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永久保存版・陣内が観た映画ベスト10(前半)2018年版

2019.04.24 Wednesday

+++vol.070 2018年12月18日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 2018年版・陣内が今年観た映画ベスト10(前編)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Amazonプライムに入会してから、
月に平均すると10本ぐらいの映画を観るようになりました。
電車やバスや新幹線で、本を読む代わりに、
タブレットで映画を観るようになって、
飛躍的に映画を観る本数が増えました。
映画は小説と同じで「他人の靴を履いて人生を歩く」、
という「疑似体験」を与えてくれます。
本と同じくランキングはあまり好きじゃないので、
年に一度だけの特別企画です。
「今年読んだ本」と同じく、
前編で10位〜6位、後編で5位〜1位を紹介します。
皆様の映画選びのお役に立てれば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●第10位 ハクソー・リッジ

鑑賞した日:2018年1月24日
鑑賞した方法:TSUTAYA DISCUSでレンタルして鑑賞

監督:メル・ギブソン
主演:アンドリュー・ガーフィールド他
公開年・国:2017年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/9sVQtcr

▼▼▼コメント:

すばらしい映画でした。
少し泣きましたね。
メル・ギブソンは人間としては問題が多いですが、
映画監督としては天才だと思います。

「ハクソー・リッジ」というのは、
「弓のこ状に細く隆起した地形」というのが直訳で、
これは太平洋戦争の沖縄戦で、
「前田高地」という実際に戦場となった場所に、
米軍がつけた「作戦コードネーム」です。

、、、で、
この前田高地は米軍の沖縄攻略の中でも、
熾烈を究める場所でした。
なので、「ハクソー・リッジに加わる」
というのはほとんど「生きては帰って来られない」
ということを意味していたわけです。

米軍部隊はまず、舟から下り、砂浜に上陸します。
そそり立つのは15メートルもある高い崖です。
兵士たちはテレビ番組の「サスケ」の挑戦者のように、
ロープを伝ってこの崖を登るのですが、
崖の上の平地には日本軍が塹壕を掘り、
隠れて待ち構えています。

数十人単位で米兵は崖を登りますが、
死体と負傷兵が、崖から定期的に落ちてくる。
「野戦病院」は地獄です。
手や足を失った兵隊たちが、
「モルヒネ、モルヒネをくれ!」と叫んでいる。

この映画の主人公は、
そんな「ハクソー・リッジ」において、
衛生兵として活躍した、
実在したひとりの兵士です。
彼はアメリカの歴史に名を残しました。

なぜか?

彼は「絶対平和主義」をとる、
セブンスデー・アドベンティスト派の信徒でした。
ゆえに宗教的な理由による「良心的兵役拒否者」として、
武器を取る戦士としてではなく、
負傷した兵士を救う衛生兵として戦地に赴きました。

そしてかの地において、彼は良心的兵役拒否者として、
史上初めて勲章をもらった衛生兵となったのです。

憲法の定める人権により、
銃を握るわけにはいかない、という彼の主張は通るのですが、
法律と現実は違います。

現実には彼はえげつないぐらい虐められるのです。
仲間だけでなく上官も彼を臆病者とののしり、
わざとキツイ訓練をさせたり、
彼のものを壊したり、寝ている彼をリンチしたりします。
「銃を取れないお前は臆病者で卑怯者で、
 宗教かぶれの裏切り者だ!!」と。

しかし、戦地で彼の評判は逆転するのです。
最も臆病者とバカにされいじめられた男は、
人よりも100倍も勇敢でした。
攻撃する人間よりも、
攻撃しない人間の方が「強い」というのが、
この映画で「言葉による説明はいっさいなしに」伝わります。

彼は崖を登っては負傷した仲間を自分の身体に結びつけ、
ロープで崖を下り、野戦病院に運びます。
ロープを下りるときに手の皮は火傷でずるむけになり、
武器を持たない彼は毎回死の吐息を感じます。

彼は最終的に、75人のアメリカ兵と、
何人かの瀕死の日本兵(!)の命を救いました。
もうろうとする意識のなか、崖を登りながら彼は祈ります。
「神よ、もう少しだけ私に力を与えて下さい。
 あとひとり、あとひとりの命を救わせて下さい。」

この映画の「ずるいポイント」は、
映画のエンドロールで「本人登場パターン」だからです。
おじいちゃんになったデズモンド・ドス(本人)が、
当時のことを語ります。
そんなの泣いちゃうでしょ。



●第9位 ブルーバレンタイン

鑑賞した日:2018年11月1日
鑑賞した方法:アマゾンでストリーミング購入(300円)

監督:デレク・シアンフランス
主演:ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/1KYGueC

▼▼▼コメント:

ずっと見たいなーと思っていた映画でした。
観る人の心をえぐる、「マゾヒズム映画」ですが、
激辛ラーメンを食べたり、
タイ古式マッサージに行ったりする感覚で、
「痛いもの」が好きな人は、
この映画、好きだと思います。

あるカップルの「栄枯盛衰」
(この使い方が正しいのか分かりませんが)を、
残酷なまでにリアルに見せる、
というこの手法は、
「ビフォア・サンセットシリーズ」にも似ています。

最初はイチャイチャするわけです。
二人とも天にも昇る気持ちなわけですよ。
それがだんだんと冷えていき、
すれ違い、その溝が決定的になっていく、、、
というのを「カットバック」で見せるこの手法は、
「悪趣味なまでに残酷」です。

イチャイチャ期→残酷な現在→イチャイチャ期→残酷な現在
という感じで構成されるので、
「この間に何があったんだ!?」と観客は思うわけですが、
ストーリーが進んでいくにつれ、
その「謎」がだんだん明らかになっていく。

別に失恋したわけではないのに、
「あたかも自分が失恋したかのような」ダメージを、
心に受けることが出来ます笑。
誰がこの宣伝文句で見るんだよ!っていうね笑。

でもねぇ。
良い映画なんだこれが。
もう「最低」です。
つまり、「映画としては最高」です。
観た後に語らずにいられない、
というのもこの映画(良い映画)の特徴ですね。



●第8位 マンチェスター・バイ・ザ・シー

鑑賞した日:2018年3月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ケネス・ロナーガン
主演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ他
公開年・国:2016年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/75phpMV

▼▼▼コメント:

これも「マゾヒズム映画」です。
こちらも、「修復不能になった夫婦」が話しの軸です。
しかも「ブルーバレンタイン」と同じ、
ミシェル・ウィリアムズがキャスティングされています。

この人、実は、『ダークナイト』でジョーカーを演じ、
その演技に呑み込まれて命を落としたヒース・レジャーの奥さんです。
旦那さんにあんな形で死なれた人が、
『ブルーバレンタイン』や、
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などの、
「痛い喪失を味わう役」を演じられるというのは、
もう精神的にどうなってるんだ?と思わずにいられません。

この映画のケイシー・アフレック(ベン・アフレックの弟)は、
大きな事件のあとに心が壊れ失われ、それが戻ってこず、
「心が壊れたままの男」を熱演しています。
作品が進んでいくと、「なぜ心が壊れたのか」が、
明かされていくのですが、
「まぁ、そりゃそうなるわな」と誰もが思う。
「そりゃ、そうなるよ。」
あまりにもキツイ。

彼は、心を失ったまま、
「十字架を負って」生きていきます。
それでも日常は残酷に続いていきます。
「そして、マンチェスターの海だけが今日も美しい。」
仏教哲学のように厳しい人生観がここにはあります。
去年見た「かぐや姫の物語」を思い出しました。

「最低」です。
つまり、映画として最高です。
(二回目)



●第7位 ゲット・アウト

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスの中で)

監督:ジョーダン・ピール
主演:ダニエル・カルーヤ
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/0BM0caC

▼▼▼コメント:

こちらは度肝を抜かれましたね。
この映画の「気持ち悪さ」は忘れられません。
ジャンルとして「コメディホラー」という分野の映画で、
恐ろしさのなかに、「そこはかとなりおかしさ」があります。
「恐怖」と「コメディ」を混ぜるという、
なんか「熱々ブラウニーに冷たいアイスクリーム」みたいな、
そんな組み合わせなわけですが、
これが意外に相性が良い。

ストーリーはというと、
ネタバレしたくないのであまり詳しく言いたくないのですが、
「現代のKKK」みたいな話しです。
つまり有色人種蔑視の白人の「密教」みたいなものがあり、
そこに「袋の鼠」のごとく、
黒人の主人公が引き入れられてしまい、
とんでもない恐怖を味わう、という話しです。

体裁はホラーなのですが、
これは現代のアメリカ社会への、
痛烈な「風刺」になっているのですよね。
つまりこの映画を観るときに、
「虚構という設定によって、
 自らの現実を直視せざるを得なくなる」
という。

今の日本だったらどうなんだろう?

たとえば在日朝鮮人の主人公が、
「純血日本人至高主義の排外主義者」の秘密結社の
アジトに迷い込んで、そこでめちゃくちゃ恐ろしい目にあう、
というような感じでしょうか。

まぁ、コンプライアンス的にまず出来ないでしょうけど。
右からも左からも集中放火を浴びそうなので。
アメリカの凄いところは、
確かに差別はあるし、
一部では日本よりもひどかったりするのですが、
それを「自己批判」する言説空間の自由さもまた担保されている、
というところでしょうね。
かの国の底力はそういうところにある気がします。
この映画が作られ、多くの人に見られる、
ということがつまりアメリカのすごさだということです。



●第6位 ファイト・クラブ

鑑賞した日:2018年9月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(群馬に向かうバスで)

監督:デイビッド・フィンチャー
主演:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン
公開年・国:1999年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/d/4QVq9tA

▼▼▼コメント:

この映画を見るのは二回目のはずなのですが、
一回目のとき(15年前ぐらい?)の記憶が、
微塵も残っていなくて驚きました。

俺の記憶力はどうなってるんだ?と。

なので、事実上初めて見たわけですが笑、
めちゃくちゃ面白かったです。

とにかくブラピ(タイラー)がかっこよすぎるんですよね。
「既存の価値観をぶちこわす」という意味で、
村上龍の小説や、「時計仕掛けのオレンジ」などにも連なる名作です。
社畜のホワイトカラー、ガソリンスタンドの店員、
レストランのウェイターなどの「労働者」が、
「暴力と破壊の秘密結社をつくる」というのが筋書きです。

これには「既視感」がある。

そうです。

五大湖周辺のラストベルトに住む、
「知識人蔑視のブルーカラー」の得票によって、
泡沫候補と目されていたドナルド・トランプ氏が大統領になった、
現代のアメリカです。
現代アメリカは「ファンタジーが現実になった世界」でして、
彼らは「タイラー」を、
本当に召喚してしまったのだ、という気がします。

もうこの際警告するのも面倒なので、
ぬるっとネタバレしちゃいますが笑、
タイラーは、主人公の「僕(エドワード・ノートン)」の、
「オルターエゴ」です。

つまり、真面目な主人公が抱えている、
「抑圧された破壊衝動」を具現化した、
彼の第二の人格なわけです。

現代のアメリカでいうと、
民主党的なポリティカルコレクトネスが「僕」で、
共和党的(いや、トランプ的といった方が良いでしょう)な、
「建前の奥にある抑圧された差別感情」
 つまり、
「黒人(オバマ)の次は女(ヒラリー)かよ!
 絶対嫌だ。
 彼(トランプ)は少なくとも白人で、男だからね。」
 という『生理的な理由』で、
 トランプに投票したサイレントマジョリティの本音」
の具現化が、「タイラー」なわけです。

つまり「僕=タイラー」は、
「アメリカ自身」でもあるわけです。
1999年といえばもう20年も前なのですが、
その時点でデヴィッド・フィンチャー(と原作者)は、
「アメリカが抱える国家的精神分裂状態」を、
予言していたのです。

すげー作品だと思いました。

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