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陣内が先週読んだ本 2017年12月第一週 『失敗の科学』マシュー・サイド 他2冊

2018.05.30 Wednesday

+++vol.042 2017年12月12日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年12月第一週 12月3日〜9日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●失敗の科学

読了した日:2017年12月8日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マシュー・サイド
出版年:2016年
出版社:ディスカバー・トゥエンティワン

リンク:http://amzn.asia/3d9wVuY

▼140文字ブリーフィング:

義理の兄に教えてもらいました。
非常に、非常に、面白かったです。
著者の問題設定は、
「航空機事故は一貫して減り続けているのに、
 医療ミス、警察の誤認逮捕、裁判所の冤罪はなぜ減らないのか」
という疑問に端を発します。

報告されていないものも含めると医療事故というのは、
ものすごい件数が起きており、その死者数はアメリカ一国だけで、
毎月3回、9.11のテロが起きているのと同じぐらいになるそうです。
一方、航空機事故というのはこの数十年、一貫して下がり続けており、
飛行機は自動車よりはるかに安全な乗り物だということはもはや常識です。
具体的には飛行機事故の確率は100万フライトに0.37回。
生涯100万フライトした人、つまり80歳まで生きた人だと、
生まれてから死ぬまで一日休まず30回飛行機に乗り続けると、
3分の1の確立で事故にあいます。
つまるところ、殆ど宝くじに当たるような確率でしか、
私たちは事故にあいません。
一方、一生の間に自動車事故で私たちが死ぬ確率は、
車に乗らなくてもだいたい「200〜100分の1」ぐらいです。
(事故死の半分は歩行者ですから)
これはかなり高い。

人は感情の生き物なので、
「コントロールできないが低いリスク」を、
「コントロールできるが高いリスク」より高く見積もる、
という認知バイアスを持っています。
この認知バイアスが多くの不合理な行動を取らせるのですが、
この話はまた別の話なので今日は置いておきます。

、、、で、本書ですが、
著者は、
「なぜ航空業界はこんなに安全性が高まっているのに、
 医療はそうではないのだろう?」
ということの原因を探り始めました。

すると面白いことが分かってきた。

航空業界は「失敗を解析し、次の事故防止につなげる」
という確固たる意志と構造的な仕組みと、
そして失敗を報告することが報償され、
失敗を隠すことが懲罰される(そもそも不可能)という、
長年の経験知を積み上げてきてきたのです。
すべてのフライトで「ブラックボックス」と言われる、
操縦室のすべての音声と操作が録音、記録されているデータは、
飛行機が墜落しても壊れないようになっており、
そのブラックボックスは「宝の箱」と考えられています。

一方医療、裁判官、警察官の場合、
失敗を報告するインセンティブ(誘引)よりも、
失敗を隠蔽するインセンティブが高くなっていることが多い。
そこに共通するのは「権威の無謬性」と、
「検証を拒む態度」だと著者は言います。
医者や裁判官や警察官は、「自分が間違っていた」と、
言いづらい組織文化、精神構造を持っており、
その組織体質は「失敗から学ばない」ように構造化されている、
というのです。

医療ならば具体的には、
患者が死後の病理解剖に献体することを意思表示していても、
それが実際に行われるケースは究めて低い、というところに現れます。
つまり、解剖しちゃったら、「全部分かっちゃい」ますから。
どの部分が誤診で、どの部分が正しかったのか、
「答え合わせ」できてしまう。
それは困るわけです。
「医師は常に正しい」という神話が崩れてしまいますから。

航空機ならばどうでしょう?
何か大きな事故や「ヒヤリ・ハット」事象があったとき、
「病理解剖」は必至です。
ただちに「ブラックボックス」がまな板の上に乗せられ、
何が悪かったのか、何を改善すれば再発しないのか、、、
といった議論が行われます。
その議論には「対策という宝」が詰まっています。

「自分たちは無謬で失敗は悪である」と考えるか、
「人間は間違う。失敗は宝の山である」と考えるか、
個人や組織や業界には、この二種類があり、
長期的にみてその質を高め続けられるのは明らかに後者だ、
というのが著者の主張です。

詳述はしませんが、
二つの印象的な箇所を引用します。
ひとつは質の向上のためには、
「質より量!」だというのを証明する実験。
もうひとつは、
「日本全体が先ほどの意味で『前者(失敗を悪と考える)』だ」
という話です。

→P169〜170 
〈『アーティストのためのハンドブック
――制作につきまとう不安との付き合い方』の著者
デイヴィッド・ベイルズとテッド・オーランドは、
同書でこんな実験を紹介している。

ある陶芸クラスの初日、生徒が2組に分けられ、
一方は作品を「量」で評価し、もう一方は「質」で評価すると告げられた。
量のグループは最終日に全作品を提出し、
各自、総重量が50ポンドなら「A」、40ポンドなら「B」と評価される。
質のグループは質のみによる評価なので、
自分で最高だと思う作品を一つ提出すれば良い。

結果、面白い事実が明らかになった。
全作品中最も「質」の高い作品を出したのは、
「量」を求められたグループだったのだ。

ベイルズとオーランドはこう指摘する。
「量のグループは、実際に作品を次から次へと作って試行錯誤を重ね、
粘土の扱いも巧くなっていった。
しかし質のグループは、
最初から完璧な作品を作ろうとするあまり
頭で考えることに時間をかけすぎてしまった。
結局後に残ったのは、壮大な理論と粘土の塊だった」

似たようなことは政治分野でもみられる。
たとえば「制服の着用は規律を高める要因になるか」
と言う議論(空論になることも多い)があったとしよう。
こういう場合、政治家はすぐに心理学者に意見を聞き、
高い役職の人間を集め協議を開く。
これこそまさに無駄に綿密なトップダウン式のやり方に他ならない。
時間を浪費する代わりに、得られるものは「粘土の塊」だ。
本来彼らがなすべきなのは検証作業であり、
何をどうすれば本当に規律が高まるのか、
何が役に立たないのかをひとつひとつ実際に試すことだ。
もちろん失敗の数は増えるだろう。しかし、だかこそ多くを学べる。〉


→P302〜303 
〈失敗に対する姿勢の違いについて、
ここでは起業精神という観点から考えてみたい。
アメリカの起業家は、最初のベンチャーが失敗しても
そこであきらめることは滅多にない。
「自動車王」のヘンリー・フォードはその典型だ。
彼が最初に起業したデトロイト自動車会社は失敗に終わった。
次のヘンリー・フォード・カンパニーもそうだ。
そして3番目に創業したフォード・モーター・カンパニーで世界を変えた。
彼はこんな言葉を残している。
「失敗は、より賢くやり直すためのチャンスに過ぎない」

一方、日本ではまったく文化が異なる。
複雑な社会的・経済的背景の影響によって、
失敗は不名誉なものとみなされる傾向が強い。
失敗は、基本的に自分だけでなく家族にとっても恥なのだ。
ビジネスが失敗して非難されるのは珍しいことではなく、
非常に厳しく責任を追及されることも多い。

起業精神に関する統計を見てみよう。
世界銀行のデータによれば、日本の年間起業率はOECD諸国のなかで最下位だ。
2013年においては、アメリカの3分の1に留まった。
また「OECD科学技術・産業スコアボード2008」によれば、
ベンチャー投資額についても日本が最下位だ。
アメリカの投資額は、対GDP比で見ると日本の20倍以上になった。
同様のデータはまだある。
国際的起業家調査(グローバル・アントレプレナーシップ・モニター)では、
日本の18〜64歳の人口のうち、
起業活動を積極的に行っているのはたった1.9%という結果が出ている。
カウフマン財団(起業家育英などにかかわるアメリカの非営利団体)の調査によれば、
現在アメリカでは8人に1人(11.9%)が企業活動に従事しているという。
これは先進国の中ではほぼトップだ。

起業意識の違いが、経済全体に実質的な影響を及ぼすことは言うまでもない。
ウォートン・スクールの学生が書いた論説では次のように書かれていた。
「日本では『機会志向 Opportunity-driven』の起業精神が相対的に不足しており、
それが過去20年間の経済停滞の一因となっている」。
一方、アメリカでは、起業家精神が
経済繁栄をもたらした要因の一つと考えられているようだ。
「実証研究によって、機会志向の起業精神こそが、
現在の市場経済における成長の源だということが明らかになっている」
 
しかし起業精神の違いは、
本当に失敗の受け止め方の違いによるものなのだろうか?
その答えを出そうと、GEMは2009年、
イノベーション志向の先進諸国20カ国で、
起業に関する大々的な意識調査を行った。
結果は明白だった。
起業失敗に対する恐怖心が最も高かったのは、
日本人だったのである。アメリカ人は最低クラスだった。〉

、、、どうです?
インパクトがありますね。
失敗するのが嫌だからチャレンジしない、
という日本の文化が変わらなければ、
「失われた20年」は、「失われた30年」になり、
最後には「失われた国」になる日も遠くありません。
日本社会は「失敗を奨励する」方に舵を切らなければばならないと、
私はあらゆる意味で思うのですが、
子どもの将来の夢の第一位が「正社員(公務員)」であり、
メディアは失敗した人を嬉々として袋叩きにしていますから、
しばらくは望み薄かもしれません泣。

最後に本書に引用されていた、哲学者カール・ポパ―の名言を紹介します。 
「真の無知とは、知識の欠如ではない。学習の拒絶である。」
(3,637文字)



●ラストシーン

読了した日:2017年12月8日
読んだ方法:蒲郡のツタヤで書籍購入

著者:北野武
出版年:2017年
出版社:(株)ロッキング・オン

リンク:http://amzn.asia/ce0Bju4

▼140文字ブリーフィング:

70歳の北野武のインタビュー。
彼の書いたもの(語りおろし)を読むといつも、
とんでもなく頭の良い人だ、と私は感服します。
思考の切れ味というか、そういうのがハンパじゃない。
しかも彼の頭の良さの質は、文系ではなく理系のそれです。
漫才でもテレビ番組でも映画撮影でも、
彼は感性とかいうフワフワしたものに頼っておらず、
全部「素因数分解」の考え方で分解し構築している。
そして、そのギリギリのところを詰めると、
最後は「感性(情緒)」に行き着くことも知っている。
まさに日本が生んだ数学の天才、岡潔の思想です。
私の脳はかなり理系寄りなので、
余計彼の思考に心酔するのかもしれません。
(276文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:「失敗の科学」

コメント:
先週は実は風邪を引いてしまい2冊しか本を読めなかったのですが、
久しぶりに自信を持ってお勧めできる本を紹介できます。
勢い余って3,500文字以上紹介した、
「失敗の科学」。
すばらしい本でした。
今Kindleで、タレブの「反脆弱性」を読んでいますが、
まったく同じテーマです。
「失敗の科学」のほうが短くて読みやすいと思います。
買って読むに値する本です。超お勧めです。



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