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陣内が先週読んだ本 2018年1月第五週 『アメリカ福音派の歴史』青木保憲 他6冊

2018.07.24 Tuesday

+++vol.050 2018年2月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2018年 1月第五週 1月28日〜2月3日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●歩き続ければ、大丈夫

読了した日:2018年1月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:佐藤芳之
出版年:2014年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
http://amzn.asia/hzrnVXp


▼140文字ブリーフィング:

サブタイトルは、
「アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙」です。
1939年生まれの著者は、30代でアフリカにわたり、
ケニアでナッツビジネスを創業して成功に導いた、
「社会起業家」の「はしり」みたいな人です。
彼はスタートアップしていないと気が済まない人のようで、
ケニアのビジネスは現地に譲り、
現在はルワンダで微生物ビジネスを立ち上げています。
「とにかく行動してみなきゃ上手く行くかどうかも分からない。」
「たくさん失敗して、その中のいくつかがたまたま上手く行く。
 やってもないのに失敗したときのことを考えるのは愚の骨頂。」
成功した創業者はだいたい同じ事を言います。
本田宗一郎も言っています。
「失敗した奴は偉い。
何もしない、というのが本当の失敗だ。」
彼は映画「フィールド・オブ・ドリームズ」の、
「作れば、彼らはやってくる」という「啓示」を引用していますが、
この原型は「ノアの箱舟」だと読みながら気づいたのは、
私にとって「アハ体験」でした。

→P77 
《新規プロジェクトを始める時、私は良く社員にこう言います。
「If you build it, they will come.(つくれば、人はやってくる。)」
 新しい農園に木を植える時も、新しい工場を建てるときも、
私はみんなにこう声をかけるようにしています。
1989年公開の映画「フィールド・オブ・ドリームス」
によって広く知られるようになった言葉で、
この言葉を耳にした主人公は周囲に馬鹿にされても構わず、
トウモロコシ畑を切り開き野球場を作り始めます。
要は、つべこべ言わずに、さっさとつくってしまいなさいということ。》

現在の世界は「複雑系の世界」であり、
古典力学よりも量子力学に近いです。
なので、「成功へのアルゴリズム」や、
「成功するための方程式」を定式化することは不能です。
ひとつだけ「秘策」があるとしたら、
「とにかくいろいろやってみる」ことです。
その人が成功するとは限りませんが、
成功している人は例外なく、
「とにかくいろいろやってみて」います。
したり顔で他者の挑戦や失敗を批評する人や、
失敗のリスクばかり恐れる事なかれ主義の人が成功することは、
永遠にありません。
(900文字)



●そのノブはひとりの扉

読了した日:2018年1月28日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:劇団ひとり
出版年:2012年
出版社:文藝春秋

リンク:
http://amzn.asia/8JYAkLr

▼140文字ブリーフィング:

私と同じ年生まれの芸人、劇団ひとりの自伝です。
帯に「こんに泣けない自伝があったとは」とあります。
めちゃ面白かったです。
劇団ひとりの文才に舌を巻きます。
自分を相対化し自虐できる高度な知性に感服しました。
「文章で人をうならせる」よりも
「文章で人を泣かせる」ほうが難しく、
「文章で人を笑わせる」のはもっと難しいです。
つまり「笑い」が文章技術の最高峰なのです。
「本を読んでいて笑う」ことって多くはないですが、
彼はそれをやってのける数少ない天才です。
(220文字)



●時間の比較社会学

読了した日:2018年1月31日 速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:真木悠介
出版年:1997年(初版1981年)
出版社:岩波書店

リンク:
http://amzn.asia/8YhBqT9

▼140文字ブリーフィング:

メルマガ読者に教えてもらって手に取りました。
結果的に、内容が私にはかなり難解で、
「まだ早かったかな」と思いました。
いちおう中身には目を通しましたが理解度は4割に満ちません。
もう少し理解力がついたら再トライしてみたいと思います。

私が理解した範囲で無責任にも概説しますと、
ヘブルは直線的で質的な時間、ギリシャは円環的で量的な時間、
近現代は直線的で量的な時間、原始やアフリカの土着民、
古代日本の時間は非直線的(反復的)で質的な時間、
という「時間のマトリックス」の発想は面白かったです。
また、現代の「直線的で量的な時間」が、
共同体の解体(ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ)をもたらし、
貨幣と同じように「時間の阻害」を引き起こしているという指摘も新鮮でした。
(326文字)



●ザ・フィフティーズ 1

読了した日:2018年1月31日 最後の3章は飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:デイヴィッド・ハルバースタム
出版年:2015年(英語初版)
出版社:ちくま文庫

リンク:
http://amzn.asia/aW7wGac

▼140文字ブリーフィング:

アメリカのジャーナリストデイヴィッド・ハルバースタムによる、
50年代のアメリカを素描する試みです。
なんとこの本日本語訳では500ページ×3巻の大著で、
一章ごとにひとりの人物(や現象)が取り上げられています。
1巻をなんとか読みましたが、ものすごいボリュームなので、
2巻、3巻はちょっとほとぼりが冷めてから手を出す、
もしくは永遠に手を出さないかもしれません笑。

でも内容はとても面白い。
なぜか。
「50年代のアメリカ」こそが、
現代世界のデファクトスタンダードを作ったからです。
現代の世界の基礎は50年代のアメリカで作られたのです。
確かにそうです。
水爆、マッカーシズム(共産党狩り)、
一戸建ての大量生産とマイホームの夢、
マクドナルドのハンバーガー、
「ホリデイ・イン」というフランチャイズモーテル
(とフランチャイズという概念)、
ラジオの時代からテレビの時代へのメディアの変遷、
テレビと政治の結婚、などなど、
現在の「効率化され脱人間化された社会の光と闇」は、
すべて1950年代、アメリカ生まれです。

問題はそれから70年が経過した現在、
その大きな枠組み(パラダイム)が耐用年数を迎え、
崩落した笹子トンネルのごとく、
ミシミシと鈍い音を立てているところです。
未来は混沌としてかすんでいます。
そんなときは過去を見るとヒントがある。
そういう意味で、50年代アメリカを学ぶことは、
現在の世界で非常に意義深いことだと思います。
(597文字)



●アメリカ福音派の歴史

読了した日:2018年1月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:青木保憲
出版年:2012年
出版社:明石書店

リンク:
http://amzn.asia/9lp0fcJ

▼140文字ブリーフィング:

この本は、昨年秋の「よにでしセミナー@伊勢志摩」の、
参加者の書いているブログで知り、
「面白そうだ」と思い手に取りました。

結果、めちゃくちゃ面白かったです。
ここに概説は不能なので、
いつか「本のカフェラテ」で紹介したいと思っています。
私は福音派と呼ばれる教会で洗礼を受けて、
キリスト教徒になりましたので、
「それが絶対的に正しいものだ」と、
あるところまでは疑いもなく信じてきました。
しかし、「なぜ福音派が福音派になったのか」を知ると、
必ずしもそれ「だけ」が唯一の見方ではない、
ということにうっすら気づいてくるわけです。

「だから、余計な知識は入れない方が良い」
というのは、言っちゃ悪いけどバカの所行です。
そうじゃなくて疑うところまで疑った先に、
「本当に価値のあるもの」が浮かび上がってくるのです。
「疑うことを経ずして本当の信仰には至らない」
というのは信仰の真理です。
聖書に「疑うこと」は奨励されています。
咀嚼することなく鵜呑みにして信じる態度のほうこそ、
聖書は何度も警告しているのです。

では、「疑った先にある信仰」とはどんなものか?
著者はそれを後書きで、
「スターウォーズ」に喩えて上手に表現しています。

著者も私と信仰的背景が似ていて、
幼い頃から福音主義の宣教師が開拓した教会に通っていた著者は、
スター・ウォーズを初めて見たときと同じで、
「世の中には善と悪しかない。そして自分は善の側にいる」
と疑ったことなどなかった、といいます。
しかし、後のスター・ウォーズシリーズが告げるのは、
ダース・ベイダーとならざるを得なかった
アナキン・スカイウォーカーの生身の人間としての葛藤であり、
善と悪は簡単に切り分けられないという事実です。

著者が同志社大学で学んだのはまさに、
スター・ウォーズシリーズだったといいます。
福音派は善、という単純な世界観から、
「福音派がそう主張するようになった経緯」を学ぶとき、
そこにアナキン・スカイウォーカーの姿がある、と。
矛盾と間違いに満ちている福音派の歴史を紹介したことで、
もはや「自分たちは善」と思えなくなるかもしれないが、
福音派の人にも本書を読んでもらいたい、と著者は言います。
だからといって「敬虔でありたい」と願う、
その真摯な姿勢が色あせることはないと。
逆に「福音派は悪」と決めつけている人にも本書を読んで欲しい、と。
薄っぺらな原理主義批判を持っていた人も考え直す、
きっかけになるだろう、と。
私は著者のスタンスに好感を持ちます。
500ページに及ぶ大著ですがずっと面白かったです。
定本となる良書に出会いました。
(1,060文字)

▼参考リンク:ブログ「ちょうをゆめみるいもむし」
https://memorandomeyo.wordpress.com/



●木を見る西洋人 森を見る東洋人

読了した日:2018年1月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・E・ニズベット
出版年:2004年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
http://amzn.asia/cJx57Lj

▼140文字ブリーフィング:

この本も飛び抜けて面白かったです。
私は「東洋と西洋の出会い」ということを、
人生の隠れたテーマのひとつにしています。
私が河合隼雄やユングや鈴木大拙に惹かれるのも、
彼らが東洋と西洋の思想のぶつかる「潮目」にいると思うからです。

この本のタイトルが示しているのは、
東洋人は包括的に物事を捉え(森を見)、
西洋人は分析的に物事を捉える(木を見る)、
という東西の世界観、考え方の「クセ」の違いです。

そのほかにも東洋ではこう考え、西洋ではこう考える、
という実例が実証的な実験結果とともにたくさん紹介されるのですが、
私がもっとも面白かったのは第六章の議論で、
それは、「東洋人は世界を動詞で、西洋人は世界を名詞で捉える」
という話です。

こんな実験があります。
アジア人の子どもとアメリカ人の子どもに、
二枚のカードを見せます。
ニワトリの描かれたカードと、草が描かれたカードの二枚です。
三枚目に牛の絵が描かれたカードを見せて、
「これはどちらの仲間?」
と聞くと、アジア人の子どもの多くは、
牛と草をセットにし、
アメリカ人の子どもの多くは、
牛とニワトリをセットにします。

なぜか?

西洋人の子どもの多くは分類学上の理由から、
ふたつとも動物だから、ニワトリと牛をセットにし、
東洋人の子どもの多くは
「牛は草を食べるから」牛は草の仲間だと言っているのです。
西洋人は世界を名詞の集合として、
東洋人は世界を動詞(関係性)の集合として捉えている、
ということを示す非常に面白い実験です。

著者は「プロローグ」の結語で、
今後の文化はフランシス・フクヤマが、
『歴史の終わり』という本に書いたように、
世界が全部アメリカになるのでもなく、
サミュエル・ハンティントンが書いた『文明の衝突』のように、
西洋化は挫折し、多元主義の世界が訪れることもない、と予測します。
そうではなく東洋と西洋は互いに「出会い」、侵襲し合い、
相互に影響し合い、溶け合っていく未来を彼は描きたい、と。

曰く、シチューの具は具のままだが全部変化する。
そしてそのシチューにはそれぞれの具の
一番おいしいところが含まれている、というように。
私も著者の意見に同意します。
(883文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『木を見る西洋人 森を見る東洋人』

コメント:
本当は「アメリカ福音派の歴史」も同じくらいリコメンドしたいですが、
こちらはかなりの大著で、手を出す人は限定的になると思いますので、
より広い読者が面白いと思えるだろう、
『木を見る西洋人、森を見る東洋人』をオススメします。
私たちはグローバル化する昨今、
人生において「西洋的なものの考え方」と出会わずに生きるのは、
もはや不可能です。
必ず西洋的な世界観と私たちは出会います。
そのときに、「彼らの靴を履いて」世の中を見ることができ、
さらに「自分の世界観は東洋的なのでこうなのです」、
というようにメタの視点でそれを説明できる知性というのは、
世界に影響を与えようとしたら、「必須」になってくるでしょう。
実は「テクニックとしての英語のスキル」なんかより、
こちらのほうが異文化コミュニケーションを考える上で、
はるかに大事なんじゃないかと私は思っています。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■5 編集後記
1年間のご愛読ありがとうございました。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

まだまだ東京は寒い日が続きます。
今週は私は毎日のようにミーティングがあり、
土日は(多分)東京よりも寒い、新潟に出張です。
「読むラジサロン」も5名のメンバーで開始しました。
参加者の地域も職業も性別もライフステージも様々で、
多様性に富んだ良いメンバーが集まったなぁと思っています。
まだ始まったばかりですが、
これからどんなやりとりや学びあいがなされるか、
主催者の私が一番、楽しみにしています。
メルマガ読者の皆様にも追ってご報告しますので
お楽しみに。

というわけで、今号で1年間続いた私のメルマガの、
「シーズン1」も最終回です。
ご愛読いただいた皆様には感謝を申し上げます。
多くの皆様に楽しんでいただき、
今は感謝に満たされています。

次に「シーズン2」を開始するのがいつになるか分かりませんが、
そのまえに「号外」の配信もありますのでお楽しみに。
その日まで、皆様もお元気でお過ごし下さい。
ご愛読、ありがとうございました!


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