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陣内が先月観た映画 2018年9月 『ゲットアウト』他

2019.02.06 Wednesday

+++vol.059 2018年10月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年9月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●サウスポー

鑑賞した日:2018年9月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:アントワーン・フークワ
主演:ジェイク・ギレンホール、レイチェル・マクアダムス、フォレスト・ウィティカー
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2PIjYt1

▼140文字ブリーフィング:

かなり面白かったです。
ボクシング映画の「ベタ」を全部入れた感じ。
ボクシング映画にハズレは少ない、
というのは映画の方程式の一つかもしれないですね。
とにかくギレンホールの演技がすごいです。
彼は「眼光の役者」と私は思っているのですが、
別の映画では彼は「ガリガリ」なのに、
この映画ではプロボクサー並の筋肉を付けています。
筋肉と眼光に釘付けになりました。
(172文字)



●バクマン。

鑑賞した日:2018年9月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(愛知への移動中)

監督:大根仁
主演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太他
公開年・国:2015年(日本)

リンク:
http://amzn.asia/d/94jbl8j

▼140文字ブリーフィング:

大根仁監督が結構好きなので、
普段なら食指が動きませんが、見てみました。
結果、結構楽しめました。

ジャンプの「友情・努力・勝利」を地で行くストーリーに、
「リアリズム」はありませんが、
最初からそれを劇中で言葉にすることで、
あまり気になりません。

この手法を「フィクションラインを上げる」といいます。
「これはリアルですよ〜!」というのは、
フィクションラインを下げているのですが、
そうすると観客は感情移入しやすくなると同時に、
ちょっとでも「こんなの現実じゃない」と思うと、
一気に冷めてしまうという諸刃の剣になります。
逆に、これは漫画的な話しですよ〜、
作り話ですよ〜、と、
「フィクションラインを上げる」ことによって、
「これは自分の話だ」と思わせるのは難しくなりますが、
ちょっとご都合主義的な展開があっても観客は、
「まぁ、フィクションだから良いよな」
とそのまま飲み込めてしまう、という長所があります。

大根監督はそれをよくわきまえています。
元々が「マンガ」のこの作品を、
そのまま実写(実在の人物)にすると、
当然、二次元から三次元になったことで、
「フィクションラインが下がる」のですが、
劇中で「わざとらしい台詞」を意図的に言わせることで、
観客に「そうだそうだ、これはマンガの話しだ」
と思い出させるわけです。

、、、能書きが長くなりました。

ちなみに「バクマン。」のマンガの原作は未読です。
この映画を観ると、
今の日本で人への影響力を最も発揮したければ、
他のどんな職業よりも漫画化だというのがよく分かります。
ジャンプの最高出版部数630万部は、
すべての出版物で最大部数だし、
おそらく今後も塗り替えられることはありません。
「教師1万人の影響力」は、
尾田栄一郎一人の影響力に勝てない可能性があるのです。

一方で、「食える漫画化は0.1%、
それでも普通のサラリーマンの年収に届かない」
という現実も同時に真実です。
かつてジャンプの連載をしていた、
主人公(佐藤健)の叔父(宮藤官九郎)は、
39歳で過労のため死んだという設定になっていますが、
これもおそらく「現場のリアルな描写」なのでしょう。
「クリエイティブな仕事」の光と闇が上手に表現されています。

あと、映像表現そのものも楽しめました。
見ていて飽きさせない。
音楽の使い方も上手なので、
視覚的・聴覚的な快楽があります。

詳しくは言えませんが、ラストの、
「最高潮の2人の忘我のハイタッチ
→嘘みたいな幕切れ」の流れは、
200%『スラムダンク』オマージュで
胸が熱くなりました。
「スラムダンク好き」には、
嬉しくなる小ネタがたくさん入っている映画です。

また、ちょっと角度は変わりますが、
劇中で主人公の2人が、
「ドラゴンボールやキン肉マンを超えるマンガを書こうぜ!!」
「、、、いや、人口減少社会でそれは現実的じゃない」
という会話を交わします。

ここに私は、平成生まれの世代の、
「世代的な賢さ」を感じます。
こういうことが堂々と言えるようになってきた、
というのは大切なことです。

私たちは「全体が縮む社会」に生きているのです。
並外れた夢を持つこと自体は良いのですが、
「巨人の星」的な昭和根性論にドライブされると、
いろいろ無理が生じてきます。
今の野球選手が王貞治や長嶋茂雄を目指しても、
同じような人気や名声は得られません。
あれは、国民全員が野球を見ていたから成立したわけです。
今の起業家が松下幸之助に憧れても、
松下幸之助にはなれません。
あれはまだ国民が白物家電をもっていない時代に、
起業家になったから成立したのであって、
すべてがコモディティ化され供給過剰の現代に、
「ナショナル」のようなサイズの企業は生まれないでしょう。
少なくとも製造業においていは。
今の時代に若い牧師が、
「世界一の教会員数の教会、つまり100万人を建てる!」
と息巻いても、
おそらくその試みは失敗に終わるでしょう。

時代が違うのです。

「全体が縮小する時代」に、
それでも、「あなたにしか描けない固有の夢」を描くことが、
これからの世代には大切だと私は考えます。
(1,652文字)



●ハッピーフライト

鑑賞した日:2018年9月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:矢口史靖(しのぶ)
主演:綾瀬はるか、田辺誠一
公開年・国:2008年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/2ypcEzW

▼140文字ブリーフィング:

「ウォーターボーイズ」「ウッジョブ!」の、
矢口監督なので期待しましたが、
ぶっちゃけあんまり面白くなかったです。
矢口監督は好きだし、彼の「職業もの」は勉強になりますが、
これはちょっと「あんまり」でした。
これは私の類推に過ぎないのですが、
「ウォーターボーイズ」が当たった矢口監督に、
大きなバジェットが下りてきて、
そんでいろんなタレントを使うことになり、
結果、芸能事務所の都合で大胆なことが出来なくなったり、
本来の脚本が歪んだりして、こういう残念な結果になった、
というのが裏で起きたことではないでしょうか。
邦画の駄作はたいていこうして作られます。
(270文字)



●宇宙兄弟

鑑賞した日:2018年9月17日 
鑑賞した方法:Amazonプライム特典 愛知から東京への帰り道の移動中にタブレットで

監督:森義隆
主演:小栗旬、岡田将生
公開年・国:2012年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/iaIfmHq

▼140文字ブリーフィング:

こちらも「あんまり」でしたね。
唯一褒める点を先に挙げるとするなら、
プライマルスクリームの「ロックス」の楽曲に乗せたオープニングシーン。
あと、コールドプレイのエンディング曲も良かったです。
PVとしては優れています。
あれは「上がる」。

しかし、オープニングで「ぶち上がったテンション」は、
まるでロケット打ち上げ失敗かのように、
本編で急速に尻すぼみ、最後までその勢いは戻りませんでした。
ご愁傷様です。

「なんでこうなってしまったのか?」
敗戦の理由を私なりに分析するならば、
英語を日本人俳優のスピードに合わせているので、
アメリカ人の英語が不自然にゆっくりになり「学芸会感」が強すぎる、
というのがその理由です。
先ほどの言葉で説明するなら、
「フィクションラインの失敗」ですね。
この映画はフィクションラインを下げようとしているのですが、
どう見てもフィクションなので、ついて行けなくなるわけです。
「これはおとぎ話ですよ〜」というためには、
大胆に、NASAとかJAXAっていうリアルな機関ではなく、
近未来SFとしてまったく違う宇宙機構を作るか、
もしくは民間企業の宇宙事業の話しにしたほうが良かったんじゃないかな。
あまりに中途半端な処理の仕方が、
全体の建て付けを悪くしています。

原作は未読ですが、マンガなら、
上記の問題は無視できるので、
「きっと、マンガだと面白いんだろうな」
と思いながら見ました。
これは映画の評価ではなく、
読んでもないマンガの評価になるのですが笑、
「このテーマ」を漫画化した勇気が凄いです。
しかも、ヒットしてるんですから。
井上雄彦が「スラムダンク」を最初に書いたとき、
ジャンプ編集部から、「バスケマンガは当たらない」という、
業界ジンクスを聞かされたそうです。
だからスラムダンク1巻、2巻には、
青春、不良、ケンカ要素が入っているのです。
井上雄彦はその「業界の常識」を覆しました。
「宇宙兄弟」の作者も、きっとそういうことをしたんだろうな、
と思います。
(814文字)



●ファイト・クラブ

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスで)

監督:デイビッド・フィンチャー
主演:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン
公開年・国:1999年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/4QVq9tA

▼140文字ブリーフィング:

これは有名な映画ですね。
実はこの映画、記憶に依れば15年以上前に見ているはずなのです。
2度目に見るはずなのに、マジで何も覚えていなくて、
自分の記憶力の悪さを再確認しました。
「うん、俺は記憶力悪い!」と。

結果、めちゃくちゃ面白かった。
だって、主観的には初めて見てるんですから笑。
、、、でこの映画、
ネタバレ厳禁映画につき、恒例の警告を。
公開年からすれば、別に今更ネタバレもクソもないのですが、
まぁ、これから初めて見る人もいるでしょうから、一応。


++++ネタバレ注意++++



++++ネタバレ注意++++



++++ネタバレ注意++++


では始めて行きましょう。
この映画の公開年は1999年ですが、
コンプライアンス的に、2001年9月11日以降は、
完全にアウトです。
理由は「ビル爆破シーン」が、現実に起きたことと、
あまりに似ているからです。
あれはすべてのアメリカ人にとってトラウマ映像でしょう。
津波の映像が日本人にとってトラウマ映像なのと同じで。

で、この映画のトリックは基本的に先月ご紹介した、
「シャッターアイランド」とか、
シャマラン監督の「シックス・センス」と同じです。
私は記憶力が悪いので、そのことをまったく覚えておらず、
今回、最後まで気づきませんでした笑。

つまり、冴えない日常を送る主人公(エドワード・ノートン)と出会い、
ファイト・クラブという、世界を破壊する秘密結社の創始者のブラピは、
実際には存在しない人物だ、という話しです。
ブラピはエドワード・ノートンの「オルターエゴ」であり、
自らの抑圧された欲望を実現するために、
エドワード・ノートンは「破壊神」として、
ブラピを召喚してしまうのです。
一種の多重人格者になったエドワード・ノートンは、
自分がブラピだったときにしたことを覚えていないので、
「秘密結社の陰謀に巻き込まれている」と主観的には感じています。

この映画、ブラピがかっこよすぎます。
また、「既存の価値観をぶちこわす」という意味で、
村上龍の小説「コインロッカー・ベイビーズ」や、
キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」などにも連なる名作です。

「社畜」のホワイトカラー、
ガソリンスタンドの店員、
レストランのウェイターなどの「労働者」が、
「暴力と破壊の秘密結社をつくる」というのがこの映画の筋です。

実はこの映画、見た目よりはるかに深い。

「近代社会における階級闘争」の要素も孕んでいるし、
現代社会の「不満の根源」を指摘しています。
それをテロリズムとアナーキズムで「破壊的に解決する」
というカタルシスが描かれます。
この話形は村上龍が得意で、
「愛と幻想のファシズム」や、
「コインロッカーベイビーズ」を思い出しました。

誤解されて解釈されることが多いですが、
こういった話形によって村上龍やデビッド・フィンチャーが伝えたいのは、
「だからこのクソ世界を破壊しようぜ!」
という話しではなく、
皆が当然のこととして受け入れている、
この世界は、「クソ世界」なのだ、
という内在的批判の視点を獲得させることなのです。
破壊神としてのオルターエゴ(ブラピ)は、
「あり得たかもしれない破局的な解決の提示」であり、
「その先は行き止まり」であることが示されることで、
鑑賞者(読者)は映画により「疑似的に脱構築」されたこの世界を、
再構築する日常に戻っていくことが意図されているのです。
(1,370文字)




●ゲット・アウト

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスの中で)

監督:ジョーダン・ピール
主演:ダニエル・カルーヤ
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/0BM0caC

▼140文字ブリーフィング:

クソほど面白かったです。
監督のジョーダン・ピールの背景はコメディアンです。
日本で言えば「芸人が撮った映画」になります。
ジャンルで言うと「コメディホラー」ですが、
それは薄皮一枚だけのことで、
非常に鋭い「白人至上主義批判」になっています。
トランプ大統領が人種差別主義者を勢いづかせ、
アラブ系のアメフト選手のナイキの広告により、
白人たちがナイキのスニーカーを燃やす、
という悪夢のような今の世界に、
この映画は預言的に響きます。
あまりに面白くて、私は2回見ました。
(227文字)




●GODZILLA ゴジラ

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(羽田に向かう電車で)

監督:ギャレス・エドワーズ
主演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/dAOdazL

▼140文字ブリーフィング:

最初の3分のあおりが面白かったので見ましたが、
ずーっと、ひたすらに退屈でした。
「1万回ぐらい見たことあるシーンの連続」でした。
大量の火薬、カーチェイス、安い家族愛、
記号的な大量の死人、記号的なビルの破壊、、、、などなど。

ハリウッド映画の駄目な部分の集大成、という感じでした。
ひどいです。

「シン・ゴジラ」と、パッケージは似ているが、
食品サンプルと本物の食品ぐらい違います。
栄養素ゼロの映画。
バジェット(予算)はシン・ゴジラの十倍以上の規模なのでしょうが、
こんなに面白くない映画が撮れる、
というのはある意味ハリウッドの「才能」と言ってもいいかもしれない。
こんなことにどうして人はお金を使うのだろう、、、
というのが私の感想です。
(311文字)




●奇跡のリンゴ

鑑賞した日:2018年9月21日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬からの帰りのバスで)

監督:中村義洋
主演:阿部サダヲ、菅野美穂
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/gDl6c1b

▼140文字ブリーフィング:

これは「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられて有名になった、
青森で「リンゴの無農薬有機栽培」という、
前人未踏の奇跡を成し遂げた、木村秋則さんの書籍の映画化です。

書籍は5年前に読んでいまして、
「こんなの映像化不能なんじゃないの?」と眉唾だったので、
ハードルが下がっていたからかもしれませんが、
思いの外良かったです。

それどころか、何回か泣きそうになりました。
10年間何も実らず、周囲から「かまどけし(ごくつぶし)」と、
後ろ指を指されながら生きる主人公に、
私の場合どうしても自分を重ねてしまうので。

農薬を使う農家が「安定した仕事に就く人々」に見え、
農薬を拒絶し、夢を追い続ける木村さんは、
「組織から離れて信念に導かれて生きる挑戦者」に見えます。
挑戦者はいつも人から馬鹿にされ、笑われ、軽蔑されます。
それでもなおかつ、「失敗者」として終わることも多いのでしょう。
それでも、そこには価値がある。
そういう社会じゃないと、逆に社会全体が停滞するだろう、
私はそう思うのです。

この映画、そんなわけで、
「すべての挑戦する者たちへのエール」にもなっている。
食えない芸術家、食えない芸人、食えないミュージシャンたちは、
この映画で泣くこと間違いなしです。

あと、木村秋則さん本人が、
あるシーンで出演していてテンションが上がりました。
「ウォーリーを探せ」じゃないけど、
「木村さんを探せ」要素もある映画です。
(592文字)


cf.書籍、『奇跡のリンゴ』
http://amzn.asia/d/4u8MTze




●容疑者Xの献身

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(タイに向かう飛行機の中で)

監督:西谷弘
主演:福山雅治、堤真一、松雪泰子
公開年・国:2008年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/9Blx1By

▼140文字ブリーフィング:

かなり良かったです。
「真夏の方程式」「秘密」「天空の蜂」「白夜行」など、
東野圭吾原作の映画は何本も見ていますが、
これはもしかしたら最高だったかも。
小説を超えていいます。
役者の厚みの勝利という感じ。
堤真一に、最後は泣きそうになりました。
今年一番の「純愛映画」です。

ちなみに私が映画評論において私淑している、
ライムスター宇多丸はこの映画に対して批判的です。
それはこの映画が構造的に抱える「ある部分」
についての突っ込みです。
そしてそれは、一理あります。
というよりも、ド正論です。
私も同意します。

でも、それはなぁ、、、。
それは、映画ではなく、
原作小説自体への批判になってしまうので、
私は映画に罪はない、という立場です。
(304文字)




●Tully (邦題:タリーと私の秘密の時間)

鑑賞した日:2018年9月24日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(タイへ向かう飛行機の中で)

監督:ディアブロ・コディ
主演:シャーリズ・セロン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://tully.jp/

▼140文字ブリーフィング:

この映画、3回見ました。
現在日本で公開中の映画です。
タイに行く飛行機の中で見られたので見ました。

行きの飛行機で2回、
帰りの飛行機で1回。

私の英語ヒアリング力が低いので、
1回目は50%、2回目は60%ぐらいしか理解できませんでした。
6日間英語漬けの生活で、
かなり英語に耳が慣れた3回目は、
やっと85%ほど理解できました。

よく「日常会話ぐらいなら英語話せる」という人がいますが、
いやいや、日常会話が一番難しいからね。
聞くのなら、フォーマルな場での講演会だとか、
話すのなら大勢の前でのプレゼンのほうが、
全然簡単です。
聞くのも話すのも、日常会話が最高難度です。

だって逆の立場で考えてみてください。
あなたが日本語学びたての外国人だったとして、
学校の先生の授業を理解するのと、
休み時間の日本人同士の
「水曜日のダウンタウンのクロちゃん、
 マジ、クズじゃね??」
「あれは激ヤバだよね。
 あの嘘ツイートマジ引いたんですけど。」
という会話に入っていくことは、どちらが難しいでしょうか?

後者のほうが100倍難しいのです。

映画の中の英語を聞き取るのも同じです。
会話のなかで、
「アメリカのテレビ番組で有名な人を用いたたとえ話」
「アメリカにしかないフランチャイズ店を用いた、
 『あるあるネタ』」などが出てくるのが、
映画の中の会話です。
しかも「ハイ・コンテキスト」といって、
文脈依存性が非常に高い。
「その人のおかれた文脈について、
 言葉ではないやり方で説明し、
 台詞では最小限度でしか語らせない」
のが映画の脚本の書き方です。
なので、重要なシーンはたいてい、
センテンスは原型をなしておらず、
単語の断片だけになります。

難しいでしょ?

あと、日本の松田龍平だとか、
佐々木蔵之介のような俳優を考えていただくと解るのですが、
ある種の映画俳優というのは、
「ボソボソ話す」ことや、「早口で話す」ことが、
その「芸風」になっています。

英語でそれをやられると、
ほとんど何言ってるか解らない。
ヒアリングでいうと最高難度です。

なんの話し?

あ、そうそう。
ですからこの映画、
3回見たけれど、ディテールについて、
私が本当に理解出来ているかどうかは謎です。
あとで、師匠であるライムスター宇多丸さんのの解説を聞いて、
やっと分かった部分が多かった。

まぁ、英語談義はこのへんにしますと、
この映画、シャーリズ・セロンの迫真の演技だけで、
もう80点ぐらい出しています。
23キロ増量して、「絶世の美女」であるシャーリーズ・セロンが、
「子育てに疲れ、肌がたるみ、醜く太った母親」を完全に演じきっています。
この役者魂は、役作りのために奥歯を4本抜いた、
松田優作と肩を並べます。

私がごちゃごちゃと口で説明するよりも、
これは画像を見て貰うのが最も説得力がある。
もはや「別人」です。

▼参考画像1:シャーリズ・セロン(通常時)
https://bit.ly/2zKjpxY

▼参考画像2:シャーリズ・セロン(Tully出演のため23キロ増量)
https://bit.ly/2QiGddM


、、、この「めちゃ美しい人が醜く所帯じみる」
という落差が、この映画のテーマである、
「きらびやかな独身20代女性が、
 3人の子どもを産み、
 疲れ果てていく。
 そして20代のころの青春を、
 複雑な気持ちで振り返る」
という物語の説得性を高めています。

子育てに苦労した女性にはエールを、
自分はイクメンだと思っているが、
実は何も解ってあげられていない、
すべての男性にはグサリと刺さる鋭い指摘を、
この映画は与えてくれます。
「男たちよ、何も解っていないということを解れ!」
ということです。

つまり、すべての男女に送る映画、ということですね。

とりあえずネタバレなしで解説できるのはここまで。
以降は自己責任で読んで下さい。
こちらは公開中の映画につき、特にご注意を。


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++



、、、さて、この映画には重要なトリックがあります。
それは今月ご紹介した「ファイト・クラブ」と、
まったく同じです。

Tullyというナイトナニー(夜に赤ちゃんを見てくれるベビーシッター)が、
主人公マーロウ(シャーリズ・セロン)のもとに現れ、
彼女の人生を「救済」するのですが、
最後の最後にトリックが明かされます。
Tullyはマーロウのミドルネームです。
そして彼女は実在せず、
不眠症の極限に達したマーロウが、
自らを救済するために生み出した「幻影」だったのです。

20代のTullyはマーロウのオルターエゴであり、
「若かりしころのマーロウ本人」でもあります。
最後の最後に、ナイトナニーを辞めたいと告げるTullyに、
マーロウはこうぶちまけます。

「あなたは20代だからまだスタイルが良くて、
何をしても楽しくて、夢にあふれていて、
自由があって良いわね。
でも30代は違う。
結婚をして子どもを産んだら、
あなたは思い知ることになるわ。
おむつを替え、授乳をし、
発達障害を抱える息子の対応に追われ、
学校と交渉し、おむつを替え、授乳をし、
自分はどんどん醜く老けていく。
終わりなき消耗の日常が待ち受けてるのよ!!
いつかあなたも知ることになるわ!!」と。

それに対してTullyはマーロウにこう言い返します。
「あなたが軽蔑しているその日常を、
 私は夢に描き憧れているのよ!!」と。

トリック自体は手垢がついた手法であり、
ちょっと食傷気味なのですが、
この叫びは素晴らしかった。
「終わりなき日常の肯定」がそこで語られるからです。

「シュシポス神話」というギリシャ神話があります。
シュシポスは神々の怒りを買い、
岩を山頂に運ぶという仕事を命じられます。
ところが岩は山頂におかれた瞬間、
ふもとまで転がり落ちてしまいます。
シュシポスはまた下山し岩を運ぶ。
これが永遠に繰り返される、
というのがシュシポスの神話です。

現代の「終わりなき消耗の日常」は、
まさにこのシュシポスの姿そのものかもしれません。

私たちは朝から晩まで働きます。
働いてはその成果に満足するつかの間もなく、
次の仕事がやってくる。
育児もそうです。
おむつを替えてはまた汚され、
またおむつを替えては汚され、
またおむつを替え、、、
永遠に続くかに思える繰り返しがそこにある。

しかし、その「シュシポス的日常」を、
肯定することこそ、現代の社会が心から求めているものです。
「非日常への逃避」は本質的な解決にはなりません。

ここで宣伝をぶっこみますと、
11月23〜24日、札幌で開催される、
「よにでしセミナー」は、
「終わりなき日常の肯定」
「終わりなき日常に意味を与えること」が出来る、
機会を意図的に提供している、
日本で(多分)唯一のセミナーであると自負しています。
参加をご検討の方は是非に!!
(2,693文字)



▼参考リンク:「よにでしセミナー2018 in札幌」
http://karashi.net/project/yonideshi/index.html

(申し込み人数上限15名に達し次第、
 受付を終了しますので、
 検討中の方はお早めに!)




▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ゲット・アウト」

コメント:

この作品は、けっこう度肝を抜かれました。
こんな面白い映画がまだあったのか!と。
基本はホラー調なのですが、
ちょっと「そこはかとない面白さ」がある。
かなり高度なバランスで、
恐怖と笑いが融合しており、
なおかつ強烈な社会批判になっている。
この映画は実はエンディングが2パターン用意されていたそうです。
当初監督が構想していたのは、「希望のない」パターン。
しかし、トランプ大統領の当選、
およびかつてないほどの有色人種排斥の機運の高まりのなかで、
監督はエンディングを「希望のある方」に差し替えたそうです。
「現実社会が地獄なのだから、
 せめて映画は希望を語らなければ」
というわけです。
賢明な判断だったと思います。




▼主演(助演)男優賞
堤真一(容疑者Xの献身)

コメント:

根暗な天才数学者の役を、
演じきっていました。
あの位置にいるのが誰かで、
この作品はまったく違うものになっていたでしょう。
私は彼の演技、好きでした。
こんな役も出来るんだぁ、と、
俳優としての堤真一を再評価しました。




▼主演(助演)女優賞
シャーリーズ・セロン(タリーと私の秘密の時間)

コメント:

文句なしですね。
こんなの、主演女優賞以外ないでしょう。

日本の女優でいったらどうなんだろう?
綾瀬はるかとかが、
25キロ太って、
女芸人みたいなブヨブヨの身体になり、
三段腹を揺らしながらジョギングするシーンを撮る、
みたいな話しですからね。
日本ならまずこれをOKする芸能事務所が存在しないはずです。

それほどこの役作りは「鬼神の領域」に踏み入れています。

、、、というか、
今年のアカデミー賞、
マジで彼女は主演女優賞獲るかも、です。
そうなったら、私はアカデミー賞を「予言」したことになります。

、、、みなさん、覚えておいてください笑。


、、、あ、外れたら、忘れて下さい笑。




▼その他部門賞「再評価賞」
「ファイト・クラブ」

コメント:

こんなに面白い映画を、
なぜ私はまったく覚えていなかったのでしょう?
これを観た15年前は、いったい何を考えていたんだろう?

まぁ、人は変わる、ということですね。

今まったくつまらないと思っていた映画が、
10年後に一番好きな映画になったり、
今一番面白いと思っている映画が、
10年後に観たら、
「なんて薄っぺらな映画を私は喜んでいたんだろう?」
と思うかもしれない。

映画は人生の成長を測る座標軸のように、
そこに定点として存在してくれています。
たぶん私が15年前に「ファイト・クラブ」を見た時は、
「労働階級の鬱屈」や、
「破壊衝動を覚えるほどの現代人の抑圧」について、
まったく理解していなかったのだろうと思います。

飛行機の中で観た「Tully」にしても、
今私は親になったからあれだけ響いたのであって、
たとえば独身時代に観ていたら、
これほど楽しめたかどうかは不明です。

私たちは映画を評価しますが、
実は私たちのほうもまた、
「映画に評価されている」のかもしれません。

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