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陣内が先月観た映画 2017年11月 『アクト・オブ・キリング』他13本

2018.05.24 Thursday

+++vol.041 2017年12月5日配信号+++


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年11月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●コンタクト

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ロバート・ギメセス
主演:ジョディ・フォスター他
公開年・国:1997年(米国)
リンク:http://amzn.asia/aw8t5ha

▼140文字ブリーフィング:

この映画は大学時代に一度、
知り合いの家でレンタルビデオ(!)で鑑賞したことがあります。
(大学時代、私はテレビを持っていませでしたので)
、、、で、20年ぶりにもう一度見返してみたのですが、
結果、めちゃくちゃ面白かったです。
20年の歳月が経つと、人間は別人になっていますから、
「別人が観る同じ映画」はもはや「違う映画」だ、
ということを再確認しました。
天体物理学者でありSF小説作家のカール・セーガンが原作の本作。
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキスです。
テーマは「科学と宗教」。
「現代の『超越性』は宇宙と深海にあるんだなぁ byみつを」
と考えながら鑑賞しました。
「宇宙と深海」こそが、まだ人類が「知り得ない領域」、
つまり科学によって「脱神話化」されていない知の領域です。
だから宇宙に関する論争は「神学論争」に近づくのです。

地球外生命体からのメッセージが、
「素数」だったというのもわくわくします。
一定の周波数の信号が、
「1回、2回、3回、5回、7回、11回、13回、17回、、」
と送られてくる。
観測所の研究者たちが、「素数だ!!!」
と叫ぶシーンは鳥肌ものです。

この映画を観ていると、
宗教に引きこもる原理主義のキリスト教徒よりも、
未知のものへの畏敬を覚える無神論の科学者のほうが「敬虔」に見えます。
元祖「リケジョ」の宇宙研究者の主人公(ジョディ・フォスター)と、
カウンターパートの宗教界の異端児が対照的に描かれます。
彼らは、持っている「言葉」は「宗教と科学」で真逆に見えますが、
「真理を知りたい」という求道者であるという点において同類です。
彼らは同じ両面マジックミラーに、両サイドから歩み寄っているのです。

最後に彼が「彼女を信じる」と言ったのは印象的です。
宗教家が無神論者の科学者を「信じる」と表現したわけです。
オッカムの剃刀(=単純な説明が正しい)のくだりも面白かったです。
宗教界の異端児の彼氏に主人公のリケジョは、
「創造者がこの宇宙を作り、
 そのあとに自らの存在証明を消去したか、
 もしくは存在しない神を人間が作ったか、
 どちらが単純な説明かしら?」と聞きます。
彼女の意図は「オッカムの剃刀」に従えば、
人間が脳内で神を造ったと方が妥当だ、という含意があります。
それに対する彼氏の返答は、
「君は証拠がないから神がいないと言う。
 じゃあ、君は亡くなったお父さんを愛してる?」
「もちろん」
、、、「じゃあ証拠は?」

ネタバレになりますが最後に主人公は地球外生命体に出会います。
その出会い方というのは、他者には分からないけれど、
彼女の脳内に地球外生命体がメッセージを送る、
というもので、巨大プロジェクトに関わった人はひとりも、
彼女の「体験」を信じませんでした。

彼女の有罪を決める諮問会で主人公は、
「18時間の主観的な宇宙の旅」を実証するよう迫られ
かつて自分が彼氏に「神の証明」のために用いた
「オッカムの剃刀」にもとづいて問い詰められます。
「一瞬のうちに宇宙人があなたを宇宙に連れ出し
しかもその証明を放棄したか、
もしくはあなたが妄言を言っているだけか?」

主人公は説明を放棄し、
「自分の人生観が変えられたことが証拠だ」とだけ言います。
(*主人公にとって宇宙への希求は、
 自分の夢を応援してくれた死んだ父親を求める旅でもあります)
世間が彼女を見放した後で、
彼氏の宗教家は「私はあなたを信じる」という。
喧嘩別れした宗教と科学が、
「真実の追究」「愛と尊厳」というところで最後に出会える、
という素晴らしいメッセージでした。
名作です。
(1,423文字)



●打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

鑑賞した日:2017年11月2日 (愛知へ行く新幹線で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:岩井俊二
主演:奥菜恵他
公開年・国:1992年(日本)
リンク:http://amzn.asia/1VZC3ba

▼140文字ブリーフィング:

今年、アニメ化でリメイクされました。
もともとは45分ぐらいの短編ドラマです。
なんと、監督は岩井俊二。
彼がまだメジャーになる前のテレビ企画です。
敢えて言えば「スタンド・バイ・ミー」的な感じですかね。
面白くない訳ではないですがさすがに古い感じはします。
当時(多分)14歳とかの、奥菜恵のアイドル映画としては、
貴重な映像資料です。
アニメ版、ちょっと興味を持ちました。
(180文字)



●ウッジョブ!神去なあなあ日常

鑑賞した日:2017年11月2日 (愛知に行く新幹線で鑑賞)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:矢口史靖(しのぶ)
主演:染谷将太、伊藤英明、長澤まさみ
公開年・国:
リンク: http://amzn.asia/eRHrywO

▼140文字ブリーフィング:

「ウォーターボーイズ」の矢口監督による、
「林業」をテーマにした映画です。
期待してなかったけど、相当に面白かったです。
特に伊藤英明が完全にはまり役でした。
都会っ子の主人公が田舎の林業生活で鍛えられて、
だんだん男らしい大人になっていく、
という王道のストーリーですが、
何よりこの映画の素晴らしいのは「林業」という、
農業以上にあまり知られていない職業世界を、
一般の人に丁寧に教えてくれるところでしょう。
木材の「競り」とか、初めて見ました。
ベテランの職人がこう語ります。
「農家なら育てた作物を食べた人が美味しいと言えば仕事の結果が分かる。
しかし林業は、良い仕事をしたかどうか分かるのは自分が死んだ後なんだ」
林業は私たちの工業化された社会とは、
「タイムスケール」が違うのです。
この映画の中の「競り」で、一本80万円で落札された木は、
明治時代に、曾祖父の代に植えられた木でした。
良い作品です。
先週二冊本を紹介したマキタスポーツの演技も味があります。
(430文字)



●クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲

鑑賞した日:2017年11月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:原恵一
主演:矢島晶子(しんちゃん)他
公開年・国:2001年(日本)
リンク:http://amzn.asia/cHxrIq4

▼140文字ブリーフィング:

この作品は映画ファンのなかでカルト的な人気があり、
異常な高評価を獲得しています。
私の好きな映画評論家のひとりは言っています。
「これは日本の『アニメ映画史に残る作品』ではない。
 『日本映画史』に残る名作だ」と。
「そんなに言うなら見ようじゃないか」
と鑑賞しましたが、評判通りの名作でした。
原恵一監督、スゴイです。
これが公開されたのは2001年ですが、
この作品が「ALWAYS3丁目の夕日」より前に、
造られていることを知り、2回驚きました。
完全にALWAYS3丁目的なるものへの批判になっています。
「懐古趣味から、未来の選択へ」。
私たちはいい加減昭和を懐かしむことを止めて、
前に進まなければなりません。
平成という元号も終わろうとしている今、
私たちが見返すべき映画のひとつです。
私はテレビ放送も映画も含め、
「しんちゃん」を生涯で1回もちゃんと観たことがありませんでしたが、
この映画にはやられました。
これは「しんちゃん」というフォーマットの力ではなく、
90パーセント以上、原監督の力です。
熱いメッセージを受け取りました。
(454文字)



●クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:原恵一
主演:矢島晶子(しんちゃん)他
公開年・国:2002年(日本)
リンク:http://amzn.asia/ez2U6Np

▼140文字ブリーフィング:

「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」が良すぎたので、
翌年の原監督のしんちゃん映画も鑑賞しました。
こちらもまた名作です。
先の映画評論家曰く、
「日本にある時代劇ドラマ/映画のなかで、」
突出して時代考証がしっかりしている」。
たしかに、食べ物、武器のありかた、
戦のときの人々の振るまい方など、
めちゃくちゃ勉強になります。
「雰囲気で」時代劇を作るのではなく、
資料を読み込んで、当時の人々の生活や行動様式を
研究したうえで作られているのがよく分かります。
また、「説明的」なところがなく無駄なシーンがありません。
原恵一監督の見事さが現れています。
原監督自身が、「子ども向け映画」と侮っていない証拠です。
「子どもだましでは子どもはだませない」というのは、
頭の良い大人なら誰でも知っていて、
「大人でも十分鑑賞に堪えるものを、
 子ども向けにわかりやすくしたときに、
 はじめて子どもにもちゃんと伝わる」のです。
原監督はそのあたりを非常によくわきまえています。
(412文字)



●宇宙人ポール

鑑賞した日:2017年11月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレッグ・モットーラ
主演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、セス・ローゲン
公開年・国:2011年(イギリス)
リンク:http://amzn.asia/gp16U7F

▼140文字ブリーフィング:

こちらもかなり面白かったです。
掘り出し物でした。
とにかく「痛快」な映画で、
宗教保守派の思考停止批判にもなっています。
笑えるし、様々な映画へのオマージュが気が利いています。
この感じ、私は好きです。
(97文字)



●ロックスター

鑑賞した日:2017年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブン・ヘレク(制作総指揮:ジョージ・クルーニー)
主演:マーク・ウォールバーグ、ジェニファー・アニストン
公開年・国:2001年(アメリカ)
リンク: http://amzn.asia/9XyT0TC

▼140文字ブリーフィング:

若かりしジェニファー・アニストンが可愛い映画です。
主人公は「ロックスター」に憧れ、
平日はコピー機を売り、
休日に仲間と組んだバンドのヴォーカルとして、
地元でコンサートをしています。
とあるきっかけで才能を見いだされメジャーバンドに引き抜かれた彼は、
ショービジネスの華やかな世界に飛び込み、
シンデレラストーリーを駆け上がります。
しかしそんな生活をしばらく続けた後、
「判で押したように革ジャンを着て、
 判で押したようにドラッグをやり、
 判で押したように複数の女と寝て、
 判で押したようなおきまりの歌声で歌う。
 、、、なんだ、こんなのサラリーマンと同じだ。
 いや、サラリーマンよりつまらない。」
と幻滅し、夢にまで見たロックスターをやめて、
地元のバーでフォークソングを歌うことを選びます。
最後の場末のカラオケ喫茶で自分を表現し、
大切な人を大切にする主人公はカッコいいです。
(378文字)



●アクト・オブ・キリング

鑑賞した日:2017年11月8日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:ジョシュア・オッペンハイマー
主演:ドキュメンタリー映画
公開年・国:2012年(英国・デンマーク・ノルウェー)
リンク:http://amzn.asia/7zMLQSa

▼140文字ブリーフィング:

もうね、これはね、語れません。
言語化不可能です。
衝撃的でした。
今までに観た他のどんな映画とも違います。
一応簡単にだけ説明すると、
スカルノ大統領の時代にインドネシアで軍事クーデターがおきました。
その軍事政権は全国的に「共産党員狩り」と称して、
組織的な民族虐殺をした。
その虐殺に関与した人々は今も既得権のなかでのうのうと生きています。
監督は彼らに、「虐殺を再現する映画を撮って下さい」とお願いするのです。
すると彼らは何と拒絶するどころか、
自分たちを英雄として讃える映画を嬉々として取り始めました。
それをさらに第三者の視点で観察するという「メタ構造」を持った映画です。
あまり万人にお勧めできる映画ではありませんが、
観た人は一生忘れられない映画になるのは間違いありません。
特に、ラスト5分は地獄の深遠をのぞき込むような経験をします。
「地獄からの音」を、ラスト五分で鑑賞者は聞きます。
フィクションでも、やらせでもなく、現実に。
どんなホラー映画よりも怖い。
ただただ、すごいとしか言えません。
圧倒されました。
(434文字)



●苦役列車

鑑賞した日:2017年11月2日 
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:山下敦弘
主演:森山未來、前田敦子、高良健吾
公開年・国:2012年(日本)
リンク:http://amzn.asia/isxqNnf

▼140文字ブリーフィング:

西村賢太の芥川賞受賞作の映画化です。
原作は5年ほど前に弟に勧められて読みました。
そんなに「楽しい映画」とは言えませんが、森山未來のクズぶり、
マキタスポーツの自然さなど、けっこう観ていられました。
私が感想を語るよりも、
Amazonレビュアーの秀逸なレビューがありましたので引用します。
〈生きるすべを学ばなかった青年のお話。
小さい頃に家族も信じる心もなくした貫多(主人公)、
愛を知らない、家族を知らない、友達を知らない、恋人を知らない。
無知故にその日暮らしの堕落した生活を続ける。
人間性もない底辺の生活。
人生の中ではじめての友達も己の卑屈さ故に失ってしまう。
お金もない、知識もない、学歴もない、
根性もない、友達もない、家族もない。
それでも人生という名の苦役列車は日々走り続ける。〉
、、、そういう映画です。
(350文字)



●アウトレイジ ビヨンド

鑑賞した日:2017年11月10日(金)
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:北野武
主演:三浦友和、小日向文世、ビートたけし、西田敏行、加瀬亮、他
公開年・国:2012年(日本)
リンク:http://amzn.asia/apHP8Mc

▼140文字ブリーフィング:

先月「アウトレイジ」を観てもう私は、
「やられちゃった」わけです。
その魅力に完全に取り憑かれてしまいました。。
アウトレイジが他のいわゆる「ギャング映画」と違うのは、
日本のヤクザの抗争を描くだけでなく、
その行動原理や組織力学を描写したところにあります。
「筋を通す」「大義名分」、「かたちだけだよ」という台詞、
そういったロジックで彼らは、
「『スジ』をめぐるパワーゲーム」をしているわけです。
実はアウトレイジシリーズはヤクザの話でありながら、
これは日本の「カイシャ」の話なのです。
前作で「山王会」の会長を殺害し上り詰めた加藤(三浦友和)が、
不祥事の責任をとり落とし前を付けるために「引退」した直後、
後任の会長に「おい、お前どこ座ってんだ?」と、
怒られるシーンは定年退職後「何者でもなくなる」、
日本のサラリーマンの悲哀を象徴しています。
この映画を観ていると日本の組織のなかで生きることの、
辛さや葛藤や手続きや作法を肌で感じられます。
あと、オフィス北野のたけしの「弟子」、
玉袋筋太郎は東西のヤクザの抗争を描いた「ビヨンド」以降は、
関西吉本系芸人対(主に浅草)関東系芸人の対立、
という構図のメタファーでもあるのではないか、
という「深読み」もしています。
じっさいたけしは漫才ブームのとき、
関西の漫才師がどんどん押し寄せてきてかなり焦った、
と後に著書に書いているので、あながち外れてはいないかもしれません。
アウトレイジシリーズはいろんな楽しみ方が出来ます。
「最終章」が楽しみです。
はやくDVD化されないかなぁ。
(646文字)



●家族はつらいよ

鑑賞した日:2017年11月12日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:山田洋次
主演:橋爪功、妻夫木聡、蒼井優他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:http://amzn.asia/1yOM8EV

▼140文字ブリーフィング:

言わずと知れた「男はつらいよ」の山田洋次監督作品。
この作品はなんというか、ポストモダン的二次創作の精神にあふれています。
時系列で説明すると、まず小津安二郎の「東京物語」という映画があります。
面倒なので説明はしませんが、世界中の映画ファンに、
「これまでの映画でどれがベストですか?」と聞くと、
チャップリンの「モダンタイムズ」とか、
ゴッドファーザーシリーズとか、
ヒッチコックの「サイコ」とか、
キューブリックの「2001年宇宙の旅」とか、
黒澤明の「七人の侍」などに並んで、
けっこう多くの人が挙げるのがこの「東京物語」なのです。
それほどクラシックで定番な作品です。
その小津安二郎の東京物語を、
山田洋次が2013年に「オマージュ作品」として、
筋書きはそのまま、時代を現代にして取ったのが、
「東京家族」です。
これは私は愛知に出張中に映画館で観ました。
とても良い映画でした。
この「家族はつらいよ」は、
その「東京家族」の家族構成はほぼそのまま、
役者もそのままで、「別の映画」を二次創作した作品です。
「劇団東京家族」の次の講演、という感じでしょうか。
さらにタイトルに現れているように、
「男はつらいよ」シリーズへのセルフオマージュでもあるわけで、
何重にも自他の作品の「二次創作」になっています。
超ベテラン監督にこんな意欲的なことをされたら、
若手はいったい何をしたら良いのでしょうか。
山田洋次はやはり「上手」ですので、
たいしたことは起こらないのですが、
家族群像劇としてずっと見ていられます。
小津安二郎へのオマージュとしての、
「ローアングル」なカメラワークがハマります。
(673文字)



●レッドタートル

鑑賞した日:2017年11月20日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット(スタジオジブリ作品)
主演:なし(サイレント映画のため)
公開年・国:2016年(フランス、日本)
リンク: http://amzn.asia/eQYu0Id

▼140文字ブリーフィング:

この作品は度肝を抜かれました。
貧乏な私が、DVD買おうかどうか迷ってるぐらい笑。
台詞がいっさいないので、全世界の人が同じ映像(と音声)を観ています。
そして、伝わるメッセージも多分どこの国の人であっても「だいたい同じ」。
こういうのを「ユビキタス」というのですが、
これほどに「ユビキタスな映画」を私は見たことがありません。
無人島に流れ着いた主人公の一生を描く本作は、
アダムとイブ、ノアの洪水がモチーフになっており、
「現代の創造神話」という感じです。
「映画は台詞が少ない方が面白い」説を私は唱えたくなりました。
じっさい、スクリーンの向こう側がしゃべらないと、
それと反比例するように、鑑賞者の脳内ではたくさんの自己対話が行われます。
登場人物はいっさいしゃべらず、
「風の音、波の音、虫の声、鳥の羽ばたき、
 主人公の息づかい」だけが聞こえます。
「星がまたたく音」すら聞こえそうな気がします。
そして、自然に身を浸すとしばしば起こるように、
鑑賞者の内部では静かな自己対話が進行します。
すばらしい映画でした。
映画館で観なかったことを悔やみました。
私の好きなテレビゲームに、PS2の「ICO」という作品がありますが、
その世界観にどことなく似ていて、
ゲームをプレイしているような気持ちにもなりました。
(534文字)



●何者

鑑賞した日:2017年11月25日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:三浦大輔
主演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、山田孝之、岡田将生
公開年・国:2016年(日本)
リンク: http://amzn.asia/b2ukZmN

▼140文字ブリーフィング:

「桐島、部活やめるってよ」の原作者、朝井リョウ原作の映画化です。
先週紹介したマキタスポーツの著書「一億総ツッコミ時代」で、
「自分は何かに没入することなく、
 安全な場所から他者を『評価』して、
 承認欲求を満たす人々」というのが、
リアルに映像化されています。
なので「一億総ツッコミ時代」を副読本として読むと、
この映画は2倍楽しめます。
自分は「評価される側」に回らず舞台に立たず、
人に評価を加え続けるツイッター民の主人公はしかし、
「就職のための面接」という「評価される」舞台に強制的に立たされます。
彼が他者の冷笑的な批判者であることをやめ、
「舞台に立つ覚悟」をしたときにはじめて面接官に評価されはじめる、
というシークエンスはぐっと来ました。
それにしても本作、良い意味で「痛い」作品です。
神経がヒリヒリします。良い意味で。
(358文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「レッドタートル」

コメント:
先月は良作ぞろいだったので非常に悩みました。
140文字ブリーフィングを書きながら、
「いったどれが作品賞なんだろう?」と、
自分でわくわくしていました。
「それはお前次第だよ!!」というツッコミはごもっともですが、
本当にどれが作品賞になるかは、
この項目を書き始めるまで自分のなかでも分からないのです。
いや、マジで。
具体的には、
1.クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆修
2.アクト・オブ・キリング
3.アウトレイジビヨンド
4.コンタクト
5.何者
6.レッド・タートル
このどれが作品賞になってもおかしくなかった。
しかし、「総合判断」の結果レッドタートルですね。
この6本は全部同じぐらい面白かったのですが、
最後の最後の選考基準は、
「思い出したとき、心があったかくなるかどうか」
で決めました笑。


▼主演(助演)男優賞
小日向文世(アウトレイジビヨンド)

コメント:
「ビヨンド」の面白さはやはり、
小日向文世の面白さだったな、と思います。
彼はヤクザではなくて警察官ですが、
どちらがヤクザか分からないぐらい「怖くてズルい」です。
彼が暗躍することでローカルヤクザの小さなもめ事という、
小さな雪だまが雪山を転がり、
やがて巨大な「戦争」に発展していくシークエンスは快感です。


▼主演(助演)女優賞
ジョディ・フォスター(コンタクト)

コメント:
この映画のジョディ・フォスターはとても良かったです。
「女子力低め」の理系女子(リケジョ)を、
説得力をもって演じています。
そもそも原作が良いのかもしれませんが、
とにかく魅力的な主人公です。
「真理の探究者」という科学者のまっすぐさに共感を覚えます。


▼その他部門賞「問題作賞」
「アクト・オブ・キリング」

コメント:
この映画を忘れることはないでしょう。
忘れたくても忘れられない。
それほどの爪痕をこの映画は残しました。
とにかくものすごい映画でした。
虐殺という本当にあった現実を目の前に、
人間というのは「ここまで」できてしまうんだ、という驚愕と、
その「そこまで」した大量殺人者たちが見せる、
「どこにでもいそうな普通のおじさん感」からは、
「悪の凡庸さ」(byハンナ・アーレント)を見せつけられます。
とにかくすごかった。
あーびっくりした。




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