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2019年版・陣内が今年観た映画ベスト10(7〜4位)

2020.04.28 Tuesday

第119号  2019年12月24日配信号

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■3 2019年版・陣内が今年観た映画ベスト10(7〜4位)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Amazonプライムに入会してから、
月に平均すると10本ぐらいの映画を観るようになりました。
電車やバスや新幹線で、本を読む代わりに、
タブレットで映画を観るようになって、
飛躍的に映画を観る本数が増えました。
映画は小説と同じで「他人の靴を履いて人生を歩く」、
という「疑似体験」を与えてくれます。
本と同じくランキングはあまり好きじゃないので、
年に一度だけの特別企画です。
「今年読んだ本」と同じく、
前編で10位〜8位、中編で7位〜4位、後編でベスト3を紹介します。
皆様の映画選びのお役に立てれば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●第7位 『葛城事件』

鑑賞した日:2019年1月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:赤堀雅秋
主演:三浦友和
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/d/bURhe3A

▼140文字ブリーフィング:

これは面白かったです。
三浦友和の「怪演」でしたね。
ヤバかった。

秋葉原の殺傷事件、
池田小学校の詫間容疑者、
神戸の「酒鬼薔薇聖斗」事件、
こういった無差別殺傷事件というのは、
平成に幾度も繰り返されました。

こういう事件があるたびに、
「家族は何をしていたんだ!?」
という流れになるのを、
私は良いとは思いません。
それが行き着く先には、
「家族連帯責任論」みたいのが出て来て、
追い詰められた家族は自殺をしたりする。
あと、元事務次官が息子を殺傷した練馬の事件のように、
追い詰められた親が子どもを殺傷したりする。
「親が子どもを作る」というのは事実ですが、
それは事実の半分です。

親に何の落ち度もなくても、
子どもが凶悪犯になることはあり得ます。
ある種の凶悪殺人犯って、
脳に何らかの器質的な異常があることもわかっている。
それを踏まえずに家族ばかり追求すると、
「あの人が障害者なのは、
親が何か罪を犯したのでしょうか?」
という、ヨハネ9章でイエスが完全に否定している、
「因果応報論」に陥ってしまう。

これは本人もその家族をも追い詰める行為です。

、、、という前置きをした上で、
それでも「機能不全家族」がときに、
「モンスター」を生んでしまうことがあるのもまた事実。
秋葉原の殺傷事件の青年は、
大人から褒められたことが一度もなかったと言いますし、
池田小学校の詫間容疑者は幼少期に虐待されていたといいます。

そんな「機能不全家族」が、
どのように凶悪犯を「生む」のか、
それを架空の物語で描き出したのが本作です。
これを観ると、ダガーナイフで殺人をする息子より、
団塊の世代のその親の葛城氏(三浦友和)のほうが、
もっともっと恐ろしいことがわかる。

男尊女卑、DV、無駄に高いプライド、
二言目には「日本人のほこり」、
正論で人をなじる、能力が低い、、、
などの「駄目な団塊世代」を煮詰めたような葛城氏が、
「家族の力学」を崩壊させ、その結果長男は自殺し、
引きこもりの次男は無差別大量殺人の犯人となっていきます。

この映画を鑑賞中、
「家族という地獄」という言葉が
ずっと心に響いていました。
長男にとっては自殺することが、
次男にとっては犯罪を犯して刑務所に入ることのほうが、
「この地獄のような家族」のなかにいるよりは、
マシだったんじゃないかとすら、
不思議と思えてくるのです。
その「地獄の創造主」は、
三浦友和演じる葛城家の「父」なのですが、
マジでこの人物は、
思い出すだけで胸くそ悪くなります(つまり映画として最高)。
(1,010文字)



●第6位 『シェフ 三ツ星フードドラックはじめました』

鑑賞した日:2019年1月10日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョン・ファブロー
主演:ジョン・ファブロー
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/d/3MdNVbc

▼140文字ブリーフィング:

アベンジャーシリーズの怒濤のヒットの「皮切り」となった、
『アイアンマン』第一作の監督である、
ジョン・ファブローが監督かつ主演している映画です。
なので豪華脇役が凄いです。
スカーレット・ヨハンソンとか、
ロバート・ダウニー・Jrらがちょい役で出演しています。

この映画は、
料理シーンがとにかくセクシーです。
色、音、質感、手さばき、
料理のシーンだけで、
マジでずっと観ていられる。

食べ物が全部、
本当に本当に美味しそうで、、、。
「飯テロ映画」です。
減量中の人は観ない方が良いと思います。

それだけじゃなくて、
「三つ星レストランのチーフシェフ」の主人公が、
立場は安定しているが、
オーナーの都合で流行に迎合的なものをつくらされたりして、
「自分のやりたい料理」を追求できないことを不満に、
そこを「退職」し、
フードトラック(屋台)で全米を旅しながら、
クッソ美味い料理を人々に提供しつつ、
息子やお客さんとの交流を深める、、、
というのは、実は彼自身の話でもある。

ジョン・ファブローは、
アイアンマンというビッグバジェット(大予算映画)を、
成功させてしまったことで、
皮肉なことにどんどん自分がやりたいことができなくなっていきます。
いろんなプロダクションやスポンサーの言うことを聞く、
中間管理職みたいになっていく。

彼は「自分の撮りたい映画を撮る!」
っていって、半ば自主制作みたいな形で、
自分が主演して本作を撮ったのです。
つまり本作は、彼にとっての「フードトラック」
そのものなんですよね。
素晴らしい映画でした。
物作りをする人は、
きっと心と胃袋が熱くなることでしょう。
(638文字)



●第5位 『ヘレディタリー 継承』

鑑賞した日:2019年5月8日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:アリ・アリスター
主演:トニー・コレット
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2Y0AQ6Z

▼140文字ブリーフィング:

私が私淑する、ライムスター宇多丸が、
「2018年年間映画ランキング」で、
第一位にこれを選んでたので、
「そりゃ観るっしょ!」
というわけで鑑賞しました。

ホラー映画の新たな金字塔が出来た、
と宇多丸さんは言っていますが、
それは正当な評価だと思います。

過去の作品のホラー技法を備えつつ、
自分のものとして昇華しています。
ホラー映画は新しい領域に突入した感じがします。
実はこの映画自体が、
監督自身のセラピーになっている、
と監督は別の場所で語っているそうです。

そして映画の主人公の女性は、
「箱庭を作ることで自分を癒やす」人です。
先ほどの『シェフ』もそうですが、
現実世界と作品が、
そんなふうに入れ子構造になっている作品が、
どうやら私は好きなようです。

とにかく度肝を抜かれ、
思わず2回観ちゃいました。
脚本がすごーく良くできています。
ちなみにAmazonレビュー平均はあまり良くない笑。
私はだからAmazonレビューを信頼していません。
あの手のものにあまり重きを置くと、
「自分が何が好きか」がだんだんわからなくなってきます。

自分の感覚を信じた方が吉です。
経験的に、
「5」と「1」の評価がすごーく多くて、
平均すると3前後ぐらいの評価になっている映画が、
私が一番好きなタイプの映画に多い感じですが、
それもまた頼りにするとハズすことがあるというね笑。

話がそれましたが、
この映画、観た後に最悪な気分になります(褒めてます)。
(596文字)



●第4位 『サーチ Search』

鑑賞した日:2019年3月9日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル視聴(399円)

監督:アニーシュ・チャガンティ(インドネシア人監督)
主演:ジョン・チョー
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://goo.gl/XJzKax

▼140文字ブリーフィング:

この映画は、単純にめちゃくちゃ面白かったです。
「ユージュアルサスペクツ」という、
サスペンス映画の名作があります。
観てないという人はまさかいないと思いますが笑、
もし観ていなければ今すぐに観ましょう。
あれは本当に名作なので。

本作は、「全篇ユージュアルサスペクツ」
という感じです。
観たことある人には何のことか分からないでしょうが、
「ユージュアル・・」観たことある人には分かると思います。
「マジで!そんなことできるの!?」
って思うでしょ。

できるんです。

この映画は、
「人生のすべてが『記録』されるSNS世代」
というギミックを使うことで、
観る人を本当にハラハラさせ続けることに成功している。
あと、ネット社会というのが、
「複数の文脈を引き受ける」ということなんだ、
というのもよくわかります。
すべてがパソコンの画面内で進行する、
という思い切った演出をすることで、
「我々はこういう時代に生きているんだ」
ということをよりよく知らせてくれる作品でもあります。

予算は低いはずなのですが、
ビッグバジェット映画以上にハラハラできます。
ワンアイディアでここまで面白くする。
私が映画監督だったら、
こういう作品を作ったときが、
一番「気持ちいい」だろうなーと思いながら観ました。
(518文字)