
自らの抑圧された欲望を実現するために、
エドワード・ノートンは「破壊神」として、
ブラピを召喚してしまうのです。
一種の多重人格者になったエドワード・ノートンは、
自分がブラピだったときにしたことを覚えていないので、
「秘密結社の陰謀に巻き込まれている」と主観的には感じています。

この映画、ブラピがかっこよすぎます。
また、「既存の価値観をぶちこわす」という意味で、
村上龍の小説「コインロッカー・ベイビーズ」や、
キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」などにも連なる名作です。

「社畜」のホワイトカラー、
ガソリンスタンドの店員、
レストランのウェイターなどの「労働者」が、
「暴力と破壊の秘密結社をつくる」というのがこの映画の筋です。

実はこの映画、見た目よりはるかに深い。

「近代社会における階級闘争」の要素も孕んでいるし、
現代社会の「不満の根源」を指摘しています。
それをテロリズムとアナーキズムで「破壊的に解決する」
というカタルシスが描かれます。
この話形は村上龍が得意で、
「愛と幻想のファシズム」や、
「コインロッカーベイビーズ」を思い出しました。

誤解されて解釈されることが多いですが、
こういった話形によって村上龍やデビッド・フィンチャーが伝えたいのは、
「だからこのクソ世界を破壊しようぜ!」
という話しではなく、
皆が当然のこととして受け入れている、
この世界は、「クソ世界」なのだ、
という内在的批判の視点を獲得させることなのです。
破壊神としてのオルターエゴ(ブラピ)は、
「あり得たかもしれない破局的な解決の提示」であり、
「その先は行き止まり」であることが示されることで、
鑑賞者(読者)は映画により「疑似的に脱構築」されたこの世界を、
再構築する日常に戻っていくことが意図されているのです。
(1,370文字)




●ゲット・アウト

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスの中で)

監督:ジョーダン・ピール
主演:ダニエル・カルーヤ
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/0BM0caC

▼140文字ブリーフィング:

クソほど面白かったです。
監督のジョーダン・ピールの背景はコメディアンです。
日本で言えば「芸人が撮った映画」になります。
ジャンルで言うと「コメディホラー」ですが、
それは薄皮一枚だけのことで、
非常に鋭い「白人至上主義批判」になっています。
トランプ大統領が人種差別主義者を勢いづかせ、
アラブ系のアメフト選手のナイキの広告により、
白人たちがナイキのスニーカーを燃やす、
という悪夢のような今の世界に、
この映画は預言的に響きます。
あまりに面白くて、私は2回見ました。
(227文字)




●GODZILLA ゴジラ

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(羽田に向かう電車で)

監督:ギャレス・エドワーズ
主演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/dAOdazL

▼140文字ブリーフィング:

最初の3分のあおりが面白かったので見ましたが、
ずーっと、ひたすらに退屈でした。
「1万回ぐらい見たことあるシーンの連続」でした。
大量の火薬、カーチェイス、安い家族愛、
記号的な大量の死人、記号的なビルの破壊、、、、などなど。

ハリウッド映画の駄目な部分の集大成、という感じでした。
ひどいです。

「シン・ゴジラ」と、パッケージは似ているが、
食品サンプルと本物の食品ぐらい違います。
栄養素ゼロの映画。
バジェット(予算)はシン・ゴジラの十倍以上の規模なのでしょうが、
こんなに面白くない映画が撮れる、
というのはある意味ハリウッドの「才能」と言ってもいいかもしれない。
こんなことにどうして人はお金を使うのだろう、、、
というのが私の感想です。
(311文字)




●奇跡のリンゴ

鑑賞した日:2018年9月21日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬からの帰りのバスで)

監督:中村義洋
主演:阿部サダヲ、菅野美穂
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/gDl6c1b

▼140文字ブリーフィング:

これは「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられて有名になった、
青森で「リンゴの無農薬有機栽培」という、
前人未踏の奇跡を成し遂げた、木村秋則さんの書籍の映画化です。

書籍は5年前に読んでいまして、
「こんなの映像化不能なんじゃないの?」と眉唾だったので、
ハードルが下がっていたからかもしれませんが、
思いの外良かったです。

それどころか、何回か泣きそうになりました。
10年間何も実らず、周囲から「かまどけし(ごくつぶし)」と、
後ろ指を指されながら生きる主人公に、
私の場合どうしても自分を重ねてしまうので。

農薬を使う農家が「安定した仕事に就く人々」に見え、
農薬を拒絶し、夢を追い続ける木村さんは、
「組織から離れて信念に導かれて生きる挑戦者」に見えます。
挑戦者はいつも人から馬鹿にされ、笑われ、軽蔑されます。
それでもなおかつ、「失敗者」として終わることも多いのでしょう。
それでも、そこには価値がある。
そういう社会じゃないと、逆に社会全体が停滞するだろう、
私はそう思うのです。

この映画、そんなわけで、
「すべての挑戦する者たちへのエール」にもなっている。
食えない芸術家、食えない芸人、食えないミュージシャンたちは、
この映画で泣くこと間違いなしです。

あと、木村秋則さん本人が、
あるシーンで出演していてテンションが上がりました。
「ウォーリーを探せ」じゃないけど、
「木村さんを探せ」要素もある映画です。
(592文字)


cf.書籍、『奇跡のリンゴ』
http://amzn.asia/d/4u8MTze




●容疑者Xの献身

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(タイに向かう飛行機の中で)

監督:西谷弘
主演:福山雅治、堤真一、松雪泰子
公開年・国:2008年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/9Blx1By

▼140文字ブリーフィング:

かなり良かったです。
「真夏の方程式」「秘密」「天空の蜂」「白夜行」など、
東野圭吾原作の映画は何本も見ていますが、
これはもしかしたら最高だったかも。
小説を超えていいます。
役者の厚みの勝利という感じ。
堤真一に、最後は泣きそうになりました。
今年一番の「純愛映画」です。

ちなみに私が映画評論において私淑している、
ライムスター宇多丸はこの映画に対して批判的です。
それはこの映画が構造的に抱える「ある部分」
についての突っ込みです。
そしてそれは、一理あります。
というよりも、ド正論です。
私も同意します。

でも、それはなぁ、、、。
それは、映画ではなく、
原作小説自体への批判になってしまうので、
私は映画に罪はない、という立場です。
(304文字)




●Tully (邦題:タリーと私の秘密の時間)

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(タイへ向かう飛行機の中で)

監督:ディアブロ・コディ
主演:シャーリズ・セロン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://tully.jp/

▼140文字ブリーフィング:

この映画、3回見ました。
現在日本で公開中の映画です。
タイに行く飛行機の中で見られたので見ました。

行きの飛行機で2回、
帰りの飛行機で1回。

私の英語ヒアリング力が低いので、
1回目は50%、2回目は60%ぐらいしか理解できませんでした。
6日間英語漬けの生活で、
かなり英語に耳が慣れた3回目は、
やっと85%ほど理解できました。

よく「日常会話ぐらいなら英語話せる」という人がいますが、
いやいや、日常会話が一番難しいからね。
聞くのなら、フォーマルな場での講演会だとか、
話すのなら大勢の前でのプレゼンのほうが、
全然簡単です。
聞くのも話すのも、日常会話が最高難度です。

だって逆の立場で考えてみてください。
あなたが日本語学びたての外国人だったとして、
学校の先生の授業を理解するのと、
休み時間の日本人同士の
「水曜日のダウンタウンのクロちゃん、
 マジ、クズじゃね??」
「あれは激ヤバだよね。
 あの嘘ツイートマジ引いたんですけど。」
という会話に入っていくことは、どちらが難しいでしょうか?

後者のほうが100倍難しいのです。

映画の中の英語を聞き取るのも同じです。
会話のなかで、
「アメリカのテレビ番組で有名な人を用いたたとえ話」
「アメリカにしかないフランチャイズ店を用いた、
 『あるあるネタ』」などが出てくるのが、
映画の中の会話です。
しかも「ハイ・コンテキスト」といって、
文脈依存性が非常に高い。
「その人のおかれた文脈について、
 言葉ではないやり方で説明し、
 台詞では最小限度でしか語らせない」
のが映画の脚本の書き方です。
なので、重要なシーンはたいてい、
センテンスは原型をなしておらず、
単語の断片だけになります。

難しいでしょ?

あと、日本の松田龍平だとか、
佐々木蔵之介のような俳優を考えていただくと解るのですが、
ある種の映画俳優というのは、
「ボソボソ話す」ことや、「早口で話す」ことが、
その「芸風」になっています。

英語でそれをやられると、
ほとんど何言ってるか解らない。
ヒアリングでいうと最高難度です。

なんの話し?

あ、そうそう。
ですからこの映画、
3回見たけれど、ディテールについて、
私が本当に理解出来ているかどうかは謎です。
あとで、師匠であるライムスター宇多丸さんのの解説を聞いて、
やっと分かった部分が多かった。

まぁ、英語談義はこのへんにしますと、
この映画、シャーリズ・セロンの迫真の演技だけで、
もう80点ぐらい出しています。
23キロ増量して、「絶世の美女」であるシャーリーズ・セロンが、
「子育てに疲れ、肌がたるみ、醜く太った母親」を完全に演じきっています。
この役者魂は、役作りのために奥歯を4本抜いた、
松田優作と肩を並べます。

私がごちゃごちゃと口で説明するよりも、
これは画像を見て貰うのが最も説得力がある。
もはや「別人」です。

▼参考画像1:シャーリズ・セロン(通常時)
https://bit.ly/2zKjpxY

▼参考画像2:シャーリズ・セロン(Tully出演のため23キロ増量)
https://bit.ly/2QiGddM


、、、この「めちゃ美しい人が醜く所帯じみる」
という落差が、この映画のテーマである、
「きらびやかな独身20代女性が、
 3人の子どもを産み、
 疲れ果てていく。
 そして20代のころの青春を、
 複雑な気持ちで振り返る」
という物語の説得性を高めています。

子育てに苦労した女性にはエールを、
自分はイクメンだと思っているが、
実は何も解ってあげられていない、
すべての男性にはグサリと刺さる鋭い指摘を、
この映画は与えてくれます。
「男たちよ、何も解っていないということを解れ!」
ということです。

つまり、すべての男女に送る映画、ということですね。

とりあえずネタバレなしで解説できるのはここまで。
以降は自己責任で読んで下さい。
こちらは公開中の映画につき、特にご注意を。


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++



、、、さて、この映画には重要なトリックがあります。
それは今月ご紹介した「ファイト・クラブ」と、
まったく同じです。

Tullyというナイトナニー(夜に赤ちゃんを見てくれるベビーシッター)が、
主人公マーロウ(シャーリズ・セロン)のもとに現れ、
彼女の人生を「救済」するのですが、
最後の最後にトリックが明かされます。
Tullyはマーロウのミドルネームです。
そして彼女は実在せず、
不眠症の極限に達したマーロウが、
自らを救済するために生み出した「幻影」だったのです。

20代のTullyはマーロウのオルターエゴであり、
「若かりしころのマーロウ本人」でもあります。
最後の最後に、ナイトナニーを辞めたいと告げるTullyに、
マーロウはこうぶちまけます。

「あなたは20代だからまだスタイルが良くて、
何をしても楽しくて、夢にあふれていて、
自由があって良いわね。
でも30代は違う。
結婚をして子どもを産んだら、
あなたは思い知ることになるわ。
おむつを替え、授乳をし、
発達障害を抱える息子の対応に追われ、
学校と交渉し、おむつを替え、授乳をし、
自分はどんどん醜く老けていく。
終わりなき消耗の日常が待ち受けてるのよ!!
いつかあなたも知ることになるわ!!」と。

それに対してTullyはマーロウにこう言い返します。
「あなたが軽蔑しているその日常を、
 私は夢に描き憧れているのよ!!」と。

トリック自体は手垢がついた手法であり、
ちょっと食傷気味なのですが、
この叫びは素晴らしかった。
「終わりなき日常の肯定」がそこで語られるからです。

「シュシポス神話」というギリシャ神話があります。
シュシポスは神々の怒りを買い、
岩を山頂に運ぶという仕事を命じられます。
ところが岩は山頂におかれた瞬間、
ふもとまで転がり落ちてしまいます。
シュシポスはまた下山し岩を運ぶ。
これが永遠に繰り返される、
というのがシュシポスの神話です。

現代の「終わりなき消耗の日常」は、
まさにこのシュシポスの姿そのものかもしれません。

私たちは朝から晩まで働きます。
働いてはその成果に満足するつかの間もなく、
次の仕事がやってくる。
育児もそうです。
おむつを替えてはまた汚され、
またおむつを替えては汚され、
またおむつを替え、、、
永遠に続くかに思える繰り返しがそこにある。

しかし、その「シュシポス的日常」を、
肯定することこそ、現代の社会が心から求めているものです。
「非日常への逃避」は本質的な解決にはなりません。

ここで宣伝をぶっこみますと、
11月23〜24日、札幌で開催される、
「よにでしセミナー」は、
「終わりなき日常の肯定」
「終わりなき日常に意味を与えること」が出来る、
機会を意図的に提供している、
日本で(多分)唯一のセミナーであると自負しています。
参加をご検討の方は是非に!!
(2,693文字)



▼参考リンク:「よにでしセミナー2018 in札幌」
http://karashi.net/project/yonideshi/index.html

(申し込み人数上限15名に達し次第、
 受付を終了しますので、
 検討中の方はお早めに!)




▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ゲット・アウト」

コメント:

この作品は、けっこう度肝を抜かれました。
こんな面白い映画がまだあったのか!と。
基本はホラー調なのですが、
ちょっと「そこはかとない面白さ」がある。
かなり高度なバランスで、
恐怖と笑いが融合しており、
なおかつ強烈な社会批判になっている。
この映画は実はエンディングが2パターン用意されていたそうです。
当初監督が構想していたのは、「希望のない」パターン。
しかし、トランプ大統領の当選、
およびかつてないほどの有色人種排斥の機運の高まりのなかで、
監督はエンディングを「希望のある方」に差し替えたそうです。
「現実社会が地獄なのだから、
 せめて映画は希望を語らなければ」
というわけです。
賢明な判断だったと思います。




▼主演(助演)男優賞
堤真一(容疑者Xの献身)

コメント:

根暗な天才数学者の役を、
演じきっていました。
あの位置にいるのが誰かで、
この作品はまったく違うものになっていたでしょう。
私は彼の演技、好きでした。
こんな役も出来るんだぁ、と、
俳優としての堤真一を再評価しました。




▼主演(助演)女優賞
シャーリーズ・セロン(タリーと私の秘密の時間)

コメント:

文句なしですね。
こんなの、主演女優賞以外ないでしょう。

日本の女優でいったらどうなんだろう?
綾瀬はるかとかが、
25キロ太って、
女芸人みたいなブヨブヨの身体になり、
三段腹を揺らしながらジョギングするシーンを撮る、
みたいな話しですからね。
日本ならまずこれをOKする芸能事務所が存在しないはずです。

それほどこの役作りは「鬼神の領域」に踏み入れています。

、、、というか、
今年のアカデミー賞、
マジで彼女は主演女優賞獲るかも、です。
そうなったら、私はアカデミー賞を「予言」したことになります。

、、、みなさん、覚えておいてください笑。


、、、あ、外れたら、忘れて下さい笑。




▼その他部門賞「再評価賞」
「ファイト・クラブ」

コメント:

こんなに面白い映画を、
なぜ私はまったく覚えていなかったのでしょう?
これを観た15年前は、いったい何を考えていたんだろう?

まぁ、人は変わる、ということですね。

今まったくつまらないと思っていた映画が、
10年後に一番好きな映画になったり、
今一番面白いと思っている映画が、
10年後に観たら、
「なんて薄っぺらな映画を私は喜んでいたんだろう?」
と思うかもしれない。

映画は人生の成長を測る座標軸のように、
そこに定点として存在してくれています。
たぶん私が15年前に「ファイト・クラブ」を見た時は、
「労働階級の鬱屈」や、
「破壊衝動を覚えるほどの現代人の抑圧」について、
まったく理解していなかったのだろうと思います。

飛行機の中で観た「Tully」にしても、
今私は親になったからあれだけ響いたのであって、
たとえば独身時代に観ていたら、
これほど楽しめたかどうかは不明です。

私たちは映画を評価しますが、
実は私たちのほうもまた、
「映画に評価されている」のかもしれません。

陣内が先月観た映画 2018年8月 『コクソン』他

2019.01.09 Wednesday

+++vol.055 2018年9月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年8月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●哭声 コクソン

鑑賞した日:2018年8月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ナ・ホンジン
主演:クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼他
公開年・国:2017年(韓国)
リンク:
http://amzn.asia/0oOmcZv

▼140文字ブリーフィング:

これ、めっちゃ面白かったです。
あくまで「私は」という話しであって、
万人にお勧めするものでは決してありませんが。

というのも、この映画、ジャンルでいうと、
サイコホラーサスペンスみたいなところに位置していまして、
相当に「グロくて、怖くて、禍々しい」です。
作品全体に漂う「禍々しさ」が群を抜いています。
まがまがしさが半端ない。
「不気味さ」に振り切った映画です。
こういう、ひとつのベクトルに振り切った映画にはパワーがあります。
忘れられない映画のひとつになりました。

グロは苦手、
ホラーは苦手、
暗い雰囲気の映画は苦手、
後味の悪い映画は苦手、
というどれかひとつに当てはまる人は、
鑑賞しないことをお勧めします。

こういうと、そんなひと、
100人に1人ぐらいしかいないんじゃないかと思っちゃいますが。

でもね。
この映画、韓国で大大大ヒットしたのです。
500万人が観たそうです。
韓国の「映画リテラシーの高さ」に、
私は感銘をうけるわけですが。

さてこの映画、
ただグロテスクで禍々しいだけではありません。
そんな映画を500万人が観るわけがない。

では、その「ホラーの薄皮の下」には何があるのか?
なんと、そこには「キリスト教神学」があります。
なんせ、ナ・ホンジン監督は牧師になろうとして、
かつて神学校に行っていたという経歴を持つ人ですから。
韓国はアジア最大のキリスト教国ですが、
その「キリスト教的な厚み」は、
映画にもっとも色濃く表れていると私は分析しています。

この映画はキリスト教神学の中でも、
特に「神義論」と呼ばれる分野を取り扱っています。
神義論とは、
「善である神が造った世界なのに悪があるのはなぜか?」
「神はなぜ悪魔を造ったのか?」
「神が完全な世界を望まれたのなら、
 なぜ罪を犯す可能性のある人間を造ったのか?」
「正しい人が苦しみ、悪い人が幸せになるのはなぜか?」
「罪のない子どもが酔っ払いの運転する車に轢かれて死ぬのを、
 なぜ神は許されるのか?」
などの問題を扱う神学の分野です。

なので本作「哭声 コクソン」は、
ゲーテの「ファウスト」だとか、
旧約聖書の「ヨブ記」の系譜に連なる物語なのです。

ナ・ホンジン監督はまさにそのような動機から、
この映画を制作した、とインタビューで応えています。

この映画は冒頭にテロップで、
「人々は恐れおののき、霊を見ていると思った。
 そこでイエスは言った。なぜ心に疑いを持つのか。
 私の手足を見よ。まさに私だ。触れてみよ。
 このとおり肉も骨もある。
 ルカによる福音書24章37-39節」
という聖書の引用がなされます。

そして、コクソンという韓国に実在する小さな谷間の村で、
悪霊に憑かれた人が猟奇的な殺人事件を起こす、
というシーンから始まります。
主人公はこの事件を追う「刑事」なのですが、、、、
その先は言えません。

この映画が面白すぎて、
私は「町山智宏の映画無駄話」という、
30分ぐらいのトーク(MP3)を、
200円支払って購入し、聞きました。

凄いでしょ。

それほど、この映画には「何かがある」と思ったのです。
町山さんは韓国語も理解する人ですから、
ナ・ホンジン監督が韓国のメディアで受けたインタビューなどを引いて、
丁寧に解説してくれました。

町山さんの結論を言うと、
ナ・ホンジンのこの映画の投げかけは、
「神はいるかもしれない。
しかしそれが人間にとって良いものであるかどうかは分からない。」
ということだ、というのです。

この映画に出てくる「神」は(それが何なのかは敢えて言いません)、
悪魔から人間を救うのに力及ばず、最後に泣いています。
罪のない人ほどひどい目に遭うという現実の中で、
「不合理ゆえに我信ず」ということは宗教ではなく現実の話なのだ、
というのが監督の投げかけなのです。
ナ・ホンジン監督はこの映画で、
現実と宗教の世界の境界線を「無効化」したわけです。

実はこの映画が韓国で爆発的にヒットした当時、
韓国社会で何が起きていたかを考えると、
さらにこれは現実とリンクします。
朴槿恵元大統領が、親友のチェ・スンシルという「霊能者」に、
国家運営の機密を漏洩していた、
というスキャンダルによって、彼女を弾劾にかける、
という世論がわいていた時期です。

朴槿恵大統領は「悲劇の人」です。
彼女の父親と母親は「暗殺」によって死んでいます。
そのような悲劇に「伝統的宗教」である仏教やキリスト教は、
「分かりやすい答え」を与えてくれません。

悲嘆に暮れる朴槿恵に近づいたのは、
新興宗教の代表者であり、
この人脈が後のチェ・スンシル事件→弾劾の伏線となります。

「コクソン」には「霊能者」が登場します。
捜査を続ける過程で主人公の娘が悪霊に憑かれます。
主人公は娘を助けたい一心でこの「霊能者」にすがるのですが、
この「霊能者」は実は悪魔だった、という話し運びになります。
朴槿恵事件とあまりにも似ています。

こういった話しは、
ときどき日本でも、「芸能人が洗脳されている」
などのスキャンダルとして現れますね。
「コクソン」は現実世界の比喩なのです。

町山氏はまた、有料音源で、
この映画が「意図的にかみ合わないパズルのピースで構成されている」
という手法に基づいて作られていることを語っています。
これは「シャイニング」という映画で、
キューブリックが初めて使った手法だそうです。

私はこの構成自体にも、メタメッセージがあると感じました。
つまりナ・ホンジン監督は、
「現実というのは(神というのは)論理的に整合的ではない」
という世界観を、この映画で言おうとしているのではないか、と。

この結論はヨブ記とまったく同じです。
3人の友人はヨブを「論破」します。
彼らの論理は完全に整合的です。
どこにも破綻がない。
そしてヨブもまた反論します。
ヨブの論理体系もまた完全です。
最後に神が答えます。
神は「論破」しません。
ただ、神が造った世界の不思議さと偉大さを見せます。
そして言います「黙れ、ヨブよ」と。
神が言いたかったことは何か?
「神というのは、
 人間が『俺だったらこうするのに』と思うような論理の範囲に、
 収まるようなものではない」
というのがそのメッセージだと私は解釈します。
『神がいるならこうするべきだ』というのは、
自らの理性を神よりも上に置く行為です。
『神がいるのになぜこんなことがあるのか、
 まったく分からない。
 でも、神には分かっておられる。
 それだけで十分だ。』
というのが信仰の態度なのです。

蛇足ですがこの映画、
韓国映画のご多分に漏れず、
俳優陣の「顔の力」がすごかったです。
日本人俳優の國村隼の不気味さ、
主演の俳優の「顔力(がんりき)」がすごい。
圧倒されました。
(2,676文字)



●シャッターアイランド

鑑賞した日:2018年8月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーティン・スコセッシ
主演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー他
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/0Aei0Cb

▼140文字ブリーフィング:

「沈黙」「タクシードライバー」の、
マーティン・スコセッシ監督の映画です。
マーティン・スコセッシはカトリック教徒で、
既存の神学に一石を投ずるような、
深い神学的な洞察を持った監督で、私はかなり好きです。

この映画のタイトル、「シャッターアイランド」は、
精神疾患の患者が暮らす孤島のことで、
その中に凶悪犯人がいるということで、
「捜査」しにくる保安官(レオナルド・ディカプリオ)が主人公です。

、、、これはねぇ。


この先は、語れません。


どう語ってもネタバレになっちゃうから。


一応、警告をした上で、
一言だけ「ネタばらし」をします。

それで全部分かりますから。

ちなみに私は映画の中盤で分かっちゃったため、
あまりフルで楽しめせんでした。


いいですか?


では、いきますよ。


++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++


では、言います。
この映画のトリックは、
『シックス・センス』や、
『地球最後の男』と同じです。
以上!
(434文字)



●LOOPER

鑑賞した日:2018年8月12日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ライアン・ジョンソン
主演:ジョセフ・ゴードン・レヴィット、ブルース・ウィリス他
公開年・国:2012年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/4zSSb8B

▼140文字ブリーフィング:

けっこう面白かったです。
「タイムループものに外れは少ない」という典型ですね。
「ターミネーター要素」と「アキラ要素」が入っています。
この映画の場合設定が秀逸です。
現在を生きる主人公(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)は、
「殺し屋」です。
彼は未来からの殺人依頼を受けて人を殺し報酬を受ける。
未来では「タイムトラベルは違法」なので、
その「落とし前」は自分で付ける。
どう付けるかというと、タイムループを使って、
未来のどこかの時点で、自分自身を殺すのです。
これを「ループを閉じる」と言います。
そして、未来の年取った自分を殺そうとするが、
そいつに逃げられることを「ループを逃がす」と言います。
これをやっちゃうと非常にマズいことになり、
組織から必ず消される、みたいな設定で、
その「ゲームのルール」が面白くて、最後まで観られます。
(356文字)



●カメラを止めるな!

鑑賞した日:2018年8月18日
鑑賞した方法:TOHOシネマズ新宿で劇場鑑賞

監督:上田慎一郎
主演:濱津隆之、真魚 他
公開年・国:2018年(日本)

リンク:
http://kametome.net/index.html

▼140文字ブリーフィング:

はい、出ました。
今月2本目の、ネタバレ厳禁映画。

どうしようかなぁ。
どうやって語ったら良いか、
これほど困る映画も珍しいです。

とりあえず、ネタバレと関係のないところを二つ。

ひとつめ。
最後は泣きました。

ふたつめ。
あんなに映画館がドッカンドッカン、
ウケている映画は初めてでした。

、、、

じゃあ、これも、
「今後絶対にこの映画を観ない」
という自信のある方のみに向けて、
「一言だけ」でネタバレしてみたいと思います。
先ほどの「シャッターアイランド」と手法は同じです。



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++



++++ネタバレ注意!!++++


では行きます。
映画『イニシエーションラブ』の仕掛けと、
構造的には同じです。

この映画のメッセージは、
「夢を追いかけてきたはずなのに、
 結果として社会から見下される中年になってしまった、
 すべてのクズどものための、全力の応援歌」です。
この映画が「バズった」のは、
芸人や映画業界関係者など、
「その世界の人」が熱狂的にプッシュしたからですが、
それもそのはずです。
これは「彼らの物語」なのですから。

そして、「私の物語」でもありました。
だから、泣いたのです。
(538文字)



●ラ・ラ・ランド

鑑賞した日:2018年8月21日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:デイミアン・チャゼル
主演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、カリー・ヘルナンデス
公開年・国:2017年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/fzta6IR

▼140文字ブリーフィング:

デイミアン・チャゼルはアカデミー監督賞、
エマ・ストーンは主演女優賞など、
2017年アカデミー賞6部門に輝いた映画です。

面白かった。
私はかなり好きです。
映画館で観れば良かった。
音楽が素晴らしいし、色彩も素晴らしいので。

甘酸っぱい気持ちになれる恋愛映画&青春映画です。
この監督、「セッション」という映画も撮っているのですが、
その映画で鬼教官のフレッチャー先生役を演じる役者が、
レストランオーナーとして出演している、
などの小ネタも良かったです。

ストーリーの骨子は、
「夢を追う二人が、
 夢のために愛を諦めるのかどうか、、、」
みたいな話しです。
結論に納得しない人も多いでしょうが、
最後のシーンですべて「OK」です。
最後の「アイコンタクト」があまりにもオシャレで、
あれはシビれちゃいます。
(323文字)



●エンディング・ノート

鑑賞した日:2018年8月21日
鑑賞した方法:DVDで自宅で鑑賞(4回目)

監督:砂田麻美 (プロデューサー:是枝裕和)
主演: 砂田知昭(ドキュメンタリー)
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/5N1c9KM

▼140文字ブリーフィング:

先月自宅に宿泊してくれた山田風音くんは、
「ライフストーラー企画」という、
人生を書き起こして本にする、
という会社を立ち上げたアントレプレナーでした。

彼は東京ビックサイトで開催されるという、
「終活」関係の業者が集まる見本市的なイベントに参加するというので、
「じゃあ、この映画観たことある??」という話しになり、
一緒に観ました。

この映画は私は大好きで、
DVDを持っているのに加え、
さらに知り合い2人ぐらいに、
DVDを買ってプレゼントしたぐらいです。

今回は4回目。
4回見ても、最初とまったく同じぐらい泣きました。
映画というのは面白くて、
観る度に心に刺さるポイントが微妙に変わります。
今回は、孫というのがどれほど大切なものなのか、
というのが新たに感じたことだった。

7月に私の母が愛知から娘を見に来ましたが、
そのときの幸せそうな顔と言ったら、、、。
子どもの私には見せたことがまったくない顔です。
赤ちゃんは世界に希望を与えるんだなぁ、
と、「エンディング・ノート」の砂田さんを観ながら思いました。

この映画、未見の方は、
迷いなくお勧めします。
これで泣かない人は多分いません。
(478文字)



●アポカリプト

鑑賞した日:2018年8月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:メル・ギブソン
主演:ルディ・ヤングブラッド他
公開年・国:2006年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/5mG8bod

▼140文字ブリーフィング:

札幌に向かう飛行機の中でタブレットにて鑑賞しました。
これは前から見たかったんですよね。
私はライムスターの宇多丸さんを、
「映画評論の師匠」として私淑しているわけですが、
その宇多丸さんが「生涯ベスト1」の映画だというのです。

そりゃ、観るしかないでしょ。

結果、どうだったか?
確かに、面白いです。
エンターテイメントとして「100点」です。
『マッドマックス 怒りのデスロード』という映画がありますが、
いきなりトップスピードから始まり、
最後までそのハイテンションのまま終わります。
「ストーリーがどうとか、ゴタゴタ抜かしてんな!
 どうだ、これが映画じゃ!!」みたいな感じ。
『アポカリプト』はその映画を思い起こさせました。
正直、私は『マッドマックス 怒りのデスロード』は、
「いまいちピンと来なかった」んですよね。
宇多丸師匠はちなみに『怒りのデスロード』を絶賛していました

結局これは、映画に何を求めるのか、
という嗜好性の問題になりますので、
「良い・悪い」で単純に判断できないのですが、
私は「面白いのは間違いないけど、、、、うん。、、うーん。」
みたいな感じでした笑。

くりぃむしちゅーの上田晋也が、
全盛期のタイガーマスクのプロレスを、
「つなぎのないお好み焼き」と表現していますが、
それを思い出しました。
本当にこの映画は、
あんこ100%の鯛焼きみたいな感じ。
「最初の数秒のテロップとエンドロール」という薄皮以外は、
全部、100%、エンターテイメント(あんこ)です。

ただ、これも先ほども登場した、
町山智宏が解説していることなのですが、
「カトリック原理主義者」である監督のメル・ギブソンが、
マヤ文明、アステカ文明をカトリックが救済した、
という風に描いた、とも解釈できる映画なのです。
もしそうだとするなら「ひどいクソ映画」です。
それは「文化植民地主義の肯定」ですから。

ただ、宇多丸や他の映画評論家が、
町山さんに反論しているのですが、
カトリックの神父が乗ったスペインの船が到来する最後のシーンが、
「さらなる悪夢の始まり」として描かれているのならば、
この作品は好意的にも受け取られます。

ただねぇ。

メル・ギブソンという人間を考えたとき、
町山さんに分があると思うんだよなぁ、、、
非常に残念だけれど、、、。
(890文字)



●僕だけがいない街

鑑賞した日:2018年8月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典 北海道から東京への飛行機の中で

監督:平川雄一朗
主演:藤原竜也、有村架純、石田ゆり子他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/gvAVUns

▼140文字ブリーフィング:

先ほどの『アポカリプト』は北海道に行くときに、
この『僕だけがいない街』は、
東京への帰り道に、飛行機の中で観ました。
なんか、「気分は北海道」だったので、
北海道が舞台のこの映画を観たくなったのです。

携帯端末で映画を観る時代には、
飛行機で映画を観るのは、
もはや国際線だけじゃないんですね。

この映画の原作マンガを、私と妻は全巻既読です。
なぜなら、私がKindleで購入したからです。
私の妻はAmazonのFireタブレットを、
私はKindle Paper Whiteを所有しています。
そうすると、私が買った電子書籍を、
妻も自動的に読める、という算段です。
非常に効率が良い。

妻のお母さん、つまり義理の母は、
私の「仕事の勉強のために」と、
毎月5,000円の「読書献金」をしてくださっています。
たいていは図書館に蔵書のない神学書や専門書を買いますが、
ときどき、マンガを買ったりもします。
マンガもまた現代社会を読み解くテキストですから笑。

仕事内容を考えたら書籍代は普通経費で落ちるのですが、
私たちの団体はそれをすると潰れてしまいますので笑、
こういったご厚意に支えられてこのメルマガも書いているのです。

で、原作のほうが面白いのは分かっていましたが、
映画は、ねぇ。

、、、


、、、


、、、


まぁ、察して下さい笑。

ただ、藤原竜也という俳優は、
マンガ原作の映画(特殊能力系)において、
右に出る者がいないと再確認しました。
あのポジションは「替えが効かない」と思います。
あんなにマンガチックな台詞回しを、
リアルな人間が話せるというのは、
他にない才能です。

あと、もう一つ、どうしても言いたいことが。

石田ゆり子の北海道弁は、ひどかったです。

いや、マジで。

誰か方言を指導する人を、
スタッフに入れてなかったのかなぁ。
なんでそういうとこ、手を抜くかなぁ。
けっこうそういうのって、
大事だと思うんだけどなぁ、
などと思っていたら、
内容が入ってこなくなるほど「ド下手くそ」でした。
あんな北海道弁があるかよ、と。

興味ある人は、
最初の10分で良いから、
聞いてみてください。
ひどいから。
(790文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「カメラを止めるな!」

コメント:

もうね、これは文句なしです。
こんな邦画は、
何年に一度しか観られません。
これを映画館で観られた、
というだけで、私はラッキーでした。
ソフト化されたらまた観るでしょうけど、
「映画館で観る」ことに大きな意義がある映画でもあります。
あんなに「ドッカンドッカン受けている」映画館は、
本当に初めてでしたから。
「え?何?何?
 ここ、なんばグランド花月じゃないよね!?」
という感覚は、
東京ではなかなか味わえませんから。



▼作品賞(今回は特別・2作品受賞)
「哭声 コクソン」

コメント:

今回は特別に、「作品賞」に2作品ダブル受賞です。
優劣付けがたいというか、
両方落としがたい、という理由で。
ナ・ホンジン監督、すげーな、と思いました。

アジアの映画もまだまだ「死んでないぞ」と。
それどころか中国資本によって、
「中国イデオロギー装置化」が進み、
ハリウッドの大作映画がますます劣化するのを横目に、
「カメラを止めるな!」とか「コクソン」のような、
アジアからダークホース的に出てくる面白い映画が、
世界を席巻する日も近いのでは、、、
と思っています。



▼主演(助演)男優賞
ジョセフ・ゴードン・レヴィット(LOOPER)

コメント:

なんかねぇ。
この俳優さん好きなんですよね。
もともとテレビドラマ畑の人らしいですが、
注意してみるといろんな作品に出ていて、
それぞれの作品で、「作品を邪魔しない」名演をしています。
俳優には二種類あります。
「役を自分色に染めちゃう人」と、
「自分を役の色に染めちゃう人」です。
これは「どちらが良い」という問題ではありません。
俳優の個性の問題です。
彼は明らかに後者で、
逆に言えば「どんな役でもちゃんとそれなりに見えてくる」
という才能を持った人です。
日本だと、前者が木村拓哉や松田龍平、
後者は誰だろうな、、、
敢えて言えば妻夫木聡とか、本木雅弘あたりでしょうか。



▼主演(助演)女優賞
エマ・ストーン(ラ・ラ・ランド)

コメント:

この映画は、エマ・ストーンなしには、
「成立しない」と言っても良いぐらい、
彼女はハマっていました。
完璧です。



▼その他部門賞「涙腺崩壊賞」
「エンディング・ノート」

コメント:

これはね。
もう、泣きますよ、普通に。
今この瞬間に、
もう一度観ても、
号泣する自信があります。
ちなみにこの映画、
是枝裕和監督が関わっています。
監督の砂田麻美さんは、
是枝監督の「弟子」であり、
プロデューサーとして是枝監督も関わっていますから。
やはり、彼は本当に凄いと思う。
『万引家族』は劇場で見逃したので、
ソフト化したら一目散に観るつもりです。


陣内が先月観た映画 2018年7月 『真夜中のゆりかご』他

2018.12.10 Monday

+++vol.051 2018年月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年7月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●時をかける少女

鑑賞した日:2018年7月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:谷口正晃
主演:仲里依紗、中尾明慶、安田成美他
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/0UGgRuI

▼140文字ブリーフィング:

8年前、仲里依紗が10代だったころの映画です。
いわゆる「アイドル映画」ですね。
ちなみに現在の仲里依紗のご主人は、
この映画で共演した中尾明慶さんです。

完全なるアイドル映画です。
仲里依紗を愛でる映画。

台詞回しはヘタだし、脚本はずさんです。
たとえば、
「タイムトラベルの薬の香りをかいで、タイムトリップした」
と未来人が語るシーンがありますが、
あれは「気化した液体を吸って」とするべきでした。
「香り」にしたことで、説得力が著しく損なわれている。

SFにおける最も大切な「科学的説得力」のところで、
「ネジの締め方が甘い。」
基本的に建て付けの悪い映画です。
まったく感動するところがありません。

細田守のアニメ作品「時をかける少女」が100点としたら、
この作品は15点ぐらい。
仲里依紗が85点以上もっていると考えられるかどうかで、
この作品は評価が分かれるでしょう。
仲里依紗の大ファンにとっては100点越えのはずです。
(409文字)



●真夜中のゆりかご

鑑賞した日:2018年7月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(教会リトリートに向かうバスの中で)

監督:スサンネ・ビア
主演:ニコライ・コスター、ウルリッヒ・トムセン、マリア・ボネヴィー
公開年・国:2015年(デンマーク)
リンク:
http://amzn.asia/dW7Vtww

▼140文字ブリーフィング:

デンマーク映画です。
途中まで観ていて、
「ドイツ語にも似ているが、
でも多分ドイツ語じゃない。
なんだこの言語は、、、」と思いながら、
見終わって確認したらデンマーク映画でした。

この映画、かなり面白かったです。
主人公の赤ちゃんが「突然死」することから物語は動き始めます。
主人公の「壊れ方」、
主人公の妻がそういえば最初から壊れていた感じ、
まったくもって恵まれた環境にある「まっとうを絵に描いた人々」が、
際限なく「壊れていく」様というのは、
ある種のカタルシスをもたらします。

宮沢りえ主演の『紙の月』という映画があるのですが、
この映画で主人公の宮沢りえはちょっとした「横領」をきっかけにして、
数億円という横領に手を染め、「壊れて」いきます。
テーマはまったく違いますが、
それを思い出しました。

傷ついた人を冷徹に観察しつつ、
優しく包む視線は、
是枝監督のタッチにも通ずるものがあります。

あと、デンマークの家がみんなああなのか知りませんが、
主人公の住む家が尋常ではなくオシャレで、
かっこよくて、羨ましかったです。
「マイ・ドリーム・ハウス」です。
私が理想とする家の要素がすべて詰まっていました。
あんな家に住めたら「死んでもいい」ような「夢の家」でした。
そこを舞台に起きるのは「悲劇」なのですが。
(535文字)



●永い言い訳

鑑賞した日:2018年7月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(奥多摩からの帰りのバスで)

監督:西川美和
主演:本木雅弘、竹原ピストル、黒木華、深津絵里他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/4uuKhoe

▼140文字ブリーフィング:

この映画の西川美和監督は、
『ゆれる』という名作を過去に撮っています。
これは私は映画館に見に行って、
さらに後日レンタルして観ましたから、
2回観ています。
『ゆれる』はオダギリジョーと香川照之の演技が、
めちゃくちゃすごかった。
忘れられない作品です。
特にラストシーンの香川照之の2秒の演技は、
「映画史に残る名演技」だと思っています。
ひとつの顔にあんな重層的な感情を込められるものなのか!
演技に魂を売った「鬼」を観た気がしました。

、、、で、そんな西川監督のこの作品。
面白かったです。
妻(深津絵里)が死んだ日、
愛人と浮気していた作家(本木雅弘)の話。
妻は親友とバスに乗って旅行に行く道で、
転落事故に遭って死ぬのですが、
妻と一緒に死んだ親友の旦那(竹原ピストル)と彼は知り合い、
シングルファーザーとなった竹原ピストルの、
残された子どもたちの子育てに参加することで、
孤独な作家は「他者性」を獲得し、
人間になっていく、というのが筋立てです。

「ゆれる」のときと同じく、
全体に漂う不安定さ、危うさ、怖さ、鋭さが印象的でした。
こういう「不安定な心理描写」は、
西川監督の上手なところなのだろうと思います。
竹原ピストルはプロの役者ではりませんが、
ある種の歌手というのは、
プロの俳優には出せない「空気」をまとっています。
彼もまた「怖さ」と「暖かさ」のある演技で、好感が持てました。
(550文字)



●クソ野郎と美しい世界

鑑賞した日:2018年7月15日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典、電車の中で

監督:園子温(第一部)、山内ケンジ(第二部)、太田光(第三部)、児玉裕一(第四部)
主演:稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛、浅野忠信他
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/1gfGLVJ

▼140文字ブリーフィング:

元SMAPの三人組(新しい地図)の面々が、
それぞれに主演をするオムニバス作品です。
稲垣吾郎主演の第一部は園子温、
香取慎吾主演の第二部は山内ケンジ、
草なぎ剛主演の第三部は爆笑問題の太田光、
三人全員が登場する第四部は児玉裕一が監督しています。
*「草なぎ」は表示不能なのでひらがなになってますが、
 各自で脳内変換してください。

、、、といっても、
過去に作品を観たことがあるのは、
園子温監督だけで、
山内さんと児玉さんはよく知りません。
太田光はこれが初監督作品だそうです。

「総論」を言いますと、「期待外れ」でした。
ライムスター宇多丸もラジオで語っていたのですが、
あまりにも「突貫工事」なため、
それぞれのオムニバスの「パズルのピース」がつながっておらず、
最後に「あそこであれがつながって」という、
オムニバス作品のカタルシスがまったく生まれていません。

ただ「新しい地図」の3人の演技は素晴らしかったです。
特に草なぎくんの任侠演技は素晴らしい。
「アウトレイジ」に続編があるのなら、
是非草なぎくんに出て欲しいと私は思います。
(408文字)



●アイ・アム・サム

鑑賞した日:2018年7月19日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェシー・ネルソン
主演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング
公開年・国:2002年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/0ifwRaI

▼140文字ブリーフィング:

これは、とても面白かったです。
いわゆる知的障がい者の主人公が、
男手ひとりで娘を育てている。
そこへ児童相談所がやってきて、
「彼は親として刺客がないので、親権を剥奪する」
という裁判を起こす。
「誰もが羨むキャリアと財力をもつ、
 しかし内実は空虚な弁護士の女性」が、
ひょんなことから彼の弁護士となり、、、という筋書きです。
ショーン・ペンの演技がとにかく素晴らしい。
本当に「こういう人」なのだと思えてきます。
ギルバート・グレイプにおけるレオナルド・ディカプリオも素晴らしかったし、
「未成年」における香取慎吾も素晴らしかったけど、
この映画のショーン・ペンも鬼気迫るものがあります。

この映画は「ここがとにかくすごい!」というよりも、
いろんな「佳作点」を積み重ねていって、
結果、「良い映画」になっているという印象です。
満塁ホームランではなく、ヒット6本で4点入ったみたいな。

良い点を挙げていきます。
・まず脇役の精神障害者たちが、
 とてもチャーミングで台詞もオシャレです。

・あと、本作の至る所にちりばめられた、
ビートルズの楽曲とその効果的な使い方が素晴らしい。
ビートルズファンなら、本作は二倍楽しめます。

・カメラワークも良い。
登場人物の気持ちを、カメラの視点の「ぶれ」で表現する手法は、
今では当たり前ですが、公開が2002年ということを考えると、
当時としてはおそらく前衛的な手法で、
それが見事に機能していました。

・子役のダコタ・ファニングが殺人的に可愛い。
この世のものとは思えぬ可愛さです。
あまりにも完成された子役を観ると、
「この子は、可愛さのピークが早く来すぎたのでは、、、」
と、いつも私は心配してしまいます。
親でもないのに笑。
『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツのときも思いました。

・シリアスなテーマを、ユーモアで包むという、
「王道の見せ方」が良い。
展開は「コテコテ」「ベタ」ではあるのですが、
ベタにはベタの理由があります。
やはり、安心するのです。

、、、というわけで、
トータルで、かなりお勧めな映画です。
本作を観ると、スターバックスに行き、
ビートルズを聴きたくなります。
(840文字)



●恋愛適齢期

鑑賞した日:2018年7月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(電車の中で)

監督:ナンシー・メイヤーズ
主演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブス
公開年・国:2004年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/bvxdhKr

▼140文字ブリーフィング:

大人の恋愛映画。
結構、面白かったです。
期待していなかったのに、最後は引き込まれました。
50代の人気舞台作家のバツイチ女性(ダイアン・キートン)、
60代のプレイボーイのヒップホップレコード会社社長、
「自称:30代以上の女は愛せない男」(ジャック・ニコルソン)、
そして主人公の女流作家の大ファンの、
30代のイケメン外科医(キアヌ・リーブス)の、
「月9ドラマ的な三角関係」です。

展開はコテコテだし、恋敵役のご都合主義感というか、
使い捨て感は日本の北川悦吏子脚本を思わせてちょっと「アレ」ですが、
役者の演技だけでずーっと見ていられるという、
演技が勝利している作品ですね。
ジャック・ニコルソンのモテぶりの説得力がすごいし、
ダイアン・キートンの演技も素晴らしいです。

客観的には、ほとんどの時間、
おじさんとおばさんがのツーショットが映っているわけですが笑、
主観的には思春期の恋のときめきを感じさせてしまうという。
この感じは、日本ではなかなか「成立」しないだろうなぁ。
あまり日本の役者に当てはめて想像できない「何か」があります。
なんだろう、こういうのって。
東西の「恋愛観」の違いというのかな。
今後、考察の価値ありです。
(308文字)



●チェンジング・レーン

鑑賞した日:2018年7月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(早送りで)

監督:ロジャー・ミッシェル
主演:サミュエル・L・ジャクソン、ベン・アフレック他
公開年・国:2002年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/5DU0wGf

▼140文字ブリーフィング:

あまり面白くなかったです。
サミュエル・L・ジャクソンが好きなので観たのですが、
純粋な時間の無駄でした。
ほとんど早送りして、30分で観ました。
接触事故によって重要な契約書類を失った弁護士と、
遅れた20分によって親権を奪われた黒人男性の、
憎しみあいと駆け引きを描くというのが大筋です。
正直、見る必要はなかったですね笑。
LANE(車線)とは人生と「文字通りの車線変更」をかけています。
大学生でも思いつきそうな設定ですね。
(205文字)



●昼顔

鑑賞した日:2018年7月30日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:西谷弘
主演:上戸彩、斎藤工他
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/clBZxcm

▼140文字ブリーフィング:

たしか2014年に大ヒットしたドラマの映画化です。
ちなみに私はドラマは見ていません。
それでもこのドラマのタイトルと、
どんな筋書きかぐらいは知っていますので、
「ちょっとした社会現象」ぐらいの、
インパクトのあったドラマであったことに、
異論の余地はないでしょう。

その「映画版」を観ました。
私は「連ドラが観られない体質」なのです笑。
「10話も観るの??めんどくせぇ」と思っちゃう笑。
「ドラマの映画化」って、
初見のお客さんのことも作り手は考えますから、
10〜20時間の連ドラの内容を2時間に「圧縮」してくれるんですよね。
時間的に非常に効率が良い。

というわけで、
「4年前、なぜこのドラマが
 そんなにも多くの人の心を惹きつけたのか」
という理由の片鱗をつかめるかもしれない、
と思い、映画を観ました。

結果的に、どうだったか?

エンターテインメントとしては、
正直、かなり面白かったです。
でも、「思想性」みたいなものゼロですね。
映画は特にそうなのか、「エンターテイメント」に振り切っています。

断っておきますと、私は「不倫は文化だ(by石田純一)」とは、
1ナノグラムも思っていません。
でも、この数年間、週刊誌で「不倫」がこれだけ騒がれ、
有名人の不倫が、まるで聖書の時代のユダヤの石打ちのように、
世間から「フルボッコ」にされ、そして、
社会的にも抹殺されてしまうという状況には、
ある種の恐怖と言いますか、薄気味の悪さすら感じます。

罪に対して罰が過剰なのではないか、と。
新約聖書のヨハネの福音書の中に、
不倫の現場で捉えられ、
今にも石打ちの刑に処せられようとしている女性と、
イエスが出会う、というシーンがあります。
その場面で周囲の人は、
「この不倫をした女を、
 自らが神であると言っているあなたはどう処遇するのか?」
と問われます。
この質問は「ダブルバインド(二重拘束)」の質問です。
石打ちにすると言えば、「お前は恵みの神ではないのか?」となる。
無罪放免にすると言えば、「お前は正義の神ではないのか?」となる。

この話は有名な話ですから、
おそらく皆さんの多くもご存じのとおり、
イエスは質問には直接答えず、ただこう言いました。
「あなたがたの中で罪のない者が、
 まず最初に石を投げなさい」と。

すると、年長者から順番に、
一人ずつ、石をその場に置いて、
去って行った、と聖書は伝えています。
イエスと女性の二人きりになると、
イエスは彼女に言いました。
「私もあなたを罪に定めない。
 行きなさい。これからは罪を犯してはいけません。」
(ヨハネによる福音書8章11節)

、、、さて。
何の話だっけ?
そうです。
「昼顔」ブーム。
「文春砲」と、不倫石打ち社会。
そしてヨハネによる福音書8章。

全部、不倫の話なのですが、
最初の二つになく、
最後のひとつにあるもの。
それが何か、というのが、
このトピックを読み解くカギです。

それは「赦し」です。

この社会と、福音の提示する世界観の違いは、
「赦しの有無」なのです。

これは「昼顔ブーム」と、
「文春砲」をつなぐミッシングリンクにもなっています。
なぜ、日本の社会はこれほどまでに、
「集団リンチ」と言って良いほど、
「道徳的な自警団による私刑」が横行するのか?
この現象の背後には、単純な心理学的法則があります。

「人は、自らが自らを赦していない罪について、
 他者に対して非常に厳しくなる」という法則です。
フロイト心理学の基本なのですが、
これは「投影の原理」の一種です。

例えば「自分は金に汚い」と薄々思っているが、
それを自分では認めておらず、
そして心のどこかでいつも自分を責めている人がいるとしましょう。
その人は、他者が金に汚いことに関して、
過剰なまでに厳しく、批判的で他責的になります。
「あの人大嫌い!」と本能的に思う人というのは、
自分自身の中にその素因があるが、
普段は抑圧しているゆえの「他者への投影」だという、
「同族嫌悪」も同じ原理で起きます。

「昼顔」ブームの背景には、
「不倫的な快楽に憧れるが、
 そのような自分と上手く折り合いをつけられず、
 自分を赦すことができない日本人の姿」があります。

そのような人はどうなるか?

、、、そうです。
他者の不倫を容赦なく批判するのです。

「不倫を集団で極刑に処する日本人」と、
「不倫ドラマを何より楽しみにする日本人」は、
矛盾しているのではありません。
心理学の投影の原理から言うと、
首尾一貫した行動をしているわけです。

この絡み合った知恵の輪を解くカギは、
「赦し」にあります。
これを聖書の用語で「福音」と言います。

、、、もはや映画評でも何でもなくなってきましたが笑、
映画の話に戻りましょう。

映画「昼顔」には二つのカタルシスがあります。
因果応報的な「懲罰」のカタルシスと、
「不倫の快楽」のカタルシスです。
この両者がバランスをとっています。
主人公に感情移入した鑑賞者は、
「不倫の快楽」と、「それが罰せられる快楽」を、
一緒に味わうことになるのです。
ここまで読んできた読者の皆様は、もうおわかりでしょう。
この二つは、「投影的にセット」なのです。

ですからこの映画は必然的に、
「赦しの不在」を浮き彫りにします。
そうすることで「赦しの必要」を語る、
というのは監督や作り手は意図していないでしょう。
「天的な存在からの赦し」は、一切示唆されていませんから。

作り手が意図しておらず、語られていないので、
私がここで語った、というわけです。

あと、文脈とあまり関係ありませんが、
不倫相手(斎藤工)が隠れて元妻と逢い引きをしていると、
疑い始めた主人公(上戸彩)が言う、
「裏切ったことのある人間は、
 二度と相手を信じることができない」
という台詞が印象的でした。
「正直でいること」は自分のためなのですね。
自分がウソを付くと、他者を信じられなくなります。
それは本当に、本当に辛いことです。
「呪い」と言っても良い。
これは本当に怖い。

めちゃ長くなっちゃいましたが、
「昼顔」評は以上!
(2,264文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「真夜中のゆりかご」

コメント:

デンマークの映画という物珍しさも手伝って、
とても興味深く観ることができました。
「主人公が狂っていく話」が、
私は結構嫌いじゃないです。
「主人公狂い系」というジャンルがあるのかどうかは不明ですが、
このジャンルでは他に、
「紙の月」「マシニスト」「日本で一番悪い奴ら」など、
佳作ぞろいです。

映画というのは「一人称に感情移入する」
ことが前提に作られていますが、
その一人称が狂い始めると、
狂った人生を疑似体験できる。
ジェットコースターに乗っている気分を味わえます。
同時に「カメラ=神の目」も、
鑑賞者は持っていますから、
狂った人を冷静に観察する人でもあるんですよね。
そういう意味では1.5人称というか。

このあたりの面白さを味わうには、
没入しながらも頭が冷めている小説よりも、
VR的、「ライドもののアトラクション」的に、
感情を入れやすい映画のほうが、
メディアとして適していると思います。



▼主演(助演)男優賞
ショーン・ペン(アイ・アム・サム)

コメント:

ショーン・ペンの知的障がい者の演技は圧巻でした。
『レインマン』のダスティン・ホフマン、
『ギルバート・グレイプ』のレオナルド・ディカプリオと並びましたね。
脇を固める「施設時代の同級生4人組」のなかには、
本当のダウン症の人も含まれていて、
彼らのチャーミングな会話に心温まりました。



▼主演(助演)女優賞
ダイアン・キートン(恋愛適齢期)

コメント:

この映画におけるダイアン・キートンの位置は、
致命的に大切です。
ジャック・ニコルソンは確かにすごいのだけど、
「換え」が聞く。
あれがアル・パチーノでも、
「成立」はするんです。
しかし、ダイアン・キートンの位置が別の女優ですと、
たぶん全く違うニュアンスの映画になっていたことでしょう。
彼女が彼女の位置にいることで、
この映画は絶妙なバランスで成立しています。
コミカルでありながらシリアスで、
知的でありながらちょっとバカで、
上品でありながらちょっと下品で、、
みたいな両義性を、上手に表現できていました。
素晴らしい。



▼その他部門賞「音楽を効果的に使ったで賞」
「アイ・アム・サム」

コメント:

この映画は、ビートルズのアルバムとして「聴く」ことができるほど、
ビートルズ愛にまみれています。
主人公のサム(ショーン・ペン)が、
ビートルズを愛しているという設定がありますから、
無理矢理「ぶっこんだ」感じもでず、
自然にビートルズの楽曲がなじんでいます。
こういう感じの音楽の使い方は、オシャレだなぁと思います。
他にこういう感じの音楽の使い方をした映画ってあるんでしょうか?
あまり思い出せないです。

陣内が先月観た映画 2018年1月 『君のためなら千回でも』 他11本

2018.07.24 Tuesday

+++vol.050 2018年2月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年1月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●君のためなら千度でも

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:義理の兄に貸してもらう

監督:マーク・フォースター
主演:ハリド・アブダビ他
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d6QFQfp

▼140文字ブリーフィング:

義理の兄が貸してくれたDVDを、
正月に妻が実家に3日間帰ったとき、家で一人で見ました。
うるっと来たとかじゃなく、ラストシーンでは普通に泣いてましたね。
こんなにまんまと映像で泣かされたのは「北の国から」以来です。

この作品は背景が入り組んでいますので説明します。
筋立ては東西冷戦下のアフガニスタンで生まれ育った、
幼なじみ(お坊ちゃんと召し使い)のその後の話です。
小さい頃は親友だけど、「身分が違う二人」が、
その後どうなったか、という話です。
家庭環境の異なる二人の少年の友情とその後、
という意味では、「北の国から」の、
純と正吉の話にも少しだけ似ています。

↓↓【注意】これ以降明確なネタバレがあります↓↓

お坊ちゃんの主人公の名前はアミール、
その家の召使いの子どもであるアミールの「親友」はハッサンと言います。
二人はアフガンで少年時代に凧揚げをして遊んでいました。
地元の凧揚げ大会で、二人は優勝します。
優勝したとき、遠くに落ちた凧を取りに行くハッサンは、
そのときは「平等」だった主人公のアミールに、
「君のためなら千回でも」と声をかけ、走り去る美しいシーンが、
前半にあります。この友情にまず胸が熱くなる。

その後にハッサンは年上のチンピラに虐待され、
それを主人公は見ていたが勇気がなく助けられませんでした。
その事件をきっかけに、二人のの距離は離れていきます。

ときは経ちアミールが大人になった頃、彼はアメリカに住んでいます。
家族はアフガンに侵攻してきたソ連に追われ、
家族とともにアメリカに逃亡したからです。
大金持ちだったアミールの父はアメリカでは雑貨店を営む労働者となり、
苦労してアミールに大学を卒業させます。
卒業後アミールは作家として成功しますが、
ある知人を通して、
生き別れた幼なじみのハッサンの消息を知るのです。
ハッサンは既にタリバンに殺されており、
彼には男の子がいることが分かります。
そしてその子どもは監禁され、
タリバンの兵士たちの性の奴隷にされていたのです。
アミールはハッサンの子ども探しだし、
引き取ってアメリカに連れ帰ります。
そしてかつての親友ハッサンの子どもに、
アメリカで凧揚げを教えてあげるのです。
ハッサンの子どもの凧が遠くに落ちたとき、
大人になったアミールは凧の方にかけだしてこう言います。
「君のためなら千回でも!」
そりゃ、泣くでしょ。
(903文字)



●神は死んだのか

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:DVDを知り合いに借りて鑑賞

監督:ハロルド・クロンク
主演:チャック・コンゼルマン他
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/5R7pDz3

▼140文字ブリーフィング:

所属する教会の牧師である、
「ちゃんちゃん」こと横田先生に貸していただきました。
「キリスト教的とされているけど、
 僕はちょっと全面的には賛同できない映画なので、
 それを踏まえた上で見た感想を教えてよ」と。

結果から言いますと、
人生で過去に見てきた中で「ワースト1」の映画でした。
もうね、これは本当に、
「この映画のどこがひどかったか」を、
後でディスカッションしたら勉強になるレベルです。
そういう意味では「大名作」です。

この映画は「福音的」との触れ込みですが、
私から言わせたら「聖書に反する世界観」に基づく映画です。
この映画を作っている人の世界観は、
いったいどうなってしまっているんだろう、
と驚愕しました。具体的には以下のような点です。

▼「イスラム教徒は悪」というステレオタイプな描き方。
イスラム教徒にも良い人がいるし、
クリスチャンにも悪い人はいる、
という事実はまったくなきものとして描かれています。

▼環境保全のブログを運営する女性の描き方。
その女性は動物愛護の観点から
「動物を大切にしないビジネス」をする、
星条旗バンダナをした著名な、
キリスト教徒の実業家の男を取材します。
言外に「動物愛護は悪であり聖書的でない」というメッセージを、
作り手は込めています(最低)。
女性は何の脈略もなく癌に冒されますが、
それはおそらく「神からの裁き」です(最低)。
環境を気にかけない原理主義的キリスト教徒のビジネスマンは、
最後にコンサート会場で、勝ち誇り、
「神は生きている!!」と宣言します(最低)。
「いや、少なくともお前の言ってる今神は死んだよ」
と言いたくなる。

▼極めつけは、ニーチェなどの哲学者の言葉を引用して、
学生に「神は死んだ」という近代思想を教える哲学教授が、
(作り手の意図としておそらく神罰として)交通事故で死ぬのです。
そのシーンで「牧師とクリスチャン(この映画における正義)」の二人が、
交通事故現場に居合わせるのですが、
二人は「もう間に合わない」とか言って、
「イエス様を信じれば天国に行ける、信じるか!!?」と、
息も絶え絶えの教授に迫ります。
教授が辛うじてうなずくと、二人は言います。
「ハレルゥヤァァ!!!」
「一人の魂が天国に行ったぞぉ!!」
と、歓喜の雄叫びを上げます。
いや、死んだんだよ、人がひとり。
っていうか、まずはそこは人工呼吸と心臓マッサージだろ、
とか、もう、何か悪夢を見せつけられているような、
世界がぐらぐらとゆがんで吐き気を催すシーンです。

本当になにもかもひどいです。
この映画を観てキリスト教信仰を捨てようと思う人はいても、
新たにキリスト教に入りたいという人は皆無ではないでしょうか。
ひたすら不快な映画だでした。ゴミ以下です。

しかし、「反面教材」としての価値は非常に高い。
教材としてDVDを買って持っておいても良いとすら思う。
この映画を観たのは宝物でした。
ちゃんちゃん、ありがとう(ゴミなのか宝なのかどっちだよ!)
という、「ものすごい映画」でした。
二周半まわって、「大傑作です」(だからどっちだよ!)。
しかしこれから見ようと思う人は、
それなりの心の準備と、
AEDの用意しておくことをオススメします。
(1,191文字)



●リアル 完全なる首長竜の一日

鑑賞した日:2018年1月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:黒沢清
主演:綾瀬はるか、佐藤健
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/c6Ny354

▼140文字ブリーフィング:

黒沢清の映画は結構好きです。
『CURE』、『クリーピー』などを12月に観て、
その不気味な世界観にちょっとハマってしまい、
Amazonプライム特典で観られたこちらも鑑賞。
ジャンルで言うと「ファンタジーホラー」の作品です。
「フィロソフィカルゾンビ」という脳内に存在する、
ゾンビの撮り方はオリジナリティがありました。
(151文字)



●アメリカン・サイコ

鑑賞した日:2018年1月12日 途中早送りして鑑賞
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:メアリー・ハロン
主演:クリスチャン・ベイル他
公開年・国:2001年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/a2VGFiI

▼140文字ブリーフィング:

早送りしながら全部で30分ぐらい観ました。
まったく面白くなかったです笑。
サイコパスの男が殺戮を重ねる話ですが、
レビューなどを観るとどうやら、
「全部が彼の妄想だった」説もあったりしますので、
原作はもうちょっと面白いのかもしれません。
私に意味が分からないだけかもしれませんが、
無意味に不愉快なシーンだけが続く駄作でした。
オススメしません。
(158文字)



●メッセージ

鑑賞した日:2018年1月15日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタル

監督:ドゥニ・ヴィルムーヴ
主演:エイミー・アダムス他
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/fa3IDBc

▼140文字ブリーフィング:

これは去年日本で公開されたのヒット作です。
原題は『Arrival』で、
原作はテッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』です。
時系列が錯綜したりするのでけっこう難解な映画ですが、
平均以上には面白かったです。
何よりこのSFはただの「こんなの撮れるんだぜ」
というタイプの映画ではなく、明確なテーマがあります。
それは「言葉とは何か」ということです。

主人公は言語学者として宇宙人の書く「表意文字」と格闘します。
アルファベットは表音文字ですが漢字は表意文字です。
つまり宇宙人は宇宙人なりの「漢字」を書いているわけです。
じっさい墨汁のような感じで宇宙人は字を書いていきます。

▼参考画像:映画のなかで宇宙人の描いた「文字」
https://goo.gl/qQLtKz

↓↓【注意】これ以降明確なネタバレがあります↓↓

ではその宇宙人は何を伝えに来たのか?
それは「ノン・ゼロサム・ゲーム」です。
彼らが到来した場所にも意味があります。
外部から来た知的生命体は、
各地域に部分的なメッセージを発しました。
その機密情報を明かし合い協力したとき、
はじめてメッセージの全貌が解読できるようになっているのです。

つまり人類が互いに競合するのでなく協力しないと、
このままだと破滅しますよ、と彼らは警告しに来たのです。
なぜなら、今から数千年後に我々は人類に助けられるから、
ここで滅びてもらっちゃ困るんだよね、ということです。
宇宙人たちはですから、「未来を思い出すことが出来る」
という能力をも持っているわけです。

全体に静謐な映像や作品全体のトーンも好きでした。
アドレナリン系ではなく、副交感神経系というか。
キューブリックの名作『2001年宇宙の旅』に出てくる、
「モノリス」への明確なオマージュである宇宙船の造形を考えた所で、
この作品は勝利しています。
日本人からすると完全にお菓子の「ばかうけ」ですが笑。

▼参考画像:「宇宙船とばかうけ」
https://goo.gl/C5neCq
(712文字)



●SING

鑑賞した日:2018年1月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ガース・ジェニングス
主演:マシュー・マコノヒ他
公開年・国:2016年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/5HQqMOJ

▼140文字ブリーフィング:

「良くあるフルCGアニメーションでしょ」という気持ちで、
移動中の暇つぶしのつもりで観たら、意外や意外、
期待以上に面白くて驚きました。
最後のシーンではちょっと泣きそうになりました。
電車の中の細切れの時間ですらこうですから、
映画館なら号泣していたかも。
コッテコテのストーリー展開ですが、
「それがコテコテだ」ということを分かった作り手達が、
リズムや曲やテンポや「巧さ」で、
非凡なものにまで高めている作品です。
「肉じゃが」なんだけど、
めちゃくちゃ美味いんですけど!というような。
変哲もないストレートなんだけど、
160キロ出てるんですけど!みたいな。
やられました。
(277文字)



●野火

鑑賞した日:2018年1月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:塚本晋也
主演:塚本晋也、リリー・フランキー他
公開年・国:2015年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/1surPYO

▼140文字ブリーフィング:

同名小説の映画化です。
日本軍のフィリピンでの撤退戦で餓死する兵士たちを、
これでもかというぐらい、ひたすらにグロテスクに描きます。
人肉を食らうシーンにも「慣れてくる」ほどにむごい。
あまりにも悲惨で、見るに堪えないほどです。
「戦争の悲惨さ」という一点だけを描いた作品。
多分「特に面白くもない」というところも含め、
監督は戦争のくだらなさを訴えたかったのではないかと思います。
(184文字)



●レボリューショナリーロード

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:サム・メンデス
主演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
公開年・国:2008年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/86m0tVV

▼140文字ブリーフィング:

アカデミー作品賞の『アメリカン・ビューティー』を撮った、
サム・メンデス監督の作品です。
アメリカン・ビューティーと本作では、
時代設定などはまったく違いますがテーマは似ています。
つまりそれは「フォニーな、張りぼての幸福と、虚構の家族」
という「金ぴかのアメリカのダークサイド」です。

レボリューショナリーロードというのは、
ブランド化した高級住宅街の名前で、
日本ならば「世田谷区」とか「タワマン」とか、
言い換えてもだいたい同じ意味です。
記号的な「幸せで裕福で外見も良く優秀な夫婦と子どもたち」は、
実は絶望的に不幸なのかもしれない、、、
という現実をこの映画は突きつけます。
日本だと湊かなえとかの小説で描かれているような、
上流階級の夫人たちの過酷なカースト制度、
みたいなテーマが一番近い感じです。
(341文字)



●フォックスキャッチャー

鑑賞した日:2018年1月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ベネット・ミラー
主演:スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/2q5ZB9N

▼140文字ブリーフィング:

実在した財閥の御曹司ジョン・デュポンの、
実際に起きた事件の映画化です。
「デュポン」はアメリカ最大の財閥のひとつで、
化学の分野で莫大な富を築きました。
南北戦争時代の火薬の製造によって財閥の礎石は作られ、
現代だと日本人にもなじみ深い、
「テフロン」や「ゴアテックス」の技術を持っている。
つまり皆さんがテフロン加工のフライパンを買ったり、
ノースフェイスのゴアテックスパーカーを買うたびに、
そのいくらかは今でもデュポングループの収入になるということです。

そのデュポンの御曹司のジョン・デュポンは極度のマザコンでした。
母親は馬術を「上流階級のスポーツ」として敬愛しており、
息子のジョン・デュポンが研究していた鳥類学や切手収集や、
彼が愛好していたレスリングを軽蔑していました。

デュポンは母親の注意を惹こうとして、
84年のロス五輪のチャンピオン、マーク・シュルツを、
自分のレスリング・チーム「フォックスキャッチャー」に引き入れます。
ところがマーク・シュルツの兄ディヴ・シュルツを引き入れたことが、
マークの自尊心を傷つけマークはデュポンの元を去ります。
最後に悲劇が起きます。
マークに去られ、母親にも拒絶され、
精神のバランスを崩したジョン・デュポンは、
衝動的にディヴ・シュルツを殺害し投獄されたのです。
ジョンと母親のマザコン、マークとディヴのブラコンが絡み合うことで、
そして承認欲求をこじらせた現代人の苦悩が上手に描かれており、
かなりの秀作でした。
(577文字)



●ハクソー・リッジ

鑑賞した日:2018年1月24日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:メル・ギブソン
主演:アンドリュー・ガーフィールド他
公開年・国:2017年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/9sVQtcr

▼140文字ブリーフィング:

こちらも去年映画館で見たかったけど見逃した映画。
、、というより、
2017年は一度も映画館で映画を観なかった、、、気がする。
結論から言うとすばらしい映画でした。
実話に基づく映画で、最後に「本人登場」のパターンです。
あれは泣いてしまいます。
主人公のデズモンドは、
セブンスデーアドベンティストという教団の敬虔な信徒で、
彼は「殺すなかれ」を文字通り守る、
「絶対平和主義 pacifism」の信念を持っていました。
他にも確か、アナバプテスト派やメノナイト派が同じような立場です。
日本では創価学会が博愛の精神にのっとり、
戦争中も引き金を引かなかったことで有名です。

デズモンドはそれだけでなく、
アルコール中毒で母親に暴力を振るう父の姿を見て育ったので、
「暴力への禁忌感」の強い人でした。
地元の仲間が「国のため」に太平洋戦争に志願していったとき、
彼は軍に志願します。
ただし、「銃は握らない」というポリシーのもとに。
衛生兵として入隊した彼は、
仲間の兵士や上官から陰湿ないじめに合います。
「銃を握れない臆病者と一緒に戦えるかよ、バカ」
というわけです。

彼らの隊は「ハクソー・リッジ」という作戦名で知られる、
沖縄本土上陸作戦に参加します。
ここは崖になっていて、崖を登ったところに、
日本兵が塹壕を掘って待機しているわけです。
この戦いは熾烈を究め、崖の上からバラバラになった、
米兵の死体や身体の一部が「降ってくる」。

その「死体の雨」に内心びびりながら、
デズモンド含む彼の隊は「死の崖」を上ります。
結果的に、デズモンドは、
良心的兵役拒否者として史上初めて勲章をもらった兵士として、
歴史にその名前を刻みました。

彼は何と、銃弾飛び交う中、
負傷した兵士を探して、
(瀕死の日本兵も含めて)一人ずつ、
崖からロープで下ろしていったのです。
彼は「主よ、もう一人、もう一人の命を救わせて下さい。」
と祈りながら。
最後には一人で、結果的に75名の命を救出しました。
最も臆病者とバカにされいじめられた男は、
人よりも100倍も勇敢でした。
この映画を観ると「攻撃する人間」よりも、
「攻撃しない人間」の方が「強い」ということがよく分かります。
言葉でも腕力でも、暴力に訴えるのは弱い人間です。
弱い犬ほど良く吠えるのです。
北朝鮮の指導者を見ればそれは分かります。

あと、戦争映画を観るたびに思いますが、
人間の営みとしてこれほど痛ましいことはありません。
デズモンド含む若者たちも日本兵も何も悪くないですが、
あんなことををおっぱじめた当時の政治家たちや、
あんなになっても自分の保身とメンツのために、
降伏を遅らせた陸軍の上層部、
それから戦争に向かう民意をあおった大手新聞社は、
本当に、万死に値すると私は思います。
(1,072文字)



●それでも夜は明ける

鑑賞した日:2018年1月28日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブ・マックイーン
主演:キウィティル・ウィジョホー他
公開年・国:2013年(アメリカ・イギリス)
リンク:
http://amzn.asia/8vq0IVW

▼140文字ブリーフィング:

アカデミー作品賞受賞作品です。
この映画は製作経緯からして面白い。
「奴隷制という南部の恥部を描いた映画」ということで、
大手配給会社のパラマウントに断られ、
「じゃあ、オレが作るわ」と、
俳優のブラッド・ピットが自分でお金を集めて作ったという作品なのです。
ブラピの男気が作った映画なのです。

原題は12 Years of Slaveという同名の伝記です。
著者はソロモン・ノーサップという北部に住んでいた、
「自由黒人」です。
北部には奴隷制度はありませんでしたので、
ソロモンは自由黒人として、白人と同じ権利を持ち、
白人と同じような生活をしていました。

ところが彼は騙されて奴隷の不足している南部に売られてしまいます。
そこで12年間奴隷として生活した後、北部の彼の友人と、
やっと連絡が取れたため「救出」される、というのが、
筋書きというか、本当に起こったことです。
ソロモンのように北部に帰れたのはごく一部で、
多くのソロモンのような北部の黒人が南部に売られ、
そのまま奴隷として一生を終えたそうです。

奴隷という制度による、
吐き気がするほどの人権の蹂躙が露骨に描かれています。
男性は主人の「持ち物」なので殺しても罰せられませんし、
虫の居所が悪いと皮のムチで背中の肉がはみ出るほど叩かれます。
女性も過酷な労働と性の奴隷にされます。
こういった「過去の歴史の自分たちの恥部」を、
自ら積極的に描けるのが、アメリカという国のすごさだと、
私はこういうのを見ると思います。

私はラッパーのライムスター歌多丸のラジオのファンですが、
彼がラジオでこの映画のことを解説していました。

この映画に出てくる南部の白人は「人でなし」に見えます。
「このクソ野郎たちは地獄に落ちろ」と。
しかし、それでは駄目なんだ、と歌多丸師匠は言うわけです。
この南部の白人たちにある、
「弱さ故の差別、無知故の虐待、他者への想像力の欠如」
これらは過去の白人の話ではなく、現在の自分の話なのだ、
私たちの話だ、と思えるかどうかが大切だ、と。

「あら、ひどい話だわ」で終わらせてはならない、と。
私たちは弱い故に差別してしまう、
無知故に人にひどいことをしてしまう。
私たちは他者が血の通った人間なのだということを、
簡単に忘れてしまう、想像力の足りない人間なのだ、
あの冷血な白人は、私の姿でもある、
と思えることが大切なのだ、と。
本当にそうだと思います。
(958文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「君のためなら千回でも」

コメント:
今回は名作ぞろいでしたが、
この作品が一番泣いたので、「作品賞」です。
日本の映画には非常に珍しく、
原題よりも邦題のほうが良いのではないかと思いました。
原題はthe Kite Runnerです。
「凧を上げて走る人」という直訳。
「君のためなら千回でも」という邦題は、
実は「ネタバレ」なのですが、
最後の最後に2回目の「君のためなら千回でも」
を聞いたとき、タイトル込みで伏線が回収され、
もう、涙腺崩壊ですね。
松本大洋の「ピンポン」とか「鉄コン筋クリート」など、
幼なじみをめぐる切ない友情系が好きな人は、
この映画は絶対に泣きます。



▼主演(助演)男優賞
アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ)

コメント:
この人は『アメイジング・スパイダーマン』で、
ピーター・パーカーを演じた人です。
つまり、弱っちいひょろっとした体系と顔つきなので、
今回の役は完全にはまり役です。
彼が戦場で誰よりも気迫に満ちていく様は、
鬼気迫るものがありました。


▼主演(助演)女優賞
該当なし


▼その他部門賞「油断して泣きそうになった賞」
「SING」

コメント:
電車の中でタブレットで鑑賞していて、
危なく泣きそうになりました。
完全に油断していた。
音楽の力って、やはりすごいな、と思います。



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陣内が先月観た映画 2017年11月 『アクト・オブ・キリング』他13本

2018.05.24 Thursday

+++vol.041 2017年12月5日配信号+++


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年11月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●コンタクト

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ロバート・ギメセス
主演:ジョディ・フォスター他
公開年・国:1997年(米国)
リンク:http://amzn.asia/aw8t5ha

▼140文字ブリーフィング:

この映画は大学時代に一度、
知り合いの家でレンタルビデオ(!)で鑑賞したことがあります。
(大学時代、私はテレビを持っていませでしたので)
、、、で、20年ぶりにもう一度見返してみたのですが、
結果、めちゃくちゃ面白かったです。
20年の歳月が経つと、人間は別人になっていますから、
「別人が観る同じ映画」はもはや「違う映画」だ、
ということを再確認しました。
天体物理学者でありSF小説作家のカール・セーガンが原作の本作。
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキスです。
テーマは「科学と宗教」。
「現代の『超越性』は宇宙と深海にあるんだなぁ byみつを」
と考えながら鑑賞しました。
「宇宙と深海」こそが、まだ人類が「知り得ない領域」、
つまり科学によって「脱神話化」されていない知の領域です。
だから宇宙に関する論争は「神学論争」に近づくのです。

地球外生命体からのメッセージが、
「素数」だったというのもわくわくします。
一定の周波数の信号が、
「1回、2回、3回、5回、7回、11回、13回、17回、、」
と送られてくる。
観測所の研究者たちが、「素数だ!!!」
と叫ぶシーンは鳥肌ものです。

この映画を観ていると、
宗教に引きこもる原理主義のキリスト教徒よりも、
未知のものへの畏敬を覚える無神論の科学者のほうが「敬虔」に見えます。
元祖「リケジョ」の宇宙研究者の主人公(ジョディ・フォスター)と、
カウンターパートの宗教界の異端児が対照的に描かれます。
彼らは、持っている「言葉」は「宗教と科学」で真逆に見えますが、
「真理を知りたい」という求道者であるという点において同類です。
彼らは同じ両面マジックミラーに、両サイドから歩み寄っているのです。

最後に彼が「彼女を信じる」と言ったのは印象的です。
宗教家が無神論者の科学者を「信じる」と表現したわけです。
オッカムの剃刀(=単純な説明が正しい)のくだりも面白かったです。
宗教界の異端児の彼氏に主人公のリケジョは、
「創造者がこの宇宙を作り、
 そのあとに自らの存在証明を消去したか、
 もしくは存在しない神を人間が作ったか、
 どちらが単純な説明かしら?」と聞きます。
彼女の意図は「オッカムの剃刀」に従えば、
人間が脳内で神を造ったと方が妥当だ、という含意があります。
それに対する彼氏の返答は、
「君は証拠がないから神がいないと言う。
 じゃあ、君は亡くなったお父さんを愛してる?」
「もちろん」
、、、「じゃあ証拠は?」

ネタバレになりますが最後に主人公は地球外生命体に出会います。
その出会い方というのは、他者には分からないけれど、
彼女の脳内に地球外生命体がメッセージを送る、
というもので、巨大プロジェクトに関わった人はひとりも、
彼女の「体験」を信じませんでした。

彼女の有罪を決める諮問会で主人公は、
「18時間の主観的な宇宙の旅」を実証するよう迫られ
かつて自分が彼氏に「神の証明」のために用いた
「オッカムの剃刀」にもとづいて問い詰められます。
「一瞬のうちに宇宙人があなたを宇宙に連れ出し
しかもその証明を放棄したか、
もしくはあなたが妄言を言っているだけか?」

主人公は説明を放棄し、
「自分の人生観が変えられたことが証拠だ」とだけ言います。
(*主人公にとって宇宙への希求は、
 自分の夢を応援してくれた死んだ父親を求める旅でもあります)
世間が彼女を見放した後で、
彼氏の宗教家は「私はあなたを信じる」という。
喧嘩別れした宗教と科学が、
「真実の追究」「愛と尊厳」というところで最後に出会える、
という素晴らしいメッセージでした。
名作です。
(1,423文字)



●打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

鑑賞した日:2017年11月2日 (愛知へ行く新幹線で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:岩井俊二
主演:奥菜恵他
公開年・国:1992年(日本)
リンク:http://amzn.asia/1VZC3ba

▼140文字ブリーフィング:

今年、アニメ化でリメイクされました。
もともとは45分ぐらいの短編ドラマです。
なんと、監督は岩井俊二。
彼がまだメジャーになる前のテレビ企画です。
敢えて言えば「スタンド・バイ・ミー」的な感じですかね。
面白くない訳ではないですがさすがに古い感じはします。
当時(多分)14歳とかの、奥菜恵のアイドル映画としては、
貴重な映像資料です。
アニメ版、ちょっと興味を持ちました。
(180文字)



●ウッジョブ!神去なあなあ日常

鑑賞した日:2017年11月2日 (愛知に行く新幹線で鑑賞)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:矢口史靖(しのぶ)
主演:染谷将太、伊藤英明、長澤まさみ
公開年・国:
リンク: http://amzn.asia/eRHrywO

▼140文字ブリーフィング:

「ウォーターボーイズ」の矢口監督による、
「林業」をテーマにした映画です。
期待してなかったけど、相当に面白かったです。
特に伊藤英明が完全にはまり役でした。
都会っ子の主人公が田舎の林業生活で鍛えられて、
だんだん男らしい大人になっていく、
という王道のストーリーですが、
何よりこの映画の素晴らしいのは「林業」という、
農業以上にあまり知られていない職業世界を、
一般の人に丁寧に教えてくれるところでしょう。
木材の「競り」とか、初めて見ました。
ベテランの職人がこう語ります。
「農家なら育てた作物を食べた人が美味しいと言えば仕事の結果が分かる。
しかし林業は、良い仕事をしたかどうか分かるのは自分が死んだ後なんだ」
林業は私たちの工業化された社会とは、
「タイムスケール」が違うのです。
この映画の中の「競り」で、一本80万円で落札された木は、
明治時代に、曾祖父の代に植えられた木でした。
良い作品です。
先週二冊本を紹介したマキタスポーツの演技も味があります。
(430文字)



●クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲

鑑賞した日:2017年11月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:原恵一
主演:矢島晶子(しんちゃん)他
公開年・国:2001年(日本)
リンク:http://amzn.asia/cHxrIq4

▼140文字ブリーフィング:

この作品は映画ファンのなかでカルト的な人気があり、
異常な高評価を獲得しています。
私の好きな映画評論家のひとりは言っています。
「これは日本の『アニメ映画史に残る作品』ではない。
 『日本映画史』に残る名作だ」と。
「そんなに言うなら見ようじゃないか」
と鑑賞しましたが、評判通りの名作でした。
原恵一監督、スゴイです。
これが公開されたのは2001年ですが、
この作品が「ALWAYS3丁目の夕日」より前に、
造られていることを知り、2回驚きました。
完全にALWAYS3丁目的なるものへの批判になっています。
「懐古趣味から、未来の選択へ」。
私たちはいい加減昭和を懐かしむことを止めて、
前に進まなければなりません。
平成という元号も終わろうとしている今、
私たちが見返すべき映画のひとつです。
私はテレビ放送も映画も含め、
「しんちゃん」を生涯で1回もちゃんと観たことがありませんでしたが、
この映画にはやられました。
これは「しんちゃん」というフォーマットの力ではなく、
90パーセント以上、原監督の力です。
熱いメッセージを受け取りました。
(454文字)



●クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:原恵一
主演:矢島晶子(しんちゃん)他
公開年・国:2002年(日本)
リンク:http://amzn.asia/ez2U6Np

▼140文字ブリーフィング:

「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」が良すぎたので、
翌年の原監督のしんちゃん映画も鑑賞しました。
こちらもまた名作です。
先の映画評論家曰く、
「日本にある時代劇ドラマ/映画のなかで、」
突出して時代考証がしっかりしている」。
たしかに、食べ物、武器のありかた、
戦のときの人々の振るまい方など、
めちゃくちゃ勉強になります。
「雰囲気で」時代劇を作るのではなく、
資料を読み込んで、当時の人々の生活や行動様式を
研究したうえで作られているのがよく分かります。
また、「説明的」なところがなく無駄なシーンがありません。
原恵一監督の見事さが現れています。
原監督自身が、「子ども向け映画」と侮っていない証拠です。
「子どもだましでは子どもはだませない」というのは、
頭の良い大人なら誰でも知っていて、
「大人でも十分鑑賞に堪えるものを、
 子ども向けにわかりやすくしたときに、
 はじめて子どもにもちゃんと伝わる」のです。
原監督はそのあたりを非常によくわきまえています。
(412文字)



●宇宙人ポール

鑑賞した日:2017年11月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレッグ・モットーラ
主演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、セス・ローゲン
公開年・国:2011年(イギリス)
リンク:http://amzn.asia/gp16U7F

▼140文字ブリーフィング:

こちらもかなり面白かったです。
掘り出し物でした。
とにかく「痛快」な映画で、
宗教保守派の思考停止批判にもなっています。
笑えるし、様々な映画へのオマージュが気が利いています。
この感じ、私は好きです。
(97文字)



●ロックスター

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブン・ヘレク(制作総指揮:ジョージ・クルーニー)
主演:マーク・ウォールバーグ、ジェニファー・アニストン
公開年・国:2001年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/9XyT0TC

▼140文字ブリーフィング:

若かりしジェニファー・アニストンが可愛い映画です。
主人公は「ロックスター」に憧れ、
平日はコピー機を売り、
休日に仲間と組んだバンドのヴォーカルとして、
地元でコンサートをしています。
とあるきっかけで才能を見いだされメジャーバンドに引き抜かれた彼は、
ショービジネスの華やかな世界に飛び込み、
シンデレラストーリーを駆け上がります。
しかしそんな生活をしばらく続けた後、
「判で押したように革ジャンを着て、
 判で押したようにドラッグをやり、
 判で押したように複数の女と寝て、
 判で押したようなおきまりの歌声で歌う。
 、、、なんだ、こんなのサラリーマンと同じだ。
 いや、サラリーマンよりつまらない。」
と幻滅し、夢にまで見たロックスターをやめて、
地元のバーでフォークソングを歌うことを選びます。
最後の場末のカラオケ喫茶で自分を表現し、
大切な人を大切にする主人公はカッコいいです。
(378文字)



●アクト・オブ・キリング

鑑賞した日:2017年11月8日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ジョシュア・オッペンハイマー
主演:ドキュメンタリー映画
公開年・国:2012年(英国・デンマーク・ノルウェー)
リンク:http://amzn.asia/7zMLQSa

▼140文字ブリーフィング:

もうね、これはね、語れません。
言語化不可能です。
衝撃的でした。
今までに観た他のどんな映画とも違います。
一応簡単にだけ説明すると、
スカルノ大統領の時代にインドネシアで軍事クーデターがおきました。
その軍事政権は全国的に「共産党員狩り」と称して、
組織的な民族虐殺をした。
その虐殺に関与した人々は今も既得権のなかでのうのうと生きています。
監督は彼らに、「虐殺を再現する映画を撮って下さい」とお願いするのです。
すると彼らは何と拒絶するどころか、
自分たちを英雄として讃える映画を嬉々として取り始めました。
それをさらに第三者の視点で観察するという「メタ構造」を持った映画です。
あまり万人にお勧めできる映画ではありませんが、
観た人は一生忘れられない映画になるのは間違いありません。
特に、ラスト5分は地獄の深遠をのぞき込むような経験をします。
「地獄からの音」を、ラスト五分で鑑賞者は聞きます。
フィクションでも、やらせでもなく、現実に。
どんなホラー映画よりも怖い。
ただただ、すごいとしか言えません。
圧倒されました。
(434文字)



●苦役列車

鑑賞した日:2017年11月2日 
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:山下敦弘
主演:森山未來、前田敦子、高良健吾
公開年・国:2012年(日本)
リンク:http://amzn.asia/isxqNnf

▼140文字ブリーフィング:

西村賢太の芥川賞受賞作の映画化です。
原作は5年ほど前に弟に勧められて読みました。
そんなに「楽しい映画」とは言えませんが、森山未來のクズぶり、
マキタスポーツの自然さなど、けっこう観ていられました。
私が感想を語るよりも、
Amazonレビュアーの秀逸なレビューがありましたので引用します。
〈生きるすべを学ばなかった青年のお話。
小さい頃に家族も信じる心もなくした貫多(主人公)、
愛を知らない、家族を知らない、友達を知らない、恋人を知らない。
無知故にその日暮らしの堕落した生活を続ける。
人間性もない底辺の生活。
人生の中ではじめての友達も己の卑屈さ故に失ってしまう。
お金もない、知識もない、学歴もない、
根性もない、友達もない、家族もない。
それでも人生という名の苦役列車は日々走り続ける。〉
、、、そういう映画です。
(350文字)



●アウトレイジ ビヨンド

鑑賞した日:2017年11月10日(金)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:北野武
主演:三浦友和、小日向文世、ビートたけし、西田敏行、加瀬亮、他
公開年・国:2012年(日本)
リンク:http://amzn.asia/apHP8Mc

▼140文字ブリーフィング:

先月「アウトレイジ」を観てもう私は、
「やられちゃった」わけです。
その魅力に完全に取り憑かれてしまいました。。
アウトレイジが他のいわゆる「ギャング映画」と違うのは、
日本のヤクザの抗争を描くだけでなく、
その行動原理や組織力学を描写したところにあります。
「筋を通す」「大義名分」、「かたちだけだよ」という台詞、
そういったロジックで彼らは、
「『スジ』をめぐるパワーゲーム」をしているわけです。
実はアウトレイジシリーズはヤクザの話でありながら、
これは日本の「カイシャ」の話なのです。
前作で「山王会」の会長を殺害し上り詰めた加藤(三浦友和)が、
不祥事の責任をとり落とし前を付けるために「引退」した直後、
後任の会長に「おい、お前どこ座ってんだ?」と、
怒られるシーンは定年退職後「何者でもなくなる」、
日本のサラリーマンの悲哀を象徴しています。
この映画を観ていると日本の組織のなかで生きることの、
辛さや葛藤や手続きや作法を肌で感じられます。
あと、オフィス北野のたけしの「弟子」、
玉袋筋太郎は東西のヤクザの抗争を描いた「ビヨンド」以降は、
関西吉本系芸人対(主に浅草)関東系芸人の対立、
という構図のメタファーでもあるのではないか、
という「深読み」もしています。
じっさいたけしは漫才ブームのとき、
関西の漫才師がどんどん押し寄せてきてかなり焦った、
と後に著書に書いているので、あながち外れてはいないかもしれません。
アウトレイジシリーズはいろんな楽しみ方が出来ます。
「最終章」が楽しみです。
はやくDVD化されないかなぁ。
(646文字)



●家族はつらいよ

鑑賞した日:2017年11月12日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:山田洋次
主演:橋爪功、妻夫木聡、蒼井優他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:http://amzn.asia/1yOM8EV

▼140文字ブリーフィング:

言わずと知れた「男はつらいよ」の山田洋次監督作品。
この作品はなんというか、ポストモダン的二次創作の精神にあふれています。
時系列で説明すると、まず小津安二郎の「東京物語」という映画があります。
面倒なので説明はしませんが、世界中の映画ファンに、
「これまでの映画でどれがベストですか?」と聞くと、
チャップリンの「モダンタイムズ」とか、
ゴッドファーザーシリーズとか、
ヒッチコックの「サイコ」とか、
キューブリックの「2001年宇宙の旅」とか、
黒澤明の「七人の侍」などに並んで、
けっこう多くの人が挙げるのがこの「東京物語」なのです。
それほどクラシックで定番な作品です。
その小津安二郎の東京物語を、
山田洋次が2013年に「オマージュ作品」として、
筋書きはそのまま、時代を現代にして取ったのが、
「東京家族」です。
これは私は愛知に出張中に映画館で観ました。
とても良い映画でした。
この「家族はつらいよ」は、
その「東京家族」の家族構成はほぼそのまま、
役者もそのままで、「別の映画」を二次創作した作品です。
「劇団東京家族」の次の講演、という感じでしょうか。
さらにタイトルに現れているように、
「男はつらいよ」シリーズへのセルフオマージュでもあるわけで、
何重にも自他の作品の「二次創作」になっています。
超ベテラン監督にこんな意欲的なことをされたら、
若手はいったい何をしたら良いのでしょうか。
山田洋次はやはり「上手」ですので、
たいしたことは起こらないのですが、
家族群像劇としてずっと見ていられます。
小津安二郎へのオマージュとしての、
「ローアングル」なカメラワークがハマります。
(673文字)



●レッドタートル

鑑賞した日:2017年11月20日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット(スタジオジブリ作品)
主演:なし(サイレント映画のため)
公開年・国:2016年(フランス、日本)
リンク: http://amzn.asia/eQYu0Id

▼140文字ブリーフィング:

この作品は度肝を抜かれました。
貧乏な私が、DVD買おうかどうか迷ってるぐらい笑。
台詞がいっさいないので、全世界の人が同じ映像(と音声)を観ています。
そして、伝わるメッセージも多分どこの国の人であっても「だいたい同じ」。
こういうのを「ユビキタス」というのですが、
これほどに「ユビキタスな映画」を私は見たことがありません。
無人島に流れ着いた主人公の一生を描く本作は、
アダムとイブ、ノアの洪水がモチーフになっており、
「現代の創造神話」という感じです。
「映画は台詞が少ない方が面白い」説を私は唱えたくなりました。
じっさい、スクリーンの向こう側がしゃべらないと、
それと反比例するように、鑑賞者の脳内ではたくさんの自己対話が行われます。
登場人物はいっさいしゃべらず、
「風の音、波の音、虫の声、鳥の羽ばたき、
 主人公の息づかい」だけが聞こえます。
「星がまたたく音」すら聞こえそうな気がします。
そして、自然に身を浸すとしばしば起こるように、
鑑賞者の内部では静かな自己対話が進行します。
すばらしい映画でした。
映画館で観なかったことを悔やみました。
私の好きなテレビゲームに、PS2の「ICO」という作品がありますが、
その世界観にどことなく似ていて、
ゲームをプレイしているような気持ちにもなりました。
(534文字)



●何者

鑑賞した日:2017年11月25日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:三浦大輔
主演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、山田孝之、岡田将生
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/b2ukZmN

▼140文字ブリーフィング:

「桐島、部活やめるってよ」の原作者、朝井リョウ原作の映画化です。
先週紹介したマキタスポーツの著書「一億総ツッコミ時代」で、
「自分は何かに没入することなく、
 安全な場所から他者を『評価』して、
 承認欲求を満たす人々」というのが、
リアルに映像化されています。
なので「一億総ツッコミ時代」を副読本として読むと、
この映画は2倍楽しめます。
自分は「評価される側」に回らず舞台に立たず、
人に評価を加え続けるツイッター民の主人公はしかし、
「就職のための面接」という「評価される」舞台に強制的に立たされます。
彼が他者の冷笑的な批判者であることをやめ、
「舞台に立つ覚悟」をしたときにはじめて面接官に評価されはじめる、
というシークエンスはぐっと来ました。
それにしても本作、良い意味で「痛い」作品です。
神経がヒリヒリします。良い意味で。
(358文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「レッドタートル」

コメント:
先月は良作ぞろいだったので非常に悩みました。
140文字ブリーフィングを書きながら、
「いったどれが作品賞なんだろう?」と、
自分でわくわくしていました。
「それはお前次第だよ!!」というツッコミはごもっともですが、
本当にどれが作品賞になるかは、
この項目を書き始めるまで自分のなかでも分からないのです。
いや、マジで。
具体的には、
1.クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆修
2.アクト・オブ・キリング
3.アウトレイジビヨンド
4.コンタクト
5.何者
6.レッド・タートル
このどれが作品賞になってもおかしくなかった。
しかし、「総合判断」の結果レッドタートルですね。
この6本は全部同じぐらい面白かったのですが、
最後の最後の選考基準は、
「思い出したとき、心があったかくなるかどうか」
で決めました笑。


▼主演(助演)男優賞
小日向文世(アウトレイジビヨンド)

コメント:
「ビヨンド」の面白さはやはり、
小日向文世の面白さだったな、と思います。
彼はヤクザではなくて警察官ですが、
どちらがヤクザか分からないぐらい「怖くてズルい」です。
彼が暗躍することでローカルヤクザの小さなもめ事という、
小さな雪だまが雪山を転がり、
やがて巨大な「戦争」に発展していくシークエンスは快感です。


▼主演(助演)女優賞
ジョディ・フォスター(コンタクト)

コメント:
この映画のジョディ・フォスターはとても良かったです。
「女子力低め」の理系女子(リケジョ)を、
説得力をもって演じています。
そもそも原作が良いのかもしれませんが、
とにかく魅力的な主人公です。
「真理の探究者」という科学者のまっすぐさに共感を覚えます。


▼その他部門賞「問題作賞」
「アクト・オブ・キリング」

コメント:
この映画を忘れることはないでしょう。
忘れたくても忘れられない。
それほどの爪痕をこの映画は残しました。
とにかくものすごい映画でした。
虐殺という本当にあった現実を目の前に、
人間というのは「ここまで」できてしまうんだ、という驚愕と、
その「そこまで」した大量殺人者たちが見せる、
「どこにでもいそうな普通のおじさん感」からは、
「悪の凡庸さ」(byハンナ・アーレント)を見せつけられます。
とにかくすごかった。
あーびっくりした。




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陣内が先月観た映画 2017年9月 『愛のむきだし』他10本

2018.03.22 Thursday

+++vol.032 2017年10月3日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年9月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
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●ロード・オブ・ウォー

鑑賞した日:2017年9月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:アンドリュー・ニコル
主演:ニコラス・ケイジ、イーサン・ホーク他
公開年・国:2005年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/4qALYt4

▼140文字ブリーフィング:

実在の武器商人をモデルにした映画です。
めちゃくちゃ面白かったです。
ソ連崩壊以前のウクライナ出身で、
家族でニューヨークに移住した
ユーリ・オルノフ(ニコラス・ケイジ)という武器商人が主人公です。
彼はソ連邦崩壊後に大量に「浮いた」状態になった、
「カラシニコフ」や「RPG」といった兵器を、
アフリカの内戦地帯の「人民解放軍(という名の虐殺集団)」や、
同じくアフリカの独裁国家に売ることで巨万の富を築きます。
自分が売った銃弾ひとつひとつが、人間の命を奪っている、
という現実を彼は「器用に見ないようにして」、、、。
家族を養うため、という合理化を行いながら彼は稼業を続けます。

オルノフを追い詰める捜査官のバレンタイン(イーサン・ホーク)は、
長年の念願叶ってオルノフを確保しますが、
上司はあっさりと、「彼を釈放せよ」と言い渡します。
オルノフの仕事はアメリカ政府とゆるくつながっており、
政府ができないダーティな仕事を、
彼のような「グレーな男」を通して米国は実現していたわけです。
じっさいアメリカはニカラグアでもアフリカ各地でも、
自らの世界戦略を推し進めるゲリラ軍を後押ししていますが、
それは国連決議という面倒な手続きを経るよりも、
多くの場合アンダーグラウンドな武器取引によって実現されたりしています。
この映画はまったく美しくはありません。
むしろ醜い映画です。目を背けたくなるような。
しかし同時に、反戦映画の傑作です。
(592文字)



●彼女は嘘を愛しすぎている

鑑賞した日:2017年9月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:小泉徳広
主演:佐藤健、大原櫻子
公開年・国:2013年(日本)
リンク: http://amzn.asia/4HVEByD

▼140文字ブリーフィング:

漫画の映画化です。
電車に乗りながら、ほとんど早送りして観ました。
コテコテの少女漫画のストーリーで、
安っぽい恋愛が描かれているという完全なパッケージでした。
良いところは殆どありませんが(笑)、
主人公の女の子は本当の歌手を使っているだけあって、
彼女の歌だけは上手でした。
(133文字)



●チャーリーとチョコレート工場

鑑賞した日:2017年9月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ティム・バートン
主演:ジョニー・デップ
公開年・国:2005年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/gffUCyQ

▼140文字ブリーフィング:

電車のなかで半分ぐらいは早送りして観ました。
有名な作品なので名前は知っていたのですが初見です。
正直、あんまり面白くなかったです。
ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)の父との確執とトラウマを、
主人公のチャーリーが癒すという話しです。
最後のシーンのウォンカと父との邂逅で、
甘いもの大嫌いな歯医者の父が、
家出して起業家になった息子のチョコレート工場の記事を
スクラップしていたところはちょっと感動的でした。

これは「ALWAYS 三丁目の夕日」三作目の茶川先生(吉岡秀隆)を、
「小説家になるなら勘当する」といって口も聞かなかった父が死んだ時、
父の部屋には茶川の作品のすべてが並べられていて、
父は「感想メモ」とともにすべてをファイリングしていたことを、
茶川先生が知り、、、、という同じようなくだりがあります。
感動はALWAYSのほうが数段上です。

ああいうのは、いわゆる「親や世間の期待」みたいなものに背を向けて、
理想を追いかけあまり人が選ばない仕事をしている、
私のような人間には「応え」ますね。
泣いちゃいます。
(441文字)



●モールス

鑑賞した日:2017年9月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マット・リーヴス
主演:クロエ・グレース・モレッツ、コディ・スミット=マクフィー
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/53K05qI

▼140文字ブリーフィング:

子どもが主人公のヴァンパイアホラーです。
英語の原題は「Let Me In」で、
こちらのタイトルのほうが良いです。
(洋画のタイトルの和訳センスは、
もうちょっと何とかならないのかといつも思います。)
ホラー映画ともラブストーリーともつかない作品です。
「観させる」映画ではありましたが、
特にラストシーンがあんまり好きじゃないかも。
(159文字)



●マシンガンプリーチャー

鑑賞した日:2017年9月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーク・フォースター
主演:ジェラルド・バトラー他
公開年・国:2011年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/hxOGzdo

▼140文字ブリーフィング:

実話に基づく映画です。
麻薬中毒者から伝道師になった男がソマリアに宣教ツアーに行き、
虐殺の現場を観てから、彼は彼はマシンガンを持って、
LRAという組織と戦って子どもを守りはじめます。
彼の宗教的熱狂が家族を苦しめ、神への忠誠心で彼は敵軍の人を殺します。
「これが本当に良いことなのかどうか」が、分からないように作られています。
結論を完全に留保していて鑑賞者に「丸投げ」する態度は、
不親切と思う人も多いでしょうが私は好感が持てました。
「狂信と独善」の功と罪をそのままつきつけられた鑑賞者は、
「だから信仰は危ない」という結論にも、
「それでも信仰がした良いこともないとは言えない」
という結論にも、どちらにも至ることができるようになっている。
その「ゆらぎ」こそが大切なんだ、というのが私の意見です。
(342文字)



●アメリカンヒストリーX

鑑賞した日: 2017年9月14日
鑑賞した方法: Amazonプライム特典

監督: トニー・ケイ
主演:エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング
公開年・国: 2000年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/8Kw8ump

▼140文字ブリーフィング:

ナチスを礼賛し白人至上主義のグループを形成し、
移民が働くスーパーで破壊行為を行う主人公のデレク(エドワード・ノートン)が、
黒人を殺した罪で3年間刑務所に入ったことで白人至上主義をやめる、
というストーリーです。
刑務所で黒人と仲良くなったデレクは、
その黒人が収監されている理由が、
白人による差別感情による冤罪であることを知ります。
また彼は刑務所内の白人コミュニティに裏切られ標的にされますが、
彼を守ったのは黒人たちでした。

出所した彼は弟とともにグループを脱退します。
デレクには同じく白人至上主義グループのメンバーの、
ダニーという弟がいますが、彼は兄の収監中、
学校の校長から「アメリカンヒストリーX」という、
個人授業を提案されており、そのレポートを書いていました。
「兄のデレクはなぜ白人至上主義者になったのか」が最初の宿題でした。
それは彼ら兄弟の死んだ父親が差別主義者で偏見に満ちていた影響でしたが、
彼らはその事実を見ないようにしていて、
「消防士の父が現場で殉職したのは黒人の家が火事になったからだ」
という合理化を行っていました。
弟は出所した兄に感化され差別主義から自由になっていきますが、
最後の最後に今まで恨みを買ってきた黒人に殺されてしまいます。

弟が遺したレポートの結論は、
「兄の人種差別は父親に由来していた。
 そこから憎しみの連鎖が始まったが、
 憎しみや怒りは何も生まない。」でした。
弟の死を受けた兄はまた復讐心にかられるのか、
それとも赦すのか、という結末は描かれません。
「あとはあなたたちが考えてくれ」ということです。
「マシンガンプリーチャー」や「ロード・オブ・ウォー」と同じく、
「結論留保型」の良い映画でした。
(705文字)



●愛のむきだし

鑑賞した日:2017年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:園子温
主演:西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ
公開年・国:2009年(日本)
リンク: http://amzn.asia/94sJAoo

▼140文字ブリーフィング:

私は翻訳などの単純作業中、
町山智浩さんとライムスター歌多丸さんという、
二人の映画評論をラジオで聞きながしています。
二人が圧倒的熱量で語っていたのがこの「愛のむきだし」でした。
プライム特典で無料視聴できたので興味をもって観てみました。
この映画は4時間ありますが、確かにすごかったです。

父と息子の葛藤、母と娘の葛藤、新興宗教、愛、生と死、原罪、、、
あらゆるテーマがごった煮のように詰まっている。
アクション映画のようでもありヒューマンドラマのようでもあり、
家族映画のようでもあり社会風刺のようでもある。
なんだか「カラマーゾフの兄弟」のような、
「定義不能のスケール感」があります。
今は押しも押されぬトップ女優の満島ひかりが、
Folder5のメンバー=アイドルから、
女優として見いだされたのもこの映画です。
好き嫌いは分かれるでしょうが、
忘れられない映画であるのは間違いないです。
(384文字)



●冷たい熱帯魚

鑑賞した日:2017年9月15日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:園子温
主演:吹越満、でんでん 他
公開年・国:2011年(日本)
リンク: http://amzn.asia/hpoyp0X

▼140文字ブリーフィング:

「愛のむきだし」につづき、
園子温監督の映画を続けて見ました。
これは「埼玉愛犬家殺人事件」という、
じっさいに起きた猟奇的な事件をもとに作られた映画です。
でんでん演じる「犯人」の男は熱帯魚ショップを営んでおり、
自分に都合の悪い人間を肉片に切断し、
骨は高温で燃やし、肉片と臓器は川の魚に食べさせる、
という「死体を透明にする」方法を開発し、
なんと30人以上を殺した日本犯罪史に残るシリアルキラーです。

私がもっとも印象的だったのは、
犯人の「下世話さ」であり「凡庸さ」です。
そこが一番怖かった。
つまり、サイコパスというととかく私たちは、
「羊たちの沈黙」のレクター教授や、
バットマン(ダーク・ナイト版)のジョーカーのような、
サイケデリックなキャラクターをイメージするのですが、
じっさいは違う。
でんでん演じる犯人は下ネタとだじゃれと、
ある種の人なつっこさすら備えた、
「どこにでもいそうなオッサン」です。
ナチスドイツの高官で、
多数のユダヤ人殺害に関与したアイヒマンという人がいます。
この人の裁判を傍聴、分析した政治哲学者のハンナ・アーレントは、
「悪の真の姿は凡庸だ」と結論づけていますが、
この映画を見るとこの意味が説得力をもって迫ってきます。

多くの人が衝撃とともにレビューに書いている「残虐描写」は、
食肉処理場で働いていた私にはまったく衝撃でも何でもありませんでした。
全部、「あ、これはと畜場で豚の肝臓をもらってきたな」とか、
一目で分かりますから笑。
血にまみれた骨を焼くシーンも、
「これは豚の大腿骨だな」とか笑。
むしろ、犯人が生首を持つシーンとか、
ほ乳類の頭部がそんなに軽いわけないだろう、
というような「アンリアル」さが際立ちました。
私を現場スタッフに入れてくれたらもうすこしリアルにできたのに(笑)。
(730文字)



●嘆きのピエタ

鑑賞した日:2017年9月21日(木)
鑑賞した方法:

監督:キム・ギドク
主演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン
公開年・国:2012年(韓国)
リンク: http://amzn.asia/jj3ck4N

▼140文字ブリーフィング:

「息もできない」という韓国映画をずいぶん前に見て以来、
久しぶりに見た韓国映画です。
ずしんと来るテーマで、
ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞も納得です。
「息もできない」は父との葛藤でしたが、
今回は完全に「マザコン」がテーマです。

この作品の最大の難点は主人公の、
GACKTみたいなナルシスティックなビジュアルでした。
このせいでいろいろ感情移入できません。
母親の「韓国女優に100人はいそうな典型的な顔
(たぶん整形の影響なのかな)」も気になりました。
この二人の役者を入れ替えたら泣いていたかもしれません。

この監督はストーリーが巧いです。
主人公は高利貸しをしていて、
彼の方法は債務者を「障害者にする」ことで
保険金を巻き上げるというものでした。
極悪人の主人公は母親に捨てられた男ですが、
彼の前に母親と名乗る人物が現れます。
母親は無償の愛で彼を愛しますがそれは実は復讐のためでした。
彼女は彼が障害者にしたことを苦に自殺した男の母親で、
彼が本当の母親だと思った時点で自殺することで
「目の前で愛する人が死ぬ」苦しみを味わわせようとします。
最後に男は「債務者の車で引き回されて自殺する」ことで贖罪しようとします。
トラックが彼を引いていく最後のシーンは名シーンです。

先週読んだ宮台真司氏の本で、
この監督は牧師になるための学校で
勉強したことがあるというのを読んで納得です。
「わかりやすい救済」を徹底的に拒絶し、
「救いなき者の救い」を描こうとするキム・ギドク監督の姿勢は真摯です。
(628文字)



●モアナと伝説の海

鑑賞した日:2017年9月25日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ロン・クレメンツ
主演:アウリイ・クラヴァーリョ他
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/cEtkr7Z

▼140文字ブリーフィング:

正直あまり面白くなかったです。
知恵遅れのニワトリが最後に活躍する、
「ロード・オブ・リング」と同じメッセージだけは心に残りました。
アナと雪の女王(2013)、ズートピア(2016)と、
ディズニーはスマッシュヒットを連発していたので期待していましたが、
今作は私にはさほど響きませんでした。
音楽はとても良いです。
(153文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ロード・オブ・ウォー」

コメント:
新しいタイプの反戦映画だと思います。
「ブラッド・ダイヤモンド」とか「ホテル・ルワンダ」のような、
真正面から文明批判、戦争批判をするわけではなく、
あくまでシニカルでニヒリスティックな視点で、
結論を鑑賞者に丸投げすることで逆にメッセージが、
重くなると言う手法は見事です。
最初の数分流れる、銃弾が生産されてアフリカに渡り、
少年の命を奪う、、、というカメラワークと音楽は、
よくできたミュージックビデオという感じで秀逸です。
「ど頭の5分」を観るだけでも価値があります。



▼主演(助演)男優賞
ジェラルド・バトラー(マシンガンプリーチャー)

コメント:
この映画も賛否両論あると思うし、
テーマもずっと重苦しくて途中辛くなるのですが、
それでも観ていられるのはジェラルド・バトラーの、
鬼気迫る演技とある種の「説得力」のおかげでした。



▼主演(助演)女優賞
満島ひかり(愛のむきだし)

コメント:
「今、日本で一番演技が上手い女優は?」
と業界人に聞いたら10人に8人が満島ひかりと言うぐらい、
めちゃくちゃ業界内評価が高いと聞いたことがあります。
こういう「評価のバブル」は怖いのですが、
確かに彼女の演技は凄い。
日本映画における男性俳優の「巧さ」は、
妻夫木聡や松田龍平に代表されるように、
「つや消しの空気感」ですが、
邦画における女優の巧さというのは良く言われる「透明感」に加え、
ある種の「呪術的な空気感」なんだと、
満島ひかりの演技を観てると感じます。



▼その他部門賞「キャスト以外は秀作賞」
「嘆きのピエタ」

コメント:
ブリーフィングに書いたように、
キャスト以外は傑作です。
なんで主人公がGACKT的なビジュアル?
なんでステレオタイプな韓国女優?
と突っ込みながら観ました。
主人公たちの「どうしようもない救いのなさ」
がこの映画の「キモ」なのに、
ビジュアルの「人工的な美しさ」が、
場末の絶望の説得力を打ち消してしまっている。
「息もできない」の主人公兼監督の、
ヤン・イクチュンはドラマ「とんぼ」時代の長渕剛のような趣きがあり、
良い俳優だと記憶していますが、彼がキャスティングされていたら、
私は確実に最後に泣いていたと思います。

▼参考リンク:「息もできない」
http://amzn.asia/0lO0gKh



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陣内が先月観た映画 2017年8月 『ロッキー』他7本

2018.02.22 Thursday

+++vol.028 2017年9月5日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年8月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

鑑賞した日:2017年8月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:田中誠
主演:前田敦子、大泉洋ほか
公開年・国:2011年(日本)
リンク: http://amzn.asia/fu5MYdI

▼140文字ブリーフィング:

まぁ、ひどい映画でしたね(笑)。
前半は「イノベーション」を高校野球で定義すると、
「バントしない」「ボール球を投げない」などの作戦になる、
ということを監督(大泉洋)がデータをもとに提案したり、
経営において「価値の定義」が最優先されるので、
高校野球においてそれは「(かかわるすべての人の)感動」なのだ、
と定義する、などのくだりがあり、ちょっと期待しました。

ところが最後に見事に「ちゃぶ台返し」が。
最後の最後に「私は逃げない」みたいな精神論にすべてが還元されます。
それはまさに「AKBイズム」であり、「秋元康テイスト」であり、
「昭和スポ根浪速人情物語」であり、これはドラッカーへの侮辱です。
ドラッカーの経営理論の骨子は、
まさにそのような「精神論への還元」を否定したところにあるのですから。

たぶん秋本康は日本人は努力、根性、浪花節なしに、
感動できないとでも思っているのでしょう。
(悲しいことにそれは、半分正しい。)
あぁ、この分だと日本ではまだまだしばらくは、
「サービス残業」や「過労死」は、
なくならないだろうなぁ、と感じました。
「努力と根性への信仰」を、
日本人は恐らく今後も捨てることはないだろう、と。
「竹槍でB-29に立ち向かう」と言っていた戦時中から、
日本という国は本質的には変化していないというのが分かります。

折角積み上げたものが最後に「AKBの都合」で台無しにされる。
「もし秋元康が『もし女子高生の野球マネージャーが
 ドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の映画化に携わったら、
 ドラッカーの顔にウンコを塗りたくる結果になる」
に、この映画のタイトルは改題したほうが誠実です。
(686文字)



●コンスタンティン

鑑賞した日:2017年8月8日
鑑賞した方法: Amazonプライム特典

監督: フランシス・ローレンス
主演: キアヌ・リーブス
公開年・国: 2005年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/7zDfjUx

▼140文字ブリーフィング:

悪魔払いの男(キアヌ・リーブス)が、
悪魔を祓う映画です。

なんていうんでしょう。
なんていうんだろうなぁ。
なんて表現していいのか分からないんですけど、、、

、、、クソつまらなかったです(笑)。

「ダヴィンチ・コード」なんかともつながりますが、
キリスト教の知識が薄っぺらくて、
本質論とは関係のないトリビアな領域でこねくりまわしてるから、
「ルシファー」とか「ミカエル」とか出てくるのだけど、
まったく説得力がありません。ほとんど早送りしました。
(185文字)



●横道世之介

鑑賞した日:2017年8月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:沖田修一
主演:高良健吾、吉高由里子
公開年・国:2013年
リンク: http://amzn.asia/1NAt8yw

▼140文字ブリーフィング:

見終わったあとで、
この監督が「南極料理人」の沖田監督だと知りました。
「南極料理人」は2009年に映画館に観に行って感銘を受けた、
非常に良い映画でした。
どうりでこの映画も「食事シーン」の使い方が巧いわけだ、
と思った次第です。
しかし、こういった、
「大きな事件は起きず淡々と進む空気感を楽しむ」映画としては、
2時間40分というのはさすがに長すぎます。
このタイプの「雰囲気映画」の適正時間は90分ぐらいかな、
というのが私の持論です。
高良健吾の「大学生」の演技は説得力がありました。
(236文字)

▼参考リンク:「南極料理人」
http://amzn.asia/9zyUgPj



●ちはやふる 上の句

鑑賞した日:2017年8月21日(月)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタル

監督:小泉徳広
主演:広瀬すず
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/i3yDxfO

▼140文字ブリーフィング:

ROBOTというプロダクションがあります。
映画は配給会社や監督も大事ですが、
プロダクションもけっこう大きな役割をもっていて、
私はわりとROBOTを信頼しています。

「ROBOT」には、当たり映画が多いです。
私が好きな映画では、
「踊る大捜査線 THE MOVIE」も、
「サマータイムマシン・ブルース」も、
「Love Letter」も、
「ALWAYS 三丁目の夕日」も、
「幕が上がる」も、
ROBOTが関わっています。

で、この「ちはやふる」もROBOTが絡んでいるということで、
期待して観ましたが、結果は「あんまり」ですね。
「下の句」は、大丈夫です(笑)。

広瀬すずファンにとっては夢のような映画だと思いますが、
映画ファンにとっては凡庸な映画のひとつです。
ただ、「競技かるた」というあまり知られていないマイナーな世界を、
オシャレな味付けでポピュラライズし、世間一般に知らしめる、
という意味では、卓球のマイナーさを払拭した、
映画「ピンポン」と同じような意味合いがあるかもしれません。
(429文字)



●ロッキー

鑑賞した日:2017年8月27日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョン・G・アヴィルドセン
主演:シルベスター・スタローン、タリア・シャイア
公開年・国:1976年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/j16YS9a

▼140文字ブリーフィング:

父親がレンタルしてきた「ロッキー」のビデオを、
家で観たのはたしか小学生のころですから、
約30年ぶりに「ロッキー」第一作を観ました。
あらためて素晴らしい映画だと再認識しました。
昨年「クリード チャンプを継ぐ男」をAmazonプライムで観まして、
それで、「原点」を見返したいと思ったのです。
ちなみに「ロッキー」第一作では、
30歳のごろつきだったロッキー・バルボアが、
世界チャンピオンのアポロ・クリードと対決しますが、
最新作の「クリード」はアポロ・クリードの息子で、
その彼をかつてのライバルであったロッキーがコーチします。
説明は後で書きますが、この映画はいろんな意味で素晴らしいです。
公開後40年経っても人を感動させられるこの映画は間違いなく名作です。
(327文字)



●マディソン郡の橋

鑑賞した日:2017年8月26日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド
公開年・国:1995年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/0v0UYJ2

▼140文字ブリーフィング:

クリント・イーストウッドの映画にはハズレがない、
というのが私の持論なのですが、
この映画もやはり一定の基準は満たしていました。
これは「不倫」がテーマの映画(小説の映画化)で、
最近の日本だと「昼顔」というドラマが流行ったのと同じ理由で、
この映画(と原作)は支持されるのだと思います。
私は不倫についてはまったく擁護も支持もしませんが、
この映画においての不倫は中心テーマではなく、
むしろ人の切実な感情のきらめきや、
アメリカの田舎の美しくもつまらない日常や、
家族というものの持つ重層性や、
個人というものの多義性を語るための、
「物語上の装置」として不倫は機能しています。
イーストウッドの映画って、シーンの数が少なく、
つまりひとつのシーンが長い「長回し」が多く、
テンポが悪いはずなのですが、まったく冗長に感じないのは、
彼の監督としての「マジック」だと思います。
(333文字)



●ボディガード

鑑賞した日:2017年8月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ミック・ジャクソン
主演:ホイットニー・ヒューストン、ケビン・コスナー
公開年・国:1992年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/52uHNiS

▼140文字ブリーフィング:

ホイットニー・ヒューストンって、
2012年に48歳で亡くなっていたのですね。
この映画を観たあとに知りました。
コカイン中毒だったそうです。
それを知ってこれを観たらもっと、
「しんみり」していたと思います。
「エンダ〜〜リヤ〜〜イヤ〜♪
 ウィルオーウェイズラヴュ〜〜♪
 フ〜↑↑↑」
で知られる、”I will always love you”は名曲ですが、
この曲は実はカントリーミュージックのカヴァーなんです。
この映画を観るとそれがよく分かります。
(214文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ロッキー」

コメント:

この映画は「アメリカンニューシネマ」を終わらせた映画、
としてよく語られます。
「俺たちに明日はない」とか「イージーライダー」といった、
退廃と放縦を描く映画が60年代アメリカで流行しました。
これらの映画は既成の価値観をぶち壊します。

「赤狩り(レッドパージ)」という、
共産党を封殺するアメリカ政府の強硬な政策や、
正義のないまま泥沼化するベトナム戦争に抗議し、
「体制」を作った大人達の価値観に反抗の声をあげた若者達は、
世捨て人のように放浪し「フラワーチルドレン」と呼ばれ、
ヒッピームーブメントを引き起こしました。
そういった若者のカルチャーを描いたのがこれらの、
「アメリカンニューシネマ」と呼ばれる作品群です。

作家の村上龍の書く小説の「退廃」は、
120%ここに影響を受けています。
、、、で、このような映画の「潮目が変わった」のが、
80年代であり、その流れをつくったのが「ロッキー」なのだ、
と映画評論家の町山智浩さんは言っています。

アメリカンニューシネマは往々にして、
主人公は最後に死にます。
しかも破局的に、徹底的に死にます。
麻薬と放縦と殺人と理由なき反抗が、
アメリカンニューシネマの旗印です。
フラワーチルドレンたちは、
「希望を描かないという反抗」をしたのです。

これに対し、ロッキーはひたすらに「希望」を描きます。
ニヒリズム(冷笑主義)に陥った人々が、
鼻で笑うアメリカンドリームを、
真正面から、臆面もなく描ききったのがロッキーです。
30年越しにロッキーを観て私は新たにふたつのことを発見しました。

ひとつめは、ロッキーはアポロに負けているということ。
「エイジョリアァァァアアァーン!!」のラストシーンで、
ロッキーは試合に負けています。
多くの人が事実誤認しているポイントですが、
最後の最後にロッキーはアポロに「判定負け」しています。
もうひとつは、この映画の主人公は2人いて、
ひとりがロッキー、もうひとりがエイドリアンだということです。

エイドリアンは30歳を過ぎても彼氏が一度もいたことがなく、
人と目を合せないためにメガネをかけていて、
他人とほとんど会話をすることができず動物しか友達がいません。
彼女は人間と絆を作れないのでペットショップでアルバイトをしており、
今で言うならオタクの非モテ引きこもり女性です。
兄に「お前は社会の負け犬だ」と言われても言い返す言葉もない。
完全に「非・リア充」です。

ロッキーは別の意味で負け組です。
彼はろくに定職につかずボクシングを続けていますが、
練習不足と不摂生で20代はほとんど棒に振ってしまい、
ヤクザの下請けで暴力をちらつかせて借金を取り立てる仕事をしている、
言ってみれば「ごろつき」であり、エイドリアンとは別の意味の、
「非・リア充」です。

この映画の軸は、実はアポロとの試合ではありません。

ロッキーがエイドリアンに「惚れる」ことが、
この映画のいちばんの軸です。
30代の「非・リア充男性」が、
30代の「非・リア充女性」に恋をする、
というのがロッキーの一番のポイントです。

ロッキーは、
「世界チャンピオンに殴られても最後までマットに沈まなかった」
ことによって、
一方、エイドリアンは、
「人生ではじめて男性に心を開いて恋をする」
ことによって、
二人の「精神的には未成年の30歳」が、
「大人としてのイニシエーション」を済ませ、
「成人し大人になる」という映画なのです。
物語の話法のなかでこういうのを、
「ビルドゥングス・ロマン」といいます。

こういった「ビルドゥングス・ロマン」を、
真正面から語ったことにより、
当時のアメリカのポップカルチャーの中で、
大麻を吸い絶望という夢を見、大人になることを拒んでいた、
若者達の「横っ面を叩いた」のが「ロッキー」なのです。

ロッキーは現代思想史的に意義深い映画です。
生卵をビールジョッキで飲み干すだけの映画ではないのです笑。
熱くなって長々と書きましたが、
「月間陣内アカデミー賞」は、
文句なしに「ロッキー」ですね。



▼主演(助演)男優賞
シルベスター・スタローン(ロッキー)

コメント:
スタローンは演技が下手なことで有名ですが(笑)、
この映画のスタローンは鬼気迫るものがあります。
なぜならこれも町山智浩さんが語っていますが、
ロッキー・バルボアはスタローン自身だからです。
スタローン本人もフィラデルフィアに住んでいたことがあります。
彼は若い舞台作家として夢を抱きながら、
30本以上の作品をいろんなプロダクションに持っていきますが、
誰にも相手にされず、俳優としても芽が出ず、
鬱屈した人生を送っていました。
その鬱屈に対するカタルシスを、
自分を重ね、テーマをボクシングにスライドして、
物語の構文そのままに対象を代入することで描いた、
「自画像」がロッキーです。
こういう「作り手の体重が乗っかった」映画というのは、
やはり胸に迫るものがあります。



▼主演(助演)女優賞
該当なし



▼その他部門賞「英語がセクシー賞」
ケヴィン・コスナー(ボディガード)

コメント:
ケヴィン・コスナーの英語が昔から好きです。
大学生の頃、私は自分の英語のヒヤリングを鍛えるために、
「JFK」というケヴィン・コスナー主演の映画を、
英語字幕にして繰り返し繰り返し聞いていました。
一時期は自分の話す英語が「彼に寄せた」みたいになるぐらい、
耳にこびりついて離れない特徴的な話し方をします。
鼻にかかったセクシーな彼の英語は、
私の「ツボ」です。
(174文字)




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陣内が先週観た映画 2017年7月 『聲の形』他8本

2018.01.25 Thursday

+++vol.024 2017年8月1日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年7月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●トランスフォーマー

鑑賞した日:2017年7月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マイケル・ベイ
主演:シャイア・ラブーフ他
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/aNSepAj

▼140文字ブリーフィング:

「トランスフォーマー」は、
私が小学生のときに流行ったので懐かしいです。
これの「ファミコンソフト」は理不尽に難しいことで有名です。
今考えますと、「トランスフォーマー」とか、
「たけしの挑戦状」とか、「バンゲリグ・ベイ」といった、
「無理ゲー」ともいえる超難度のファミコンソフトによって、
私たちの世代は「人生の不条理」だとか、
人生には乗り越えられない壁というのがあるのだ、
という思想を学んだように思うのです笑。

、、、話しがそれました。
その懐かしいトランスフォーマーを、
ハリウッドが味付けしたらこうなりました、というのがこの映画。
「ハリウッド」というのは調味料で言ったら「カレー味」なので、
素材が何であろうが、同じような映画になります。
冴えない主人公の覚醒と金髪美女、
冗長なカーチェイスと過剰な火薬、
これみよがしの3D演出と、ムダに落とされる大量の命の「軽さ」、、、
「既視感の塊」です。
たぶんハリウッドの手にかかれば、
たとえば「パーマン」ですらカレー味になるでしょう。
冴えない主人公の覚醒、金髪美女、
カーチェイスと過剰な火薬とこれみよがしの3D演出、、、
ムダに落とされる大量の命の「軽さ」、、、
そういう「パーマン」。

、、、うん、興味ないです。
(475文字)

▼参考画像:ファミコン「トランスフォーマー」画像
https://goo.gl/RhZ4CE



●茄子 アンダルシアの夏

鑑賞した日:2017年7月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:早坂希太郎
主演:大泉洋(ぺぺ)他
公開年・国:2003年(日本)
リンク: http://amzn.asia/7M7pgEK

▼140文字ブリーフィング:

約30分(ぐらい)の短編アニメ映画です。
Amazonプライム会員にならなかったら、
死ぬまで見ることはなかったと断言できます笑。
長野への出張の帰りに、長時間のバス移動で見ました。
(先ほどのトランスフォーマーも同じバスで見ました)
監督はジブリの「もののけ姫」を作画監督した人で、
宮崎駿の右腕とも言われた人だそう。
人物造形は、なんか浦沢直樹っぽいと感じました。
「これといった起伏がある話し」でもないのですが、
スペインの自転車レースの面白みに引き込まれました。
意外な良作でした。
(225文字)



●祈りのちから

鑑賞した日:2017年7月10日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタルして鑑賞

監督:アレックス・ケンドリック
主演:アレックス・ケンドリック、プリシラ・シャイラー他
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/1aqslL4

▼140文字ブリーフィング:

これは「クリスチャンの、クリスチャンによる、
クリスチャンのための映画」といいますか、
アメリカ南部のファンダメンタルな信仰を持つ教会が作った、
外部から見たら「プロパガンダ映画」です。
家庭内の問題が「祈り」によって解決されるというストーリー。
べつにディスっているわけでも、嫌いなわけでもないです。
こういう純粋な信仰は本当に尊いと思う。
同じチームが作成した、
「ファイアー・ストーム」そして、
「カレイジャス」という映画があり、
私はそちらも見ていますが、そちらの2本の方が良かったかな。
純粋な信仰に加えて、「ファイアー、、、」のほうは、
妻への誠実な愛、という美徳を、
「カレイジャス」のほうは、
「既婚者の男はただの男ではなく家庭の祭司なのだ」
というたいせつなことを思い出させてくれるからです。
(338文字)

▼参考リンク:「ファイアーストーム」
http://amzn.asia/7qilmui

▼参考リンク:「カレイジャス」
http://amzn.asia/gioxR85



●スワロウテイル

鑑賞した日: 2017年7月7日
鑑賞した方法: TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督: 岩井俊二
主演: Chara、三上博史他
公開年・国: 1996年(日本)
リンク: http://amzn.asia/5G8Thut

▼140文字ブリーフィング:

20年前の映画です。
私が大学生のとき、同級生がやたらこの映画を観ていて、
「スワロウテイルを見るってオシャレ」みたいな空気がありました。
私は周囲が見ると見たくなくなるという屈折した性格なので、
そのときは見てませんでしたが、
Charaの歌う「あいのうた」は、良い歌だなぁ、と思ってました。
それから20年ごしに、「やっと、ついに観た」という感じです。
岩井俊二はそもそも大好きで、
「リリィ・シュシュのすべて」も、
「ラブレター」も、
「花とアリス」も観ていたのですが、
出世作のこれはスキップしていた。
20年前の映画ですがまったく古くない。
北斗の拳や「AKIRA」の世界観にも似た、
「なつかしい未来」がそこにはあり、
岩井俊二的な切なさもちゃんとある。
エンドロールで「あいのうた」が流れたたら、
どんな駄作でも「良い映画だったかもしれない」と思わせる、
説得力があります。小林武史、すごいぞ。
(325文字)

▼参考道が:「あいのうた」YEN TOWN BAND
https://www.youtube.com/watch?v=Vz32Lrz8G7M



●マイ・ブルーベリー・ナイツ

鑑賞した日:2017年7月11日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:ウォン・カーウァイ
主演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ他
公開年・国:2007年(香港、フランス、中国)
リンク:http://amzn.asia/76f4Plv

▼140文字ブリーフィング:

「あの」ノラ・ジョーンズが主演しています。
「恋する惑星」のウォン・カーウァイが監督です。
ノラ・ジョーンズはインド系が入っているので、
ウォン・カーウァイ監督の「どこか無国籍な感じ」と、
彼女のエスニックな雰囲気が絶妙にマッチしていました。
アメリカ大陸を横断するロードムービー感も好きでした。
あと、食べるシーンの使い方の巧さ。印象的な色彩の使い方。
今年観たウォン・カーウァイ監督作品「ブエノスアイレス」は、
ゲイカップルという要素に最後までついて行けなかったけれど、
この作品はウォン・カーウァイの良さが全部出た良作だと思います。
作中に出てくるブルーベリーパイがとにかく美味そうです。
(287文字)



●シン・ゴジラ

鑑賞した日:2017年7月12日(二回目)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:庵野秀明
主演:長谷川博己、石原さとみ他
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/6WywEWi

▼140文字ブリーフィング:

この映画を観るのは3度目です。
去年、2度、映画館で観ました。
にもかかわらず、DVDを借りてまた観るという。
3度目に観ても新しい発見があります。
この映画、庵野監督が最初に編集したとき、
4時間近くあったというのを聞いたことがあります。
それを「削って削って」2時間にした。
私はモノを書いたり講演したりする経験があるのでわかりますが、
「最初4時間あったものを2時間にした」場合、
情報の密度が高くなるだけで情報の総量はあまり変わりません。
「削った部分」というのは文章でも講演でも、
「おりたたまれてそこにある」のです。
シンゴジラも同じで、情報密度が高いため、
複数の解釈が可能ですし、
複数回観ても新しい情報を発見出来るほど、
「密度が高い」です。
ファンのあいだで「内閣総辞職ビーム」と呼ばれている、
米国の地中弾道ミサイルを食らったゴジラの背中から出るビームが、
東京の街を火の海にするシーンがあるのですが、
そこは何回観てもなぜか「泣きそう」になります。
「戦後70年の哀しみ」であり、
「東日本大震災の哀しみ」であり、
現代日本社会のかかえる行き場のない矛盾が、
そのゴジラの「切ない怒り」に凝縮されているからでしょう。
(497文字)

▼参考記事:映画評「シン・ゴジラ」(陣内俊Prayer Letter ONLINE)
http://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12190058628.html



●聲(こえ)の形

鑑賞した日:2017年7月22日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:山田尚子
主演:入野自由、早見沙織ほか
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/hKJU34j

▼140文字ブリーフィング:

聴覚障害者を軸にした青春映画です。
前半のいじめのシーンがめちゃくちゃリアルでした。
たぶんあまりどこでも語られていないと思うのですが、
この映画(原作漫画も?)の隠れたテーマは、
「父の不在」なのではないかと私は思いました。
この作品にはいちども「父」が登場しません。
ポストモダンの時代にアトム化した個人が動揺する、
という意味では、「桐島、部活やめるってよ」と通じます。
父の不在にの世界に、救済を与えるのが、
永束くんというトリックスターとしての、
「空気を読まないグイグイ系の親友」だったのは、
何か象徴的なことのような気がしています。
(262文字)



●ゼロ・ダーク・サーテイ

鑑賞した日:2017年7月26日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:キャスリン・ビグロー
主演:ジェシカ・チャスティン
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/dsvdNy8

▼140文字ブリーフィング:

ウサマ・ビンラディン殺害作戦に携わった、
実在のCIA捜査官をモデルとした「事実をもとにした」映画です。
拷問のことなどにも踏み込んでいて、CIAから批判もされたそうです。
じっさい最後は「終わりのない復讐劇に救いはない」という、
政府批判じみたメッセージもあるのですが、
大筋としては「アメリカプロパガンダ映画」になっている。
見ていて、どこか言い様のない虚しさを感じました。
その虚しさというのは「もやもや感」が二重だからだ、
と後で気付きました。
二重のもやもや感というのがあるのは、
この映画が構造的にプロパガンダ映画でありながら、
復讐の虚しさという薄っぺらな誠実さで糊塗しているからです。
この作戦の巻き添えに死んだ沢山のアラブ人の家族が、
この映画を見たらどのような気持ちになるのでしょう。
おそらく彼らは「セカンドレイプ」のような形で、
二重に屈辱を受けた形になります。
そのようなところには決して想像力が回らないのが、
「強者の論理」で突き進む米国の傲慢であり、
それが米国の求心力減退の正体なのだ、とは、
きっと彼らは夢にも思っていないのでしょう。
(465文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「シン・ゴジラ」

コメント:
やはり「シン・ゴジラ」ですね。
伝統あるゴジラの新作を、庵野秀明に任せた時点で、
東宝の「勝ち」は決まっていた。
「何か分からないものが東京湾から唐突に現れる」
というプロットはエヴァンゲリオンとまったく同じですし、
要所要所の明朝体の「テロップ」は、
「フィクションの中のシリアスさ」を現す小道具になっている。
これもエヴァンゲリオンと同じ。
日本全体に「刷り込み」が効いているから、
みな「うっすらとした既視感」をもちながら、
しかし、やはりまったく新しい作品を観ている。
良く出来た映画です。



▼主演(助演)男優賞
長谷川博己(シン・ゴジラ)

コメント:

映画館で二度観たときは、
シン・ゴジラに出演する、
まさに「オール・ジャパンの俳優陣」のなかで、
主演の彼に、ほとんど目が行きませんでしたが、
あのポジションを演じられる俳優は多くはない、
と後で思い至りました。
「あの位置」は確かに難しい。
織田裕二だと「踊る大捜査線」になっちゃうし、
佐々木蔵之介も違う。香川照之も違うし、
堺雅人も違う。「官僚感」がちゃんと出て、
無味無臭というか、物語を邪魔しない俳優として、
長谷川博己は最適解だったと思います。



▼主演(助演)女優賞
ノラ・ジョーンズ(マイ・ブルーベリー・ナイツ)

コメント:
ノラ・ジョーンズの演技、ことのほか良かったです。
プロの俳優ではないので、ものすごい迫真の演技、
みたいなのを最初から期待はしていないのですが、
やはりミュージシャンには「まとっている空気」がある。
だから映画に起用するとけっこう「成立」することが多いです。
日本だとRADWIMPSの野田洋二郎は「トイレのピエタ」に、
Charaは「スワロウテイル」に、
山崎まさよしは「月とキャベツ」に出演していますが、
全部それぞれに、「まとっている空気」で、
ちゃんと映画が成り立っている。



▼その他部門賞「映画音楽賞」
「スワロウテイル」(小林武史)

コメント:
岩井俊二映画の音楽を小林武史が担当する、
というのはスワロウテイル以降、何度か繰り返されますが、
この二人はやはり相性が良いと確認しました。
YEN TOWN BANDの「あいのうた」はもう、最強ですね。
エンドロールとともに、Charaの声で、
「止まった手のひら 震えてるの躊躇して♪」
と流れたら、どんなクソ映画でも感動したことにしてしまいそうな、
圧倒的な力を感じます。





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陣内が先月観た映画 2017年6月 フライト 他14本

2017.12.28 Thursday

+++vol.020 2017年7月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年6月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●フライト

鑑賞した日:2017年6月1日(木)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ロバート・ゼメキス
主演:デンゼル・ワシントン
公開年・国:2012年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/4yT4WFM

▼140文字ブリーフィング:

飛行機事故が見かけ上の主題ですがこの映画、
本当の主題は「アルコール依存症」です。
けっこう面白かったです。
途中で何度も「見るのをやめよう」と思いましたが、
最後まで見て良かった。
ラスト5分間のカタルシスがすごいです。
それまでの1時間50分の「イライラ」がすべて回収されます。
メルマガを書きながら初めて気付いたのですが、
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ」の、
ロバート・ゼメキスです。(202文字)



●ノルウェイの森

鑑賞した日:2017年6月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:トラン・アン・ユン
主演:松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子
公開年・国:2010年(日本)
リンク: http://amzn.asia/9egPH3w

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹原作作品の「初の映画化」として話題になった作品です。
小説内のセリフやひとり語りがそのままけっこう使われていて、
それが「ハルキ感」を出してるかというと、そうでもない。
言葉の上ではなく、もっと雰囲気で「ハルキ感」を出して欲しかった。
岩井俊二とかが監督した方が、
もっと原作の物憂い雰囲気が出せたと思います。
これは映画化として成功とは言いがたいかな。(175文字)



●あの頃ペニーレインと

鑑賞した日:2017年6月6日(火)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:キャメロン・クロウ
主演:パトリック・フュジット、ケイト・ハドソン
公開年・国:2000年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/7BA85Ek

▼140文字ブリーフィング:

とても不思議なのですが、「ノルウェイの森」よりも、
そのあとに見たこちらのほうが「ハルキ感」があった。
青春の甘酸っぱさ、ロードムービー感、アメリカの美しい風景、
そして、ロック音楽。隠れた名作です。(97文字)



●再会の街で

鑑賞した日:2017年6月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:マイク・バインダー
主演:ドン・チードル、アダム・サンドラー
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/g8Uwefk

▼140文字ブリーフィング:

歯科医の主人公アラン(ドン・チードル)が、
街で偶然大学時代のルームメイトのチャーリー(アダム・サンドラー)に、
再会するところから物語は始まります。
アランは驚きます。
チャーリーはかつてのチャーリーではなく、
「チャーリーの抜け殻」になってしまっていたからです。
実はこの映画の秘密は「9.11のトラウマ」にあります。
同時多発テロは、アメリカ国民に多大な
「国家的なトラウマ」をもたらしました。
この作品はそのような「トラウマを癒す」ための映画の一つです。
ちょうど昨年大ヒットした邦画「シン・ゴジラ」や、
「君の名は」が、東日本大震災の記憶を、
「昇華させる試み」だったのと同じように。
アランはチャーリーの抜け殻と付き合う中で知ります。
チャーリーは「あの日」、
妻と、娘達と、愛犬を家から送り出し、
「あの飛行機」に載った愛する家族は帰らぬ人となった。
チャーリーはそれ以来、「心が壊れてしまった。」
チャーリーが「ワンダと巨像」という、
プレイステーション2のゲームを黙々とするシーンが、
重要なシーンとして繰り返されます。
現実の世界の不条理に打ち砕かれた人が、
「統合された別の世界」である「ゲームという避難所」に、
逃げ込むという心理描写は非常にリアルだと思いました。
私も病気療養中、「自己破壊思考」を止める装置として、
ゲームを利用しましたから。
しかも「ワンダと巨像」は、
最も面白く印象的だったゲームのひとつです。(594文字)

▼参考リンク:ブログ映画評「シン・ゴジラ」
http://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12190058628.html

▼参考リンク:ブログ映画評「君の名は」
http://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12209408760.html

▼参考リンク:「ワンダと巨像」
http://amzn.asia/epJgl8N



●シング・ストリート

鑑賞した日:2017年6月9日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ジョン・カーニー
主演:フェルディア・ウォルシュ・ピーロー、ルーシー・ボイントン他
公開年・国:2016年(アイルランド、アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/f0lZGRu

▼140文字ブリーフィング:

家庭内の問題を抱えている中学生の主人公が、
バンドを組むことによって才能を開花させ、
大人になっていく、という青春ドラマです。
ハロルド作石の漫画「BECK」と筋立ては良く似ています。
しかし、レビューなどであまり誰も指摘していませんが、
この映画の最も大切なテーマは、「兄と弟の物語」です。
大学生の年齢になる主人公の兄は、
家庭内の挫折をその身に引き受ける形で「引きこもり」になっている。
弟は音楽の趣味、ファッション、ミュージックビデオのテイスト、
すべてを兄から学んでいきます。
引きこもりの兄はポップカルチャーに精通しているのです。
兄の助言に従った弟は学校で「ブレイク」し、可愛い彼女を作り、
最後はしけた港町を離れロンドンに旅立ちますが、
それは兄が「陰の部分」を一手に引き受けた結果、
自分が「陽の部分」を体現した結果なのです。
兄も弟もそれを理解している。
兄は弟に、「おまえ調子に乗るなよ!」と当たったりもしますが、
最後の最後で兄がとった行動が「泣け」ます。
私の弟は学校時代から、スポーツも勉強も友人の多さも、
すべてにおいて私よりまさっていましたから、
この映画はオーバーラップしました。
映画の最後に「すべての兄弟に捧ぐ」というテロップが出たとき
「やはりな」と思いました。
この映画はただの青春音楽映画ではなく、
兄弟の「ネガとポジ」の物語です。
ペコとスマイルは兄弟ではありませんが、
松本大洋の「ピンポン」とか、「鉄コン筋クリート」に、
近い物語構造を持っています。(623文字)



●スペースカウボーイ

鑑賞した日:2017年6月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ
公開年・国:2000年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/2pvJDye

▼140文字ブリーフィング:

元空軍パイロットのおじいちゃん4人組が、
旧ソ連の衛星を修理するというNASAの特殊任務のために、
宇宙におもむく、という話しです。
筋書きとしては「アルマゲドン」にかなり似ています。
クリント・イーストウッドがこんな作品を撮るとは、、、
という意外性に惹かれて見ましたが、
やはりイーストウッドにはあまり似合わないな、
というのが正直なところ。
日本人でいえば北野武が宇宙飛行士役をする映画に、
どうしてもリアリティがなくなるようなものです。(213文字)



●ナッシュビル

鑑賞した日:2017年6月13日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ロバート・アルトマン
主演:リリー・トムリン他
公開年・国:1975年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/ck7E40N

▼140文字ブリーフィング:

映画評論家の町山智浩氏がラジオで、
「桐島、部活やめるってよ」と同じ構造の映画、
と紹介していて興味を持ちました。
全編を通して、「ウォーカー」という次期大統領候補の、
選挙カーがナッシュビルの街のいたるところに現れるのですが、
「ウォーカー本人」は一度も出てこない。
これが「桐島、部活やめるってよ」に一度も出てこない、
「桐島」に似ていると町山さんは分析していました。
見てみた私の感想は、「ウォーカー候補」と、
「桐島」は似て非なるものだいうことです。
桐島は「空虚なる中心」としての、「天皇」の象徴だ、
というのが私の分析ですが、
「ウォーカー候補」は、不穏で不気味なる、
真っ黒な雨雲のようにそこに存在しますが、
それは「桐島のような空虚な中心」の表象ではない。
むしろウォーカー候補は、「アメリカの保守層の空虚さ」を、
象徴しているのだと思います。
(365文字)

▼参考リンク:「桐島、部活やめるってよ」
http://amzn.asia/ePn40LP



●フレフレ少女

鑑賞した日:2017年6月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:渡辺健作
主演:新垣結衣
公開年・国:2008年(日本)
リンク: http://amzn.asia/7dskZmN

▼140文字ブリーフィング:

これほど見所のない映画、というのも珍しい。
驚くほどつまらない映画でした笑。
ほとんど早送りしました。
なぜ「これを撮ろう」と思ったのかが、
最大の謎です。(74文字)



●華氏451

鑑賞した日:2017年6月20日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:フランソワ・トリュフォー
主演:オスカー・ウェルナー
公開年・国:1966年(英国)
リンク: http://amzn.asia/g22kjYW

▼140文字ブリーフィング:

サイエンス・フィクションの古典的名作です。
ジョージ・オーウェルの「1984年」と、テーマはまったく同じです。
近未来における官僚統治国家に暮す人々は豊かですが、
そこでは「本を読むこと」は犯罪とされています。
消防員(Fireman)は、火を消す人ではなく、書籍を摘発して、
それを燃やす人のことを指します。
消防員の肩章には「451」と刻印されていますが、
この数字の意味は、本が発火する温度(華氏451度)のことです。
こういうジャンルを「ディストピア(ユートピアの反対)」というのですが、
同じディストピア作品でもオーウェルの「1984年」とは違い、
最後の最後に希望をのこしてこの映画は終わります。
文字の禁止された世界で、人々は「脳内に本を記憶」し、
「本の人」になることで文学を人類に遺そうとします。
「管理社会」は本能的に知性を嫌悪しますが、
この映画は「それでも、人間の知性は腐らない」という、
力強い宣言と解釈できます。(405文字)



●ボブ・マーリー ルーツ・オブ・レジェンド

鑑賞した日:2017年6月21日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:ケヴィン・マクドナルド
主演:ボブ・マーリー他
公開年・国:2012年(英国)
リンク: http://amzn.asia/eBfAS9C

▼140文字ブリーフィング:

ボブ・マーリーの生涯を描くドキュメンタリー映画です。
彼が36歳でメラノーマで死んだ、というのはまったく知りませんでした。
また、ジャマイカの二大政党(PNPとJLP)の苛烈な政争が、
民衆の殺し合いにまで発展している最中、
コンサートで両党の代表がボブ・マーリーの導きで、
握手をするシーン(実際の映像)は鳥肌が立ちました。
音楽が政治を超えた瞬間。まさに伝説です。
(178文字)



●ライアー・ゲーム 再生

鑑賞した日:2017年6月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:松山博昭
主演:松田翔太、多部未華子他
公開年・国:2012年(日本)
リンク: http://amzn.asia/gAMm1oD

▼140文字ブリーフィング:

ライアー・ゲームのドラマは見てないですが、
劇場版第一作は昔、映画館で見ました。
個人的に多部未華子が戸田恵梨香よりも良かったと思うので、
本作は案外楽しめました。
しかし、ライアーゲームは、「ゲームの緻密さ」にこだわるわりに、
最初の最初、入りのところが「雑」です。
参加者たちは謎の主催者から一億円と手紙を送りつけられ、
手紙にはこう書かれています。
「1億円を差し上げます。
しかしそれを持って指定の場所に来てゲームに参加してください。
それを拒んだ場合2億円を請求します。
この手紙を開いた時点で後戻りできません。」
まったく意味の分からない要求につまづいてしまいます。
普通の人ならそこで警察に行きますので(笑)。
参加者が、「参加するインセンティブ」を持つ、
という説得力がないから、
その先のすべてが台無しになっている感じがします。
参加者のすべてが巨額の借金を抱えたクズ人間という、
「カイジ」の説得力を見倣って欲しいと思います。
そこんとこが「ザワザワ」しました笑。
(423文字)



●ドラえもん 新・のび太の日本誕生

鑑賞した日:2017年6月25日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:八鍬新之介(原作:藤子・F・不二雄)
主演:水田わさび(ドラえもん)他
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/3xgFtDz

▼140文字ブリーフィング:

ドラえもんの映画を観たのは、いつ以来か。
20年ぶりとかかもしれません。
3Dの「スタンド・バイ・ミードラえもん」は見ましたが。
本作はなかなか面白かったです。
声優が総替えされているのに、
いまだに対応できていません。
ドラえもんは早口になったし、
しずかちゃんは性格がキツくなった気がします。
(141文字)



●ミュンヘン

鑑賞した日:2017年6月26日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ
公開年・国:2005年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/bhkHsl2

▼140文字ブリーフィング:

この映画は、1972年に起きた、
ミュンヘンオリンピック事件をモチーフに、
スピルバーグ監督が撮った作品です。
「ミュンヘンオリンピック事件」については恥ずかしながら、
この映画で初めて知りました。

wikipediaによると、「ミュンヘンオリンピック事件」とは、
以下のような事件です。
〈1972年9月5日、ミュンヘンオリンピックの開催中、
パレスチナの過激派組織「黒い九月」のメンバー8名が、
オリンピック村のイスラエル選手団宿舎に侵入、
抵抗した選手ら2人を殺害し、残る9人を人質に取る。
彼らはイスラエルに収監されているパレスチナ人の解放を要求。
解決は西ドイツ警察に任されることになったが、
テロリストとの銃撃戦の結果、イスラエル選手団9名が殺害され、
人質11人全員死亡という悲劇的な結果に終ってしまう。〉

この事件を受け、イスラエルの諜報機関「モサド」は、
テロ首謀者の「黒い九月」のメンバーを、次々に暗殺していきます。
この映画は秘密裏に組織された暗殺チームのメンバーが主人公です。

最後のシーンでイスラエル人の主人公はニューヨークに身を避け、
そこで「モサド」の高官と対峙するのですが、
その背景には世界貿易センタービルのツインタワーが映っている。

これは明らかに「意図的な」カットです。

この映画の公開は2005年ですが、
先ほどの「再会の街で」と同じく、
明らかに「9.11同時多発テロ」とそれに続く、
ブッシュ大統領による報復戦争を意識しています。

ご存じのように(?)スピルバーグはユダヤ人ですから、
彼はユダヤ人の側から30年前の事件を持ち出して、
パレスチナのテロへの自国イスラエルの報復を描き、
それをアルカイダと米国のメタファーとして描いた。
しかも、徹底して「批判的」に。

主人公はターゲットを次々に殺害していきますが、
そこにあるのは言い様もない「虚しさ」であり、
「こんなことをしても憎しみが増幅するだけで、
 何も生まれないのに、、、」という矛盾に苦しみます。

最後のシーンでモサドの高官に主人公は、
その思いをぶつけるわけです。
二人の後ろには30年前のツインタワーが映っていますから、
これはスピルバーグ自身の、ブッシュ大統領への抗議だったわけです。

映画の公開後、スピルバーグは米国の右派からも、
「ミュンヘン事件へのあの報復行為は当然だ」と考える、
同胞のイスラエル国民からも批判され攻撃されたそうです。
彼は「塀の上」を歩いているので、
塀の左右にいる党派的な人からは理解されないのだと思いますが、
私は彼のスタンスが非常に好きですし、
その勇気に敬意を抱きました。
(1,064文字)



●愛を積む人

鑑賞した日:2017年6月27日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:朝原雄三
主演:佐藤浩市、樋口可南子、北川景子他
公開年・国:2015年(日本)
リンク: http://amzn.asia/1KzTsLv

▼140文字ブリーフィング:

夏休み中に、長野で妻と二人でタブレットで見ました。
富良野が舞台、石の塀を積む、妻を亡くした男、
不倫した娘を赦す、、、
あらゆるプロットが「北の国から」へのオマージュにしか見えない、
そんな作品でした。時々差し挟まれる美瑛の丘陵のカットが美しく、
それが映画に良いリズムをもたらしていました。
夫婦で観るといろいろ考えさせられる映画です。
(164文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「フライト」

コメント:
本当の強さとは、自分の弱さを認められることだ、
ということを教えてくれる作品です。
勇者とは弱さがない人ではなく、
弱さを開示できる勇気を持つ人のことです。


▼主演(助演)男優賞
デンゼル・ワシントン(フライト)

コメント:
95%の時間、「こいつはゴミだな」と思いながら見るのですが、
最後の5分の逆転がスゴイ。
迫真の演技とはあのことです。
「フライト」、2部門の受賞、おめでとうございます。
どんな立場から言ってるのか分かりませんが笑。


▼主演(助演)女優賞
該当なし


▼その他部門賞「監督賞」
スティーブン・スピルバーグ(ミュンヘン)

コメント:
先述したように、2001年のテロ以降、米国中が冷静さを失い、
「悪の枢軸国と戦う」というブッシュの聖戦論を支持していた、
あのタイミングでこういう映画を作るというのは、
相当に勇気が必要だったことでしょう。
しかも祖国イスラエルへの批判にもなっている。
全方位に敵を作ったとしても「暴力の無意味さ」という、
正論を語った勇気を讃えたいと思います。
「このテーマ」は10年後の今もまったく古くなっておらず、
むしろ今はより切実さを増していると言えます。
見返す価値のある映画です。





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陣内が先月観た映画 2017年5月 「夢」(黒澤明監督)他

2017.11.30 Thursday

+++vol.016 2017年6月6日配信号+++


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年5月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●サイコ

鑑賞した日:2017年5月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:アルフレッド・ヒッチコック
主演:アンソニー・パーキンス
公開年・国:1960年(米国)
リンク: http://amzn.asia/2xCJeId

▼140文字ブリーフィング:

この映画は非常に有名です。
「羊たちの沈黙」などに代表される、
「サイコパスもの」と言われる、いわゆる、
「心理的異常者を軸に撮る映画」というのは、
今では一般的で、ひとつのジャンルを形成していますが、
すべてはこのヒッチコックの「サイコ」から始まった、
と言われています。

私はヒッチコックの映画ではこれまで、
この映画と「バーズ(鳥)」を見ていますが、
カット割りだとか「見せ方」がやはりスゴイと思う。
「何か不気味なことが起こりそうな雰囲気」だとか、
「追い詰められハラハラする感覚」というのが特にスゴイ。
スピルバーグは学生時代、
ヒッチコックをめちゃくちゃ研究したそうですが、
「ジョーズ」や「ジュラシックパーク」の追い詰められ感は、
ヒッチコック由来です。

本に古典があるように、映画にも古典があります。
ヒッチコックの「サイコ」は間違いなく映画の古典のひとつです。
(371文字)



●アバウトタイム

鑑賞した日:2017年5月7日(日)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタル

監督:リチャード・カーティス
主演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス
公開年・国:2013年(イギリス)
リンク: http://amzn.asia/cmy4Xd9

▼140文字ブリーフィング:

友人に勧められて観ました。
昨年大流行した「君の名は」はジャンルで言うと、
「タイムループもの」と呼ばれます。
「時空を超えてしまう物語」ですね。
去年の秋に友人と映画談義をしていて、
「タイムループもの」の話しになったとき、
「アバウトタイム」がいいよ、と教えてもらいました。
ネタバレしたくないので筋書きは端折りますが、
終盤に登場するセリフに、
「My extra ordinal ordinal life.」
というのがあり、これが名言です。
意訳すると、
「美しく愛おしい、
 非凡なる、ぼくの平凡な日常」
みたいなことになるでしょうか。
この映画ととても似たプロットの映画に、
「バタフライエフェクト」というのがありますが、
あちらも名作です。
邦画だと細田守のアニメ映画「時をかける少女」も名作ですね。
タイムループものっていうのは、
架空の設定を借りて、人間が生きるというのは、
「絶え間ない選択」なのだという命題を突きつける、
優れた舞台装置です。
(401文字)



●太陽の帝国

鑑賞した日:2017年5月8日(月)
鑑賞した方法: Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:クリスチャン・ベール、ジョン・マルコビッチ
公開年・国: 1988年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/dc1QdDn

▼140文字ブリーフィング:

巨匠、スティーブン・スピルバーグの作品です。
日本の戦闘機、ゼロ戦にあこがれる英国人の少年が主人公です。
彼はお父さんが英国政府のエライ人で、中国に駐在していました。
それが日本軍の進軍によって一変し、
彼は捕虜になってしまう。
捕虜収容所で少年は、「金持ちのボンボン」から、
「男」へと成長していく、という物語です。
余談ですがこの映画は、私が小学生のころ、
今は亡き私の父が居間でビデオで見ていました。
少年が食べるものがなく、もぬけの殻になり、
日本軍に接収された自宅にもどって、
そこで「ウィスキーボンボン」をむさぼり食べるシーンがあるのですが、
そこを見ていて「ん?」と思った。
明らかに既視感がある。
「そうだ、あのとき岡山で、
 お父さんが見ているのを横から見ていた」
という記憶がスパークしました。
、、、こういうことって、時々ありますよね。
(362文字)



●ドラゴンタトゥーの女

鑑賞した日:2017年5月14日(日)
鑑賞した方法: Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督: デヴィッド・フィンチャー
主演: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ
公開年・国: 2012年(アメリカ、スウェーデン合作)
リンク: http://amzn.asia/aF7Vehi

▼140文字ブリーフィング:

スウェーデンを舞台とする、
「サイバーパンクスリラー」みたいな映画で、
それなりにハラハラします。
筋書きはそこまでたいしたことないのですが、
主演のダニエル・クレイグとルーニー・マーラの俳優力が凄いため、
それだけで「見れちゃう」感じです。
演技が良いので見ていられる。
監督は「セブン」「ファイトクラブ」などで知られる、
デヴィッド・フィンチャーです。
彼は「めちゃくちゃ撮り直しをさせる監督」で有名だと、
映画評論家の町山智浩氏がラジオで言っていました。
その対極が北野武で、彼は殆ど一発オッケーだそうです。
私が「アメリカの北野武」と思っている、
クリント・イーストウッドも「撮り直しをしない監督」として有名です。
(298文字)



●ブエノスアイレス

鑑賞した日:2017年5月16日(火)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ウォン・カーウァイ
主演:レスリー・チャン、トニー・レオン
公開年・国:1997年(香港)
リンク: http://amzn.asia/ib8jycr

▼140文字ブリーフィング:

ウォン・カーウァイ監督の、「恋する惑星」を、
私は10年ぐらい前に職場の同僚に教えてもらって見ました。
内容はまったく覚えていないのですが、
この映画の雰囲気と、フェイ・ウォンが歌うテーマソングが凄く好きで、
そのあとフェイ・ウォンの歌をiTunesで購入した記憶があります。
「内容はまったく思い出せないが、
その映画に流れる空気感だけは妙に覚えている」
という映画が時々ありますが、
きっとこの監督はそういうのが上手なのです。
「ブエノスアイレス」もまた映像美は素晴らしいのですが、
ストーリーがゲイの恋愛を主軸にしているため、
最後まで感情移入が難しかったです。
「ゲイカップルの破局の切なさ」に、
どうやって共感しろというのでしょうか。
ゲイにする必然性はあったのだろうか?
普通にストレートのカップルじゃダメだったんだろうか?
、、と考えているうちに映画は終わりました笑。
「恋する惑星」のほうがお勧めかな。
(392文字)

▼参考動画:フェイ・ウォン「夢中人」
https://youtu.be/Dt7V3gswMSg



●夢

鑑賞した日:2017年5月16日(火)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:黒澤明
主演:寺尾聰、いかりや長介
公開年・国:1990年(日本、アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/1cQZoJ0

▼140文字ブリーフィング:

「世界のクロサワ」こと黒澤明監督が、
スティーブン・スピルバーグの助力によって撮ったという、
夢のコラボ作品です。
「こんな夢を見た」という文字の後に、
以下の8本の「監督が見た夢」を見せるという短編集です。
「日照り雨」 狐の嫁入り
「桃畑」 ひな祭りと切られた桃の木
「雪あらし」 雪女との出会い
「トンネル」 成仏できない日本兵たちとの邂逅
「鴉」 ゴッホの絵の中に入る。
「赤冨士」 原発の爆発。
「鬼哭」 突然変異で鬼になる。
「水車のある村」 理想郷

黒澤明を尊敬する海外の映画監督は多いですが、
最近「沈黙」を撮ったマーティン・スコセッシもその一人です。
なんと「鴉」でゴッホを演じているのは、
マーティン・スコセッシ監督本人です。
この映画はフィリピンから日本に戻る飛行機の機内で観ましたが、
夢なのか現実なのか分からない幻想的な本作は、
飛行機の中で見た夢なのではないか、
という曖昧な記憶として焼き付いています(笑)。
(391文字)



●6歳のボクが大人になるまで

鑑賞した日:2017年5月17日(水)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:リチャード・リンクレイター
主演:エラー・コルトレーン、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/bd74jrN

▼140文字ブリーフィング:

6歳の子どもが18歳で大学に入学するまでの、
12年間を描くドラマです。
この映画が「異例」なのは、
主人公をはじめ、主人公のきょうだい、母親など、
キャストが12年間同じだということです。
つまり本当に12年かけて撮っている。
日本では実は「北の国から」がもっとすごいことを、
してしまっているのですが、
この映画にしかない要素もあります。
「ひとりの少年が大人になるまで」を、
切り取ろうという意図で脚本が書かれているため、
「アメリカに生まれた少年が、
 大人になるまでに経験する原体験」を、
最大公約数的に詰め込んでいます。
そうすると、アメリカ人の平均的なというか、
典型的なライフサイクルというか、生活実感が分かる。
どこの国にも「その国に固有の問題」というのがありますが、
アメリカの場合それは「離婚と再婚」であるのが分かります。
ひとりの少年が大人になるまで、この映画の場合、
2人の母親と、3人の父親を持つわけです。
つまり「ステップファーザー、ステップマザー」というやつですね。
オリジナルな父親の再婚相手も「母のひとり」だったりしますから。
対義語は「バイオロジカルマザー/ファザー」です。
その5人が高校卒業パーティで一同に介したりする。
日本だと「特殊で複雑な家庭環境」ですが、
アメリカではこういうのはわりと普通です。
私のアメリカ人の知り合いという狭いサンプルではありますが、
たしかにそうなのです。
「5番目のお父さんとうまく行かないんだ」
と悩んでいる19歳の大学生に私は会ったことがあります。
この映画を日本に「移植」したらどうなるんだろう、
という興味を持ちました。
(670文字)



●ゴーストライター

鑑賞した日:2017年5月27日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング

監督:ロマン・ポランスキー
主演:ユアン・マクレガー
公開年・国:2010年(フランス・ドイツ・イギリス)
リンク: http://amzn.asia/dZiLeRr

▼140文字ブリーフィング:

イギリスの元首相の自伝の、
ゴーストライターをすることになった主人公が、
前任者の「事故死」の原因を探っている間に、
首相と首相夫人、そしてCIAとのつながりに気付いてしまい、
最後は殺される、という筋書きです。
脚本自体は淡々としており何の驚きもないですが、
そこに漂う物憂げな空気感は楽しめました。
(145文字)



●許されざる者

鑑賞した日: 2017年5月29日
鑑賞した方法: Amazonプライム特典で鑑賞

監督: クリント・イーストウッド
主演: クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン
公開年・国: 1992年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/2fIUw3K

▼140文字ブリーフィング:

「クリント・イーストウッド作品にハズレなし」
というのは私の映画論の大事な根幹であり、
これが裏切られたことはありません。
この映画は古い映画で、舞台は1900年代、
まだ自動車がなく、馬で移動するカウボーイが、
悪徳保安官と戦ったりする時代の話しです。
セリフは非常に少ないけれど、そこに重みがある感じは、
やっぱクリント・イーストウッドだなぁと思いました。
ならず者達に復讐する、
という筋書きもどこか「グラン・トリノ」に似ています。
イーストウッドの作品は「引き算」です。
彼は言葉を引き算していくのですが、
その分情報量は減るのではなく増えている。
言葉がないから「自然が語る」し、「表情が語る」し、
「銃が語る」し、「沈黙が語る」のです。
北野武の作品もそうです。
「あの夏いちばん静かな海」という初期の北野作品がありますが、
それは聾唖者同士の恋愛を描いた作品です。
北野武もイーストウッドも「言葉を信頼しない」
という点が共通しています。
きっと彼らは現代社会の「言葉の過剰」を憂いているのだと思います。
それを「良識」というのですが、
こういう世代がいなくなった世界が私は今から心配です。
(481文字)

▼参考リンク:あの夏、いちばん静かな海
http://amzn.asia/dIkghN3



●コーヒー&シガレッツ

鑑賞した日:2017年5月30日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典で鑑賞

監督:ジム・ジャームッシュ
主演:ロベルト・ベニーニ、スティーブン・ライト他
公開年・国:2003年(アメリカ、イタリア)
リンク:http://amzn.asia/8WT5a9p

▼140文字ブリーフィング:

白黒オシャレ映画です。
コーヒーを飲みながらタバコを吸う二人が語り合う、
というだけの映画です。
これも短編集で、10分ぐらいの会話のやりとりが、
役者を入れ替えながら続きます。
会話のやりとりの面白さを味わう作品という意味では
タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」にも似ています。
余談ですが最初のシーンで登場するロベルト・ベニーニは、
「あの」名作、「ライフ・イズ・ビューティフル」の監督本人です。
(197文字)

▼参考リンク:「パルプ・フィクション」
http://amzn.asia/3z2w4BJ




●月間陣内アカデミー賞

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。



▼作品賞
「夢」

コメント:
他のどの映画とも違う、
何か心の深い部分をえぐられるような作品でした。
環境問題や原発のこともテーマになっていますから、
今だからこそ見返すと面白い作品、という感じです。
いま見てもまったく古く感じないところは、
さすが黒澤明監督ですね。


▼主演(助演)男優賞
ダニエル・クレイグ(ドラゴンタトゥーの女)

コメント:
007のジェームズ・ボンドを演じた彼ですが、
終始漂うセクシーさがあります。
彼がそこにいるとなぜか「絵」として成立してしまうという。
特別なことをしなくても、たとえばコーヒーを飲むだけでも、
「シーン」として成り立ってしまう。
日本だと妻夫木聡がそうですが、
「空気感」を持った俳優はやはりスゴイと思います。


▼主演(助演)女優賞
該当なし


▼その他部門賞「意欲賞」
「6歳のボクが大人になるまで」

コメント:
12年間かけてこれをやろう、
と思った監督もスゴイですし、
それを実際にやってしまったチームもスゴイ。
映画作品と言うよりも、もはやこれは、
「コホート調査」のような研究対象です。




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陣内が先月観た映画 2017年4月

2017.10.26 Thursday

+++vol.011 2017年5月2日配信号+++

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■2 陣内が先月観た映画 2017年4月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
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●10 クローバーフィールド・レーン

鑑賞した日:2017年4月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ダン・トラッテンバーグ
主演:ジョン・グッドマン、メアリー・エリザベス
公開年・国:アメリカ(2016)
リンク: http://amzn.asia/gg0umqX

▼140文字ブリーフィング:

2008年に公開された
「クローバーフィールド」という有名な映画があります。
ネタバレになるので詳しいことは言えませんが、
SFともホラーとも言えないような、
「新ジャンル」を築いた映画です。
それがけっこう面白かったので、
正式な「第二作」ではないのですが、
続編を銘打った本作を観ました。
監禁映画としては面白いですが、
宇宙人モノとしてはなんとも、、、という、
不思議な仕上がりでした。(186文字)

▼参考リンク:「クローバーフィールド」
http://amzn.asia/b0bc2ph




●Shall we ダンス?

鑑賞した日:2017年4月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:周防正行
主演:役所広司、草刈民代、竹中直人
公開年・国:1996年(日本)
リンク: http://amzn.asia/0ZAsa4H

▼140文字ブリーフィング:

有名なこの映画を20年越しに観ました。
竹中直人は最高に面白いですし、
鬱屈したサラリーマンを演じる役所広司も、
ハマっています。
この時代というのはバブル崩壊後、
「閉塞感」という言葉が良く使われていた時代で、
それを打破する妄想映画として、
崖っぷちのサラリーマンたちの感情のガス抜きとして、
こういった映画がヒットしたりしたんだなぁ、
という、当時の時代の空気を記録する資料としても、
価値ある映画だと思いました。(200文字)



●くちびるに歌を

鑑賞した日:2017年4月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:三木孝浩
主演:新垣結衣、木村文乃
公開年・国:2015年(日本)
リンク: http://amzn.asia/a5akWeY

▼140文字ブリーフィング:

五島列島の中学生の合唱部の顧問として赴任した、
柏木ユリ(新垣結衣)には、暗い過去があった、、、
みたいなありふれたプロットなのですが、
最後の合唱コンクールのシーンで、
不覚にも泣いてしまいました。
アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」を、
中学生たちが歌うのですが、もう、それが、、、。
ああいうのはズルいですね。
「うた魂」を観たときも思いましたが、
合唱系の映画はストーリーとか関係なく、
歌だけでぐっときちゃうのでズルいです。

結論:合唱系とボクシング系の映画は反則。

あと、五島列島の映画なのでよく教会が出てきます。
「ちょっと一人になりたいから寺の境内で泣いてくる」
みたいなシーンで、この映画では教会が使われます。
長崎にキリスト教が文化として
息づいているのがよく分かります。
(335文字)



●エクス・マキナ

鑑賞した日:2017年4月4日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:アレックス・ガーランド
主演:ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック、アリシア・ヴィキャンデル
公開年・国:2015年(イギリス)
リンク: http://amzn.asia/4kXdzUy

▼140文字ブリーフィング:

イギリス映画は、アメリカ映画にはない、
「陰影」があり面白いです。
この映画は典型的な近未来SF作品であり、
検索エンジンの開発者の天才、ネイサンが、
社員の中から選んだケイレブを、自宅に呼び出します。
彼は自分の開発したロボットとケイレブに毎日面談させ、
「人間が相手をロボットと意識するかどうか」
をテストします。
ネイサンは実は「二重盲検」的に、
もうひとつのテストをしています。
それは、ロボットが人間(ケイレブ)に色仕掛けなどを使って、
施設から脱出出来るか、というテストです。
つまり「ロボット(被造物)は人間(創造者)を超克できるか」
というテストであり、
ロボットがニーチェの言う「超人」になれるかどうか、
というテストなのです。
興味のある方は、結末をご自身でお確かめ下さい。
(329文字)



●クラウド・アトラス

鑑賞した日:2017年4月3日(月)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ラナ・ウォシャウスキー
主演:トム・ハンクス、ハル・ベリー
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/5PWI3Is

▼140文字ブリーフィング:

友人に勧められて観ました。
3時間ある映画ですが、
まったく長く感じない、不思議な作品です。
この作品のプロットを考えた人の頭の中はいったい、
どうなっているんだろう、と圧倒されました。
天才です。
輪廻転生によって「同じ人物たち」が、
中世、近世、近代、現代、近未来、遠未来、
という6つの時代に、
何度も違うカタチで登場します。
伏線につぐ伏線、回収につぐ回収、、、で、
私が把握出来ている「伏線と回収」は
たぶん全体の2割ぐらいでしょう。
手塚治虫の「火の鳥」という漫画がありますが、
それを意識して作られているようにも思えます。
貫徹するテーマは、「人間の奴隷性とそこからの解放」、
そして「科学技術と人間」です。
西洋社会からこういう物語が出てくるというのが、
大きな時代の潮目が変わりつつあることを表わしているなぁ、
と感じました。(348文字)



●アメリカン・ビューティー

鑑賞した日:2017年4月6日(木)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:サム・メンデス
主演:ケヴィン・スペイシー
公開年・国:1999年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/eJaeOUl

▼140文字ブリーフィング:

かなり前にアカデミー作品賞を取った映画です。
まったく予備知識なしに観ましたが、
「あぁ、これはアカデミー賞とるわな」と納得しました。
英語に「phony」という表現がありまして、
「ウソっぽい、うわべだけの、空っぽの、偽物の」
というようなニュアンスで使われます。
アメリカの中産階級の、phonyな人生、phonyな家族、
phonyな関係を描くのですが、その表層を一枚剥ぐと、
リアルな悩み、本物の葛藤、本当の人生がある。
チャップリンの名言に、
「人生は近くから見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」
という言葉がありますが、
この映画を観るとその意味が分かります。
ちなみに「アメリカン・ビューティー」とは
薔薇の品種の名前です。
主人公の妻はせっせと薔薇を育てていますが、
それは近所への見栄と「幸せアピール」のためであり、
立ち止まり、時間をとって薔薇を鑑賞する人はだれもいません。
その「phonyな薔薇」が何度も象徴的に描かれますが、
それがアメリカの中産階級の、
「絶望的に空虚な豊かさ」を表わしています。
(443文字)




●マイノリティ・リポート

鑑賞した日:2017年4月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:トム・クルーズ
公開年・国:2003年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/7ElNT1S

▼140文字ブリーフィング:

近未来SF作品です。
2054年、米国には「犯罪予防局」という部署が出来ている。
この部署には「予知夢」を観られる能力者の脳に電極をつないで、
映像化することで、「これからおこる殺人事件」を、未然に防ぎ、
「殺していたであろう人物」を逮捕し懲役する権限が与えられた。
それは憲法違反なんじゃないかとか、
いろいろ議論が起こるのですが、
犯罪予防局の設置以来、
ワシントンDCでは殺人事件発生数がゼロだ、
というと皆黙ってしまう。
あるとき、犯罪予防局の職員ジョン(トム・クルーズ)が、
殺人を犯す映像を能力者が「予知夢」で観てしまう。
何か陰謀の匂いを感じ、ジョンは逃げるが、、、
というわりとコテコテの展開です。
スピルバーグらしく、上手にまとめていて、
可もなく不可もない映画、という感じでした。(335文字)



●ダーティ・ハリー

鑑賞した日:2017年4月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ドン・シーゲル
主演:クリント・イーストウッド
公開年・国:1971年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/iMGe8tI

▼140文字ブリーフィング:

当時のアメリカでは「市民の権利」ということが
盛んに言われていて、
逮捕しようとしているキャラハン刑事
(クリント・イーストウッド)に、追い詰められた犯罪者が、
「私は法律によって弁護士を雇う権利があるんだ!!」
とわめきます。
被害者が守られず、犯罪者の権利が
守られる矛盾に苦しむキャラハン刑事が、
最後に警察バッジを捨てて犯人を狙撃するのですが、
この映画に溜飲を下げたアメリカ人が多かったのはうなずけます。
この映画もそうですが、長く名作とされる映画というのは
「その映画の空気」をまとっています。
(242文字)



●世界から猫が消えたなら

鑑賞した日:2017年4月9日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:永井聡
主演:佐藤健、宮崎あおい
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/ghMd67x

▼140文字ブリーフィング:

衝撃的な面白くなさでした(笑)。
まったく思い出せないのですが、俳優だか女優だかが、
雑誌だかテレビだかラジオだかで、
「2016年に一番面白かった映画」として挙げていて、
興味を持ちましたが、記録的な駄作でした。
「素晴らしき哉、人生」という超名作アメリカ映画があるのですが、
それとテーマは重なります。しかし、この映画はひどい。
「感動させよう」という意図が鼻について花粉症になりそうです。
(190文字)



●アイデンティティ

鑑賞した日:2017年4月11日(火)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ジェームズ・マンゴールド
主演:ジョン・キューザック
公開年・国:2003年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/1jy9Ca2

▼140文字ブリーフィング:

さまざまな偶然から雨の日にモーテルに集まった10名の男女が、
ひとりずつ殺されていくのですが、実はその10人というのは、
ある多重人格者の脳内の10人です。
「殺人者の人格」が死んでいれば病院送り、
死んでいなければ懲役、という論理で審議が行われていたのです。
すこし単調ではありますが嫌いじゃないです。(147文字)



●ドント・ブリーズ

鑑賞した日:2017年4月12日(水)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:フェデ・アルバレス
主演:ジェーン・レヴィ
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/9gUzPGH

▼140文字ブリーフィング:

これは去年、映画館に観に行こうか迷っているうちに、
公演終了になってしまった話題作です。
とにかく、怖いです。
この「設定」を考えただけで、監督の勝利でしょう。
ゾンビとか幽霊とか一切出てきませんが、
ゾンビとか幽霊よりも100倍怖いという。
タイトル通り、観ている方も息をするの忘れます。
(139文字)



●ヒストリー・オブ・バイオレンス

鑑賞した日:2017年4月16日(日)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
主演:ヴィゴ・モーテンセン
公開年・国:2005年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/1259Goa

▼140文字ブリーフィング:

あまり語る価値もないぐらいつまらなかったのですが(笑)、
いちおう説明しますと、なんかマフィアの跡取り息子が、
過去を隠して生活してました、的な話です(雑!)。
さすがに後半は早送りしました。
(93文字)



●ゴースト・バスターズ

鑑賞した日:2017年4月18日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ポール・フェイグ
主演:メリッサ・マッカーシー
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/7Qsukso

▼140文字ブリーフィング:

知的には「ゼロキロカロリー」の、バカ映画で、最高でした。
バカバカしくて、内容ゼロで、下らなくて。
表面的にはそうなのですがこの映画、
じつは米国の大統領選の最中に公開されまして、
「白人のプロテスタントのアングロサクソンの男性」を称揚する、
トランプはじめ極右陣営から、「公開差し止め運動」が起こるなど、
物議をかもした映画でもあるんです。
今回のゴーストバスターズは4人全員、
「黒人や民族マイノリティで、貧乏で、オタクで、女性」です。
そして「白人男性」は、映画の中で徹底的にディスられている。
「トランプ的なるもの」への痛烈な風刺と批判なわけです。
選挙の蓋を開けてみればこの映画とは逆に、
「ゴーストは解き放たれてしまった」わけですが。
(311文字)



●大空港2013

鑑賞した日:2017年4月20日(木)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:三谷幸喜
主演:竹内結子
公開年・国:2013年(日本)
リンク: http://amzn.asia/dJ5js3V

▼140文字ブリーフィング:

この映画は、長野県の「信州まつもと空港」という、
地元のイトーヨカドーより小さな空港に、
羽田上空の悪天候のため飛行機が臨時着陸し、
一時的にそこにおろされた乗客がドタバタ劇を演じる、、、
という内容。90分の本作品を見終わったときには、
「なんだこのつまらない映画は。三谷幸喜も錆びたな。」
だったのですが、後でレビューなどを読んで驚きました。
なんと、この映画、「ノーカット」で取られています。
つまりひとつのカメラを90分回しっぱなしで、
ワンテイクで撮っている。
一度たりともNGが出せないという緊張感のなか、
「舞台」のようなやり方で撮ったというのです。
俳優って、凄いな、と素直に感動しました。
それを知ると、もう一度観たくなります。
(310文字)



●フィールド・オブ・ドリームス

鑑賞した日:2017年4月25日(火)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ファン・アルデン・ロビンソン
主演:ケビン・コスナー
公開年・国:1989年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/dlOV3cT

▼140文字ブリーフィング:

有名な映画です。
中学生か高校生のときに一度観ているはずなのですが、
そのときには「ピンときた」記憶がない。
主人公と私の年齢が近くなっている今、
もういちど見返してみて、
この映画が名作であるゆえんが分かりました。
「ある年齢に達しないと楽しめない映画」ってありますね。
これは年を重ねることの良い側面です。
ちなみにこの映画、くりぃむしちゅーの上田晋也が、
一番好きと言っている映画です。(187文字)




●月間陣内アカデミー賞

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ドント・ブリーズ」

コメント:
正直、アメリカン・ビューティーと相当に迷いました。
しかし今回はこれですね。
今風に言えば、「設定が神」です。
本来追い詰められる側の人を、
追い詰める側に逆転するという発想力。
「盲目」というシンプルな仕掛け。
映画制作者の多くはこの映画を観て、
「やられた!」と思ったことでしょう。


▼主演(助演)男優賞
ケヴィン・スペイシー(アメリカン・ビューティー)

コメント:
ケヴィン・スペイシーは好きな俳優です。
「ユージュアル・サスペクツ」という好きな映画がありまして、
それでも主演をつとめています。
この映画での彼の演技も素晴らしい。
日本人なら、香川照之みたいな位置にいる人です。


▼主演(助演)女優賞
竹内結子(大空港2013)

コメント:
90分間、竹内結子はノーカットでしゃべり続けます。
あれだけの台詞を覚えるだけでスゴイのに、
それをノーミスで、、、。
ハンパないです。


▼その他部門賞「脚本賞」
「クラウド・アトラス」

コメント:
緻密な伏線と回収が、時代を超えて行われるのですが、
その絡み合い方が、もはやスパゲッティのようです。
この脚本を考えた人の脳内はどうなってるんでしょう。
凄すぎます。




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陣内が先月観た映画 2017年3月 タクシー・ドライバー 他11本

2017.09.28 Thursday

+++vol.007 2017年4月4日配信号+++

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■2 陣内が先月観た映画 2017年3月

このコーナーは、タイトルそのまんまの企画で、
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画は音楽聴いてるのとさほど違わないので、
「ノーストレス」です。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
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●きみはいい子

鑑賞した日:2017年3月2日(木)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:呉美保
主演:高良健吾、池脇千鶴、尾野真千子
公開年・国:2015年(日本)
リンク: http://amzn.asia/fPcsp02

▼140文字ブリーフィング:
どちらかというとドキュメンタリーに似たような構成の映画でした。
「虐待」がこの映画のテーマです。
虐待された生徒を受け持った新米教師の岡野(高良健吾)は、
クラスの担任として、「今日、誰かに抱きしめてもらう」
という宿題を出します。
子どもの虐待を辞められない母親役の尾野真千子の演技は
鬼気迫るものがありました。(151文字)





●箱入り息子の恋

鑑賞した日: 2017年3月2日(木)
鑑賞した方法: Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督: 市井昌秀
主演: 星野源、夏帆
公開年・国:2013年(日本)
リンク: http://amzn.asia/aoFx0QZ

▼140文字ブリーフィング:
彼女いない歴=年齢(35)で実家暮らし、
趣味はゲームとカエル鑑賞という内気で自閉症気質の公務員、
健太郎(星野源)の両親が、息子の行く末を案じて、
「代理お見合いパーティ」(両親どうしが息子、
娘の写真と履歴書片手にお見合いパーティする)に出席した、
ということから物語は始まります。
そこで奈穂子(夏帆)の両親と出会い、
二人はお見合いをすることになるが、
奈穂子は視覚障害者で、両親にも一癖ある。
それをどう健太郎が乗り越えていくのか、
という「大人へのイニシエーション」の物語。
途中、健太郎が奈穂子に「吉野家の牛丼の食べ方」を、
手を取って教えるシーンがありますが、そこがとても良い。
ラスト10分の結末は、かなり乱暴な終わり方でした。
最後10分は全部カットのほうが良かったんだけどなぁ、という笑。
星野源の「淡白で内向的で傷つくのが怖い最近の若者」の演技は、
非常にリアルでした。
(381文字)





●天使の恋

鑑賞した日:2017年3月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:寒竹ゆり
主演:佐々木希、谷原章介
公開年・国:2009年(日本)
リンク: http://amzn.asia/1CpVAUO

▼140文字ブリーフィング:
佐々木希のアイドル映画としては120点、
映画としては2点、という映画です笑。
佐々木希を愛でる、それだけの映画。
ストーリーとかプロットとか、もう本当にどうでもいいんだな、
というのがよく分かります笑。
さすがに後半は早送りで観ました笑。(115文字)





●タクシー・ドライバー

鑑賞した日:2017年3月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:マーティン・スコセッシ
主演:ロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスター
公開年・国:1976年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/aOikGq3

▼140文字ブリーフィング:
とても有名な映画です。若き日のロバート・デ・ニーロが出ています。
遠藤周作原作の「沈黙」がつい最近まで上映されていましたが、
この映画の監督、マーティン・スコセッシが「沈黙」の監督です。
主人公のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は、
ベトナム帰還兵で、人間として大切な部分が「壊れた」人です。
無軌道な彼の生き様はラストに皮肉な結末を迎えますが、
その結末自体は本質的なことではありません。
彼の無軌道性そのものに、この映画のメッセージがあります。
現代社会が如何にその中に暮す個人の人間性を「疎外」していくか、
ということへの皮肉が込められている本作品は、
「アメリカン・ニュー・シネマの骨頂」です。

、、、ちなみに。

町山智浩という私の好きな映画評論家の、
『映画の見方が分かる本』という本がありまして、
それを先週読んでいて知ったのですが、
この映画の「元ネタ」は、
実在した22歳のアーサー・ブレマーという青年の、
日記に由来します。

彼は大統領候補ジョージ・ウォーレスを狙撃し重傷を負わせ、
懲役64年の刑に服しましたが、後に彼の日記が見つかり出版されます。
ブレマーはキューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』を観て、
人が殺したくなった、と日記に記していました。
この手記を元にポール・シュレイダーが書いた脚本がこの、
『タクシー・ドライバー』であり、この映画のなかで、
ロバート・デ・ニーロ演じるトラヴィスは、
次期大統領候補を狙撃する夢を見る鬱屈した日々を送ります。

81年にレーガン大統領が、
ジョン・ヒンクリーによって狙撃される事件が起こりますが、
ヒンクリーは『タクシー・ドライバー』でトラヴィスが守った、
ジョディ・フォスター演じる少女娼婦に憧れていました。

映画→暴力→次の映画→次の暴力 という連鎖がここにあるのですが、
「だから映画はダメだ」というのはあまりに短絡的で頭の悪い発想です。
じつは映画のなかにこそ、
「暴力よりも恐ろしいもの」が描かれており、
それが社会の解毒剤として作用することもある。

「すべての薬は本質的には毒」であり副作用がありますから、
「ヒンクリー事件やブレマー事件」は起こるわけです。
しかしだからといって、映画を排除しよう、というのは、
もうひとつの別の地獄をこの世にもたらします。

『時計じかけのオレンジ』の脚本家アンソニー・バージェンスは、
同作品の「まえがき」にこう書いています。

「街角でチンピラが暴れている社会のほうが、
 政府が自由を統制する社会よりもマシだ。」

(*断りを入れるまでもないと思いますが、
 私はチンピラの暴力行為やテロ行為を支持しているわけではありません。
 もっと大きな、「目に見えない暴力」を可視化するために、
 「映画という装置」はときにチンピラの暴力を必要とする、
 というのがここでのポイントです。)
(1,546文字)

参考リンク:
▼「映画の見方が分かる本」町山智浩
http://amzn.asia/3ydcyYQ




●365日のシンプルライフ

鑑賞した日:2017年3月8日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ペトリ・ルーッカイネン
主演:ペトリ・ルーッカイネン
公開年・国:フィンランド(2013年)
リンク: http://amzn.asia/87ENN3N

▼140文字ブリーフィング:
フィンランドのドキュメンタリー映画です。
ヘルシンキ在住・26歳のペトリは、
彼女にフラれたことをきっかけにある“実験”を決意します。
ルールは4つ。

1.自分の持ちモノ全てを倉庫に預ける
2.1日に1個だけ倉庫から持って来る
3.1年間、続ける
4.1年間、何も買わない

最初は「全裸」からはじまります。
1日目はコート、2日目はブランケット、3日目は靴、、、
という風に彼は持ち物を貸倉庫に取りに行きます。
50日目を超えたころから「もう、必要ないな」となるのが面白い。
彼の総括はこうです。
持ち物100点は生活のために必要。
もう100点は生活を楽しむために必要。
そこから先は、「所有するという責任を持ち、
自分のエネルギーを使いながら所有していくのだ」と。
365日が終わると、残りはすべて処分する、
ということをほのめかし、エンディング。
モノとの付き合い方を考えさせられる映画です。
唯一にして最大の不満は、
エンドロールで彼が取りに行った365点のリストが流れるのですが、
その日本語字幕の翻訳が最初の10点で終わっている!
英語ではなくフィンランド語なので、迷宮入りです。
「このエンドロールのために観ている」といっても、
過言でないほど重要なのに、日本語翻訳スタッフがなぜ、
のこり355点の翻訳をばっさり切り捨てたのか理解に苦しみます。
映画翻訳者をこれほど残念に思ったことははじめてです。
(576文字)





●潜水服は蝶の夢を見る

鑑賞した日:2017年3月15日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ジュリアン・シュナーベル
主演:マチュー・アマルリック
公開年・国:2007年(フランス)
リンク: http://amzn.asia/3ubZgqT

▼140文字ブリーフィング:
実話に基づくフランス映画です。
ELLEという有名なファッション雑誌の編集長だった、
ジャン=ドミニク・ボビーは、働き盛りの43歳のある日、
脳溢血で倒れ、脳幹という運動を司る部分がダメージを受けます。
意識ははっきりしているが、左目のまぶた以外何も動かせなくなり、
自らの肉体の中に「閉じ込められて」しまいます。
「ロックド・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)」と呼ばれる、
この状態になった彼は、言語療法士の手助けにより、
左目のまばたきだけで本を「書き」、出版しました。
ぼやける視界によって涙を表現したり、
混濁する意識をカメラのピンボケで表現したり、
まばたきを「内側から撮る」ことで、
閉じ込め症候群の当事者の側からの主観が、
「バーチャルなかたちで追体験」出来るようになっているところが、
この映画のすごいところです。
私はALSという、筋肉の力が弱まっていく難病の方の映画の、
上映会と講演会に昨年参加しましたが、
その方々の主観と非常に近いのがこのロックド・イン・シンドロームです。
悲劇のなかにも人生を楽しもうとする、
オシャレで皮肉屋のフランス人の気質がしみ出ていて、
「おしつけやお涙ちょうだいでないポジティブさ」が好きでした。
(507文字)





●親切なクムジャさん

鑑賞した日:2017年3月17日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:パク・チャヌク
主演:イ・ヨンエ
公開年・国:2005年(韓国)
リンク: http://amzn.asia/8WSB1X2

▼140文字ブリーフィング:
パク・チャヌク監督による「復讐三部作」というのがあり、
『オールド・ボーイ』と『復讐者に憐れみを』と、本作だそうです。
私は『オールド・ボーイ』は観ていますが、
世間的にはもっとも有名な本作をまだ観たことがなかったので、
レンタルして観ました。
結果、なんというか、韓国という国の国民性は、
「恨(ハン)」だといいますが、その「恨みの深さ」というものに、
圧倒されるだけで、正直、琴線に触れることはありませんでした。
これを観ると、従軍慰安婦問題などについて、
韓国の人がなぜこれほど執拗に「超法規的な怒りと恨み」を、
日本にぶつけてくるのかという理由の片鱗だったり、
韓国における政治の紛糾が、なぜあんなにも苛烈な形態を取るのか、
ということが分かるような気がします。
韓国の文化的な特徴は、
「法による支配」と食い合わせが悪い、というか。
恨みと復讐というのが彼らの「レゾン・デートル(存在理由)」
みたいになってしまっている。
それを「批判」したり「さげすんだり」するつもりはありませんが、
それはそれで「キツい生き方だろうなぁ」と思います。
存在理由が「過去」にあるというのは、
何にせよ辛いことですので。(487文字)





●イヴ・サンローラン

鑑賞した日:2017年3月16日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ピエール・トレトン
主演:イヴ・サンローラン、ピエール・ベルジェ
公開年・国:2011年(フランス)
リンク: http://amzn.asia/8LLYU48

▼140文字ブリーフィング:
イヴ・サンローランは、クリスチャン・ディオールの死後、
21歳で後継者に選ばれ、その後は、
「オート・クチュール(フランスの高級服飾業界)」の世界で、
破竹の勢いで活躍するのですが、光があれば影があります。
「自分の創造性をすり減らしながら何かを生み出す仕事」
というのはときに、魂を危険な領域まですり減らします。
この映画(というかドキュメンタリー)の語り手ピエール・ベルジェは、
イヴ・サンローランの「恋人」(彼は同性愛者だった)ですが、
苦悩の末に精神を病みアルコールとドラッグに溺れたイヴは、
「年に一度だけ幸せになれる瞬間がある」と、
よく言っていたと言います。
それはパリ・コレクションが終わった瞬間だそうです。
翌日からまた「プレッシャーの地獄」の日々が始まります。
「クリエイティブな仕事」というのは華やかな見た目とは裏腹に、
舞台裏は「もがき苦しみ」の連続です。
私は漫画家の井上雄彦のファンですが、
彼の書くエッセイなどを読むときも、同じ事を感じます。
(420文字)





●ザ・ファイター

鑑賞した日:2017年3月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:デヴィッド・O・ラッセル
主演:マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/i4QQJYp

▼140文字ブリーフィング:
実話に基づく映画です。
主人公のディッキーの兄、ミッキーは、
ローウェルという小さな小さな田舎町の「伝説」です。
現在は麻薬に溺れる40男のミッキーは若かりしころ、
ボクシングの世界チャンピオン、シュガー・レイ・レナードから、
ダウンを奪ったことがあるからです。(試合には負けた)
そのミッキーからボクシングの手ほどきを受けた弟のディッキーは頭角を現し、
ついにタイトル戦に挑みますが、その過程でディッキーを最も苦しめたのは、
兄のミッキーであり、息子を金儲けの手段にする共依存症の母親であり、
その母親の「異父きょうだい」の7人の女たちです。
(彼女らもミッキーのファイトマネーを当てにする
 無職の生活保護受給者たちで、ミッキーの彼女を目の敵にする。)
家族との「腐れ縁」と、自らの夢やチャンスの間で揺れるディッキーは、
はたして最後には何を選び、何をつかみ取るのか、、、
という筋書き。
実話に基づく映画の定番、「エンドロールでの本人登場」は、
来ると分かっていてもやはり、感動してしまう。
あれはズルいです。
(440文字)





●Dear フランキー

鑑賞した日:2017年3月30日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ショーナ・オーバック
主演:ジェラルド・バトラー、エミリー・モーティマー
公開年・国:2004年(イギリス)
リンク: http://amzn.asia/cH7RzVS

▼140文字ブリーフィング:
聴覚障害者の少年フランキーと、
「いなくなった彼の父親」をめぐる物語です。
フランキーは幼少期に父親と生き別れているため父を知らない。
じつは彼の父は本当はDV夫で、彼の耳の障害も父親が原因です。
母親のリジーは「父親は船乗りで世界中を航海している」という嘘をつき、
父親になりかわって世界のいろんな港からフランキーに手紙を書き、
フランキーと「なりすまし文通」をしている。
ある日、息子は「今度のサッカーの試合のとき、
お父さんの船が港に返ってくるからお父さんに会える。」
とクラスメイトに言います。
クラスメイトは「絶対嘘だ」と反論し、
彼らは「賭け」をしてしまう。
リジーは友人に頼み、見ず知らずの男に、
「代理の父親」になってもらう、、、
という、話としては「ありがちな脚本」ですが、
舞台のスコットランドの港町の風景と、
「代理の父親」役のジェラルド・バトラーの演技が素晴らしいので、
ずーっと観ていられる映画です。
(396文字)





●オペラ座の怪人 25周年記念公演inロンドン

鑑賞した日:2017年3月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ローレンス・コナー
主演:ラリン・カリムルー
公開年・国:英国(2011)
リンク: http://amzn.asia/8OqzJkE

▼140文字ブリーフィング:
ミュージカル『オペラ座の怪人』の、
25周年記念ロンドン公演が映画として公開されたものです。
「その場」にもしいたら、鳥肌立ちまくりなんだろうなー、
と思いながら観ていました。
チケットが3万円でも観に行く価値はあるだろうな、と。
(実際にはたぶん10万円以上しますので観れませんが笑)
最後の「大団円」が圧巻で、この公演の初代ヒロイン役の、
サラ・ブライトマンの生歌とかが聴けます。(185文字)




▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、
今月から始めました。
作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「タクシー・ドライバー」

コメント:
やはり有名な映画ですから。
意味もなければ「善悪の対立の構図」もない。
しかし、なぜか見終わった後に「不安」が残る。
その「不安」は現代を読み解く鍵になります。


▼主演(助演)男優賞
ジェラルド・バトラー(Dear フランキー)

コメント:
素晴らしい演技でした。
たばこ臭そうな革ジャンも似合っていたし、
寡黙だけど温かい渋みを持つ、という意味では、
どこか高倉健に似ています。


▼主演(助演)女優賞
該当なし


▼その他部門賞「カメラーク賞」
「潜水服は蝶の夢を見る」

コメント:
「ロックドイン・シンドローム」という極限状態を、
「主観目線」で撮った、というのがこの映画のエライところです。
この映画は「障害を持つ人の主観を疑似体験する教材」としても、
鑑賞可能です。






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陣内が先月観た映画 2017年2月 あなた、その川を渡らないで 他16本

2017.08.31 Thursday

+++vol.003 2017年3月7日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年2月

新コーナー、「陣内が先月観た映画」(そのまま!)です。
タイトルそのまんまの企画で、
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


●麦子さんと

鑑賞した日:2月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:吉田恵輔
主演:堀北真希、松田龍平
公開年・国:2013年(日本)
リンク:http://amzn.asia/buzIdf4

▼140文字映画評論:
特に何も残らない映画でした(笑)。
母子の葛藤を描いているのですが、感情移入出来る人物が登場しない。
堀北真希のアイドル映画としては鑑賞に堪えますので、
ファンにとっては貴重な映像資料になるでしょう。(97文字)




●プレシャス

鑑賞した日:2月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:リー・ダニエルズ
主演:ガボレイ・シディペ
公開年・国:2015年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/gugkqod

▼140文字映画評論:
衝撃の作品でした。ニューヨークの貧困地区に住む黒人女性の話。
何から何までディープすぎて、心臓の弱い方は観ない方が良い。
悲劇すぎて主人公が離人症になりミュージカルが始まるところとかは、
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じです。
主人公はだから、黒人版ビョークと言えるかも知れない。
私は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」よりこちらが好きです。
マライア・キャリーがソーシャルワーカー役で登場しますが、
めちゃくちゃ演技上手でびっくりしました。(214文字)




●レッド・オクトーバーを追え!

鑑賞した日:2月4日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ジョン・マクティアナン
主演:ショーン・コネリー
公開年・国:1990年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/g5O7BbM

▼140文字映画評論:
米ソ冷戦時代の話です。ソ連の原子力潜水艦が、
艦長の単独判断でアメリカに亡命する、という筋立て。
マンガ「沈黙の艦隊」を思わせます。
ショーン・コネリーがとにかくカッコいい映画です。
あと、ロッキー4もそうですが、この時期のハリウッド映画は本当に、
アメリカVSソ連というモチーフが多い。(139文字)




●イミテーションゲーム

鑑賞した日:2月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:モルテン・ティルドゥム
主演:ベネディクト・カンバーバッチ
公開年・国:2014年(イギリス)
リンク:http://amzn.asia/4afybh2

▼140文字映画評論:
めちゃくちゃ面白いです。
「コンピュータの生みの親」といわれている、
アラン・チューリングの実話に基づく映画。
ご存じの方も多いかと思いますが、現在のコンピュータの原型は、
アラン・チューリングという天才数学者が作りましたが、
それはドイツの暗号「エニグマ」を解読する国策プロジェクトでした。
アラン・チューリングはゲイで、当時同性愛は犯罪だったので、
彼はそれを苦に自殺します。チューリングは生まれるのが早すぎた。
彼のつくったコンピュータで世界一の金儲をけする、
アップルのCEOティム・クックは、堂々とゲイをカミングアウトして、
幸せそうにしているのですから。(273文字)





●ドリームガールズ

鑑賞した日:2月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ビル・コンドン
主演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ、エディ・マーフィ
公開年・国:2006年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/2UjjTId

▼140文字映画評論:
デトロイトの小さな演芸小屋から発足した、
3人の名もなき歌姫が全米スターになるという、
サクセスストーリー。
ミュージカル要素と、出演者の歌の巧さがこの映画のキモです。
ストーリーを観る映画というより、音楽を楽しむ映画という感じ。
大好きでというほどでもないですが、嫌いではないです。
(137文字)




●7つの贈り物

鑑賞した日:2月6日 
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ガブリエル・ムッチーノ
主演:ウィル・スミス
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/60FLbHm

▼140文字ブリーフィング
この映画の英語タイトルは「Seven Pounds」で、
シェークスピアのヴェニスの商人の「1ポンドの自分の肉」を、
借金の肩代わりにした、というエピソードがその由来です。
あと、ブラッド・ピットの「Seven」で有名になった、
「キリスト教の七つの大罪」の「裏」という意味も、
込められていると私は見ました。
つまり「七つの善行」ということです。
自らの命を賭して人を救う彼の行動はキリストの投影であり、
非キリスト教圏の文化には理解できない映画かも知れません。
その証拠にこの映画のAmazonレビュー(日本語)には、
どれも芯を食ったものがありませんでした。
あと、ウィル・スミスにしびれます。(288文字)






●オデッセイ

鑑賞した日:2月9日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでDVDをレンタル

監督:リドリー・スコット
主演:マット・デイモン
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/dkX54ih

▼140文字映画評論:
ジャンルとしては近未来SF映画。
宇宙空間に人が取り残される、
「ゼロ・グラビティ」という名作がありますが、
筋書きとしてはそれに非常に近い。
火星探査機の調査隊員(マット・デイモン)が、
ひとりだけ火星に取り残される。
それを全世界が協力して救い出す、という話です。
隊員が植物学者だったため、
宇宙船に残された真空パックされた隊員たちの糞尿を飼料に、
火星でジャガイモを育てて生き延びようとしたり、
燃料の水素と酸素を反応させて水を作ったり、
そういうのを「自撮り」して記録するのですが、
作り手は明らかに「ユーチューバー」を意識していて、
その遊び心がとても面白かったです。
「火星でジャガイモを育ててみた」的な笑。
(297文字)






●イントゥ・ザ・ワイルド

鑑賞した日:2月11日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでDVDをレンタル

監督:ショーン・ペン
主演:エミール・ハーシュ
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/5I2Caod

▼140文字映画評論:
優秀な成績で名門大学を卒業した22歳の青年、クリス・マッカンドレスは、
卒業後学資貯金の250万円を慈善団体に寄付し、忽然と姿を消した。
2年後の1992年、彼はアラスカの内陸部で餓死しているのを発見される。
この「空白の2年間」に何があったのか。
ヘンリー・ソローなどの「自然主義」に魅せられ、
「自然」のもつ危険な魔力の虜となってしまった青年の魂の足跡を追う。
この映画は一部でカルト的な人気があり、
AmazonでもDVDが10,000円以上で売買されています。
自然主義に興味がない人が見ても、アメリカの大自然がとにかく綺麗で、
見ていて飽きません。(270文字)






●ムーンライズ・キングダム

鑑賞した日:2月12日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ウェス・アンダーソン
主演:エドワード・ノートン、ブルース・ウィリス
公開年・国:2012年(アメリカ)
リンク:http://amzn.asia/j8rAWbH

▼140文字映画評論:
単館上映されるような「オシャレ映画」です。
筋書きはなんてことはなく、小さな小さな島で、
問題少年と問題少女が夜間に逃避行をする。
それを島中の人が捜索し、、、という、
ハックルベリーフィン的なお話です。
これにブルース・ウィリスが出ているというのに驚きました。
色彩が非常に印象的に使われていて、
全編ミュージッククリップのようです。
(161文字)






●ファインディング・ドリー

鑑賞した日:2月15日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでDVDをレンタル

監督:アンドリュー・スタントン
主演:エレン・デジェネレス(声)
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/9VXAcpU

▼140文字映画評論:
ファインディング・ニモは13年前に映画館で見ました。
その続編が「ドリー」です。「ニモ」も登場します。
ピクサー映画のすごいところは、ファンタジーの衣をまとっていながら、
じつは実社会のことを描いているところです。
トイ・ストーリーなら労働問題だし、
カーズなら老朽化するアメリカ農村部のインフラを描いている。
ニモとドリーの場合そこに描かれているのは「障害者問題」です。
障害を障害とみるのか個性や強みと見るのか、という話です。
ただ、今作はフィクションが行きすぎていて、
「魚の設定」を破壊してしまっていてついて行けませんでした笑。
(259文字)






●ウォールフラワー

鑑賞した日:2月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:スティーブン・チョブスキー
主演:ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン
公開年・国:2012年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/d4CTaMs

▼140文字映画評論:
「ウォールフラワー」とは、壁に掛けられた花のごとく、
パーティなどで誰からも話しかけられない「透明人間」の比喩です。
「ウォールフラワー」だった主人公が、
二人の訳あり兄妹との出会いによって自己を発見していく物語。
登場人物たちは親子関係の大きなトラウマを抱えており、
それが最後に開示され、カタルシスを迎える瞬間とかは、
どこかマット・デイモンの名作、
「グッドウィル・ハンティング」を彷彿とさせます。
(195文字)





●世界にひとつのプレイブック

鑑賞した日:2月21日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:デヴィッド・O・ラッセル
主演:ブルース・コーエン、ドナ・ジグリオッティ
公開年・国:2012年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/1PaWRQ1

▼140文字映画評論:
男性は妻を寝取られたことから鬱を患い双極性障害、
女性は夫を事故で失い職場の全員と寝るという破滅を選び鬱になった。
この二人が出会い、ダンスによって復活していきます。
病める者同士の相互扶助の物語。
嫌味やフィクション感がなく、不思議と自然に受け入れられる映画です。
(129文字)





●追憶と、踊りながら

鑑賞した日:2月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ホン・カウ
主演:ベン・ウィショー
公開年・国:2014年(イギリス)
リンク: http://amzn.asia/9AgdjE5

▼140文字映画評論:
香港から英国に移住した母親と、
英語しか話せない20代になるその息子(ベン・ウィショー)の、
葛藤を描きます。息子は交通事故で死にますが、
子どもはゲイであることを母親に隠しており、
その「恋人」の男性が母親に息子の秘密を打ち明けます。
人間の内面を描く、非常に静かな映画です。
(134文字)






●そこのみにて光り輝く

鑑賞した日:2月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:呉美保
主演:綾野剛、池脇千鶴
公開年・国:2014(日本)
リンク: http://amzn.asia/gBAeR8Y

▼140文字映画評論:
函館の話です。
山を切り崩す発破の仕事をする主人公(綾野剛)は、
同僚の死によるトラウマを抱えており、
偶然出会った姉弟の姉(池脇千鶴)は、
売春で生計を立てています。
貧しさ、寂しさ、悲しさのごった煮のような作品で、
どこか昭和の文学作品のような趣があります。
池脇千鶴は「ジョゼと虎と魚たち」のときから好きな役者ですが、
この作品でもやはり、上手だと思いました。
(175文字)






●50/50

鑑賞した日:2月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典でストリーミング鑑賞

監督:ジョナサン・レヴィン
主演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
公開年・国:2011(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/7LdrBaQ

▼140文字映画評論:
タイトルは、5年生存率50%、という意味です。
ラジオ局に勤める27歳のアダム(ジョゼフ・ゴードン)が、
脊椎癌と診断されるところから物語は始まります。
職場のお別れパーティや恋人や親友など、彼を取り巻く人は、
じっさい彼にどう接して良いか分からない、
その様子が非常にリアルです。
彼の病気をダシに女性をナンパしたりする親友のカイルの熱い友情を、
鑑賞者は終盤に知ることになりますが、そこはぐっと来ます。
ジョゼフ・ゴードンという役者が非常にさわやかで、
どこかディーン・フジオカとかARATAといった日本の俳優と似ていて、
めちゃくちゃナイスガイです。
あと、この映画は音楽が良いです。
重いテーマを重くなりすぎないようにうまく機能しています。
(312文字)







●あなた、その川を渡らないで

鑑賞した日:2月25日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでDVDレンタル

監督:チン・モヨン
主演:チョ・ビンマン
公開年・国:2013年(韓国)
リンク: http://amzn.asia/aLdnnEd

▼140文字映画評論:
この映画は衝撃です。ブログにも書きましたが、
ある老夫婦の四季をただただ撮る、という映画。
最後に夫が亡くなりますが、そこも撮る。
ドキュメンタリー映画で、とことんリアルなのに、
どこか絵本を読んでいるような感覚を与える。
話としてはとても哀しい話なのに、
不思議と心温まる。そういう映画です。
(141文字)

*参照ブログ記事↓
http://ameblo.jp/shunjinnai-kingdomcome/entry-12251299991.html







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