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陣内が先週読んだ本 2017年7月第四週 『プルーストとイカ』メアリアン・ウルフ 他6冊

2018.01.25 Thursday

+++vol.024 2017年8月1日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年7月第四週 7月23日〜29日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●ジャパン・アズ・ナンバーワン

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: エズラ・F・ヴォーゲル
出版年:2004年(英語初版1979年)
出版社: 阪急コミュニケーションズ

リンク: http://amzn.asia/gqDLtNP

▼140文字ブリーフィング:

この本は「コスられにコスられた」本で、
80年代のバブルや、昭和の官民一体の経済、
失われた20年などを語るとき、必ず引用されます。
私も会話や文章で何度か、
「かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたように、、、」
と言及したことがあります。
しかし、「原典」を読んでないことに思い当たり、
今回読むことにしました。
その本を読んでいないのに読んだかのように引用する、
というのは知的怠慢でもありますし、
あと、この手の「こすられすぎて誰も読まなくなった本」って、
じっさい読むと意外な発見があったりします。
私がこの本を読んで再確認したのは、
この本はまさに「定本」だということ。
「昭和の日本」を語る「話法の類型」の元ネタの多くは、
この本に端を発するのだ、ということが分かりました。
新たな発見としては、「昭和型大企業の衰退」は、
日本から富ではなく「自尊心」をうばったという認識です。
引用して説明します。

→P207 
〈このように日本の大企業は20世紀後半の要求に
上手く応えられる効果的な近代組織を作り上げたのである。
だが、これで問題が全て解消されるわけではない。
良い上司もいれば悪い上司もいるし、
退屈な仕事が与えられれば不満も起きる。
人間関係の悩みもあれば、自分が評価されない事への不満もある。
しかし国際的な尺度から言えば、
現代日本の大企業は組織として大いに成功している。
その成功の原因は、日本民族の中に流れている
神秘的な集団的忠誠心などによるのではなく、
この組織が個人に帰属意識と自尊心を与え、働く人々に、
自分の将来は企業が成功することによってこそ保証されると言う
自覚を与えているからである。
多くの日本人は、家族の一員が大企業に勤めていることに
誇りと安心感を持つが、このことが社会全体の基調となり、
政治を安定させる一因ともなっているのである。〉

、、、ヴォーゲルがここで言っているのは、
(1970年代〜80年代の)日本型大企業が成功したのは、
よく言われる「忠誠心や日本的ガンバリズム」といったものでなく、
「大企業に所属していることが人間に与える安心感と自尊心」
だったということであり、私もそれに同意します。
00年代以降、日本型大企業とそのグループ企業を軸とする、
「一億層中産階級者会」は崩れ去りました。
「ネット右翼」などの現象はその帰結だというのが私の見立てです。
かつて大企業があたえた「安心」や「帰属意識」、
「自尊心」といったものを、「国家」が代替してほしい、
というのが国家主義者の語られざる願望だからです。
しかし、それは危険な誘惑です。
この「国家」というときそれは多くの場合、
国家の権力者のことを言っているのであり、
今の自民党の政治家を観ても分かるように、
彼らが「国を守る」というときそれは、
自分の保身のことを言っていたりしますから。
切り捨てられるのは多くの場合「期待をかけた国民の側」です。
「国家」でも「大企業」でもない確かなものに、
自分の自尊心と帰属意識と安心を託せる人が、
ぶれない軸をもち生きることが出来ます。
キリスト教徒である私にとってそれは神です。
それぞれが何を選ぶかは自由ですが、
何か普遍的な価値観をもっていないと危うい時代に、
さしかかっていることは間違いありません。
(1,330文字)



●あらゆる不調が解決する 最高の歩き方

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 園原健弘
出版年:2017年
出版社: きずな出版

リンク: http://amzn.asia/0NYFit7

▼140文字ブリーフィング:

著者はオリンピックの競歩のトレーナーをしていた人です。
1に食事、2に食事、3、4がなくて、5にウォーキング、
という健康理論や、
「歩数ではなくて運動強度が問題」というのは納得しました。
(91文字)



●カメのきた道

読了した日:2017年7月28日 ななめ読み
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 平山廉
出版年:2007年
出版社: NHKブックス

リンク: http://amzn.asia/j5iDPnV

▼140文字ブリーフィング:

この手の「自然科学本」を私は2ヶ月に一冊ほど読みます。
自然科学の発見は思想にいろんな刺激を与えてくれますから。
中世の哲学者や神学者は自然科学にも通暁していた、
というのはおそらく偶然ではありません。
この本では、「は虫類の脳の小ささ」にもっとも驚きました。

→P25〜26 
〈カメはと言うと体重114キログラムのアオウミガメで
8.6グラムの大脳を持っていることが報告されている。
あまりにカメの脳が小さいのでちょっと心配になってしまうが、
体重205キログラムのワニ(ミシシッピー・アリゲーター)でも
脳の重さは14グラムしかない。
は虫類の脳の大きさはこんなものだと思えば良いのである。
、、、以上をまとめてみると、体重が同じ場合、
ほ乳類は恐竜も含めたは虫類の
10倍以上の大きさの脳を持つと結論できる。〉
(344文字)



●プルーストとイカ

読了した日:2017年7月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:メアリアン・ウルフ
出版年:2008年
出版社:インターシフト

リンク: http://amzn.asia/2dwEX7P

▼140文字ブリーフィング:

この本は立花隆の本で知りました。
変わったタイトルの本ですが、テーマは深いです。
著者はタフツ大学で言語研究をしている方で、
「プルースト」というのは「読書すること」を、
「イカ」というのは神経系を「見える化する」、
脳科学の研究を象徴しています。
つまりこの本のテーマは、
「網膜が文字を捉えてから、
背景的知識や連想も含めて想起しながら、
人間がそこに書かれた文章の意味を把握するまでの、
0.5秒間に起こる脳内の領野の活動のダイナミズムを追う」
というものです。
この0.5秒に右脳と左脳、それぞれのどの領野が、
どんな段階を経て活動するかを追っていくと、
様々な興味深い知見が得られます。

信じられないことですが、かつてソクラテスは、
「書かれた文字の流行」を憂えていました。
「このままでは若者はバカになってしまう」と。
じっさいソクラテスは「口承による伝承」をたいせつにしたので、
キリストと同じく、自ら何も書き残しませんでした。
それを書き残したのはソクラテスの弟子のプラトンでした。
プラトンはソクラテス先生の言うことも分かるが、
文字の有益性も捨てがたい、というジレンマを生きた。
プラトンの弟子のアリストテレスにいたっては、
もはや「本の虫」でした。

、、、これって、どこかで聞いた話ではないでしょうか?
そうです、いまの「ネット社会」を取り巻く現状と似ています。
ソクラテス先生はさしずめ、
「ネットのせいで若者が本を読まなくなった」
ことを憂えている世代です。
プラトンは読書の習慣はあるが、
ネットも役に立つと思ってるので、
読書の内容をインターネット経由でシェアしたりしている中間世代。
(これ、私ですね笑)
アリストテレスはといえば、もう、
子どもの頃からYouTubeとSNSに慣れ親しみ、
本よりもネットから情報の多くを取り込む世代です。

、、、じゃあ、ソクラテス先生は時代錯誤のバカなのか、
というとそうではない。
著者は、読書しているときの脳の動きを研究することで、
ネットから情報を取り込むときと、
読書しているときで、脳の動きは違うと結論します。
そこには「失われる何か」があり、
「あらたに付け加わる何か」があります。
しかし22世紀になって社会が、
「アリストテレス的ネットネイティブだらけ」になったとき、
「いったい何が失われたのか」すらも人類は、
判別できなくなるかもしれない。

最後に著者の「ソクラテス的憂慮」を引用します。
→P329 
〈私は、デジタル世界が他の人々や文化の現実と物の見方を伝える
驚くべき方法を疑問視しているわけではない。
ただ、一般の若い読み手達は、
画面に表示されている情報以上のものを得ようとする必要もなく、
すべてを手に入れられるようになってしまったために、
文章の分析やより深いレベルの意味を探ることを
時代遅れと思い始めているのではないかと思っている。
だからこそ、問いかけているのだ。
私たちの子どもたちは、文章の枠を超えて、
読字のプロセスの真髄を学んでいるのかと。〉
(1,217文字)



●スローターハウス5

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
出版年:1969年(英語初版)
出版社:ハヤカワ文庫SF

リンク: http://amzn.asia/gCsPP1f

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹がよく「人生で影響を受けた小説」として、
「グレート・ギャッツビー」と並んで挙げる作品です。
この小説はめちゃくちゃ不思議です。
SFのようでもあり、歴史小説のようでもある。
主人公が宇宙人と出会ったりするのですが、
それが主人公の脳内で起きたことなのか、
それとも実際に起きたことなのか峻別できない。

この小説の「軸」は、じつは第二次世界大戦中、
連合軍がドイツで行った空爆作戦、
「ドレスデン爆撃」です。
このドレスデン爆撃は、東京大空襲にも匹敵する、
大虐殺の悲劇であり、著者のカート・ヴォネガット・ジュニアは、
ドレスデン爆撃を、「ドイツ軍の捕虜」として体験します。
広島の原爆を捕虜として体験し被爆したアメリカ兵がいましたが、
それと同じ構図です。
その体験は、まさに筆舌に尽くしがたかったので、
彼は「物語というパッケージ」に包んで、
それを告白するしかなかったのです。

村上春樹がノモンハン事件や南京虐殺を、
小説のなかで登場人物に語らせますが、
あの手法はおそらくこの小説から学んだものだと確信しました。
「あとがき」から引用します。

→位置No.3519 
〈ただし、これまでの彼の長編すべてがそうであったように、
ヴォネガットはメイン・テーマをストレートにうちだすような
能のないことはしていない。
というより、それを正面切って書こうにも言葉がないのだ。
彼が戦時中捕虜として体験したドレスデン爆撃は、
個人の理性と感情では測ることも出来ないほど巨大な出来事なのである。
パブリッシャーズ・ウィークリー誌のインタビューで、
ドレスデンの当時の惨状をあらためて問いかける質問者に、
ヴォネガットは「覚えていない」と答えるだけである。
本書のなかで連祷のようにうんざりするほどくりかえされる
「そういうものだ」(So it goes.)という言葉
ーーおそらくそれは、くすぶる廃墟に立ったとき
彼の心に生まれた感情を表現しうる唯一の言葉であっただろうし、
いまでもそれがすべてであるにちがいない。
 、、、奇妙な構成、事実とファンタジーの混融、
空飛ぶ円盤、時間旅行といったSF的趣向、
ほとんど無性格に描かれた登場人物達ーー
しかしヴォネガットには、
このようなかたちでしか自分の体験を語る方法はなかったのだ。〉
(925文字)



●弓と禅

読了した日:2017年7月29日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:オイゲン・ヘリゲル
出版年:1948年(ドイツ語初版)
出版社:角川ソフィア文庫

リンク: http://amzn.asia/5ovdFsH

▼140文字ブリーフィング:

この本はルース・ベネディクトの「菊と刀」と並び、
よく引用される「外国人による日本論」です。
日本には「不立文字」という伝統があります。
「たいせつなことは言葉にならない」という意味です。
対する西洋は、「言葉こそすべて」と思っています。
「はじめに言葉ありき」の世界ですから。
西洋人である著者が、弓道を学ぶ過程を通して、
その「言葉にならない大切なこと」を、
それでも何とか言語化しようと格闘する姿は真摯です。
たとえば師匠が「的を射るのではない、
無となって、あなたの心の中心を射るのだ。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは「無ってなんすか?」みたいなことを聞く。
西洋人だからそういう野暮なことも聞けるのです。
師匠は「それは言葉には出来ない。
言葉に出来た時点であなたはその本質を失う。」
みたいなことを言う。
ヘリゲルは心の中で「は?」と思う。
、、、
みたいな、下手するとコントのような光景が繰り広げられます。
そのなかで、西洋の人が限界まで日本の不立文字を、
「文字化」しようとするとこうなるんだ、
という非常に興味深いサンプルがここに提示されています。
(462文字)



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