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陣内が先週読んだ本2017年10月第二週 『新・所得倍増論』デービッド・アトキンソン 他4冊

2018.04.05 Thursday

+++vol.034 2017年10月17日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年10月第二週 10月8日〜14日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●新・所得倍増論

読了した日:2017年10月10日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: デービッド・アトキンソン
出版年:2016年
出版社: 東洋経済新報社

リンク: http://amzn.asia/b0ep8t8

▼140文字ブリーフィング:

この二年ぐらい、アトキンソンの名前は、
いろんなところで目にするようになりました。
彼は30年以上日本に住んでいて日本語ペラペラのイギリス人です。
このレベルの外国人って、
並大抵の日本人よりはるかに日本に詳しいです。

彼はかつてゴールドマン・サックスにいた、
経済アナリストでもあります。
彼の論点は、「日本人の日本経済分析は甘い」というものです。
本書ではどこが甘く、何を見落としているのか、
ということが様々なデータから説得的に述べられます。

彼の最大の主張は、
「日本はGDPでは世界第三位だが、
 『ひとり当たり生産性』は先進国で最低ランクだ」
ということです。
それだけなら「改善すれば良い」わけですが、
問題は多くの日本人にその自覚がないことだ、と彼は言います。
「分析が甘い」からです。

日本人の多くが認識していない、
本書の前提となる現状認識を引用します。

→P3〜4 
〈日本は1990年、世界第10位の生産性を誇っていましたが、
今では先進国最下位です。
労働者ベースで見てもスペインやイタリアよりも低く、
全人口ベースでは世界第27位です。
1990年には韓国の2.4倍も高かった生産性が、
今は1.04倍まで低下しています。
このまま何も手をうたなければ、
あと2〜3年で韓国に抜かれて、
アジア第4位の生活水準にまで低下するでしょう。

なぜ、そうなったのでしょうか。
これにも、二つの原因があると思います。

ひとつは、日本は世界ランキングに酔いしれて、
実態が見えていない傾向があると言うことです。
厳しい言い方をすれば、「妄想」に浮かされているのです。

日本は、一見すると素晴らしい実績を上げているように見えます。
たとえば世界第三位のGDP総額、世界第3位の製造業生産額、
世界第4位の輸出額、世界第6位のノーベル賞受賞数
―――枚挙にいとまがありません。
しかし、これらすべては日本の人口が多いことと深く関係しています。
潜在能力を発揮できているかどうかは、
絶対数のランキングではなく、「ひとり当たり」で見るべきです。
それで見ると、1人あたりGDPは世界第27位、
1人あたり輸出額は世界第44位、1人当たりノーベル賞受賞数は世界第39位。
潜在能力に比べて明らかに低すぎる水準です。
やはり、やるべきことをやっていないといった問題以前に、
世界ランキングに酔いしれて、
何をやるべきかを分かっていないのではないかと思います。

2つめは、人口減少問題です。
いうまでもなく「GDP=人口×生産性」ですので、
日本人の数が減る中で経済成長するためには、
生産性を上げるしかありません。
本来なら、人口増加が止まった1990年には、
「生産性向上型資本主義」を目指すべきでした。
1995年以降、日本経済が横ばいに推移している理由はここにあります。
人数が増えていないのに、生産性も上げていないので、
GDPは横ばいのままです。
これに関しては、難解なデフレ論などの経済論は不要です。

分析してみて分かるのは、日本型資本主義は1977年以降、
基本的には人口激増による人口ボーナスの恩恵を受けながら
伸びてきた経済モデルだと言うことです。
1990年代に入ってから、
日本型資本主義の基礎であった人口増が人口減に転じたことで、
日本経済のあり方を全面的に変える必要がありましたが、
いまだにその意識は足りないと感じます。
だからこそ、経済は停滞したままなのです。〉

、、、「日本がアメリカの51番目の州になったら、、、」
という議論が時々出ますが、
もし今日本が「本当に」アメリカの51番目の州になったら、
人口ではもちろんトップですが、広さでは5番目です。
アラスカ、テキサス、カリフォルニア、モンタナの次です。
、、、では「ひとり当たりGDP」は?
なんと、下から2番目です。
「日本州」の下にはミシシッピ州しかありません。

「いつの間に日本はそんなに落ちぶれたんだ、、、」
と呆然とする人も多いでしょう。

じっさい生産性という意味での日本の国際的な地位は、
「失われた20年」を経て、1970年のレベルに戻ったことが、
この本を読むとよく分かります。。
まだ90年代の幻想を引きずったまま生きている人が多いのが、
頭の痛い所なのですが、、、。
それは印象論ではなくてデータ的にも確かで、
この45年の世界の株価成長率(約3,500%)は、
1,990年以降の日本の67%という異常な株価成長率の低さによって、
45年で世界平均の成長率に収斂しました。
日本は成熟国家どころか、「生産性発展途上国」であるという認識が必要です。
そのためには具体的には女性の生産性向上が喫緊の課題ですがそれは
「かけ声」や「保育所」によっては起こらないと著者は言います。
「外圧」によってインセンティブが働かなければ
「経営者が経営者の仕事をし、女性の生産性を活用する」
というところに行きません。
著者によればそのプレッシャーは政府によってかけられるべきだし、
何より変化を嫌う経営者は、
そのまま変化しなければ首が飛ぶという仕組みが必要です。
経営者は格差も貧困も自分には関係がないので、
今の仕組みのままだとひとり当たりGDPが上がらなくても、
まったく意に介しません。
「生産性が上がり株価が上がらなければ経営者が職を失う」という
インセンティブによってしか日本の経営者は動かない、
と著者は指摘しています。
私も同感です。
(2,013文字)

追伸:「希望の党」の内部留保課税というのは、
ここでいう「インセンティブ」ではありません。
あれは完全に二重課税だし、設備投資へのインセンティブは働きません。
「何年か後に非正規雇用を正社員にしなければならない法律」が、
労働者を守るどころかより苦しめる法律になるのと同じで、
「内部留保課税」はよりいびつな状況を生み出すだけです。



●天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブではない日々

読了した日:2017年10 月10日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: メイソン・カリー
出版年:2014年
出版社: フィルムアート社

リンク: http://amzn.asia/8LABePz

▼140文字ブリーフィング:

古今東西の、161人の「天才」たちの日課を、
ただただ記録するという「ブログの書籍化」です。
かなり面白いです。
「天才たち」と言ってもカテゴリはかなり限局していて、
8割は作家、残りは画家、シナリオライター、物理学者などです。
「文章を紡ぐという労働」が過酷なものであることを多くの作家が告白していて、
その部分は共感とともに読みました。
「創作活動」というのは過酷な肉体労働に勝るとも劣らない、
苛烈な労働だというのがよく分かります。

→P136 
〈創作活動は非常に過酷で心身を消耗するため、
夜は休んで頭をすっきりさせる必要があると感じていたらしい
(ジェイムス・ジョイス)〉

→P140 
〈「文芸作品がどれほどの高みを極めるかは、
苦しみが作家の心をどれほど深く削ったかによる。
それは井戸を深く掘れば掘るほど、
水面が上昇するのと同じだ」(マルセル・プルースト)〉

→P142 
〈その〈部屋ごもり期〉は、あるとき、ふとひらめいて始まった。
深夜にダブリン港の近くを散歩していたとき、
自分が冬の嵐のさなかに、埠頭の端に立っていることに気づいた。
吹きすさぶ風と荒れ狂う水に挟まれて、とつぜん悟った。
自分がそれまでの人生で―――あるいは創作で、
「必死に押さえ込もうとしていた暗闇」は、
これまで注目されることもなく、自分の目標とも一致しなかったが、
じつはそれこそが創造的インスピレーションの源にちがいない。
「これからずっと暗くふさぎ込むことになるだろう」ベケットはそう考えた。
「しかし、慰めはある。それは、このくらい側面こそ、
自分の優れた面だということを、ようやく受け入れることができた、
その実感だ。それを受け入れ、今後、自分のために役立てよう」(サミュエル・ベケット)〉

→P219 「作家業はきついなんてもんじゃない。悪夢だ」
ロスは1987年にそういっている。
炭鉱を掘るのはきつい仕事だが、作家業は悪夢だ・・・この職業には、
大きな不確実性が構造的に組み込まれている。
これでいいんだろうかという疑念が常につきまとうんだ。
それがある意味で作家を支えてもいる。
よい医者は自分の仕事と格闘したりしない。
だが、よい作家は自分の仕事と格闘している。
大抵の職業では、初期、中期、末期がある。
だが作家業には初期しかない。
仕事の性質上、我々にはそういった新鮮さが必要なんだ。
もちろん作家業にも繰り返しはある。
じっさい、すべての作家に必要なのは、
この非常に退屈な作業をしながら、
じっと座っていられる能力だ。(フィリップ・ロス)〉

、、、161人の「知的労働のポートレイト」を観ていると、
いろんなタイプの「格闘の仕方」があるというのが分かります。
しかし共通していたのは、
一日に創造的な頭脳を使える時間は多くても4時間、
短ければ1時間という「天才ですらその程度」という時間の短さでした。
その「ゾーン」を生活に組み込むためにある人はジョギングをし、
ある人は長時間睡眠をし、ある人は眠らず、
ある人は酒浸りになり、ある人はアンフェタミンに頼り、
ある人は女を抱きまくり、ある人は散歩をし、
ある人は水泳をし、ある人は料理をし、
ある人はまったく料理をしません。
ある人は収入と脳のリフレッシュのために作家業とは別に、
退屈な事務仕事などを掛け持ち、
ある人はまったくそのような仕事と無縁にひたすら書きます。

なんかよく分からないが、励まされました。
グールドが最後から二番目のインタビューで語っていますが、
脳と身体には個性があり、それは天賦のもので、
それをいかにうまく「手なずけるか」にかかっているのだ、
という先人たちのメッセージが聞こえたような気がしました。
「知的で創造的な労働」に携わる人はこの本から得るものが多いと思います。
(1,516文字)



●みんな神様をつれてやってきた

読了した日:2017年10月12日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宮嶋望
出版年:2008年
出版社:地湧社

リンク: http://amzn.asia/0SqAl5k

▼140文字ブリーフィング:

先週に引き続き、
北海道新得にある障害を抱える人々が働く牧場、
「共働学舎」の宮嶋望さんの本を読みました。
先週読んだ「共鳴力」のほうが網羅的でしたが、
こちらの本も面白かったです。
ゼロからの酪農とチーズ作りというのは、
私も帯広に6年いましたからどれぐらい大変か想像がつきます。
私には絶対にできないと思います。
宮嶋さんは人から「どれぐらい苦労しましたか?」
と聞かれるといつも、
「北の国から」の黒板五郎さんよりちょっと大変でした、
と答えているそうです笑。
私は「純」のように根性がないので、
彼のような人を本当に尊敬します。
30年間の共働学舎の歩みを彼は「宝探し」と総括しているのが、
とても印象的でした。

→P206 
〈次の時代が求める新しい種は、どこに埋まっているだろう。
どこかで芽を出す時を待っているはずだ。
これからも僕らがいる農場には、
そうした種を宿した人間がやってくるに違いない。
それはどんなふうに育ち、どんな花を咲かせるだろう。
社会の中に存在する意味が見いだされなかった人の中に、
次の社会をつくり出す新しい可能性を見つけることができたら、
それは僕らの宝となる。
僕らが見つけてきた宝は、その持ち主を豊かにし、
周りを豊かにし、社会を豊かにしてくれる。
共働学舎新得農場を三十年続けてきて「何をしてきたか」と問われたら、
僕は「宝探し」と答えるだろう。〉
(568文字)

▼参考リンク:「共鳴力」宮嶋望
http://amzn.asia/0A94u7h



●紙の月

読了した日:2017年10月12日
読んだ方法: 図書館で借りる

著者: 角田光代
出版年:2012年
出版社: ハルキ文庫

リンク: http://amzn.asia/5QE5PlK

▼140文字ブリーフィング:

吉田大八監督の映画を観て、
原作を読みたくなりました。
銀行で横領をした女性の話ですが、
「集金カバンから5万円を借りる」という小さな行動が、
雪だるま式にエスカレートし、最後は1億円を横領します。
臨場感があり、「ホラー」よりも人の内面は怖い、
ということを再確認できる作品です。
(135文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドます。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:「新・所得倍増論」

コメント:
アトキンソン氏の書籍はちょっとしたブームの様相を呈しています。
日本の「労働時間は長いが労働の密度は薄い」という状況を、
なんとかしなければならないのですが、
構造的な問題が潜んでいるため改革はなかなか進まない。
「一日中お茶を飲みながら噂話をし、
時々書類にはんこをついている50代の管理職が、
現場をかけずり回りながら、
社会にとってイノベーティブな生産をしている、
非正規の30代の契約社員の4倍の給料をもらっている」
というような状況が続く限り、日本の未来は暗いでしょう。
まずは「同一労働、同一賃金」に近づけることが大切、
と私は思います。
(250文字)



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