カテゴリー

検索

便利な「検索」機能の使い方

上の検索バーに、「vol.○○」あるいは、「●年●月●日配信号」などと入力していただきますと、カテゴリ別だけでなく配信号ごとにお読みいただけます。

また、ブログ記事のアップロードは時系列で逐次していきますが、「カテゴリ別」表示をしますと、「Q&Aコーナー」だけを読む、あるいは「先月観た映画」のコーナーだけを読む、などの読み方が可能です。

スマートフォン

この他の活動媒体

●9年間続くブログです。↓
陣内俊 Prayer Letter ONLINE

●支援者の方々への紙媒体の活動報告のPDF版はこちらです↓
「陣内俊Prayer Letter」 PDF版

陣内が先週読んだ本 2017年12月第四週 『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』切通理作

2018.06.20 Wednesday

+++vol.045 2018年1月2日配信号+++


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4 陣内が先週読んだ本 
期間:2017年12月第四週 12月24日〜30日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●41歳からの哲学

読了した日:2017年12月25日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:池田晶子
出版年:2004年
出版社:新潮社

リンク:
http://amzn.asia/35rPR8m

▼140文字ブリーフィング:

池田晶子さんの「14歳からの哲学」は以前読んだことがあったのですが、
ある方から私が教会で話していた内容から連想した、、、
とご指摘いただき、池田さんの本を久しぶりに手に取りました。
この本はエッセイ集で内容は「軽い」ですが、
私の好きな養老孟司の「女性版」みたいな感じで、
その超然とした態度や、たっぷりの皮肉と少量の猛毒と、
しかし不思議と愛がある、、、という語り口は養老先生そっくりです。
(183文字)



●怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち

読了した日:2017年12月17日 速読
読んだ方法:図書館で借りる

著者:切通理作
出版年:2015年
出版社:洋泉社

リンク:
http://amzn.asia/34aBmqG

▼140文字ブリーフィング:

「円谷プロ」のウルトラマンのシナリオライター、
金城哲夫、佐々木守、上原正三、市川森一の人物像を探り、
彼らがウルトラマンや怪獣たちにいったい何を象徴させたのか、
ということを分析する本です。
00年代の若手文芸批評家の間で「古典」のように読まれ参照されている本です。
本書を読むと分かりますが実はこの4名はみな、
「社会のなかのマイノリティや被差別側のアイデンティティ」を抱えた人です。
たとえば金城は沖縄出身ですし上原は長崎出身のクリスチャンです。

、、、で、その「マイノリティ=被差別側」から「正義」を観た時、
その正義は微妙に「屈折」しているわけです。
「俺が正義でお前が悪」という、たとえばアメリカのブッシュ(子)のような、
平板な世界観は彼らからは生まれません。

ウルトラマンという正義を彼らは描いたわけですが、
そこにはブッシュ的な正義の押しつけはなく、
むしろ怪獣とウルトラマンのどちらに正義があるのか、
途中で分からない筋立てが多く含まれている。
「帰ってきたウルトラマン」の、「怪獣使いと少年」という、
いまでは伝説になった上原正三のストーリーはその代表です。

メイツ星という星から地球に墜落した宇宙人である老人の、
金田さんは、河原で宇宙船を探します。
金田さんは地球人の少年とともに掘削をしていますが、
日本人の子ども達は彼らに石を投げて差別し迫害します。
金田さんが死ぬとその怨念が「怪獣」となりますが、
ウルトラマンはなんと、その怪獣を退治しません。
「これは金田さんの悲しみの結晶だから、、、」と。

「河原」という場所や、「金田」という名前に暗示されていますが、
メイツ星人が象徴するのは、
関東大震災のときに虐殺された朝鮮人や、
沖縄から本州に移住した移民、
そして江戸時代から続く「被差別部落」の人々です。
要するに「社会のアウトサイダー」であり「マイノリティ」です。
こういった人々の視点から物事を見た時、
私たちが正義だと思っていたものが本当に正義なのか、
私たちが描いてきた世界像が本当に盤石だったのか、
その地盤が揺るがされます。

その「揺るがされる」体験こそ、
本当の正義への旅の始まりだと私は考えます。
王としてではなく社会の弱者として生まれ、
当時のユダヤのマイノリティや被差別民たちを「自分の友」と呼び、
自分の側に正義があると疑いを持たない支配者や王達を唾棄したイエスは、
「私はこの世界に平和をもたらすためではない、
 火を投げ込みに来たのだ」とおっしゃいました。
それは「本当の正義への旅」が、価値観の揺さぶりから始まることを、
イエスがよくわきまえておられたからです。

ウルトラマンは「正義は単純ではない」と子どもに訴えることで、
イエスと同じく「火を投げ込む」存在だったのです。

「怪獣使いと少年」の脚本家でキリスト者だった上原正三氏は、
ガンでなくなる少し前に、キリスト教の業界紙のインタビューで、
「自分の脚本は使徒としての宣教だった」と告白しています。
引用します。

→P380〜381 
〈「ドラマは戦いにしても表側から表現するわけですけど、
インナーの、心の問題を投げかけるのが大事。
善と悪が対立するけれども、人間そのものが禅なのかという疑問が、
市川さんのキリスト教的な問いでもあったと思うんです。
キリスト教では、
神が創世記で自身に似せた良いものとして作られたはずの人間が、
蛇に勧められた知恵の木の実を食べたことによって、
嘘をつくことを覚え、神と同じくらいな存在だと思い上がることで、
神に背いたと考えます。
人間の心の中に悪を目覚めさせることを狙う敵と、
正義のウルトラマンという対立構図を描いていたのではないでしょうか」
(真船禎監督談)

、、、(2011年、キリスト新聞社「Ministry」のインタビューにて)
それまでは、健全なテレビ番組の世界に
自分は悪意を仕掛けていたのだ・・・という部分を
強調して話すことの多い市川森一だが、
この日には教会という場であったためか、
自分はなんのために書いてきたのか、
ギョーカイ的な韜晦(とうかい)のフィルターなしに、
素直に語っている印象を受けた。
「クリスチャンの自分は一貫して福音をもたらすために書いてきた。」
と市川は言った。
僕は内心「初めてそういう言葉を聞けた」と思ったのを覚えている。

「僕が東京の大学へ入るために田舎を出る時に、
諫早(いさはや)の駅で
林田秀彦先生(諫早教会牧師・当時)が見送ってくれたんです。
そのときに、握手しながら
『君はこれからディアスポラになるんだよ』と言われて旅立ちました。
『ディアスポラ』ってなんだろうと考えて、
あとで辞書を引いたら、『散らされていく者』という意味でした。
そういう牧師の言葉の呪縛というのは、
結構ずっと引きずるんです。
それはやっぱり、作家になってからも、
『自分はディアスポラのつとめを果たしているか』
と自問自答するんだよね。
だから、使徒としての役割を果たしていける番組に、
知らず知らずのうちに寄り添っていったという面はあるかもしれません。」
(市川森一談)

そして、こうも語った。
「長いライター生活の中で、
教会に通うという習慣は維持できませんでしたが、
この年になって時間もできて、
やっぱりもう一度教会に戻らなければいけないかなと思い始めています。
ここから旅立っていったというのは紛れもない事実ですから。」
(市川森一談)〉
(2,163文字)



●こころの旅

読了した日:2017年12月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:神谷美恵子
出版年:2005年
出版社:みすず書房

リンク:
http://amzn.asia/j63fsXS

▼140文字ブリーフィング:

「何でも良いから何か一冊、オススメの本って何かありますか?」
という無茶な質問(笑)を受けることが、年に2回ぐらいあります。
そのときには私は結構な確率で、
ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」か、
もしそれは既読だったら、
神谷美恵子の「生きがいについて」を読むと良いよ、と勧めます。
「生きがいについて」は、もはやクラシック(古典)です。
福祉や医療の世界で働く指導者は全員読んでいると言って過言ではない。
私がこの本を読んだのはわりと最近で、3年ほど前のことです。
「べてるの家」の向谷地生良氏が著作のなかで、
自分のバイブルのように読んだ本として紹介していたのがきっかけです。
、、、で、この「こころの旅」も「生きがいについて」と同じ、
「神谷美恵子コレクション」のひとつです。
この本のテーマは「人生の四季」です。
人が生まれ、成長し、働き、病気になり、老い、そして死ぬ、
ということはどういうことかを、
ピアジェの発達理論やエリク・エリクソン、フロイトの理論を補助線にして、
丁寧にひもといていきます。

神谷美恵子氏はキャリアの半分以上を、
ハンセン氏病の療養施設で働いていましたので、
彼女の「苦しみ」というものに対する理解は、
通常の著者のそれよりも、もう一層か二層、深い気がします。
私も2年間の療養で「地獄の深淵」をのぞき込みましたから、
彼女の洞察の深さに舌を巻き、大いに共感します。
この本では特に「苦難の中の連帯」というものを彼女は指摘してて、
私も病気の地獄の中で、
「共に苦しむ仲間達」の声を確かに聞きましたから、
経験から深く同意することができます。
引用します。

→P169〜171 
〈ひとたび烈しい苦痛を経験した人は、
以後、すっかり変わってしまうことが多い。
苦痛そのものの感覚はときの経過と共に案外忘れ去られてしまうが、
これに伴ったこころの苦悩は完全に流れ去ることはない。
傷の瘢痕のようなものがこころに残り、
知らず知らずのうちに病前とは考え方や判断の仕方が変わり、
物事や人々や自分自身に対する態度まで変わってしまうことが少なくない。
つまり苦痛の経験は、それまでの「形而上学的軽薄さ」から
われわれをひきずり出してしまうらしい。

それは前にも述べたとおり、
苦痛の中で人間の心身の分裂が起こり、
そこで別の現実を発見するからではなかろうか。
つまり、人間存在の根底には、こういう世界があったのか、という発見である。
結核やらいの療養所に長年住む人たちが、
互いに「療友」とよび合うのは決して偶然ではない。
ひとりで病んでいても、この「苦痛の連帯感」は生まれる。
その例として、前にあげた詩集からもう一つの詩を
ここにかかげさせていただこう。
これを書きのこした女性は28歳でガンで逝いた(ゆいた)人である。

 暗闇の中で一人枕をぬらす夜は
 息をひそめて
 私をよぶ無数の声に耳をすまそう
 地の果てから 空の彼方から
 遠い過去から ほのかな未来から
 夜の闇にこだまする無言のさけび
 あれはみんなお前の仲間達
 暗やみを一人さまよう者達の声
 声も出さずに涙する者達の声〉
(1,240文字)



●結局、トランプのアメリカとは何なのか

読了した日:2017年12月27日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:高濱賛
出版年:2017年
出版社:海竜社

リンク:
http://amzn.asia/6LrqWln

▼140文字ブリーフィング:

私にはアメリカに住んでいる友人・知人・家族がいますが、
彼らは口をそろえて「トランプ大統領という異常事態」を語ります。
曰く「なぜこの状態で国家が回っているのか不思議だ」と。
よく国家が麻痺せずに運営できているな、と。

私もまたトランプ政権後1年間いろいろ考えてきまして、
最近、「天啓」のようにトランプ政権を日本に置き換える、
良い比喩を見つけました。

政治経験ゼロの不動産屋で、
「誇大妄想気味の素人」トランプが大統領になり、
フェイクニュースを作っていたブライバート・ニュースの、
スティーブ・バノンが補佐官(すでに解任された)になった、
というのは、日本に置き換えて考えるなら、
ナチスを擁護するなどあり得ない言動が目立つ、
「超国家主義者で排外主義者の大金持ち」、
高須クリニックの高須委員長が総理大臣になり、
「朝鮮人は殺せ」と書いた看板を掲げて新大久保を練り歩く、
ヘイトスピーチで知られる、
「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の、
桜井誠が官房長官になるようなものです。

まぁ、端的にいって「地獄」ですね。

私は本気でカナダに移住することを考えます。
じっさいトランプが当選した時、
連邦政府の「カナダへの移住」のサーバーがダウンしたそうですから、
「私はアメリカ人であることを恥じる」と考えるアメリカ人が、
少なからずいた、ということでしょう。

いまアメリカは「そういう状態」なのです。
日本では今年J-アラートがなりましたが、
アメリカでは一年中T(トランプ)アラートが鳴りっぱなしだったのです。
(笑)と書きそうになりましたが、笑えません。

この本の著者はアメリカに長く住む日本人ジャーナリストですが、
「長いことアメリカの政治を観てきたが、
こんなことは起きたことがない」と彼も書いています。
この本は「では、それはどんな風に具体的に異例なのか」
という解説です。

じっさい、「トランプは1年間はもったが、
あと何年持つかは解らない。」という議論は、
アメリカ国内で今も続いています。
いつ何らかの形で失脚しても、誰も驚かないでしょう。
具体的に「失脚」のシナリオは4つあります。
「暗殺・病気・弾劾・解任」です。
引用します。

→P167〜174 
シナリオ1 暗殺説
「アメリカでは大統領4人が暗殺されていますし、
いつ、どこで起きるか分かりませんね。
殺人未遂は16人とも言われていますし。」

シナリオ2 病気説 
トランプ大統領はきわめて偏食家らしいんです。
大好物はマクドナルドのハンバーガーとケンタッキーフライドチキンとか。
大金持ちのくせに粗食のようで、
こんなものばかり食べていたのでは長生きしないだろうと言われています。
おまけに17年10月初旬には、
ハーバード大学の精神科教授ら27人の医師達が、
トランプ師の精神障害についてまとめた「診断報告」を
「The dangerous Case of Donald Trump」という本として発表しました。
その「診断」によると、トランプ氏の状態は、
「自己陶酔・人格障害・非社会化型行為障害・悪性ナルシズム」だというのです。
これは、直接診断した結果ではありませんが、
可能な限りのデータを集めて精神科医としての
知識と経験に基づいて「診断」したものだとのことです。

シナリオ3 弾劾説 
一言で弾劾だ、弾劾だ、といっても、
制度的にはそう簡単なものじゃないんです。
、、、共和党議員の中に模範トランプの議員はいますが、
よほどのことがない限り、
自分の党が全国党大会で指名した大統領の弾劾には賛成できません。
それではよほどのことってなんでしょう。
ウォーターゲート並みの犯罪行為が立証された時です。
これまでのケースを見ても、弾劾に値する犯罪行為は「司法妨害」です。
つまり捜査当局が犯罪行為を追求している際に
大統領令を行使して邪魔をすれば、これは即弾劾の対象となってきます。

シナリオ4 解任説 
これは、ペンス副大統領がトランプ大統領の政策運営そのほかを観ていて
「こりゃ、どうしようもないわ」と判断した時です。
ペンス副大統領がティラーソン国務、マティス国防各長官ら主要閣僚と相談し、
全閣僚に諮り、閣僚の過半数が
「トランプ氏は大統領としての権限と義務を遂行できない」
というペンス副大統領の判断に賛同すれば、
大統領に辞任を突きつけることができるというものです。
つまり大統領に引導を渡すわけです。
これは、憲法修正代25条4項に明記されています。〉

この1年間、様々な人の「トランプ評」を読んできましたが、
最も納得したのは村上春樹のトランプ評です。
トランプを「非難」しても何もならない。
「この現実を受け止め、
 これはいったいなんなのか」
ということを真摯に知ることが大事だ、と。
村上氏は、トランプとヒラリーの違いを、
人々の心のどれほど深くにまで語りかけたかの違いだ、
と分析しています。
曰く「ヒラリーは地下一階(理性)に語りかけた。
一方トランプは地下二階(情念)に語ることに成功した。」
理性と情念じゃ勝負にならない。
その結果、トランプが勝った、と。

この本には「ポストトランプ」についても紹介されています。
キーワードは「ミレニアム世代」と呼ばれる、
1977年以降に生まれた若者達で、
アメリカではこの世代はほどなく有権者の50%を超えます。
この世代は「右か左か」といったポジショニングにあまり興味がなく、
是々非々で、現実にアメリカをよくしてくれるのなら、
共和党であろうが民主党であろうがかまわない、
と考える世代です。
この世代に支持されている二人の候補が、
次の台風の目になるだろう、と著者は言います。

まず共和党のベン・サーサ議員。
彼はネブラスカ州出身のプロテスタントで教育に熱心なインテリです。
もう一人は民主党のエリザベス・ウォーレン議員。
オクラホマ州出身の女性で、彼女の父親は掃除夫です。
彼女は中産階級を代弁し、富裕層への徴税優遇を批判しています。

この二人に共通するのは、
トランプとヒラリーの両人が、
「本人が主張しているのに、実際は自らに欠けている」ものを、
持っているところです。
ウォーレン議員はヒラリー・クリントンにはなかった、
「自らが特権階級ではない」という庶民性を備えていますし、
サーサ議員はトランプがもっていない、
「プロテスタントの倫理や規範(ついでに知性)」を持っています。

日本にいるとアメリカの状況を皮膚感覚で知ること難しいですが、
この本はとても勉強になりました。
(2,513文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

陣内が過去一週間に読んだ本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:なし

コメント:
相変わらず判定が厳しいです。
今週読んだ4冊はどれも違う意味で面白かったですが、
「買った方が良いよ」というほどなのはありません。
ただし、先ほど触れた神谷美恵子の「生きがいについて」は、
買って本棚に入れておく価値のある本です。
オススメです。



↓記事に関するご意見・ご感想・ご質問はこちらからお願いします↓

https://www.secure-cloud.jp/sf/1484051839NyovBkYI


このブログでは過去6ヶ月前の記事を紹介しています。
もっとも新しい記事が直接メールボックスに届く
無料メルマガに登録するにはこちらから↓↓


http://karashi.net/carrier/catalyst/jinnai/mailmag.html


2017年版・陣内が今年読んだ本ランキング【特別編】

2018.06.20 Wednesday

+++vol.045 2018年1月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 2017年版・陣内が今年読んだ本ランキング(特別編)
昨年末に、「読んだ本ランキング」で、
昨年私が読んだ約300冊の書籍の「ベスト10」を発表しました。
ランキング化することの弊害は、
そこからはあふれる魅力あるものが排除されることです。
なのでランキングは年に一回しかしません。
この「特別編」ではその、
「あふれたけれどどうしても紹介したい、
魅力あふれる書籍」をご紹介します。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼参照:2017年版陣内が今年読んだ本ベスト10

第10位:『古典経済は役に立つ』
第9位:『他者の倫理学』
第8位:『キリスト教とローマ帝国 小さなメシア運動が帝国に広がった理由』
第7位:『ゲンロン0 観光客の哲学』
第6位:『素数の音楽』
第5位:『希望の神学』
第4位:『スティーブ・ジョブズ1・2』
第3位:『サピエンス全史 上・下』
第2位:『神の宣教 第1巻〜第3巻』
第1位:『リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』


▲▼▼再発見賞:『かもめのジョナサン 完成版』▼▼▼

著者:リチャード・バック
出版年:2014年(英語初版1970年)
出版社:新潮文庫

リンク:
http://amzn.asia/9OLaxz8

解説:

「かもめのジョナサン」は有名な作品です。
私が初めてこの作品について聞いたのは、
95年のオウム真理教の地下鉄サリン事件のとき、
連日テレビに出演していた教団幹部の上祐史浩氏が、
たしか入信のきっかけとして、「かもめのジョナサン」を読んだこと、
と話していたときです。
なんとなく、「かもめが限界突破を目指す話」
という筋書きは知っていましたがはじめて手にとって読みました。

これが非常に面白かった。
この本、じつは2014年に40年越しに、
「続編(第四章)」が書かれたのです。
それがこの「完全版」です。

1章から3章は、「高みをめざすカモメ」の話しです。
ドラゴンボールの修行のような話しでもあるし、
鈴木大拙の語る「禅」についての話しのようでもあります。
つまり、求道者がいかにして共同体から破門され、
最後にグルとしてあがめられるようになったのか、
というストーリーです。
最後はジョナサンがフレッチャーという弟子を得るところで、
さわやかに終わる。
ちょっと映画「ベストキッド」みたいな感じです。

きっとオウム真理教の上祐史浩は、
自分にフレッチャーをかさね、
麻原にジョナサンを重ねていたと思われます。

そして「上祐が読まなかった第四章」は、
グルが伝説になったあとの「教条主義化」を風刺する話です。
実はこの部分がいちばん面白い。
あり得ない仮定ですが、もしオウムに入信する前の上祐が、
第四章を読んでいたらどうなっていただろうか、、と考えます。

歴史は変わっていたかもしれません。

これがあまりに面白かったので、
私は図書館で借りて読んだ後に、書籍をAmazonで買いました。
「教条主義とは何か」を知るための教科書としても読める本です。
あー、なるほど、こうやって教条主義は作られていくのだ、と。
第4章から引用します。

→P148〜149 
〈しばらくは、真に飛ぶことを求めるカモメたちの黄金時代だった。
大勢のカモメが、いまや神聖な鳥と見なされる
ジョナサンと直接に接した弟子に近づこうと、フレッチャーの元に集まった。
フレッチャーはジョナサンはわれわれと変わらないカモメだった、
われわれが学べることを同じように学んだだけだと話したが、
いくら言っても無駄だった。
彼らは終始フレッチャーを追いかけ、ジョナサンがいったとおりの言葉、
そのままの仕草について聞き、あらゆる些細なことまで知りたがった。
彼らがつまらぬ知識を求めれば求めるほど、
フレッチャーは落ち浮かない気持ちになった。
ひとたび、メッセージを学ぶ事に興味を持つと、
彼らは厄介な努力を、つまり訓練、高速飛行、自由、
空で輝くことなどを怠るようになっていった。
そして、ジョナサンの伝説のほうに
ややもすれば狂気じみた目を向けはじめた。
アイドルのファンクラブのように。

「フレッチャー先生」彼らはたずねた。
「素晴らしきジョナサン様は
『われわれはまさしく〈偉大なカモメ〉の思想の体現者である』
とおっしゃったのでしょうか。それとも、
『われわれはまぎれもなく〈偉大なカモメ〉の思想の体現者』と?
どちらでしょう」〉

、、、ジョナサンをイエス、
フレッチャーをパウロや12弟子、
そしてフレッチャーの周りに集まったかもめたちを、
現代のキリスト教神学者、と解釈することもできます。
私たちが深刻な顔をして「これは神学的に重要な問題だ」と、
議論し合っていることのほとんどは、
イエスご自身からしたら「どっちでもいいよ」という問題かもしれません。
ジョナサンにとって「まさしく」でも「まぎれもなく」でも、
どっちでも良かったように、、、。

私たちは「師を真似ることを求めるのでなく、
師が求めたものを求める」必要があるのです。



▲▼▼会話でいっぱい引用した賞:『共鳴力』▼▼▼

著者:宮嶋望
出版年:2017年
出版社:地湧社

リンク:
http://amzn.asia/0A94u7h

解説:

こちらは2017年の後半に読んだ本ですが、
たぶん年間で一番会話で引用した本じゃないかと思います。
北海道に住む友人が、この本を書いた宮嶋望さんがつくった、
障害者たちが働く牧場施設である「共働学舎」を見学し、
この本を貸してくれました。

私が獣医師で、専門は酪農だったのもあり、
宮嶋望さんのこの施設の理念や実践を本で知り、
めちゃくちゃ興味を惹かれました。
早ければ2018年中に、
ここに1週間ぐらい泊まり込んで研修したいと思っているほどです。
いや、マジで。

昨年一年を振り返った時に、
けっこういろんな場面で、会話の中に最も引用したのは、
この宮嶋望さんの共同学者の話でした。
障害者や病気と健常者の話をするときも、
農業の話をするときも、
キリスト教の話をするときも、
社会起業家やソーシャルビジネスの話をするときも、
世代間ギャップの話をするときも、
「北海道で共同学者という牧場をしている、
 宮嶋さんという人がいて、、、」
と私は話し、この本から引用することが何度もありました。
なぜそんなにも引用したか、、、と考えてみますと、
宮嶋さん(とその仲間達)の物語が、
とても包括的で多義的だからだ、というのが私の結論です。
人は帰納的に導き出された「結論や教訓」を聞かされるより、
「物語」として提示されたものから、
後に「演繹される教訓」を滋養として引き出し続けた方が、
結果的に多くを学ぶ、という実例だと思います。

だから「神学理論」より「イエスのたとえ話」の方が、
そして「体系的ビジネス書」より「伝記」の方が、
後々にインパクトは大きいのです。

概要をいちから説明するのも骨が折れるので、
説明にかえて基本情報の部分を引用します。

→P21 
〈新得共働学舎は現在、70名以上の人たちが関わり、暮しています。
最近はやりの言葉でいうソーシャルファーム(社会的企業)
ということになります。

組織としては、「NPO共働学舎」の一員である「新得共働学舎」と
「農事組合法人共働学舎新得農場」とが同居している形になります。
メンバーの大部分は新得共働学舎に所属し、
農業生産活動で収益を上げている農事組合法人に
労務提供をしている形になります。

生産物はチーズと農作物が主力で、
ほかに生乳、肉牛、養豚、養鶏、食肉製品、手芸品、パンなどを生産し、
併設カフェ、売店も営業しています。
それからチーズ作り研修やソーシャルファームに関しての
グリーン・ツーリズムの機会も提供しています。
チーズは、世界的なコンテストで
グラプリになるなど国内外で賞を頂いており、
おいしさが広く知られるようになり全体の売り上げの約七割になります。

メンバーの多くが農場内にあるいくつかの建物に住んでいます。
農場には牛車、豚舎、鶏舎、羊小屋、
馬小屋、搾乳質、チーズ工房、チーズ熟成庫があります。
また農業研修生が泊まる施設、講義やチーズ作りの講習を行う場所もあります。
ブランドを確立して、このところ堅実な運営ができるようになり、
農地や放牧地もずいぶん増えています。。

NPO共働学舎は新得を含め全国4カ所に拠点のある組織です。
私の父・宮嶋眞一郎が1976年からはじめた、
理想の生き方を実現することを目指した
「農業家族、福祉集団、教育社会」です。
一緒に生活しながら働き、互いに面倒を見て、
学び合う共同対(共同生活を送る集団)です。
ハンディのある人と一緒に農業を営みながら生活しています。
食住が保証されます。

とはいえ、その収益だけでは生活資金がまかなえないので、
理想に共感した共働学舎を応援して下さる
会員の皆様から頂く寄付金をベースに活動しています。
そしていまでは、新得共働学舎はチーズの製造販売で収益を上げ
経済的に自立することができるようになったので、
現在は共働学舎東京本部からの
生活費の補填・助けなしで運営されるようになりました。〉



▲▼▼日本にこんな人がいたとは賞:『羽仁もと子 生涯と思想』▼▼▼

著者:斉藤道子
出版年:1988年
出版社:ドメス出版

リンク:
http://amzn.asia/0vsrr2S

解説:

羽仁もと子さんは、大正、昭和を生きた、
「社会変革者(ソーシャルリフォーマー)」であり、
同時代の社会変革者のひとり、賀川豊彦と並んで、
「世界に影響を与えた日本のキリスト者」のひとりです。

羽仁もと子については以前から知っていましたし興味もありましたが、
宮嶋望さんの本を読んで、そのルーツが羽仁もと子の創立した、
「自由学園」にあることを知り興味を持ちました。

新得の「共同学舎」の創始者は宮嶋眞一さんといいます。
宮嶋望さんのお父さんで、自由学園の中心的人物でした。
自由学園の「思想しつつ、生活しつつ、祈りつつ」という理念を、
学校という限定された空間ではなく、
もっとダイナミックな形で実現したい、
と眞一さんは願い、1976年に現在のNPO法人共同学舎を創設しました。
息子の望さんはそれをさらに発展させ、
現代という時代における新しい使命を帯びて前進しています。

何事も「ルーツ」が気になるのが私の性分ですので、
、、、では、その宮嶋眞一さんが依拠した、
「自由学園」を創設した羽仁もと子さんという人は、
いったい何を願い、そしてどんな理想と思想を抱いた人だったのか、
という興味がわいてきたのです。

ところが羽仁もと子さん自身が書いたものは、
量が膨大すぎて何から手を付けて良いか分からない。
調べた結果、この伝記がけっこう取っかかりとして優れていそうだったので、
読んでみました。

海外に行くようになって外国人からあまりにも、
日本人だったら、アジアで最も影響力あるキリスト者だった、
「Kagawa(カガーワ)」を知ってるだろう?
と何度も聞かれるので、
初めて賀川豊彦の「死線を越えて」を読んだ時、
私は脳天をたたかれるような衝撃を受けました。
「日本にこんな偉大な信仰者がいたのかぁ!」と。

羽仁もと子の伝記は、「賀川以来の衝撃」でした。
この伝記を読んだことは私の人生の「事件」でした。
羽仁もと子の活動はあまりにも多岐にわたりますが、
世界で知られているのは、
「アジアで初めて女性だけの運動体を組織した人物」
というフェミニストの側面です。
しかし彼女の活動はそんな範疇にはまったく収まりません。
日本人が「家計簿を付ける」という習慣をもつのは彼女のおかげですし、
ときの内閣にも大きな影響を与えました。
また、「自由学園」の卒業生は、
共同学舎の宮嶋さん親子に代表されるように、
その独特な教育により、社会にインパクトを与える人材を、
いまも排出し続けています。

彼女の活動は、「神の国運動」のひとつであり、
私も100年という歳月を経て、
彼女や賀川のしようとしたことの、
「末席を汚させていただいている」というような、
時代を超えた神の働きの連続性を(一方的に)感じているのです。

→P182 
〈もと子は1930年の東京友の会の例会で、
友の会の存在を「神の国の建設のため」と意義づけた。
「友の会は淋しさをなぐさめられたり、
便宜を得たりするためにあるのではない。
協力によりひとりではできないこともできるようになるのは確かだが、
次にはすべての人に都合の良い社会を作ること、
社会を良くするためにと言うことを一人ひとりが考えなければいけない。
神の国の建設のためにと言う重い目的の所に行かなければならない。
友の会はそのための団体である。(1930.4)」〉



▲▼▼メルマガで書いたなぁ賞:『WORK SHIFT』▼▼▼

著者:リンダ・グラットン
出版年:2012年
出版社:プレジデント社

リンク:
http://amzn.asia/aD2OVWO

解説:

これは、タイトルのとおりですね。
メルマガの「本のエスプレッソショット」というコーナーにおいて、
初期の段階で解説しました。

あれは確か戸田市で午後から用事があったとき、
戸田公園駅のスタバの席に2時間ほど居座り、
一気に書き上げました。

けっこう、大変でした笑。
こちらがその記事です。

▼参考リンク:メルマガアーカイブ「WORK SHIFT」リンダ・グラットン
http://blog.karashi.net/?eid=154

書くのは大変でしたが書いて良かったと思います。
「アウトプットは最大のインプットである」というのは、
私の持論ですが、最も確実な記憶の定着のさせかたは、
「誰かにそれについて説明したり教えたりすること」です。
私はWORK SHIFTという本を脳内にいつも持ち歩いているように、
この本の内容や構成をかなり詳細に思い出し再現できます。
それは私が脳に汗して「アウトプット」したからです。

、、、二度手間になりますので内容の説明はここではしません笑。
どうか過去の記事を読んでください。
そうでないと、あの努力が浮かばれませんから笑。

プロローグのグラットン氏の「子ども達への手紙」に、
この本のエッセンスはすべて集約されていますので、
それをご紹介します。

→P377 
〈みなさんが充実した職業生活を送れるかどうかは、
次の三つの課題に対処する能力によって決まります。
第一は、職業人生を通じて、
自分が興味を抱ける分野で高度な専門知識と技能を修得し続けること。
第二は、友人関係や人脈などの形で人間関係資本をはぐくむこと。
とくに強い信頼と深い友情で結ばれた
少数の友人との関係をたいせつにしながら、
自分とは違うタイプの大勢の人たちとつながりあうことが大切になります。
第三は、所得と消費を中核とする働き方を卒業し、
創造的に何かを生みだし、質の高い経験を
たいせつにする働き方に転換することです。〉



▲▼▼ラジオにハマったで賞:『芸人式新聞の読み方』▼▼▼

著者:プチ鹿島
出版年:2017年
出版社:幻冬舎

リンク:
http://amzn.asia/g1cJVOQ

解説:

マスメディアもネットも含め、
今年私が最もハマった「コンテンツ」のひとつは、
こちらのラジオ番組です。

▼参考リンク:「東京ポッド許可局」
https://www.tbsradio.jp/tokyopod/

おじさん芸人が3人でずっと話しているだけなのですが、
これが「永遠に聞いていられる」。

あと、この番組自体が、
私が「読むラジオ」でしようとしていることにとても近いのです。
10年ほど前から、当時30代だった彼ら3人の芸人たちは、
ルノアールという喫茶店で時々集まっては、
世の中のいろんな出来事に関して、
あーでもない、こーでもない、
と無責任に語り合っていました。
その会話が、「なんかおもしろくない?」
と彼らは思った。

これを聞いているのが話してる3人だけじゃもったいない、
ということで、彼らはそこにICレコーダーを持ち込み、
ポッドキャストという形で配信し始めた。
次に彼らはスポンサーを募り始めた。
この番組配信を続けていくために、個人や企業で、
一口1万円からのスポンサーになってくれませんか?と。
まだ「クラウドファンディング」という言葉もなかった頃です。
だんだんスポンサーや賛同者が増えてきて口コミでこの番組は広がり、
ついにキー局のTBSラジオがこのコンテンツに目を付けた。

、、、今、当たり前のように毎週TBSで放送されているこの番組には、
こんな「ストーリー」があります。

私のこのメルマガ「読むラジオ」も、
彼らがやっていることに、かなり狙いとしては近いです。
ただ、キー局の目にとまるとか、多くの人の目に触れるようになる、
とか、そういうのって、「運」が半分ですので、
鷹揚に構えていようと思っています。
こういう部分でガツガツしても、消耗するだけですので。
私が注力すべきは「面白いコンテンツを作り続ける」ことだけです。
こちらは消耗しません。
やってて楽しいですから。

、、、このラジオ番組を主催している3名の芸人は、
プチ鹿島、サンキュータツオ、マキタスポーツの三人です。
プチ鹿島さんは書籍タイトルからも分かるように、
「時事芸人」で、新聞の読み比べだとか、
プロレス評などが武器です。

サンキュータツオさんは大学の講師でもあり、
様々な「論文」を収集したり、
あと、「国語辞書」をエンタメとして楽しむ、
という提案をしています。

マキタスポーツさんはミュージシャンでもあり、
俳優でもある。
この人のJ-POP論は秀逸です。

そんなこんなで、私は東京ポッド許可局の3名の書いた書籍を、
2017年になんと6冊も読んでいます。
3名×2冊ずつ=6冊です。

、、、もう、大ファンですね笑。
全部オススメです。

▼参考リンク:「教養としてのプロレス」プチ鹿島
http://amzn.asia/gk7huqN

▼参考リンク:「ヘンな論文」サンキュータツオ
http://amzn.asia/bNCWFoR

▼参考リンク:「芸人の因数分解」サンキュータツオ
http://amzn.asia/5ofijzx

▼参考リンク:「すべてのJ-POPはパクリである」マキタスポーツ
http://amzn.asia/4Dp8w0x

▼参考リンク:「一億総ツッコミ時代」槙田雄司(マキタスポーツ)
http://amzn.asia/g8P1DB4



↓記事に関するご意見・ご感想・ご質問はこちらからお願いします↓

https://www.secure-cloud.jp/sf/1484051839NyovBkYI


このブログでは過去6ヶ月前の記事を紹介しています。
もっとも新しい記事が直接メールボックスに届く
無料メルマガに登録するにはこちらから↓↓


http://karashi.net/carrier/catalyst/jinnai/mailmag.html

陣内が先週観た映画 2017年12月 『ビフォア・ミッドナイト』他15本

2018.06.20 Wednesday

+++vol.045 2018年1月2日配信号+++


■2 陣内が先月観た映画 2017年12月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●クレヨンしんちゃん 温泉わくわく大決戦

鑑賞した日:2017年12月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:原恵一
主演:矢島晶子(しんちゃん)他
公開年・国:1999年(日本)

リンク:
http://amzn.asia/8rA5IXz

▼140文字ブリーフィング:

原恵一監督の、
「クレヨンしんちゃん モーレツ!大人帝国の逆襲」は、
日本映画史上に残る名作だ、という話は何回かしました。
「2017年版・陣内が今年観た映画ベスト10」にもランクインしています。
、、、で、同じ原恵一監督の「アッパレ!戦国大合戦」も観た。
これもすごかったです。
特に時代考証がとてもしっかりしていて見応えがありました。
期待してこちらも観たのですが、本作は拍子抜けするほど駄作でした笑。
ほとんど早送りして電車のなかで観ました。
魅力がいまいち分からなかった。
まぁ、こういうこともありますよね笑。
(247文字)



●あらしのよるに

鑑賞した日:2017年12月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:鈴井ギサブロー
主演:成宮寛貴、中村獅童
公開年・国:2005年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/ewzNnTl

▼140文字ブリーフィング:

人気ある絵本の映画化です。
群れ同士は敵対している羊とオオカミが友達になるという、
「道ならぬ友情モノ」です(そんな言葉あるのか笑?)。
古典では旧約聖書の「ダビデとヨナタン」がそうですね。
ヨナタンはダビデの命を狙うサウル王の息子ですから。
あの「少年に矢を取りにかせるくだり」は、
泣けます(cf.第一サムエル記20章)。
「あらしのよるに」は、
「忘れられない名作」というほどではありませんが、
映像がきれいでわりと観ていられます。
傑作ではないにしても「佳作」ではあります。
(218文字)



●マッドマックス

鑑賞した日:2017年12月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョージ・ミラー
主演:メル・ギブソン
公開年・国:1979年(オーストラリア)
リンク:
http://amzn.asia/6iEeV13

▼140文字ブリーフィング:

こちらはもう映画の「古典」に数えられます。
北斗の拳などの「ならず者が支配する近未来像」の、
「元ネタ」となった作品で、
後の多くの映画や漫画や小説にインスピレーションを与えた
非常に影響力のある作品です。
極論すれば、この映画が撮られなければ、
「北斗の拳」というマンガは存在しなかった。
(少なくともモヒカン鋲付き革ジャンキャラが、
 バイクや改造した四輪駆動で荒野を荒らし回るという、
 あの「おなじみの世界観」は存在し得なかった)

、、、で、
この作品は「カルト的な人気のある映画」という意味で、
「カルト映画」なので、「怒りのデスロード」が公開されたとき、
ファンは歓喜にわき、私の好きな映画評論家たちも、
興奮気味に語っていました。
、、、なので1年前に「怒りのデスロード」をレンタルして観たのですが、
いまいち「ピンと来ない」。
「俺の感覚がおかしいのかなぁ。
 、、、いや、一作目を観ていないからかもしれない」
とおもってこちらを観ました。

その結果、、、あまりピンと来なかった笑。
やっぱり映画って、「相性」がありますよね。
私にはあまり魅力が解りませんでした。
当時の撮影としては画期的な要素が数多く含まれていたのは、
よく分かります。スピード感とか、
「本当に人が死んでいるようにしか見えない」撮影方法とか、、、。
じっさい「撮影中本当に人が死んでいるかどうか」で、
当時かなり物議をかもしたそうです。
真相は判明していて、「死んでいません」。
そりゃそうですよね笑。
でも、確かに死んでいるように見えます。
(523文字)



●クリーピー

鑑賞した日:2017年12月5日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:黒沢清
主演:香川照之、西島秀俊、竹内結子
公開年・国:2016年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/i2MJiHm

▼140文字ブリーフィング:

こちらはサイコパスものです。
映画を観ている途中、過去に原作を読んでいたことに気づきました。
さらにもうひとつ気づいたのは原作の「クリーピー」は、
じっさいに起きた北九州での事件をもとにしており、
その事件のルポは「消された一家」という書籍になっています。
なんと、私はこちらも読んでいました笑。
どんだけこの事件に興味があるんだ、と笑。
映画:「クリーピー」
フィクション小説:「クリーピー」
ノンフィクション書籍:「消された一家」
このなかで最も怖いのは、圧倒的に、
圧倒的に、圧倒的に、ダントツで、、、

「消された一家」です。

もうね、あれはね、「最恐」です。
松永太という実在の死刑囚の凶行は、
圧倒されて開いた口がふさがりません。
二次創作された「クリーピー」を読んでも、
実在の犯人の前には霞んで見えます。
小説は事実を超えることができないのです。

映画自体は「普通」でしたね。
香川照之のサイコパス演技はたしかに怖いし、
黒沢清監督の映画的な文法はたしかに不気味です。
しかし、強烈な実話の前には「マイルドすぎる」。
(440文字)

▼参考リンク:「消された一家 北九州連続監禁殺人事件」
http://amzn.asia/h0NsJvJ



●HK 変態仮面

鑑賞した日:2017年12月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:福田雄一
主演:鈴木亮平、清水富美加
公開年・国:2013年(日本)
リンク:
http://amzn.asia/iKTF50F

▼140文字ブリーフィング:

「人間の人生には無駄なことなんてない」
とJ-POPの歌詞に影響された私は思って生きてきましたが、
いやぁ、無駄ってあるんですね笑。
この映画を(早送りで)観た30分は、
まったくの無駄でした笑。
(ほとんど移動時間なので、
 まぁ、外の景色を見るかこれを観るかの二択でしたが)

この原作の週刊少年ジャンプの漫画は、
私は「直撃世代」でしたので、ちょっと期待していましたが、
とにかく下らないです。
ただ、そんなに悪い意味ではないです。
「くだらないよ(怒)!」じゃなくて、
「くだらねーわ(笑)!」のほうです。
褒めてるのかけなしてるのか分からないですね笑。
私にも分かりません。

30分で観ましたからストーリーは追えませんでした。
でも問題ないんですよ。
だって、ストーリーなど最初からないんですから笑。
(313文字)



●CURE

鑑賞した日:2017年12月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:黒沢清
主演:役所広司、萩原聖人
公開年・国:1997(日本)
リンク:
http://amzn.asia/cEHAR5p

▼140文字ブリーフィング:

「クリーピー」を観て、
「黒沢清監督映画って、雰囲気あるな」と思ってこちらも観ました。
考えてみると、2003年、いまから14年前に、
私は愛知県にいたときに家で「アカルイミライ」という、
オダギリジョー主演、黒沢清監督の作品を観て、
そのときに強い印象を覚えたのです。
内容は覚えていないけれど、記憶に焼き付く映画ってありますよね。

こちらは私は「クリーピー」より好きでした。
役所広司の演技が良かったし、
黒沢清映画の「不気味さ」が最大限に発揮されていました。
メスマーという中世の医師を研究する催眠術師が、
「言葉と光のゆらめきによる催眠」で、
人を殺人者にしていく、、、という話です。
筋書きとしては、浦沢直樹の漫画「MONSTER」にめちゃくちゃ似ています。
どちらかがどちらかにインスパイアされたのじゃないかというぐらい。
(350文字)



●黄金のアデーレ 名画の帰還

鑑賞した日:2017年12月1日(金)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:サイモン・カーティス
主演:ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ他
公開年・国:2015年(イギリス)
リンク:
http://amzn.asia/12WGlxk

▼140文字ブリーフィング:

クリムトの名画、「黄金のアデーレ」はオーストリアの国宝ですが、
それはかつて所有者からナチが強奪したものでした。
唯一生きている所有者の血縁者で相続者(絵のモデルの姪)は、
戦時中にアメリカに亡命しましたが、
その絵の所有権を巡って若き弁護士が国際裁判を起こす、という筋書きです。
BBCフィルムズ制作というだけあり、
しっかりした内容で面白かったです。
誰が観ても「平均以上」の映画と思います。
特に82歳のクリムトの絵画のモデルとなった、
アデ−レの姪の役者(ヘレン・ミレン)の演技は素晴らしかった。
(213文字)



●神様メール

鑑賞した日:2017年12月4日(月) 万座に向かうバスの中で
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
主演:ピリ・グロワール他
公開年・国:2015年(ベルギー)
リンク:
http://amzn.asia/8pRw78f

▼140文字ブリーフィング:

「神をめぐるフィクション」です。
松本人志監督作品「しんぼる」を思い出しました。
お父さんが「神」で、兄が「イエス」である少女の話。
この入り口からして怒っちゃう人もいると思うので、
そういう人は是非鑑賞されないことを強くオススメします。

「神」であるお父さんはパソコンでこの世界を支配しており、
人々を不幸にして楽しんでいます。
「創世記」「出エジプト記」「○○による福音書」などの展開で、
話は進んで行き、主人公の「神の子」の少女は、
ホームレスや離婚した男性や同性愛者など、
社会の「はみ出し者」たちを「十二使徒」として仲間にしていきます。
最後に世界を救うのは、野球カードだけが趣味の母親で、
彼女が世界をバラ色に染める、「雅歌」で終わる。

これはカトリックの影響の強い、
欧州に住んでいる人しか分からない感覚なのだと思いますが、
これはただいたずらに宗教的タブーを犯す、
「神を冒涜して楽しむ遊び」ではありません。
おそらくこれは、
「父権的で男性的でマッチョで禁欲的な灰色のキリスト教」
への痛烈な批判になっていて、
「世界には女性もいるし、
 人生はもっと楽しいはずだ!」
という西洋人の「心の叫び」なのでしょう。
ニーチェ的な叫びというか、、。
宗教という抑圧に対する反抗としての「ニーチェの怒り」は、
最初から宗教観がいい加減なアジア文化圏の私たちには、
前提が共有されていないのでたぶん理解できないのです。
(475文字)



●心の旅 Regarding Henry

鑑賞した日:2017年12月7日(木) (群馬からの長距離バスの中で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マイク・ニコルズ
主演:ハリソン・フォード、アネット・ベニング
公開年・国:1991年(米国)
リンク:
http://amzn.asia/0jC9kph

▼140文字ブリーフィング:

頭を強盗に打たれた敏腕弁護士の主人公が、
身体の自由と記憶を失うのと引き換えに
人間性を取り戻してい行く、という物語です。
まずまず面白かった。
主人公が体験する、
自分が自分でなくなる、優秀ではなくなる、
世間から「終わった」と思われる、、、といったシークエンスは、
かつて鬱病を患った私には痛々しく生々しく、
当時の感情が蘇って心が痛みました。
(166文字)



●人生スイッチ

鑑賞した日:2017年12月5日 (万座に向かう長距離バスの中で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ダミアン・ジフマン
主演:リカルド・ダリン他
公開年・国:2014年(アルゼンチン)
リンク:
http://amzn.asia/d8FdWU5

▼140文字ブリーフィング:

短編集のような構成です。
各短編に共通するのは、
一つの小さな出来事がドミノ倒し式に連なっていき、
大きな破局に行き着く、というカタルシスが描かれているところ。
初めてアルゼンチン映画というものを観ました。
けっこう楽しかったです。
(111文字)



●フォーリング・ダウン

鑑賞した日:2017年12月7日 (群馬からの長距離バスの中で)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジョエル・シュマッカー
主演:マイケル・ダグラス、ロバート・デュバル他
公開年・国:1993年(米国)
リンク:
http://amzn.asia/emWr51O

▼140文字ブリーフィング:

こちらも「サイコパスもの」です。
サイコ男を一人称でひたすら追いかけ続けるという映画。
けっこう面白かったです。
主演のマイケル・ダグラスの「ぶっ壊れぶり」は、
なかなかのものがありました。
(91文字)



●キャロル

鑑賞した日:2017年12月9日(土)
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:トッド・ヘインズ
主演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ
公開年・国:2015年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/4LZvjbw

▼140文字ブリーフィング:

同性愛が許されなかった時代の同性愛の話。
映像がとにかく美しいロードムービーです。
「色」が重要な意味を持つ映画で、
「女性が女性に萌える」という、
最も感情的に移入しづらい設定を、
「なんか分かるかもしれない」と思わせる力量はたいしたものです。
こちらは女性ですがこれの「男性版」に、
「ブロークバック・マウンテン」という作品があります。
これはけっこうな名作で、ワイオミング州の自然と、
そして「社会の最弱者としての同性愛者」の悲哀が、
たまらなく切ない映画です。
(224文字)

▼参考リンク:「ブロークバックマウンテン」
http://amzn.asia/ap9NWdw



●ビフォア・サンライズ

鑑賞した日:2017年12月15日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:リチャード・リンクレイター
主演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
公開年・国:1995年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/5c62wG4

▼140文字ブリーフィング:

これは過去に観たことがあり、10年ぶりに再度鑑賞しました。
アメリカ人バックパッカーの青年のジェシー(イーサン・ホーク)は、
欧州旅行中の電車の車内でセリーヌ(ジュリー・デルピー)と出会います。
「明日の朝の飛行機のチェックインまで、
ウィーンの街で一晩過ごすけど一緒に街をぶらぶらしない?」
とジェシーがセリーヌを誘うところから物語りは始まり、
その「夜が明けるまで」の十数時間が描かれます。
ここには「青春の輝き」や「若気の至り」があるのですが、
このシリーズはそれでは終わりません。
二作目、三作目を観ると、
最も軽薄に見える一作目こそが、
実は、最も切ないのです。
(266文字)



●ビフォア・サンセット

鑑賞した日:2017年12月17日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:リチャード・リンクレイター
主演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
公開年・国:2004年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/hp8uWN8

▼140文字ブリーフィング:

はい、来ました二作目笑。
まったく同じキャストで「あれから9年後」のジェシーとセリーヌを描きます。
「一作目での出来事」、
つまり「セリーヌと半日を過ごしたあのウィーンでの夜」を小説に書いて、
それがヒットしたジェシーは小説家になり結婚しており、
パリの書店でサイン会をしています。
二人はあの半日以降、一度も連絡を取っていません。

、、、そこへセリーヌが現れます。
9年ぶりの再開です。
ジェシーはセリーヌに、
「この本を書いたのは君に再会できるかもしれないと思ったからだ」と告げます。
セリーヌは最初そっけないふりをしつつ、
彼のために書いた歌を彼に歌って聞かせます。
二人が「どうなったのか?」は、一作目と同じく明かされません。
ラストシーンと「終わり方」がこの映画は最高で、
「余韻」が素晴らしいです。
あと、このシリーズ、3作ともに言えるのですが、
二人の会話が「自然すぎる」のです。
30分ぐらい二人で歩きながら会話する、、、
というシーンが3作ともにあります。
というかこの「ビフォアシリーズ」は、8割が会話シーンです。
その「会話の自然さ」こそがこの映画最大の「すごさ」です。
本当にすごい。どうやって撮ってるんだろう、と思うぐらい。
(476文字)



●ビフォア・ミッドナイト

鑑賞した日:2017年12月18日
鑑賞した方法:Amazonでレンタルしてストリーミング(199円)

監督:リチャード・リンクレイター
主演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
公開年・国:2013年(アメリカ)

リンク:
http://amzn.asia/a7CVWlg

▼140文字ブリーフィング:

勢い余って観てしまいました、三作目。
今度は同じキャストで「二作目の9年後」の二人が描かれます。
つまりこの映画、同じキャストで、
都合18年の時間の経過を表現しているのです。
日本でいえば「北の国から」なのです。
9年前、あのラストシーンのあと、
ジェシーはアメリカにいる妻と離婚しパリに移住して、
二人はパートナー(事実婚関係)になります。
二人は双子をもうけており、
ジェシーの作家生活はそれなりに順調で、
ギリシャで夏期休暇を取っています。
20代で出会った二人は40代になっており、
二人とも顔にしわが刻まれ、そして、
二人の性格も「所帯じみて」おり、
関係性もまた「経年劣化」しています。

6週間の休暇の最終日に二人は子どもを預け、
友人が用意してくれたギリシャのホテルに泊まりますが、
そこで口げんかが始まり、、、というプロットです。
タイトルからもわかるとおり、夕方から日が沈むまでの「口げんか」が、
本作品のほとんどです。

先ほども言いましたように、二人のやりとりの自然さが圧倒的なため、
「ずーっと夫婦げんかを見せられている」だけなのに、
「全然、見れちゃう」んです。まったくつまらなくない。
会話の自然さに加えてもう一つの面白さの理由は、
二人の口げんかに「9年間の時間の経過の証拠」が、
あちこちにちりばめられているからです。
過去に作品での「会話」がまた、その伏線になっていたりする。
この三部作のすごさは、「合計3日間」を描くことで、
2人のモラトリアムな若者が、恋に落ち、
結婚し、時間を過ごし、子どもを育て、所帯じみ、
そして最後に「最初いた場所」に帰ってくるという、
見事な語り口にあります。

「最初いた場所」とは何か?
一作目の冒頭のシーンで、セリーヌの隣の老夫婦が、
「あなたのこういうところがイラつくのよ(ガミガミ)」
「お前のこういう所こそ直せといつも言ってるじゃないか、
 5年前の長男の結婚のときもお前そうだった(ネチネチ)」
「よく言えたわね!あなたのほうこそ、
 25年前の娘の進学のとき(ギャギャー)」
と、大声で夫婦げんかを始めます。
それがあまりにもうるさいので彼女は空席を探し、
偶然座ったのがジェシーの向かいでした。
「ここ空いてるかしら?」

二人が最初にした会話は、
「カップルって、年齢を重ねると、
 誰でもあんな風になっちゃうのかしら?
 私はぜったいああはなりたくないわ笑。」
「そうだよね笑。
 あれはひどいと思う。
 僕は絶対ああいう風にはなりたくないね。」
という、「経年したカップルへの揶揄」だったのです。

18年後、三作目の後半、鑑賞者は気づきます。
「あ、これはまさに18年前、
 本人達が『ああはなりたくない』と言っていた、
 経年しいがみ合うカップルそのものじゃないか!」と。
これを同じキャストでやったところがとにかくすごい。
一大叙事詩を見終わったという感慨がありました。

北の国から2002を見たときと同じ感慨です。
「北の国から」にも構造的に似たような円環構造があります。
ドラマシリーズのかなり最初のほうで、
小学生の純は五郎さんにこっぴどく怒られます。
それは純が「がんび」と呼ばれる白樺の樹皮(着火剤として使われる)を、
無駄にしたからです。
都会っ子だった彼は不器用で、
マッチで上手にがんびに火を付け、
枝に燃え移らせることができなかったからです。
まだ40代の五郎さんは、
「純くん、そんなんじゃ駄目じゃないですか!
 がんびを無駄にするなって何回いったと思うんですか!」
と彼を追い詰めます。
1980年代前半のことです。
「北の国から2002遺言」では、30代になった純と蛍がいます。
純は結婚が決まり、蛍は子どもがいます。
子どもの名前は「快」。
70代になった五郎さんの孫です。

「2002遺言」に、快が「がんび」に火を付けるシーンが出てきます。
かつての純と同じく、快くんは上手に火を付けられず、
たくさんの白樺の樹皮を無駄にしています。
それをおじいちゃんになった五郎さんは見つめます。
私のようなコアな北の国からファンはここで、
既視感を覚えるわけです。
「あ、あのときと同じだ」と。
五郎さんは純にあのとき怒ったんだよなぁ、と。
そして思います。「五郎さんは快になんと言うんだろう?」

五郎さんは、にっこりと笑い、
「快、こうやってやるんだ。
 おじいちゃんのやるのを観てろよ、、、」
と、心から楽しそうに、満面の笑みで教えてあげます。
純にした仕打ちとは、あまりにも違います。

、、、でも、人間って、そういうものなのです。
五郎さんには一貫性はありません。
しかし、やはり一貫性はあるのです。
その間には、純の上京、
純が妊娠させた女性の親戚への五郎さんの謝罪、
蛍の駆け落ちと帰郷など、20年分の歴史が詰まっています。
その20年によって、おじいちゃんの五郎さんが、
がんびを無駄にする孫にえびす顔を向けるのは、
至極自然で、そして「感情的には一貫している」わけです。

、、、なんか、「ビフォアシリーズ」の話ではなく、
「北の国から」の話が長くなってしまいましたが、
ビフォアシリーズ、すごかったです。
(2,019文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ビフォア・サンライズ」
「ビフォア・ミッドナイト」
「ビフォア・サンセット」三部作

コメント:

やはり、これですね。
18年にわたる「2人のカップルの叙事詩」は、
やはり他にない味わいがあります。
異例ですが作品賞は「この3作」です。



▼主演(助演)男優賞
マイケル・ダグラス(フォーリングダウン)

コメント:

とてつもないサイコ野郎を、
「怪演」しています。
完全に狂っている。
彼が歩くだけで「怖い怖い怖い、、、」と思います。
彼が誰かと会話し始めると、
「あーやばいやばいやばいその人死ぬ」
「逃げろ逃げろ逃げろ、、、」と。
短髪に眼鏡にワイシャツにネクタイに革靴、、、
という「典型的サラリーマンスタイル」の、
彼の出で立ちがまた怖さを加速させます。



▼主演(助演)女優賞
ジュリー・デルピー(ビフォアシリーズ)

コメント:

「ビフォアシリーズ」の二人の役者、
イーサン・ホークとジュリー・デルピーは、
本当にすごい演技です。
30分とかの長ーいシーンの会話が、
まったく「演技っぽくない」。
本当に、どうやって演じているんだろう、、、
と舌をまきます。
ある意味「映像の奇跡」を見せられているようです。
役者って本当にすごいよな、と。



▼その他部門賞「北の国から賞」
ビフォアシリーズのスタッフおよび役者陣(ビフォア3部作)

コメント:

この賞は、私が「こんなの『北の国から』やんけ!!」
と思った作品関係者に与えられる賞です。
(他にこの賞に該当する作品があると思えないほど狭い賞ですが笑)
これをやりとげた関係者は本当にすごい。
9年後、27年後の二人を描く、
「ビフォア・ヌーン(予想)」が果たして撮られるのかどうか、
その辺も楽しみですね。
そのときは、「北の国からを超えた賞」を授与します。



↓記事に関するご意見・ご感想・ご質問はこちらからお願いします↓

https://www.secure-cloud.jp/sf/1484051839NyovBkYI


このブログでは過去6ヶ月前の記事を紹介しています。
もっとも新しい記事が直接メールボックスに届く
無料メルマガに登録するにはこちらから↓↓


http://karashi.net/carrier/catalyst/jinnai/mailmag.html
  • 2018.06.20 Wednesday
  • -
  • -

江戸時代に生まれていたら?

2018.06.20 Wednesday

+++vol.045 2018年1月2日配信号+++

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
「読むラジサロン」と質問カード
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼再告知:「読むラジサロン」について▼▼▼

メルマガ読者の皆様、明けましておめでとうございます。
今年も「読むラジオ」をよろしくお願いします。
お正月ぐらい休もうかと思いましたが、
シーズン1も「あと5回」と決めていますし、
あと、一度休むと再開するのはより大変なので、
普通に、何ら変わらず、
むしろいつもよりボリューム多めで(笑)お送りします。
お正月の暇つぶしにでもお読みいただければ幸いです。

さて、まずは、昨年末からお知らせしている、
「読むラジサロン」について再度のお知らせです。
サロンについては「質問フォーム」からも、直接にも、
既に何人かの方からお問い合わせをいただいています。
「質問フォーム」からは私は連絡先を知ることができませんので、
これまでフォームからお問い合わせいただいた方への、
個別の返信は差し控えさせていただいていますが、
実験的な試みに関心を寄せてくださって感謝いたします。

開始時期は、
このメルマガで告知と募集をできる期間から逆算して、
「2018年2月から」としたいと思います。
期間はパイロットプロジェクトですので、
さしあたって「2ヶ月間」とします。
つまり2018年2月1日〜3月31日まで。

人数は4名ですので、
(申し込みがそれに満たなければその人数ですが)
申し込みが超過したときに、公正に決めなければいけませんので、
「申し込み開始時間」を設定いたします。

メルマガ配信日の1月23日(火)の22:00とします。
この時間に申し込み受付をスタートして、
「早い者がち」です。
人数に達し次第、申し込みを終了し、
残念ながら入れなかった人は、
また次回(第二期のサロン・開催時期未定)に、
再度お申し込みいただくという形になります。

申し込みは「質問フォーム」から行いますが、
このフォームから私は「返信」できませんので、
・Evernoteアカウントに使っているメールアドレス、
・お名前(仮名でも可)
・お住まいの地域
・だいたいの年代と性別
・職種
・サロンに期待すること(自分の関心)
ぐらいの情報を、申し込みフォームとしていただきます。
それに返信する形で、「早い者勝ちで4名」の方に、
入会のお知らせをして、2月1日からサロン活動が始まる、
という流れです。

活動内容は、、、
お楽しみです。
なにぶん試験的な取り組みですので、
詳細は「いろいろやりながら探っていく」ということになります。
ざっくり言えば、
チャット機能を使って様々な分かち合いをし、
「学習する共同体」を目指す、
ということです。

私が「グル(師匠)」のように何かご託宣を述べるのではなく、
少人数のグループで情報交換する場のダイナミズムを通して、
「思考法」を相互に研鑽する、という感じでしょうか。
そういう意味では11月の、
「よにでしセミナー」のコンセプトにも似ています。

「よにでしセミナー」はリアルな合宿があり、
その後SNSなどでつながり、、という流れですが、
「メルマガサロン」は、後にオフ会などをすることも考えていますから、
バーチャルな学習共同体→リアルな会合、
という逆の流れです。
(私と面識のある方のご入会も、もちろん大歓迎です!)

、、、繰り返しになりますが、
これは「試験的な取り組み」ですので、
本当にふたを開けてみなければどうなるか分かりません。
メルマガ読者の皆様にも、
(サロン会員のプライバシーには触れない形で)
サロンの活動を追ってご報告いたします。
さて、どんなものになるか、お楽しみに!!



▼▼▼質問カード▼▼▼

では、新年一発目の「質問カード」いきます。

▼質問:

もし江戸時代に生まれていたら、
どんな職業で、誰と結婚して、
休みの日には何をしていたと思いますか?

、、、なんちゅー質問でしょう(笑)。

まず、時代考証というやつが必要ですよね。
江戸時代には職業選択の自由というものがありませんから、
私は職業を選ぶことができません。
父の職業が私の職業です。

田舎の農家に生まれていれば、
長男ならば農家を継ぐことができますが、
次男以下の人は江戸に出て肉体労働をし、
その死亡率は異常なほど高かったと言われていますので、
これは事実上の「口減らし」です。
「田舎はおまえを食べさせられないから、
 江戸に行って死んでこい」というわけです。

、、、こういったことは、
「中国化する日本」
という本に詳しくかかれています。

▼参考リンク:「中国化する日本」與那覇潤
http://amzn.asia/2AiPzgl

、、、で、そうですねぇ。
私の祖先は4代ぐらいまでしか辿れませんし、
そんなにたどりたいとも思いません。
父も祖父も佐賀県の出身で、
佐賀県には「陣内」という名字が多いです。
「陣内」ってなんか武士っぽい響きがありますが、
別にそんな意味とは無関係につけただけかもしれないし。
佐賀県だと農民だった可能性のほうが高いんじゃないか、
とも思いますし。

仮に佐賀県の農民だった場合、、、
としますと、
私は稲を作っていたでしょうね。
、、、で結婚相手を選ぶ自由もありませんから、
同じ集落か隣の集落の、父親の友人の娘と結婚していたでしょう。
そして「休みの日」という概念はそもそもありませんから、
きっと「やることがあんまりない日」は、
空を見上げて鳥や虫をながめていたのではないでしょうか。

私は生き物や自然を眺めるのが好きなので、
きっと今よりも青い九州の空と、
今よりも透き通った海と、
今よりも多様性に富んだ虫や鳥や魚を眺めていたのではないでしょうか。
当時の平均余命(40歳以下)を考えますと、
まぁ、すでに死んでいる可能性が高いですね笑。

もし40歳まで生きていたら、
村の長老のひとりに名を連ね、
年に一度のイベントは、
「参勤交代の大名行列」を眺めることで、、
文字は読み書きできたのかな?
「葉隠れ」という武士道の書物はちなみに、
佐賀の武士(今で言う役人)が書いたそうです。

この前観たクレヨンしんちゃんの映画もそうでしたが、
「現代人が昔にタイムスリップして云々、、」
というプロットの映画やマンガや物語って、
日本には多いような気がします。
欧米は、、、あまり知らない。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という名作がありますが、
あれはせいぜい30年ぐらいですよね。
(2だか3だかで西部開拓時代に行きますが)

これはきっと日本人が、
「歴史をめぐるタイムトラベルという妄想」を、
結構好きな民族だからでしょうか?
「大長編ドラえもんシリーズ」の影響も、
けっこうあるのかなぁ、とか思ったりもします。

、、、というあまり広がらなかった(笑)無駄話でした。
今日はここまで!



↓記事に関するご意見・ご感想・ご質問はこちらからお願いします↓

https://www.secure-cloud.jp/sf/1484051839NyovBkYI


このブログでは過去6ヶ月前の記事を紹介しています。
もっとも新しい記事が直接メールボックスに届く
無料メルマガに登録するにはこちらから↓↓


http://karashi.net/carrier/catalyst/jinnai/mailmag.html

| 1/44PAGES | 次のページ>>