カテゴリー

検索

便利な「検索」機能の使い方

上の検索バーに、「vol.○○」あるいは、「●年●月●日配信号」などと入力していただきますと、カテゴリ別だけでなく配信号ごとにお読みいただけます。

また、ブログ記事のアップロードは時系列で逐次していきますが、「カテゴリ別」表示をしますと、「Q&Aコーナー」だけを読む、あるいは「先月観た映画」のコーナーだけを読む、などの読み方が可能です。

スマートフォン

この他の活動媒体

●9年間続くブログです。↓
陣内俊 Prayer Letter ONLINE

●支援者の方々への紙媒体の活動報告のPDF版はこちらです↓
「陣内俊Prayer Letter」 PDF版

陣内が先月観た映画 2019年6月 『教誨師』他

2019.11.25 Monday

第98号   2019年7月2日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2019年6月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●リアル鬼ごっこ 2015劇場版

鑑賞した日:2019年6月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:園子温
主演:トリンドル玲奈
公開年・国:2015年(日本)
リンク:
https://bre.is/gOaTX4_4i

▼140文字ブリーフィング:

端的に言ってひどかったです。
園子温監督は嫌いじゃないですが、
この映画は酷かった。
ただのグロ。
グロいことに目的がない。
メッセージ性もないし、「オチ」も陳腐です。
何のために作ったのか分からない映画でした。
(100文字)



●キングス・オブ・サマー

鑑賞した日:2019年6月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョーダン・ヴォート=ロバート
主演:ニック・ロビンソン
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/XoJPYyb9Q

▼140文字ブリーフィング:

まずまず面白いのだけど、
特に何も心には残りませんでした。
10代の3人が家出をして秘密基地に生活する、
という筋書きで、
スタンド・バイ・ミーが好きな私は、
ああいったものを期待したのですが、
「何か」が決定的に足りない感じでした。
家出をして森で生活するというモチーフも好きですし、
ストーリー自体は友情や親子の確執の話しで、
嫌いじゃないんですが、
何が足りないんだろう??
意外性が何もないというつまらなさなのかな?
とにかく、印章が薄い映画でした。
(217文字)



●うる星やつら2 ビューティフルドリーマー

鑑賞した日:2019年6月1日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(400円)

監督:押井守(原作:高橋留美子)
主演:平野文
公開年・国:1984年(日本)
リンク:
https://bre.is/L4GmxwRr_

▼140文字ブリーフィング:

1984年の作品ですが、
いまだに語り継がれる、
カルト的な人気がある作品です。
「攻殻機動隊」だとか、
「機動戦士ガンダム」とか、
「エヴァンゲリオン」とか、
そういうのと同じで、
「その後のアニメや、
 ひいては映画の在り方までも変えてしまったような、
 影響力のある作品」のひとつです。

そもそもの話しをしますと、
私は高橋瑠美子的なアニメは苦手でして、
たぶん直撃世代にあたるにも関わらず、
「うる星やつら」も、
「らんま1/2」も、
まったく子どものころに見た記憶がありません。
私は「バカ子ども」だったので笑、
「キン肉マン」「おぼっちゃまくん」「珍★遊★記」
などを見て「チンコ、チンコ!ウンコ、ウンコ!」
っつって、バカみたいに騒いでいました。
紙粘土でチンコやウンコの形を作って、
ゲラゲラ笑っていました。
今考えると、あれって、何が面白かったのでしょう笑。
少女マンガの匂いがちょっとでもすると、
あんまり受け付けない感じなので、
「タッチ」などのあだち充作品すら、
まったく経由していません。

そんな私ですが、
『ビューティフルドリーマー』の噂は聞いてたんですよね。
いろんな批評家が引用していて、
「これは見なきゃダメだなぁ」とこの数年思っていた。
そんで、見た、というわけ。

『ビューティフルドリーマー』は、
「うる星」であって「うる星」ではない、
というのは皆が言っていることです。
「シン・ゴジラ」が、
ゴジラであってゴジラでないのと同じように。
私は「うる星」が何かが分かってないので、
「これはうる星ではない」とも言えないのですが笑、
他のどのアニメーション作品とも違う、
というのは分かります。

押井守の最高傑作は、
「ビューティフルドリーマー」だ、
と主張する人が多いのも納得です。
先週のメルマガで語ったように、
「終わりなき日常を生きる」という、
シュシポスの神話の話しでもありますし、
中国の故事「胡蝶の夢」の要素もある。
また、エッシャーの絵のトリックが組み込まれているのと、
物語そのもののループ構造がオーバーラップしているのも、
非常によく考えられている。
語りたくなる要素がたくさんある作品です。
さすがに2019年に見ると「古いな」と思いますが、
テーマはまったく古くない。
確かに名作だと思います。
(921文字)



●インクレディブル・ファミリー

鑑賞した日:2019年6月2日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:ブラッド・バード(制作:ジョン・ラセター)
主演:クレイグ・T・ネルソン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/VzwAN-udy

▼140文字ブリーフィング:

ミスター・インクレディブルは、
たしか2006年ぐらいでしたっけ?
あれは映画館で観ました。
さすがに今はまったくキャッチアップできてませんが、
私は一時期までは「ピクサーが公開されたら、
必ず映画館に行って観る」というほど、
ピクサーが好きでした。

「好き」というのともちょっと違うんだよな。
「信頼していた」といった方が良いかな。
この店に入れば、どの料理をオーダーしても、
必ず80点以上を出してくる、という料理店のようなもので、
ピクサーは「打率の高さ」が異常なので、
観に行っていたのです。

そんな私も、
最後に映画館で観たピクサーは、
「トイ・ストーリー3」で、
たしか2010年ぐらい?ですから、
ずいぶんと足が遠のいたものです。

ちなみに私の、
「ベスト・ピクサー」は、
『ウォーリー』で、
「ワースト・ピクサー」は、
『ファインディング・ニモ2』です。

ミスター・インクレディブルの最新作、
インクレディブルファミリーはどうだったか。

80点以上だったか?

もちろんです。

それどころか、95点ぐらい行ってるんじゃないでしょうか。
「世界を救った家族」が、
ぼろぼろのモーテルに住み、
宅配の中華料理を食べる貧困生活をしているという、
オープニングから衝撃を受けます。

なぜか。

「ヒーロー禁止法」という法律によって、
彼らは飯の種を失ってしまったからです。
これは、実は日本人には理解しづらいのですよね。
アメリカには「自警団(ビジランテ)」という文化があります。
連邦政府の警察権力や軍隊の支配が届かない領域において、
アメリカではながらく「自警団」が治安を守っていました。
西部劇に出てくる「保安官」がそれです。

この「自警団」が、
じつはアメリカンヒーローの起源なのです。
スーパーマンにしてもスパイダーマンにしても、
アベンジャーズにしても、
彼らは連邦政府から派遣されたわけでも、
税金で雇われているわけでも、
法律に基づいて行政をしているわけでもない。

市民を脅かす危機に対して、
「自発的に立ち向かう市民」が、
自警団であり、アメリカンヒーローの起源です。

自警団って実は、
「テロリスト」と紙一重なんですよね。
なんら合法的な裏付けを持たない暴力によって、
「問題を解決」するわけですから。

「ヒーロー禁止法」というのは、
連邦政府の警察が治安を守るようになり、
自警団的なものが衰退したアメリカ社会への風刺であり、
「ノスタルジー」でもあるわけです。

そのようななかで、
人々は「自警団性」を回復させるべきなのか?
そんなものは葬り去るべきなのか?
そういった社会のグランドデザインに関わる話しを、
『インクレディブル・ファミリー』はしています。

またこの映画、
ほとんどの家族が共働きになったアメリカにおける、
夫婦での家事と仕事の分担の問題や、
インターネット、SNS時代における、
「ガリバー企業による新しい独裁」の話しなど、
めちゃくちゃ複雑なテーマを扱っています。

そして、ここが何よりも重要なのですが、
それでいて、全然小難しくなく、
上映時間中、ずーっと、楽しい。
面白い。
わくわくする。

ピクサーはとんでもないところまで行っています。
毎回、度肝を抜かれますね。ピクサーには。

あと、先日メルマガでも論じた、
M・ナイト・シャマランの、
「ミスター・ガラス」と本作は、
テーマにおいて完全に重なっています。
2本続けて観ると、考えが深まるでしょう。

2作とも、
ヒーローをメタ的に論じ、
「社会のグランドデザイン」を考えるつくりになっています。
オススメです。
(1,403文字)



●フロリダ・プロジェクト 真夏の奇跡

鑑賞した日:2019年6月8日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(500円)

監督:ショーン・ベイカー
主演:ウィレム・デフォー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/7zWSPUFmd

▼140文字ブリーフィング:

アメリカ版の是枝映画のような感じでした。
是枝監督の「だれも知らない」や「万引き家族」が好きなら、
本作は非常に面白いはずです。
「プロジェクト」っていうのは、
アメリカでは「貧困層の住む公共住宅エリア」
という意味があるそうです。
「あそこはプロジェクトだから、
 近づいちゃダメよ」
っていうのは、
その界隈は貧困層が住んでいて、
犯罪やドラッグが蔓延していたりするからです。
(もちろん、そうでない地区もあります。
 あくまでそういう「偏見」があるという話しです)

、、、で本作の主人公の母子家庭の母と娘は、
そんな「プロジェクト」にも暮らせない貧困層です。
月々の家賃や頭金が払えないので、
プロジェクトにすら入れない人々はどこに暮らしているか?

1泊30ドルとかのモーテルに住みます。
モーテルに「住む」ことはルールでは禁止されていますが、
「1週間連泊する」っていうのを、
何ヶ月、ときには何年も繰り返すことで、
事実上そこに住んでいる人々がアメリカにはいるのです。
彼らは「日銭」を稼ぎながら生活しています。

この母子の場合、
市場で買った香水を、
高級ホテルの前で、
高級ホテルで買うよりはちょっと安く売って、
わずかな利ざやを稼ぐ、ということをしています。

*****ネタバレ注意*****

*****ネタバレ注意*****

*****ネタバレ注意*****


さらに、物語の後半に分かるのですが、
お母さんはいわゆる「身体を売る」という商売もしています。
そのようにして日銭を稼ぎながら、
滞納気味のモーテルの家賃を払う、
という生活をしている母子家庭の話しです。

最初に「アメリカの是枝映画」と言いましたが、
じっさい監督のショーン・ベイカーは、
是枝監督を尊敬していて、
映画作りの参考にした、と発言しているそうです。
子役の自然な演技やドキュメンタリータッチの映像、
そして、「子どもの目線」を意識した、
徹底したローアングルは、
完全に『誰も知らない』オマージュと言って良いでしょう。

この映画、モーテルの管理人が素晴らしいです。
演技も、役どころも。
最貧困層の子どもを、
暖かく見守る視線が、彼らの最後の砦になっています。
(本人たちはそれに気づいていないのがまた泣ける)
このモーテルはハイウェイを隔てて、
ディズニーワールドのすぐそばにありますが、
この子どもたちはディズニーワールドなんていうものから、
最も遠い場所にいます。
映画の最後の最後に、
ディズニーワールドを私たちは子どもと一緒に観ることになるのですが、
それがあまりにも切ない。
あんなにも泣けるシンデレラ城は世界初でしょう。
(1,055文字)



●ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

鑑賞した日:2019年6月8日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:ジョン・リー・ハンコック
主演:マイケル・キートン
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/ggeokK5jf

▼140文字ブリーフィング:

これもめちゃくちゃ面白かったです。
タイトルのとおり、
マクドナルドの「創業者」、
レイ・クロックの自伝小説が原作です。

マクドナルドを「宗教」と考えると、
とてもうまく理解出来ます。
なので、この本(映画)は、
「マクドナルド教の使徒行伝」
として読む(観る)ことができます。

今や世界宗教となったマクドナルド教が、
誕生から初期の拡大にかけて、
どんな道筋を歩んだのか?という物語なのです。

レイ・クロックはじつは、
キリスト教で言うとイエス・キリストではないし、
ギリシャ哲学でいうとソクラテスではありません。
彼はキリスト教でいうと使徒パウロであり、
ギリシャ哲学で言うとプラトンの役割を果たしました。
つまり「教祖」ではなく「開祖」なのです。

では、マクドナルド教の「教祖」は誰か?
カリフォルニアの片田舎で、
世界で初めてフォード式の流れ作業を、
食品業界に持ち込み、
驚くべき人気を誇ったハンバーガー屋の創業者、
マクドナルド兄弟です。

彼らは他にも店舗を持っていましたが、
「3店舗が限界」というのが結論でした。
それ以上に展開すると、
クオリティーコントロール(品質管理)ができず、
4店舗目以降は、店の評判をかえって落とすことを、
経験的に知っていたからです。

そこへ、巡回セールスマンとして全米の街をまわっていた、
レイ・クロックが訪れます。
そして、レイ・クロックは思います。
「これは、世界を支配できるビジネスだ」
レイ・クロックは、ひいき目に見ても、
汚いやり方でマクドナルド兄弟を騙し、
そして彼らのビジネスを「乗っ取って」しまいます。

レイ・クロックがまだマクドナルド兄弟と仲良かった頃、
マクドナルド兄弟に語った彼の「夢」は、
皆様も知っている通り、実現します。

その夢とは何か?
その大意を引用します。

「アメリカのあらゆる街を車で巡回して気づいた。
 アメリカにはどの街にも二つのものがある。
 教会と、裁判所。
 つまり十字架と、星条旗だ。
 私は『アメリカの街の3つめのシンボル』が、
 あなたがたのゴールデンアーチ(マクドナルドのマーク)
 になるという考えが頭を離れない。
 つまり、マクドナルドは新しいアメリカの教会になるんだ!!」

じっさい、それは実現しました。
アメリカ人は世界のどこに行っても、
あのゴールデンアーチを見ると、
大使館を見つけたような安心感に包まれると聞いたことがあります。
いまや教会の十字架よりも、
パワフルなシンボルになった、
マクドナルドのシンボル。

それを成し遂げた要因は、
レイ・クロックの強引とも言える、
強硬なビジネス手腕でした。
マクドナルド兄弟(創造者)と、
レイ・クロック(拡散者)は違います。
ソクラテスとプラトンの関係であり、
スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズの関係です。

私の特性は明らかに前者で、
後者の在り方に何の魅力も感じませんが、
レイ・クロックのような後者の生き方は、
自分とは真逆だという意味で、
人物としては非常に面白いし、
彼らがいなければ素晴らしいアイディアも、
世界に拡散することがないのも事実です。

創造者と拡散者。
この二つがいつも必要です。
私に拡散者の才能はゼロで、
創造者の才能は有り余っています。
拡散者とタッグを組むのが、
私の生き方において大切なことなんだろうなぁ、と思います。
願わくばウォズニアックやマクドナルド兄弟のように、
うまみを全部横取りされないように気をつけながら笑。

何より、この映画は映画として非常に良く出来ています。
素晴らしい。オススメです。
(1,397文字)



●教誨師

鑑賞した日:2019年6月15日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:佐向大
主演:大杉漣
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://bre.is/IdevW_Eu6

▼140文字ブリーフィング:

これもめちゃくちゃ面白かったですね。
日本は死刑制度が残っている数少ない先進国のひとつです。
死刑制度の是非はさておき、
死刑判決を受けた人が、
じっさいに死刑に処せられるまで、
長い時は10年以上も待ちます。
法務大臣の任期だとか、
時の政権の支持率などを鑑みながら、
かなり恣意的に死刑の執行は決められているからです。
さて。
この「待つ」間というのは、
彼らはもはや「懲役刑」に服しているわけではないので、
かなりの自由が与えられています。
服装も自由ですし、労働義務はなく、
本を読むことも無制限に認められています。
(ちなみに私は死刑制度撤廃派です。
 死刑制度に犯罪の抑止力はまったくないことを、
 多くの調査結果が示しているし、
 人間のやることなので「誤審」もゼロにはなりませんから。
 死んだ後に誤審と分かった場合、
 取り返しがつかないことになります)

教誨師っていうのは、
そのような死刑囚に面会して、
彼らの不安を和らげ、
魂に慰めを与えるための牧師です。
普段は普通に牧師をしている人が、
この仕事を役所から請け負ってやっているのですね。
この映画で初めて知りましたが。

映画に「牧師」が出てくる時、
本当の牧師に監修されていないな、
っていうのは、私はすぐに分かります。
細かいところに嘘が入り込みますから。
しかしこの映画は、
そのあたりの考証が完璧だった。
牧師が言いそうにないことは絶対に言わないし、
牧師が言いそうなことを言う。
行動も、服装も、持ち物も、雰囲気も、
完全に「プロテスタントの牧師」でした。
これだけで80点ぐらいあげても良いぐらい。

基本的に本作は「会話劇」で、
ずーっとひとつの部屋で物語が展開します。
教誨師の主人公が5人(だったかな?)の死刑囚と話す、
会話だけが本作の内容です。
なので、映画と言うより舞台劇を見ている感覚に近い。

いくつか感動的だった会話を紹介します。
死刑囚のひとりが言います。
「(自分は仏さんも拝んでいるから)
 あっちもこっちも手を出して怒りませんかね?」
「何がですか?」
「いや、神様がですよ」
「大丈夫ですよ。
みんな初詣にも行けばお墓にも行く。
そしてクリスマスも祝う。それでいいんです。
そんなのにいちいち怒ってたら
神様も身が持ちませんよ」

この会話の後で、
囚人は信仰を持ち洗礼を受けます。
牧師が「怒りますよ、神様は。
偶像崇拝は禁止されていますから。」
という薄っぺらな教条主義を振り回していたら、
囚人は永遠に神に近づくことはなかったというのは自明です。
教条主義がいかに人を信仰から遠ざけるかがよく分かります。

他にもこんな会話がありました。
頭でっかちになり人を見下している、
衒学的な若者死刑囚が言います。
「牧師さん、虚しくないですか?
 こんなことしてて。」
「私は虚しい。
 何度もやめたいと思った。
 でも、この仕事は、社会の穴を埋めるとか、
 穴を開けないようにするとかじゃなく、
 空いてしまった穴を『見つめる』仕事だと思った。」
さらに挑発する彼に牧師は言います。
「悔い改めとか神様とか、
 もうこの際どうでも良いじゃないか、
 私はあなたの隣にいる!
 だからあなたも自分が殺した人々と向き合ってくれ!」
このシーンはグッときました。

先ほどの「あっちもこっちも手を出して」のおじさんは、
文字を読めなかったので、
他人に騙されて殺人を犯すことになってしまった死刑囚です。
教誨師は途中から、聖書の話しはやめて、
「あいうえお」を教える事に切り替えます。
おじさんは拘置所で洗礼を受けます。
最後のシーンでそのおじさんは、
「牧師さん、ありがとう」といって、
彼のいちばんの宝ものである、
「水着グラビアの切り取り」を牧師にプレゼントします。
「いいんですか?
 こんな大切なものを下さって。」
「牧師さんには本当にお世話になりましたから。
 洗礼を受けられて私は幸せです。」

ここではじめて、映画の中で、
拘置所外が映されるのですが、
家への帰路で牧師がその水着グラビアの切り抜きを開くと、
間違いだらけのひらがなで、
こう書かれていました。

「あなたがたのうち、
つみのないものが
いしをなげよ」

最後の最後に牧師自身がこの言葉に救われるとともに、
これはこの映画のすべての鑑賞者への、
映画からのメッセージになっている。
非常に良く出来た映画でした。
(1,726文字)



●ジョナス・ブラザーズ 復活への旅

鑑賞した日:2019年6月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョン・ロイド・テイラー
主演:ジョナス・ブラザーズ
公開年・国:2019年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/cSIqRUsGM

▼140文字ブリーフィング:

この映画、Amazonオリジナルコンテンツなんですよね。
つまりAmazonがお金を出して製作している。
こういう配信サービスの自社コンテンツの映画を、
今回初めて見ました。

めちゃくちゃクオリティが高くてびっくりしました。
これからの世界では、最大の映画会社はもはや、
パラマウントとかユニバーサルとかディズニーじゃなく、
AmazonとかNetflixとかになっていくかもしれません。
ドキュメンタリー映画なのですが、
非常に興味深かった。

「ジョナス・ブラザーズ」というロックバンドがあります。
2000年代後半に絶大な人気を誇り、
ビルボードに同時に3枚のアルバムがベスト10入りしたこともある。

最近の洋楽にはめっぽう疎いので、
私はこの映画で初めてジョナス・ブラザーズを知りました。
この三人組のバンドは本当の兄弟で、
なんと牧師の息子(4兄弟の上の3人)です。
それぞれにずば抜けた音楽の才能を持っていた彼らが、
ロックバンドを組み、レコード会社に見出され、
スターダムにのし上がっていきますが、
現在30代になる彼らは「解散」しており、
もう何年も顔を合わせず、口を聞いていません。

どうしてそれが起きたのか、、、
という謎を解くような形で、
ドキュメンタリーが進んで行きます。

タイトルを見ればわかりますが、
彼らは冷え切った年月を経て、
お互いの生き方を探り、
そしてお互いの本音をぶつけ合い、
和解し、「再結成」を遂げるのです。

めちゃくちゃ面白かったのが、
ニュージャージー州の田舎で牧師をしていた父は、
息子たちが「世俗的なバンド」を組んだと言うことで、
教会員から批判され、教会を追い出され失業した、
というくだりです。
30代になった彼ら3兄弟は、
いまだに教会に対して、
愛憎入り交じった複雑な感情を抱いています。
自分たちが音楽の才能を開花させたのは、
間違いなく教会があったからだし、
自分たちの父親を地獄の縁に落としたのも、
教会だったからです。

また、彼らが牧師の息子だったことにより、
「バージンリング」という指輪を彼らはするようになります。
これは、「結婚まで貞操を守る」という、
教会が若者の貞操教育キャンペーンに使っていた指輪です。
最初はそれが褒めそやされますが、
実際には彼らはそんな生活はしていませんでした。
しかし世間の目があったので、
彼らはその指輪を今更外せない。
それが「ゴシップ」として報道され、
彼らを精神的に追い詰めていきます。

彼らのすれ違いが起こった経緯も、
兄弟バンドであるゆえの、
ライフステージの違いや、
家庭に対する考え方などの違いが露呈し、、、
というのが理由でした。
そんな彼らが30代になり、
成熟して、より深められた関係を構築し、
そして「再起」します。
胸が熱くなりました。
(1,109文字)



●運び屋

鑑賞した日:2019年6月20日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド
公開年・国:2019年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/ZtWqaPkQo

▼140文字ブリーフィング:

イーストウッドが新しい映画を撮った?

見るでしょ!

という、もう「思考停止」
もしくは「脊髄反射」のようになっています。
それだけイーストウッドを私は信頼しています。
彼が撮った映画は必ず面白い、と。

この映画撮影時に87歳のイーストウッドの、
「遺作」になるかもしれないと思いながら見ました。
最近はもう、ずっとそうですけどね笑。

改めて思いましたが、
彼の「話し運びの手際の良さ」は異常です。
「体脂肪率一桁」の編集をします。
バッキバキです。キレてる、キレてる。
筋繊維の一つ一つまでハッキリ見える。
とにかく手際が良い。
編集の手際の良さは、
西のイーストウッド、東の北野武ですね。

仕事一筋に生きてきた老人が、
その悔恨をメキシコの麻薬売人たちに利用される、
という実話に基づく話しです。
ちなみにイーストウッドと北野武が似ていると思うのは、
編集の手際だけではなく、
2人の映画の隠れたテーマがいつも、
「死に場所を求める男の話」だからです。
(404文字)



●悪魔を憐れむ歌

鑑賞した日:2019年6月20日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:グレゴリー・ホブリット
主演:デンゼル・ワシントン
公開年・国:1998年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/VisBMuym7

▼140文字ブリーフィング:

メルマガ読者の福嶋さんという方に勧めていただきました。
『フライト』と『悪魔を憐れむ歌』を見てみてほしい、と。
『フライト』に関しては、
2年前に見てレビューしていました。
こちらの記事になります。

▼陣内が先月観た映画 2017年6月 フライト 他14本
http://blog.karashi.net/?eid=228

福嶋さんはデンゼル・ワシントンが好きなんですね。
私も大好きです。
『イコライザー』は最高でしたし、
『フライト』のラスト5分のカタルシスは凄かった。

『悪魔を憐れむ歌』も、
デンゼル・ワシントンの演技が良かったです。
脚本も秀逸です。
タイトルから受ける印象とは違い、
ホラーやオカルトの類いではなく、
サスペンス要素が強いです。
ローリング・ストーンズの「Time is on my side」が印象的でした。
「悪魔」が人間に乗り移ることにより、
彼の目的を達成しようとする。
その存在に気づいたジョン・ホブス警部(デンゼル・ワシントン)は、
悪魔を止めようとして、、、という筋書きです。
雰囲気としては浦沢直樹のマンガ「MONSTER」と似ています。
あとこの映画が撮られた時点で、
SNSは普及していないわけですが、
この「悪魔」って、SNS時代の、
「ミーム」のメタファーとしても観賞可能です。
ゾンビ映画もそうですが、
「現実世界の映し鏡」と考えたとき、
「悪魔」は、SNS時代に人々を衝き動かす、
報復感情の増幅の比喩にも見えます。
それが「決して捉えられず、抑えられない」
ところも似ている。
(628文字)



●トランス・ワールド

鑑賞した日:2019年6月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジャック・ヘラー
主演:サラ・パクストン
公開年・国:2013年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/JyjTF-9UE

▼140文字ブリーフィング:

超低予算映画です。
大学生でも作ろうと思えば作れる感じ笑。
でも脚本はまずまず良かった。
だた、「平均よりは面白くない」かな。
あんまりオススメしません。
(73文字)



●翔んで埼玉

鑑賞した日:2019年6月23日
鑑賞した方法:マニラに向かう飛行機の中で観賞

監督:武内英樹
主演:GACKT、二階堂ふみ
公開年・国:2019年(日本)
リンク:
http://www.tondesaitama.com/

▼140文字ブリーフィング:

ちょっと気になってた映画なのですが、
マニラに向かう飛行機の機内動画サービスに入ってて、
「ラッキー」と思い観賞。

思ってたのの2.5倍ぐらい面白かったです。

マジでくだらないですけど笑。

栄養素がまったく含まれていない、
スナック菓子のような映画です。
まったく後に何も残らない娯楽映画としては、
最高峰の部類じゃないでしょうか。

「なんでこの人たち(制作者)は、
 こんなくだらないことに、
 こんなにもお金と時間と、
 汗と涙を使っているんだろう」
とか考えると、
それも含めて笑えてくるという笑。

ヤバいです、この映画。
マジでくだらない(←褒め言葉)ですから、
騙されたと思って見てください。
オススメします(笑)。

これは関東に住んでいる人のほうがよく分かるのですが、
関東には独特な「都会・田舎ヒエラルキー」が存在します。
どんな条例にも書かれていない不文律ですが、
そういう「都会カースト」が、関東には存在するのです。

港区・中央区>世田谷区・目黒区>渋谷区>新宿区
>杉並区・武蔵野市>、、、、、、、、>練馬区・板橋区>
、、、、>立川市>八王子市、、、、、
、、、ってやっていくと、
「埼玉」「サ・イ・タ・マ」
みたいになって、
田舎の代名詞みたいに言われてるわけですよ。
(もちろん私はそう思いませんが。
 あと、田舎より都会のほうが良いとすら、
 そもそも思ってませんし。)

でも、そういうのって、
私の意見とは別の所で、
存在するじゃないですか。
面白いのは、
そういうコンプレックスが強い人って、
たいてい地方から移住してきた人たちであり、
本当の本当の真正の都心部出身者、
たとえばそうですねぇ。
天皇家とかは(←極端か?)、
「都心に住んでいる優越感」もなければ、
「田舎を見下すというとう概念」もないはずです。

優越感はいつも劣等感とセットですから、
「自分が都会に住んでいることを鼻にかけている人間」は、
100%の確率で「その本質において田舎者」です。
もしくは「つまらないコンプレックスの保持者」です。
「青山に児童相談所を作るな」と抗議するタイプの、
イタい人々ですね。

、、、という私の意見とは別なところに、
やっぱりそういうのって存在するじゃないですか。
あ、話しがループした笑。

、、、でこの映画は、
そういう「目に見えないヒエラルキー」が、
可視化された架空の世界の物語です。

さっきのやつでいうと、
港区・中央区>、、、、、
八王子市>、、、、、
、、、、>さいたま>、、、

ってなるわけですが、
この世界における中央区出身の、
「(なぜか)ベルバラ風の貴族」たちは、
「さいたま」って発音しようとするだけで、
眩暈・立ちくらみがして、
体調が悪くなります。
「ぐんま」に至っては、
失神します笑。

埼玉出身であることを隠して、
都心部に住む人々は、それがバレると、
「草加せんべいの踏み絵」を踏まされます。
「隠れキリシタン」ならぬ「隠れ埼玉人」です。
本作の主人公は埼玉出身でありながら、
都心のエリート校に進んでいる「出身地詐称者」です。
彼はしかし、都心の貴族たちよりも貴族っぽい。
(なんせGACKTですから笑)
彼は将来、東京都知事になって、
埼玉と東京の「関所」を撤廃しようとしている、
「埼玉解放戦線」の御曹司なのです。
「埼玉解放戦線」っていったい何なの?
とかは、この際聞きっこなしにしましょう笑。
それは野暮というものです。

「池袋には同胞がたくさんいる」とか笑、
敵対している千葉の領地で捕まると、
体中の穴という穴にピーナッツを詰め込まれ、
九十九里浜で地引き網漁を手伝わされる
、、、みたいなのも面白いです。

都心の住人が埼玉に脚を踏み入れると、
「さいたマラリア」という、
「小型カスカベ蚊」が媒介する伝染病にかかったりします笑。
エンドロールで流れる、
芸人のはなわのテーマ曲も最高でした。
とにかくバカバカしくて最高なので、
案外、かなりオススメです。
マジで、心底、120%、
くっだらないですから(←褒め言葉)。
(1,459文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「教誨師」

コメント:

これは間違いないですね。
大杉連の「遺作」が本作だったというのも、
なんというか、じーんとします。
下手な「キリスト教伝道映画」を見るよりも、
キリスト教徒じゃない人に、
響く映画なんじゃないでしょうか。
あんまりそういう目で映画を観ることがない私ですが、
「クリスチャンじゃない人に見せたい映画」として、
過去No.1かもしれません。


▼主演(助演)男優賞
クリント・イーストウッド(運び屋)

コメント:

もうねぇ。
87歳のイーストウッドが画面に映ってるだけで、
こっちは幸せなわけですよ。
「拝むように」見ています笑。


▼主演(助演)女優賞
ブルックリン・プリンス(フロリダ・プロジェクト)

コメント:

この子役はとてつもなかったです。
「上手い」なんてもんじゃない。
自然な演技というか、
「自然よりも自然」な存在感が凄かった。
是枝監督の映画以外で、
子役がここまで凄いと思うことは珍しいです。


▼その他部門賞「世界一くだらないで賞」
「翔んで埼玉」

コメント:

マジでくだらなかったー。
「下妻物語」とか、
「キサラギ」とかの感じと似てるかな。
でも、あの段階をはるかに超えてくだらないんだよな。
ちょっと日本映画を新しいステージに押し上げた、
記念碑的な映画になる予感がします。

この記事のトラックバックURL
トラックバック