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陣内が先週読んだ本 2019年1月20日〜2月4日 『量子革命』他

2019.06.26 Wednesday

+++vol.078 2019年2月12日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年1月20日〜2月4日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●対立の世紀 グローバリズムの破綻

読了した日:2019年1月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:イアン・ブレマー
出版年:2018年
出版社:日本経済新聞出版社

リンク:
https://goo.gl/XBbRLo

▼140文字ブリーフィング:

イアン・ブレマーは、
『Gゼロ後の世界』という本を書いたことで有名です。
私は鬱病療養の最後の時期に、
なんとか自分に自信を取り戻すため、
「何かを書く」ということを自分に課しました。
結果として2本の小論考を書いたわけですが、
そのうちの「中空構造日本の新世紀」という論考の、
論理的下敷きにしたのが、
イアン・ブレマーの『Gゼロ後の世界』と、
河合隼雄の『中空構造日本の深層』でした。
興味ある人はご参照ください。

▼参考リンク:2本の小論考
https://drive.google.com/file/d/0B3HrFmMyrAJLekNEdEVoYnVOcms/view
https://drive.google.com/file/d/0B3HrFmMyrAJLU3h3RG5CRzU0eEk/view

イアン・ブレマーの本を読むのはその時以来です。
『対立の世紀』とは、21世紀の政治が、
「われわれ対彼ら」という構図に基づくものだ、
という著者の基本認識を表現しています。
全世界で「ポピュリスト」と呼ばれる政治家が躍進しているのは、
ここ数年ますます認識されるようになっていますが、
問題はポピュリストのほうにではなく、
それを生む人々の恐怖心のほうなのだ、
というのが著者の指摘です。
引用します。


→P27〜28 
〈「今こそ、地域革命を起こすときです」。
その候補者は、歓声を上げる群衆に向けて言い放った。
「国はもはや国家としての意味をなさず、市場でしかありません。
国境線は消去され・・・誰でも我が国に来ることが出来ます。
これでは文化的アイデンティティが薄まってしまいます」。

マリーヌ・ル・ペンのこの発言は、
西洋社会で高まりつつある不安の重要な要素をすべて捉えている。
国境は開かれ、外国人たちが入ってくる。
仕事は奪い取られ、システムが破綻して年金や医療制度が崩壊する。
文化が汚され、中には犯罪者もいる。
ル・ペンは2017年のフランス大統領選で破れこそしたが、
そのメッセージは、「われわれ対彼ら」という
対立の21世紀の政治に強いインパクトをとどめている。

だがこれは、マリーヌ・ル・ペンの話でも、
ドナルド・トランプの話でもない。
最近ヨーロッパやアメリカに現れている
やり手のポピュリストたちの話でもない。
カメラを怒り狂っている群衆に向けてみようではないか。
本当の物語は彼らの中にあるのだ。

運動を起こしているのは、メッセンジャーではない。
発端は、失業や、押し寄せてくる外国人たちや、
失われていく国民意識(ナショナル・アイデンティティ)や、
テロリズムにつながる理解不能な、
公然たる暴力行動に対する普通の人々の
――絶対とは言わずとも多くの場合当たっている――恐怖心なのだ。〉


著者は「ドナルド・トランプは無能で不快で嘘つきだが、
彼の支持者たちをないがしろにする者はだれでも、
アメリカに害をなしている」
と語っています。
この指摘は鋭い。
これはヨーロッパにも言える、と著者は加えます。

日本もそうかもしれません。
ネトウヨを非難するのは簡単だが、
ネトウヨにならざるを得ない鬱屈をすくい上げなければ、
日本の政治に未来はないのです。


→P241 
〈アメリカがますます安全で繁栄していく国だと信じているから、
という理由でドナルド・トランプに投票した有権者はいない。
勤労世代の男性のうち失業者一人に対して
職探しすらしていない無職者が3人もおり、
しかも失業中の男性の半分が日々鎮痛剤を服用している状況の国では、
多くの人々が「変化」を求めている。
こういう人々の運命を無視すれば、
どんな未来がアメリカ人を待ち受けているか、
想像するのも難しい。

トランプのようなポピュリストを非難することはたやすい。
彼は不快で嘘つきで無能だ。
だが、ドナルド・トランプが「われわれ対彼ら」の構図を作ったのではなく、
この構図がドナルド・トランプを生み出したのだ。
そして、彼の支持者をないがしろにするものは
アメリカに害を為しているのだ。〉


→P245〜246 
〈だが、批判をトランプに集中するだけにとどまって、
彼をホワイトハウスに送り込んだ根底的な緊急事態に目を向けないとすると、
アメリカの「われわれ対彼ら」の問題は悪化の一途を辿ることになる。
そしてそうなれば、壁を建設することは簡単になり、
最も助けを必要とする人々を援助することが難しくなる。

だが、ドナルド・トランプを嘲笑し、その乱行を罵り、
その支持者たちを馬鹿にする方が、自分たちには未来がなく、
その事を多のアメリカ人はどうでも良いと思っていると
多くの人々に信じさせてしまった諸問題の解決に向け努力するより、
ずっと楽なのだ。
 (中略)
ベッペ・グリッロやマリーヌ・ル・ペンのような
政治的先導者たちを攻撃するのは良いが、
彼らに頼ろうとする人々の希望と不安を真剣に受け止めないと、
「われわれ対彼ら」の問題は悪化し、
左翼と右翼の両方が受け入れられる方法での
ヨーロッパの社会契約を書き直すことがさらに難しくなるのだ。〉
(2,018文字)



●エクササイズ3 ともに神の愛に生きる

読了した日:2019年1月24日
読んだ方法:Amazonで書籍購入

著者:ジェームズ・ブライアン・スミス
出版年:2018年
出版社:いのちのことば社

リンク:
https://goo.gl/RvkmQW

▼140文字ブリーフィング:

こちらは、FVIの正会員としてご助力いただいている、
カンバ―ランド長老高座教会の、
松本雅弘先生の奥様・松本徳子氏が翻訳なさっています。
松本先生は著者のジェームズ・ブライアン・スミス氏に、
アメリカまで会いに行っており、
ご自身の牧会される教会でも、
この本をテキストにシリーズで訓練会を実施しています。

この本は1巻〜3巻まであり、
私は足かけ3年かけて、
これですべて読んだことになります。

この本はキリスト者の霊的鍛錬に関する本です。
何がこの本のユニークさかというと、
著者が「人間は努力では変われない」という前提に立つところです。
かといって「成長は神秘に包まれた聖霊の業だから、
われわれは祈って、運良く神が介入してくれるのを期待する」
というものでもありません。

著者はキリスト者がキリストの似姿に変えられるには、
1.物語の変化
2.共同体
3.鍛錬(実践・エクササイズ)
の三つが必要なのだ、と語ります。
サブタイトルが内容を表しているのですが、
第一巻は「生活の中で神を知る」
第二巻は「神の国の生き方を身につける」
第三巻は「ともに神の愛に生きる」
です。

つまり、
1が神を愛するエクササイズ、
2が自分を愛するエクササイズ、
3が隣人を愛するエクササイズ、
という風に構造化されています。
しかもそれぞれの章末には、
小グループや個人で取り組むための、
実際的な教材も附録されている。
教会などでテキストとして採り入れるには、
非常に適したシリーズです。

私は全部を読んでみて、
本書、第三巻がいちばん面白かったです。

南アフリカのメガチャーチの牧師をしていて
「燃え尽き」を体験した後、
1年間のアメリカでのサバティカルで啓示を受けたトム・スミス牧師が、
現在牧会する南アフリカのクレイポット(陶器の壺)教会の物語と、
その共同体のルールが面白いと思ったのでご紹介します。

→P183〜186 
〈次の文章はトムたちが作った共同体
――クレイポット(陶器の壺)教会――の説明です。
 (中略)
 ある日の礼拝の最後に、
私たちはその壺を大きな袋に入れて、
コンクリートの床にたたきつけて割りました。
それは私たちの壊れた状態を象徴していました。
それから、教会の全員が割れた破片を家に持ち帰りました。
そして、持ち帰った破片にそれぞれの祈りを書き、
再び持ち寄ってその陶器の壺を組み立て直しました。
その陶器の壺はつなぎ合わされましたが、
完全な姿にはなりませんでした。
けれども、その中にろうそくを灯すと、美しい光を放ったのです。

トムと教会員は大きな教会を建てたいとは思いませんでした。
彼らはお互いのためと共同体のために、
教会になりたいと思ったのでした。
トムは共同体の皆に、この光を輝かせ続けるために、
以下の約束(コミットメント)をするように求めました。
トムは、これを「六つの招きに答えること」と呼んでいます。

1.祈りや聖書朗読やその他の霊的訓練を通して、
 神に毎日「プラグを差し込みます」。

2.一週間に三回「パンを割く」ときを、
 仲間の人々とまたキリストを知らない人々と持ちます。

3.「私の霊的賜物は何ですか」とは聞かずに、
 「私はこの共同体にとってどんな贈り物ですか」と問うことを通して、
 自分の賜物を共同体に献げます。

4.自分と(人種・宗教・階級などが)異なる人と友情を育みます。

5.仕える精神――社会的地位を低くすること――をはぐくみ、
 自分の人生の資源(時間・財産・才能)を
 必要のある人に分け与えるようにします。

6.自分の時間を健全なリズムで使います
 (余白、安息日、一週間に50時間以上仕事をしない)。

 (中略)
この共同体には、もう一つ変わった訓練があります。
毎年、12月の最後に、トムは人々に1月の1ヶ月間を
識別の時として使うようにと言います。
トムは冗談めかしてこう言います。
「1月の一ヶ月間、私は誰もいない教会の牧師になります」と。
教会員は、神が彼らをどこに遣わそうとしておられるのかを探し求め、
見極めるようにと言われます。
もう一年間クレイポット教会に戻るように導かれたら、
一月の最後の日曜日に来るようにと言われます。
そのときにみんなで新しい壺を割って、
その破片を持ち帰り、自分の祈りをその破片に書き、
それを次の日曜日に持ち寄って壺を組み立て直します。

このクレイポット教会の物語は、
約束(コミットメント)と説明責任(アカウンタビリティー)の
重要性をあらわしています。
そして、この二つは現代のクリスチャン生活の中で
ますます乏しくなっています。〉


、、、かなり前のことですが、
ある友人と、現代の教会の二つの潮流について語りました。
それは現代の教会(特にアメリカで顕著)は、
「メガチャーチ(会員数1万名以上)」と、
「ハウスチャーチ(家の教会)」に、
二極化されている、と。
この二つは真逆に見えるが、
通底するものは似ている、と。

それは何か?

自分を誰かに合わせる必要がないことです。
メガチャーチに通うのは、
大型ショッピングモールに行くのと似ていて、
そこではナースリー(子どもを預ける施設)を含め、
あらゆるものが提供されます。
私もアメリカの3万人規模の教会に行ったことがありますが、
駐車場から礼拝、クリスチャングッズのお店、
そして再び駐車場に戻るまで、
一度も「他人」と会話せずに礼拝が「成立」します。

ハウスチャーチはどうか?
そこには密な人間関係があるように見えて、
必ずしもそうではありません。
ハウスチャーチというのは往々にして、
「気心の知れた小数の仲間たち」で始める
(もしくは教会からスピンオフする)ため、
そこには「気に入らない誰か」はいないわけです。

そうです。

メガチャーチやハウスチャーチは、
極大と極小というルックスの違いとは裏腹に、
根底に流れている思想は同じなのです。
それは「個人主義」です。
(もちろん例外はあるでしょうが)

全世界にある教会のサイズを横軸に、
数を縦軸に取ると、
標準偏差曲線という曲線を描きます。
つまり「3名」の教会は少なく、
「1万名」の教会も少ない。
ピークの山があるのは30名〜100名のところです。

この30名〜100名というのは、
サル学の研究者の長谷川さんという人が指摘している、
リアルな人間関係を保てる限度(125名)に収まっています。
どういうことか?
学校のクラスなどを考えたら分かるように、
このサイズになると、
「自分が気に入らない人」
「自分とは趣味も話も合わない人」と出会い、
なおかつ人間関係を構築する必要に迫られるのです。
つまり、強制的に個人主義を脱却させられる。

教会というのは「赦すことを学ぶ場所」です。
そう考えると、
個人主義的な教会というのは、
その定義において語義矛盾なわけです。
誰も一人で結婚できないのと同じく、
誰も一人でキリスト者たることはできないのです。
(2,750文字)



●10宅論 10種類の日本人が住む10種類の住宅

読了した日:2019年1月24日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:隈研吾
出版年:1990年
出版社:ちくま文庫

リンク:
https://goo.gl/5PwG1J

▼140文字ブリーフィング:

「じゅうたくろん」と読みます。
ダジャレですね。
隈研吾さんは、2020東京オリンピックで使用する、
新国立競技場の設計者です。
彼のことは、養老孟司との対談本で知っていました。
彼は建築の背後にある思想に自覚的な人で、
「方丈記」の鴨長明の住んだ「4畳半」こそが、
日本的ミニマリズムの極致だ、と、
養老さんとの対談本『日本人はどう死ぬべきか?』で語っていました。

本書は今から30年近く前に隈研吾さんが建築と思想について語った本。
かなり時代性を感じますが、
そこに流れる思想的洞察は深いものがあります。
たとえば西洋のレンガと日本の城の石垣の違い。
西洋文化は文脈依存性が低い
(その言葉そのものの意味が重視される)。
レンガという単位が最初にあり、
それを組み合わせて空間を区切っていくその建築は、
西洋の人の言語的性質と似ている。
対する日本の言語文化は文脈依存性が高い。
城の石垣や神社の柱が「はめ込む」構造になっているのは、
「文脈」が多くを語る日本の言語構造に類似する、というように。
(432文字)



●日本代表とMr.Children

読了した日:2019年1月25日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:宇野維正(これまさ)・レジ―共著
出版年:2018年
出版社:ソル・メディア

リンク:
https://goo.gl/zexNQn

▼140文字ブリーフィング:

これねぇ。
めちゃくちゃ面白かったんですよ。
ここでは語りきれないぐらい。
J-POPとJリーグ、
ミスチルと日本代表の歴史を語ることは、
つまり「平成」という時代を語ることに他ならない、
というのがよく分かります。

ミスチルとサッカー日本代表の何の関係があるのか?
これがめちゃくちゃあるんです。
最近では長谷部誠のミスチル好きが有名ですが、
ミスチルの側もまた、桜井さんが名波と親友だったり、
若くしてスターダムにのし上がった桜井さんにとって、
サッカーは救済になっていたり、
お互いがお互いを救済する関係になっている。

その相互作用と相乗効果が、
「平成の若者」を作り上げてきた、
というのがこの本の分析していることであり、
「そこから私たちはそろそろ脱却しなければいけないのではないか」
という、さらに一歩踏み込んだ議論が展開されます。
夢中で読みました。

本書は対談本で、宇野さんについては、
『1998年の宇多田ヒカル』という本が面白かったのを覚えていて、
それで認識していましたが、
対談相手のレジーさんというブロガーは知りませんでした。
面白くて紹介しきれないので、
一箇所だけ、長谷部誠の著書『心を整える』について、
二人が語っている中に、「ミスチル三大教義」
というのが出てきて非常に印象的でした。
文字数に制限がありますので、
今回はそこだけ引用するにとどめます。


→P191 
〈宇野:でもこれ、サッカープレーヤーの出す本として
はかなり変な本だったよね。
時系列もバラバラだし、テーマもどんどん飛んでいくし、
さっきも言ったように、途中で
「長谷部誠による、ミスターチルドレンBEST15」
みたいなコーナーも始まるし。

レジ―:あそこは本気で意味が分からなかったですね(笑)。
ただ、あのランキングの2位がさっき挙げた「彩り」、
1位が2章でも掘り下げた「終わりなき旅」っていうのは
いろんなことを表しているように思います。
「終わりなき旅」の「高ければ〜」という歌詞を
「上昇志向・チャレンジ志向」と読み替え、
「彩り」で些細な生きがいの大切さを学び、
「名もなき詩」であるがままの心で生きていくこと、
つまり「本当の自分」というものを知る。
この三本柱が、ミスチルを「心の糧」的に
捉えている人たちの教義になっている感じはあります。
もっとも、この本のBEST15に、
「名もなき詩」は入っていないんですが。〉


、、、私もまた「ミスチル世代」であり、
サッカー日本代表も、ワールドカップ開催年は特に、
ずっと追いかけてきました。
また、長谷部誠は海外に行ったことでより深く、
ミスチルに勇気づけられたと指摘されていますが、
私もまた2008年に国際援助団体に転職し、
インドやアフリカなどに行かなければ、
これほどミスチルを聞いていたか分からない、
というほどに現地でミスチルはやたら胸に沁みましたから、
この本を読むとき、まるで自分自身の精神史を語られているような、
そんな気持ちになりました。
長谷部誠はロシアワールドカップ終了後、
日本代表からの引退を表明しました。
それは、ひとつの時代の節目だった、
と著者たちは変わります。

おりしも平成が終わり、
新しい元号が始まろうとしています。
私たちは「ミスチル的なるもの=平成的心の在り方」から、
次の時代に歩を進めるときが来ているかもしれません。
それはミスチル自身が最新アルバム「重力と呼吸」で、
今までの在り方を脱却し始めているのと同じく、
過去を否定するという脱却ではなく、
「弁証法的に止揚される」ような方向で、
私たちの人生(世代)が新たな成熟を遂げる、
とうことを指します。
(1,218文字)



●人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊

読了した日:2019年1月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:井上智洋
出版年:2016年
出版社:文春新書

リンク:
https://goo.gl/SWJcbx

▼140文字ブリーフィング:

先日ご紹介し、当メルマガで何度も取り上げている、
新井紀子さんの『AI VS 教科書が読めない子どもたち』
は、AIに代替不能な能力とは何か、
ということを詳細に論じる本でした。
(その答えは「読解力」です)

井上智洋さんも、新井紀子さんとAIのもたらす、
破壊的イノベーションの在り方(その可能性と限界)について、
かなり似通ったスタンスを取っています。
両書の違いは、新井さんの本が、
AIが産業構造を大きく変える未来の、
「教育」について語っているのに対し、
井上智洋さんは同じ未来の「経済」について語っていることです。

本書を読むと分かるのは、
破壊的イノベーションとなる「汎用AIの出現」と、
最低収入を国家が保障する「ベーシックインカム論」は、
必ずセットで語られなければならない、ということです。
著者は以下のような2ちゃんねるの書き込みを紹介します。

→P148 
〈機械が勝手に富を生み出すようになれば、
人間の仕事はなくなる。
従業員がいない完全自動化された企業は株主にしか富を渡さない。
そうなると人類は二種類に分かれる。株主かそうでないかだ。
――ネット掲示板2ちゃんねるの書き込み〉


、、、これは極論的な思考実験ですが、
社会がこの状態に近づいたとき、
ベーシックインカムは「それが是か非か」という問題ではなくなります。
「どうやって実現するか」という問題になる。
実現しなければ社会は「壊れる」からです。

ベーシックインカム論というのは、
リベラルな左翼が支持し、
経済的自由主義者(リバタリアン)が非難する、
というのが典型的な構図になっていますが、
その起源を考えるとそれは倒錯しています。

リバタリアン(自由主義者)が信奉する、
二人の経済学者に、
ミルトン・フリードマンと、
フリードリヒ・ハイエクがいますが、
フリードマンは「負の所得税」という概念で、
ハイエクもまた、
「私はこの国の全ての人々が最低限の所得を
得られるようになることを支持する、と常に言ってきている」
という発言で、二人ともベーシックインカムを支持しているのです。

本当のリバタリアンは自由競争の極致がもたらす地獄まで、
計算に入れて社会設計を考えます。
何かというと「自己責任」を主張するリバタリアンは、
「ナイーブなお花畑リバタリアン」と言わざるを得ないでしょう。
私はベーシックインカムに関しては、
支持するもしないも、
「やらない選択肢は未来にない」
と思っています。
年金も生活保護も育児手当も、
「ベーシックインカム」という概念に統一出来ることで、
国家はかなりのコストカットが出来るはずだと著者は指摘しており、
私もそれに賛同します。
(1,024文字)



●パパは脳科学者 子どもを育てる脳科学

読了した日:2019年1月22日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:池谷裕二
出版年:2017年
出版社:クレヨンハウス

リンク:
https://goo.gl/vBSkGD

▼140文字ブリーフィング:

これは面白かったです。
脳研究者である池谷裕二さんが、
娘を授かり、その成長の様子を、
1〜2ヶ月単位で記録しながら、
それを「この行動を脳科学的に見ると、、、」
と解説を加える。
めちゃくちゃ読みやすいのですが、
内容が軽いわけではなく、
著者はほぼすべての主張に、
その根拠となる最新の論文を引用しています。
知的な密度はルックスよりはるかに高い。
3月以降公開予定のYouTube動画を、
今撮りためているのですが、
この本を取り上げようと思っています。
(217文字)



●量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突

読了した日:2019年1月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マンジット・クマール(青木薫訳)
出版年:2017年
出版社:新潮文庫

リンク:
https://goo.gl/M2aRij

▼140文字ブリーフィング:

夢中で読みました。
これは、ヤバかったです。
面白すぎて。
この手の本では、サイモン・シンの『フェルマーの定理』が、
過去最高に面白かった一冊ですが、
それと肩を並べたかもしれない。
ニールス・ボーアとハイゼンベルクは、
「量子物理学の祖」ですが、
彼らの論理は常識を揺るがしました。
アインシュタインの相対性理論もまた、
それまでの常識を揺るがしましたが、
それはニュートンが体系化した古典物理学の、
大幅なアップデートだった。
しかし、量子物理学は、
古典物理学の前提すら覆してしまうものだった。
「この世界は因果関係で説明できる」
というのがその前提なのですが、
量子論は「この世界は確率に支配される」と言います。
予測不能性を「証明」したと、ハイゼンベルクは主張したのです。
アインシュタインはそれに対し、
「神はサイコロを振らない」と言って反対します。
このバッチバチの物理学者同士の議論の積み上げは、
「存在するとは何か」という哲学の分野に片足を踏み入れています。
どちらの世界観を取るかで、
「世界」が違って見えるわけです。
もうね、とにかくエキサイティングな本でした。
この手のジャンルが好きな人には文句なしにオススメです。
(494文字)



●アインシュタイン その生涯と宇宙 下

読了した日:2019年2月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ウォルター・アイザックソン
出版年:2011年
出版社:ランダムハウスジャパン

リンク:
https://goo.gl/4CcKy3

▼140文字ブリーフィング:

著者のウォルター・アイザックソンは、
スティーブ・ジョブズの公式伝記を書いた人です。
このジョブズの伝記があまりにも面白かったので、
伝記作家としてアイザックソンに興味を持ち、
他に邦訳されている伝記は、、、
とAmazonで探すと、アインシュタインが出てきました。
それで昨年アインシュタインの伝記の上巻を読んだのですが、
下巻はずっと未読のままでした。
『量子革命』のアインシュタインの章を読んでいるとき、
「なんかどこかで読んだことある話ばかりだな、、、」
と思ってたら、あ、そうだ、アインシュタインの伝記だ、
となり、下巻を読んだ、というのが顛末です。

『量子革命』の副読本としてこの本を読むと、
非常に面白かったです。
『量子革命』は量子論をめぐる人間群像ですが、
その主人公を敢えて挙げるとしらニールス・ボーアです。
つまり「量子論」側から物事を見ている。
アインシュタインの伝記は当然、
アインシュタイン側から量子論を見る。
つまり宮本武蔵側から見たストーリーと、
佐々木小次郎側から見たストーリーを並行して読む、
みたいな感じで、物語が立体的に立ち上がります。
(467文字)



●帰ってきたヒトラー(上)

読了した日:2019年2月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ティムール・ヴェルメシュ
出版年:2014年
出版社:河出書房新社

リンク:
https://goo.gl/pAqAQq

▼140文字ブリーフィング:

文字数が2万文字を超えたので、
ここからは駆け足でご紹介します。
これは先日観た映画が面白かったので、
原作を読んでみようと思い手に取りました。
映画とは違いヒトラーが一人称で語られる本書は、
「ライドもの」としての面白さがあります。
マルコビッチの穴的な。
下巻を読み終えたら詳しく解説します。
(141文字)



●脳はなにかと言い訳する

読了した日:2019年2月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:池谷裕二
出版年:2010年
出版社:祥伝社

リンク:
https://goo.gl/49yrxw

▼140文字ブリーフィング:

『パパは脳研究者』が面白かったので、
池谷裕二さんの本を立て続けに読みました。
脳研究の最前線の概要が手際よく解説されています。
さらに詳しく知りたい人は、
ラマチャンドラン、ガザニガ、ダマシオらの本を読むと、
さらに良く理解できるでしょう。
(116文字)



●表徴の帝国

読了した日:2019年2月4日 途中飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ロラン・バルト
出版年:1996年
出版社:ちくま文芸文庫

リンク:
https://goo.gl/z88UKn

▼140文字ブリーフィング:

フランス人の言語学者のロラン・バルトは、
構造主義哲学の重要人物としてよく引用されます。
彼は「表徴(エクリチュール)」という言葉を使い、
言語活動の本質とは何かに迫ろうとするのですが、
それを語るのに彼が選んだのが、
禅や日本庭園や茶道など、
「日本の文化」を語ることでした。
日本の言語の在り方は、
西洋のそれとあまりにも大きく違うので、
西洋の人がそれを分析すると、
そもそも言語とは、という問いに対する、
答えが立ち上がってくるという構図になっています。
(220文字)



●確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

読了した日:2019年2月4日 途中飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:盛岡毅、今西聖貴
出版年:2016年
出版社:角川書店

リンク:
https://goo.gl/KqJ8Di

▼140文字ブリーフィング:

ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の快進撃については、
みなさん聞いたことがあるでしょう。
2000年代後半には「虫の息」だった同社が、
奇跡のV字回復をし、2015年10月には、
なんと1ヶ月だけの最大瞬間風速ではありますが、
東京ディズニーランドの入場者数を抜いたのです。
関西圏と首都圏の人口差は3倍ありますから、
これは単なる勝利ではなく、
完全な「ジャイアントキリング」です。

これはどうやって成し遂げられたのか、
というのを、その立役者である、
盛岡さんと今西さんが語る、というのが本書です。

→P4
〈本書のテーマは「確率思考」です。
本書に一貫するメッセージは、
「ビジネス戦略の成否は『確率』で決まっている。
そしてその確率はある程度まで操作することができる」ということです。
私はその考え方を「数学マーケティング」とも、
「数学的フレームワーク」とも呼んでいます。〉


、、、二人はこの成功は偶然でも何でもない、
と言います。気合いでも根性でもない。
そうではなく「数学」なんだと。
マーケティングは「確率が支配している」と。
そしてそれは「プレファレンスの関数」なのだ、
というのが本書の主張です。
様々な数式と実証性のある根拠によって論証していくこの本は、
いわゆる「やたらとメンタルばかり語り
サンプル数1の自分の成功談に終始するビジネス書」とは対極にある、
高校の数学の教科書に近いような異色のビジネス書です。
こういう経営者が増えれば、
先進国中最も低い部類の日本の「ひとりあたりGDP」も、
底上げされるんだろうなぁと思いました。
(651文字)



●遅刻してくれてありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方

読了した日:2019年2月4日
読んだ方法:Amazonで電子書籍購入

著者:トーマス・フリードマン
出版年:2018年
出版社:日本経済新聞社

リンク:

http://amzn.asia/d/7GBnUZJ

▼140文字ブリーフィング:

これは、お世話になっている牧師先生にご紹介いただいた本で、
去年Kindleで買って、今も下巻を読んでいる本です。
あまりにも面白いので、ここで解説することは不能です。
いつか「本のカフェ・ラテ」で語れればいいなーと思っています。
「等比級数的な変化の時代」に、
私たちはどのように生きるべきか、
ということを分野横断的な膨大な知識を持つ著者が語る本書は、
世界的ベストセラーになったのもうなずけます。
(194文字)



●妻に捧げた1778話

読了した日:2019年2月4日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:眉村卓
出版年:2004年
出版社:新潮社

リンク:
https://goo.gl/Gxm46w

▼140文字ブリーフィング:

アメトーークで、
カズレーザーが何年かぶりに泣いた、
と語っていて読みたくなりました。
あのサイコパスっぽい彼が泣くなんて、、、と。
読んでみて、、、あんまり泣きませんでしたね笑。
作家の著者が、癌に冒されて病床に伏している間、
毎日一本の「ショートショート」を読み聞かせた。
そのショートショートを、著者の解説付きで収録したのが本書です。
(こう書いてると私がサイコパスみたいに聞こえてなんかアレですが笑)

ショートショートというのは、星新一のそれが有名ですので、
ああいったものが収録されていると考えてください。
奥さんを失った著者の苦しみとそこからの再起を綴った本に、
倉嶋厚さんの『やまない雨はない』という本がありますが、
あれのほうが凄かったです。
彼は鬱病になり、マンションの屋上から何度も飛び降りようとした、
というようなことも書いていて、
私は自分が燃え尽き症候群に陥った当初、
倉嶋さんのこの本を何度も読み返しました。
(401文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:
『遅刻してくれてありがとう 上』

コメント:

全然解説していないのに笑、
今週挙げた本の中で、
ぶっちぎりで面白かったのが本書です。
去年で言うと、
タレブの『反脆弱性』を読んだときと、
同じような発見と自らの変化を体験しました。
特に本書で紹介される「動的安定」と「静的安定」というのは、
誰かと膝をつき合わせて話す機会には、
この半年ぐらい必ず私の口から飛び出すようになりました。
読書によって「自分が変わる」ことほど、
本好きにとっての幸せはありません。



▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「とにかく面白かったで賞」
『量子革命』

コメント:

これは夢中になって読みました。
物理学(自然科学)というのは、
哲学に影響を与えます。
古くはコペルニクスやガリレオの「地動説」が、
神学や哲学に大きな影響を与えたように。

なぜか?

地動説なら、
「もはやわれわれは宇宙の中心ではないことが分かった」
という事実は、「世界観のアップデート」を、
人類に迫るからです。
相対性理論が、「モダニズム」を作ったと言われています。
(アインシュタイン自身も言っているように、
 本当はこれらは因果関係ではなく、
 相互に影響し合うシンクロニシティなのですが)
どういうことかというと、
相対性理論によってニュートン力学の提供する、
「絶対時間と絶対空間」という世界像が、
刷新を迫られたからです。
それにより、建築、美術、小説、哲学など、
あらゆる部分で「今までの座標軸を相対化するような」
新しい試みが百花繚乱、現れたわけです。
量子論もまた、「世界観の刷新」を迫る理論です。
その世界観はどこまでも「ポストモダン的」だと、
私は感じていて、量子論を理解することは、
現代世界のポストモダン性を理解することに他ならない、
と感じています。

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