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陣内が先月観た映画 2018年7月 『真夜中のゆりかご』他

2018.12.10 Monday

+++vol.051 2018年月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先月観た映画 2018年7月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●時をかける少女

鑑賞した日:2018年7月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:谷口正晃
主演:仲里依紗、中尾明慶、安田成美他
公開年・国:2010年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/0UGgRuI

▼140文字ブリーフィング:

8年前、仲里依紗が10代だったころの映画です。
いわゆる「アイドル映画」ですね。
ちなみに現在の仲里依紗のご主人は、
この映画で共演した中尾明慶さんです。

完全なるアイドル映画です。
仲里依紗を愛でる映画。

台詞回しはヘタだし、脚本はずさんです。
たとえば、
「タイムトラベルの薬の香りをかいで、タイムトリップした」
と未来人が語るシーンがありますが、
あれは「気化した液体を吸って」とするべきでした。
「香り」にしたことで、説得力が著しく損なわれている。

SFにおける最も大切な「科学的説得力」のところで、
「ネジの締め方が甘い。」
基本的に建て付けの悪い映画です。
まったく感動するところがありません。

細田守のアニメ作品「時をかける少女」が100点としたら、
この作品は15点ぐらい。
仲里依紗が85点以上もっていると考えられるかどうかで、
この作品は評価が分かれるでしょう。
仲里依紗の大ファンにとっては100点越えのはずです。
(409文字)



●真夜中のゆりかご

鑑賞した日:2018年7月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(教会リトリートに向かうバスの中で)

監督:スサンネ・ビア
主演:ニコライ・コスター、ウルリッヒ・トムセン、マリア・ボネヴィー
公開年・国:2015年(デンマーク)
リンク:
http://amzn.asia/dW7Vtww

▼140文字ブリーフィング:

デンマーク映画です。
途中まで観ていて、
「ドイツ語にも似ているが、
でも多分ドイツ語じゃない。
なんだこの言語は、、、」と思いながら、
見終わって確認したらデンマーク映画でした。

この映画、かなり面白かったです。
主人公の赤ちゃんが「突然死」することから物語は動き始めます。
主人公の「壊れ方」、
主人公の妻がそういえば最初から壊れていた感じ、
まったくもって恵まれた環境にある「まっとうを絵に描いた人々」が、
際限なく「壊れていく」様というのは、
ある種のカタルシスをもたらします。

宮沢りえ主演の『紙の月』という映画があるのですが、
この映画で主人公の宮沢りえはちょっとした「横領」をきっかけにして、
数億円という横領に手を染め、「壊れて」いきます。
テーマはまったく違いますが、
それを思い出しました。

傷ついた人を冷徹に観察しつつ、
優しく包む視線は、
是枝監督のタッチにも通ずるものがあります。

あと、デンマークの家がみんなああなのか知りませんが、
主人公の住む家が尋常ではなくオシャレで、
かっこよくて、羨ましかったです。
「マイ・ドリーム・ハウス」です。
私が理想とする家の要素がすべて詰まっていました。
あんな家に住めたら「死んでもいい」ような「夢の家」でした。
そこを舞台に起きるのは「悲劇」なのですが。
(535文字)



●永い言い訳

鑑賞した日:2018年7月9日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(奥多摩からの帰りのバスで)

監督:西川美和
主演:本木雅弘、竹原ピストル、黒木華、深津絵里他
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/4uuKhoe

▼140文字ブリーフィング:

この映画の西川美和監督は、
『ゆれる』という名作を過去に撮っています。
これは私は映画館に見に行って、
さらに後日レンタルして観ましたから、
2回観ています。
『ゆれる』はオダギリジョーと香川照之の演技が、
めちゃくちゃすごかった。
忘れられない作品です。
特にラストシーンの香川照之の2秒の演技は、
「映画史に残る名演技」だと思っています。
ひとつの顔にあんな重層的な感情を込められるものなのか!
演技に魂を売った「鬼」を観た気がしました。

、、、で、そんな西川監督のこの作品。
面白かったです。
妻(深津絵里)が死んだ日、
愛人と浮気していた作家(本木雅弘)の話。
妻は親友とバスに乗って旅行に行く道で、
転落事故に遭って死ぬのですが、
妻と一緒に死んだ親友の旦那(竹原ピストル)と彼は知り合い、
シングルファーザーとなった竹原ピストルの、
残された子どもたちの子育てに参加することで、
孤独な作家は「他者性」を獲得し、
人間になっていく、というのが筋立てです。

「ゆれる」のときと同じく、
全体に漂う不安定さ、危うさ、怖さ、鋭さが印象的でした。
こういう「不安定な心理描写」は、
西川監督の上手なところなのだろうと思います。
竹原ピストルはプロの役者ではりませんが、
ある種の歌手というのは、
プロの俳優には出せない「空気」をまとっています。
彼もまた「怖さ」と「暖かさ」のある演技で、好感が持てました。
(550文字)



●クソ野郎と美しい世界

鑑賞した日:2018年7月15日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典、電車の中で

監督:園子温(第一部)、山内ケンジ(第二部)、太田光(第三部)、児玉裕一(第四部)
主演:稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛、浅野忠信他
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/1gfGLVJ

▼140文字ブリーフィング:

元SMAPの三人組(新しい地図)の面々が、
それぞれに主演をするオムニバス作品です。
稲垣吾郎主演の第一部は園子温、
香取慎吾主演の第二部は山内ケンジ、
草なぎ剛主演の第三部は爆笑問題の太田光、
三人全員が登場する第四部は児玉裕一が監督しています。
*「草なぎ」は表示不能なのでひらがなになってますが、
 各自で脳内変換してください。

、、、といっても、
過去に作品を観たことがあるのは、
園子温監督だけで、
山内さんと児玉さんはよく知りません。
太田光はこれが初監督作品だそうです。

「総論」を言いますと、「期待外れ」でした。
ライムスター宇多丸もラジオで語っていたのですが、
あまりにも「突貫工事」なため、
それぞれのオムニバスの「パズルのピース」がつながっておらず、
最後に「あそこであれがつながって」という、
オムニバス作品のカタルシスがまったく生まれていません。

ただ「新しい地図」の3人の演技は素晴らしかったです。
特に草なぎくんの任侠演技は素晴らしい。
「アウトレイジ」に続編があるのなら、
是非草なぎくんに出て欲しいと私は思います。
(408文字)



●アイ・アム・サム

鑑賞した日:2018年7月19日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェシー・ネルソン
主演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング
公開年・国:2002年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/0ifwRaI

▼140文字ブリーフィング:

これは、とても面白かったです。
いわゆる知的障がい者の主人公が、
男手ひとりで娘を育てている。
そこへ児童相談所がやってきて、
「彼は親として刺客がないので、親権を剥奪する」
という裁判を起こす。
「誰もが羨むキャリアと財力をもつ、
 しかし内実は空虚な弁護士の女性」が、
ひょんなことから彼の弁護士となり、、、という筋書きです。
ショーン・ペンの演技がとにかく素晴らしい。
本当に「こういう人」なのだと思えてきます。
ギルバート・グレイプにおけるレオナルド・ディカプリオも素晴らしかったし、
「未成年」における香取慎吾も素晴らしかったけど、
この映画のショーン・ペンも鬼気迫るものがあります。

この映画は「ここがとにかくすごい!」というよりも、
いろんな「佳作点」を積み重ねていって、
結果、「良い映画」になっているという印象です。
満塁ホームランではなく、ヒット6本で4点入ったみたいな。

良い点を挙げていきます。
・まず脇役の精神障害者たちが、
 とてもチャーミングで台詞もオシャレです。

・あと、本作の至る所にちりばめられた、
ビートルズの楽曲とその効果的な使い方が素晴らしい。
ビートルズファンなら、本作は二倍楽しめます。

・カメラワークも良い。
登場人物の気持ちを、カメラの視点の「ぶれ」で表現する手法は、
今では当たり前ですが、公開が2002年ということを考えると、
当時としてはおそらく前衛的な手法で、
それが見事に機能していました。

・子役のダコタ・ファニングが殺人的に可愛い。
この世のものとは思えぬ可愛さです。
あまりにも完成された子役を観ると、
「この子は、可愛さのピークが早く来すぎたのでは、、、」
と、いつも私は心配してしまいます。
親でもないのに笑。
『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツのときも思いました。

・シリアスなテーマを、ユーモアで包むという、
「王道の見せ方」が良い。
展開は「コテコテ」「ベタ」ではあるのですが、
ベタにはベタの理由があります。
やはり、安心するのです。

、、、というわけで、
トータルで、かなりお勧めな映画です。
本作を観ると、スターバックスに行き、
ビートルズを聴きたくなります。
(840文字)



●恋愛適齢期

鑑賞した日:2018年7月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(電車の中で)

監督:ナンシー・メイヤーズ
主演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブス
公開年・国:2004年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/bvxdhKr

▼140文字ブリーフィング:

大人の恋愛映画。
結構、面白かったです。
期待していなかったのに、最後は引き込まれました。
50代の人気舞台作家のバツイチ女性(ダイアン・キートン)、
60代のプレイボーイのヒップホップレコード会社社長、
「自称:30代以上の女は愛せない男」(ジャック・ニコルソン)、
そして主人公の女流作家の大ファンの、
30代のイケメン外科医(キアヌ・リーブス)の、
「月9ドラマ的な三角関係」です。

展開はコテコテだし、恋敵役のご都合主義感というか、
使い捨て感は日本の北川悦吏子脚本を思わせてちょっと「アレ」ですが、
役者の演技だけでずーっと見ていられるという、
演技が勝利している作品ですね。
ジャック・ニコルソンのモテぶりの説得力がすごいし、
ダイアン・キートンの演技も素晴らしいです。

客観的には、ほとんどの時間、
おじさんとおばさんがのツーショットが映っているわけですが笑、
主観的には思春期の恋のときめきを感じさせてしまうという。
この感じは、日本ではなかなか「成立」しないだろうなぁ。
あまり日本の役者に当てはめて想像できない「何か」があります。
なんだろう、こういうのって。
東西の「恋愛観」の違いというのかな。
今後、考察の価値ありです。
(308文字)



●チェンジング・レーン

鑑賞した日:2018年7月29日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典(早送りで)

監督:ロジャー・ミッシェル
主演:サミュエル・L・ジャクソン、ベン・アフレック他
公開年・国:2002年(アメリカ)
リンク:
http://amzn.asia/5DU0wGf

▼140文字ブリーフィング:

あまり面白くなかったです。
サミュエル・L・ジャクソンが好きなので観たのですが、
純粋な時間の無駄でした。
ほとんど早送りして、30分で観ました。
接触事故によって重要な契約書類を失った弁護士と、
遅れた20分によって親権を奪われた黒人男性の、
憎しみあいと駆け引きを描くというのが大筋です。
正直、見る必要はなかったですね笑。
LANE(車線)とは人生と「文字通りの車線変更」をかけています。
大学生でも思いつきそうな設定ですね。
(205文字)



●昼顔

鑑賞した日:2018年7月30日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:西谷弘
主演:上戸彩、斎藤工他
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/clBZxcm

▼140文字ブリーフィング:

たしか2014年に大ヒットしたドラマの映画化です。
ちなみに私はドラマは見ていません。
それでもこのドラマのタイトルと、
どんな筋書きかぐらいは知っていますので、
「ちょっとした社会現象」ぐらいの、
インパクトのあったドラマであったことに、
異論の余地はないでしょう。

その「映画版」を観ました。
私は「連ドラが観られない体質」なのです笑。
「10話も観るの??めんどくせぇ」と思っちゃう笑。
「ドラマの映画化」って、
初見のお客さんのことも作り手は考えますから、
10〜20時間の連ドラの内容を2時間に「圧縮」してくれるんですよね。
時間的に非常に効率が良い。

というわけで、
「4年前、なぜこのドラマが
 そんなにも多くの人の心を惹きつけたのか」
という理由の片鱗をつかめるかもしれない、
と思い、映画を観ました。

結果的に、どうだったか?

エンターテインメントとしては、
正直、かなり面白かったです。
でも、「思想性」みたいなものゼロですね。
映画は特にそうなのか、「エンターテイメント」に振り切っています。

断っておきますと、私は「不倫は文化だ(by石田純一)」とは、
1ナノグラムも思っていません。
でも、この数年間、週刊誌で「不倫」がこれだけ騒がれ、
有名人の不倫が、まるで聖書の時代のユダヤの石打ちのように、
世間から「フルボッコ」にされ、そして、
社会的にも抹殺されてしまうという状況には、
ある種の恐怖と言いますか、薄気味の悪さすら感じます。

罪に対して罰が過剰なのではないか、と。
新約聖書のヨハネの福音書の中に、
不倫の現場で捉えられ、
今にも石打ちの刑に処せられようとしている女性と、
イエスが出会う、というシーンがあります。
その場面で周囲の人は、
「この不倫をした女を、
 自らが神であると言っているあなたはどう処遇するのか?」
と問われます。
この質問は「ダブルバインド(二重拘束)」の質問です。
石打ちにすると言えば、「お前は恵みの神ではないのか?」となる。
無罪放免にすると言えば、「お前は正義の神ではないのか?」となる。

この話は有名な話ですから、
おそらく皆さんの多くもご存じのとおり、
イエスは質問には直接答えず、ただこう言いました。
「あなたがたの中で罪のない者が、
 まず最初に石を投げなさい」と。

すると、年長者から順番に、
一人ずつ、石をその場に置いて、
去って行った、と聖書は伝えています。
イエスと女性の二人きりになると、
イエスは彼女に言いました。
「私もあなたを罪に定めない。
 行きなさい。これからは罪を犯してはいけません。」
(ヨハネによる福音書8章11節)

、、、さて。
何の話だっけ?
そうです。
「昼顔」ブーム。
「文春砲」と、不倫石打ち社会。
そしてヨハネによる福音書8章。

全部、不倫の話なのですが、
最初の二つになく、
最後のひとつにあるもの。
それが何か、というのが、
このトピックを読み解くカギです。

それは「赦し」です。

この社会と、福音の提示する世界観の違いは、
「赦しの有無」なのです。

これは「昼顔ブーム」と、
「文春砲」をつなぐミッシングリンクにもなっています。
なぜ、日本の社会はこれほどまでに、
「集団リンチ」と言って良いほど、
「道徳的な自警団による私刑」が横行するのか?
この現象の背後には、単純な心理学的法則があります。

「人は、自らが自らを赦していない罪について、
 他者に対して非常に厳しくなる」という法則です。
フロイト心理学の基本なのですが、
これは「投影の原理」の一種です。

例えば「自分は金に汚い」と薄々思っているが、
それを自分では認めておらず、
そして心のどこかでいつも自分を責めている人がいるとしましょう。
その人は、他者が金に汚いことに関して、
過剰なまでに厳しく、批判的で他責的になります。
「あの人大嫌い!」と本能的に思う人というのは、
自分自身の中にその素因があるが、
普段は抑圧しているゆえの「他者への投影」だという、
「同族嫌悪」も同じ原理で起きます。

「昼顔」ブームの背景には、
「不倫的な快楽に憧れるが、
 そのような自分と上手く折り合いをつけられず、
 自分を赦すことができない日本人の姿」があります。

そのような人はどうなるか?

、、、そうです。
他者の不倫を容赦なく批判するのです。

「不倫を集団で極刑に処する日本人」と、
「不倫ドラマを何より楽しみにする日本人」は、
矛盾しているのではありません。
心理学の投影の原理から言うと、
首尾一貫した行動をしているわけです。

この絡み合った知恵の輪を解くカギは、
「赦し」にあります。
これを聖書の用語で「福音」と言います。

、、、もはや映画評でも何でもなくなってきましたが笑、
映画の話に戻りましょう。

映画「昼顔」には二つのカタルシスがあります。
因果応報的な「懲罰」のカタルシスと、
「不倫の快楽」のカタルシスです。
この両者がバランスをとっています。
主人公に感情移入した鑑賞者は、
「不倫の快楽」と、「それが罰せられる快楽」を、
一緒に味わうことになるのです。
ここまで読んできた読者の皆様は、もうおわかりでしょう。
この二つは、「投影的にセット」なのです。

ですからこの映画は必然的に、
「赦しの不在」を浮き彫りにします。
そうすることで「赦しの必要」を語る、
というのは監督や作り手は意図していないでしょう。
「天的な存在からの赦し」は、一切示唆されていませんから。

作り手が意図しておらず、語られていないので、
私がここで語った、というわけです。

あと、文脈とあまり関係ありませんが、
不倫相手(斎藤工)が隠れて元妻と逢い引きをしていると、
疑い始めた主人公(上戸彩)が言う、
「裏切ったことのある人間は、
 二度と相手を信じることができない」
という台詞が印象的でした。
「正直でいること」は自分のためなのですね。
自分がウソを付くと、他者を信じられなくなります。
それは本当に、本当に辛いことです。
「呪い」と言っても良い。
これは本当に怖い。

めちゃ長くなっちゃいましたが、
「昼顔」評は以上!
(2,264文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「真夜中のゆりかご」

コメント:

デンマークの映画という物珍しさも手伝って、
とても興味深く観ることができました。
「主人公が狂っていく話」が、
私は結構嫌いじゃないです。
「主人公狂い系」というジャンルがあるのかどうかは不明ですが、
このジャンルでは他に、
「紙の月」「マシニスト」「日本で一番悪い奴ら」など、
佳作ぞろいです。

映画というのは「一人称に感情移入する」
ことが前提に作られていますが、
その一人称が狂い始めると、
狂った人生を疑似体験できる。
ジェットコースターに乗っている気分を味わえます。
同時に「カメラ=神の目」も、
鑑賞者は持っていますから、
狂った人を冷静に観察する人でもあるんですよね。
そういう意味では1.5人称というか。

このあたりの面白さを味わうには、
没入しながらも頭が冷めている小説よりも、
VR的、「ライドもののアトラクション」的に、
感情を入れやすい映画のほうが、
メディアとして適していると思います。



▼主演(助演)男優賞
ショーン・ペン(アイ・アム・サム)

コメント:

ショーン・ペンの知的障がい者の演技は圧巻でした。
『レインマン』のダスティン・ホフマン、
『ギルバート・グレイプ』のレオナルド・ディカプリオと並びましたね。
脇を固める「施設時代の同級生4人組」のなかには、
本当のダウン症の人も含まれていて、
彼らのチャーミングな会話に心温まりました。



▼主演(助演)女優賞
ダイアン・キートン(恋愛適齢期)

コメント:

この映画におけるダイアン・キートンの位置は、
致命的に大切です。
ジャック・ニコルソンは確かにすごいのだけど、
「換え」が聞く。
あれがアル・パチーノでも、
「成立」はするんです。
しかし、ダイアン・キートンの位置が別の女優ですと、
たぶん全く違うニュアンスの映画になっていたことでしょう。
彼女が彼女の位置にいることで、
この映画は絶妙なバランスで成立しています。
コミカルでありながらシリアスで、
知的でありながらちょっとバカで、
上品でありながらちょっと下品で、、
みたいな両義性を、上手に表現できていました。
素晴らしい。



▼その他部門賞「音楽を効果的に使ったで賞」
「アイ・アム・サム」

コメント:

この映画は、ビートルズのアルバムとして「聴く」ことができるほど、
ビートルズ愛にまみれています。
主人公のサム(ショーン・ペン)が、
ビートルズを愛しているという設定がありますから、
無理矢理「ぶっこんだ」感じもでず、
自然にビートルズの楽曲がなじんでいます。
こういう感じの音楽の使い方は、オシャレだなぁと思います。
他にこういう感じの音楽の使い方をした映画ってあるんでしょうか?
あまり思い出せないです。

シーズン2開始!半年ぶりの「観た映画」

2018.12.10 Monday

+++vol.051 2018年月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
半年ぶりの「陣内が先月観た映画」のコーナーです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼「シーズン2」遂に始まりました!▼▼▼

いよいよ始まりました。
陣内俊の「読むラジオ」、シーズン2!!
まぁ、7月の助走期間がかなり長く、
ほぼ毎週配信していましたので、
「既に始まってた」という感覚の人が多いかとは思いますが。
「シーズン2」もどのぐらいの期間やるか分かりませんが、
最低半年は続けてみたいと思っています。

「シーズン2」も、配信は火曜日の夕方とします。
まぁ、いつでも良いと言えば良いのですが、
一週間に一度同じような時刻に届くと、
「時報代わり」といいますか、
時間の経過の目印になりますし。
「今日は月曜日かぁ。
 あ、ジャンプの日だ!」みたいな。
私はフリーランス的に不規則営業なので、
土日も祝日もゴールデンウィークも関係なく仕事していますし、
逆にド平日に平然と休んでいます。
しかし私の経験に基づきますと、
多くの社会人にとって、
火曜日、木曜日あたりが、
一番「ダルい」のではないかと拝察します。
体も気持ちも。
その「ダルい」日に、ひとつでも楽しみが増えたら、
生活が豊かになるのではないかと、
そんな気持ちを込めての「火曜日の夕方」配信です。

「シーズン1」からの読書の方も、
「シーズン2」から読み始めた人も、
どうぞ毎週配信される駄文に、
末永くおつきあいください。

さて、今週は半年ぶりに、
「先月観た映画」のコーナーをやります。
皆様の映画選びの一助としてくだされば幸いです。
(Amazonプライム特典の映画に著しく偏っていますが笑)

7月は、8本の映画を観ました。
Amazonプライムに入会してからというもの、
月に平均すると10本ぐらい映画を観ています。

ただ、私はテレビはほぼ1分も観ないので、
仮に一ヶ月につき映画を観ている時間が20時間だったとして、
「毎日2時間テレビを観る人」の月60時間と比べたら、
たいして観ていないのです。
(*何度も言いますが週に2〜3本観る、
 お笑いのネタ番組は別です。
 あれはお笑い知識人としての「情報収集」ですから。
 ニュースキャスターが新聞を読むのと同じです。)

さらに観るときは、
タブレットにダウンロードして、
移動中に観ています。
なので、
「隙間時間だけで、
月に10本も映画が観られるんだ!」
ということに自分で驚いています。
これは車社会ではない東京に住んでいることの、
数少ないメリットのひとつですね。

遠くに出かけたりして、
移動時間が長い月は、
その分映画の本数も分かりやすく上がりますから。

以前の私の移動時間はKindleで読書と決まっていたのですが、
移動中ってあんまり集中力がないので、
能動的な読書があまりできないんですよね。
部屋での読書の集中度を10としたら、
新幹線や飛行機などの理想的な環境でも9ぐらい。
在来線の電車やバスになると、
座れたときで6、座れずに立って読むと4ぐらいの集中度しか得られません。
その分読むスピードも落ちる。

その点映画は良い。
集中してようがしていまいが、
映画の進むスピードは同じですから。
「電車の中で集中していなかったから、
 2時間の映画が10時間かかったわー」
ということにはならない。

すばらしい!



▼▼▼この半年に良かった映画3選。▼▼▼

という私の映画ライフの話はこのぐらいにして、
今月の映画も興味あるけど、
2月からメルマガシーズンオフだった期間に観た映画で、
面白かったやつを教えて欲しい!
という方もいらっしゃるかもしれません。

年末に「陣内が観た映画ベスト10」
という形でご紹介するつもりですが、
一年の折り返しに、
2018年上半期で特に印象に残った3本を、
オープニングトークにて特別にご紹介したいと思います。

この3本は年末のランキングに入る可能性が高いですが、
入るかもしれませんし、入らないかもしれません。
では、ご紹介します。


▼▼▼『三度目の殺人』是枝裕和監督

これはもう、圧巻の面白さでした。
私は是枝監督がとても好きで、
公開作品はほぼすべて観ています。
(現在公開中の『万引き家族』は未見です。
 何らかの形で必ず観ますが。)

こちらはAmazonプライム特典ではないので、
Amazonビデオ(新作)で500円課金して、
ちゃんと観ました。
(「ちゃんと」っていうのもおかしな話ですが)

素晴らしいの一言です。
100点の映画でした。
映画の面白さがぎっしり詰まっている。
是枝監督の最高傑作かもしれないと思いました。
(『万引き家族』を観たらそれは更新されるかもですが)
少なくとも個人的に、『そして父になる』とか、
『奇跡』とか『海街diary』は超えていると思いました。

ちなみに本作、タイトルからも推察されるとおり、
非常に暗い作品です。

芥川龍之介の「藪の中」を、
黒澤明は『羅生門』として映画化しました。
それを現代最高の映画作家が作るとこうなる、
というような作品としても鑑賞可能です。
「羊たちの沈黙」へのオマージュ要素もある。
福山雅治、広瀬すず、役所広司の演技も、
素晴らしかったです。



▼▼▼『恋の渦』大根仁監督

これはねぇ。
Amazonプライム特典で観ました。

二回観た。

紹介するかどうか迷ったんですよね。
メルマガには載せずに、
「観なかったことにしよう」かとも思った。
歴史から抹消しようかと。
口をぬぐって、しれっと「なかったこと」にしようかと。
なんせ「ゲスい」作品ですから。

ゲスくて下品なのが嫌いな人は、
観ないことをお勧めします。
あと、「陣内のくせに、
そんなゲスい映画を観るとは何ごとだ!」
と、石を投げる準備をしている方。
「知らねーよ」としか言いようがありません。
私は自分が見聞きするものについて、
神の前以外に責任を負っていませんので。
その処罰感情はどうかご自分で処理なさってください。

いや、でもね。

途中で観るの辞めようと思うぐらい下品でした。
しかしこれがどうして、面白いんだ。
悔しいけれど。

大根仁監督は、『モテキ』『バクマン』などの監督でもあり、
「撮り方・見せ方」が上手、という印象です。
毎回新しいことに挑戦していて、
編集や構成が秀逸です。

本作品は予算がめちゃくちゃ少ないそうです。
なんと100万円以下!!

まじか!

「そんなんで映画って撮れるの?」
と思うでしょ?

「面白いの?」
と思うでしょ?

面白いんだ、これが。
悔しいけど。

登場人物が全員「ゲスいDQN」です。
「アウトレイジ」のキャッチコピーは「全員・悪人」ですが、
本作のキャッチコピーを作るとするなら「全員・DQN」です。

*DQNとは「ドキュン」を表すネットスラングで、
 反知性主義的な田舎のマイルドヤンキー的存在のことです。
 (都会にも存在するが、彼らのマインドは田舎的である)
 男はエグザイル寄り、女はキャバ嬢寄りの外見をし、
 往々にしてなぜかキティちゃんのサンダルを履いています。
 会話の内容は恐ろしくスカスカで、
 底知れぬ無知ゆえに「日本最高!!地元最高!!」とか、
 すぐ言っちゃうわりには自らが「日本の暗部」であり、
 周囲の人にはイタいと思われている人の総称(陣内調べ)です。
 サッカー日本代表戦がある日の渋谷スクランブル交差点や、
 田舎の休日の河原などに行くと、
 たくさん実物を観察できます。
 彼らが歩いた後にはおびただしい数のタバコの吸い殻と、
 「ストロングゼロ」の空き缶、コンビニ弁当の食べ散らかしが、
 残されると伝えられています(陣内調べ)。

、、、で、
この「恋の渦」は、
そのような「DQN性」を本当にリアルに再現しています。
「多分、日本にこういう人たちって、
 500万人ぐらいいるんだろうなー。」
と思わせる、「圧倒的実在感」がある。

その「実在するDQN」である彼らが織りなす人間模様の中に、
ゲスさがあり、裏切りがあり、偽物の友情と本物の友情があり、
そして人間くささがあり、「愛」がある。
「人は見かけではない」と思わせてくれるところと、
「人は見かけ通りだ」と思わせてくれるところがある。

そして彼らの「尊厳」というか、
尊さのようなものもある。
そこは泣いちゃう。

でも全体として「いい話」では決してない。
そんな話です。

2回観ちゃう、という意味は、
1回観たら分かります。



▼▼▼『T2 トレインスポッティング』ダニー・ボイル監督

これは、TSUTAYAでレンタルして観ました。

90年代に一斉を風靡した、
『トレインスポッティング』という映画の続編です。
「1」が撮られた20年後に、
全く同じキャストで、「2」が撮られたのです。

「1」はイギリスで大ヒットしましたから、
これを知らないイギリス人はいないと言います。
なので「2」にイギリスは沸き立ちました。
連日映画館は満員だったそうです。
イギリスでは「社会現象的なカルト映画」です。

『トレインスポッティング』を観たのが、
私はわりと最近(数年前)だったので、
「1」を復習することなく「2」を観ることができた。
「1」があまりにもサブカルカルト的な人気映画で、
ある意味「神格化」されてしまっているので、
当然「2」は賛否両論ありま
す。

しかし、私は普通に、というか、
めちゃくちゃ面白かったです。
音楽も映像も台詞回しもめちゃくちゃオシャレで、
スタイリッシュです。

『パルプフィクション』という、
クエンティン・タランティーノを世界に知らしめた、
「おしゃれ映画」がありますが、
あれをアメリカでなくイギリスのセンスでやると、
こうなる、という感じですかね。
筋書きよりも、台詞の小気味よさや、
編集の面白さ、音楽や映像効果の心地よさを楽しむ、
というタイプの映画です。

ストーリーはと言いますと、
田舎の「親友と悪友の間」ぐらいの、
仲間5人組の「青春群像劇」です。
これが「2」になると「中年群像劇」になる。

スコットランドの田舎に生まれ、
麻薬と犯罪の日々を送る彼らは、
寂れていく田舎を見限り、
ロンドンで一旗揚げようとして都に行きます。
そこでいろんなことが起こり、、、
というのが「1」のあらすじ。

「2」はその続編です。

これは本当にすごいことで、
たとえば日本ならば、
90年代に「未成年」という野島伸司のドラマがありましたよね。
あれを今年、続編をとる、というような話です。
キャストそのままで。
40代になった反町隆史、香取慎吾、いしだ壱成、
グレートチキンパワーズの人、河相我聞で。
40代になった反町隆史が、
「そういえばあいつら何してるかな、、、」
と、地元に探しに行き、
一人ひとりの未来を描く、、
みたいな話です。

ニュアンスはちょっと違うけど、
「たとえば」そんな話です。
面白かった。

映像技術の粋が詰まった作品なので、
ブルーレイで観ることをお勧めします。

陣内が先週読んだ本 2018年1月第五週 『アメリカ福音派の歴史』青木保憲 他6冊

2018.07.24 Tuesday

+++vol.050 2018年2月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2018年 1月第五週 1月28日〜2月3日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●歩き続ければ、大丈夫

読了した日:2018年1月28日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:佐藤芳之
出版年:2014年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
http://amzn.asia/hzrnVXp


▼140文字ブリーフィング:

サブタイトルは、
「アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙」です。
1939年生まれの著者は、30代でアフリカにわたり、
ケニアでナッツビジネスを創業して成功に導いた、
「社会起業家」の「はしり」みたいな人です。
彼はスタートアップしていないと気が済まない人のようで、
ケニアのビジネスは現地に譲り、
現在はルワンダで微生物ビジネスを立ち上げています。
「とにかく行動してみなきゃ上手く行くかどうかも分からない。」
「たくさん失敗して、その中のいくつかがたまたま上手く行く。
 やってもないのに失敗したときのことを考えるのは愚の骨頂。」
成功した創業者はだいたい同じ事を言います。
本田宗一郎も言っています。
「失敗した奴は偉い。
何もしない、というのが本当の失敗だ。」
彼は映画「フィールド・オブ・ドリームズ」の、
「作れば、彼らはやってくる」という「啓示」を引用していますが、
この原型は「ノアの箱舟」だと読みながら気づいたのは、
私にとって「アハ体験」でした。

→P77 
《新規プロジェクトを始める時、私は良く社員にこう言います。
「If you build it, they will come.(つくれば、人はやってくる。)」
 新しい農園に木を植える時も、新しい工場を建てるときも、
私はみんなにこう声をかけるようにしています。
1989年公開の映画「フィールド・オブ・ドリームス」
によって広く知られるようになった言葉で、
この言葉を耳にした主人公は周囲に馬鹿にされても構わず、
トウモロコシ畑を切り開き野球場を作り始めます。
要は、つべこべ言わずに、さっさとつくってしまいなさいということ。》

現在の世界は「複雑系の世界」であり、
古典力学よりも量子力学に近いです。
なので、「成功へのアルゴリズム」や、
「成功するための方程式」を定式化することは不能です。
ひとつだけ「秘策」があるとしたら、
「とにかくいろいろやってみる」ことです。
その人が成功するとは限りませんが、
成功している人は例外なく、
「とにかくいろいろやってみて」います。
したり顔で他者の挑戦や失敗を批評する人や、
失敗のリスクばかり恐れる事なかれ主義の人が成功することは、
永遠にありません。
(900文字)



●そのノブはひとりの扉

読了した日:2018年1月28日
読んだ方法:図書館で借りる。

著者:劇団ひとり
出版年:2012年
出版社:文藝春秋

リンク:
http://amzn.asia/8JYAkLr

▼140文字ブリーフィング:

私と同じ年生まれの芸人、劇団ひとりの自伝です。
帯に「こんに泣けない自伝があったとは」とあります。
めちゃ面白かったです。
劇団ひとりの文才に舌を巻きます。
自分を相対化し自虐できる高度な知性に感服しました。
「文章で人をうならせる」よりも
「文章で人を泣かせる」ほうが難しく、
「文章で人を笑わせる」のはもっと難しいです。
つまり「笑い」が文章技術の最高峰なのです。
「本を読んでいて笑う」ことって多くはないですが、
彼はそれをやってのける数少ない天才です。
(220文字)



●時間の比較社会学

読了した日:2018年1月31日 速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:真木悠介
出版年:1997年(初版1981年)
出版社:岩波書店

リンク:
http://amzn.asia/8YhBqT9

▼140文字ブリーフィング:

メルマガ読者に教えてもらって手に取りました。
結果的に、内容が私にはかなり難解で、
「まだ早かったかな」と思いました。
いちおう中身には目を通しましたが理解度は4割に満ちません。
もう少し理解力がついたら再トライしてみたいと思います。

私が理解した範囲で無責任にも概説しますと、
ヘブルは直線的で質的な時間、ギリシャは円環的で量的な時間、
近現代は直線的で量的な時間、原始やアフリカの土着民、
古代日本の時間は非直線的(反復的)で質的な時間、
という「時間のマトリックス」の発想は面白かったです。
また、現代の「直線的で量的な時間」が、
共同体の解体(ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ)をもたらし、
貨幣と同じように「時間の阻害」を引き起こしているという指摘も新鮮でした。
(326文字)



●ザ・フィフティーズ 1

読了した日:2018年1月31日 最後の3章は飛ばし読み
読んだ方法:図書館で借りる

著者:デイヴィッド・ハルバースタム
出版年:2015年(英語初版)
出版社:ちくま文庫

リンク:
http://amzn.asia/aW7wGac

▼140文字ブリーフィング:

アメリカのジャーナリストデイヴィッド・ハルバースタムによる、
50年代のアメリカを素描する試みです。
なんとこの本日本語訳では500ページ×3巻の大著で、
一章ごとにひとりの人物(や現象)が取り上げられています。
1巻をなんとか読みましたが、ものすごいボリュームなので、
2巻、3巻はちょっとほとぼりが冷めてから手を出す、
もしくは永遠に手を出さないかもしれません笑。

でも内容はとても面白い。
なぜか。
「50年代のアメリカ」こそが、
現代世界のデファクトスタンダードを作ったからです。
現代の世界の基礎は50年代のアメリカで作られたのです。
確かにそうです。
水爆、マッカーシズム(共産党狩り)、
一戸建ての大量生産とマイホームの夢、
マクドナルドのハンバーガー、
「ホリデイ・イン」というフランチャイズモーテル
(とフランチャイズという概念)、
ラジオの時代からテレビの時代へのメディアの変遷、
テレビと政治の結婚、などなど、
現在の「効率化され脱人間化された社会の光と闇」は、
すべて1950年代、アメリカ生まれです。

問題はそれから70年が経過した現在、
その大きな枠組み(パラダイム)が耐用年数を迎え、
崩落した笹子トンネルのごとく、
ミシミシと鈍い音を立てているところです。
未来は混沌としてかすんでいます。
そんなときは過去を見るとヒントがある。
そういう意味で、50年代アメリカを学ぶことは、
現在の世界で非常に意義深いことだと思います。
(597文字)



●アメリカ福音派の歴史

読了した日:2018年1月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:青木保憲
出版年:2012年
出版社:明石書店

リンク:
http://amzn.asia/9lp0fcJ

▼140文字ブリーフィング:

この本は、昨年秋の「よにでしセミナー@伊勢志摩」の、
参加者の書いているブログで知り、
「面白そうだ」と思い手に取りました。

結果、めちゃくちゃ面白かったです。
ここに概説は不能なので、
いつか「本のカフェラテ」で紹介したいと思っています。
私は福音派と呼ばれる教会で洗礼を受けて、
キリスト教徒になりましたので、
「それが絶対的に正しいものだ」と、
あるところまでは疑いもなく信じてきました。
しかし、「なぜ福音派が福音派になったのか」を知ると、
必ずしもそれ「だけ」が唯一の見方ではない、
ということにうっすら気づいてくるわけです。

「だから、余計な知識は入れない方が良い」
というのは、言っちゃ悪いけどバカの所行です。
そうじゃなくて疑うところまで疑った先に、
「本当に価値のあるもの」が浮かび上がってくるのです。
「疑うことを経ずして本当の信仰には至らない」
というのは信仰の真理です。
聖書に「疑うこと」は奨励されています。
咀嚼することなく鵜呑みにして信じる態度のほうこそ、
聖書は何度も警告しているのです。

では、「疑った先にある信仰」とはどんなものか?
著者はそれを後書きで、
「スターウォーズ」に喩えて上手に表現しています。

著者も私と信仰的背景が似ていて、
幼い頃から福音主義の宣教師が開拓した教会に通っていた著者は、
スター・ウォーズを初めて見たときと同じで、
「世の中には善と悪しかない。そして自分は善の側にいる」
と疑ったことなどなかった、といいます。
しかし、後のスター・ウォーズシリーズが告げるのは、
ダース・ベイダーとならざるを得なかった
アナキン・スカイウォーカーの生身の人間としての葛藤であり、
善と悪は簡単に切り分けられないという事実です。

著者が同志社大学で学んだのはまさに、
スター・ウォーズシリーズだったといいます。
福音派は善、という単純な世界観から、
「福音派がそう主張するようになった経緯」を学ぶとき、
そこにアナキン・スカイウォーカーの姿がある、と。
矛盾と間違いに満ちている福音派の歴史を紹介したことで、
もはや「自分たちは善」と思えなくなるかもしれないが、
福音派の人にも本書を読んでもらいたい、と著者は言います。
だからといって「敬虔でありたい」と願う、
その真摯な姿勢が色あせることはないと。
逆に「福音派は悪」と決めつけている人にも本書を読んで欲しい、と。
薄っぺらな原理主義批判を持っていた人も考え直す、
きっかけになるだろう、と。
私は著者のスタンスに好感を持ちます。
500ページに及ぶ大著ですがずっと面白かったです。
定本となる良書に出会いました。
(1,060文字)

▼参考リンク:ブログ「ちょうをゆめみるいもむし」
https://memorandomeyo.wordpress.com/



●木を見る西洋人 森を見る東洋人

読了した日:2018年1月31日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・E・ニズベット
出版年:2004年
出版社:ダイヤモンド社

リンク:
http://amzn.asia/cJx57Lj

▼140文字ブリーフィング:

この本も飛び抜けて面白かったです。
私は「東洋と西洋の出会い」ということを、
人生の隠れたテーマのひとつにしています。
私が河合隼雄やユングや鈴木大拙に惹かれるのも、
彼らが東洋と西洋の思想のぶつかる「潮目」にいると思うからです。

この本のタイトルが示しているのは、
東洋人は包括的に物事を捉え(森を見)、
西洋人は分析的に物事を捉える(木を見る)、
という東西の世界観、考え方の「クセ」の違いです。

そのほかにも東洋ではこう考え、西洋ではこう考える、
という実例が実証的な実験結果とともにたくさん紹介されるのですが、
私がもっとも面白かったのは第六章の議論で、
それは、「東洋人は世界を動詞で、西洋人は世界を名詞で捉える」
という話です。

こんな実験があります。
アジア人の子どもとアメリカ人の子どもに、
二枚のカードを見せます。
ニワトリの描かれたカードと、草が描かれたカードの二枚です。
三枚目に牛の絵が描かれたカードを見せて、
「これはどちらの仲間?」
と聞くと、アジア人の子どもの多くは、
牛と草をセットにし、
アメリカ人の子どもの多くは、
牛とニワトリをセットにします。

なぜか?

西洋人の子どもの多くは分類学上の理由から、
ふたつとも動物だから、ニワトリと牛をセットにし、
東洋人の子どもの多くは
「牛は草を食べるから」牛は草の仲間だと言っているのです。
西洋人は世界を名詞の集合として、
東洋人は世界を動詞(関係性)の集合として捉えている、
ということを示す非常に面白い実験です。

著者は「プロローグ」の結語で、
今後の文化はフランシス・フクヤマが、
『歴史の終わり』という本に書いたように、
世界が全部アメリカになるのでもなく、
サミュエル・ハンティントンが書いた『文明の衝突』のように、
西洋化は挫折し、多元主義の世界が訪れることもない、と予測します。
そうではなく東洋と西洋は互いに「出会い」、侵襲し合い、
相互に影響し合い、溶け合っていく未来を彼は描きたい、と。

曰く、シチューの具は具のままだが全部変化する。
そしてそのシチューにはそれぞれの具の
一番おいしいところが含まれている、というように。
私も著者の意見に同意します。
(883文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:『木を見る西洋人 森を見る東洋人』

コメント:
本当は「アメリカ福音派の歴史」も同じくらいリコメンドしたいですが、
こちらはかなりの大著で、手を出す人は限定的になると思いますので、
より広い読者が面白いと思えるだろう、
『木を見る西洋人、森を見る東洋人』をオススメします。
私たちはグローバル化する昨今、
人生において「西洋的なものの考え方」と出会わずに生きるのは、
もはや不可能です。
必ず西洋的な世界観と私たちは出会います。
そのときに、「彼らの靴を履いて」世の中を見ることができ、
さらに「自分の世界観は東洋的なのでこうなのです」、
というようにメタの視点でそれを説明できる知性というのは、
世界に影響を与えようとしたら、「必須」になってくるでしょう。
実は「テクニックとしての英語のスキル」なんかより、
こちらのほうが異文化コミュニケーションを考える上で、
はるかに大事なんじゃないかと私は思っています。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■5 編集後記
1年間のご愛読ありがとうございました。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

まだまだ東京は寒い日が続きます。
今週は私は毎日のようにミーティングがあり、
土日は(多分)東京よりも寒い、新潟に出張です。
「読むラジサロン」も5名のメンバーで開始しました。
参加者の地域も職業も性別もライフステージも様々で、
多様性に富んだ良いメンバーが集まったなぁと思っています。
まだ始まったばかりですが、
これからどんなやりとりや学びあいがなされるか、
主催者の私が一番、楽しみにしています。
メルマガ読者の皆様にも追ってご報告しますので
お楽しみに。

というわけで、今号で1年間続いた私のメルマガの、
「シーズン1」も最終回です。
ご愛読いただいた皆様には感謝を申し上げます。
多くの皆様に楽しんでいただき、
今は感謝に満たされています。

次に「シーズン2」を開始するのがいつになるか分かりませんが、
そのまえに「号外」の配信もありますのでお楽しみに。
その日まで、皆様もお元気でお過ごし下さい。
ご愛読、ありがとうございました!


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【Q】どのように人を育てるのか?

2018.07.24 Tuesday

+++vol.050 2018年2月6日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 Q&Aコーナー

皆さんからお寄せ頂いた質問にお答えするコーナーです。

日頃の悩み、疑問、今更誰かに聞けないギモン、、、、
質問の種類は問いません。お気兼ねなくご質問をお寄せください。
ご利用は下記に基づいてご利用いただけると幸いです。

【Q&Aについて】
▼全てのご質問にお答えすることはできません。予めご了承ください
▼いただいたご質問は、ブログ・FVIメディアルームに掲載される可能性があります
▼本名での投稿の場合は「ペンネーム:無し」となります
▼必ず下記フォームからご質問を送信ください

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

【Q&Aコーナー専用フォーム】

▼URL
https://www.secure-cloud.jp/sf/1484051839NyovBkYI

※大変お手数ですが一つの1メール1質問を原則とさせてください。
ご協力宜しく御願い致します。

※頂いたメールはすべて目を通しております。
陣内俊への要望やメルマガの感想、激励などももちろん大歓迎です!

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●【Q】どのように人を育てるか?
ラジオネーム:ラス・コリナス(男性)
お住いの地域:海外

Q.

テキサス在住のラス・コリナスです。
私は教育機関で働き教える仕事をしていますが、
陣内さんの教育論を聞きたいです。
特に、「クラスの中でどのように人を育てるか」
ということを、陣内さんが教育者なら、
どのようになさるか知りたいです。
教会や学校で教える働きもする、
という広い意味では「教育者」である、
陣内さんに聞きたいです。


A.

ラス・コリナスさん、
ご質問をありがとうございます。
教育というものはたいへん広い概念ですので、
「人を育てる」ということといっさい関係の仕事など、
世の中には存在しないと言って良いほどです。

私もそのご多分に漏れず、
普段教会で話すメッセージや、
インタラクティブな形のワークショップなどを通して、
私は広義には「教育」に関わる仕事をしています。
また、このメルマガ発信も、
ものすごーく広い意味では「教育」の範疇でもあります。

私の「人生のメンター」のひとりである、
ボブ・モフィット氏は「第二の家は空港」みたいな人で、
一年の半分以上は国外にいる宣教師ですが、
彼はいろんな面倒を避けるために、
出入国カードの職業欄には「Teacher」と書く、
と言っていました。
「嘘じゃないしね」と笑。
じっさい彼はイスラエルの大学で、
成人教育の博士号を取っています。

ラス・コリナスさんのご指摘のとおり、
ですから私もまた「Teacher」のひとりです。
ただし、「クラスルームでの教師」という、
プロフェッションに関しては、
私は専門的な教育を受けたこともないですし、
実務経験もありません。
ですから、私がそれらについて、
ラス・コリナスさんに教示するというのは、
もはや「釈迦に説法」、「キリストに垂訓」、
もしくは「Zeebraにラップバトル」なわけです。

しかし、私のしている「教育」と、
ラス・コリナスさんの携わっている教育現場とで、
「要素が共通」するかもしれない抽象概念の領域が、
少なくとも二つあるかと思われます。

ひとつは、「スキルとしての講義」、
もうひとつは、「クラスでの学習のダイナミズム」です。
前者が「講義型のスタイルにおける技術」で、
後者が「実習型・ハンズオンにおける技術」です。
前者と後者はかなり違う技術が要求されます。
一方的にしゃべる講義が上手な人が必ずしも、
学習のダイナミズムが起きる場を作る、
良いファシリテーターとは限りませんし、
逆もしかりです。

私はここ10年、零細な活動をしていることが幸いして笑、
基本的に、何から何まで、
全部自分でやらなければいけませんので、
「全部」できます。
人は零細な活動を続けると器用貧乏になるのです笑。

なので、まずは「トークスキル」といいますか、
与えられた時間において自分が話すことで、
大切なことが相手に伝わるための技術を紹介します。
これは牧師ならば毎週日曜日にしていることですし、
高校教師なら毎週の授業で何十回も繰り返しています。
私の前職の市役所職員ですら、
「衛生講習会」などの形で、
市民に食育や食品衛生のイロハを分かり易く説明する、
という業務がありました。

そのサイズが5分なのか30分なのか60分なのか90分なのか、
参加者がお金を払って授業を受ける生徒なのか、
自発的に礼拝に参加している老若男女のクリスチャンなのか、
そこに来ることを苦痛と感じている、
半強制的に集められた飲食営業者なのかで、
これまたまったく組み立て方は違ってきます。

なので、「序論・本論・結論」といった構成の仕方とか、
話すときに気をつける「間」や「テンポ」、
笑いを入れ込むとか、身近な経験に引きつけるとか、
そのあたりのことはここではあえて立ち入りません。

ひとつだけ、おそらく教育に携わる人でも、
多くの人があんまり意識していないけれど、
私が10年以上の経験から大切だと気がつくようになった、
「なるべく意識するようにしている要素」をご紹介します。

これはラーメン屋でいうと「秘伝のスープ」でして、
本当はあまり教えたくないのですが、
私はもう次の秘伝のスープの開発に移っていますので、
特別に今日はは紹介しちゃいます笑。

それは構成にかなり深く関わってきますが、
ゴール地点(結論)で、
かならずスタート地点(序論)に戻ってくる、
というループ構造です。
これを文章で説明している「話し方の本」を、
私は目にしたことがありませんが、
私はこの10年、こういったことを意識して、
「発話」するようにしてきました。
文章を書くときも、
学校で講義するときも、
礼拝でメッセージを語るときも、
教会でセミナーをするときも、
4日間のワークショップをデザインするときも。

この「ループ構造」というのは、
本当はループではありません。
閉じた円環というより、
「上に上るらせん構造」と言った方が正確です。

どういうことか?

T.S.エリオットという作家がこういう言葉を残しています。

「我々のすべての探求は、
最終的に初めにいた場所に戻り、
その場所を初めて認識することである。」

ここでエリオットが言っているのは、
もっと一般的な言葉では「再定義」と言います。
「再定義」というのは、
「今までAというものはこういうものだと思っていたが、
実はそうではなく、こういうものだったのか!」
という再発見です。
物語で言うとメーテルリンクの「青い鳥」や、
「オズの魔法使い」がこの構造になっています。
パラダイム(視点)が変わることで、
最初に見ていたものが別の見え方をするようになる、
というのが「再定義」と共に起きることです。

パラダイム転換によって、
同じものが別の見え方をするようになる、
ということを最も綺麗に説明した人の一人は、
「7つの習慣」の著者スティーブン・コヴィーです。
彼はその著書の中で、「パラダイム転換」とはこういうものだ、
という例話を紹介しています。

《あなたはある日、地下鉄に乗っていた。
 ある駅で2人の小さな男の子を連れた30代ぐらいの男が乗り込んできた。
 2人の男の子はギャーギャーとはしゃぎ回り、
 つねりあいを始め、片方が大声で泣き始めた。
 周囲の乗客たちは明らかにその親子に迷惑をしていたが、
 男は乗り込んでから子どもたちなどいないかのように、
 ずーっと窓の一点を見つめていた。

 その車両に乗っている全員が、
 男に非難の目を向けているのは明らかで、
 子どもたちの声は大きくなるばかりだった。
 あなたは使命感と義憤を覚え、
 意を決して、なるべく慇懃に男に話しかけた。
 「たいへん失礼ですが、
 あなたの二人のお子さんが騒いでいて、
 他の乗客の迷惑になっているようです。
 なぜ注意なさらないのですか?」

 男はあなたに答えた。
 「すみません。
 たった今、この子たちの母親、
 あ、つまり私の妻が天国に行くのを、
 病院で看取った帰り道でしたので。
 この子たちも不安定になっていますし、
 私もちょっと、呆然としていました。
 たいへん失礼しました。」

 あなたの男への非難の視線は消え、
 とっさにあなたは言った。
 「それは何も知らずに失礼しました!
 なにか助けられることはありますか?」》

「あなた」が最初に男に向けていた非難の視点が、
パラダイム転換によって「深い同情の気持ち」になりました。
これをパラダイム転換と言います。

私が何かを話すとき、
「再定義」を意識している、
というのは、こういうことが聞いている人の内面で起きるように、
構成を考える、ということです。

これを私が着想したのは実は、
「映画鑑賞」からです。
映画の構成っていうのはとても勉強になります。
多くの映画で使われる手法なのですが、
まずド頭にあるシーンを流します。
たとえば、そうですね。
身なりの良い主人公が橋の上から、
身を投げようとしているシーンとしましょう。
観客は思います。
「この順風満帆に見える人が、 
 なぜ身投げなどしなければならないのだ?」
このシーンはなるべく違和感を与えるようなものであったほうが、
より効果的です。観客の心に「ひっかかり」を与えるためです。
そのシーンの後に「タイトルコール」ですね。
そして、何の関係もないシーンが始まります。
90分ほど、めくるめく人間ドラマが繰り広げられ、
観客は主人公に完全に感情移入しています。
映画のラストシーンに近いところで、
最初の「身投げシーン」につながります。
もはや観客はそんなシーンが最初にあったことなど、
忘れかけているころに。

そのとき観客は「既視感(デジャヴュ)」を覚え、
そして最初に見た時と今見ているのとで、
その「身投げ」の意味がまったく変わっている、
というのを発見するわけです。
観客の中で「再定義」が起きているのです。

映画の構成で非常に多く使われる技術ですが、
私は自分が話すときにこの技術をよく応用します。

、、、で、私はこれを経験的に自分なりに「開発」したわけですが、
それを「根拠づけられ、確信を深められる」体験をその後にしました。
英語で言う「アファメーション」を与えられたのです。

ひとつめは、先ほど登場したボブ・モフィット氏です。
彼は成人教育の博士号をイスラエルの大学で取った、
と書きましたが、彼に一度私は聞いたことがあります。
「成人教育において一番大切なことは何ですか?」と。
彼は言いました。
「それは、『自分で発見すること』だ」と。
「成人教育と幼児教育の一番の違いは、
 成人は一方的に知識を詰め込まれても学ばず、
 『自分で発見した、自分でつかみ取った』と思うものだけを学ぶ。
 そのときに大切な概念は『再定義』なんだ」と。
私は「我が意を得たり」と思ったわけです。
自分のしてきたことは間違ってなかった、と。

もうひとつは、聖書です。
本田哲朗というカトリックの神父は、
「悔い改め」というギリシャ語が多くの場合、
誤訳され間違って解釈されている、
とその著作に書いています。
イエスは「悔い改めなさい」と言って宣教を始めました。
その「悔い改め」と訳されているギリシャ語は、
「メタノイア」と言います。
本田神父によればこの言葉には、
よく誤解されているような
「自分のしたことを悔いて、更生して正しい生き方をする」
というような意味は「まったく」ないそうです。
そうではなく「メタノイア」の直訳は、
「視点の転換」なのだ、と。

今までAだと思っていたものが、
実はAではなく別の意味だったのだ、
と物事を別の視点で見始めることを、
「メタノイア」というのだ、と。
だからイエスが「悔い改めなさい」と言って宣教を開始したとき、
それは先ほどのスティーブン・コヴィーの例話のような、
「視点の転換」を呼びかけていたのだ、と彼は言っています。
なので、隣人愛に関しても
「人に優しくなりなさい」という道徳的な教えではないのだ、と。
そうではない。
「神の視点で、あらゆる物事を見るようになりなさい」
というのが「メタノイア」の本来の意味だから、
「神の視点で、今目の前にいる貧しい人を見なさい」
というのがイエスの言われたことなのだ、と。
本当に神の視点で世の中を見たら、
あなたの心は傷ついた隣人のために張り裂けないはずがない、
というのがイエスが本当に言われたことの意味なのだ、と。

「再定義」と「メタノイア(悔い改め)」は、
言葉においてかなり近い概念です。
これも「自分のしてきたことは間違ってなかった」
というアファメーションのひとつになりました。

では、具体的に、どうやって「円環構造」を作るのか、
ということですが、これは「結論」から組み立てます。

たとえば、そうですね。
「話すときに構造が大切だ」
という「結論」があったとします。
その結論から「ちょっとずらした導入」を考えます。

エリオットは、
「我々のすべての探求は、
最終的に初めにいた場所に戻り、
その場所を初めて認識することである。」
と言いましたね。

「最後にそこに帰ってくる場所」を、
結論から逆算して設定するわけです。
この場合、そうですね。
めちゃくちゃ下手な構成のアメリカンジョークみたいなのを、
紹介しても良いでしょう。
構成がぐだぐだなので、「パンチライン」が、
まったく機能せず、鬼のようにスベります笑。
「ちょっと冒頭からスベっちゃいましたけど、、、
 気を取り直して、授業を始めます。」
といって講義が始まります。
内容はきわめてまっとうな発話の構成だとか、
話し方の技術の話をします。
当然、構成の重要性も指摘します。
授業の最後に、
「そういえば一つジョークを思い出したんだけど、、、」
といって最初のジョークを、
完璧な構成で披露するわけです。
「このように『構成』っていうのは、
 とても大切なんだよ。」
といって授業を閉じる。

こういった感じですね。
(もちろんクラスの雰囲気だとか、
 自分のキャラクターだとか、
 そういった要素が相まって成立するものですから、
 具体的な適用はこのままやればOKというわけではありません)

、、、と、ここまで書いたところで、
「グループの学習のダイナミズム」を説明する文字数が、
足りなくなりました笑。
相変わらず構成が下手ですね笑。

これに関しては最近読んだ本が非常に参考になりましたので、
そちらを紹介して、
エッセンスだけを要約したものを紹介することにとどめます。
もっと詳しく知りたいという人は、
次期読むラジサロンに参加するか、
もしくは「Q&Aオーナー」に、
「もっと教えて」とご質問下さい。


▼参考リンク:『なぜ人と組織は変われないのか?』ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー
http://amzn.asia/gkXvA1i


この本のまとめを、私のEvernoteメモから引用します。

《組織のリーダーはどのように道を示すべきか
1.大人になっても成長できるという前提に立つ:
メタ視点、思考様式の変容

2.適切な学習方法を採用する:
そのトレーニング(学習)はオンジョブ的か?

3.誰もがうちに秘めている成長への欲求をはぐくむ:
「よい問題」とは、それを通して成長できる問題である。
全員が取り組んでいる問題は、
それによってその人が成長できるような問題か?

4.本当の変革には時間がかかることを覚悟する:
変革には時間がかかる

5.感情が重要な役割を担っていることを認識する

6.考え方と行動のどちらも変えるべきだと理解する:
洞察思考のアプローチと
行動変容思考のアプローチの二者択一は、
両方正しくない。
二つのアプローチを一体化させることが大切。

7.メンバーにとって安全な場所を用意する:
「試練と支援」をセットで与える。》

不親切きわまりないですが、
これ以上解説は加えません。
しかしこの本を読んで、私は昨年11月に開催した、
「よにでしセミナー」との類似性に驚きました。

中途半端な回答になってしまいましたが、
「教える」ことについての話でした。
ご参考までに。



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