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陣内が先月観た映画 2018年1月 『君のためなら千回でも』 他11本

2018.07.24 Tuesday

+++vol.050 2018年2月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年1月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●君のためなら千度でも

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:義理の兄に貸してもらう

監督:マーク・フォースター
主演:ハリド・アブダビ他
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d6QFQfp

▼140文字ブリーフィング:

義理の兄が貸してくれたDVDを、
正月に妻が実家に3日間帰ったとき、家で一人で見ました。
うるっと来たとかじゃなく、ラストシーンでは普通に泣いてましたね。
こんなにまんまと映像で泣かされたのは「北の国から」以来です。

この作品は背景が入り組んでいますので説明します。
筋立ては東西冷戦下のアフガニスタンで生まれ育った、
幼なじみ(お坊ちゃんと召し使い)のその後の話です。
小さい頃は親友だけど、「身分が違う二人」が、
その後どうなったか、という話です。
家庭環境の異なる二人の少年の友情とその後、
という意味では、「北の国から」の、
純と正吉の話にも少しだけ似ています。

↓↓【注意】これ以降明確なネタバレがあります↓↓

お坊ちゃんの主人公の名前はアミール、
その家の召使いの子どもであるアミールの「親友」はハッサンと言います。
二人はアフガンで少年時代に凧揚げをして遊んでいました。
地元の凧揚げ大会で、二人は優勝します。
優勝したとき、遠くに落ちた凧を取りに行くハッサンは、
そのときは「平等」だった主人公のアミールに、
「君のためなら千回でも」と声をかけ、走り去る美しいシーンが、
前半にあります。この友情にまず胸が熱くなる。

その後にハッサンは年上のチンピラに虐待され、
それを主人公は見ていたが勇気がなく助けられませんでした。
その事件をきっかけに、二人のの距離は離れていきます。

ときは経ちアミールが大人になった頃、彼はアメリカに住んでいます。
家族はアフガンに侵攻してきたソ連に追われ、
家族とともにアメリカに逃亡したからです。
大金持ちだったアミールの父はアメリカでは雑貨店を営む労働者となり、
苦労してアミールに大学を卒業させます。
卒業後アミールは作家として成功しますが、
ある知人を通して、
生き別れた幼なじみのハッサンの消息を知るのです。
ハッサンは既にタリバンに殺されており、
彼には男の子がいることが分かります。
そしてその子どもは監禁され、
タリバンの兵士たちの性の奴隷にされていたのです。
アミールはハッサンの子ども探しだし、
引き取ってアメリカに連れ帰ります。
そしてかつての親友ハッサンの子どもに、
アメリカで凧揚げを教えてあげるのです。
ハッサンの子どもの凧が遠くに落ちたとき、
大人になったアミールは凧の方にかけだしてこう言います。
「君のためなら千回でも!」
そりゃ、泣くでしょ。
(903文字)



●神は死んだのか

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:DVDを知り合いに借りて鑑賞

監督:ハロルド・クロンク
主演:チャック・コンゼルマン他
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/5R7pDz3

▼140文字ブリーフィング:

所属する教会の牧師である、
「ちゃんちゃん」こと横田先生に貸していただきました。
「キリスト教的とされているけど、
 僕はちょっと全面的には賛同できない映画なので、
 それを踏まえた上で見た感想を教えてよ」と。

結果から言いますと、
人生で過去に見てきた中で「ワースト1」の映画でした。
もうね、これは本当に、
「この映画のどこがひどかったか」を、
後でディスカッションしたら勉強になるレベルです。
そういう意味では「大名作」です。

この映画は「福音的」との触れ込みですが、
私から言わせたら「聖書に反する世界観」に基づく映画です。
この映画を作っている人の世界観は、
いったいどうなってしまっているんだろう、
と驚愕しました。具体的には以下のような点です。

▼「イスラム教徒は悪」というステレオタイプな描き方。
イスラム教徒にも良い人がいるし、
クリスチャンにも悪い人はいる、
という事実はまったくなきものとして描かれています。

▼環境保全のブログを運営する女性の描き方。
その女性は動物愛護の観点から
「動物を大切にしないビジネス」をする、
星条旗バンダナをした著名な、
キリスト教徒の実業家の男を取材します。
言外に「動物愛護は悪であり聖書的でない」というメッセージを、
作り手は込めています(最低)。
女性は何の脈略もなく癌に冒されますが、
それはおそらく「神からの裁き」です(最低)。
環境を気にかけない原理主義的キリスト教徒のビジネスマンは、
最後にコンサート会場で、勝ち誇り、
「神は生きている!!」と宣言します(最低)。
「いや、少なくともお前の言ってる今神は死んだよ」
と言いたくなる。

▼極めつけは、ニーチェなどの哲学者の言葉を引用して、
学生に「神は死んだ」という近代思想を教える哲学教授が、
(作り手の意図としておそらく神罰として)交通事故で死ぬのです。
そのシーンで「牧師とクリスチャン(この映画における正義)」の二人が、
交通事故現場に居合わせるのですが、
二人は「もう間に合わない」とか言って、
「イエス様を信じれば天国に行ける、信じるか!!?」と、
息も絶え絶えの教授に迫ります。
教授が辛うじてうなずくと、二人は言います。
「ハレルゥヤァァ!!!」
「一人の魂が天国に行ったぞぉ!!」
と、歓喜の雄叫びを上げます。
いや、死んだんだよ、人がひとり。
っていうか、まずはそこは人工呼吸と心臓マッサージだろ、
とか、もう、何か悪夢を見せつけられているような、
世界がぐらぐらとゆがんで吐き気を催すシーンです。

本当になにもかもひどいです。
この映画を観てキリスト教信仰を捨てようと思う人はいても、
新たにキリスト教に入りたいという人は皆無ではないでしょうか。
ひたすら不快な映画だでした。ゴミ以下です。

しかし、「反面教材」としての価値は非常に高い。
教材としてDVDを買って持っておいても良いとすら思う。
この映画を観たのは宝物でした。
ちゃんちゃん、ありがとう(ゴミなのか宝なのかどっちだよ!)
という、「ものすごい映画」でした。
二周半まわって、「大傑作です」(だからどっちだよ!)。
しかしこれから見ようと思う人は、
それなりの心の準備と、
AEDの用意しておくことをオススメします。
(1,191文字)



●リアル 完全なる首長竜の一日

鑑賞した日:2018年1月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:黒沢清
主演:綾瀬はるか、佐藤健
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/c6Ny354

▼140文字ブリーフィング:

黒沢清の映画は結構好きです。
『CURE』、『クリーピー』などを12月に観て、
その不気味な世界観にちょっとハマってしまい、
Amazonプライム特典で観られたこちらも鑑賞。
ジャンルで言うと「ファンタジーホラー」の作品です。
「フィロソフィカルゾンビ」という脳内に存在する、
ゾンビの撮り方はオリジナリティがありました。
(151文字)



●アメリカン・サイコ

鑑賞した日:2018年1月12日 途中早送りして鑑賞
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:メアリー・ハロン
主演:クリスチャン・ベイル他
公開年・国:2001年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/a2VGFiI

▼140文字ブリーフィング:

早送りしながら全部で30分ぐらい観ました。
まったく面白くなかったです笑。
サイコパスの男が殺戮を重ねる話ですが、
レビューなどを観るとどうやら、
「全部が彼の妄想だった」説もあったりしますので、
原作はもうちょっと面白いのかもしれません。
私に意味が分からないだけかもしれませんが、
無意味に不愉快なシーンだけが続く駄作でした。
オススメしません。
(158文字)



●メッセージ

鑑賞した日:2018年1月15日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタル

監督:ドゥニ・ヴィルムーヴ
主演:エイミー・アダムス他
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/fa3IDBc

▼140文字ブリーフィング:

これは去年日本で公開されたのヒット作です。
原題は『Arrival』で、
原作はテッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』です。
時系列が錯綜したりするのでけっこう難解な映画ですが、
平均以上には面白かったです。
何よりこのSFはただの「こんなの撮れるんだぜ」
というタイプの映画ではなく、明確なテーマがあります。
それは「言葉とは何か」ということです。

主人公は言語学者として宇宙人の書く「表意文字」と格闘します。
アルファベットは表音文字ですが漢字は表意文字です。
つまり宇宙人は宇宙人なりの「漢字」を書いているわけです。
じっさい墨汁のような感じで宇宙人は字を書いていきます。

▼参考画像:映画のなかで宇宙人の描いた「文字」
https://goo.gl/qQLtKz

↓↓【注意】これ以降明確なネタバレがあります↓↓

ではその宇宙人は何を伝えに来たのか?
それは「ノン・ゼロサム・ゲーム」です。
彼らが到来した場所にも意味があります。
外部から来た知的生命体は、
各地域に部分的なメッセージを発しました。
その機密情報を明かし合い協力したとき、
はじめてメッセージの全貌が解読できるようになっているのです。

つまり人類が互いに競合するのでなく協力しないと、
このままだと破滅しますよ、と彼らは警告しに来たのです。
なぜなら、今から数千年後に我々は人類に助けられるから、
ここで滅びてもらっちゃ困るんだよね、ということです。
宇宙人たちはですから、「未来を思い出すことが出来る」
という能力をも持っているわけです。

全体に静謐な映像や作品全体のトーンも好きでした。
アドレナリン系ではなく、副交感神経系というか。
キューブリックの名作『2001年宇宙の旅』に出てくる、
「モノリス」への明確なオマージュである宇宙船の造形を考えた所で、
この作品は勝利しています。
日本人からすると完全にお菓子の「ばかうけ」ですが笑。

▼参考画像:「宇宙船とばかうけ」
https://goo.gl/C5neCq
(712文字)



●SING

鑑賞した日:2018年1月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ガース・ジェニングス
主演:マシュー・マコノヒ他
公開年・国:2016年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/5HQqMOJ

▼140文字ブリーフィング:

「良くあるフルCGアニメーションでしょ」という気持ちで、
移動中の暇つぶしのつもりで観たら、意外や意外、
期待以上に面白くて驚きました。
最後のシーンではちょっと泣きそうになりました。
電車の中の細切れの時間ですらこうですから、
映画館なら号泣していたかも。
コッテコテのストーリー展開ですが、
「それがコテコテだ」ということを分かった作り手達が、
リズムや曲やテンポや「巧さ」で、
非凡なものにまで高めている作品です。
「肉じゃが」なんだけど、
めちゃくちゃ美味いんですけど!というような。
変哲もないストレートなんだけど、
160キロ出てるんですけど!みたいな。
やられました。
(277文字)



●野火

鑑賞した日:2018年1月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:塚本晋也
主演:塚本晋也、リリー・フランキー他
公開年・国:2015年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/1surPYO

▼140文字ブリーフィング:

同名小説の映画化です。
日本軍のフィリピンでの撤退戦で餓死する兵士たちを、
これでもかというぐらい、ひたすらにグロテスクに描きます。
人肉を食らうシーンにも「慣れてくる」ほどにむごい。
あまりにも悲惨で、見るに堪えないほどです。
「戦争の悲惨さ」という一点だけを描いた作品。
多分「特に面白くもない」というところも含め、
監督は戦争のくだらなさを訴えたかったのではないかと思います。
(184文字)



●レボリューショナリーロード

鑑賞した日:2018年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:サム・メンデス
主演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
公開年・国:2008年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/86m0tVV

▼140文字ブリーフィング:

アカデミー作品賞の『アメリカン・ビューティー』を撮った、
サム・メンデス監督の作品です。
アメリカン・ビューティーと本作では、
時代設定などはまったく違いますがテーマは似ています。
つまりそれは「フォニーな、張りぼての幸福と、虚構の家族」
という「金ぴかのアメリカのダークサイド」です。

レボリューショナリーロードというのは、
ブランド化した高級住宅街の名前で、
日本ならば「世田谷区」とか「タワマン」とか、
言い換えてもだいたい同じ意味です。
記号的な「幸せで裕福で外見も良く優秀な夫婦と子どもたち」は、
実は絶望的に不幸なのかもしれない、、、
という現実をこの映画は突きつけます。
日本だと湊かなえとかの小説で描かれているような、
上流階級の夫人たちの過酷なカースト制度、
みたいなテーマが一番近い感じです。
(341文字)



●フォックスキャッチャー

鑑賞した日:2018年1月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ベネット・ミラー
主演:スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/2q5ZB9N

▼140文字ブリーフィング:

実在した財閥の御曹司ジョン・デュポンの、
実際に起きた事件の映画化です。
「デュポン」はアメリカ最大の財閥のひとつで、
化学の分野で莫大な富を築きました。
南北戦争時代の火薬の製造によって財閥の礎石は作られ、
現代だと日本人にもなじみ深い、
「テフロン」や「ゴアテックス」の技術を持っている。
つまり皆さんがテフロン加工のフライパンを買ったり、
ノースフェイスのゴアテックスパーカーを買うたびに、
そのいくらかは今でもデュポングループの収入になるということです。

そのデュポンの御曹司のジョン・デュポンは極度のマザコンでした。
母親は馬術を「上流階級のスポーツ」として敬愛しており、
息子のジョン・デュポンが研究していた鳥類学や切手収集や、
彼が愛好していたレスリングを軽蔑していました。

デュポンは母親の注意を惹こうとして、
84年のロス五輪のチャンピオン、マーク・シュルツを、
自分のレスリング・チーム「フォックスキャッチャー」に引き入れます。
ところがマーク・シュルツの兄ディヴ・シュルツを引き入れたことが、
マークの自尊心を傷つけマークはデュポンの元を去ります。
最後に悲劇が起きます。
マークに去られ、母親にも拒絶され、
精神のバランスを崩したジョン・デュポンは、
衝動的にディヴ・シュルツを殺害し投獄されたのです。
ジョンと母親のマザコン、マークとディヴのブラコンが絡み合うことで、
そして承認欲求をこじらせた現代人の苦悩が上手に描かれており、
かなりの秀作でした。
(577文字)



●ハクソー・リッジ

鑑賞した日:2018年1月24日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:メル・ギブソン
主演:アンドリュー・ガーフィールド他
公開年・国:2017年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/9sVQtcr

▼140文字ブリーフィング:

こちらも去年映画館で見たかったけど見逃した映画。
、、というより、
2017年は一度も映画館で映画を観なかった、、、気がする。
結論から言うとすばらしい映画でした。
実話に基づく映画で、最後に「本人登場」のパターンです。
あれは泣いてしまいます。
主人公のデズモンドは、
セブンスデーアドベンティストという教団の敬虔な信徒で、
彼は「殺すなかれ」を文字通り守る、
「絶対平和主義 pacifism」の信念を持っていました。
他にも確か、アナバプテスト派やメノナイト派が同じような立場です。
日本では創価学会が博愛の精神にのっとり、
戦争中も引き金を引かなかったことで有名です。

デズモンドはそれだけでなく、
アルコール中毒で母親に暴力を振るう父の姿を見て育ったので、
「暴力への禁忌感」の強い人でした。
地元の仲間が「国のため」に太平洋戦争に志願していったとき、
彼は軍に志願します。
ただし、「銃は握らない」というポリシーのもとに。
衛生兵として入隊した彼は、
仲間の兵士や上官から陰湿ないじめに合います。
「銃を握れない臆病者と一緒に戦えるかよ、バカ」
というわけです。

彼らの隊は「ハクソー・リッジ」という作戦名で知られる、
沖縄本土上陸作戦に参加します。
ここは崖になっていて、崖を登ったところに、
日本兵が塹壕を掘って待機しているわけです。
この戦いは熾烈を究め、崖の上からバラバラになった、
米兵の死体や身体の一部が「降ってくる」。

その「死体の雨」に内心びびりながら、
デズモンド含む彼の隊は「死の崖」を上ります。
結果的に、デズモンドは、
良心的兵役拒否者として史上初めて勲章をもらった兵士として、
歴史にその名前を刻みました。

彼は何と、銃弾飛び交う中、
負傷した兵士を探して、
(瀕死の日本兵も含めて)一人ずつ、
崖からロープで下ろしていったのです。
彼は「主よ、もう一人、もう一人の命を救わせて下さい。」
と祈りながら。
最後には一人で、結果的に75名の命を救出しました。
最も臆病者とバカにされいじめられた男は、
人よりも100倍も勇敢でした。
この映画を観ると「攻撃する人間」よりも、
「攻撃しない人間」の方が「強い」ということがよく分かります。
言葉でも腕力でも、暴力に訴えるのは弱い人間です。
弱い犬ほど良く吠えるのです。
北朝鮮の指導者を見ればそれは分かります。

あと、戦争映画を観るたびに思いますが、
人間の営みとしてこれほど痛ましいことはありません。
デズモンド含む若者たちも日本兵も何も悪くないですが、
あんなことををおっぱじめた当時の政治家たちや、
あんなになっても自分の保身とメンツのために、
降伏を遅らせた陸軍の上層部、
それから戦争に向かう民意をあおった大手新聞社は、
本当に、万死に値すると私は思います。
(1,072文字)



●それでも夜は明ける

鑑賞した日:2018年1月28日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:スティーブ・マックイーン
主演:キウィティル・ウィジョホー他
公開年・国:2013年(アメリカ・イギリス)
リンク:
http://amzn.asia/8vq0IVW

▼140文字ブリーフィング:

アカデミー作品賞受賞作品です。
この映画は製作経緯からして面白い。
「奴隷制という南部の恥部を描いた映画」ということで、
大手配給会社のパラマウントに断られ、
「じゃあ、オレが作るわ」と、
俳優のブラッド・ピットが自分でお金を集めて作ったという作品なのです。
ブラピの男気が作った映画なのです。

原題は12 Years of Slaveという同名の伝記です。
著者はソロモン・ノーサップという北部に住んでいた、
「自由黒人」です。
北部には奴隷制度はありませんでしたので、
ソロモンは自由黒人として、白人と同じ権利を持ち、
白人と同じような生活をしていました。

ところが彼は騙されて奴隷の不足している南部に売られてしまいます。
そこで12年間奴隷として生活した後、北部の彼の友人と、
やっと連絡が取れたため「救出」される、というのが、
筋書きというか、本当に起こったことです。
ソロモンのように北部に帰れたのはごく一部で、
多くのソロモンのような北部の黒人が南部に売られ、
そのまま奴隷として一生を終えたそうです。

奴隷という制度による、
吐き気がするほどの人権の蹂躙が露骨に描かれています。
男性は主人の「持ち物」なので殺しても罰せられませんし、
虫の居所が悪いと皮のムチで背中の肉がはみ出るほど叩かれます。
女性も過酷な労働と性の奴隷にされます。
こういった「過去の歴史の自分たちの恥部」を、
自ら積極的に描けるのが、アメリカという国のすごさだと、
私はこういうのを見ると思います。

私はラッパーのライムスター歌多丸のラジオのファンですが、
彼がラジオでこの映画のことを解説していました。

この映画に出てくる南部の白人は「人でなし」に見えます。
「このクソ野郎たちは地獄に落ちろ」と。
しかし、それでは駄目なんだ、と歌多丸師匠は言うわけです。
この南部の白人たちにある、
「弱さ故の差別、無知故の虐待、他者への想像力の欠如」
これらは過去の白人の話ではなく、現在の自分の話なのだ、
私たちの話だ、と思えるかどうかが大切だ、と。

「あら、ひどい話だわ」で終わらせてはならない、と。
私たちは弱い故に差別してしまう、
無知故に人にひどいことをしてしまう。
私たちは他者が血の通った人間なのだということを、
簡単に忘れてしまう、想像力の足りない人間なのだ、
あの冷血な白人は、私の姿でもある、
と思えることが大切なのだ、と。
本当にそうだと思います。
(958文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「君のためなら千回でも」

コメント:
今回は名作ぞろいでしたが、
この作品が一番泣いたので、「作品賞」です。
日本の映画には非常に珍しく、
原題よりも邦題のほうが良いのではないかと思いました。
原題はthe Kite Runnerです。
「凧を上げて走る人」という直訳。
「君のためなら千回でも」という邦題は、
実は「ネタバレ」なのですが、
最後の最後に2回目の「君のためなら千回でも」
を聞いたとき、タイトル込みで伏線が回収され、
もう、涙腺崩壊ですね。
松本大洋の「ピンポン」とか「鉄コン筋クリート」など、
幼なじみをめぐる切ない友情系が好きな人は、
この映画は絶対に泣きます。



▼主演(助演)男優賞
アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ)

コメント:
この人は『アメイジング・スパイダーマン』で、
ピーター・パーカーを演じた人です。
つまり、弱っちいひょろっとした体系と顔つきなので、
今回の役は完全にはまり役です。
彼が戦場で誰よりも気迫に満ちていく様は、
鬼気迫るものがありました。


▼主演(助演)女優賞
該当なし


▼その他部門賞「油断して泣きそうになった賞」
「SING」

コメント:
電車の中でタブレットで鑑賞していて、
危なく泣きそうになりました。
完全に油断していた。
音楽の力って、やはりすごいな、と思います。



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