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陣内が先週読んだ本 2019年5月9〜25日 『命のビザを繋いだ男』他

2019.10.29 Tuesday

第93号   2019年5月28日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年5月9日〜25日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●クォンタム・ファミリーズ

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀
出版年:2009年
出版社:河出書房

リンク:
https://bre.is/ys01hHfex

▼140文字ブリーフィング:

作家・思想家の東浩紀さんが、
2009年に書いたSF小説です。

彼の生き方に私はとても惹かれています。
「キリスト教界の○○」みたいな言い方ってあります。
この言い方を私はあんまり好きじゃないんですが笑、
敢えてこのカテゴライズに従いますと、
私の場合、目指しているのは、
「キリスト教会の東浩紀」
「キリスト教会の佐藤優」
このあたりだと思います。

東浩紀も佐藤優も、
読書層にしか知られていない、
世間的には「マイナーな有名人」ですから、
キリスト教=社会のなかでマイナー、
東浩紀=有名人としてマイナー、
という、「マイナー×マイナー」の掛け算なので、
私の活動はその天性からしてマイナーなのです笑。

佐藤優氏のことは今日は置いておくとして、
東浩紀はしかし、
凄い人だと私は思っていて、
個人的に「私淑」しています。
勝手に尊敬し、勝手にロールモデルのように考えている、
という意味です。

彼は東京大学大学院生時代に、
「動物化するポストモダン」という本を書き、
それが論壇に受け入れられ評価され、
「批評家・文筆家」としてのキャリアをスタートします。
その後大学で教えたり、論壇で活躍したり、、、
という時期を過ごした後、
「たこつぼ社会的な論壇・哲学会」という状況に、
可能性を感じられなくなります。

彼は大学の仕事や、哲学「業界」、
論壇「業界」との関係から足を洗い、
「起業」します。
彼は中小企業の社長になったのです。
それが「株式会社ゲンロン」という、
五反田に本社を構える会社で、
この活動をかれこれ10年近くしています。

「ゲンロン」の活動は、
「ゲンロンカフェ」という有料の討論会の主催、
本の出版、定期購読雑誌の刊行、
ゲンロンカフェの動画の有料配信、
各地でのゲンロン関係のイベント、
アートワークショップ、
チェルノブイリや福島へのツアーなど、
多岐にわたります。

なぜ彼についてこんなに詳しいのか?
端的に言って、私は彼の「ファン」なのです。

なんていうのかな。

彼は
「アリストテレスであることをやめて、
ソクラテスになることを選んだ人」
という風に私には見えるからです。

「トマス・アクィナスであることをやめて、
 パウロであることを選んだ人」
といっても良い。

あ、日本だとあれだ。
「親鸞」ですよ。

つまり、「象牙の塔」としての哲学会とか、
論壇を背にして、
「在野の思想家・哲学者」として、
民衆と共に苦しむことを選んだ人なのです。
そういう実践にしかこの世の中を変えられない、
という直観に従って。
そして、その直観はおそらく正しい。

「哲学会」「神学界」「キリスト教界」、
「何かしらの学会」「職能集団」、
こういったシェルターに引きこもると、
その人の思考は「たこつぼ化」します。

たこつぼ化とは思想家の丸山眞男が広めた概念で、
「その業界のローカルルールに引きこもる現象」を言います。
私はかれこれ10年ほどこのことについて考えてきました。

最近気づいたことが二つぐらいあります。
これを「日本社会の現象」と考えると見誤るということ。
英語で、「サイロ・エフェクト」という言葉があり、
たこつぼ化とほぼ同じ現象を指します。
そういった言葉が英語圏にもあるということは、
おそらく世界に普遍的な現象です。

もうひとつは、「たこつぼ化」の「ありか」です。
「たこつぼ」や「サイロ」はどこに存在するのか?
それは社会や集団の中にではなく、
「脳内」にある、というのが、
私の最近の思考的アップデートです。

つまり、その社会のなかに、
「見えない空気」のようなものが働き、
それが集団をたこつぼたらしめている、
という世界像そのものが、
「非常に日本的」なのです。

そうじゃない。

「たこつぼ化」とは端的に、
「思考パターン」のことだと整理すると、
私は問題がすっきりするのではないかと最近は思っています。

なので、「学会にいながら、たこつぼ化していない人」がおり、
分野横断的に活動しているはずなのに、
思考法が、たこつぼっぽい人がいる。

東浩紀は「文壇」というたこつぼを飛び出し、
「たこつぼ化する日本」に、
風穴を空けたいのだと私は理解しています。
そして言いたいのだと。
「思想とか哲学の本来の役割って、
 つまりはこういうことでしょ。」って。

めちゃくちゃカッコいい。
だからこそ、
彼はガンダムやエヴァンゲリオンを論じたり、
戦後日本社会を論じたり、
カントやフランス文学を論じたり、
そして小説を書いたりします。

彼の知性は縦横無尽に飛び回ります。
それは彼が半端ではない思考の燃料、
つまり骨肉となった知識を持っているからです。

めちゃカッコいい。
私がしたいと思っていることはそういうことです。
彼の100分の1にも達していませんが。

この小説、実は三島由紀夫賞を受賞してるんですよね。
東浩紀がどんな小説を書くのか、
私は興味がありました。
「思想的な人間が文学的なものを書くとどうなるのか?」
を知りたかった。

告白しますと、
私もいつか小説書くかも、
と、10%ぐらい思っていて、
その予備勉強のために読んだのです。

、、、で、この小説については?

文字数がなくなったので割愛します笑。
量子論の世界に、
「マルチバース」っていう考え方があるんですよね。
「シュレーティンガーの猫」とかの延長線上にある話しです。
「ユニ=唯一の」「バース=領域・宇宙」というのが、
ユニバース、つまり宇宙なのですが、
「マルチ=多数」の「バース=宇宙」
というのがマルチバースの考え方です。

「私たちの宇宙は、
 無数の『あり得たかもしれない宇宙』の、
 可能性のひとつに過ぎないのではないか」
と言う仮説です。
「地球が存在することは奇跡」
というのは天体学者のだれもが同意するのですが、
実は何兆個という、
「地球が存在しない宇宙」が、
我々の知覚できないかたちで存在していて、
私たちはたまたま「奇跡の宇宙」にいるだけなのではないか?
この考え方は「人間原理」という有名な思想とも親和性が高い。

これ、トンデモ学説とかじゃなくて、
物理学の世界では真面目に論じられています。
現代の物理学はますますSFに近づいているのです。

東浩紀はこの、
「マルチバース」の考え方を下敷きにしたSFの物語に、
デリタだとかドストエフスキーの思想・哲学を載せる、
という高度なことをしています。

私は村上春樹の、
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を、
東浩紀が書くとこうなる、
という話しとして読みました。
(2,433文字)



●英語を子どもに教えるな

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:市川力
出版年:2004年
出版社:中公新書ラクレ

リンク:
https://bre.is/uKdn-qfOK

▼140文字ブリーフィング:

先日、メルマガ読者で友人の山田風音くんと、
愛知県で会ったときに教えてもらいました。
めちゃ面白い本でした。

「我が子に英語を話してほしい」と、
多くの親が思います。

グローバル化する世界で、
「英語を話せる」というのは、
麻雀で言うと(麻雀でいうのか!)、
ドラが一つ乗っかっている、
あるいは役がひとつ揃ってるみたいな感じです。
あ、やっぱ分かりづらかった笑。
トランプでいうと、
ジョーカーが手札にある感じです。
こっちのほうがいいね笑。

、、、私は断定調でそう書きましたが、
「果たしてそうなのか?」というのは、
私も思うわけです。

私自身が幼少期の一時期をアメリカで過ごし、
高校でかなり英語を頑張り(←これ重要)、
大学では留学生とめっちゃ時間を過ごしたのもありますが、
まぁとにかく、英語を話せるわけです。
なので「オマエに言われても説得力に欠く」と言われれば、
言い返す言葉もないのですが、
「英語が話せること」って、
そこまで大切なことだろうか?
というのは思うわけですよ。

「正確な日本語が話せる」
ことのほうがよほど大切だと、
それでも私は思うわけです。

「マジ」「うざい」「ヤバい」「きもい」
といった、だいたい10語ぐらいのボキャブラリーで、
日常を送っている人間というのは、
「日本語すらマスターしていない」
と思います。
そのような人が英語を学ぶ、
あるいは子どもに英語を身につけさせようとする、
というのは、
「もっと先にやることがあるんじゃないの?」
とか思うんですよね。

なんていうのかな。

パンツとズボン履いてない人が、
ネクタイの柄で悩んでるみたいな話で、
「まずパンツだろ」と笑。

まずはチンコをしまってから、
ネクタイにこだわろうぜ、っていうね。
「チンコ」ってメルマガに書く日が来るとは、
思ってませんでしたが笑。

、、、で、本書の著者は、
90年代に日本からアメリカにビジネスで来た家族の、
子どもたちのための「学習塾」で教えていた人です。
親たちは「せっかく幼少期をアメリカで過ごすのだから、
バイリンガルに育てなきゃ損」みたいな感覚で、
子どもたちを必死でバイリンガルにしようとしたそうです。

そのような多くの子どもたちを彼は、
10年とか20年という単位で観察し、
気づいたのです。
「小さいうちに英語を身につけさせようとすることが、
かならずしも子どもたちを幸せにしていない」と。
じっさい、親たちの期待に応えようとした結果、
「日本語も英語も中途半端にしか使いこなせず、
 変なプライドだけを身に着けて日本に帰った結果、
 引きこもりになり、拒食症になり、
 自殺までしてしまう」というような子どももいました。

自殺は極端にしても、
「子どもに英語をぶち込む」
という親のエゴが、
必ずしも子どもを幸せにしない、
ということを著者は経験的に確信するようになります。

論点がいくつかあるのですが、
代表的なところをピックアップしてご紹介します。

→P91 
〈「せっかくアメリカに来たのだから、
子どもに英語を身につけさせないで帰るのはもったいない」
と安易に発言する親が多かった。

しかし、それは、大人の自分勝手な発想に過ぎない。

英語を身につけながら、
日本語を維持することは並大抵のことではない。
比較的低年齢からアメリカに来ているのに
英語力の伸びが芳しくない場合や、
日本でもあまり読書習慣がなく、
豊かな日本語体験があったとは言えない場合、
英語も日本語も両方ともセミリンガル状態になる可能性が高いので、
まずは母語である日本語の力を養う指導に重点を置くべきだろう。〉


、、、「セミリンガル」というのは、
日常会話は出来るが、
論理的に話しをしたり、
本を読んでその内容を理解する、
といった言語能力にまで到達していない状態です。
英語と日本語の両方を子どもに同時にマスターさせようとするのは、
あきらかに「オーバーロード」で、
子どもの脳は「中途半端な英語」と、
「中途半端な日本語」だけを身に着け、
結果的にどちらも「使い物にならない」という風になる。

例外的に見事なバイリンガルになった子どもたちには、
共通する特徴があったそうです。
まず、その子どもと家庭に、
日本語で本を読む読書習慣があったこと。
そして親が子どもに、
本を読み聞かせる習慣があったことだそうです。

彼らの「日本語能力の足腰の強さ」が、
英語を習得する際にもプラスに働き、
バイリンガルになることに成功したのだろう、
と著者は予測しています。

いずれにしても、
「まずは日本語」なのです。
パンツが先なのです。

、、、そもそも、
なぜ親たちはそんなにも、
子どもに英語を話してほしいのか?
「国際人になってほしい」というのが理由ではないでしょうか?
もっと卑近に、「就職や就学に有利に働き、
将来高額な報酬をもらえる仕事に就ける」
と考える親もいるかもしれませんが、
いずれにせよやることは同じです。
日本語を第一言語としない人々と、
「意思疎通」出来る能力を獲得する、
という意味では両者は同じことを要求します。

ではどうすれば、
英語話者と英語で意思疎通できるか?
実はそのために必要なのは、
「発音が良いこと」ではなく、
「話している内容が良いこと」のほうです。
つまり論理力と、自分の考えをしっかり持つこと、
それを他者に伝達できる表現力のほうが大切なのです。

引用します。

→P112〜113 
〈いい発音で定型句を並べていけば、
非常に高度な英語力を持っているように見える。
その意味でいくら「ぺらぺら」になったとしても、
人間性と知識が「ぺらぺら」ならば、
国際社会でまったく相手にされないだろう。
まずは、外国人に伝えたいアイデアや意見を持つことが何よりも大事である。
それがないから話せないのであり、
英語力だけのせいにして妙なコンプレックスにこりかたまっているのは、
まったくの筋違いであることに気づかなければならない。
英語ぺらぺら幻想から目覚めることが、
今いちばん英語教育において必要なことなのかもしれない。〉


、、、実は英語以上に普遍的な科目は数学です。
全世界共通ですから。
これには深い理由があります。
数学というのは「論理学」なのです。

AゆえにB
BゆえにCならば、
AゆえにC、
といったような「ロジック(論理)」
を操作することが出来ることが、
良い発音で話すことよりも大事です。

たどたどしかったとしても、
「あなたが今言ったことと、
 この情報をつなげると、
 こういう結論になるのでは??」
というように論理的な話しを出来ることの方が、
「国際人」には必要な条件なのです。

最後に著者は、
「親のわがままな願望を子どもに投影するな」
という警句を発します。

→P98 
〈子どもに対する親の期待が、
親自身の「わがままな願望」を
実現させようとするものであったとき、
それは子どもにとって、過度で、
不当に期待になると言えるだろう。

親が子どもに英語を学ばせたいと思う動機が、
自分は英語で苦労したので、
我が子にはこの思いをさせたくないということであったり、
有名校に進学し、一流企業に就職するためには
英語が武器になるということであったりした場合は、
「子どものため」という理由を隠れ蓑にして、
実は親が自分のわがままな願望を子どもに託しているに過ぎない。

また、我が子を、他の子と比較して、
優れている子どもに育てることで、
自分の競争心を満足させたいという気持ちの延長線上に、
英語が出来る子どもにするという目標があるならば、
子どもは親の期待の犠牲者になる可能性が高いだろう。〉


→P99〜100 
〈我が子を思う気持ちの強さが、
気づかぬうちに親自身の自己愛を
満足させることにつながりやすいことを、
親は常に意識していなければならない。
子どもに対する親の期待には、
子どもを追い込む危険な罠が隠れている。〉


、、、子どもにとっての最大のリスクファクターは、
放射能でもスマホでもPM2.5でもありません。
それは「親」です。
親である自分自身が子どもを害していないか?
これが一番たいせつなことだと、
私は自分に言い聞かせています。
子育てって「何をするか」と同じかそれ以上に、
「何をしないか」が大事だと思います。
(3,252文字)



●シャーデンフロイデ

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・H・スミス
出版年:2018年
出版社:勁草書房

リンク:
https://bre.is/35fQOPmw7

▼140文字ブリーフィング:

早くも文字数がヤバくなってきたので、
ここからは駆け足で行きましょう。

中野信子さんが、
同じタイトルで新書を書いていますが、
こちらはその「元ネタ」のような本で、
学術的な知識に基づく緻密な本です。

「シャーデンフロイデ」とはドイツ語で、
「シャーデン=毒・損害」「フロイデ=喜び」
という意味なので、
「他者の不幸を見たときに沸き上がる喜び」
というような意味になります。

現代社会を理解する上でシャーデンフロイデは、
重要な補助線となります。
週刊誌の不倫報道や、
不正を犯した人物をとことん糾弾する「ネット自警団」など、
現代社会には「シャーデンフロイデ」で説明できる現象が、
非常に多く見られます。

自分が不幸なとき、
頑張って幸せになろう、
という方に行くのでなく、
他者が自分と同じく不幸になるのを見て、
溜飲を下げる、という心理的な力学ですね。

これに絡め取られないことが、
現代社会において非常に大切です。

→P177 
〈ダンテの神曲(煉獄篇)では、
妬み深い者の両目が針金で縫い付けられているが、
この描写は相応しいものであるように見える。
というのも、ラテン語のin「〜の上で」+videre「見る」が、
envy(妬み)の語源だからだ。
妬む人たちは有利な他者に悪意を抱きながら、
邪眼を向けている
――「そして、他者に不幸が降りかかると嬉しそうに眺める」。〉


、、、私たちは他者を「上から見る」のです。
FacebookやInstagramやネットニュースや匿名サイトで。
そして、「不幸が降りかかると嬉しそうに眺める」。
ダンテの神曲ではこの人たちは、
両目を針金で縫い付けられました。

現代人の多くもそれに一歩近づいています。
では、私たちはどうすればシャーデンフロイデから自由になるのか?
それには私たちに潜むいくつかの、
「心理バイアス」を理解し、
それに対処する必要があるのですが、
今日はそこまで説明する時間(文字数)がありません。
あしからず。
(798文字)



●逆転力

読了した日:2019年5月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:指原莉乃
出版年:2014年
出版社:講談社MOOK

リンク:
https://bre.is/eoK6QktJWn

▼140文字ブリーフィング:

AKB48の指原さんの本です。
どちらかというと、
指原は嫌いなのですが笑、
彼女が頭が良いのは間違いありません。
「天才」と言っても良いかもしれない。

「地頭が良い」という言葉がありますが、
彼女こそその権化のような存在です。
本書を読んでそれを深く確信しました。
読むと分かりますが、
クソほど頭良いです、この人。
私の100倍ぐらい頭がキレるんじゃないでしょうか笑。
マジで。

ただね。

注意が必要です。

「自信を失ってるみんな、
 私を見てください!
 こんなに可愛くもないし、
 特別な才能もない指原でもできたんだから、
 みんなもできるって夢を見てほしい」
というのが彼女が言っていることですし、
秋元康もその「ストーリー」を商品化しているわけですが、
この商品には劇物が混ざっています。
「猛毒入りまんじゅう」なのです。

どういうことか?

本書で一番多様される言葉は、
「自分はズルい」「自分は打算的だ」
「自分は計算高い」「自分が幸せなのが一番大事」
「死にたくない」「真正面から勝負しない」というような、
「エゴイスト宣言」「自己愛宣言」です。
彼女は「自己愛世代」の日本代表なのです。

まぁ、「こういう人が成功する社会」だ、
というのもよく分かるし、
彼女の在り方は、
現在の20代以下の世代の空気を良く表しています。

ただ、ここからが問題です。

彼女は明らかに天賦の才能に恵まれ、
天才的に頭が良いから良い方に転んだのであって、、、、
という留保が必要なのです。
「本物の凡人=つまり人口の99%」が、
彼女の哲学を内面化して実践したら、
完全に無視されるか、
社会に迷惑をかけるか、
大事故を起こします。

「自分を凡人に見せる」
ということを含め、
彼女は天才なのですから。
彼女は猫の着ぐるみをかぶった、
サーベルタイガーなのです。

騙されてはいけません。

それはさておき、
予見される未来において、
「日本初の女性総理大臣」になるとしたら、
それは指原だと思います。
まぁ、私は好きじゃないけど笑。
(620文字)



●えんとつ町のプペル

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:にしのあきひろ
出版年:2016年
出版社:幻冬舎

リンク:
https://bre.is/Oa4B_BJX7

▼140文字ブリーフィング:

ひとつ罪を告白しますと笑、
インドにいる間、
Kindleで本を買って読んでいくうちに、
変な袋小路に迷い込んでしまい、
キングコングの西野亮廣の自己啓発書を、
買って読みました。

そのタイトルも「新世界」。
その本の中で彼がめちゃくちゃ「あおる」ので、
彼の絵本がどんなもんかと思って、
つい手に取ってしまいました。
罪に罪を重ねてしまいました笑。

、、、読んでどうだったか?

ノーコメントでお願いしたいところですが、
まぁ、端的にいって、
中二病が爆発してましたよ、そりゃ。
彼の中二病は凄いです。
「職業・中二病」ですから笑。
それで立身しているのですから、
それはそれで立派なものです。
(279文字)



●誰もが嘘をついている

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:セス・スティーヴンス=ダヴィッドウィッツ
出版年:2018年
出版社:光文社

リンク:
https://bre.is/n4OVfvKCd

▼140文字ブリーフィング:

これはめちゃくちゃ面白かったです。
人間心理を広域に調べる場合、
現代の学問体系ですと、
社会学ではアンケートを用い、
心理学では学生による実験を用います。

ところが、
「第三の情報ソース」として、
著者は「グーグル検索バー」のビッグデータが、
それになるのではないか、と「予言」します。
当初学者たちは彼の主張を相手にしていませんが、
もはや無視できないところまで来ています。

たとえばインフルエンザの流行を、
予測したりモニタリングするのに、
米国でも日本でも手法は同じです。
医者が患者を診断します。
医者は特定の流行性疾患について、
保健所などの政府機関に報告が義務づけられています。
ところが発症→診断→報告→集計→発表、
というプロセスには、一週間から10日間のタイムラグができます。
「流行の予兆」から「流行の発表」まで、
いかにも官僚的な理由で、
かなりのタイムラグがあるわけです。

ところが、もう一つの感染予測ルートが、
現在真剣に検討されています。
ある町である日のグーグル検索バーに打ち込まれる、
「高熱」
「節々の痛み」
「筋肉痛」
「喉の腫れ」
「倦怠感」
などの検索ワードが跳ね上がったら、
それはかなりの高確率でインフルエンザの流行を示唆するのです。
しかも、役所よりも7日間も早く予測できる。

もちろん、
グーグルのプライバシーポリシーの問題や、
これによる発表が始まったときに、
その事実が検索項目に影響を及ぼすという、
「量子論的問題」など、
様々なクリアすべき課題はあるのですが、
あるトピックについては、
実験やアンケートよりも、
Google検索バーの情報のほうが、
正確に社会の実態を把握する情報源である、
ということは間違いなさそうです。

著者は検索バーは、
現代の告解室(カトリック教会の懺悔を行う場所)だ、
と指摘しています。

→P131 
〈ここでちょっと
「子どもを持ったことを後悔している」
などと検索することの意味を考えてみよう。
グーグル自体は情報を調べる手段として存在している。
天気予報や昨晩の試合結果、
自由の女神はいつ建てられたかなどだ。
だが時に人は、
たいして期待もせずに赤裸々な思いを検索ボックスに打ち込む。
この場合、検索ボックスはいわば告解の場だ。〉


、、、現代人は、
最愛の人や神父の前ではなく、
検索バーの前で、
最も正直になるのです。

2016年のアメリカ大統領選挙において、
メディアのほとんどは、
「ヒラリー圧倒的有利」を予測しました。
直前の電話予測調査でもそれは変わらなかった。

しかし、蓋を開けてみると、
トランプが勝った。
人々は電話調査で嘘をついていたのです。
「有権者の子どもへの調査」は、
これまでの大統領選では、
かなりの精度で当選者を予測する、
と知られていましたが、
それすらも裏切られました。
子どもたちは親たちのヒラリー支持を予測しましたが、
結果は逆になった。

親たちは子どもたちにすら嘘をついていたのです。

では、人々は正直に告白したのはどこか?
そうです。
検索バーです。

引用します。

→P25〜26 
〈予備選の初期、ネイト・シルバーは、
トランプが勝つ見込みはないに等しいと宣言した。
予備選が進み、
トランプが広範な支持を集めていることが明らかになるにつれて、
シルバーは何が起きているのかデータで検証することにした。
いったいどうしてトランプはこんなに快調なのか?

その結果、トランプが最も優位な地域をつなぎ合わせると、
奇妙な地図が出来ることが分かった。
北東部、中西部工業地帯、そして南部で勢いがあり、
西部では不振を極めていたのだ。
シルバーはこの勢力図を説明できる変数を探した。

失業率か?
宗教か?
銃所有率か?
移民率か?
反オバマ率か?

そしてシルバーは、
共和党候補予備選挙で
ドナルド・トランプの支持に最も相関性の高いある要因を見出した。
それは私が4年前に見出した判断の手がかりだった。
トランプ支持が最も強かった地域は、
「ニガー」という語を最も良く検索していた地域だったのだ。〉


、、、ニガーというのは、
黒人への蔑称です。
「クソ黒人」と検索した人が多い地域と、
トランプ支持との相関性が、
宗教、銃所持率、移民率、失業率、、、
などよりも正確な「トランプ予測変数」だったのです。

背筋の凍る話しです。

今後もグーグルのビッグデータは、
人類の動向を分析・予測する上で、
かつてないような規模の情報を与えてくれるでしょう。
社会学の概念が変わるかもしれないような変化の予兆が、
すぐそこまで迫っています。
(1,812文字)



●戦争する国の道徳

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀、宮台真司、小林よしのり
出版年:2015年
出版社:幻冬舎新書

リンク:
https://bre.is/VB8rd6Y-H

▼140文字ブリーフィング:

先ほど紹介した、東浩紀の「ゲンロンカフェ」で、
2015年3月14日に行われた鼎談の文字おこしです。
3人が沖縄の基地問題、福島の復興、日本の未来について語ります。
面白かったですが文字数の関係で泣く泣く割愛!

東浩紀が「回し役」なので、
最も発言機会も少なく話しも短いが、
彼が最も頭が良いというのが文字興しすると分かります。
宮台真司は衒学的でちょっと、、、。
もちろんそれはそれで圧倒されるわけなのですが、、。
(199文字)



●文藝春秋 2019年6月号 村上春樹「猫を捨てる」

読了した日:2019年5月24日
読んだ方法:駅の売店で購入(1000円)

著者:村上春樹
出版年:2019年
出版社:文藝春秋

リンク:
https://bre.is/kwdR44Vf_

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹氏が書き下ろした、
お父さんとの和解の話し。
めちゃくちゃ興味があったので、
「文藝春秋」の雑誌を初めて駅で購入しました。
心がじんわり温まる、良い文章でした。
これも文字数の関係で割愛(泣)!
(96文字)



●命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民

読了した日:2019年5月25日
読んだ方法:義理の父から借りる

著者:山田純大
出版年:2013年
出版社:NHK出版

リンク:
https://bre.is/QJ2gCcIgm

▼140文字ブリーフィング:

ペース配分をまちがえました(爆死)。
本当がこの本が一番解説したいのですが、
文字数が足りないので簡単に説明します。

杉原千畝の「命のビザ」は、
今では多くの人が知っていますが、
命のビザでリトアニアから日本に逃げてきた難民たちが、
アメリカに行くために「中継」した人物の存在は、
これまで知られていませんでした。

本書の著者・山田純大さんはなんと俳優さんで、
歌手の杉良太郎の子どもらしいです。
彼は子ども時代をハワイで過ごしたそうで、
小辻節三という人の存在を知ったことから興味が湧き、
綿密な調査をして、
「日本にこういう人間がいたことを、
 日本人に知ってほしい」
という一心でこの本を書き上げました。

小辻節三という人について引用します。

→P9 
〈杉原(千畝)が発給したビザは
あくまでも日本を通過することを許可するビザであり、
彼らに許された日本での滞在日数は多くても十日ほどであった。

たった十日間で目的地の国と交渉し、
船便を確保するのは不可能である。
ユダヤ難民たちはビザの延長を求めたが、
その願いは叶わなかった。

もし、ビザが延長されなければ、
ユダヤ難民たちは本国へ強制送還されることになる。
それは彼らにとって「死」を意味していた。

そんなユダヤ難民たちの窮地を救った一人の日本人がいた。
その人の名は小辻節三。

小辻節三は次々に神戸に辿り着くユダヤ難民たちの窓口となり、
日本政府と様々な形で交渉した。
そして見事にビザの延長を実現したのだ。

それだけではない。
ビザがないために日本に入国できず、
日本海の船上で助けを待つユダヤ難民たちに救いの手を差し伸べたり、
彼らが日本で安心して生活を送れるように尽力した。
また、目的地へ向かう船便の確保のために
船会社と交渉するなど東奔西走した。〉


、、、ユダヤ人たちを救済した外国人たちに、
「諸国民の中の正義の人」という賞が、
イスラエルから送られます。
『シンドラーのリスト』のシンドラーや、
杉原千畝などにも贈られているのですが、
小辻節三はこれを授与されていません。

それには理由があり、
これは「異邦人」に贈られる賞なのですが、
小辻節三は異邦人ではないのです。
彼は若いときにキリスト教に改宗し、
神学校に行き牧師になり、
旭川で教会の牧師として働きます。
しかしその「教会文化」になじまず、
むしろ「ヘブル語と聖書」に惹かれた小辻は、
アメリカにわたりヘブル語の博士号を取ります。

そして日本に帰ってきて、
ヘブル語を教える私塾を運営した後、
満鉄総裁の松岡洋右に呼ばれ、
満州国に行って、
当時満州国に多数いたユダヤ人と、
当局との橋渡しをするようになります。

帰国してからは鎌倉でヘブライ語の研究をしていましたが、
「命のビザ騒動」で再び日本のユダヤコミュニティから要請され、
東奔西走して彼らの命を文字通り救います。

戦後彼は穏やかな日々を過ごしますが、
老年になり、「改宗してユダヤ人になりたい」
という長年の夢を達成するために、
エルサレムに渡ったのです。
彼は「日本人初のユダヤ教徒(ユダヤ人)」でもあるのです。

「諸国民の中の正義の人」は、
「ユダヤ人のために尽力した異邦人」に贈られますから、
ユダヤ人となった小辻は対象に入っていなかったことを、
山田純大さんは突き止めます。
しかし、彼の「日本人としての」業績が認められ、
今後もしかしたら「諸国民の中の正義の人」
に加えられる可能性がないわけではありません。

こういう人が日本にいたことが、
誇らしくなりました。
まったくこれまで知らなかったことが申し訳ないですし、
知らせてくれた山田純大さんに感謝したいです。
(1356文字)



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▼今週の一冊:命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民

コメント:

これは非常に面白かった。
紹介してくれた義理の父に感謝です。
小辻節三という人の、
学究肌で政治的な権力や名声や富に無頓着な、
いわば不器用な生き方は、
どこか自分自身と重なるところがあり、
他人事とは思えませんでした。

彼は自分の人生を、
「霊的な探求の旅路だった」と晩年に言っています。
「100年以内に自分を理解してくれる人が、
 きっと現れるだろう」
と言い残して死んだ、と娘たちは語っています。
じっさい山田純大さんが「掘り起こす」まで、
ほとんどまったく日本で知られてこなかった。
むしろイスラエルや、
アメリカのユダヤ社会では有名な人らしいですが。

同時代に理解されることにまったく頓着しない、
というのもとても惹かれる。
「宗教家として成功することと、
 霊的な歩みをすることは矛盾する」
というのを最近何かで読んだのですが、
私は後者に傾いているので、
同じ傾向を持つ小辻節三に共鳴を覚えるのでしょう。



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陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「検索データの衝撃賞」
『誰もが嘘をついている』

コメント:

この本はヤバかったです。
解説に書いた通りですが、
「世の中の認識」が、
今後変わっていくかもしれない、
ということを感じます。
私たち現代人は「グーグルという祭司」に、
いつも罪を告白しながら生きているのです。
そして祭司がその気になれば、
私たちを操作することもできる。
面白かったです。

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