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陣内が先週読んだ本  2019年7月21日〜8月4日 『光の子と闇の子』他

2020.01.14 Tuesday

第104号   2019年8月13日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年7月21日〜8月4日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意

読了した日:2019年7月24日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:佐藤優
出版年:2019年
出版社:SBクリエイティブ株式会社

▼140文字ブリーフィング:

月に500冊の本を読み、
膨大な冊数の本を書き、
大学の客員教授として教え、
ラジオ番組で情勢を解説し、
政府や官僚にもコンサル的に関わる、
「知の巨人」佐藤優氏の、
「インプット・アウトプット術」を、
公開しているのがこちらの本。

いろんな学びがありましたが、
私が共感したのは、
「SNSとメッセンジャーアプリは、
 使わない方が良い」
という部分ですね。

引用します。

→位置No.722 
〈今やSNSを使っていない人のほうが
珍しいくらいかもしれないが、
知的かつ充実した人生を送りたいのなら、
すぐにでもやめたほうが良い。 

「日に1時間まで」などと決めれば良いという人もいるが、
おそらく時間制限を設けても、
形骸化してしまうのが関の山だ。
なぜならば、SNSは始めたら最後、
どんどん時間を費やしてしまうものだからである。
この中毒性ゆえに、全世界でこれほど広まっているのだろう。

だが、冷静になって考えてみて欲しい。
誰がどこで何をしたか、何を食べたか、
そんな情報を、常時、本当に得たいだろうか。

時間は有限であり、しかもすべての人に平等に与えられている。
その限られた時間を、インプットやアウトプット、
あるいは楽しみや休養(楽しみ方、休み方は後述する)のために使うのと、
どうでもいい情報を得るのに使うのとでは、
知的生産力に格段の差が出る。

どれくらいの差かといえば、
SNSを使うか、使わないかで、生涯所得を出世が左右される。
そういっても過言ではないほどの差である。
そう聞けば、少し考えが変わるのではないか。〉


→位置No.731 
〈SNSと並んで、あまり使わないようにしたいのは、
フェイスブックのメッセンジャーや、
ラインなどのメッセージツールだ。
 (中略)
問題は、やはり時間の浪費である。
たとえば、仕事中、思考中に、メッセンジャーやラインで、
次々と仕事とは関係のないことが送られてくる。
そのたびに自分の仕事や思考が中断される。
さらには、読んだら即レスするのが、
こうしたメッセンジャーツールの掟と見做されているので、
たびたび返信の手間も割かねばならない。

こうしたツールに既に慣れている人にとっては、
すべて一瞬のことで気にならないのかもしれない。
しかし、自分の貴重な時間を分断され、
一瞬の無駄を積み重ねてしまっていることに
無自覚でいるとしたら、問題だ。

たびたび送られてくるメッセージに自分の時間を攪乱されて、
何かに腰を据えて取り組む、
何かに思索を巡らすのが困難になることは、
知的生産力の低下を意味する。〉


、、、SNSとメッセンジャーアプリは、
「すぐにでもやめろ」。
これが佐藤さんのススメです。
私もそう思います。
知的に充実した人生を送りたければ、
スマホは今すぐにでも捨てましょう笑。
(誰も捨てないのを知ってるからこそ言ってます笑)

ちなみに私はスマホを持ってません。
この箇所を軸に、
一本の動画を作りました。
興味のある方はご覧ください。

▼参考動画:私がスマホを持たない理由
https://youtu.be/oucA3ODDmXE

(1,234文字)


●遅刻してくれてありがとう 常識が通じない時代の生き方(下)

読了した日:2019年7月24日
読んだ方法:Amazonで電子書籍購入

著者:トーマス・フリードマン
出版年:2018年
出版社:日本経済新聞社

リンク:
https://goo.gl/8ikgop

▼140文字ブリーフィング:

この本はKindleで買い、
半年ぐらいかけてちょっとずつ読みました。
読了したのは数ヶ月前なのですが、
Kindleの読書メモをEvernoteにやっと最近まとめたので、
紹介できるというわけ。

本書はあまりにも多義的で、
様々な内容がひとつに凝集しているので、
語り始めたら時間(文字数)がまったく足りません。

本書の上巻では、
著者が「加速の時代」と呼ぶ21世紀に、
私たちはどのように生きれば良いのか?
ということが語られます。
私が最近気に入っている言葉「動的安定」は、
本書の上巻で読んで以来ずっと心に留まっています。

下巻はユニークで、
「加速の時代」に、
アメリカはどうやって立ち直れば良いのか?
という問題設定になっています。
著者がアメリカ人だからそうなるのですが、
本書の内容はすべての国家に応用可能です。

著者は言います。
グローバル化し、インターネット化し、
高齢化し、環境破壊が進み、
既存の価値観が崩壊する21世紀に、
どうすればもういちど国家は立ち直れるのか?
キーワードは「多元的共存」と、
「コミュニティ」なのだと彼は言います。

それは彼の生まれ育った、
ミネソタ州セントルイスパークと関係があります。
セントルイスパークはアメリカのコミュニティの中でも、
空洞化せず足腰強く今も成功者を多数送り出している、
例外的なコミュニティなのだ、と著者は言います。
そして自身が育ってくる中でした様々な経験が、
彼を世界というものに対し開かれた態度を与え、
そして今ジャーナリストとして成功する基盤を与えてくれた、
というのです。

ちなみに哲学者のマイケル・サンデルも同じ町の出身であり、
さらに多くのアメリカ社会を代表する知識人や識者が、
この町から排出されています。

なぜそんなことが可能だったのか?

それがセントルイスパークにあった、
「多元的共存」と、
「足腰の強いコミュニティ」だ、
というのが著者の結論です。

アメリカの歴史に詳しくないので、
本書で初めて知ったのですが、
ミネソタ州セントルイスパークは、
当初フィンランドなど北欧系の移民が住み着いたのだそうです。
大陸からアメリカに住み着いた人の中で、
最もオーソドックスなのは英国人ですね。
最初、アメリカは植民地であり、
イギリスがその宗主国だったわけですし。

次にフランスやドイツなどの移民が入ってきます。
イタリアなどカトリック系の移民は後から入ってきました。
マフィア映画を観ると彼らが活躍するのは、
後から移り住んだ彼らは社会のなかで地位が低く、
裏社会でお金を稼ぐしか方法がなかった、
といった理由があります。
日本のヤクザと在日朝鮮人の関係が深いのと似ています。

そして北欧系。
彼らも移民してきたのが遅かったので、
東海岸の大都市ではなく、
もっと内陸部の、
誰も住まないような寒い場所を開拓し、
コミュニティを形成しました。
ノースダコタ州を舞台にした映画「ファーゴ」では、
彼らの「強い訛り」が再現されていますが、
あれは日本で言うと「東北弁」なんですよね。
つまり北欧なまりの英語を話す。

つまりアメリカ社会のなかの、
マイノリティ民族が作ったのが、
セントルイスパークでした。
さらにそこに、「もっとマイノリティな人々」が入ってくる。
それが「ユダヤ人」でした。

よく知られていることに、
銀行業を始めたのがユダヤ人だ、
というのがありますが、
それは先ほどのイタリア移民とよく似ていて、
ユダヤ人はヨーロッパ社会のなかで、
周期的に差別と迫害にさらされていたので、
地主になったり工場主になったりといった、
正当な商売や製造業をする「免許」をもらえなかった。
彼らが始めた「苦肉の策」が金融業でした。
それが数世紀後に莫大な富の源泉となるなど、
彼らは思ってもなかったはずです。
「これしか仕事がないから」そうするしかなかったのです。

話がそれますが、
インドのIT産業の興隆も同じです。
カーストの低い人々の職業は、
いちじるしく制限されているのがインド社会ですが、
「IT」というのは、今までなかった職業なので、
低いカーストの人々でも頭脳さえ優秀なら参入できた。
これがインドのIT業の強さの秘密と言われています。
ユダヤ人も「今までなかった仕事をつくる」以外に、
道がなかったからそうしたのであって、
彼らが世界を支配するためにそうしたのだ、
みたいな陰謀論には皆さん、
飛びつかないようにしましょう。

、、、話を戻しましょう。

北欧系移民が作った
セントルイスパークに、
今度はユダヤ人が入ってきます。
ユダヤ移民はアメリカ社会のなかでマイノリティであり、
今では信じられませんが、
ちょうど現代アメリカの黒人やヒスパニックのような扱いを受けていた。

彼らはキリスト教を信じず、
ユダヤの儀式をしているから、
「気色悪いよそ者」と映ったわけです。
セントルイスパークはそこで、
ユダヤ人を排除する方にではなく、
彼らを社会に包摂する道を選びました。

そして北欧系の移民とユダヤ人の、
「多元的共存による化学反応」が、
町の生産力の向上になり、
産業やコミュニティを強めました。

さらに20世紀になると、
黒人やアジア人やヒスパニックも、
この町にたくさん来るようになりました。
マイノリティの移民が来たときに、
どのように包摂すれば良いのかを、
この町は歴史を通して学んでいますから、
彼らもまた包摂していきました。

そんなふうにして、
「多元的に共存できる力」をもった、
セントルイスパークは、
「有能な人の才能が開花する、
 肥沃な土壌を持つコミュニティ」となった。

これが著者の分析です。

そして著者は言います。
アメリカの希望は、
「このようなコミュニティが、
 全米の各地に点在していることだ」と。

右派は「愛国心でアメリカをひとつに」と言います。
左派は「社会保障でアメリカをひとつに」と言います。
しかしどちらも間違っている、とフリードマンは書きます。

なぜか。

「連邦政府」と「自由な個人」が、
アメリカの基礎だと考えているという点で、
問題設定が間違っているからです。

そうではない。

億単位の「マクロな国家」ではない。
一人の「ミクロな個人」でもない。

その中間こそが問題を解決するのだ、
というのが著者のメッセージです。
つまりそれは「町」です。
「家族やコミュニティ」です。
そういったコミュニティの足腰を強めることこそが、
トランプ的なアメリカ・ファーストでもなく、
サンダース的な共産主義でもない、
「第三の道」なのだ、ということです。

これって、日本にもまったく同じ事が言えますよね。

最後に「ようはコミュニティだよ」
という著者のメッセージの部分を引用します。

→位置No.5075 
〈だが、トランプが就任式で述べたディストピア演説は、
そういう実像とはかけ離れていた。
トランプは、アメリカは膨大な
“大虐殺”に捕らえられた国だと表現した
――「錆び付いた工場が墓石のように散らばっている」光景が、
強権を振るう男を求め、
”アメリカ・ファースト”の方針の下、
盗まれた雇用を国際社会から取り戻せと叫んでいるのだ、と。

あまりにもショッキングな演説だったので、
就任式の舞台にいた
ジョージ・W・ブッシュ元大統領が周囲の人間に
「ほんとうに不気味なたわごとだ」
とささやいたと伝えられている。

ブッシュに同感だ。

アメリカでコミュニティの没落が蔓延しているという
トランプの意見は正しい。
しかし、繁栄しているコミュニティも豊富に存在することを、
トランプは見落としている
――ワシントンDCで強権を振るう人間のおかげではなく、
地元レベルに強力な指導者がいるからだ。

それだけではなく、アメリカが、
東海岸および西海岸(勃興し、現代化し、
多元的共存を実現し、グローバル化している)と、
そのあいだの内陸部(雇用が消滅し、薬物中毒がはびこり、
トランプに1950年代に戻してもらうことをだれもが期待している)
に分断されている国だという
突拍子もない考えは、まったくの的外れだ。

私はアメリカ各地を旅した観点から、
大きな分断は東西海岸と内陸部の間にあるのではないと断言する。
分断は、強力なコミュニティと弱いコミュニティの間にある。
東海岸にも西海岸にも弱いコミュニティはあり、
アパラチアにも栄えているコミュニティはある。
その逆のことも言える。

大事なのはコミュニティだ、馬鹿だな
――地理じゃあない(It's the economy, stupidのもじり)。
セントルイスパークとミネアポリスは、
たまたま私が知っている場所なので、
本書で大きく取り上げた。

だが、ここ数年の旅で、
ほかにも数多くの繁栄している地方があることを、私は知った。
だから、その裏付けを取るために、
2017年5月、私はアメリカ内陸部を4日かけて車で旅行した
――インディアナ州オースティンからはじめて、
ケンタッキー州ルイビルへと南下し、
アパラチアのくねくねとした道路を走って、
最後にはテネシー州のオークリッジ国立研究所まで行った。

この旅行をもとに、
私は《ニューヨーク・タイムズ》に長いコラムを書き、
現在のアメリカには栄えているコミュニティと
落ち目のコミュニティが、
不規則な模様をなして混在していると力説した。

*"It's the economy, stupid"
(日本語訳:経済こそが重要なのだ、愚か者)は、
アメリカ合衆国の政治においてビル・クリントンが
ジョージ・H・W・ブッシュに対して勝利を収めた
1992年アメリカ合衆国大統領選挙の最中、
広く使われた言い回しである。

→位置No.5251 
〈結論――これは祖父母のアメリカではないが、
トランプのアメリカでもない。
大虐殺と工場の墓場の荒れ地ではない。

じつはビル・クリントンのアメリカなのだ。
クリントンはかつて、有名な言葉を述べた。
「アメリカの良さで治せない、
アメリカの悪いところは、1つもない」

その考え方は、現在の状況をぴたりと言い当てている。
そして、いまはまさにそれが必要なのだ。
いまのアメリカの悪いところは、
無数のコミュニティ、田園地帯、
都市部の多くが崩壊していることだ。

しかし、いまのアメリカの良さは、
団結して、市民が自分の将来に責任を持てるように
スキルとチャンスを得るのを手助けしている
コミュニティや地域も、無数にあることだ。
それらの成功物語を、私たちは直視し、
共有して、規模拡大する術を学ばなければならない。

強権をふるう男ではなく、
強力なコミュニティのみが、アメリカを再び偉大にする。
そして、そういうコミュニティが数多くあり、
さらに増えるはずだという事実が、
私が今なお楽観主義者でいられる理由なのだ。〉


、、、強いコミュニティこそが国を強くする。
私も同感です。
「日本の良さで治せない、
 日本の悪いところは、ひとつもない」
と私たちも言いたいですよね。

じつは「マクロな経済政策」だとか、
「個々がもっとイノベーティブに!!」とか、
そういう国家か個人という両極ではなく、
「中間共同体」の重要性はもっと語られるべきです。
日本の希望って、
あまり語られていないけど、
昨今の宝塚市などの実践にあると思うのですよね。
ああいったコミュニティを強くする政策が、
都市から都市へ、
コミュニティからコミュニティへ、
「一律的に」ではなく、
「野火のように感染して」
広がっていくことが、
私は日本の未来を明るくすると思います。
(4560文字)


●決壊(上)

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:平野啓一郎
出版年:2008年
出版社:新潮社

リンク:
https://bre.is/EEdBDf2rd

▼140文字ブリーフィング:

これもたしかインドで読了しました。
平野啓一郎は好きな作家のひとりです。
『マチネの終わりに』は、
もう、めちゃくちゃ面白いです。
そんで、今年蒲郡に行ったとき、
彼が蒲郡市出身だと知り、
さらに他の作品も読みたくなりました。

何を隠そう、
私の母は蒲郡出身で、
私は蒲郡の病院で生まれましたから。
「同郷の若手の作家」が活躍してるんです。
もっと作品を読みたい、って。

本作の出版は10年前です。
90年代の神戸の事件の「少年A」と、
ネット文化、アメリカで起きたテロなど、
様々な要素が絡んでいる長編小説で、
ひとことでは語りきれません。

この人の小説って、
話の筋書き自体よりも、
主人公たちの会話の中に出てくる言葉が、
鋭くて社会や宗教や家族や友情や、、、
そういったものについて考えさせるようになっている。

ドストエフスキーの小説がまさにそうですが、
彼は日本のドストエフスキーになろうとしてるのでは?
と私は思っています。
(393文字)



●決壊(下)

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:Kindleで電子書籍購入

著者:平野啓一郎
出版年:2011年
出版社:新潮社

リンク:
https://bre.is/kYvK2gAlD

▼140文字ブリーフィング:

「赦しの不在」が現代社会の宿痾です。
「ネット私刑」や、道徳自警団、
週刊誌による有名人のつるし上げと、
リンチに群がるワイドショーおよびネット言論空間。
そういったものって、本当に辟易とするのですが、
それは社会が「赦し」を学ばないからだと私は思っています。

平野啓一郎は「その理由」にまで分析を掘り下げます。
それは「つながりを捨てられないから」だと。
オキシトシンがそうさせているのだ、と。
唸らされましたね。

引用します。

→位置No.5870 
〈世間で言うところの「被害者への共感」っていうのは
――いいかい?――それは少なくとも、
この俺が感じていることとは何の関係もないんだよ!
だけど、今の社会は、
そうした共感による共同体という夢を、決して断念できないね。
家畜の豚みたいに品もなく貪り続けてる。
あらゆる他者との距離をゼロにして、
分かる、分かるって相槌だけでベッタリ結び合うようなね。
・・・ヘドが出るよ。」

崇は、足を組み直して、身を乗り出すと、語気を強めた。
「そういう社会はね、
赦しの契機をどこまでも先延ばしにするだろうね。
だって、赦さないことで、
人間は同じ一つの感情を共有して、
互いに結び合うことができるんだから!」〉
(502文字)



●ローマはなぜ滅んだか

読了した日:2019年7月25日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:弓削達(ゆげ・とおる)
出版年:1989年
出版社:講談社現代新書

リンク:
https://bre.is/qUANmwbk0

▼140文字ブリーフィング:

30年前に書かれた本ですが、
内容が古くなっていないのに驚きました。
塩野七生とか好きな人にとっては常識かもしれないですが、
ローマの道路であったり税制であったり、
進んで他国の文化の良いところを取り入れる姿勢であったり、
その繁栄の原因は現代にもヒントを投げかけます。

それ以上に現代のヒントになるのは、
その「滅亡」の原因です。
ローマが滅びたのは、、、と著者は言います。
それは、「中心」だった地中海が、
いつのまにか「周辺」になり、
「周辺」だったゲルマン人の文化が、
やがて「中心」になるという、
「中心と周辺の逆転」だった、と。

それをもたらしたのは、
ローマ人が奢ったことによる「排外主義」だった、
と著者は分析します。
ゲルマン人たちによって繁栄を謳歌していたのに、
そのゲルマン人たちの文化を取り入れるのではなく、
彼らを抑圧する方向に世論が動いた。
その直接の結果がローマの滅亡だった、と。

現代世界を見ましょう。

ドイツがヨーロッパで勝っているのは、
多くのトルコ人移民がいるからです。
アメリカが世界最強国なのは、
ユダヤ系移民、アジア系移民、
黒人、ヒスパニック系、
彼らがアメリカに富をもたらしているからです。

その事実に無自覚となり、
排外主義に陥るならば、
彼らの未来は暗いだろう、と歴史は示唆しています。
これは日本にも言えることですが。
(555文字)


●精神医療に葬られた人びと 潜入ルポ 社会的入院

読了した日:2019年7月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:織田淳太郎
出版年:2011年
出版社:光文社新書

リンク:
https://bre.is/HkTw0pOZD

▼140文字ブリーフィング:

双極性障害で精神病棟に入院した著者が、
そこで「入院歴40年」の患者に出会うことで、
これはむしろ医療制度のほうがおかしいのでは?
と調査を始めた本書。

ショッキングな内容でした。
「社会的入院」という言葉があります。
「本来の治療目的で病院に入院しているのではなく、
生活条件が整っていないため長期入院を続けている状態、
またはその状態の患者」を意味します。

なんと現在日本には、
世界でも類のない15万人から20万人の
社会的入院者が存在すると言われているのです。
ちなみに総入院者は31万人強ですから、
その半分から3分の2が、
「社会的入院者」なのです。

なぜそうなるのか?
それは日本の精神病医療の暗い歴史と、
制度設計の失敗、
それを場当たり的にしか対応してこなかった結果生まれた、
「病院の経営のために入院患者を必要とする」状況です。
ある病院では、入院者のことを「固定資産」と呼ぶ、
そんなひどい事例もあるそうです。

引用します。

→P63 
〈そして、ここに病院の経営問題が絡んできます。
日本の精神病院はその八割強が民間で占められている。
病床数に関しては、全体の九割が民間の所有です。
つまり、たえず満床にしておかなければ、
経営が安定しないという病院側の事情を
無視することができないわけです。
(中略)
それに関連して、私にはかつて驚いた経験があります。
民間病院の院長二人と食事をしたときでしたが、
院長同士が『うちの固定資産の数は』などと話を始めたんです。
てっきり病院の建物や土地の話だと思って聞いていたら、
抱えている長期入院患者のことだったんですね。
今はどうか分かりませんが、
以前は入院患者を『固定資産』とする
隠語がまかり通っていたんですよ。〉
(704文字)


●ブラック・スワン(下) 不確実性とリスクの本質

読了した日:2019年7月29日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ナシーム・ニコラス・タレブ
出版年:2009年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
https://bre.is/e-HNQVCcR

▼140文字ブリーフィング:

これはレジェンド級に面白かったので、
ここではなく、またいつか、
改めて「本のカフェ・ラテ」とかで解説しようと思います。

この数年に読んだ本の中で最高に面白かったのが、
タレブの『反脆弱性』なのですが、
その一作前の『ブラック・スワン』には、
なぜ彼がそう考えるようになったのか、
という舞台裏が書かれている感じです。
「バーベル戦略」についての理解が深まりました。
(175文字)



●なぜ女は男のように自信を持てないのか 原題:The Confidence Code

読了した日:2019年7月29日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:キャティーケイ&クレア・シップマン
出版年:2015年
出版社:CCCメディアハウス

リンク:
https://bre.is/7yA5iNHrD

▼140文字ブリーフィング:

タイトルは「女はなぜ、、、」ですが、
OECD諸国で「自尊感情」が最下位の日本では、
「日本人はなぜ自信がないのか?」
とこの本は読み換え可能です。

本書はアメリカ社会の第一線で活躍しながら、
いつも不安と戦っている、と白状する、
2人の女性によって執筆されています。

遺伝的要因、文化的要因、
教育の影響、生化学的影響など、
様々な面から多角的に分析されていて、
かなり面白くて一気に読みました。

著者たちが辿り着いた自信の定義は、
私たちが考える「自信」とはちょっと違っていて、
面白かったのでご紹介します。

→P87 
〈「自信とは、思考を行動に変換するものである」
この簡潔さは、美しく、説得力があった。
(中略)
もし自信が、自分は成し遂げられるという信念であり、
行動を誘発するなら、その行動を取ることで、
もっと自信を生むことができる。
そして、努力や成功、そして失敗をも通して、蓄積されていく。〉

→P92 
〈極端に言うと、
自信は「想像するだけの人」と
「実際にやる人」を区別する性質である。〉


、、、自信があるというのは、
「威張っている」ということでもないし、
「自分にうぬぼれている」ということでもない。
自信がある人は考えを実行に移し、
自信がない人は考えているだけ。

この差が自信だというのです。
すごーく腑に落ちましたね。

あともうひとつ面白かったのは、
鏡の前で「あなたは最高の人間。
あなたはとても大切な人間」と、
自分に言い聞かせるタイプの、
「自己承認プログラム」は、
自信を深めるどころか、
逆に自尊心を低くする、
という研究結果です。

なぜか?

人は自分が本心で思っていることと、
自分の発言が矛盾していると不安になるからです。

では本当の自信はどこから生まれるのか?

「トライアンドエラー」を繰り返すことです。
小さな失敗を無数にすればするほど、
人は「本当の自信」を手に入れます。

日本人がなぜ自信がないのか、
ここで見えてきますね。
「失敗を恐れる」からです。
だから行動しない。
そうすると自信が育たない。
そうするとさらに行動しなくなる。
、、、という無限スパイラルが、
日本社会には働いています。

いろんなことに挑戦してきた私は、
日本社会では異端者ですが、
「ほんとうの自信」を育むという意味では、
自分のしてきたことは間違ってなかった、
と本書を読んで認識できました。
(1,129文字)



●減速して自由に生きる ダウンシフターズ

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:高坂勝
出版年:2014年
出版社:ちくま文庫

リンク:
https://bre.is/WHMuX6eox

▼140文字ブリーフィング:

「ダウンシフターズ」というのは、
「もっと速く、もっと豊かに、もっと多く」
という資本主義の価値観に反旗を翻し、
「ゆっくり歩いて、たまには寄り道して、
 過度な成長や消費は謹んで、、、」
という生き方のことを言います。

著者は大手小売り会社に勤めていたとき、
「売る必要のない安価なカシミヤストール」
を大量に売る競争をしていたのですが、
そのストールがモンゴルと中国の国境で、
環境を破壊することによって作られている事を知り、
仕事に対する情熱を失います。

仕事を退職して1年間世界を放浪した後、
池袋に「たまにはTSUKIでも眺めましょ」という、
敷地面積6畳の小さなバーを開店します。
このバーはなんと「週休3日制」。
それでも無駄な消費をせず、
贅沢を慎み、余った時間で農業をして「食料を自給」するなら、
ちゃんと固定客がついたバーでは利益を出し、
会社員時代以上に豊かな生活を送れるどころか、
ちゃんと貯金までできる、
ということを身を持って証明します。

「ミニマリスト」よりも、
自然とか環境とか幸せとか、
そういったことに配慮していて、
私はとても好きなタイプの生き方でした。
(442文字)



●光の子と闇の子 デモクラシーの批判と擁護

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:ラインホルド・ニーバー 解説:佐藤優
出版年:2017年(英語初版1944年)
出版社:晶文社

リンク:
https://bre.is/suKMlb3ca

▼140文字ブリーフィング:

「古典の域」の本です。
ラインホルド・ニーバーはアメリカの神学者で、
歴代のアメリカ大統領にも愛読者が多く、
オバマ大統領もたしか「光の子と闇の子」を、
座右の書だと言っています。

「いつか読みたいな〜」と思っていた古典でしたが、
案外早く読めました。

結論から言いますと、
めちゃくちゃ面白かったです。
死ぬまでに読めて良かった。

本書は1944年、
第二次世界大戦中、
ドイツと日本が降伏する直前に、
ニーバーがスタンフォード大学でした講義をもとに執筆されました。

とびらに聖書の言葉が出てきます。
「この世の子らは、その時代に対しては、
 光の子らよりも利口である。」
ルカによる福音書16章8節

本書で言う光の子とは何か?
近代デモクラシー文明、
資本主義と共産主義のことを言います。

闇の子とは何か?
ナチズムや集産主義のことを言います。

第二次世界大戦の枠組みで言うと、
光の子が連合国、
闇の子が日独伊の三国同盟です。

ニーバーは「光の子」は愚かだ、と指摘します。
それは資本主義も共産主義もともに、
「原罪」を見落としているからだ、と。
この警告はじつは今も有効です。
共産主義が滅びたのは、
「権力としての財産」を社会共有にすれば、
権力の独占がなくなりユートピアが訪れる、
という前提のなかに、
「財産によらぬ権力基盤」があることを見落としていたからです。
そのため、共産圏では官僚主義による権力の独占が置き、
その軋轢に耐えかねて最後は瓦解しました。

資本主義はどうでしょうか?
資本主義もまた、
「人間に原罪があり、
 常に私利私欲を求めるものだ」
という認識が甘いため、
1パーセントの富裕層が、
国民の財産の半分以上を寡占する、
といういびつな偏りが生じており、
この状況がいつまでも続くかどうかは怪しい。
共産主義と同じく、この軋轢に耐えかね、
資本主義も瓦解するかもしれません。
すでにそのほころびは見え始めています。

ニーバーは言います。
「資本主義の理想」や、
「社会主義の理想」の中に埋没するナイーブさを捨て、
私たちは蛇のように賢くならなければならない、と。

→P46 
〈デモクラシー文明の保存には、
蛇のような賢明さと、鳩のような柔和さとが必要である。
光の子らは、闇の子らの悪意から自由でありつつ、
闇の子らの知恵で自らを武装しなくてはならない。
光のらは、人間社会における私的利益の力を、
道徳的に是認することなしに、
よく知っていなくてはならない。

光の子らは、個人的、および、集団的私的利益の力を、
コミュニティのために、なだめたり、
そらせたり、統制したり、
抑制したりすることができるように、
この知恵を具備していなくてはならない。〉


、、、個人的私利私益の力の何が悪いか?
それはコミュニティを破壊するからです。
これがアメリカでも日本でも、
あらゆる先進国で、そして新興国でも、
現在進行形で起きていることです。

私利私欲の無条件な肯定は、
コミュニティを破壊するのです。

私利私欲が「神の手」によって調整され、
経済は発展し、全員が豊かになる、
とアダム・スミスは「国富論」で説いたじゃないか!
と資本主義者は主張するでしょう。

しかしこれは「国富論」の「誤読」だ、
とニーバーは指摘します。
アダム・スミスは同じ国富論の中で、
「私利私欲は必ずコミュニティを破壊するから、
 蓄財した個人は、
 その財産を自分だけのものと考えず、
 自分だけでなく、広く社会、人類の公益のために、
 おしみなく分け与える義務を負う」
と言っているのです。

資本主義者(リバタリアン)は、
この部分を意図的に読み落とすことによって、
社会を破壊してきたのです。
ニーバーの警告は古くて新しい問題です。
これもいつかもっと詳しく紹介したいけど、
文字数の関係で今日はここまで。
(1,543文字)



●不完全性定理とはなにか ゲーデルとチューリングの考えたこと

読了した日:2019年8月1日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:竹内薫
出版年:2013年
出版社:ブルーバックス

リンク:
https://bre.is/G_eok2Fum

▼140文字ブリーフィング:

翻訳家の竹内薫さんの訳書は、
どれも面白くて好きなんですよね。
ただ、この本はちょっと、、、でしたね。
めちゃくちゃ分かりやすく書こうとしてるんだけど、
それは言葉遣いだけであり、
じっさいはかなり難しい説明になっちゃってる、
っていう感じです。
サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』とかと逆ですね。
ゲーデルの不完全性定理っていうのは、
「公理系が無矛盾であることは、
 その公理系のなかでは証明出来ない」
っていうやつです。
あと、タイトルのチューリングの話っていうのは、
「プログラムがエラーを起こすことを、
 完全に予測して予防するようなプログラムは、
 そのプログラム内では書けない」
っていうやつです。
チューリングはちなみに、
コンピュータの生みの親です。

このふたつはとても大切な定理で、
数学的な証明はかなり難しいんですが、
その背後にある論理というのは、
いわゆる「嘘つきパラドックス」と呼ばれるものだ、
というのがこの本を読んで理解出来ました。

嘘つきパラドックスっていうのは、
「私は嘘しか言いません」
と言っている人は、
果たして嘘つきかそうでないのか?
という問題です。

もし本当に嘘しか言わないのなら、
「私は嘘しか言いません」という言明は、
本当のことになってしまうので矛盾する。
もしこの言明自体が嘘ならば、
彼は本当のことを言う人なので、
彼の言明と矛盾する。

つまり、彼が嘘つきかどうか知るためには、
彼以外の証言者が必要になるのです。
それを数学のことばでやったのがゲーデル、
プログラムの言語でやったのがチューリングだった、
という話ですね。
(652文字)


●世界にバカは4人いる

読了した日:2019年8月2日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:トーマス・エリクソン
出版年:2019年
出版社:フォレスト出版

リンク:
https://bre.is/WNKH4tr9N

▼140文字ブリーフィング:

スウェーデンで85万部売れたそうです。
スウェーデンの人口って1000万人以下ですから、
日本に換算すると1000万部売れた本、
ということになります。

この部数に惹かれて読んでみました。
結果、わりと普通の本でした笑。

人間を
人間関係重視かタスク重視か
積極(外向)的か内向(消極)的か、
という2つの軸で分類すると、
4種類に分けられます。

人間関係重視かつ積極→黄
人間関係重視かつ内向→緑
タスク重視かつ積極→赤
タスク重視かつ内向→青

となります。
これってヒポクラテスの四体液説とほぼ同じなんですよね。
それで、各色の性格を分析し、
相性なんかも分析する、っていう、
日本でときどき流行る血液型性格分析に、
かなり近い話です。

本書について、
近々動画をアップロードする予定です。
ホワイトボードを使って解説します。
お楽しみに。
(340文字)


▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『光の子と闇の子』

コメント:

今週ご紹介した本はどれも面白かったので悩みました。
でも、やはり古典のこちらがめちゃ面白かったので、
ニーバーの神学書を今週の一冊とします。
佐藤優によるあとがきがすごーく良くて、
あれがないと読む意義は半減します。

なぜなら、ニーバーは1944年の時点では、
資本主義陣営をも批判の対象にするような、
深い洞察をしているのですが、
終戦後、東西冷戦が始まると、
とたんにニーバーはアメリカの帝国主義を擁護するような、
「ポジショントーク」を始めます。
佐藤優は『光の子と闇の子』を読んだのが、
神学を志す直接のきっかけになったのですが、
大学入学後、その後のニーバーの本を読み、
「もうこの神学者と関わるのは時間の無駄だ」
と思ったそうです。

ニーバーを批判するチェコの神学者フロマートカは、
ニーバー的なものを
「アメリカキリスト教の宿痾」と呼んでいます。
アメリカのキリスト教って、ちょっと油断すると、
ナショナリズムや侵略や暴力の肯定と結びつく癖があります。
「繁栄の神学」のたぐいもその亜種ですね。

日本のキリスト教もその影響を受けがちなので、
「キリスト教(無印)」と、
「アメリカ教・キリスト派」を分けて考える癖を付けることが、
信仰が変な風にならないために必要だと私は思います。
「本来の神道」と「国家神道」ぐらい違いますから。


▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「今年ベスト10入り決定賞」
『遅刻してくれてありがとう』(下)
『ブラック・スワン』(下)

コメント:

この2冊は年間ベスト級の面白さでした。
シーズン2ではできないかもしれませんが、
次のシーズンでは「本のカフェ・ラテ」コーナーで、
詳しく解説したいと思ってます。

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