カテゴリー

検索

便利な「検索」機能の使い方

上の検索バーに、「vol.○○」あるいは、「●年●月●日配信号」などと入力していただきますと、カテゴリ別だけでなく配信号ごとにお読みいただけます。

また、ブログ記事のアップロードは時系列で逐次していきますが、「カテゴリ別」表示をしますと、「Q&Aコーナー」だけを読む、あるいは「先月観た映画」のコーナーだけを読む、などの読み方が可能です。

スマートフォン

この他の活動媒体

●9年間続くブログです。↓
陣内俊 Prayer Letter ONLINE

●支援者の方々への紙媒体の活動報告のPDF版はこちらです↓
「陣内俊Prayer Letter」 PDF版

陣内が先月観た映画 2018年10月 『三度目の殺人』他

2019.03.13 Wednesday

+++vol.064 2018年11月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年10月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●フィフス・エレメント

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:リュック・ベッソン
主演:ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ
公開年・国:1997年(フランス)
リンク:
http://amzn.asia/d/35q2YDO

▼140文字ブリーフィング:

名作映画「レオン」の監督、リュック・ベッソンの作品です。
リュック・ベッソンだと、「ANGEL アンジェラ」も今年見ました。
リュック・ベッソンの話形はいつも同じです。
冴えない男に、「天使」としての美少女が舞い降り、
そこから話しが展開していきます。。
「アンジェラ」もそうだし「レオン」もそうです。
この話形は実は、宮崎駿とまったく同じなのです。
リュック・ベッソンと宮崎駿は気が合うに違いありません。
本作はSF作品ですが、
「レオン」や「アンジェラ」のほうが私は好きです。
リュック・ベッソンはどこかレトロな感じこそが持ち味なので、
本作のようなSFをやると、まさにレトロフューチャーになってしまい、
未来を旅している感じにはならないので。
映画としては「並」でした。
(324文字)



●岳

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:片山修
主演:小栗旬、長澤まさみ
公開年・国:2011年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/8qYivfQ

▼140文字ブリーフィング:

これはですねぇ。
あまり面白くなかったです。
すみません。
「特になんということはない」邦画です。
見た先から内容を忘れてしまう笑。
マンガが原作ですが、
マンガで読んだらもっと面白いかも。
(89文字)



●ブラックパンサー

鑑賞した日:2018年10月1日
鑑賞した方法:横田家から借りる

監督:ライアン・クーグラー
主演:チャドウィック・ボーーズマン、マイケル・B・ジョーダン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/317JiQh

▼140文字ブリーフィング:

練馬グレースチャペルの牧師の横田師の息子さんが、
マーベル系の映画が大好きでいろいろDVDを持ってるので、
興味のあった「ブラックパンサー」を貸していただきました。
マーベルのなかでは一番面白かったです。暫定ベスト。
ライアン・クーグラーというこの監督、
実は「ロッキー」シリーズの最新作、
「クリード チャンプを継ぐ男」の監督です。
「クリード」は一昨年に観た映画のベスト5に入る面白さでした。
本作の凄いところは、「アメコミ」という舞台装置で、
架空のアフリカの都市国家「ワカンダ」の王子の話しをする、
という思いっきりフィクションに寄った設定のなかで、
「現実世界の差別や人種の多様性の問題」という、
非常に現代的な社会批評を語っているところです。
(314文字)



●イヴの時間

鑑賞した日:2018年10月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:吉浦康裕
主演:福山潤ほか
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/bvYrF6u

▼140文字ブリーフィング:

アニメーション作品です。

なんていうんでしょう、、、。

うーん、、。

全然面白くなかったです笑。

ロボットが人間と区別がつかなくなった未来で、
「ロボットに関する法律」がつくられ、
ある喫茶店ではロボットと人間を差別なく扱うというルールがある
、、、というアイディアは「非常に凡庸」です。

100回ぐらい見たことある。

音楽や効果やアニメーションも、
なんか「ドンシャリスピーカー」みたいで、あざとい。
どこで盛り上がって良いか分からないし、
何が良いのか分かりません。
「アニメであることの良さ」もありません。
シーンは三種類(喫茶店、家、学校、以上。)ぐらいなんだもの。
アニメっていうのは実写ではできない、
架空を描けるところにメリットがあるのに、
この作品では創造力の翼は骨折してしまっています。
舞台でやればいいのに。
Amazonのレビューの高評価の意味が私には解せません。
声優オタクとかが高評価をつけてるのかな?
分からん。
(399文字)



●ウルフ・オブ・ウォールストリート

鑑賞した日:2018年10月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(横須賀への往復電車のなかで)

監督:マーティン・スコセッシ
主演:レオナルド・ディカプリオ
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/bp9X78s

▼140文字ブリーフィング:

もはや映画の古典、『タクシードライバー』の、
マーティン・スコセッシ作品です。
最近だと、『沈黙』を撮った監督、
と言った方が分かりやすいでしょうか。

これはすごかったです。

「沈黙」と匹敵するぐらい面白いかも。
「沈黙」とはベクトルが真逆ですが笑。
マーティン・スコセッシの底力を見た気がします。
マーティン・スコセッシはかつてカトリックの司祭になることを夢見たほど、
敬虔なカトリック教徒として知られています。
しかし彼の宗教観は既存の伝統的な神学と相容れず、
だから彼は映画というフィールドで「神学」しているのだと、
私は解釈しています。
映画監督のなかには「在野の神学者」がけっこういます。

この映画は3時間ありますが、
3時間ずっと「金とセックスとドラッグと下品な言葉」の応酬です。
ずーっと不謹慎で、ずーっと公序良俗に反しています笑。
「こいつら狂ってる。
 最低だ!
 、、、
 ん?
 、、、
 、、、
 でも最低だ!
 、、、いや、やっぱり最低だ!」と思いながら、
アドレナリン出まくりで魅せられます。

「やられた」と思いました。

この映画は実在の人物、
ジョーダン・ベルフォードの伝記に基づいています。
人間という生き物の「生々しい欲望」をひたすら見せられる3時間。
圧倒的でした。

レオナルド・ディカプリオはこの作品の後、
一定期間俳優業を休業しました。
「まぁ、そうだろうな」と思います。
それぐらい「高カロリー」な作品ですから。
(570文字)



●ヤング=アダルト

鑑賞した日:2018年10月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェイソン・ライトマン
主演:シャーリズ・セロン
公開年・国:2011年(米国)
リンク:
http://amzn.asia/d/4sM6xg6

▼140文字ブリーフィング:

タイからの帰り道に飛行機で見た、
『タリーと私の秘密の時間(原題Tully)』は秀作でした。
私の私淑する映画評論家、ライムスター宇多丸さんがラジオで、
『タリー・・』と同じ主演女優&監督のタッグ作品があると知り、
本作を見ました。

『タリー・・・』では三段腹を揺らす、
「鬼神の役作り」のシャーリーズ・セロンは、
この映画では「性格の悪い超美人」を演じています。

映画を観ていて「この主人公はクソだ」と、
こんなに思うことも珍しいほど、
クソ主人公なのですが、
同時にクソ面白かったです。

美貌に恵まれたがゆえに人の痛みが分からず、
性格がねじ曲がってしまった主人公は、
「十代のころの栄光の日々」の精神のまま、
三十代に突入します。
プライドだけは怪物のように肥大し、
世間の認識と自意識が乖離した、
「痛い女」の標本のような主人公なのですが、
不思議なことにこのクソ主人公の気持ちが、
観客はちょっとだけ分かるようになるのです。

この映画、日本に置き換えるとこんな感じです。
主人公は田舎町から都会に出てきたクソ女です。
地元の高校では学校一番の美人で、
スクールカーストの最上位に位置し、
外見がイケていない男子をいじめることに加担したが、
その男子の名前すら覚えていない。
その子は地元の短大を卒業し、東京に出る。
そこで「六本木キラキラ女子」として、
華やかな世界に暮らしているが、
東京に出れば当然上には上がおり、
相対的に見れば「たいしたことはない」。

そんな彼女も、
田舎に帰ると全員が絶望的にダサく見える。
その中で孤立する姿がたまらなく痛々しい。
「田舎に順応することを大人になると呼ぶ常識人」
のなかで孤立していく彼女は、
クソであることは変わらないのですが、
「うん、分かるぞ。
 田舎で安定を志向した人たちの、
 本人は自覚すらしていない、
 底知れぬ傲慢さ、ってあるよね。
 お前はクソだが、
 その犠牲者であることは確かだ。
 分かる、分かるぞ!」
と、最後にはちょっと応援してしまう、
という不思議な作品です。

本谷有希子の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』という小説があります。
吉田大八監督が、佐藤江梨子主演で映画化もしています。
こちらは日本版の「ヤング=アダルト」と言えるかもしれません。
そう考えると、このテーマ(誰か名前をつけてくれ)は、
案外と世界中で普遍的なテーマなのかもしれません。
(891文字)



●三度目の殺人

鑑賞した日:2018年5月19日
鑑賞した方法:Amazonでレンタルストリーミング 500円

監督:是枝裕和
主演:福山雅治、役所広司、広瀬すず他
公開年・国:2017年(日本)
リンク:http://amzn.asia/eCkwlne

二度目の観賞 2018年10月11日
Amazonプライム特典にて

▼140文字ブリーフィング:

この映画をみるのは二回目です。
今年の5月に、Amazonビデオで新作レンタル料の500円を支払って、
ストリーミングで観賞しました。
そんで最近、なんとプライム特典で、
無料観賞出来るようになっているではありませんか。
こういうのを「損した」と感じる人もいますが、
私は「損した」とはまったく思いません。

観るのに500円払う価値があると思ったから観たのであり、
実際その価値があったのですから。
モノの価値というのは「絶対値」を観るべきです。
それが●●円払う価値があると自分が確信したら、
定価であってもそれを買えば良いし、
その価値がないと思えば、
いくら「90%オフ」で売られていても、
買わなければ良いのです。

私の経験から言って、
「相対値」で価値判断する人は、
買い物が下手な人です。

何かが1000円安くなっているとき、
「1000円得した」と感じる人は、
価値を相対値でみています。
それが定価であろうが割引後であろうが、
「現在それに●●円の価値があるかどうか」
だけを絶対的な基準とすべきです。

私は本や映画などのソフト(知的創造物)にお金を払うとき、
自分の選球眼にわりかし自信があります。
あと、ソフトにお金をちゃんと使うことは、
その業界自体を維持させるためにも、
絶対に必要だと考えます。
誰も本を買わなければ出版業は衰退しますし、
誰もが違法無料動画で映画を観るようになったら、
映画産業は衰退します。
結局そのツケは自分が払うことになるのです。

、、、何の話し?

そう。

「三度目の殺人」。

プライム特典で無料になっていたので、
私はテンションが上がって、
もう一度みました。

結果、めちゃくちゃ面白かったですね。
改めて、是枝監督の最高傑作かもしれない、と思います。
『万引き家族』を未見なので断定できないですが。

人を裁いて殺す権限を持っているのは誰なのか?という点で、
「裁く者と裁かれる者」「殺す者と殺される者」の、
主客が逆転するさまは見事ですし、また、
真実がどこにあるか敢えて分からないようにしている、
その「80%のシースルー感」もすばらしいです。

、、、あ、ここからはちょっと内容に立ち入るので、
恒例のアレを。
以降は自己責任において読んで下さい。


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


+++++ネタバレ注意+++++


5匹の小鳥のうちの逃がした一匹が、
足をケガした少女(広瀬すず)だったりするメタファー、
「十字架」というシンボル、
「彼は器なのだ」という、
他者の殺意を具現化する人間としての犯人像が、
ヒントになっている点、、、
文句なしの100点の映画でした。

ここからは二度目に見たときの発見。

「これはキリスト論だ」と確信しました。
小鳥の墓が十字架のかたちになっていること。
殺人現場の人型の十字架。
雪遊びのシーンでの十字型に寝る姿。
ラストシーンの「十字路」。

「十字架」がこの映画を読み解く鍵です。
最後に法廷で役所広司は広瀬すずを救おうとし、
その罪を自らの身に背負います。

彼は「救済者」であり、キリストなのです。

広瀬すずを観ながら満足そうに死罪判決をうけ、
両手を縛られ法廷の外に連れて行かれる役所広司の視線は、
キリストの代わりに釈放された強盗犯のバラバへの、
キリストの視線と重なります。

三度目の殺人とはだから、
司法制度による役所広司の殺人であり、
司法制度全体がポンテオ・ピラトや、
ユダヤの大祭司のメタファーになっています。
その返り血を浴びた福山雅治は、
さしずめローマの兵隊や、
殉教者ステパノの返り血を浴びた、
使徒パウロに相当します。

是枝監督は、キリスト教の素養がかなりある監督だと、
改めて感心しました。
(1390文字)



●わたし出すわ

鑑賞した日:2018年10月14日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:森田芳光
主演:小雪
公開年・国:2009年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/dp1KkPu

▼140文字ブリーフィング:

面白くはなかったです笑。
ただ、目指したメッセージ性自体は面白かった。
それは、「過剰なお金がそのひとの本質を浮き彫りにする」
というメッセージです。
おそらく株で大儲けしている主人公(小雪)が故郷に行き、
いろんな旧友にお金を渡していきます。
それが彼らの人生を変えていく。
崩壊する人もいるし、より強靱になる人もいる。
過剰なお金は「その人の潜在的な問題や、
生の人間性を試すテスト」なわけです。

面白そうでしょ?
藤子不二雄Aの、
「笑うセールスマン」というマンガがありますが、
あれと感覚がちょっと似ています。

もっと上手にやれば、
もっと面白くなる映画なんだけど、
そのメッセージ性が、
なんか薄いというか、
薄ぼんやりしてるというか、、、。
ぱっとしませんでした。

素材は良いのだけど、
味付けを間違えた料理みたいな感じでした。
(302文字)



●グッド・フェローズ

鑑賞した日:2018年10月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーティン・スコセッシ
主演:ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタ、ジョー・ペシ
公開年・国:1990(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/6DGkEtG

▼140文字ブリーフィング:

出ました。
マーティン・スコセッシ再び。

ウルフ・オブ・ウォールストリートを観た後、
ラジオでライムスター宇多丸の解説を聞きました。
なんでもこの『グッドフェローズ』が、
宇多丸にとっての「生涯ベストワンの映画」だというので、
興味をもって見た次第です。

映画評論の師匠が言うなら、
観なきゃダメでしょ、ということで。

そんで鑑賞した結果、、、
これが90年の作だとすると、
確かに映画の流れを変えた一作だというのが分かります。
宇多丸が言っている、
「ヒップホップの技法・サンプリングの技法を使った初めての映画」
というのも良く分かります。
この映画が約30年前に作られ、
それが現在に至るまで映画の技法に影響を与え続けている、
という意味も分かりました。

ただ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、
同じ監督によるその「純粋な進化形」なので、
『ウルフ・オブ・・・』のほうが面白かったかな、正直笑。
最新モデルのマスタングに乗った後に、
「これが原点なんだ!」と、
T型フォードを見せられても、
あんまり興奮しないというか、、、。

伝わるのかな、このたとえ。

ただ、技法以外の部分で純粋に映画として面白い部分もいっぱいあります。
この映画はアメリカのイタリアマフィアの家族の話しです。
『ゴッド・ファーザー』とかと同じテーマですね。
あと、北野武は絶対認めないでしょうが、
『アウトレイジ』は確実にこの映画を参照しています。
オマージュと言っても良い。

あと、映画とはちょっと離れますが、比較文化論として、
イタリアンマフィアの家族を、
ユダヤ人妻が分析するところが面白かったです。
血族かどうかがモノを言う縁故主義、
ねっとりとした人間関係など、
イタリア、もっと言えばカトリック圏の文化を、
ユダヤ人の妻がアングロアメリカ的な視点から冷静に分析する視点は、
かなり勉強になります。

主人公が麻薬とトマトソースを同じテンションで話すシーンも面白いです。
死体を処理する帰り道に、お母さん(スコセッシの実母が演じる)の、
「何か食べて行きなさい」という言葉に逆らえないマフィアの姿も、
マリアを拝む「グレートマザー」のいるカトリック性が現れています。

カトリック圏は教皇という「グレートファーザー」と、
マリヤという「グレートマザー」がいるんだなぁ、と思いました。
だからカトリック圏は「大家族」が多い。
もちろん避妊禁止の影響もありますが、
カトリック圏のほうが家族が濃密なのは、
彼らがグレートマザーを持っており、
「父なき世界」を知らないからだと思います。

プロテスタントは「プロテスト」したわけです。

誰に??

それは「父」にです。
グレートファーザー、教皇と神父です。
よってプロテスタント性というのは、
母親も父親も持たない、「孤独な反抗児」的になります。

あるとき何かでこんなことを読みました。
世界のカトリック国とプロテスタント国を比較したときの違いについて。
カトリック国とは欧州の南部(イタリア・スペイン・フランス南部)、
そして南米、フィリピンとかが入ります。
プロテスタント国とはイギリス・ドイツ・北欧・アメリカ、
カナダ・オーストラリアなどですね。
後で説明しますが、日本もここに入ります。

そこで指摘されていたのは、
「豊かさ」ではプロテスタント国が圧倒しており、
「不正や汚職の指標」がプロテスタント国は低い。
プロテスタント国の職業倫理は高く、
犯罪率も低く、そして金持ちである。
ここまでは皆さんも知るとおりです。
マックス・ヴェーバーが、
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で言ったとおりです。
対するカトリックは職業倫理が低く、
不正や汚職の指標は高く、犯罪率は高く、
そして貧乏です。
南米やフィリピンの薬物汚染事情や大規模な不正、
イタリアのスリの多さなどを考えれば分かります。

ところが、ここからが面白い。

ここに、「幸福度」という指標を加えるのです。
すると何と、幸福度ではカトリック国が逆転するのです。
お金がなく、犯罪率が高く、職業倫理が低いカトリック国は、
「あなたは今幸せですか?」という質問に、
プロテスタント国以上に「はい」と答えるのです。
ちなみに、「自殺率の指標」も両者で逆転します。
プロテスタント国は自殺率が高く、
カトリック国は低いのです。
カトリックは長い間「自殺した人は地獄へ行く」
と言っていましたから、その影響もあるでしょう。
(第二バチカン公会議において、この見解は公式に覆りましたが)
しかし、紛争中の国々を除けば、
最も自殺率が高い国の常連はスウェーデンなどの北欧諸国であり、
北欧は濃厚なプロテスタンティズム文化が根付いています。

なぜカトリック国が幸せなのか?

その本には書いてませんでしたが、
『グッド・フェローズ』に描かれているような、
「濃密な家族関係と人間関係」が関係しているのは間違いありません。
フィリピンに何度か行ったことがありますが、
彼らはいつも、いつも、本当にいつも一緒にいます。
家族や友人でずっと一緒にいて、
ずっと何かを食べ、ずっと冗談を言って笑い合っています。
「幸福」の研究が明らかにしているのは、
人間の幸福にとって「所有」よりも「関係」のほうが大事だ、
ということです。
対するプロテスタント国は「個人主義」であり、
誰かの成功は、兄弟ですらそれに関係ない。
それは彼だけが成し遂げたことだ、
という世界観がある。
それがプロテスタント国を豊かにしたわけですが、
同時にその社会を孤独にしました。

あと、めちゃ乱暴に言うと、
「ご飯が美味しい」のもカトリック国です。
「不味いことで有名な」イギリスの食事と、
イタリア・南仏・スペインの食事を考えてみて下さい。
両者には雲泥の差があります。
「働くために食べる」(ご飯はエネルギーチャージ)と考える、
プロテスタント国(アメリカのファストフードを思い出して下さい)と、
「食べ、味わうために働く」(ご飯はそれ自体人生の喜び)と考える、
カトリック国(南欧では食事を2時間とかかけて食べます)、
食事のおいしさに差が出てくるわけです。
また、カトリック国の人々は良く踊り、
音楽を愛し、人生を楽しみます。

これは非常に示唆的なことだと思います。

プラトンの「真・善・美」という概念がありますが、
プロテスタント社会は「真・善」を独占したため、
対するカトリック社会が余った「美」を持っていったのかもしれない、
と私は思いました。

山本七平が指摘するように、日本もまた、
大別すると「プロテスタント国」に分類されます。
職業倫理が高く、不正・汚職指標が低く、豊かです。
そして自殺率が高く、国民の幸福度は低い。
日本もまた「真・善」だけを取り、
美を忘れた国なのかもしれません。

「美の回復」が、日本には必要です。

人生を「コスパ」で測るのを辞め、
今この瞬間、太陽が輝き、自然が美しく、
ご飯が美味しいことを堪能するセンスが必要です。
音楽に合わせて自然に踊り出すセンスが。
仕事をさぼって恋人と逃避行するセンスが。
朝から晩まで冗談を言い合い、
人生をシリアスに捉えすぎるのをやめ、
すべてを笑い飛ばすセンスが。

カトリック圏から学べることは、
実は思いの外たくさんあるのです。
(2,669文字)



●ヒューゴの不思議な発明

鑑賞した日:2018年10月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マーティン・スコセッシ
主演:エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ
公開年・国:2011年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/07vgDvE

▼140文字ブリーフィング:

はい。
出ました。
マーティン・スコセッシ三たび。

先月は私は「マーティン・スコセッシ祭り」でした。

先月観た中ではこれが一番最近の作品でした。

これはねぇ。

日本語タイトルと、宣伝の仕方が悪いと思いました。
原題は単に「HUGO(ユゴー)」です。
フランス人作家の「ビクトル・ユゴー」という人がいますが、
その人と同じ、「ユゴー」です。
「ヒューゴの不思議な発明」という、
「のび太の鉄人兵団」とか「崖の上のポニョ」的な、
日本の子どもたちに耳馴染みの良いワーディングをすることで、
本作の本当の内容とはまったく違う印象を与え、
映画館で鑑賞した人は「え?こういうジャンルだったの?」
となったことでしょう。

ただ、難しいのは、
確かに表面上の内容は、「のび太の●●」的な内容でもあるのです。
しかし、本当の内容は全然違う。
この映画は「お菓子のパッケージにイカの塩辛が入っている」
みたいな映画なのです。

では、イカの塩辛とは何か?

それは、シネフィル(映画愛好家)の、
シネフィルによる、シネフィルのための映画です。
これは私はライムスター宇多丸や町山智宏の解説を聞いてやっとわかりました。
「映画の父」リュミエール兄弟とジョルジュ・メリエスの実話を題材にした、
「映画黎明期」の、「見世物としての映画」を、
現代の見世物小屋である3D映画館で上映する、
というメタ的オマージュにあふれるシネフィル作品なのだ、と。

日本だとどういうことなんだろう?

表面上は「のび太の●●」的な作品なんだけど、
登場人物が、黒澤明とか、小津安二郎とか、円谷英二とか、
日本の映画黎明期を作った人々の実話で、
彼らの映画技法などを余すところなく開陳しており、
日本古典映画マニアの垂涎が止まらない、
みたいな感じです。
「映画史博物館」とかで流すといい作品ですね。
(718文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「三度目の殺人」

コメント:

これは文句なしに面白かったです。
2回目に観ても、さらにいろんな発見があり楽しめました。
日本人の監督でこうい「キリスト論」を描けるというのは、
本当にスゴイことです。
是枝裕和監督は現代の日本人映画監督のなかで、
頭ひとつ抜けていますね。



▼主演(助演)男優賞
レオナルド・ディカプリオ(ウルフ・オブ・ウォールストリート)

コメント:

先ほども書きましたが、
この映画の撮影後、ディカプリオは俳優活動を一時休業します。
それほど「すべてを出し尽くした演技」だったのです。
俳優って、命を削って演じてますよね。
この映画に関しては、命を削ってるなぁ、、、
というのが観てて分かります。
「俳優が命を削る」というとき、
ジャッキー・チェンが「折ったことのない骨はない」とか、
トム・クルーズが骨折したままヘリコプターに捕まる演技をした、
とか、極度の減量とか増量は「分かりやすい」です。
しかし、「感情の消耗」のほうが私は過酷だと思います。
この映画でのディカプリオもまさにそれ。
ちなみにヒース・レジャーという俳優は、
『ダークナイト』というバットマンの映画で、
狂気の悪役、ジョーカーを演じ、
「役に呑み込まれる」形で、
直後に薬物過剰摂取で死んでいます。
『ダークナイト』を観ますと、
「まぁこれは、死んだとしてもおかしくない」と思います。
それほどにあのジョーカーの演技は鬼神の領域に踏み込んでいた。
「入魂の感情の演技」は命がけなのです。



▼主演(助演)女優賞
シャーリズ・セロン(ヤング=アダルト)

コメント:

先月の「タリーと私の秘密の時間」に続き、
今月も主演女優賞はシャーリズ・セロンです。
「タリー・・・」のあとにこの映画を観ると、
分かってはいても、同一人物と思えないほど、
まったく違う役を演じています。
「自分の美貌ぐらいしか頼るものがない、
 危うい杖に支えられている、
 どこまでもイタイタしい『キラキラ』女子」
を怪演しています。
この映画公開時にはまだ「Instagram」というツールは、
世の中に普及していないわけですが、
もし彼女がInstagramを手にしていたら、
その殺傷能力は何倍にもふくれあがっていたことでしょう。
もちろんそれは諸刃の剣ですので、
殺傷能力は他者に向かうとともに、
彼女にも返ってきます。
その場合、彼女の「崩壊の仕方」は、
この映画どころでは済まなかったでしょう。
観てみたい気もしますが、
怖くて観られない気もします。



▼その他部門賞「監督賞」
マーティン・スコセッシ

コメント:

先月は私の中で「スコセッシ祭り」でしたので、
彼の映画を立て続けに3本観ました。

同志社大学神学部の木谷佳楠(かなん)さんという人が、
卒業論文か何かで書いたものが書籍化され、
それを今年の3月に読みました。
佐藤優氏が絶賛していたので興味を持ち。
ちなみに後日談として、この本を読んだ翌月、
木谷さんの元同級生という方と、
名古屋で偶然お会いしました。

奇遇というものがあるものです。

その本の中で著者は、
マーティン・スコセッシについても語っていますので引用します。

▼参考リンク『アメリカ映画とキリスト教 120年の関係史』
http://amzn.asia/0DzGS3M

→P150 
〈したがってスコセッシは、
単なる話題性のためにイエスが女性と関係を持つ場面を含む
『最後の誘惑』を映画化したのではなかった。
彼は同年のヴェネツィア映画祭で、
『最後の誘惑』を上映した後の記者会見において、
彼自身の信仰やイエスへの愛、
そして1972年に初めて作家ニコス・カンザキスの原作を手にして以来、
『最後の誘惑』を撮り上げるまでの長い間に経験した
様々な困難や苦闘について率直に語る中で、以下のように述べている。

「私はこの映画を神への祈り、
あるいは礼拝のように作った。
私は司祭になりたかった。
私の人生はずっと映画と宗教が占めていて、
それ以外には何もないんだ。」

一時は司祭になることを目指したこともあるスコセッシにとって、
この映画を撮るという行為そのものが、
彼自身の宗教的なルーツに立ち返って祈る、
あるいは礼拝するという意味を持っていたのである。〉


、、、スコセッシにとって、
「映画を撮る」という行為は祈りなのです。
彼が遠藤周作の『沈黙』を映画化したというのは、
話しの流れとしてごく自然なことです。
キリスト教の神学的タブー領域に敢えて踏み入れることで、
人々の「規格品としてのイエスのイメージ」に揺さぶりをかけ、
より深い位相におけるイエスとの出会いに誘う、
という手法を観るとき、
遠藤周作がそうであったように、
スコセッシもまた「在野の神学者」の一人であるのが分かります。

この記事のトラックバックURL
トラックバック