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陣内が先月観た映画 2018年12月 『スリービルボード』他

2019.04.10 Wednesday

+++vol.068 2018年12月4日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2017年11月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●ブルーバレンタイン

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:アマゾンでストリーミング購入(300円)

監督:デレク・シアンフランス
主演:ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/1KYGueC

▼140文字ブリーフィング:

前からずっと見たかった映画です。
各方面で評価が高い映画だったので。

「東京でゆっくりできる休日」が、
フリーランスの私にはときどき何の前触れもなく、
まるで間欠泉のように、ぽっかりと訪れます。
月にそんな日が4、5日訪れることもあれば、
一度も訪れない月もある。
突如として平日4連休があるかと思えば、
気がつけば20日ちかく一度も休んでなかった、
ということもある。
前触れもなく訪れる「それ」は、
例外なく平日です。
業態上、土日祝日はたいてい忙しいので。

11月はそんな日が何日かあったので、
Amazonビデオでレンタル料を払い、
昼間からテレビにそれを映して映画を観ました。

このブルーバレンタインもそのひとつです。
私の「見たいランキング」のベスト3に入っていたので。

どうだったか?

めちゃくちゃ面白かったです。

「ビフォア・サンセットシリーズ」が好きな人は、
この映画、絶対好きです。

ただ、失恋したての人とかは、
絶対に見てはいけません。

心がえぐられますから。
失恋していない人ですら、
「心に深い傷跡を残す力を持つ映画」です。

これは健康なときしか見られないですね。
スーパー激辛ラーメンのようなものです。
「マゾヒズム映画」ですね。

ストーリーの悲しさ、重苦しさは、
最低(褒め言葉)レベルです。
でも、映画としての出来は最高です。
編集と脚本が120点なので。
ライムスター宇多丸の言葉を借りるなら、
「最低だ!でも最高だ!」
という映画でした。
見て良かった。
(513文字)



●スリービルボード

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:アマゾンでストリーミング購入(400円)

監督:マーティン・マクドナー
主演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル
公開年・国:
リンク:
http://amzn.asia/d/0rMrj6D

▼140文字ブリーフィング:

こちらの映画も、
「ぽっかりと落ちてきた休日」に見ました。
「ミーズリ州」という架空の州の物語です。
モデルがミズーリ州なのは言うまでもありませんが、
それはミズーリ州が、
白人警官が黒人をリンチするなどの差別が酷い、
保守的な州のひとつとして知られている、という背景があります。

この映画はアカデミー賞複数部門にノミネートされるなど、
数多くの賞を受賞した「2017年を代表する映画」なので、
知っている人も多いのでは。
こちらも、「見たいリストベスト3」に入っていたので、
お金を払って見ました。

めちゃくちゃ面白かったです。
とにかく脚本が素晴らしい。
この脚本は、本当にすごい。
(2回言った)

「ミーズリ州」の田舎町のはずれに立つ、
3枚の路肩看板(ビルボード)から、
ストーリーが転がり始めます。

この3枚の看板には多重メタファーが仕込まれています。
まず主要登場人物3人。

ひとりめは、
娘を何者かにレイプされ殺されたヘイズ夫人。
ヘイズ夫人が看板会社に行き、
誰も使っていない3枚の看板に、
「娘がレイプされ殺された(1枚目)
 犯人はまだ捕まっていない(2枚目)
 ビル署長は一体何をやってるの?(3枚目)」
という真っ赤な意見広告を出すところから、
この小さな街で物語が動き始めます。

ふたりめは差別主義者の田舎者、ディクソン巡査。
こいつは「マザコン人種主義者のクソ野郎」なのですが、
ある出来事がきっかけとなり、
彼の優しく柔らかい人間性が目覚めるシーンは、
過去数年の映画シーンのなかで最も感動したかもしれません。

そして街いちばんの人徳者で、
「保守的なこの街の良心」のようなビル署長。
ビル署長はヘイズ夫人の挑発の後、
事件の捜査を始めますが、ある理由で、
途中でそれを挫折せざるを得なくなる。

3枚の看板のもう一つのメタファーは、
キリスト教文化圏のひとなら誰でもピンとくる、
「あれ」です。

そう。

キリストの十字架です。
キリストが磔刑に処されたとき、
二人の強盗が両サイドで十字架刑に処されました。
つまりゴルゴダの丘の上には3本の十字架が立っていたのです。

3枚の看板はそのメタファーでもあります。
3枚の看板それぞれが、
ヘイズ夫人、ディクソン巡査、ビル署長を象徴しています。

、、、


、、、


このへんで恒例の「あれ」を。
ここから先は自己責任でお読みください。



▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼


、、、ビル署長は癌を患っていて、
彼は志半ばで死んでしまいます。
ビル署長はキリストのメタファーです。
これには証拠があり、
主要登場人物3人にはそれぞれ、
「テーマソング」があるのですが、
ビル・ウィロビー署長のテーマソングは、
「讃美歌」なのです。
この讃美歌はキリストのことを歌っています。

そしてビル署長は匿名でヘイズ夫人に遺産の一部を残し、
自分を批判する看板の広告料を支払ってこの世を去ります。

そうするとヘイズ夫人とディクソン巡査は2人の強盗なのか?
この二人は強盗と言うよりも、
ビル署長の遺した「赦し」という財産を託された、
保守的なアメリカ人そのものに見えます。

ディクソン警部は典型的な差別主義のアメリカ人として描かれますが、
彼がキリスト(=ビル警部)によって「変化」するところに、
この映画の希望があります。

この映画の脚本のすごいところは、
登場人物の誰ひとりとして、
「このひとはこういう人」というキャラクターが、
固定されていないところです。
時系列ですべての登場人物が、
「変わっていく」のです。
じっさい現実世界というのはそうですよね。
私たちはキャラによって固定されているのではなく、
人間というのは「まさかこの人がこんなことをするとは」
「あの人がこんなふうに変わるとは」
という驚きの連続です。
2時間の映画でこの人間のダイナミズムを描ける、
というのはスゴイです。

素晴らしい映画でした。
(1,545文字)



●僕のワンダフルライフ

鑑賞した日:2018年11月8日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ラッセ・ハルストレム
主演:ブリット・ロバートソン
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2MUt4rK

▼140文字ブリーフィング:

犬を主人公とした映画。
監督は「ギルバート・グレイプ」の監督です。
「ギルバート・グレイプ」は名作でしたし、
Amazonの評価も高かったので期待したのですが、
全然面白くなかったです。
ほとんど早送りで見ました。
驚くほど単調で冗長で凡庸です。
「犬が輪廻転生する」というアイディアが入っているが、
それ自体が別に深いメッセージでもない。
仏教の素養があるわけでもない。
何のために撮ったのか分からない映画でした。
(198文字)



●悪人

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:李相日
主演:妻夫木聡、深津絵里
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/7qsMIMm

▼140文字ブリーフィング:

この映画、観るのは二回目です。
公開された2010年に、
私はユナイテッドシネマ豊島園で観賞しました。
なんか記憶に焼き付く映画だったという記憶がありましたので、
Amazonプライムに追加されているのを見つけて、
8年ぶりに再度観賞してみました。

改めて、面白かったです。
傑作の部類ですね。

満島ひかり、深津絵里、妻夫木聡の演技がすごいのですが、
なによりも樹木希林がスゴイです。
役者の演技だけで2時間引っ張れる映画というのも珍しい。
あと、地味ですが岡田将生の、
金持ち腰抜けボンボン役のクズぶりもスゴイです。
近年まれに見るクズでした笑。
(これは褒め言葉ね。
 だって彼は「クズ」を要求されてるんですから。)

吉田修一原作のストーリーも素晴らしいです。
九州の田舎の閉塞感、
「携帯時代」における、
孤独な魂同士が惹かれあう磁力の強さなど、
時代を切り取ることに成功しています。
李相実と吉田修一のタッグにやられました。

詳しくは言いませんが、
最後に樹木希林がマスコミにお詫びするシーンでは、
タブレットを観ながら涙がこぼれてしまいました。
電車の中じゃなくて良かった笑。
(406文字)



●怒り

鑑賞した日:2018年11月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:李相日
主演:宮崎あおい、妻夫木聡他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/dewHhhZ

▼140文字ブリーフィング:

李相実と吉田修一タッグ再び。
「悪人」があらためて面白いなぁ、
と思っていたら、
同じタッグの「怒り」もまた、
Amazonプライム特典に加わっているではありませんか!
しかも「怒り」は小説も既読です。

これは観るしかないでしょう、
ということで観ました。

こちらも役者の演技がとにかくすごかったです。
役者の演技でいえば「悪人」以上かも。
なにせ単独で主役を張れる「千両役者」が7人も出ていますから。
・妻夫木聡
・宮崎あおい
・渡辺謙
・森山未來
・広瀬すず
・綾野剛
・松山ケンイチ

あと、当時はあまり「主演級」でなかった、
高畑充希も地味に出演しています。

もうこんなの、「日本俳優のアベンジャーズ」ですね。
誰がアイアンマンなのか分かりませんが笑。

重要な役回りを果たす、
「沖縄の少年」も、方言が嘘くさくなくて素晴らしい。
演出も重厚でしたし、最高です。
ただ、この映画もまた『ブルーバレンタイン』とおなじで、
観るだけでダメージを受けるマゾヒズム映画です。

元気な人だけ見ましょう笑。
(422文字)



●ポーカーナイト

鑑賞した日:2018年11月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレッグ・フランシス
主演:ボー・マーショフ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/2vzAwix

▼140文字ブリーフィング:

全然面白くなかったです笑。
劣化版「Saw」みたいな感じでしょうか。
「Saw」がヒットしてから、
監禁モノの映画は多数作られましたが、
これは駄作の部類でしょう。
特記するところのない映画です。
(93文字)



●暗黒女子

鑑賞した日:2018年11月11日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:耶雲哉治
主演:清水富美加、飯豊まりえ
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/9nGnQZv

▼140文字ブリーフィング:

女子校で学園一の美少女が殺された事件を巡る、
「順番語り」の手法はちょっと面白いのですが、
志を最大限に消化できてない感が否めない。
「キサラギ」という有名な映画がありますが、
それに似ています。
古くは「十二人の怒れる男」という名作があります。

こういう構成の映画というのは、
「どんでん返し」の見せ方がポイントです。
本作の場合、どんでん返しが「あるぞあるぞー」という演出が、
逆効果でした。
「オバケがでるよー、でるよー、怖いよー、絶対でるよー」
とやればやるほど、オバケには驚かないものなのです。
CMをひっぱり過ぎて逆にウケないバラエティ番組みたいな感じで。
清水富美加の演技は割と良かったですが、残念でした。
(298文字)



●白ゆき姫殺人事件

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:中村義洋
主演:井上真央、菜々緒、綾野剛他
公開年・国:2014年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/fxJOg3O

▼140文字ブリーフィング:

こちらも「キサラギ」パターンです。
ある殺人事件をめぐり、
複数の主要登場人物の証言のパズルのピースがかみ合わない、
という違和感を最後まで引きずる、という構造です。
こちらも編集が冗長なためテンポが悪いなど、
全体的に「下手だ」と感じたました。
ただ、菜々緒の「説得力」はすごかったです。
あの「非現実感」は彼女にしか出せないですね。
あと、女同士のどろどろ感というか、
そういう要素も楽しめた。
むしろ「どろどろに振り切った」ほうが良い映画になったかも。
鑑賞後に湊かなえ原作だと知り納得です。
(238文字)



●パウロ 〜愛と赦しの物語〜

鑑賞した日:2018年11月16日
鑑賞した方法:ヒューマントラストシネマ渋谷にて観賞

監督:アンドリュー・ハイアット
主演:ジム・カヴィーゼル他
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://www.paul-love.jp/

▼140文字ブリーフィング:

非常に久しぶりに、
映画館で映画を観ました。
多分2016年の「この世界の片隅に」以来じゃないでしょうか?

いや、違う。
その後に友人とクリント・イーストウッドの、
「ハドソン川の奇跡」を愛知県で観てました。

いやいや、それも違う。
8月の「カメラを止めるな!」以来です。

、、、いや、
けっこう最近じゃねーかよ笑!

いずれにせよ、普段なら行かないような、
渋谷の映画館に入りました。
渋谷ってマジで普段近づかないんですよね笑。

映画館でこの映画を観た理由は二つありまして、
前売り券(1,200円)を買っていたのと、
この映画、見逃すと「ソフト化」がずいぶん先になる、
もしくは日本語では実現しない可能性もあると思ったからです。

なにせ首都圏全体で公開館数が、1館のみですからね。
4000万人の人口につき1館。
これは相当にマイナーな映画と言って良いでしょう。

映画の内容ですが、
タイトルのとおり、使徒パウロが主人公です。
この映画は視点が面白くて、
パウロの伝道旅行に帯同し、
晩年に軟禁されたパウロの言葉を聞いて、
書簡にする作業を手伝った、
医者のルカの視点で描かれているところです。

先日、飢餓対策機構時代の恩師であり、
今はカリフォルニアで牧師をされている辻本先生と、
久しぶりにお会いしたときに、
先生が面白いことを言っていたのを思い出しました。

「新約聖書のいちばん多くを書いたのは、
 書物の数ではパウロだが、
 文字数(単語数)ではルカなんだ。
 しかもルカは新約聖書著者のなかで、
 三代目のクリスチャン、
 つまりイエスに直接会っておらず、
 イエスのことを聴いた人から伝道されたクリスチャンなんだ。
 日本人はルカから多くを学べる」と。

どういうことか。

じっさい書簡数ではパウロが一番書いています。
しかし、ルカは「ルカの福音書」と「使徒の働き」を書きました。
これらの章数を全部足すと、24+28で52章書いています。
しかもルカの書簡は一章が長い。
たしかに文字数では、
新約聖書を一番多く書いたのはなんと、ルカなのです。

そのルカの視点から見たパウロ像を描く、
というのがこの映画の試みです。

さて、この映画の評価ですが、、、
評価はめちゃくちゃ難しいですね。

「礼拝メッセージ」としては良かったが、
映画として面白いかどうかは別の話、
というのが私の感想です。
これは「映画に何を求めるのか」という、
「映画観」によるのですが、
私の場合映画というのは「余韻」とか、
「ゆらぎ」が大事だと思っています。
結論ありきの映画は好きじゃない。
見た結果、自分の持っていた世界観が揺るがされるような映画が、
私にとって「最も面白い映画」です。

、、、という観点で見ますと、
この「パウロ」はそういった要素はありません。

ただ、「礼拝のメッセージ」として観ますと、
非常に良いメッセージを聴いたなぁ
という感想。
素晴らしい励ましに満ちた映画でした。

パウロが言う一言一言が、
新約聖書になっていく過程が見えるのが新鮮でした。
ひとつ面白かったのが、
パウロもルカも「アメリカン」なところです。
二人とも当然(?)英語を話していますし、
キャラクターも超アメリカ人です。
このシーンはちょっと「やりすぎ」なんじゃないかと、
私は笑ってしまいました。

ルカ:「例の新しい書物(=私たちが知る使徒の働き)の、
 最後の一行が今、決まったよ。
 『パウロは少しもはばかることなく、
 また妨げられることもなく、
 神の国を宣べ伝え、
 主イエス・キリストのことを教えた』
 、、、どうだい?」
パウロ:「それは最高にクールだ。」
ルカ:「イェ!」
パウロ:ウィンク

みたいなノリのシーンです。

パウロとルカがそんな
「アメリカンなやりとり」をしていたかどうかは、
史実かどうかは分かりませんが、
皇帝ネロによる迫害や、
書かれた聖書の内容は史実です。
映画を観ながら、
途中からパウロがマハトマ・ガンジーに見えてきて、
不思議な感覚を抱きました。
パウロが身近な存在になったというか。
(1,497文字)



●とらわれて、夏

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェイソン・ライトマン
主演:ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/9sZMp8Q

▼140文字ブリーフィング:

なんか「午後のメロドラマ」的な邦題のせいで、
この映画の魅力は正しく伝わっていない気がします。
原題「Labor Day」のほうが絶対良い。

9月に観た「タリーと私の秘密の時間」と、
10月に観た「ヤング=アダルト」が面白かったので、
同じジェイソン・ライトマン監督の本作も鑑賞しました。

母ひとり、息子ひとりの母子家庭の家に、
脱獄犯が押しかけ、家族が二人をかくまうという筋書き。
母は脱獄犯に惹かれ恋に落ち、
息子は脱獄犯に、ときどき面会するだけの、
母と離婚した父親にはない「ワイルドな父親性」を見出し、
ふたりとも彼に好意を抱いていき、
3人はまるで理想の家族のようになっていくが、、、
という展開です。

この映画はローティーンの息子の視点から語られますが、
彼は「二次性徴」が現れ、
自らの自我と「男としての目覚め」と葛藤していますから、
その「自らの葛藤がレンズを濁らせ、
適切な判断が出来なくなる」という仕掛けがまた面白い。
この映画は小説が原作ですが、
本当に「良い小説を読んでいるような」感覚を味わうことが出来る。
上手な監督だと思います。

脱獄犯がなぜ牢獄に入っていたかも、
徐々に語られていくわけですが、
それがあまりにも理不尽で、
鑑賞者は脱獄犯にどんどん肩入れしていきます。

、、、脱獄犯はどうみても「まともな人」なのですが、
彼が「まとも」であることを、
台詞や説明ではなく分からせるところも上手い。

彼が料理をするシーン、
彼が家を直すシーンなどによって、
鑑賞者は「彼はまっとうな人間だ」と確信していくのです。
日常の料理、洗濯、道具のメンテナンス、掃除、
そういったものを大切に取り扱う人は、
他者や人生をも大切に取り扱う、
ということを人は心のどこかで知っていますから、
鑑賞者は「うん、彼はまっとうな人間に違いない。
牢屋にはいっていたのは、
何かよほどのっぴきならない事情があったに違いない」
という風に、彼に感情移入していくのです。

この映画の柱は、
「ストックホルム症候群」と呼ばれる、
誘拐、監禁された人々が、
犯人に共感し、犯人を好きになっていく、
という現象です。
「ストックホルム症候群」は数多くの映画で使われますが、
この映画の面白いのは、
映画を鑑賞する私たちも、
ストックホルム症候群の当事者としての心理状況を、
味わえるところです。

「パーフェクト・ワールド」という、
私の「生涯ベスト10映画」のひとつがありますが、
その脚本にちょっと似ています。
(950文字)



●15時17分発、パリ行き

鑑賞した日:2018年11月27日
鑑賞した方法:Amazonでレンタル視聴(299円)

監督:クリント・イーストウッド
主演:アンソニー・サドラー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/iW4TyUr


▼140文字ブリーフィング:

これはずっと観たかったんですよね。
11月の最後の週に、
3日間、家族の秋休みのために、
十勝地方を訪れた際、娘が寝てから、
妻と二人で久しぶりに映画を一緒に観ました。
私の小さな7インチタブレットという、
あまり理想的なデバイスではないですが、
妻と二人で映画を観て、
感想を言い合うのは至上の楽しみのひとつですので、
かなり久しぶりにそういったことが出来たことは感謝でした。

私も妻もクリント・イーストウッド監督作品が大好きで、
特に「グラン・トリノ最高!!」という点において、
意見が完全に一致していますから、
この映画は観ておきたかったんですよね。
たしか「アメリカン・スナイパー」は、
子どもが生まれる前に二人で映画観で観ましたし。

この映画は先述の「ハドソン川の奇跡」と似ています。
実際にあった事件をベースとして、
実話を映画化しているという構成が。

実はこの映画、「実話だからしょうがない」と言われれば、
黙るしかないのですが、
鑑賞後に多少脳しんとうのようなクラクラ感があります。
というのは、「パズルのピースがはまらない」からです。

フランスでのテロを未然に防いだ、
「英雄となったぱっとしない若者」を描くことで、
一見「アメリカは凄いんだ」という映画のようでもあり、
その若者の少年時代には、
キリスト教原理主義の教育によって、
人格がゆがめられる少年の姿があります。

キリスト教教育もWASPマザーも機能していないが、
問題含みの母親から教え込まれていた、
「平和の祈り」はちゃんと主人公のなかに生きていて、
彼が「いざというときに動ける奴」にさせていた、
という多面性、多声性が見事でした。
「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」という、
日米両者の視点から同じ出来事を撮るという、
複眼的視点をもつクリント・イーストウッドらしい、
といえばらしいのですが。

青年たちはまっすぐすぎて非常に危うく、
事件を知らなければ途中まで、
彼らがテロを起こす側なのではないか、
とハラハラするほどですが、
そんな彼らが「世界を救い」ます。

しかし、現実というのは、
パズルのパーツがハマらないものなので、
その整合性のなさがより現実感を増す、
という不思議なつくりになっています。

この映画、上映時間は90分ですが、
すべての台詞、何気ない行動が、
最後の1分、つまり「テロ未然防止事件」の、
伏線となっている、という構成は見事です。
90歳に近づくクリント・イーストウッドは、
もう「巨匠」を超えて、神の領域に近づいているのでは、
と思わせるような「淡泊なのに重厚な編集と演出」は、
誰もその背中を追えない存在になっていると思いました。

恐るべし、です。
(1,083文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「スリービルボード」

コメント:

この作品は、完全にやられましたね。
アメリカの保守的な小さな田舎町で起きる騒動を通し、
「赦し」を描ききっています。
人種間、社会階層間、政治的対立という、
目に見えない壁が高く深く築かれている現代アメリカにおいて、
「敵意を具現化した存在」であるヘイズ夫人と、
「差別感情を具現化した存在」であるディクソン巡査の間に、
「キリスト」としての三枚目のビルボード、
つまりビル署長が立つことによって、
彼らは赦しへといざなわれる。

彼らが「赦したかどうか」は、
最後まで語られないところがまた秀逸です。
「あなたはどうするのか?」と、
鑑賞者にボールが帰ってくるようになっている。
私たちはキリストの赦しに接したときに、
自らが赦す者になるのか?
それとも赦さない道を選ぶのか?

アメリカ社会が突きつけられている問題を、
見事に描ききった良作です。



▼主演(助演)男優賞
妻夫木聡(悪人/怒り)

コメント:

「悪人」では閉塞感に押しつぶされそうな田舎で暮らす、
孤独な魂を抱える殺人者を、
「怒り」では「誰か信じられる人」を求め、
彷徨い途方に暮れる東京の同性愛者を、
圧倒的な説得力で演じきっています。
妻夫木聡はやっぱりすごい。
「そこに昔からいたようなたたずまい」
というのは、役者にとって大切な資質のひとつであり、
こればかりは天性のものだと思うのですが、
この観点から妻夫木聡は天才だと思います。



▼主演(助演)女優賞:
フランシス・マクドーマンド(スリービルボード)

コメント:

「スリービルボード」における彼女の演技は素晴らしかったです。
彼女でなければこの映画は成立しない。
彼女ありきの映画と言っても良い。
私の「地味に好きな映画」に、
コーエン兄弟の「ファーゴ」がありますが、
「ファーゴ」でも絶望的な片田舎に住む、
骨太な女刑事の役を怪演しています。
「ファーゴ」と「スリービルボード」って、
ちょっと雰囲気が似てるんですよね。

、、、ちなみにフランシス・マクドーマンドは、
2017年の「本物のほうのアカデミー賞」でも、
「アカデミー主演女優賞」を受賞しています。
「陣内アカデミー賞」と、「アカデミー賞」の、
ダブル受賞、おめでとうございます。
今後、本人に会う予定の人がいたら伝えておいてください笑。



▼その他部門賞「監督・原作タッグ賞」
李相日/吉田修一(悪人/怒り)

コメント:

この監督・原作のタッグは最強だと思いました。
吉田修一の「どことなくずっと不安」な物語運びと、
李相実の撮る映画の「重苦しい空気感」が、
完全にフィットしています。

東野圭吾の「白夜行」が私は好きです。
これは綾瀬はるかでドラマ化、
堀北真希で映画化されており、
両方観ましたが、
どちらも成功しているとは言いがたい。

李相実監督がやったらかなりいい線行くのでは、
と今回思いました。


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