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2019年版・陣内が今年観た映画ベスト10(3〜1位)

2020.05.05 Tuesday

第120号(最終号)  2019年12月31日配信号

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■3 2019年版・陣内が今年観た映画ベスト10(3〜1位)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Amazonプライムに入会してから、
月に平均すると10本ぐらいの映画を観るようになりました。
電車やバスや新幹線で、本を読む代わりに、
タブレットで映画を観るようになって、
飛躍的に映画を観る本数が増えました。
映画は小説と同じで「他人の靴を履いて人生を歩く」、
という「疑似体験」を与えてくれます。
本と同じくランキングはあまり好きじゃないので、
年に一度だけの特別企画です。
「今年読んだ本」と同じく、
前編で10位〜8位、中編で7位〜4位、後編でベスト3を紹介します。
皆様の映画選びのお役に立てれば幸いです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●第3位 ワンダー 君は太陽

鑑賞した日:2019年8月10日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(399円)

監督:スティーブン・チョボルスキー
主演:ジュリア・ロバーツ他
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/FHfpvpT9

▼140文字ブリーフィング:

こちらは凄い映画でした。
遺伝的に「顔が変形している」主人公オギーを巡る物語です。
ただの「障害者」によるお涙ちょうだい映画だと思って鑑賞すると、
吹っ飛ばされます。

「障害」をめぐり、
本人の視点、姉の視点、本人の友達の視点など、
複眼的に同じ出来事を追っていく構成になっている、
「ナラティブアプローチ」の話なのです。

「よにでしセミナー」で養われる、
「複眼的視角」「批判的思考力」などを、
この映画を観ることで養うことができます。
そして最後のシーンは、
普通に涙を流して泣きました。
(235文字)



●第2位 トイストーリー4

鑑賞した日:2019年11月9日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:ジョッシュ・クーリー
主演:トム・ハンクス
公開年・国:2019年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/sTAkrkY2

▼140文字ブリーフィング:

こちらもヤバイぐらい面白かったです。
見た後にずっと考えてしまう。
「ピクサー脚本、どんだけすげーんだ」
と、ため息がでます。

『トイ・ストーリー』って、
バズとウッディというおもちゃの話でもなければ、
子ども時代のおもちゃって懐かしいよね、
というような話でもありません。

バズとウッディというのは、「比喩」なのです。

何の比喩かというと、
「子育て中の親」であり、
「消費者に飽きられない努力をするクリエイター」であり、
「事業環境の変化に変化を迫られる労働者」の比喩です。
見る人によって見え方は違いますが、
本作では「親」としてのウッディの側面が、
非常に強く出ました。

「空の巣症候群」という言葉があります。
子どもが大学生になったり社会人になり、
自分の家を離れて独り立ちしていくとき、
子どもを育て終わった夫婦は、
「やけに広くなった家」に戸惑う、
という状態です。

そのときというのは多くの夫婦はちょうど、
「中年の危機」と呼ばれるライフステージとも重なっていて、
「自分たちは誰からも必要とされないのでは?」
「さて、私たちはこれからどうやって生きていけば?」
という「虚空に投げ出されたような」状態になる。
その「魂の危機」を、どうやって切り抜け、
そして未来を拓いていくことができるのか?
というのは古くから文学のテーマにもなってきた大問題です。

トイストーリー4を見るとき、
それを追体験し、
説教くさくない形で、
そのヒントをつかむことができるようになっている。
分厚い思想書を読むより、
もしかしたら濃密な学びになるかもしれません。

動画でも解説しましたので興味あるかたはこちらをクリック↓
https://youtu.be/llK5hyxx0SQ
(701文字)



●第1位 ジョーカー

鑑賞した日:2019年10月30日
鑑賞した方法:TOHOシネマズ新宿にて鑑賞(1900円)

監督:トッド・フィリップス
主演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ他
公開年・国:2019年(アメリカ)
リンク:
http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

▼140文字ブリーフィング:

予測できていたと思いますが、
注目の第一位は『ジョーカー』です。

この映画は、見終わった後、
ずっとこのことについて考えてしまう映画でした。
ジョーカーはピエロのメイクをしていますが、
ピエロって口は笑っているメイクなのに、
片方の目に涙を描くじゃないですか。
あれって、「人を笑わせるピエロが、
近くで良ーく見ると、実は泣いている」
っていう意味なんですよね。

つまり「両義的」なのです。
「笑い」と「涙」なんですよ。
この両義性が、
社会全体であったり、
人の人生であったり、
「正義とは何か」であったり、
そういった現代世界の諸々を、
「批判する」という上で、
非常にうまく働くんですよね。

ここでいう「批判」はちなみに、
英語の「クリティカル・シンキング」の「批判」であって、
日本語における「非難」と混同される意味の批判ではありません。
あれは誤用なのですが、誤用が多数派になると、
言葉そのものの意味も変わるので、
批判は非難の意味に飲み込まれるようになるのかもしれません。
まぁ、「批判」という概念自体が、
日本語にするのが難しいという事情もありますが。

いずれにせよ「批判」は大切です。
「批判なき選挙・批判なき政治」という、
信じられないキャッチフレーズを選挙に使った、
自民党の某議員がいますが
「批判」なくして社会の前進はないのです。
「批判なき政治」って、
「それは独裁ってこと?」ってなりますからね。

話がそれました。

とにかく『ジョーカー』は、
笑っていながら泣いている、
というメイクからして、
「批判的」に働くのです。
社会の「トリックスター」として存在することで、
社会全体を批判的に眺めるための、
「装置」になっている。

本作中でも語られる、
チャップリンの名言に、
「人生はクローズアップでは悲劇だが、
 遠くから眺めると喜劇だ」
というのがあります。

それぞれの人生の苦悩や辛酸というのは、
主観的には悲劇なのですが、
それを遠くから見る人からは、
喜劇に見える。

それは「分断の時代」といわれる現代社会に生きる、
私たち一人ひとりのことでもある。
苦悩と辛酸を舐める他者を、
ネットで「自己責任」と揶揄する我々は、
他者の悲劇を喜劇として消費する側にもなり得る。
この映画は見る私たちに、
そのような事実を突きつけるようになっている。
だから、ずっと考えちゃう。
そういう映画でした。

こちらも解説動画をアップしてますので、
興味がある人はこちらをクリック↓
https://youtu.be/1JS8HGYhI_U
(1,009文字)


●番外編

ここからは、惜しくもベスト10入りを逃した、
それでもかなり面白かった本を紹介していきます。
文字数が際限なく膨らむのを防ぐため、
こちらは有名無実と化している「140文字」の制約を、
きっちり守りつつ。


●アリー スター誕生

鑑賞した日:2019年7月13日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(399円)

監督:ブラッドリー・クーパー
主演:ブラッドリー・クーパー、レディ・ガガ
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/v_cEChzph

▼140文字ブリーフィング:

普通に泣きました。
歌手のレディ・ガガが「演技」で、
俳優のブラッドリー・クーパーが「歌」で、
観客を魅了するというねじれ構造が素晴らしかった。
エンタテインメントという意味では同じですが、
それぞれアウェイで闘うという緊張感が、
映画全体に良い「ゆらぎ」を与えていた気がします。
(134文字)



●万引き家族

鑑賞した日:2019年4月6日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:是枝裕和
主演:リリー・フランキー、樹木希林、松岡茉優、安藤サクラ他
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://rebrand.ly/539b0

▼140文字ブリーフィング:

「伝統的家族像」ではもはや、
家族というものを維持できなくなってきている、
多様化する現代社会に、
どうすれば「家族」をそれでも構築できるのか?
という問題設定を是枝監督ってずっとし続けてるんですよね。
本作はその集大成という感じでした。
安藤サクラの涙が、その答えになっていると思うし。
(138文字)



●シッコ

鑑賞した日:2019年4月10日(インドへの飛行機の中)
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(100円)

監督:マイケル・ムーア
主演:マイケル・ムーア(ドキュメンタリー)
公開年・国:2007年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2Z6qt2v

▼140文字ブリーフィング:

米国の医療制度の矛盾がよく分かります。
マイケル・ムーアって天才かも、って思います。
社会問題のことを、
こんなにもエンタテインメントとして面白く語れる人は、
ほかにいないんじゃないかと。
彼のヒップホップ的サンプリング手法は、
名人の域に達しています。
最近見た『華氏911』も最高でしたし。
(140文字)