カテゴリー

検索

便利な「検索」機能の使い方

上の検索バーに、「vol.○○」あるいは、「●年●月●日配信号」などと入力していただきますと、カテゴリ別だけでなく配信号ごとにお読みいただけます。

また、ブログ記事のアップロードは時系列で逐次していきますが、「カテゴリ別」表示をしますと、「Q&Aコーナー」だけを読む、あるいは「先月観た映画」のコーナーだけを読む、などの読み方が可能です。

スマートフォン

この他の活動媒体

●9年間続くブログです。↓
陣内俊 Prayer Letter ONLINE

●支援者の方々への紙媒体の活動報告のPDF版はこちらです↓
「陣内俊Prayer Letter」 PDF版

陣内が先週読んだ本 2018年11月11日〜24日 『パウル・ティリッヒ』他

2019.04.03 Wednesday

+++vol.067 2018年11月27日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2018年11月11日〜24日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。



●パウル・ティリヒ 「多く赦された者」の神学

読了した日:2018年11月12日
読んだ方法:Amazonで書籍購入

著者:深井智郎(ふかい・ともあき)
出版年:2016年
出版社:岩波現代全書

リンク:
http://amzn.asia/d/732XiVk

▼140文字ブリーフィング:

昨年の「よにでしセミナー」で知り合って以来、
名古屋に住む山田風音くんと折に触れ会話してきました。
彼のやっている「ライフストーラー企画」という企業活動のことを、
教えて貰ったり、あと、彼の読む本が、
僕と微妙に重なりつつ微妙にずれているので、
紹介される本が面白くてたいてい読んでいます。

こういう知り合いがいるのは本当にありがたい。

、、、で、前回話したときに話題に出たのがこちらです。
パウル・ティリッヒは「実存主義神学」を代表する、
20世紀の神学者として有名です。

ティリッヒの代表作『生きる勇気』は名著中の名著で、
私は鬱病闘病中に読み、
言葉にならないヒントをもらったような、
不思議な感覚を味わいました。

パウル・ティリッヒはナチスドイツ時代に、
ドイツから逃れアメリカに渡って成功し、
死後しばらくは「神格化」されていました。
本書は著者の深井氏が、
遺されている手紙などの一次資料を丁寧に調べ上げ、
「神格化」された人格者のパウル・ティリッヒの表層を剥ぎとり、
「本当のパウル・ティリッヒ」を描こうとする試みです。

昨年(2017年)の「陣内が今年読んだ本ベスト10」(今年もやります)の、
第1位に輝いた「リンカーン 鬱病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領」は、
「アメリカのキリスト教保守派によって、
 完璧なクリスチャンというイメージを着せられ、
 神格化されたリンカーン」の表層をはぎ取り、
生涯にわたり重い鬱病と闘い、何度も自殺の危機に瀕し、
その実存的な危機と深い内的葛藤を、
国家の内的葛藤の超克の糧にした大統領、
という実像を描き出しています。

本書は、パウル・ティリッヒにおいて、
同じようなことを試みている本と言って良いでしょう。

パウル・ティリッヒの私生活は、
性的放縦、SM趣味、女性への異常なまでの興味、
金銭にだらしなく収入が多いのに借金生活を送る姿、
歩けなくなるまで強い酒に溺れる、、、
など、いわゆる「敬虔なクリスチャン」が聞いたら、
眉をひそめるようなものばかりです。

しかし、彼はそれによって開き直っているのではなく、
「そんな私ですら救済する神学」を構築することが、
20世紀の実存的危機にある多くの大衆に響くメッセージになる、
と信じ続け、信仰の実践として真摯に神学し続けました。

自らの恐ろしいばかりの罪深さと直面し、
限界の限界のその向こう側を見た時、
「それでも赦されている」
という救済に達した事例は、
彼の他にも、
ヒッポのアウグスティヌス、
マルティン・ルター、
そして、
「善人ですら救われるのならば、
悪人はなおさら救われている」
(悪人正機)
と説いた、親鸞などがいます。

ティリッヒは初期の彼の成果である、
「疑う者の神」のなかで、
「人間が神を喪失することはあっても、
 神が人間を喪失することはあり得ない」
と述べています。
私たちが信じるのを辞めようが、
私たちが神を疑おうが、
その疑いや不信をも包摂して、
神は私たちを救済している、という考えです。
これは親鸞の悪人正機にそっくりです。

引用します。

→P69 
〈そのために、ティリヒは、
1924年になって刊行された『義認と懐疑』
(これは1919年の講演をもとにした論文)の中で、
この問題についての考えをまとめている。
それはいわば、彼が彼自身のために書いた
最初の伝統的な神学を脱構築する修正的な神学作品である。

彼はその中で、「懐疑者の義認」という命題を掲げ、これを肯定した。
それは彼によれば絶対的な逆説である。
疑い、ボヘミアン的な生活をしている自分の姿は否定されて当然なのであるが、
しかしその否定された自分が同時に神に肯定されているという経験なのである。

それは「人間の側の神喪失や裏切りはあっても、
神の人間喪失はない。」ということの確認でもある。
そのことが確認されるときにこそ
新しい人生が始められると彼は考えている。

それ故に彼は「神を失った者の神」という逆説な表現を用いた。
それは義認とは人間の力による救いではなく、
徹頭徹尾神の側の行為であって、
神の可能性であるという考え方の最大限の拡大であり、
神を裏切る者、否定する者までもが義認の対象であるということになる。〉
(1,681文字)


▼参考リンク:「ライフストーラー企画」(宣伝)
https://life-storier.com/

▼参考リンク:『生きる勇気』パウル・ティリッヒ
http://amzn.asia/d/dUo31MM




●プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで

読了した日:2018年11月15日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:深井智郎
出版年:2017年
出版社:中公新書

リンク:
http://amzn.asia/d/4s9VHz4

▼140文字ブリーフィング:

深井さんの「パウル・ティリッヒ」が面白かったので、
Amazonの「あなたにおすすめ」に出てきた、
こちらの新書も手に取りました。

深井さんはティリッヒに対してしたことを、
ルターに対してもすることで、
神格化されたルターと、
神話化され美化されたプロテスタンティズムの歴史の、
「実像」を描き出そうとしています。
深井さんは「ルター(および宗教改革)の相対化」を、
試みているわけです。

宗教改革はそもそも、自分たちの信仰の営みの、
「相対化」および「自己批判」から始まったのですから、
宗教改革を賛美しお祝いし自らの正しさに酔いしれることは、
宗教改革の精神に反します。
深井さんのしているような「宗教改革の相対化」こそ、
宗教改革500年目に行うにふさわしい営みだと思います。

引用します。

→(まえがき3〜5ページ)
〈しかし近年では、ルターや宗教改革の影響力を
手放しに賛美するのではなく、
むしろ限定的なものとして捉える議論が盛んである。
ルターや宗教改革を歴史の決定的な出来事とするような粉飾に対して、
自己批判や相対化が行われているのだ。
また、近代世界の成立におけるプロテスタンティズムの意義や役割についても、
ごく限定的に論じられるのが一般的である。
 (中略)
もちろん、ルターが勇気ある宗教的指導者であったことを否定するわけではない。
しかしルターのなそうとしたことが、
彼自身の考えや思いを超えて
宗教的あるいは政治的に利用されてきた点を忘れてはならない。
たとえば彼と宗教改革は、
これまで様々な主張や立場を正当化するために利用され、
ドイツでは何度もナショナリズムの高揚のために使われた。
 (中略)
あるいは、宗教改革四百周年となる1917年、
ヨーロッパは第一次世界大戦の最中であった。
ドイツは、フランスやロシアとの戦争は、
カトリックやロシア正教の国との闘争である旨を国内で喧伝し、
宗教改革の意義と戦意高揚を結びつけている。
そこでは、1517年の宗教改革はますます劇的にショウアップされ、
ルターは神格化されるようになった。
ドイツのヴィルヘルム二世(1859〜1941)とその正枢密顧問官たちは、
教皇を始めとするカトリック勢力と勇敢に戦うルターと
その賛同者たちの姿を自らとドイツ国民に重ね合わせようとしたのだ。
ヴィルヘルム二世はヴィッテンベルク城の教会の扉の修復を命じ、
そこには「九十五ヵ条の提題」の全文が刻み込まれた。

現在、このような解釈をする研究はもちろん見られない。
歴史に即した解釈によって、
より正確なルターと宗教改革の出来事を
描き出そうという努力が続けられている。
たとえば、ルターが1517年10月31日にこの場所に
「九十五ヵ条の提題」を貼り出したと考える研究者はほとんどいない。
提題が貼られた場所や日付についても決定的な証拠は存在しない。
提題は貼られたのではなく、
読んでもらうべき相手に書簡として送付されたという説が有力である。〉
(1,199文字)



●奇跡が起きる筋肉トレーニング

読了した日:2018年11月17日
読んだ方法:Amazonプライム特典読み放題書籍

著者:t-baby
出版年:2008年
出版社:PHP研究所

リンク:
http://amzn.asia/d/acZjlxp

▼140文字ブリーフィング:

年会費3,990円のAmazonプライム会員特典って、
プライムビデオ見放題とか、配送日指定が無料なのが、
もっとも大きなメリットなのですが、
地味に「月に一冊無料本が読める(読める本はかなり限定されている)」
というサービスも私が入会した当初はありました。
現在はサービス規約がいつのまにか変わっており、
読める本が限定されているのはかわらないのですが、
「プライムリーディング」という、
指定された本がいつでも無料で読めるサービスになってました。
これは以前のサービスより便利です。
その中に筋トレ関連の本があったので(当然)読みました。
この本では「ピラミッドセット法」という、
重量を徐々に増やし、今度は減らし、
高セット行って細い筋繊維まで追い込む、
という、あまりやったことのないトレーニング方法が紹介されていて、
次の日に早速やってみました。
筋トレは「終わりのない実験と検証の日々」ですので、
一度ハマると出てこられない沼です笑。
(406文字)



●大家さんと僕

読了した日:2018年11月17日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:矢部太郎
出版年:2017年
出版社:新潮社

リンク:
http://amzn.asia/d/7GPtTWd

▼140文字ブリーフィング:

いろいろなところで評判の良いこの本、
カラテカというお笑いコンビの矢部君という、
世にも細くてちっちゃい人がいるのですが、
その人が描いています。
なんとこの人、実の父親が絵本作家なのです。

現代は「芸人」だけで売れる人はほとんどいません。
「芸人×●●」でやっと売れる時代です。
ここに「ボディビル(春日)」、「料理(うしろシティの人)」、
「小説(又吉)」、「映画監督(劇団ひとり)」、
「パーフェクトヒューマン(オリラジ中田)」など、
様々なものが代入されるのですが、
彼の場合はそれが「マンガ」だったのです。
父親から受け継いだ「血」の力を感じます。

この本それにしても、
私が見た時は、Amazonレビューで、
561件レビューがあり平均★4.8以上、
という、ちょっと見たことのない高評価だったので、
「ほんとかよ、、、」と思いながら読みました。

ハードルが上がりきっているので、
がっかりする心の準備をしていたというか。
しかし、見事に上がりきったハードルを超えてきましたね。
私の妻は3回ぐらい繰り返して読んでいました。

87歳の大家さんと39歳の「僕(矢部)」。
約50歳の年が離れた、
「友情」としか表現出来ない関係性に胸が熱くなります。
確かに「実体験からしか生まれてこない何か」が、
ここにはあります。
オススメします。
(545文字)



●こうして店は潰れた 地域土着スーパー「やまと」の教訓

読了した日:2018年11月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:小林久
出版年:2018年
出版社:商業界

リンク:
http://amzn.asia/d/5LDhPxY

▼140文字ブリーフィング:

山梨県では知らない人のいない、
「スーパーやまと」の三代目の社長が、
店の栄枯盛衰、すなわち倒産にいたるまでの実体験を、
赤裸々に語っています。
現代という時代に小売業で生き残ることが、
どれほど過酷なのかが分かります。
成功物語からよりも失敗事例からのほうが、
学びとれることは多い、と私は思いますが、
この本も教訓に満ちています。
(159文字)



●社会という檻 人間性と社会進化

読了した日:2018年11月19日 途中斜め読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:アレクサンドラ・マリヤンスキー/ジョナサン・ターナー
出版年:2009年
出版社:明石書店

リンク:
http://amzn.asia/d/47CTcJB

▼140文字ブリーフィング:

「フリーエージェント社会の到来」で引用されていて、
面白そうと思って手に取りましたが、
内容は相当に難しかったです。
しかし、結論はシンプルです。
人類の歴史を概観すると、
人間というのは「社会性があるから社会化している」
のではなく、産業の変化(狩猟→農耕→工業→ポスト工業=現代)
によって構築された社会こそが、
本来自由で独立した性質(フリーエージェント的な)を持つ、
人間を社会という檻に閉じ込めてきたと考える方が、
いろんなことが綺麗に説明出来る、ということです。
人間のDNAに社会性があるのではない。
人間のDNAは本来「一匹狼的」であるが、
人間がつくる社会が「社会性」を要求するので、
人間はそれに仕方なく自分をはめ込んできただけなのだ、
というコペルニクス的な問題提起です。
けっこう、目から鱗でした。
(345文字)



●歴史が遺してくれた日本人の誇り

読了した日:2018年11月19日 途中ななめ読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:矢沢栄一
出版年:2002年
出版社:青春出版社

リンク:
http://amzn.asia/d/7B3sLqn

▼140文字ブリーフィング:

まったく面白くなかったです。
内容も酷いし、語り口も酷い。
「日本はスゴイのである」という薄っぺらな本です。
しかもこの著者、「否定の神学」話法といいますか、
自分がAということを主張するために、
A以外のものをすべてけなしていくという論法を取るため、
読んでいて不快です。
なんでも「歴史の泰斗」みたいな人として一部ではあがめられ、
「新しい歴史教科書を作る会」のうねりを作ったひとりだそうですが、
こういう論法を使う人に頭の良い人はいません。
(214文字)



●10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副作用なのか

読了した日:2018年11月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:村中瑠子
出版年:2018年
出版社:平凡社

リンク:
http://amzn.asia/d/0KVBBQe

▼140文字ブリーフィング:

これはスゴイ本でした。
執筆時間が取れず、
詳しくは解説できませんが、
夢中になって一気に読みました。
「まえがき」にこの本の言いたいことが凝縮されていますので、
引用します。

→P2〜3 
〈世界中どの国でも、
新しいワクチンが導入されればそれに反対する人は必ず出てくる。
しかし、日本には、多の国にはないやっかいなことが二つあった。
ひとつは、政府がサイエンスよりも感情を優先したこと。
もうひとつは、2014年初頭、
わざわざ病名まで作って「薬害」を唱える医師たちが登場したことだ。
「一時」差し控えが3年に及んだ2016年7月27日、
日本政府は世界で初めてとなる、
子宮頸がんワクチンによる被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされた。〉


、、、「10万個の子宮」というタイトルの意味はこうです。

→P5 
〈最初に日本だけで毎年、3000の命と1万の子宮が失われていると述べた。
日本では国家買収請求訴訟が終わるまでには10年を要すると言われる。
国賠が終わるまでは、接種再開を決断できる首相や官僚は
でないだろうとも言われている。
よって、日本政府の言う「一時」差し控えがもし10年であるならば、
日本の産婦人科医たちは、あと10年、
あと10万個の子宮を掘り続けることになる。〉

産婦人科の業界用語で、
子宮頸がん摘出手術をすることを、
「子宮を掘る」というそうです。
彼らは絶望的な気持ちで、
ワクチン接種が一時差し控えられている結果、
年間10,000人以上の罹患者を診続け、
手術をし続け、その中の何割かを天国に送り続けなければならない。


、、、すべては、「科学的にはまったく実証されていない」
「被害者の会」が主張する「副反応」に、
マスコミが過剰に反応し、
政府が科学よりも感情を優先した結果です。

なんとこの件に関してWHOは、
「こんな国は他にないので、
 国はちゃんと科学的知見を尊重するように」
という「名指しの苦言」まで呈しているのです。

それも二回も。

しかし「被害者の会」や、
一部製薬会社の陰謀説を信じる過激な「市民」からの、
ヒステリックな批判や炎上を恐れ、
マスコミはWHOの声明を大きく扱いません。

BSEのときしかり、
豚インフルエンザのときしかり、
放射能騒動のときしかり、
日本はなぜ、客観的統計や科学よりも、
感情をいつも優先させてしまうのか、
途方に暮れる気持ちになります。
(955文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『パウル・ティリッヒ』

コメント:

ひとりの神学者の実像を追うことで、
「救済とは何か」に関する示唆を得ることが出来ます。
アメリカに渡ったカルヴァン派の「ストイシズム」にも似た、
禁欲的なプロテスタントに親しみが強い日本のキリスト教徒は、
自分のもっている「救済観」に揺さぶりをかけられることでしょう。

しかし、「にもかかわらず救われている」ということを、
文字通り身を削って証明しようとした、
ティリッヒの「自己救済としての神学」は、
現代の実存的不安に悩む、
数多くのキリスト者だけでなく、
非キリスト者にも救いを与えた、
というのは納得がいきます。

私たちの多くが親しんでいるキリスト教は、
以下に引用するマックス・ヴェーバーの、
「サル型orネコ型」の救済論でいうと、
「サル型」に近いと思います。
しかし、キリスト教の救済はネコ型である、
という点において、私はティリッヒに同意します。

人生の危機に瀕し、
私たちは神を疑い、神につばきをかけ、
神に「お世話になりました。
あなたには失望しました。さようなら」と、
言うかもしれない。
しかし、その「さようならという私」ごと、
神は救済しているのです。
神の救いの手は、
私たちが主観的に神を拒絶したぐらいでは、
びくともしません。
そんなちんけな救いに私たちはのっかっているわけではないのです。

→P67 
〈宗教改革の教会は多かれ少なかれこの関係の回復を、
人間の何らかの行為や、人間の信心の強さによるのではなく、
それはむしろ神の側の努力、
正確には神が人間を救うという
約束を誠実に守るという事によるものだと考えてきた。

マックス・ヴェーバーが宗教の救済を
「サル型」と「ネコ型」に分けるのはこの問題である。
それは正確には「サルの親子型」と「ネコの親子型」である。
サルとネコの母親は子どもに危険が迫るときに、
どのようにして子どもをその危険から救済するか。

サルは自分の腹に小ザルを飛びつかせる。
「しっかりとつかまっていなさい」と言ってその場から走り去る。
その場合小ザルにとって大切なことは
「しっかりとつかまる」ことなのでる。
サルの母が神であり、小ザルが人間であるなら、
この宗教の類型では人間に必要なのは、
しっかりつかまる力、自分の努力である。

しかしネコの母親は違う。

子ネコに危機が迫ると、ネコの母親は、
子ネコの首根っこをくわえて、逃げ去る。
この場合大切なことは何かと言えば、
子ネコは何もしていないと言うことだ。

痛いが、母猫の子ネコへの愛に信頼し、
その母ネコの救済の思いの誠実さにすべてを委ねているだけである。
そしてこのネコの母のような神に誠実に応えて、
神に従う人生を始めることが救いである。
ルター派教会の義認論は典型的なネコ型である。〉



▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「完全に同意賞」
『10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副作用なのか』

コメント:

完全に同意です。
それ以外にコメントはありません。
著者は医師でありWHOで働いたこともあり、
しかも文系の学位も持っています。
こういう「文理を越境する人」が増えてくると、
日本の感情的な報道と集団パニックも、
少しは良くなっていくのかなぁ。
そうなって行くといいんだけどなぁ、
という願いを込めて。

この記事のトラックバックURL
トラックバック