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陣内が先月観た映画 2019年8月 『ワンダー 君は太陽』他

2020.02.18 Tuesday

第109号   2019年10月15日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2019年8月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

、、、9月第一週に、
体調不良のため、
「観た映画」を配信出来なかったので、
8月分の「観た映画」を、
今月配信します。


●僕は明日、昨日の君とデートする

鑑賞した日:2019年8月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:三木孝浩
主演:小松菜奈、福士蒼汰
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
https://bre.is/rerPxggWa

▼140文字ブリーフィング:

友人に勧められて鑑賞しました。
「タイムリープもの」で、
二回見たくなる感じの時間のからくりがある作品、
というカテゴライズが出来ます。
こういう構造の別の映画に、
「イニシエーション・ラブ」っていうのがあって、
どちらも好きです。
意図的なミスリードがあったりして、
こういう脚本を書くのって、
楽しそうだなぁと思います。
小松菜奈は良い役者ですね。
(166文字)


●火花

鑑賞した日:2019年8月7日
鑑賞した方法:Amazonプライムで視聴(タブレット)

監督:板尾創路
主演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://bre.is/c6AUA8Ya

▼140文字ブリーフィング:

又吉直樹の小説の映画化です。
言わずと知れた、芥川賞受賞作品ですね。
それを同じ吉本の先輩、板尾創路が監督したのですから
とりあえず見ておきますか、となりますね。
もちろん、ハードルは下げて。

ハードルを下げていたとは言え、
期待を下回りました笑。
小説のような「情緒」がありませんでした。
原作を読めば分かりますが当然、
吉祥寺がロケ地なので、
けっこうなじみのある町並みを映画で見られたのは良かったです。
あと二丁拳銃の川谷の演技も良かったですね。

ただ、いかんせん、
「せつなさ成分」が、小説の10分の1なんですよね。
「切なさ」こそが又吉文学の真骨頂なのに。
エンドロールで、
ビートたけし作詞作曲の芸人賛歌「浅草キッド」を、
桐谷と菅田が歌います。
そこはぐっときました。
(323文字)


●スパイダーバース

鑑賞した日:2019年8月3日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
主演:シャメイク・ムーア
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/m8QWQKBd

▼140文字ブリーフィング:

2018年の世界のアニメーションの賞を総なめにした作品です。
アニメーションの世界で活躍していた、
オタキングの岡田斗司夫がYouTube放送で、
「これを見て本当にショックを受けた。
 嫉妬を通り越して呆然とした。
 日本のアニメは10年置いて行かれた。」
と言っていて興味を持ちました。

この作品には6人のスパイダーマンが登場します。
6人のスパイダーマンがそれぞれ、
多元宇宙(コミック本のメタファーとしての)における、
「唯一のスパイダーマン」という設定なのです。
多元宇宙であることを示すために、
コカ・コーラが「コカ・ソーダ」になっていたりするという表現法は、
村上春樹の「1Q84」において、
警官の所持する銃が高性能になっているという形で
多元宇宙を表したことと似ています。

多分岡田斗司夫が悔しがったのはここだと思うのですが、
映像なのにコミックを読んでいるような「コマ送り感」や、
スクリーントーン、効果音が文字化するなどのギミック、
さらに1920年代から来た白黒のスパイダーマンは、
色盲で常に彼の周囲で風が吹いているだとか、
2100年から来た日本の少女のスパイダーパーソンは
日本のアニメのトーンや世界観が現れていることだとか、
アメリカのコミックの豚のハンマーは重力の法則を無視するとか、
複数の世界観がひとつの画面に収まるという、
すごい野心的なことをしているのです。

ただ、これを味わうにはやはり、
劇場で見ないとすごさが分からなかったな、
と思います。
劇場で見なきゃ駄目な映画、
っていうのが世の中にはいくつかあるのです。

結果、私は2度観ました。
確かにちょっと「次に行っちゃってる」アニメです。
(684文字)



●シュガーラッシュ・オンライン

鑑賞した日:2019年8月29日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:フィル・ジョンストン
主演:ジョン・C・ライリー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/GBTdRjth

▼140文字ブリーフィング:

ピクサー作品なので、
見る前から「80点超え」は確定していましたが、
実際90点を超えてきました。
ゲームやビットの世界を比喩的に現実化する、という意味で、
ちょっと「サマーウォーズ」を思い出したました。
後に本作が『ズートピア』と同じ監督と知って納得しました。
この監督のテーマは、『分断を超えていく』ことなんですよね。
ズートピアは人種間の橋を架ける話だったが、
今回はオンライン派(ヴァネロペ)と、
オフライン派(ラルフ)の間に橋を架け、
折り合いをつける話です。
デジタルネイティブ世代と、
旧世代の世界観の違いは深刻ですが、
本作はそれに対するひとつの答えを出そうとしています。
ピクサーって、いつもテーマがとても深いんですよね。
(306文字)



●ピンポン(アニメ)

鑑賞した日:2019年8月8日
鑑賞した方法:Amazonプライムで視聴(タブレット)

監督:湯浅政明(原作、松本大洋)
主演: 片山福十郎
公開年・国:2014年(日本)
リンク:
https://bre.is/adj6Va6P

▼140文字ブリーフィング:

『ピンポン』は、
2002年の実写版(宮藤官九郎監督)を見て大好きになり、
その後松本大洋の原作を読んで、
今度はそれきっかけで松本大洋のファンになり、、、
という、私の20代に大きな影響を与えた作品です。

その『テレビアニメ版』がこちら。
Amazonプライムで見られるのでさほど期待せずに見たのですが、
めちゃくちゃ良かったですね。

スマイルの「おかえり、ヒーロー」のシーンは、
スラムダンクで言う「バスケがしたいです」
と同じで、何度見ても泣いちゃうくだりなのですが、
電車の中でこのシーンが来たとき、
油断して泣いてしまいました。
(もちろん周囲にはばれてません)

宮藤官九郎の映画版と匹敵するか、
それをしのぐような力作でした。
オープニングソングとエンディングソングがある、
テレビアニメのわくわく感を久々に味わいました。
(350文字)



●ワンダー 君は太陽

鑑賞した日:2019年8月10日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(399円)

監督:スティーブン・チョボルスキー
主演:ジュリア・ロバーツ他
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/FHfpvpT9

▼140文字ブリーフィング:

これは前々回(?)のQ&Aコーナーで説明したので、
詳細は割愛します。

ただの「障害者」によるお涙ちょうだい映画ではなくてビビりました。
本人の視点、姉の視点、本人の友達の視点など、
複眼的に同じ出来事を追っていく、
「ナラティブセラピー」の話だったのです。
かなり度肝を抜かれましたね。
最後のシーンは落涙しました。
超お勧めです。
(159文字)



●デトロイト

鑑賞した日:2019年8月5日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:キャサリン・ビグロー
主演:ジョン・ボイエガ
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/cvVZKHgx

▼140文字ブリーフィング:

めちゃくちゃ評判が良く、
アカデミー賞候補と称された映画でもあったので、
ずっと見たかったんですよね。

1967年の「デトロイト暴動」というのがあります。
40名を超える死者、
1000名を超える負傷者を出した暴動事件で、
スラム化したデトロイトの中心部で、
「黒人が白人の命を狙っている」というデマを、
警察官までが信じ込み、
州兵まで投じて鎮圧された暴動事件で、
その背後にはアメリカ社会を根深く浸食する「レイシズム」があります。

その際に実際に起きた、
「白人警官による無実の黒人の監禁・暴行・射殺事件」
というのがあります。
裁判でなんと白人警官は無実になるのですが、
その事件の生存者(居合わせた白人女性)から、
監督が話を聞き、事実をもとに再構成したのが本作です。

40分にわたる監禁シーンは、
「映画史に残る長尺の緊張シーン」ですし、
レイシズムが吹き荒れる、
トランプ以降のアメリカ社会を、
鋭く批判する形になっており、
非常に優れた映画作品です。
圧巻でした。

本作に登場する白人警官役の、
「頭の悪さの表現」が卓越していました(褒め言葉)。
あの頭の悪さは★5つです。
ある人の「IQの低さ」と、
人種差別傾向および右翼傾向が正の相関関係にある、
というのは最近の研究で明らかになってきているのですが、
映像でそれを見事に表現してくれています(褒め言葉)。
(558文字)



●1987

鑑賞した日:2019年8月12日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:チャン・ジュナン
主演:キム・ユンソク
公開年・国:2017年(韓国)
リンク:
https://bre.is/hQMXkcZE

▼140文字ブリーフィング:

韓国で1987年にじっさいに起きた、
民主化デモの話です。
今の香港でのデモと非常に近しいという意味で、
非常に現代的なテーマです。
ところがこの映画を見たのが鬱の最中だったからか、
あまり内容を覚えていません笑。
(102文字)



●ギフト 僕が君に残せるもの

鑑賞した日:2019年8月26日
鑑賞した方法:Amazonプライム(タブレット)

監督:クレイ・トゥイール
主演:スティーヴ・グリーソン(ドキュメンタリー)
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/tGSkb4gd

▼140文字ブリーフィング:

Netflixとか、
Amazonのオリジナルコンテンツって増えてるじゃないですか。
Amazonオリジナル映画の『ジョナス・ブラザーズ』を7月に見て、
私はかなり衝撃を受けました。
たしかNetflixオリジナル映画の、『ローマ』が、
ベネチア映画祭の金獅子賞を取ったんですよね。

本当に、あと10年ぐらい経ったら、
世界最大の映画会社は、
20世紀FOXとかワーナーとかじゃなく、
NetflixとかAmazonになるかもしれないですよね。

、、、で、こちらもAmazonオリジナルコンテンツです。
「グリーソン」が原題。
ALSを煩ったじっさいのアメフト選手のドキュメンタリーです。
これも鬱であまり覚えていませんが、
めちゃくちゃ良かったことだけは覚えています。
素晴らしい映画です。
Amazonプライム会員は全員見た方が良い。
マジで。
泣きます。
(357文字)



●言の葉の庭

鑑賞した日:2019年8月27日
鑑賞した方法:Amazonプライムで鑑賞(タブレット)

監督:新海誠
主演:入野自由
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
https://bre.is/MDrddKnH

▼140文字ブリーフィング:

ジムのマシンで走りながら見ました。
『君の名は』の、新海誠監督の過去作品です。

これも鬱であまり覚えていないんですよね笑。

町山智宏さんがポッドキャストで言ってたんですけど、
新海誠監督のアニメーションって、
「情景描写の快楽」がその本質にあります。
引き戸が「ガラガラ」って音を立てて動く様、
東京の街の喧騒の中、革靴が駅のホームにたてる音、
満員電車の「ガタン・ゴトン」となる音と車窓から見える風景、
そういったものを「現実を超えた現実感」で描くことによって、
見ている側はなんとも言えない快楽を覚える。

そこにストーリー性は実はあまりいらなくて、
その「情景の描写」そのものの奥に、
鑑賞者はいろんなものを読み取る。

これって、実は「俳句」であり「和歌」なんだ、
って町山さんが言ってて、
「あぁ、なるほど」と私は思ったんですよね。
「古池や 蛙飛び込む 水の音」
ってそういうことでしょ。

アニメが俳句に似ているんじゃなくて、
実は逆なんだ、と町山さんは言います。
短歌や和歌や俳句のほうが逆に、
「アニメーション」なんだ、と。

新海誠監督は、大学の国文科を出ています。
本作にも「和歌」が登場します。
つまり彼は、和歌の伝統を、
アニメーションで表現しようとしている人なのです。
彼のやってることこそ、「現代の歌人」なのだと。
つまり新海誠って、手塚治虫とかではなく、
松尾芭蕉とかと同じカテゴリーに入れるべき人なのです。

その和歌性が全面に出ているのが本作でした。
なんか、新海誠の本質に迫った気がして、
けっこう満足しました。
(636文字)



●SUNNY 強い気持ち 強い愛

鑑賞した日:2019年8月24日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(500円)

監督:大根仁
主演:篠原涼子他
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://bre.is/qFa67Vdv

▼140文字ブリーフィング:

これがねぇ。

良かったんですわ。

思ってたのの1.5倍ぐらい良かったです。
この映画、韓国映画の日本版リメイクなのですが、
大根仁監督は、主題をちょっとずらすことで、
違う価値を付け加えることに成功しています。
韓国の原作は『女の友情物語』なのですが、
日本版は「90年代疑似体験ライドもの」という、
新しい要素が加わっています。

小室サウンド、
安室ちゃん、
ルーズソックス、
エアマックス95、
小沢健二と渋谷系、
そういったものが、
ピンと来る世代は、
この映画を見ると、
タイムスリップ出来ます。
遊園地にある「ライドもの」に近いですね。
主人公が「コギャル時代」を思い出すのと同時に、
久保田利伸の「ラ・ラ・ラ・ラブソング」がかかると、
一気に90年代に連れて行かれる感じというか。

これも鬱の直前だからかもしれませんが、
泣きましたね。、、。

「ライドもの」だからといって、
テーマが浅いとかそんなことはなく、
「過去と和解する」映画になってるんですよね。

世代によっては刺さらないかもしれないが、
世代によっては刺さりまくる名作です。
元の韓国映画を見て、
こういう切り口を思いつく大根仁は、
やはりすごいと思います。
(485文字)



●ジェネレーション・オブ・ウェルス

鑑賞した日:2019年8月22日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ローレン・グリーンフィールド
主演:ローレン・グリーンフィールド(ドキュメンタリー)
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/zSorUtPY

▼140文字ブリーフィング:

こちらもAmazonオリジナルの、
ドキュメンタリーです。
「富」をテーマに写真を撮り続けることを、
ライフワークにした写真家のドキュメンタリーで、
美容整形、リーマンショックで犯罪者となった投資家、
ポルノ女優、セレブリティの散在など、
「富」と「競争」と「自己愛」という強迫観念の、
ドツボにはまってしまったアメリカ社会を批判的に描いています。

なんていうか、薄っぺらな資本主義批判とかじゃなく、
「富」はもはや一種の強迫神経症になってて、
それ自体が自己目的化した人にとって、
幸せを最も遠ざけているのが「富という病」というのが、
この映画を見るとよく分かります。
(273文字)



●海の向こう、約束の場所

鑑賞した日:2019年8月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:新海誠
主演:吉岡秀隆
公開年・国:2004年(日本)
リンク:
https://bre.is/3AjjnQ2U

▼140文字ブリーフィング:

こちらも、新海誠監督の過去作です。
『言の葉の庭』が、
『君の名は』の「和歌要素」だとすると、
こちらの作品は『君の名は』の、
「パラレルワールド要素」が強いですね。

あと、君の名は、と同じく、
この作品、めっちゃくちゃ「セカイ系」なのですが、
不思議と懐かしさを感じさせる要素があります。
それがパラレルワールドにおいて、
ソ連・北朝鮮に連なる「ユニオン圏」に吸収された、
北海道が「蝦夷」って呼ばれていて、
「蝦夷」に憧れる主人公の声を、
吉岡秀隆がやってるからだと後で気づきました。

彼がモノローグでナレーションすると、
『北の国から』が完成しちゃうんですよね。
吉岡秀隆の声は不思議な魔力があります。
いつまでも聞いていたいと思う。
(304文字)



●ファーゴ シーズン1 【テレビドラマ】

鑑賞した日:2019年8月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ノア・ホーリー(プロデューサー、コーエン兄弟)
主演:マーティン・フリーマン、ビリー・ボブ・ソーントン
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/FrmnxbXC

▼140文字ブリーフィング:

鬱の療養中に見ました。
今まで私は「テレビドラマ」ってダメだったんですよね。
10話とか見なきゃいけないとなると、
1話目を見たくなくなる、というのがあって。

だから私がこれまで見たテレビドラマって、
本当に少ないです。
『北の国から』とかは例外中の例外で、
基本的にはテレビドラマには触ってこなかったし、
「海外ドラマ」なんて一個も見たことがなかった。

ところが今回鬱の療養中に、
気を紛らすことになるかもしれない、
と思って本作を見始めたところ、
全然見れるんですよ。
なので私が生まれて初めて見た海外ドラマは、
『ファーゴ シーズン1』です。

鬱になると、
映画は逆にあまり観たくなくなる。
読書と同じで、けっこう知的エネルギーを使うから。
ドラマだと、なんか「ダラダラ」見られて、
それが良いというのに気づきました。
今回、この作品が、
うつ病の症状を紛らわせてくれました。

救われました。
この作品に感謝しています。

そもそもこの映画、
コーエン兄弟の名作映画『ファーゴ』の、
ドラマ化です。

「映画をドラマ化するなんて、
 意味あんの?」
と私は今まで思っていましたが、
その考えを改めるほどの名作でした。
コーエン兄弟が制作に関わっているだけあり、
「コーエン臭(良い意味で)」が、
ちゃんとあって、なおかつドラマだと、
いろいろ肉付けが出来ることの良さがあるんだなぁ、
と本当に感心しました。
筋書きもほぼ「書き下ろし」と言って良いほど、
映画と関係なく楽しめるし。

あと、海外ドラマの予算の使い方にもたまげました。
町山智宏が言ってたんだけど、
今のアメリカの映画って、
二極化しているそうなんですよね。

一方の極には「世界中でお金を稼がなきゃいけない、
ゼッタイに失敗できないビッグバジェット映画」があります。
スポンサーである中国も喜ばせないといけないから、
スターをじゃんじゃん使って、
CGとかバンバンつかって、
火薬ドカドカ投入して、、、ていう映画になります。

端的にいうと「マーベル」です。
「アベンジャーズ」ですわ。
マーベル系の映画のお客さんって、
実は中国とインドとアフリカと南米です。
ここのマス層に目配せして、
なおかつゼッタイに失敗できない、
となると、あの形を取らざるを得ない。

もう一方の極に、
予算が極端に少ないけど、
アイディア勝負で、
カルト的人気を博することになるような映画があります。
トロント映画祭とかに出品される感じの。

日本でいうと『カメラを止めるな』的なやつね。
こちらはこちらで、
エッジの効いたことをやろうとするから、
犯罪描写が過激になったり、
ゾンビ描写が過剰になったり、
ニッチでコアな層に深く刺さろうとするようになって、
どんどん「キワモノ化」が進む。

そうすると、
真ん中に穴が空くんです。

つまり、
90年代まで、
アメリカ人のボリュームゾーンを楽しませてきたような、
中規模の娯楽映画が、
ほとんど作られない状況が生まれました。

かつてそういった分野で活躍した、
監督や映画作家・クリエイターたちが、
今何をしているかというと、
実はアメリカではテレビドラマの世界で活躍しているのだそう。

アメリカでは「地上波放送」はとうの昔にすたれていて、
オンデマンドのケーブルテレビや、
Netflixなどの個別契約のチャンネルがいっぱいあります。
そこの予算規模は、かつての90年代の映画なみにあります。

タレントのそろい方もすごい。

だから、今本当に面白いものを見たければ、
アメリカのテレビドラマを見ろ、
と言われるのはそういった背景があるのだ、
と町山さんが言っていて、妙に納得したのでした。

、、、が、
いかんせん私はテレビドラマが苦手。

というわけで何年も放置してきたのですが、
病気をきっかけにこの作品を見て、
町山さんが言っていた意味が分かりました。

度肝を抜かれるぐらい面白かった。
そしてレベルが高かった。

本ドラマについての詳述は省きますが、
登場人物「ローン・マルヴォ」のサイコ度は、
過去最高クラスでした。
本当にしびれるほどのサイコパス(褒め言葉)。
素晴らしい!
(1,632文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ワンダー 君は太陽」

コメント:

この映画は本当に素晴らしかったです。
障害者をテーマにした映画で、
「君は太陽」ときたら、
なんか「教育委員会推奨!」みたいな、
「さわやか3組(懐かしい)」みたいな、
そういう、道徳の押し売りみたな作品を想像するじゃないですか。

これが全然違うんだわ。
「太陽」っていうのは、「太陽系」っていう意味で、
家族における「太陽」になっちゃう、
病気を抱えた子どもと、
それを取り巻く惑星の物語なわけですよ。

「世界を複眼的・立体的に見る」
ということを学べる映画です。


▼主演(助演)男優賞
ビリー・ボブ・ソーントン(ファーゴ シーズン1)

コメント:

ファーゴ シーズン1の、
ローン・マルヴォのサイコパス度は、
完成の領域でしたね。
是非、浦沢直樹『MONSTER』の、
ヨハンと対決させたい。

同じコーエン兄弟の、
『ノーカントリー』という名作があり、
そこにも、シガーというサイコパスが登場します。
彼を超えるサイコパスはいないと思っていましたが、
匹敵する奴が現れました。

関わった人間がすべてこの世から消えていく。
ローン・マルヴォから目が離せません。


▼主演(助演)女優賞
篠原涼子(SUNNY)

コメント:

SUNNYは、
女性の群像劇で、
しかも時代が現代と90年代にまたがるため、
たしか6人組×2セット、
役者が必要になるんですよね。

当時の女子高生ですので、
現代はアラフォーになっているわけですが、
現代パートを篠原涼子とか渡辺直美とかがやって、
90年代パートを広瀬すずとか若手の女優たちがやるわけです。

よって役者は12人(じっさいは11人)必要になり、
相当混乱すると思うじゃないですか。
しかも本人が演じているわけではないので、
渡辺直美のように、体格的特徴があれば、
10代パートのその子が、
渡辺直美の過去だとすぐ分かるのですが、
それ以外はとても混乱しておかしくないのです。

篠原涼子の10代が広瀬すずとか、
ちょっと「すんなり」は入ってこない。
これを、大根仁はヒップホップ的サンプリング手法にも似た、
編集技術と語り口のうまさで切り抜けてるんです。

これって、実は言うほど簡単じゃない。

こういうのを並の人間が脚本すると、
「茶髪」とか「腕に傷がある」とか、
「いつも同じスカーフを付けてる」とか、
「こいつは語尾にいつも『っしょ』をつける」とか、
そういったわかりやすい「記号」で、
10代パートとアラフォーパートを、
「色分け」してしまうんです。

でも、それって「漫画的手法」であって、
映画でそれをやられると、
かなり「嘘っぽさ」や「安っぽさ」が出る。

大根監督はそこんとこ、
めちゃくちゃ上手くやってます。

この手の、登場人物が複数入り乱れると、
脳内で混線が起きる私のようなタイプですら、
すっきり理解出来たのだから間違いありません。

そんで、篠原涼子ですよ。

忘れてました。

彼女をこの物語の「軸」に持ってくるあたり、
大根監督はさすがだな、と思うんです。

作品内ではいっさい触れられませんが、
小室サウンドやコギャルファッションと並び、
90年代の若者文化の、「裏のアイコン」は、
何だったかというと、『ダウンタウン』です。
『ダウンタウンのごっつええ感じ』は、
90年代に放送され、その後の日本の大衆文化を変えてしまった、
と言って良いほどのインパクトを与えているわけです。

そのレギュラーメンバーであった、
篠原涼子をこの位置に持ってくるというのは、
大根監督の確信犯的な所業だと私は考えます。

めっちゃくちゃしっくり来ますから。
現在の彼女が、90年代を振り返る、
という構造が。


▼その他部門賞「アメリカのテレビドラマはヤバい賞」
「ファーゴ シーズン1」

コメント:

先ほど語ったとおりです。
私はこれを皮切りに、
アメリカのテレビドラマに、
「開眼」しました。
私の新たな扉を開けてくれた作品です。
すげーな、海外ドラマ。
ただ、健康時には、
本読んだり仕事したり、
各地に出かけたりミーティングしたり、
忙しいので鑑賞する時間がとれるかどうか、
不明ですが。