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陣内が先週読んだ本 2018年9月9〜22日 『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』他

2019.01.30 Wednesday

+++vol.058 2018年9月25日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2018年9月第二週〜第三週 9月9日〜22日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●筋トレは必ず人生を成功に導く

読了した日:2018年9月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:テストステロン
出版年:2018年
出版社:PHP出版

リンク:
http://amzn.asia/d/dPHbXmX

▼140文字ブリーフィング:

今年に入って、
著者のテストステロン氏の本はこれで3冊目です笑。
他には、
『人生の99.9%の問題は筋トレで解決できる!』
『筋トレが最強のソリューションである』
などを読みました。

まぁ、この本はジャンルで言うと、
「フィットネス・健康」
というよりも「宗教書」の類いですね笑。
私が図書館の司書ならば、
この本は「宗教」の棚に入れますから笑。

じっさい、
『人生の99.9%の問題は筋トレで解決できる!』の4ページで著者は、
「筋トレとプロテインで
 この世の99.9%の問題は解決します。
 本当です。」
と書いています笑。

「だってそうだろう。
 70億人が筋トレすれば、 
 戦争なんてなくなる!」

著者、、、、いやもうこの際、
「尊師」と読んだほうが良いかな。
、、、尊師はそう言っておられます笑。

他の著書で彼は
「筋トレはスポーツじゃない。
瞑想とか祈りに近い」
って言っていますから(爆)。
「信じれば救われる」というわけです笑。

これを本気でやられると引きますが、
尊師は「ネタ」としてやってるので、
ちょっと笑えます。
サンドウィッチマンの伊達ちゃんの、
「ゼロカロリー」とか、
アンジャッシュ渡部の、
「明太マヨ!」と同じ論法ですね笑。

「会社に落ちた?」
→「筋トレしろ!!そんなこと忘れるぞ!!」

「え?恋人に振られた?」
→「筋トレしろ!
 女は裏切るが、バーベルは俺たちを裏切らない!」

「何?上司が気に入らない?」
→「筋トレしろ!
 生物学的に強いと言う一点で、優越感に浸れるぞ!!」

みたいな感じです笑。

、、、そんなわけで、
私はこの宗教に入信したわけではないですが、
今、「求道中」ぐらいのレベルにはいますので、
尊師のお言葉に触れているわけです。

ちなみにその人がこの宗教に「出家」したかどうか、
判断する基準は「タンクトップを着るかどうか」です。
タンクトップを着ることを、
この業界では「ダークサイドに落ちる」と言います。

、、、嘘です。

そこまで行ったら殴ってでも止めてくれ、
と周囲に言ってありますので、
私の場合大丈夫だと思っているのですが、、、。

尊師はお優しいので、
トレーニーたち(筋トレする人々)の、
脳の負荷を増やさないようにと、
本の中身の文字数は「スッカスカ」です。

ほぼ、空白ですね。

本を読み慣れていない人でも、30分で完読出来る。
「早く本なんて閉じて、筋トレしろ!」
という尊師のお心が込められているわけです笑。

私がこの本で響いたのは、
「ワンモアレップの精神」というところです。

→P172 
〈筋トレ用語に「レップ」というものがある。
これは「回数」という意味で、
「腹筋を10レップ、3セット」なら、
腹筋10回×3セットということになる。
10レップやって、「もう限界」と思ったとしても、
もし君が筋肉を大きくしたいなら、あと1レップ挙げる必要がある。
限界を突破しないといけないのだ。

限界を突破して初めて筋肉に
「新しいストレスだ。次回は耐えられるように成長しなくては」
というシグナルを送ることができる。
僕はこの最後のもう一押しを「ワンモアレップの精神」と呼んでいる。
このワンモアレップができるかどうか、
君の成長はこのポイントに集約されているのだ。
限界突破なしに、成長はない。〉
(1,244文字)


*この時点で執筆時間が充分にとれないと判断して、
以降の書籍は、「ブリーフィング」ではなく、
私のEvernoteの読書メモに、
簡単なコメントを加える、という、
「省力バージョン」でお送りします。
あしからず。



●朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論

読了した日:2018年9月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:橘玲(あきら)
出版年:2018年
出版社:朝日新書

リンク:
http://amzn.asia/d/1sZmW6a


▼▼▼保守とリベラルの逆転:
現代の自民党支持の若者は今も「リベラル」であるゆえに、
自民党を支持しているという衝撃

→P20〜22 
〈図1―2は読売新聞社と
早稲田大学現代政治経済研究所(田中愛治教授ら)による共同世論調査から、
世代別の政党観を示したものだ。
回答者は、「保守的」を0、「リベラル」を10(中間は5)として、
11段階で既成政党がどこに位置するかを答えている。

70代以上では、もっとも保守的なのは自民党、
次いで日本維新の会(維新)、公明党で、民進党が中道、
共産党がリベラルに位置づけられている。
これは、メディアなどが前提とする
「保守」VS「リベラル」の対立の構図と同じだ。

ところが左図の政党の位置は年齢が下がるにつれて変わっていき、
18〜29歳ではもっとも保守的なのが公明党、
次いで共産党、自民党は中道、
もっともリベラルなのが維新になっている。

驚くべき事に、
いまの若者は共産党を「右派」、
維新を「左派」と見なしているのだ。

さらに詳細を見ると、
この「左右逆転」は50代と40代のあいだで起きていることが分かる。
また30代で共産党の「右派度」と維新の「左派度」が最大になっている。
この興味深いデータからは、
「若者が右傾化している」というのがまったくの俗説であることが分かる。
若者はむかしもいまも一貫して「リベラル」なのだ。

だとしたら、日本の政治に一体何が起きているのか。
これはものすごくシンプルに説明できる。
かつて「リベラル」とされていた政党が「右傾化」したのだ。
こうして「リベラル」な若者は、
より自分たちの政治的主張に近い
自民党=安倍政権を支持するようになった。

私たちは、「右」と「左」が逆になった
『不思議の国のアリス(鏡の国のアリス)』
のような世界に迷い込んでしまったのだ。〉



、、、これは衝撃でした。
今の若者は自民党を「リベラル」、
共産党を「保守」と認識しているのです。
若者は保守化したのではありません。
リベラルだからこそ、自民党を支持しているのです。



▼▼▼日本の保守とリベラルは、
「保守」するものが違うだけで、両方保守だ、という指摘

→P41 
〈日本の近現代史には、
明治維新と敗戦による占領という2つの大きな屈折がある。
このうち保守は明治維新(すなわち近代化)の「伝統」を、
リベラルは米軍占領下で制定された「民主憲法」を
保守する立場だと取りあえずは定義できるだろう。
ところが小泉以降の自民党政権が、
安全保障で保守的な立場を堅持しながら経済政策を
リベラル化(ネオリベ化)したことでこの関係が混乱し、
私たちは「右」と「左」が逆になった
「不思議の国」に放り込まれることになった。〉


▼▼▼左右逆転の仕組み:世代間対立

→P30〜31 
〈日本社会は、「既得権にしがみつかないと生きていけない世代」と、
「既得権を破壊しなければ希望のない世代」によって分断されている。
「リベラル」を自称する人たちは世代間対立論を毛嫌いするが、
これ以外に高齢者と若者で右と左が逆転する理由は説明できない。
 (中略)
50代以上にとっては、日本的雇用や(年金などの)社会保障制度を
「保守」することが最大の利益だ。
高齢のリベラル層が保守化することによって
「リベラル」な政党が支持者に合わせて「右傾化」していった。
 
野党(共産党や旧民主党・民進党)が「右傾化」すれば、
当然、与党(自民党)は「リベラル化」していく。
こうして小泉政権は「郵政改革」を掲げ、
安倍政権は「同一賃金同一労働」や「女性が活躍する社会」
などのリベラルな政策を押し出すようになった。

このように考えれば、若者が”改革派”の安倍政権を支持し、
高齢者層で支持率が低くなることに何の不思議もない。
奇妙なのは、保守「守旧派」でしかないひとたちが
自分のことを「リベラル」と言い張り、
改革を進める安倍政権を「独裁」と批判していることなのだ。〉



、、、著者が「右傾化」を保守化の文脈で使っているのか、
国家主義の意味なのか、
定義が定まっていないのは問題ですが、
「現状を維持する」ということを、
「右傾化」と表現しているのなら意味は通ります。
「朝日新聞的なるもの」は、実は、
「既得権を守る」という意味で保守的なのです。
彼らが自らを「リベラル」と自称している欺瞞性こそが、
「朝日が嫌われる」理由なのだ、というわけです。
かなり納得しながら読みました。




●人間とは何か (『死と愛』最終エディション)

読了した日:2018年9月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ヴィクトール・フランクル
出版年:1957年(『死と愛』として。『医師による魂の癒し』は1946年に出版された)
出版社:春秋社

リンク:
http://amzn.asia/3ab7JSm


▼▼▼創造価値・体験価値・態度価値。
映画「あん」のメッセージにも似ているし、
「Serenity Prayer」とも共通する。

→P193〜194 
〈人生の意味の問題を論じた際に、
われわれはまったく一般的に三つの可能な価値カテゴリーを区別した。
それは創造価値、体験価値および態度価値であった。
創造価値は行為によって実現され、
体験価値は世界(自然・芸術)を自我の中に
受動的に受け容れることによって実現される。
これに対して態度価値は、
変えることのできないもの、運命的なものが、
まさにそのまま受け容れられねばならない場合に至るところで実現する。
人間がこの運命的な事項を
いかに自らに受け容れるかというその仕方のうちに、
かぎりなく豊かな価値可能性が生まれるのである。
すなわち、人生は想像や喜びにおいて満たされうるだけでなく、
苦悩においてすらも充たされうるのである。


cf.映画「あん」
最後の手紙:
「ねえ、店長さん。わたしたちはこの世を見るために、
聞くために生まれてきた。だとすれば、
何かになれなくてもわたしたちは、
わたしたちには、生きる意味が、あるのよ。」〉



、、、ヴィクトール・フランクルは、
20世紀の名著中の名著、「夜と霧」の著者です。
彼はナチスの収容所の「生き残り」で、
家族は全員収容所で処刑されました。
戦後アメリカに渡った彼は、
臨床心理学の泰斗、アルフレッド・アドラーに師事し、
自らの論理を構築していきます。

彼の独特な論理は「ロゴセラピー」として知られます。
日本語では「意味による癒し」と説明されます。
様々な精神疾患を「生きる意味を獲得する」ことによって、
快方に向かわせようとするアプローチです。
創造価値・存在価値・態度価値、
という三つの価値がある、という話しは、
「創造価値・存在価値」を収容所で奪われた当事者である、
フランクルの口から語られているところに迫力があります。

「態度価値」について最も良く分かるのは、
ハンセン氏病に関する隔離政策の対応遅れによって、
一生を療養施設で「棒に振った」人を描いた、
「あん」という映画です。




●ワーシップソングの研究:福岡における現状調査と音楽的分析

読了した日:2018年9月11日
読んだ方法:山田風音くんにPDFでいただく

著者:山田風音
出版年:2010年
出版社:九州大学 芸術工学部 音響設計学科

リンク:
https://memorandomeyo.wordpress.com/
(ブログ:ちょうをゆめみるいもむし)

▼▼▼ワーシップソングは礼拝自体を変容させた。
ペンテコステ運動からの影響

→P14〜15 
〈ワーシップソングの誕生と発展は礼拝音楽のみならず、
礼拝の形式そのものに対して大きな変化をもたらしていることは、
ワーシップソングについて論ずる際に非常に重要な視点である。
ワーシップソングが礼拝にもたらした変化とは、
ただ単にワーシップソングが伝統的な讃美歌にとってかわるという
「礼拝の中の音楽の交換」ではなく、
むしろ礼拝スタイルの「刷新」とまで言えるほどの変化である。
ただ、その変化が十分に理解されるためにはまずそれまで一般的であった
(そして今日でも多数の教派で用いられている)礼拝形式、
そして礼拝音楽についての理解が必要である。

初代教会における礼拝は
ユダヤ教のシナゴーグでの礼拝から引き継がれた「説教」と、
キリストが弟子たちに直接命じた「主の晩餐」という
二つの要素を融合したものであったが、
313年のコンスタンティヌス皇帝のキリスト教公認以降、
キリスト教礼拝はしっかりとした様式を整えた。
礼拝の方向性を決めるものは「式文」であり、
それに従って聖書朗読や賛美、説教や儀式等が行われた。
ただし礼拝がラテン語で行われるようになり、
会衆は礼拝にただ受動的に参加するだけとなっていった。
16世紀の宗教改革において礼拝の実践を
どのようなものとするかは非常に大きな焦点であったが、
自国語で歌う賛美は改革以前よりも
はるかに積極的な礼拝への参与の手段であった。
しかし一方的に宗教改革から派生した礼拝も
やはり「式文」に依存していた。
伝統的な礼拝は決められた式文に沿って進行されるものであり
讃美歌は祈祷・聖書朗読・信条唱和などの
合間に歌われることが一般的である。

対照的に、ワーシップソングを用いるような「現代的礼拝形式」では
一定の式文のようなものはほとんど存在しない。
複数のワーシップソングはほとんど切れ目なしに歌われていくが、
祈りや奉献も音楽が演奏される中で行われるなど
礼拝の中で音楽の占める割合は非常に大きく、
会衆の礼拝への参与以上の役割を担っている。
現代的礼拝形式は伝統的な讃美歌では成立しないし、
ワーシップソングも式文によって
進行されるような礼拝では本領を発揮できない。

そもそもこの新しい礼拝形式は前述したように
ペンテコステ・カリスマ運動と
結びついて発展してきたという経緯があるが、
Paul Basdenはこの新しい礼拝形式に関連して
ペンテコステ・カリスマ派の礼拝の独自な特徴を
以下の3つにまとめている(Basden 1999:100-101)。

1.非構造的であり形式主義を退け自発性を重視する。
2.全てのメンバーが自分に与えられた霊的な賜物を用いて礼拝に参与する。
3.すべての礼拝参加者が聖霊を直接的に体験することが目標とされている。

この現代的礼拝形式を実践する教会が
全てペンテコステ・カリスマ運動の影響を受けた教会というわけではない。
しかしながら新しい礼拝形式と思われているものが
このような背景から生まれてきたものであり、
ワーシップソングがそれに適する礼拝音楽として
発展してきたことは確かなことであろうと思われる。〉



、、、これは本ではなく、「論文」です。
正確には「卒業論文」ですね。
「よにでしセミナー2017伊勢志摩」で出会った、
山田風音くんと先日話したときに、
彼の卒論の話しになって、
あまりに興味深かったので、
「何らかの形で読めるの?」と聞いたら、
翌日にFacebook経由でPDFを送ってくれました。

彼の学部は「音響」に関することなので、
彼は自らの信仰の内容を、
「音楽的に分析する」ということをしたわけです。

具体的にはどうやったか。

まず、福岡市内91のプロテスタント教会にアンケートを依頼し、
51の教会から回答を得、
讃美歌の使用状況、伴奏の種類、
ワーシップソングの使用状況、感じている課題、
音楽の礼拝における意義づけなどについてデータを集め、
社会学的に分析しています。
また、アンケート調査に加えて、
ワーシップソング300曲以上についてデータ分析を行い、
調・拍子・和音構造・音符密度・音符の種類
・和音進行の傾向などについて分析し、
「歌いにくさの定量分析」を行いました。

このような実地調査は多分、
日本で他に行われていないと思います。
「信仰」とか「礼拝」とか「伝道」って、
「学術的に(社会学・自然科学的なアプローチで)研究する」
ということが他の分野に比べてきわめて立ち後れていると、
私は分析しています。

多分「学術的な分析が聖霊の働きを妨げる」
みたいな論理が背後にあるかもしれませんが、
ハッキリ言ってナンセンスです。
学術的に考えることと聖霊に導かれることは、
まったく矛盾せずに両立する、
というのが私の確信していることですので。

彼の論文、面白かったです。
こういう考え方をする信仰者・牧師が増えると、
日本のキリスト教は変わっていくだろうな、
と思わされました。
もちろん良い意味で。



●逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界

読了した日:2018年9月11日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宇佐美典也
出版年:2018年
出版社:新潮新書

リンク:
http://amzn.asia/d/0EKLMzU


▼▼▼日本型先送りシステムとは、、、
与党・官僚・野党が先送る構造的な欠陥

→P54 
〈このように日本の政治は2〜3年スパンで政治を考える与党議員、
与党議員の意向を踏まえて対症療法的な政策を立案し
問題を先送りする官僚、そして政権・与党を
刹那的な視点で批判し足を引っ張る野党、
という構図の「先送りシステム」で回っています。

その結果、我が国は
「問題は分かっているけれど対策が講じられない」
という状況が続き、当座社会は安定しているものの、
問題の先送りが続き将来的なリスクが拡大し、
それが財政赤字などの形で顕在化しつつあります。
ここまで説明してきたようにこの政治構造は属人的なものではなく、
システム的なものなので、
容易には変えることはできず今後とも続いていくものと思われます。〉



、、、著者は東大卒、元経産相の官僚で、
だいたい私と同じぐらいの年齢のときに、
公務員を辞めて「フリーランス」になった人です。
「肩書き捨てたら地獄だった」という本も書いており、
めちゃくちゃ共感した記憶があります。
つまり、彼は組織の中にいたときは、
「実力4割、肩書き6割」ぐらいに思っていたのが、
じっさい組織を離れてみると、
とんでもないことが分かった。
じつは「実力0.5割、肩書き9.5割」だった。

日本の社会の構造上、
「個人と組織の力関係」は、
生卵と万里の長城ぐらい、その堅牢さが違います。

嘘だと思うなら、
組織を辞めてフリーランスになってから、
付き合いのあった仕事相手に連絡してみてください。
会ってもらえませんから。
相手にされません。

あと、フリーランスになってから、
家を買おうとしてみてください。
ローンが借りられませんから。
銀行は「所属している組織」を信用しているから
あなたにお金を貸すのであって、
あなたに実力があるからではありません。

この「不都合な真実」を知るのは、
多くの場合著者や私のように、
大きな組織を離れてからです。

しかし、私は著者に同意します。

彼は組織を離れたこそ、
この著書に書かれているような、
日本社会に対する、客観的で冷徹で、
どこにも肩入れしない現状分析が出来、
なおかつ社会の弱者の側に立って、
暖かい励ましに満ちた立論ができるのです。

「肩書き捨てたら地獄」ですが、
「地獄を最後まで掘ったら希望が見つかった」
というのが私の実感であり、
きっと著者も共感してくれるでしょう。




●せいぎのみかた ワンダーマンの巻

読了した日:2018年9月11日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:みやにしたつや
出版年:2012年
出版社:学研教育出版社

リンク:
http://amzn.asia/d/4Jl8ldP

▼▼▼「とびら」より

〈「せいぎのみかた」は、
ただパンチやキックで
「えい、やー!」とわるいやつを
やっつけるひとではありません
やさしい心、ひとをおもいやる
愛する心をもったひとのことです。〉


、、、これも、山田風音くん関連です。
家に泊まって貰ったとき、
彼と妻と私の3人で、
「質問カード」をしました。

出た質問が、
「子どもに読ませたい本は?」でした。
彼の答えが「ワンダーマン」だったので興味をもって手に取りました。
同じ著者の「おまえ、うまそうだな」などは読んだことあったのですが、
こちらは初めてです。

「正義とはお腹が空いた人にパンを与えること」
というやなせたかしのメッセージに通ずるものがあります。
こういう「正義観」はハリウッド映画には皆無です。
このようなメッセージって、
日本が世界に誇れるものだと思うんですよね、私は。
「正義とは悪を完膚なきまでにたたきのめすこと」
というのがアメリカ・ハリウッド製の正義だとしたら、
「正義とは悪(敵)をも包摂する愛」が、
願わくば日本の未来の正義であって欲しい、と私は願います。
「柔よく剛を制する」の国ですから。




●デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか 労働力余剰と人類の富

読了した日:2018年9月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ライアン・エイヴェント
出版年:2017年
出版社:東洋経済新報社

リンク:
http://amzn.asia/d/aaW2GtV

▼▼▼本書の前提。
デジタル革命は未曾有の出来事ではなく、
産業革命の再上演だということ。

→P22 
〈逆に、デジタル革命が産業革命と
よく似ていると主張するのが本書だ。
産業革命の経験が教えてくれるように、
テクノロジーがもたらす新世界の果実を分かち合うための
誰もが納得する社会制度が合意を得るまでに、
社会は苦しい政治的変化の時期をくぐり抜けなければならない。
残念ながら、経済変化から最大の恩恵を受ける層は、
獲得した富を進んで分かち合おうとはしないものだ。
負け組が取り分の拡大を求めて社会的・政治的に
力を行使する手立てを見つけたとき、社会に変化が起きる。
今私たちが心配すべき問題は、
単にテクノロジーの未来をよりよく生きるために
どんな政策を採るべきかではなく、
誰が何をどんなメカニズムを獲得するかを決める、
始まったばかりの激しい社会闘争にいかに対処するかである。〉



、、、この本、めちゃ面白かったです。
本当は1万字ぐらい書けるのですが、
今回は私が多忙で執筆時間切れのため、簡潔に。

この本を知ったのは金融関係の仕事をしている、
義理の兄のEvernoteシェアによってです。
彼の勧める本はハズレがありません。
こういう知り合いを持つというのは、
お金には換算出来ない価値があります。
いや、マジで。

この本の著者であるライアン・エイヴェントの主張は、
現在「二回目の産業革命が起きている」ということです。
歴史をひもとくと、産業革命により「分配を巡る闘争」が起きました。
二度の世界大戦、核による人類滅亡の危機、大恐慌などの動乱を経て、
産業革命期の動的平衡(富む資本家と労働者の地獄)が、
現在私たちの知る動的平衡
(労働者もまた中世の貴族の生活が出来る社会)に移行したわけです。

デジタルエコノミーが経済を変化させている今、
新たな「分配を巡る闘争」が起きている、
とういのが著者の現状分析です。
著者の提案はベーシックインカムの実践や移民の受け入れ、
公共投資などによる、世界的な富の再分配です。
それによって起きるのは「ゼロサム的な富の奪い合い」ではなく、
全員がちょっとずつ得をする状態だ、
ということを論証していきます。

「ゼロサム的世界観に生きている人々は、
移民排斥運動やゲーテッドコミュニティ、
ティーパーティなどの手法で分配を阻止しようとするが」
と著者は言います。
「アダム・スミスの言う『同胞』とは、
 同質性の高い民族のことではなく、
 『人間』と考えようではないか」と。

「自分たちは努力して富を勝ち得たのだから、
それを独占して何が悪い」という富裕層は、
「そう思っているのは自分だけで、
 どんな成功者も、
 社会のおかげで運良くそうなった」
ことをもっと自覚すべきだ、と著者は指摘します。
だって、ビルゲイツがもしアフリカのスーダンの田舎に生まれていたら、
と想像してみてください。
彼はきっと時代の寵児にはなっていません。
おそらく同じような時期に、彼ではない誰かがアメリカで、
マイクロソフトのような企業を立ち上げていただけです。

私たちは自分で思っているのよりもはるかに、
「生まれたときにもらったトランプのカード」
の上にあぐらをかいているのです。
「いやいや、俺のカードは『ブタ』だよ!」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、もしあなたの家に冷蔵庫があり、
あなたにこのメルマガをここまで読める教養があるなら、
それは世界人口の上位2割に入る、
「強いカードを引いた」ことになります。
私たちは富を自分で築いたと思っているかもしれないが、
その多くは「天からの恵み」なのです。

、、、その富を他者に分け与えないのは当然だ、
と考えるのは、虫が良すぎやしないですか?
と著者は言っているのです。




●世論(上)

読了した日:2018年9月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ウォルター・リップマン
出版年:1987年(英語初版1922年)
出版社:岩波文庫

リンク:
http://amzn.asia/d/cLEBujB

▼▼▼報道(報告)は、観察者と出来事の「合作」である。

→P109〜110 
〈ただし、目撃者といえども、
現場そのままの姿を持ち帰って報告するわけではない。
経験から次のようなことが分かるように思われる。
目撃者自身が現場に何かを持ち込んでいるのに、
あとではそれを抜きにして語ったり、
彼が事件そのものと思い込んで語っているものが、
実はその事件の変形であったりすることが非常に多い。
意識の中にある事実が、
与えられた事実そのままである場所はごく少ないように思われる。
意識の中に在るほとんどの事実は、
部分的に潤色されているように思われる。
ひとつの報告は、知ろうとするものと知られるものとの合作である。
観察者役はその過程で必ず選択をするし、たいていは創作もする。
われわれが見る事実はわれわれの置かれている場所、
われわれが物を見る目の習慣に左右される。〉



、、、これは、ずっと「いつか読まなきゃ」と思ってた本です。
「古典」「定本」に分類される本です。
メディア論に関する本にはおおかた引用されています。
先日ご紹介した「フィルターバブル」も、
下敷きとなる理論は、
リップマンの「世論」から取られています。
20世紀最高のジャーナリスト、知の巨人と称された彼の言葉は、
20世紀初頭の我々が読んでも、
「これは、まさに現在の我々のことじゃないか」
と思わせる説得力があります。

保障しますが、
この本は100年後にも、
今と変わらず読まれ続けることでしょう。




▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』

コメント:

この本、上記の説明では捉えきれないほど、
もっともっと本当は深くて面白いです。

私が一番うならされたのは、
マルクスが『資本論』で指摘した、
「生産手段の独占による労働の疎外」が、
今、デジタルエコノミーで起きている、という分析です。

産業革命のときの「生産手段」が工業機械だったのに対し、
現在の「生産手段」は「イノベーションを起こす企業文化」なのだ、
というのが著者の主張です。
「サンフランシスコ近郊に住み、
 シリコンバレーの企業に所属していること」
によって人間は生産性を高め、
高額な年収を得られるのであって、
そこにアクセスできない人間は、
どんどん辺縁的な労働に追いやられていきます。
これはマルクスが『資本論』を書いたイギリスの状況に似ている、
と著者は分析していくのです。
良い本でした。




▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。


▼「目から鱗で賞」
『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』

コメント:

この本は「若者は自民党をリベラルと考えている」
という「目から鱗」の他にも、
安倍政権がなぜ長期政権なのか、
という現状分析も卓越していましたので引用します。


▼▼▼著者の安倍政権の分析は養老孟司の指摘と一致する。
「政治をナショナリズムに振り、
経済をグローバリズムに振る政権以外長持ちしない」

→P32〜33 
〈安倍政権がリベラル化する理由は、
「右(保守)」にライバルがいないことと、
「リベラル」以外に政策の選択肢がないことで説明できる。
安倍首相は「保守」「伝統主義者」「右派」のイメージによって
軸足を右に置き、中国や韓国に(もちろん北朝鮮にも)
強い態度を取ることで右翼・保守派(そしてもっとも面倒なネトウヨ)
を黙らせることができる。

そのうえで、「女性が活躍できる社会」や
「働き方改革」で「左(リベラル)」にウィングを伸ばしていく。
この戦略が有効なのは、
安倍政権と競合する有力な保守勢力が存在せず、
これ以上「右」にウィングを伸ばしても新たな支持層は開拓できないが、
「左」側には広大な沃野が広がっているからだ。〉



▼▼▼全方位支持層という、安倍一強の理由
→P171〜172 

〈ここから「安倍一強」の秘密を読み解くこともできる。
それは、以下の4つの戦略の組み合わせだ。

1.国際社会では「リベラル」
2.若者に対しては「ネオリベ」
3.既存の支持層に対しては「保守」
4.日本人アイデンティティ主義者に対しては「ネトウヨ」

「モリカケ問題」で権力基盤が揺らいでいるとはいえ、
これが現代日本において最も広範な支持者を確保する
最強の戦略であることは間違いない。
とりわけ有利なのは、中国や韓国・北朝鮮に強固なポーズを取り、
「朝日」「民主党」を批判することで、
もっとも面倒なネトウヨを「私設応援団」にできることだろう。

安倍政権を批判する人は、
”ネトウヨ”的な部分だけしか見ていないが、
これでは国際社会での評価や若年層での高い支持率の理由が説明できなくなり、
「左の陰謀論」にはまりこむことになる。
ここまで述べてきたように、
「安倍一強」はリベラル化とアイデンティティの衝突の
微妙な天秤の上に成り立っている。
現代の世界は(ほぼ)同じ価値観を共有する
巨大な「リバタニア(リベラル共和国)」と、
別々の価値観で分断された多数の「ドメスティック」で構成されている。
だからこそ、世界中で、「右傾化」が進みながらも、
ひとびとの価値観はますますリベラルになっていくのだ。〉



、、、現代世界では「外交では保守」、
「経済ではリベラル」の組み合わせが最強であり、
これ以外の政権は逆に長続きしません。
それを忠実に実行しているのが安倍政権であり、
なのでこれだけ長持ちしているのだ、
と著者は分析しています。
私は安倍さんを全面的に支持しているわけではありませんが、
それでも著者の分析は正しいと思います。

安倍さんがモリカケ問題で失点しても、
野党が10点ぐらいオウンゴールを入れてくれるので、
安倍政権は「負けない」わけですね。
あまり国民にとっては良い状況とは言えないのですが、、、。


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