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陣内が先週読んだ本  2019年 2月17日〜3月4日

2019.07.25 Thursday

第82号   2019年3月12日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年 2月17日〜3月4日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●睡眠こそ最強の解決策である

読了した日:2019年2月21日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マシュー・ウォーカー
(UCバークレー教授、睡眠コンサルタント、睡眠科学者)
出版年:2018年
出版社:SBクリエイティブ

リンク:
https://goo.gl/vfAv85

▼140文字ブリーフィング:

この本、めちゃくちゃ面白かったです。
この手の「テーマ別ハウツー式のビジネス本」って、
ほとんどなんの役にも立たないことが多いのですが、
この本はそうったものとは一線を画する深い内容でした。

いつか何らかの形で詳しく解説したいぐらい。

まずは導入を紹介します。

→P10〜11 
〈あなたはこの1週間、
自分は充分に眠ったと自信を持って言えるだろうか?
最後に目覚まし時計の助けを借りずに
すっきり起きた日を思い出せるだろうか?

たいていの人は、いずれかの答えが「ノー」になるだろう。
実際のところ、先進国にクラス大人の3分の2が、
健康に良いとされる8時間睡眠を確保できていない。

睡眠時間が6時間か7時間を下回る状態が続くと、
免疫機能が衰え、癌のリスクが2倍にもなる。
それに加えて、睡眠時間はアルツハイマー病を発症するかどうかのカギも握る。
また、心血管病や脳卒中、鬱血性心不全などを発症するリスクが高まる。
 (中略)
以上のことを総合すれば、
睡眠不足は寿命を短くするということも容易に理解出来るだろう。
「眠るのは死んでからだ」という言葉もあるが、
この言葉通りの人生を送っていると、
睡眠不足で生活の質が下がり、
しかも早死にするという皮肉な結果になってしまう。

睡眠不足をゴム紐に喩えるなら、
永遠に引っ張り続けることは出来ず、
いずれ必ずパチンと跳ね返ってくるということだ。

悲しいことに人類は、自分の意思で睡眠時間を削っている唯一の種族だ。
睡眠不足は健康や幸福感に悪い影響を与えるだけでなく、
社会や経済活動の妨げにもなっている。
現に世界保健機関(WHO)が、
睡眠不足は先進国の流行病だと宣言を出したほどだ。〉


、、、トリンプインターナショナルを19年連続増収増益に導いた、
日本の経営者・吉越浩一郎さんは、
現役時代毎日8時間睡眠を自分に課していました。
彼は言います。
「良いリーダーはよく眠るリーダーだ」と。
「寝ないなんて怠惰」なのです。

産業構造の変化により、
「長時間労働」のメリットはどんどん失われ、
「短時間睡眠」のデメリットがどんどん大きくなっています。
アルゴリズム的な仕事の在り方から、
ヒューリスティック的な仕事に、
AI時代にはますますなってくる。

そのときに「寝ていない社員」というのは、
酔っ払って工場に出勤する労働者と同じぐらい、
迷惑な存在になるでしょう。
「健康に良いから寝ましょうね」
みたいなソフトな話しではありません。
「寝るか、寝ないか」が、
日本がこの先世界の中で生き残れるかどうか、
それぐらいの大問題なのです。

じっさい、ランド研究所の調査では、
「睡眠不足による経済損失」で、
日本はGDPの3.1%という高水準で、
ダントツに世界最高です。
GDPの3.1%言うのはちなみに、
一国の教育費、または軍事費の1.5倍です。
それだけの経済損失を「睡眠不足」が出している。
国を挙げて取り組む価値のあることではないでしょうか?

米国企業のなかには、
会社の中に「昼寝ルーム」をつくったり、
連続7時間睡眠以上を一定期間続けたら、
ボーナスを支給するという企業も現れています。

「寝ていない自慢」は時代遅れどころか、
破局的な考え方です。
勤勉な人は寝ずに働くのではありません。
本当に勤勉な人は「勤勉に寝る」のです。

文句なしにオススメの一冊でした。
(1,333文字)



●このゴミは収集できません

読了した日:2019年2月22日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マシンガンズ滝沢秀一
出版年:2018年
出版社:白夜書房

リンク:
https://goo.gl/4x3mi1

▼140文字ブリーフィング:

これもくっそ面白かったです。
マシンガンズというお笑いコンビは、
私も認識していました。
彼らのネタは「ムカつく女子」を、
ぶったぎるという爽快なネタで、
何度かお笑いオンエアバトルなどで観たことがあった。

今、その片方は、
フルタイムでゴミ清掃員をしながら、
お笑い芸人と二足のわらじを履いています。

結婚して娘が生まれ、
家族を養っていくために、
お笑いだけの収入ではやれない、
という切実な理由からゴミ清掃員として「就職」し、
もはや7年目になるという「中堅職員」の域です。
ゴミ清掃の仕事の後に事務所のライブに出る。
そんな生活を7年間続けてきたのです。
尊敬しかありません。

私もいつの日か、
宣教の活動では生活できなくなったら、
ゴミ清掃員でもやるんだろうなぁ、
とこの10年間いつも頭の片隅で考えてきたので、
彼のことを他人とはまったく思えないのです。
「彼は自分自身だ」とすら思います。

娘がお風呂で
「大きくなったら、
 私はゴミ清掃員と何をしよっかなぁ」
と言っていた、という心温まるエピソードが紹介されています。
彼の娘は「大人というのはゴミ清掃員と何か」を、
仕事にするものなのだ、という概念があるのです。
「いい話しだなぁ」と思います。

「将来は国家公務員!安定してるから!」
というクソガキ、、、失礼、お子さんよりも、
将来性は抜群に高いと思います。
じっさい、今の子どもが大人になると、
一人の人が複数の収入手段を持つという、
「マルチジョブ」はデフォルトになってると思いますので。

カラテカの矢部くんの、
「大家さんと僕」という漫画も素晴らしいのですが、
「お笑い芸人×●●」って、最強だと思うんですよね。

どういうことか?

お笑い芸人は「言葉のプロ」です。
その「ワードセンス」の精度とパワー、独創性こそが、
彼らが成功するかどうかを分けます。
なので、彼らは「言語化のプロ」でもあるわけです。

「言語化」と「言語」は違います。
言語化とは、未だ言葉になっていない一次体験を、
言葉という形として立ち上げる作業のことを言います。
「生の一次情報」を、言葉の形態に変換するのが言語化です。

お笑い芸人には「メタ能力」として言語化がある。
これは他のほとんどの職業の人は持っていません。
役人はもちろん持っていないし、
会社員も持っていない。
営業も商品開発も分析家も持っていないし、
学者ですら持っていない。

なぜか?

お笑い芸人のオーディエンスが一般大衆だからです。
その人たちに伝わる言葉で語らないと伝わらない。
役人も技術者も学者も、その業界の中では、
打てば響く「業界用語」を持っていますが、
それを一般大衆に届く形に、
「ポピュラライズ(大衆化)」することには長けていない。

お笑い芸人の最大の武器はそこにあるのです。
芸人が小説家として成功するのは、
だから私に言わせれば当たり前なのです。

成功しないわけがない。

、、、で、
マシンガンズの滝沢さんは、
この言語化能力を「ゴミ処理業」に使った。
これが面白くないはずがないでしょう。

とにかく「読んでくれ!」
としか言えないですが、
「ゴミ処理業界」に、
それをこういう形で言語化出来る人間が現れたというのは、
「福音」でしかありません。
日本社会にとっての福音です。

なぜか。

私たちは市民として、
ゴミ処理業のことをもっと知る必要が絶対にあるからです。
そしてお笑い業界にとって、
ゴミ処理業を知る人間が現れたこともまた「福音」です。
お笑いの文脈でゴミについて語る、
こんな新鮮な切り口がお笑いの地平を広げないはずがない。

「ウィン・ウィンの関係」ですね。
このように、ある人が複数の仕事をすることで、
「業界を越境」し、社会を豊かにしていく、
というのはなんと、リンダ・グラットンが、
「100年時代の人生戦略」で語っていることそのものなのです。

お笑い芸人(や清掃員)を自分より下だと思ってるヤツや、
「お笑いだけで食っていけない」という理由で、
マシンガンズの滝沢さんをバカにしているヤツがもしいるなら、
そいつら一人ひとりの首根っこを掴んで言ってやりたい。

「お前なんて、
 滝沢さんの2周半遅れだ」と。

、、、あれ?

内容について何も話してないよ。
すみません、つい熱くなって我を忘れてしまいました。

本の内容に立ち入りましょう。
この本の前半は彼のツイッターのつぶやきの引用です。
これがまた面白い。
いくつかピックアップします。

→P28 
〈不燃ゴミ回収中に、
子どものおもちゃが良く誤作動で動くのだが、
回転板に呑み込まれていく悲しい歌は聞いていられない。〉

→P31 
〈運転手のリズム感ともう一人の清掃員との相性次第では、
「いつまでも回収し続けられるわ」というゾーンに入ることがある。〉

→P45 
〈ビーズクッションは緊張する。
回転板にまかれて破裂すると、中の細かいビーズが飛び出て、
道路に散らばったそれは回収不可能。業界では爆弾と呼ばれている。〉


、、、面白いでしょ。
こんなつぶやきがたくさん紹介されています。
絵もシュールで楽しい。

あと、お金持ちが住む地域と、
そうでない人(貧乏な人)が住む地域で、
ゴミの性質が違う、というのも面白い。
お金持ちの地域は「アクアクララ」などの、
20リットルぐらいのタンクが捨てられている。
そして、ゴルフクラブやヨガマットなど、
フィットネスグッズも多い。

そうでない地域(貧乏な地域)は、
500mlのペットボトルの水や缶コーヒーなどが捨てられている。
実はこれ、20リットルのタンクよりも「贅沢」です。
単価が高いから。
そして、「ストロングゼロ」の缶チューハイが、
おびただしい量捨てられている。
彼らは「健康に投資する習慣」がないから、
そのストレスを酒やパチンコで発散する。

滝沢清掃員の結論は深いです。

→P103 
〈滝沢清掃員の結論。
 金持ちは気持ちに余裕があるので、
自分に目を向け、自己投資をしている。
その自己投資が小さな消費を抑えているといっても過言ではない。
 そうでない人は、その逆!〉


、、、安物買いの銭失い、
とはよく言ったもので、
お金持ちは「浪費しないだけの経済IQ」を備えているから金持ちであり、
貧乏な人は上手にお金を使う方法を知らないから貧乏なのだ、
という、あまり直視したくない現実が、
「ゴミ」から見えてくるのです。
これもまた、漠然とゴミ処理をしていたのでは分かりません。
芸人という「人間観察のプロ」が清掃員をしたからこそ、
見えてきた現実ですね。

最後の、彼による日本のゴミの量に関する警告は、
もはや「預言者の声」と言って良いでしょう。
引用します。

→P175 
〈ゴミの量が減れば、僕らの仕事が楽になるから、
そうしてくれと言いたいわけではないのでございます。

異常だからです。

調べて見れば、やはりというか、
そりゃそうだろと言うべきか、
一人の人間が一年間に出すゴミの量は日本がダントツ世界一です。
 
ゴミ総発生量こそはアメリカに譲りますが、
日本人が一人一年間、ゴミを出す量は320キロで、
2位のフランスが180キロ。正真正銘ぶっちぎり1位です。
 (中略)
ついでに言うと焼却炉の数も
2位のアメリカ351箇所を大きく上回り、日本が1,243箇所と、
有無を言わせない圧倒的な強さを誇っているのです。〉


、、、日本は明らかにゴミを出し過ぎです。
私は本気で思うのですが、
段ボールとか、プラスティックの包装とか、
そういうのに「包装税」を貸した方が良い、
と思っています。
私が政治家なら「段ボール税」を提案しますね。
あと「パチンコにちゃんと税金(賭博税)を課す」ことも。
多分駅のホームで見知らぬ人に突き落とされて、
私の政治生命は私の生命とともに失われますが笑。

でも本気なのです。

本気と書いてマジです。

じっさい北欧ではそれに似た制度があり、
ゴミの処理量はその製品を作った企業に請求される。
だから企業はゴミを減らすインセンティブがあるわけです。
イケアの家具が簡易包装なのは、
ゴミ処理のコストを企業がもつ、
スウェーデンが本社だからです。

日本で「包装税」をとると、
きっと「段ボール業界」から反対は出るでしょうが、
段ボール業界と地球の寿命を天秤にかけたら、
段ボール業界に泣いてもらうしかない。
彼らは「ゴミを減らすクリエイティブな方法を考える」
という、別の業態にシフトしてもらえば良いのです。
(3,271文字)



●ZERO to ONE ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

読了した日:2019年2月23日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ピーター・ティール
出版年:2014年
出版社:NHK出版

リンク:
https://goo.gl/hLuvqh

▼140文字ブリーフィング:

「ペイパル・マフィア」って、聞いたことありますか?
私は最近まで知らなかったのですが、
『プラットフォーム革命』という本でその存在を知り、
その「マフィアのドン」であるピーター・ティールに興味を持ちました。

ペイパル・マフィアというのはこういうことです。

ペイパル(Pay Pal)は知ってますよね?
知らない人のために説明すると、
「ウェブ上のカード決済を簡単にするためのサービス」で、
世界の様々な企業や団体が今は使っています。
「プラットフォーム企業」の典型例ですね。

、、、で、このペイパルの創業者たちが、
現代世界のビジネス界で、
多大な影響力を持っているので、
こう呼ばれるようになったのが「ペイパル・マフィア」です。
かつて「トキワ荘」に住んでいた若手漫画家たちが、
みな偉大な漫画化になった、みたいな感じに似ています。

テスラ・モーターズ創業者のイーロン・マスクも、
ユーチューブの創業者も、
リンクトインの創業者も、
みんな「ペイパルチーム」の一員だったのです。

引用します。

→P161 
〈僕が創った最初のチームはシリコンバレーで
「ペイパル・マフィア」として知られるようになった。
メンバーの多くがテクノロジー企業の立ち上げに
参画したり投資したりして成功したからだ。

僕達は2002年にペイパルを15億ドルでイーベイに売却した。
それからイーロン・マスクはスペースXを立ち上げ、
テスラ・モーターズの共同創業者となった。
リード・ホフマンはリンクトインを共同で創業、
スティーブ・チェン、チャド・ハーリー、
ジョード・カリムらはユーチューブを立ち上げた。
ジェレミー・ストップルマンとラッセル・シモンズはイェルプを創業。
デビッド・サックスはヤマーを立ち上げ、
僕と友人はパランティアを創業した。
今日、この七つの会社はどれも10億ドル以上の価値を持つ。
 (中略)
こうしてマフィアが集まったのは、
単に履歴書を見て一番優秀な人間を選んだからじゃない。
経歴重視の採用に良し悪しがの両面があることは、
ニューヨークの弁護士事務所で働いたときに実感していた。
 (中略)
僕ははじめから、
ペイパルを単なる取引の場ではなく
固い繋がりのある場所にしようと思っていた。
絆が強いほど、居心地がよく仕事もはかどるし、
ペイパル以降のキャリアも上手く行くと考えたのだ。
そこで、僕達は一緒に働くことを
心から楽しんでくれる人たちを雇うことにした。
才能はもちろん必要だけど、それよりも、
ほかでもない僕達と働くことに興奮してくれる人を採用した。
それがペイパル・マフィアの始まりだった。〉


、、、ペイパル・マフィアが能力によってではなく、
絆によって作られた、というのは非常に面白いですね。
IQが高い順番に採用していったわけでも、
有能そうな人を片っ端から集めたわけでもない。
「一緒に働いて面白そうなヤツら」を集めた。
そうしたら20年後、
そのチームの一人ひとりが、
各分野で成功していった。

これは、現代世界の「経済」の構造と関係があります。
ティールは言います。
社会に価値を加えるのは、
ごく近い未来しか考えない「調整型の官僚主義」ではなく、
遠い未来を考えるが独裁的な創業者だと。
「ゼロトゥワン」・・・つまり0に1を加える人が、
社会に価値を加えるのだと。

1を100にするのと、
0に1を加えるのは、
本質的に異なる知的作業です。
初期のペイパルにあったのは、
そういった「わくわくするような挑戦心」という文化でした。

良く、日本は1を100にするのが上手い、
と言われます。
「経済で起きていることはこうだ。
 アメリカ人が発明し、
 日本人がそれを小型化・高性能化し、
 中国人がそれをコピー・低価格化する」
というジョークがあるように、
日本人の能力は「1→100」に強い。
しかし、本当に社会に富をもたらすのは、
0→1なのだ、といのがティールの言いたいことです。
そして、それをした人が「勝者総取りする」
のが今の世の中なのだ、と。
Apple、Amazon、Facebook、Googleの企業価値を考えれば自明です。

ティールの経験が物語るように、
「官僚的な頭の良さ」、
あるいは「偏差値秀才的な頭脳」は、
1→100には向いていますが、
0→1には向いていません。

日本経済の「失われた30年」は、
実はこれで説明できるのではないかと、
私なんかは思うぐらいです。

では、「0→1」が出来る頭脳(人材)とはどんなものか?
そのヒントとなるティールの言葉が、
この本にはちりばめられていますので、
いくつか引用します。

→P22 
〈採用面接で必ず訊く質問がある。
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何だろう」〉

→P220 
〈本当に社会のためになるのは、
これまでと「違う」ものだ。
それが新たな市場の独占を可能にし、企業に利益をもたらす。
最良のビジネスは見過ごされがちで、
たいていは大勢の人が手放しで賞賛するようなものじゃない。
誰も解決しようと思わないような問題こそ、
いちばん取り組む価値がある。〉


、、、何かアイディアをあなたが、
会社なり教会なりグループで提案したとして、
「猛反対を受けない」ようなアイディアというのは、
それだけで「駄目なアイディア」だとティールは言います。

本当にクリエイティブなアイディアというのは、
周りのほとんどの人が反対するか、
もしくは無視するようなものだ、と。

この本はティールがスタンフォード大学で行った、
連続講義を書籍化したものです。
「社会に価値を加えるのは、
 上司や親や先生が誉めたたえるようなことじゃない。
 誰もが眉をしかめ、首をかしげ、
 理解せず、猛反発するようなことだ。
 本当にイノベーティブなことというのはそういうことなんだ。
 君たちは、それになれ!」
というこれからの若者たちへのティールのメッセージには、
胸が熱くなります。
(2,307文字)



●帰ってきたヒトラー(下)

読了した日:2019年2月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ティムール・ヴェルメシュ
出版年:2014年
出版社:河出書房新社

リンク:
https://goo.gl/689Hce

▼140文字ブリーフィング:

この小説原作の映画を観たことで興味を持ちました。
ヘーゲルの言葉を引用したマルクスの言葉に、
「歴史は繰り返す。
一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。」
というのがありますが、
この小説はまさにそれを地で行く筋書きです。
自殺したヒトラーが現代世界に蘇り、
人々は彼をモノマネ芸人と勘違いし、
彼は次第にSNSのヒーローになっていき、、、
という「悪い冗談」のような筋書きは、
まさにマルクスの言葉そのものです。

「訳者あとがき」が良かったのでご紹介します。

→P255〜256 
〈ヒトラー礼賛が禁止されている中、
この本が出版可能になったのは、
ヒトラーを戯画化した風刺小説だからだ。

とはいえ、
「政治的にあまりにナイーヴ」と評した〈南ドイツ新聞〉をはじめ、
批判ももちろんあった。
とりわけ問題視されたのは、
ヒトラーが悪者としてではなく人間的な、
敢えて言えば魅力ある人物として描かれている点だろう。
だがこれは、著者のティムール・ヴェルメシュが
まさにこの小説で狙ったことだ。

ヴェルメシュは、〈南ドイツ新聞〉のインタビューで次のように語っている。
「ヒトラーに関するこれまでの説明や
アプローチや視点はどれもみな同じだった。
そして人々の多くは自分の精神衛生のため、
彼を一種の怪物として解釈してきた。
(中略)
だがそこには、人間アドルフ・ヒトラーに
人を引きつける力が明らかにあったという視点が欠けている。
(中略)
人々は、気の狂った男を選んだりしない。
人々は、自分にとって魅力的に見えたり
素晴らしいと思えたりする人物をこそ選ぶはずだ。」
ヒトラーを怪物に仕立てるだけでは、
何故あのような恐るべき出来事が起きたかの真の理由は分からない、
というのがヴェルメシュの見方だ。
だから彼はヒトラーを人間的に、魅力的に描く。
それは非常に成功していて、
読者は著者の目論見通り物語のヒトラーに共感し、
ヒトラーと共に笑い、そしてふと我に返って当惑する。
私がまさにそうだった。
これはたしかに、危険すれすれの手法かもしれない。〉
(830文字)



●ししりばの家

読了した日:2019年2月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:澤村伊智
出版年:2017年
出版社:角川書店

リンク:
https://goo.gl/AX5nxq

▼140文字ブリーフィング:

前回の「読んだ本」コーナーで語った、
ホラー作家の澤村伊智さん。
短期間に長編三冊を一気に読みました。
怖い&面白いです。
(58文字)



●キリスト教と近代の迷宮

読了した日:2019年3月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:稲垣久和、大澤真幸共著
出版年:2018年
出版社:春秋社

リンク:
https://goo.gl/vkj47R

▼140文字ブリーフィング:

練馬グレースチャペルの横田牧師が読んでいて、
面白そうだと思って手に取りました。
神学校でも教えている稲垣先生の本は、
これまでも読んだことがあり、
大澤さんも橋爪大三郎さんとの対談本で知っていましたが、
二人の対談というのは新鮮、と思い。
あと、タイトルが面白そうだと思って。

ただ、この本は対談の語りおこしなので、
タイトルの内容を体系的に語るというよりも、
本当に二人の雑談的で、期待したようなものではありませんでした。

じゃあつまらなかったのかというとそうではない。
面白い二人が話し合うのだから、
そりゃ面白いですよ。

「実在論」に関する二人の議論が面白かったです。

稲垣氏が「自分は素朴実在論ではなく批判的実在論に立つ」と言い、
大澤さんはそれを受けて、
メイヤスーの「思弁的実在論」を引き合いに出し、
それは物理学の「マルチバース論」とも愛称が良い、と返す。
長くなるので、解説は割愛します!
(388文字)



●未来

読了した日:2019年3月3日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:湊かなえ
出版年:2018年
出版社:双葉社

リンク:
https://goo.gl/ujJiFZ

▼140文字ブリーフィング:

湊かなえの本はときどき読みたくなるんですよね。
映画化されたデビュー作「告白」から10年、
渾身の書き下ろし!
という帯に惹かれて手に取りました。
もちろん面白かったです。
湊かなえは作家になる前学校教師だったのですが、
今も「教師なんだなぁ」というのがよく分かります。
(129文字)



●読者ハ読ムナ(笑)

読了した日:2019年3月4日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:藤田和日郎(かずひろ)、飯田一史
出版年:2016年
出版社:小学館

リンク:
https://goo.gl/SFCYLi

▼140文字ブリーフィング:

藤田和日郎さんは「うしおととら」という漫画の作者です。
彼のアシスタントをした新人漫画家の多くが、
連載を勝ち取り漫画家として成功していくので、
彼の仕事場は漫画家界隈で「虎の穴」として知られているそうです。
先ほどの「トキワ荘」とか「ペイパル・マフィア」みたいな感じですね。

それはなぜなのか?

というのを藤田和日郎さんが「講義」してくれます。
つまり、読者は架空の新人アシスタントとして、
藤田さんの仕事場に「はじめまして」と入ってきた人を、
疑似体験できるつくりになっている。

藤田さんは新人アシスタントである読者(われわれ)に、
この仕事場でのルールや、
新人が編集者にネームを持っていくときの心構え、
編集者にダメだしをされたときの受け取り方、
読者に響く漫画を描くとはなにか?
オリジナリティとは?
、、、
みたいなことを懇切丁寧に、
しかし優しく厳しく、
説明してくれます。

結論から言うと、
藤田さんが言っていることは非常に普遍的なことです。
漫画家だけの話ではない。
「新人社会人」が身に着けるべき、
社会に対する態度を、
しっかり身に着ける「システム」が、
藤田氏の職場にはあるのだと分かります。
「あぁ、こりゃここで働いた人は成功するわな」
と私は思いました。

それはどんなことなのか?
「挨拶をする。
 人の話を良く聞く。
 自分を過信しない。
 相手の立場に立って考える。
 過剰な自意識を抑え、
 相手ならばどう思うか、
 ということをいつも考える。
 地道に自分の良いところを磨く。
 自分の感性だけを頼りにするのでなく、
 広くインプットを続ける。
 勉強をやめない。」
そういうことです。

上記のことが出来る人は、
どんな分野でも社会人として成功するでしょう。
漫画家でなくても「新人社会人の教科書」として良いテキストです。
(725文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:睡眠こそは最強の解決策である

コメント:

この本は万人に「強くオススメ」できます。
今まで睡眠関係の本はけっこうな数読んできましたが、
これはベスト1でしたね。
文句なしに素晴らしいです!
あんまりこういった実用書ではやらないのですが、
いつか「本のカフェ・ラテ」で紹介するかも。



▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「芸人×●●賞」
『このゴミは収集できません』

コメント:

こちらも自信をもってオススメできます。
漫画読むみたいに読めるので、
普段本を読まない人も楽しめます。
しかも実は「深い」。
「情報を脳内ぐるぐる」ではなく、
現場から出てきた「本当の声」には、
人を動かす力があります。

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