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2019年版・陣内が今年読んだ本ベスト10(10〜8位)

2020.04.20 Monday

第118号  2019年12月17日配信号

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■2 2019年版・陣内が今年読んだ本ベスト10(10〜8位)
お待たせしました、年末特別企画です。
普段私は読んだ本に点数をつけたりランキングしません。
ランキングすることで切り捨てられる大切なものがあるからです。
なので、この企画は「年に一度だけ」の特別企画です。
前編は10位〜8位まで、
中編は7位〜4位まで、
後編はベスト3のカウントダウン形式で、
ご紹介していきます。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●第10位 ティール組織

読了した日:2019年11月16日 
読んだ方法:図書館で借りる

著者:フレデリック・ラルー
出版年:2018年
出版社:英治出版

リンク:
https://bre.is/DHKshut7

▼140文字ブリーフィング:

こちらは先週紹介したばかりなので、
記憶が新鮮です。
けっこうこういう「年間ランキング」って、
じつは「後半のほうが有利」なんですよね。
記憶に焼き付く度合いが強いわけで。
そういうバイアスを排除しようしようと思って、
今年1年間に読んだ本のなかから、
純粋に面白かった10冊を選んだつもりではいます。

『ティール組織』をなぜそれでも選んだかというと、
なんか、今後じわじわ内容が響いてきそうだなと、
直観しているからです。

「自己組織化」と「自主経営」がキーワードです。
この数年で読んだビジネス書的な本でダントツに面白かった二つが、
ナシーム・ニコラス・タレブの『反脆弱性』と、
ミハイル・チクセントミハイの『フロー体験』だったのですが、
この二つの内容を「組織」という共通項で因数分解すると、
『ティール組織』になる感じがします。

何のことかわからないですよね。

チクセントミハイは、
「内発的動機付け」を重視します。
産業構造が変わり、
仕事の内容が単純作業やアルゴリズム作業ではなく、
創造的・創発的なものになっていくとき、
その動機付けは「アメとムチ」ではなく、
「内発的」になるべきだと彼は論証するのです。

タレブは、「未来が読めない不確実な現代」において、
唯一の取り得るべき戦略は、
「バーベル戦略」だと言います。
つまりそれは、
「確実に業績を上げられること」と、
「実験的なパイロットプロジェクト」の、
組み合わせにあると。

内発的動機付けと、
バーベル戦略、
この二つを可能にする組織的な構造、
ということになると、
それは「ティール組織」になるのではないかと、
私は思ったわけです。

最後の部分で著者は、
組織がティールになるだけでなく
社会全体もティールになる未来を「予言」します。
いや、そのような未来を作っていかねばならない、と。
なぜか?
「経済成長」の「最後のボトルネック」である、
「環境負荷」がもう限界に来ているからです。
「ゼロ成長社会」は歴史の必然だと著者はいいます。
環境負荷を計算に入れてしまえば、
経済成長というのは、
「未来からの前借りをGDPと呼ぶ行為」だからです。
そして「自然界の生態系に似ているティール組織」は、
「本能」によってそれらを防ぐであろう、と。

最後に私の大好きな経営者のひとり、
patagoniaのイヴォン・シュイナードの言葉が引用されているので、
それを引用します。
彼のいっていることは、
私が今年の6月に参加した、
フィリピン・マニラでのGlobal Workplace Forumでの、
「Business is Mission」と全く同じでした。

→P333〜334 
〈私はもう50年近くビジネスマンをやってきた。
自分を「アル中」あるいは「弁護士」であると
認めたがらない人がいるのと同じように、
私は自分が「ビジネスマン」なんて、
なるべくなら認めたくない。

私はこの職業を尊敬したことがない。

自然の敵となり、自然の文化を破壊し、
貧乏人から奪い、金持ちに与え、
工場からの排出物で地球を汚すという
批判を受けなければならないのは、まずはビジネスだからだ。

しかし一方で、ビジネスは食料を生産し、
病気を治し、人口を抑制し、人々を雇い、
大体において人々の生活を豊かにしてくれる。
そして、自分たちにとって大切なものを失わずに、
こうした善行を積み上げて利益を上げることも出来る。〉
(1,358文字)



●第9位 勝利者キリスト

読了した日:2019年10月30日
読んだ方法:山田和音君に借りる

著者:グスタフ・アウレン
出版年:1982年(原著初版1930年)
出版社:教文館

リンク:
https://bre.is/u2ubhgZb

▼140文字ブリーフィング:

こちらも最近紹介したばかりですね。
「贖罪論」の歴史をたどり、
「古典的贖罪思想」が、
現代によみがえる必要がある、
ということを論証している本です。

現代のキリスト教会で主流の贖罪論は、
カトリックもプロテスタントも、
「ラテン型」と呼ばれるものである、
というのはこの本を読むまで知りませんでした。
「ラテン型」の顕著な特徴は、
「論理整合性」です。
そして贖罪が「法律の類比」で語られることも、
この贖罪思想の特徴です。

曰く、
「私たちは神の前に有罪だ。
 正しい審判者である神は、
 有罪な者を無罪とすることはできない。
 キリストは私たちの罪を十字架で、
 『代わりに担って』くださった。
 だから私たちは信じるなら、
 神の前に無罪を宣言される。」
というやつです。

クリスチャンなら1万回ぐらい聞いたことがあるでしょう。

では「古典的贖罪思想」とは何か?
それは救済を、
「神と悪魔との戦い」の類比で語ります。
そこでは「論理整合性」や、
「法的な適合性」が若干犠牲になります。
つまり、神は「法を守る方」ではなく、
「法を超越される方」になるのです。

そして悪魔とその力の根拠である「罪と死」が、
神の愛の故に、キリストによって制服され、
私たちはその勝利にあずかるのです。
この「救済の物語」の違いは、
じつは私たちの信仰の質の違いにもなってくる。

良い神学書を読むと、
「世界が文字通り広がる」体験をします。
「自分が真理のすべてだと思っていたものは、
 真理の一部に過ぎなかった」と。
つまり、神の広さ、高さ、長さ、深さを知るのです。
良い神学とは、それにより神を知り愛するようになる神学です。

「神学など必要ない」と、
豪語するクリスチャンがたまにいますが、
その人の信仰の天井はたかが知れているでしょう。
いずれ頭打ちになります。
理由は、深さがなくなるから。
薄っぺらいままの信仰で渡りきれるほど、
現在の信仰者を取り巻く現状は甘くないのです。
(661文字)



●第8位 量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突

読了した日:2019年1月26日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:マンジット・クマール(青木薫訳)
出版年:2017年
出版社:新潮文庫

リンク:
https://goo.gl/M2aRij

▼140文字ブリーフィング:

自然科学系の本とか、
物理学・数学系の本を読むのが大好きです。
本書はそのような本の中でも、
数年前に夢中になったサイモン・シンの、
『フェルマーの最終定理』に匹敵する面白さでした。

「量子論」ってじつは、
現代世界を読み解くのに「必須科目」のひとつなのですよね。
じっさい、現代の優れた創作物、
つまり映画や小説の中に、
量子論や多元世界を扱ったものが多いのは、
そういった背景があります。

『アベンジャーズ エンドゲーム』も、
量子論による多元世界が出て来ますし、
アカデミーのアニメ部門を総なめにした
『スパイダーマン スパイダーバース』は、
多元宇宙の話です。

「パラダイム」という言葉の生みの親、
科学史家のトーマス・クーンは、
「天動説から地動説への変化」
「ニュートンの古典力学から、
 アインシュタインの相対性理論への変化」
をもって、「科学におけるパラダイムの転換」と表現しました。

パラダイムが変わるとき、
人々の「世界の見方」が変わります。
古典力学から相対性理論への変化は衝撃です。
「時間と空間は不変」から、
「時間と空間は相対的だ」に変わるのですから。

唯一変わらないのは「光の速度=c」だというのを、
アインシュタインは発見したわけです。
この発見がなければカーナビも使えないし、
ポケモンGOも、ドラクエウォークもありません。
人工衛星からGPS信号は、
「時間と空間のゆがみの補正」をしなければ、
正確な位置情報を知らせることができないからです。
「絶対時間・絶対空間」のパラダイムからは、
GPSは生まれないのです。

「量子論」とは、ではいかなるものか?
「相対性理論」という物理学の体系が前提とする、
「宇宙は観測可能な実在からなる」という事実を疑うのが、
量子論です。

「観測するまで、光子などの微粒子は、
 『AかBかどちらかの状態で存在している』」
というのです。
「シュレーティンガーのネコ」っていうやつです。
放射性同位体を使った思考実験の箱の中で、
ネコは「生きた状態と死んだ状態が半々に存在している」
というたとえで有名なやつ。

観測したときにはじめて、
位置や状態が確定する。
それまで光子や放射性同位体は、
「Aの可能性とBの可能性を、
 数%ずつ含んでいる状態にある」というのです。
そして観測によってAと確定したとき、
その「確定」は、
何万光年も離れた粒子の状態に影響を与える、
というのです。

もはやSFの世界ですが、
これ、実験室での実験に成功しているのです。

そうすると、
影響を与えた光子と、
影響を受ける光子の間で、
「光の速さを超える速度で情報が伝達された」
ことになる。

そんな「ブードゥー教の魔術」みたいなことが、
世界に起こるはずはない、
といってアインシュタインはボーアに反対しました。
有名な「神はサイコロを振らない」という言葉は、
ここで生まれます。

しかしその後の数々の実験で、
「どうやら神はサイコロを振るらしい」
という証拠のほうが多くなってきた。

これは「実在とは何か」に関する、
20世紀までの前提を揺るがすことになります。
つまり、超微細な世界では、
物事は「確率に支配される」のであって、
「因果関係に支配される」わけではない。

これって実は、
さっき紹介したティール組織の話とちょっと関係がある。
量子論の世界から派生した物理学の分野に、
「複雑系の科学」があります。
複雑系というのは、
「アマゾンで蝶が羽ばたくと、
 テキサスで竜巻が起きる」
という比喩が有名ですが、
「因果関係で説明できないことが証明されている」世界です。
「予測と統御」が成り立たない。

非複雑系は「機械の比喩」で語れます。
ジャンボジェットのようなもので、
ひとつのパーツの影響は、
因果関係で予測できる。
ところが複雑系は、
「ボウルいっぱいのスパゲッティ」のようなものです。
一本のスパゲッティを抜くと、
任意のもう一本に何が起きるか、
「誰も予測できないということが数学的に証明されている」
のです。

そこにあるのは「確率」だけです。
世界は今後ますます、予測と統御が成り立たなくなり、
確率が支配するようになる。
つまり「量子論的な世界」になるのです。

、、、だとしたら、
そこで有効な組織形態は、
「自己組織化・自己進化」できる形態になる。
予測と統御のパラダイムに基づく、
「リーダーシップ/マネジメント」という概念は、
無用の長物どころか、
足を引っ張るようになる、というのです。

実は社会や経済や政治の「思想」って、
物理学の世界でのパラダイムシフトが、
それに先行して起きることが多いんですよね。
自然科学と社会科学は繋がっていて、
互いに影響し合います。
自然科学のパラダイムシフトが、
多くの場合先行するので、
自然科学に詳しいと、
社会科学にも強くなります。
(1,891文字)



●番外編

ここからは、惜しくもベスト10入りを逃した、
それでもかなり面白かった本を紹介していきます。
文字数が際限なく膨らむのを防ぐため、
こちらは有名無実と化している「140文字」の制約を、
きっちり守りつつ。


●ファシスト的公共性

読了した日:2019年1月11日
読んだ方法:義理の兄から誕生日プレゼント

著者:佐藤卓己
出版年:2018年
出版社:岩波書店

リンク:
https://goo.gl/Lutsqp

▼140文字ブリーフィング:

現代は「ポピュリズムの時代の再来」
と言われています。
20世紀初頭のヒトラー、ムッソリーニらの台頭と、
同じ事が繰り返されている。
歴史は繰り返す、とヘーゲルは言いましたが、
それがじっさいに起きている。
本書は過去の事例を引きながら、
現代を再解釈させてくれる良書です。
(130文字)



●ぼぎわんが、来る

読了した日:2019年2月9日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:澤村伊智
出版年:2015年
出版社:角川書店

リンク:
https://goo.gl/eDGqu4

▼140文字ブリーフィング:

映画化されたことで本作を知りました。
本書を読んでから澤村伊智にちょっとハマりました。
スティーブン・キングがそうであるように、
ホラー小説って、じつは現実の社会の批判になっています。
澤村さんも同じで、彼は現代社会の機能不全家族を、
ホラーという容れ物によって批判しようとしています。
(138文字)



●死にがいを求めて生きているの

読了した日:2019年11月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:朝井リョウ
出版年:2019年
出版社:中央公論新社

リンク:
https://bre.is/ksgC8JDt

▼140文字ブリーフィング:

20代のときにこれを書いている、
朝井リョウさんの才能に驚愕しました。
1980年代以降生まれの人は特に、
彼が書いたものを読んだ方が良いと思います。
あと、1970年代生まれ以前の人々が、
現代の若者の皮膚感覚を知るためにも、
非常に有用な資料になります。
(123文字)