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「WORK SHIFT」リンダ・グラットン

2017.06.07 Wednesday

+++パイロット版vol.3 2017年2月14日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■本のエスプレッソショット

私は、一年間に300冊ほど本を読みます。

そのほとんどは図書館で借りますが、
図書館に蔵書のない本はAmazonのKindleで買ったり、
専門書などは書店で購入したりします。

読書スタイルは、常時5〜10冊ぐらいを並行して読み、
ジャンルは多種多様で、
「乱読」に近い読み方をしています。

また、信頼する友人に勧められた本は、
なるべく必ず読むようにしています。

日常的に書籍を読むようになった大学生時代以降、
読書の記録はぜんぶ一冊の大学ノートにしてきました。

2014年から情報の集積を、
大きくデジタル方向にシフトして、
「読書ノート」をEvernoteに取るようにしていて、
現在そのファイル数は1000を超えています。

「私のEvernote蔵書のなかで、
 なるべくその週に読んだ本のなかで、
 この本は良かった」
という本を厳選して、みなさんにその本を、
「コーヒーの高圧抽出」のような形でシェアするのが、
このコーナー。

いわば読書のエスプレッソです。
私のEvernoteの読書ノートから引用しつつ、
読者の皆様に毎週、選りすぐりの一冊を紹介し、
「本なんて読む時間ねぇよ!」という方にとっては、
時間短縮のツールとして、
「本が大好き」という方にとっては、
「読書を通した豊かな対話」のような、
ひとときを味わっていただくコーナーとして、
楽しんでいただけたらと思っています。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●WORK SHIFT

読了した日:2017年1月30日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:リンダ・グラットン
出版年:2012年
出版社:プレジデント社

http://amzn.asia/4seLSIb



▼▼▼ベストセラー「LIFE SHIFT」の著者が描く「働き方」の未来▼▼▼

この本は前回の「陣内が先週読んだ本」で挙げた本です。
140文字ブリーフィングにはこう書きました。

「自民党の小泉進次郎氏が取り上げたことで、
LIFE SHIFT 〜100年時代の人生戦略〜
が話題になっています。
同書は図書館の予約待ちが200人(!)いたので、
同じ著者の前作のこちらを先に手に取りました。
「地球環境」「テクノロジー」「寿命」の三つの要素が、
私たちの働き方に大きな変化をもたらすだろう。
それにどのように対応していけば良いのか、という本。
非常に面白かったです。(183文字)」

著者リンダ・グラットンがこの次に書いた本、
LIFE SHIFTは現在ベストセラーになっています。
「100年時代の人生戦略」というサブタイトルが示すとおり、
近未来において、医学の進歩と公衆衛生の向上により、
平均余命が100年に迫る時代が来るだろう。

その時代に最も変わるのは、
「人の働き方」である、というのが彼女の問題設定です。

つまり、「一人の人間の仕事人生」が50年、60年、70年、
ときには80年にまで達するような事態というのは、
いまだかつて人類史において、誰も体験したことのない状況なのだ、
というわけです。

そして、基幹産業構造が製造業からサービス業に移っていくとき、
「ひとつの業態」の寿命より、人の職業人生のほうが長くなる、
という逆転が起こります。

そのとき、人の職業人生はどのように変わるのか、
ということをこのLIFE SHIFTは論じています。

WORK SHIFTは、LIFE SHIFTの核となるアイディアが詰まった本で、
もしかしたら情報密度は新しいものよりも濃いかも知れない。

ロンドンビジネススクールの講師である著者が、
「働く」ということの未来を私たちに「指南」してくれる良書です。

また、この本は彼女が一人で書いたものではなく、
全世界の彼女のビジネスパートナーらが、「ゆるいつながり」によって、
チームを組み、スカイプ会議やリアルな対話を積み重ねた結果、
出来上がった共同作品です。

この本を作り出したその「仕事の方法」こそが、
彼女の提案している「シフトされた未来の働き方」の実例となっている、
というところが本書の希有な点でもあります。



▼▼▼本書の概略・世代論と執筆の動機▼▼▼

本書の簡単な概略を説明しますと、こうなります。

「21世紀にこれから起こる、人間社会を取り巻く環境変化というのは、
 かの「産業革命」をもしのぐ。
 それは人類が狩猟生活を辞め、
 農耕生活に入ったのに匹敵するような変化だ。
 その変化に対応するには、私たちは新しい働き方を、
 いまから身に付け備えなければならない。」

著者はこの本を、
「ミレニアルズ」(1990年〜2004年ぐらいに生まれた世代)
「ジェネレーションY」(1975年〜1990年ぐらいに生まれた世代)
に向けて書いています。
(1977年生まれの私はジェネレーションYに入ります)。

ちなみに世代区分は学者や国によって違ったりしますが、
その上の世代(1960〜1970年代前半)を、
ジェネレーションXと呼ぶことが多いです。
この世代は「団塊の世代」の子どもたちなので、
「団塊ジュニア」と日本では呼ばれたりします。

私はジェネレーションXとジェネレーションYに、
片足ずつかかっている世代で、「時代の端境期」にあたります。

日本的に言えば
「ネットネイティブではないけど、
 大学の論文はパソコンで書いた。」

「キン肉マンも分かるし、
 ONE PIECEも分かる。」

「和式便所もなじみ深いが、
 和式便所を見たことのない世代がいる、
 というのも普通にうなずける。」

「社会のことが分かるようになったのは、
 バブル崩壊後なので景気が悪いのはデフォルトだが、
 小中学生のころに、なんとなく日本社会が
 浮ついていたのは知っている。」

みたいな世代です。

要するに、とても中途半端な世代なのです。

著者は2025年に働き盛りを迎えるであろう世代に向けて、
この本を書いています。

この本を書いたのがそもそも、
著者の息子(たぶん1990年代生まれ)が、
「ぼくはジャーナリストになりたい」と、
中学校の作文に書いたのを読んで、
「それに対してどうコメントしたら良いんだろう?」
と言葉に詰まってしまったことが執筆動機になっています。

親ですら、今の子ども達が大人になったとき、
「働く」ということが何を意味するようになっているのか、
うまくイメージできない。

働くことについて毎日、講義していたはずの著者は、
息子の作文を通して「天啓」のような問いに打たれ、
私たちが「そのような時代」に生きていることを自覚し、
この本を書きました。



▼▼▼訪れる五つの変化▼▼▼

本論に移りますと、21世紀の前半に、
私たちは大きな5つの変化を体験するだろう、
と著者は言います。

その変化とは以下の五つ。

1 テクノロジーの発展
2 グローバル化
3 人口構成の変化と長寿化
4 個人、家族、社会の変化
5 エネルギーと環境問題

説明は不要だと思いますが、ひとつだけ説明を加えるとするなら、
「エネルギーと環境問題」と、「テクノロジーの発展」、
および「グローバル化」は連動して働く、ということでしょうか。

どういうことか。

地球資源の枯渇による本当の変化は、
たとえば環境省のようなところが「節電しましょう」といって、
環境問題を道徳律に還元している間には起きません。

本当に人類が「SHIFT」するのは、
化石燃料の枯渇の結果、たとえばガソリンが今の10倍の値段になり、
電気代が今の5倍の値段になり、100円均一で売られている、
プラスティック製品(プラスティックは石油からつくられます)が、
今の3倍の値段で売られるようになります。

そのときに何が起こるか。

まず、より少ないガソリンで、より長距離を移動するように
「摩擦を減らす技術」においてブレークスルーが起こるなどの、
イノベーションへの変化圧が高まります。

また、今のように通勤に一人一台車を使い、
毎日1時間〜2時間の通勤時間を運転に費やす、
というようなクレイジーな真似は出来なくなります。

在宅勤務の「インセンティブ」が高まるのです。
出勤につかうガソリン代が一日5,000円を超える、
みたいになったときにはじめて、本格的な在宅勤務時代が始まり、
自転車社会が到来し、コンパクトシティが実現します。

それらを運用するのに、「テクノロジーの発展」と、
「グローバル化」が非常に重要な役割を果たします。

もうひとつ付け加えますと、
長寿化は決定的に重要な変化です。

〈現代の職業生活に起きた最も重要な変化は何かという問いに対して、
 経済思想家の故ピーター・ドラッカーが挙げた答えは、
 テクノロジーの進化でもなければ、グローバル化の進展でもなく、
 平均余命のめざましい上昇だった。〉
〈P225〉

上のように著者はドラッカーの言葉を引用し、
長寿化が非常に重要な「構造転換」をもたらし、
働き方のSHIFTを人類に迫るであろう、と語ります。



▼▼▼三つの「SHIFT」▼▼▼

そのような未来に、どのような「SHIFT」が必要なのか。
本書が提唱する3つの「SHIFT」とそのキーワードを、
以下に見ていきたいと思います。



▼▼▼1つめのSHIFT:「連続スペシャリスト」▼▼▼

1.ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

ここで重要なのは「スペシャリスト」と「連続」です。
ゼネラリストというのは企業で言う総合職(または一般職)のことです。

部署で言うと人事部・総務部などを渡り歩く人々のことです。

私は技術吏員(獣医師)として市役所の職員を6年間しました。
市役所では一般職のことを技術吏員に対して「事務吏員」と呼びます。

現場では「技術屋」と「事務屋」と呼び分けられます。

60歳まで同じ能力の人間が勤め上げた場合、
市役所ではどちらが上まで出世できるか、
みなさんはご存じでしょうか?

実は、事務屋さん(事務吏員)の方です。
これはおおかたの大企業や中央官庁などでも同じです。

大きな組織体を動かす上で、
権力は「人とカネへのアクセス」で決まります。

人事部や経理部など、
「人とカネへのアクセス」を独占できるのは、
一般職なのです。

中央官庁のトップは「事務次官」です。
嵐の櫻井翔のお父さんは事務次官でしたね。
公務員のトップです。

雲の上のさらに上のそのまた上の人です。

で、事務次官のポストに技術屋が座る、
ということは普通起きません。

市役所でもそうです。
職員の実務のトップは副市長です(市長は投票で選ばれるので違う枠です)。
そこに技術屋が座ることはまずあり得ない。必ず事務屋が座ります。

技術屋の人には「自分の仕事へのこだわり」は強いが、
権力への志向があまり強くない人が多いので、
その辺の「棲み分け」は比較的うまく機能しています。

では事務屋が技術屋を軽く見ているかというとそんなことはない。
技術屋をうまく使いこなせないと、仕事の質が下がり、
自分の権力基盤がゆらぐので、事務屋の偉い人はみな、
技術屋を非常に大切にします。
技術屋にへそを曲げられたら出世できないことを、
彼らはよく知っているのです。

話を戻します。

何が言いたいか。

20世紀型の「大きな組織」においては、一般職のほうが専門職よりも
少なくとも「立身出世」という面では「有利」だった。
しかし、「一般職(ジェネラリスト)」優位の時代が、
21世紀にはおそらく終わりますよ、と著者は言っているわけです。

なぜか?

一つ目は、産業構造の変化によって、
巨大組織を維持することにメリットがなくなるだろうから。

もう一つは、「一般職」の仕事は今後、
ITと人工知能に奪われていくだろうからです。

そうすると、いわゆる「手に職を持つ」人々の比較優位が高まります。
しかし、その「手に職」という定義もまた変わっています。

その技術は余人をもって変えたがたい「技術」である必要があるのです。
正確無比にプログラム言語を操る「技術」は早晩不要になります。
人工知能に代替可能ですから。

しかしプログラム言語を使って、
アーティスティックなソフトウェアやホームページを作れる技術は、
淘汰されません。

精密な手さばきで手術をする技術は
近い将来機械にとって代わられるかもしれません。

しかし、患者の状態を見極め、「どの手技を組み合わせるか」を判断できる、
という「高度な知的技能」は代替不能です。

これらをグラットン氏は「スペシャリスト」と呼びます。
そして、他者に真似できないその高度な専門知識を用いそれを磨き続ける。

21世紀の職業人にはこれが必要です。
そのためにはいくつか大切なことがあります。

(1)「学習する共同体」

中世にギルドという職業徒弟制度がありましたが、
それに似た共同体を持てるかどうかが重要になります。
それは師弟関係かも知れないし、同業者のゆるいつながりかもしれません。

自分の持っている技能を磨く「砥石」となってくれる人を、
周囲に確保することが大切になるでしょう。


(2)「10000時間の法則」

フロリダ州立大学のエリクソン教授は、
人が何かにおいて超一流になるには、
10000時間それに集中する必要がある、という研究をまとめ、
「超一流になるのは才能か努力か?」という本を著しました。

10000時間というのは毎日8時間、3年間に相当します。
このような「努力の量質転化」を把握している人が、
「余人をもって代えがたい技術」を手にするだろう、
とグラットン氏は言います。


(3)「自己の仕事に刻印を押す」

あらゆる仕事が人工知能やロボットに代替される未来において、
逆説的に価値が高まるのは「刻印が押された仕事」です。

例を挙げますとインターネット上の
「ネットニュース」のクオリティは、
めまいがするほど低いです。

ほとんどが雑誌やテレビや新聞を、
「要約」したものであり、
しかもその要約は誤読だらけです。

まともに日本語を読めない人が、
まともに使えていない日本語で記事を書いている。
それを読む人もまた誤読をしている。
かくして「ポスト・トゥルースの時代の悪夢」が実現します。

統計によるとネットニュースの「タイトル」だけを読んで、
記事自体を読まずに事実判定をしている
(しかもそれは間違っている)人の割合が、
7割に上ると言います。

もはや喜劇です。

このようなネットニュースの中で、
もしも「きらりと光る記事」を書けるライターがいたら、
その仕事には「市場価値」があります。

しかし多くの匿名の(責任を取るつもりのない)ライターたちに埋もれて、
「誰が書いたか分からない記事」としてそれが片付けられたら、
その才能は埋もれていきます。

自分の仕事にどのように刻印を押すか、
ということも「高度技能社会」においては大切になってくる、
とグラットン氏は言います。



▼▼▼「釣り鐘型」の連続キャリアとは?▼▼▼

、、、まだ終わらない。
21世紀の職業人は、ただの「スペシャリスト」では生き残れません。

平均余命の延長と、少子高齢化がその要因です。
つまり、健康寿命が長くなることと、
今の年金制度が早晩破綻を免れない、という二つの理由により、
人が働く期間が、飛躍的に長くなるわけです。

人生で60年、あるいは70年も働く人がざらにいる、
という「人生100年時代」においては、
人生にひとつの「専門技術」では職業人生を全うすることが難しくなる。

ひとつの「産業の寿命」を
「一人の人間の職業人生」が追い抜く、
という、人類が直面したことのない状況を、
私たちは目の前にしています。

考えてみてください。

じっさい、今から30年後、
Facebookという会社が存在しているか?

良くて五分五分でしょう。

Twitterは?Googleは?マイクロソフトは?

誰にも分かりません。
企業時価総額世界トップ10に入る企業の、
じつに半数が1970年代後半以降に設立された、
「若い」企業なのです。
うちGoogle、Amazon、Facebookに関しては、
その創立はなんと、1995年以降です。

「企業の代謝」は、今後ますます早まり、
そのトレンドはあらゆる業界に及んでいくでしょう。

そのような時代に、一人の人間は、
「一つのキャリア」では職業人生を全うできなくなる。
「カリヨンツリー型のキャリア」というキーワードを、
グラットン氏は提唱します。

カリヨンツリーというのは、
「教会の釣り鐘がたくさんぶら下がっているやつ」のことで、
なんて言うんでしょう。
スズラン型と言い換えても、さほど大きな違いはないと思います。

つまり、5年間この技術を用いてAという仕事をし、
次の10年間、別の技術を用いてBという仕事をし、
次の2年間は大学に通って専門知識Cを身に付ける。
その次の20年間はAとCという技術を用いて仕事をし、
そのかたわら、ライフワークとしてDを温めてきたけど、
収益化できるようになったのは65歳になってからだった、
みたいなキャリアが、特に珍しいものではなくなってくる、
ということです。



▼▼▼2つめのSHIFT:「人間関係」▼▼▼

2.人間関係のシフト「協力して起こすイノベーション」

、、、1の「スペシャリスト」でかなり長話をしてしまったので、
残り項数が少なくなってしまいましたが、続けます。

次に大切になるのは、人間関係です。
自分の周囲にどのような人間関係が築けるかで、
「カリヨンツリー型のキャリア」を生き延びられるかどうかが、
決まってくると著者は言います。

以下の3種類の人間関係が大切です。

(1)ポッセ:

「ポッセ」とは、西部劇で、
危機に陥ると集まる保安官のチームのことだそうです。

普段はそんなに連絡を取り合うわけではないけれど、
同じ志を共有しており、何かあれば自分たちの得意分野の技術を持ち寄って、
仲間のピンチを救ったり、大きなプロジェクトを成し遂げたりする、
少人数の「同志」です。

日本で言うならば「七人の侍」のような感じでしょうか。

「ポッセ」は必ずしも同じ地域に住んでいる訳ではありません。
5人のポッセの3人は日本の九州、本州、北海道にそれぞれ住み、
残りの二人はアジアと北米にいる、なんてこともあるわけです。

リンダ・グラットン氏は、
そのような世界に散らばる自分の「ポッセ」たちとの、
共同作業によってこの本を書き上げた、と言っています。


(2)自己再生のコミュニティ:

20世紀は「終身雇用神話」があったので、
職場が疑似家族の役割を果たしました。
会社の慰安旅行や会社の運動会、会社の餅つき大会などなど、、、
会社の人間関係はビジネスを超え、人々に「共同体」を提供しました。

しかし、終身雇用神話の崩壊と
「会社共同体」の解体がますます明確になり、
さらには「自分のライフスタイルや性格に合わせ住む都市を選ぶ」
という生き方が標準になるだろうと言われる近未来において、
「自己再生のコミュニティ」を自分のまわりに持つことは、
心身の健康を保つ上で致命的な要素になります。

グラットン氏は「どこに居住するか」が大切だと言います。

親密で前向きな人間関係をはぐくめる土地へ移住することが、
奇異な行動でも何でもなく、当然だと考えられるようになるだろう、
と著者は書いています。

創造的なことを仕事にする人はたとえば、
美しい景観や知的刺激を高める仕掛けなどが大切になります。
そのような人々が好んで居住する地域には、
似たような人々が集まり、コミュニティを形成する。

たとえば東京には「すべて」が一極集中しているのが現在ですが、
その「機能別」に地方に分散していく、と言ったらわかりやすいでしょうか。

クリエイティブ関係の人々は景観の良い場所を選ぶかも知れない。
雑多な大都市を好んだり、金融投資を仕事にする人は
今後も東京にとどまるかもしれない。
地方で農業をベースにしたコミュニティが立ち上がり、
同じような志をもつ若い人々が居住する「特区」が作られるかもしれない。
また中国の産業都市で、指導的な役割を果たす技術者は、
アメリカや日本や欧州から世界各地のそのような都市へ移住し、
固有のコミュニティを形成していく、と。

その傾向はすでに現れてきています。

また、自己再生のコミュニティには当然、家族も含まれます。
家族を顧みず仕事に没頭する、という働き方は過去のものとなります。
仕事のために家族を犠牲にしてきた親の世代を見て来た、
ジェネレーションYやミレニアル世代は、
家族のためにキャリアにおけるメリットを多少犠牲にしてもかまわない、
と考える人がマジョリティです。

企業は優秀な人材を引き留めておくためには、
家族のための融通が利くシステムを構築することを余儀なくされ、
この傾向はますます進んでいくでしょう。


(3)ビッグアイディア・クラウド:

「ポッセ」と自己再生のコミュニティは、
強固な人間関係であり、「数人いれば十分」です。

最後の人間関係は、これらとは対照的な「ゆるいつながり」です。
英語で「ウィークタイズ」と言います。

つまり全世界に、あるときは数千人規模の、
「ゆるやかなつながり」を持っておく。

これはSNSによって可能になります。
顔を見たこともないけれど、自分がTwitterで疑問をつぶやけば、
世界中から提案がいくつか得られる、というような種類のものや、
Facebookで1000人が参加する、
「都市デザイン」というグループの中で、
会ったこともない他者の着想が自分の仕事にヒントを与える、
というような「関係」です。

これによって「セレンディピティ(予期せぬ幸運な偶然)」に出会うことが、
マンネリやルーティーンから私たちを守り、
考え方や視野を広げます。



▼▼▼3つ目のSHIFT:「消費から経験へ」▼▼▼

3.大量消費から「情熱を傾けられる経験へ」

大量生産・大量消費の時代は完全に行き詰まっています。
もはや「これが欲しい」という物欲にドライブされる人の数は、
世界規模で減っていくでしょう。

人々は「このように生きたい」という情熱に、
むしろ関心をシフトしていきます。

私がこれ以上説明を加えるより、グラットン氏が「あとがき」で、
自分の子ども達の世代に向けて手紙を書いていますので、
その手紙を引用するほうが良いでしょう。

この手紙は本書の見事な要約になっています。

〈みなさんが充実した職業生活を送れるかどうかは、
 次の三つの課題に対処する能力によって決まります。
 第一は、職業人生を通じて、
 自分が興味を抱ける分野で高度な専門知識と技能を修得し続けること。
 第二は、友人関係や人脈などの形で人間関係資本をはぐくむこと。
 とくに強い信頼と深い友情で結ばれた
 少数の友人との関係をたいせつにしながら、
 自分とは違うタイプの大勢の人たちとつながりあうことが大切になります。
 第三は、所得と消費を中核とする働き方を卒業し、
 創造的に何かを生みだし、
 質の高い経験をたいせつにする働き方に転換することです。〉
〈P377〉




▼▼▼私たちはこれから、どのように生きるのか▼▼▼

以上がリンダ・グラットンの「WORK SHIFT」の要約になります。
私たちは新しい時代の岐路に立たされています。
グラットン氏が言うように、
これは地獄の入り口にもなりうるし、
素晴らしい未来のとば口にもなり得ます。

私たちが「自らを変えられるかどうか」がその運命を分けます。

私は信仰者なので、仕事ということを考えるとき、
著者の視点に加え「神のミッション」というもう一つの軸を加えます。

1.収入が得られるか?(市民社会の一員として自立して生きられるか?)
2.自分が成長できるか(やりがいがあるか?)
3.適性があるか(続けられるか?)
4.神の働きを推し進めるか?(人の役に立てるか?)

この4つの軸で、私は自分の職業人生を考えています。
もっとも大切なのは実は4番です。

人生の目的は神の栄光を現すことですから。

「神の働き」というとき、
私の場合今は教会と関わるNGOの働きをしていますが、
言うまでもなく神の働きはそれだけではありません。

それが教育であれ行政であれ物作りであれ金融であれ、
全部が「神の働き」です。

その働きを通して「キリストの姿」が具現化し、
その仕事によって「キリストの似姿」が生み出されるなら、
それは神の働きだと思います。

ピーター・ドラッカーは、NPOを簡潔にこう定義しています。
「NPOが社会に『出荷』する生産物は『変えられた人生』だ」と。

これは実は「神の働き」の定義にもなっています。

逆に言えば教会であっても変えられた人生が生み出されていなければ、
それは神の働きと言えるかどうか疑問だし、
工場のラインに勤務していても、
それが「変えられた人生」を生んでいるのなら、
立派な神の働きです。

このような職業観をしっかり持ちながら、
それを「激動の時代」に実践していくには、
ただ愚直であるだけでなく、
グラットン氏が言うような柔軟な考え方と「生き方のシフト」を、
受け入れ自らのものとしていく必要がある、と私は考えます。

軸がぶれないからこそ、
その軸を貫くために、
軸以外のものは究極に柔軟であるべきなのです。

本書はその意味で、
21世紀にキリスト者が社会に貢献するための、
良き指南書としても読むことが可能です。




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