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何が出来ないときストレスがたまる?

2019.11.11 Monday

第095号   2019年6月11日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼何ができないときストレスがたまる?▼▼▼

メルマガ読者の皆様、こんにちは。
今週も質問カードからいってみましょう!

▼忙しい日々が続いて何かができないとき、
何ができないときに最もストレスがたまりますか?
(例:読書、ジョギング、風呂に入るなど)


、、、そうですねぇ。
例によって、
「フランス人話法」で行きましょう。

「3つあります」
と言ってから考え始める、、、という。


▼▼▼筋トレ

筋トレをはじめて1年2ヶ月が経ちます。
身体の変化も体感しています。
筋トレには、
他のスポーツにはない中毒性があるんですよね、多分。

ジョギングだとこうはならない、
と思います。

ずっと自分の身体と対話している感じがあって、
具体的には365日身体のどこかが筋肉痛なんですよね。
なので、筋肉痛がどこにもないとさみしくなる。

それで、たとえば胸のトレーニングをした次の日、
胸に筋肉痛が来ると、
「昨日は刺激がしっかり入った」
という目安になります。
この筋肉痛は3〜4日続き、
パンプ感は5日ぐらい続きます。

部位にもよるのですが。

これをたとえば、
週に3回の分割法でやっていった場合、
常にどこかが筋肉痛のステージにあるわけです。

かつて獣医師として働いていた頃、
「細菌培養」というのをやるのですが、
インキュベーターという機械に、
細菌の種を蒔いた培地を入れ、
48時間のタイマーをセットします。
するとコロニーができる。

そのコロニーを「定性」するために、
いろんな試験用に、
さらにいろんな培地に「刺したり蒔いたり」して、
さらにインキュベーターのタイマーをセットし、、、
というのを、たとえば1週間に、
2〜3サイクル、違う菌種でやったりします。

「常に何かを待っている状態」。

これが筋トレです。

、、、


、、、


うん。


まったく伝わってないね。

とにかく、筋トレは、
火のついたタバコで次のタバコに火を付ける
「チェーンスモーク」と同じで、
数珠つなぎに連なっていく。

それが「途切れる」のが、
なんとも気持ち悪いんですよね。
こういった感覚というのは、
他のスポーツでは味わったことがありません。


▼▼▼読書

次は読書ですね。
これは私の場合、
「活字中毒」というレベルを超えていて、
本を読むことは息を吸って吐くのと同じなので、
本を読まずにいることは不可能です。

歯を磨かないと気持ち悪いのと同じレベルで、
本を読まないと気持ち悪い。
歯を磨かなくても本を読まなくても、
とりあえず生きては行けるわけですが、
なんとも心地が悪くなる。

でも、なんだかんだ忙しかったりして、
一週間ぐらいそういえば本読んでない、
というようなことも、
数年に一度は訪れます。

それは筋トレとは違い、
特に不安を引き起こしません。
禁断症状もない。

逆に、7日ぶりに、
読んでいた本の続きを読むと、
なんか新しい視点を獲得していたりして、
読む力が上がったんじゃないかと錯覚することもある笑。

ただ、さみしくはなりますね。

私は極度に内向的な人間で、
私の「外向性」は実は、
「内的な対話」に振り分けられている。

最近はそう思います。

私はうつ病を患ってからは特に、
「基本的に、なるべく人と知り合わない」
をモットーに生きています。
なるべく人と会話したくない笑。

疲れるから。

私にとって初対面の人との30分の対話は、
読書ならば3冊分ぐらいの疲労をもたらします。
だったら3冊読んだ方が良いな、っていうね笑。
人生は短いのです。
あれもこれもできません。

、、、話しを戻しますと、
私は「外向性」がないのではなく、
外向性が内的対話に振り分けられている。

たとえば外交的な性格のひとが、
1週間に10人の人と濃密な関わりをし、
1冊の本を読了したとしましょう。

私は多分この人と逆なのです。
1週間に1人の人と濃密な交わりが限界で、
10冊の本を読了できる。

私はこのとき、
10人の著者と濃密な対話をずっとしているわけです。
外側からはそう見えないけど、
私の中では活発な会話が繰り広げられている。
私は「内的なパリピ」なのです。

自分のこういった性向は、
現在の世の中で不利に働くことの方が多いですが、
途中で諦めました。
生まれついたものを変える努力は、
時に自分を壊してしまうことを知ってから。

だから今はこの性向を喜び、
これをなんとか活かしていこう、
という方向で考えています。
メルマガ配信を始めたのも、
その「吹っ切れ」がもたらしました。

、、、というわけなので、
「本を読まないとさみしい」とはそういうことです。
「内的パリピ」にとって、
「本を読めないほど外交的な1週間」は、
「内面において孤独な1週間」なので。



▼▼▼料理

、、、最後は料理かなぁ。
結婚してから、ずいぶん回数は減りましたが、
やはり料理は私のストレス解消のひとつです。
「料理をする」という行為が、
なんか「生きることの凝縮」という気がします。
材料を切って、
段取りを決めて、
それらに火を入れて、
食べて、お皿を洗って、、、
という一連の行為は、
読書とは違うかたちで、
前頭葉の全体をひろく使っている感じがするんですよね。
「脳の凝りがほぐれる」感じがあります。

出来合いのモノを食べ続けていると、
「健康に悪い」とかそういうのは、
実はあまり私はこだわりがないんですよ。
オーガニックなフードを食べましょう、
みたいな健康思想は持ってません。

でも、「コンビニフードを食べ続ける」と、
なんか、「脳が死んでいく」感じがします。
人工甘味料や不飽和脂肪酸による、
脳のダメージとかそういうんじゃなく、
手を動かしていない事による、
前頭前野の鈍化、っていうような、、。
手(身体)を動かすことって、大切ですね。
エクササイズとか筋トレもそうですが、
「日常生活や仕事の中で身体を使う」というのが、
とっても大切だと思います。

頭脳労働をしている人にとっては、
仕事の中の身体性が限定されるので、
生活の中の身体性の重要度がより高くなる。
このあたり、気をつけねばと思います。

年取って、「毎日テレビの前で8時間」
とか、なりたくないですから。

陣内が先週観た映画 2019年5月 『ヘレディタリー 継承』他

2019.11.05 Tuesday

第094号   2019年6月4日配信号

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■2 陣内が先月観た映画 2019年5月

月に一度のお楽しみ、
「陣内が先月観た映画」のコーナー。

タイトルそのまんまの企画です。
先月私がいろんなかたちで観た映画を、
一挙に紹介しちゃうというコーナー。

5本以上観た月だけの限定コーナーとなります。
先月はけっこう観たので、
けっこう紹介できます。

もともと映画を観るほうではありますが、
Amazonプライムのストリーミングで観るようになって、
観る本数が3倍ぐらいに増加しました。
移動中に観れるというのが大きいです。
電車の中やバスの中で本を読むのは少し疲れますが、
映画はノーストレスです。
長時間移動がある月なんかは、
往復の移動だけで4、5本観れたりします。

観るだけではもったいないので、
皆様に紹介しちゃおう、
というのがこのコーナー。

世界一小規模の映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」もやります(笑)。

「おもしろそうだな」と思うやつがあったら、
それをレンタルして観てみる、とか、
あとこれを読んで、観たつもりになって、
誰かに知ったかぶりする(笑)などの
使い方をしていただければ、これ幸いです。

「陣内が先週読んだ本」の
140文字ブリーフィングが好評なので、
映画評論も140文字で試みます。

時短は正義(!)ですから笑。

「読んだ本」コーナーと同じで、
140文字はあくまで「努力目標」です。

*どうしても「ネタバレ」要素をいくらか含みますので、
絶対にネタバレしたくない作品がありましたら、
器用に読み飛ばしてくだされば幸いです。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

●風の外側

鑑賞した日:2019年5月1日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:奥田瑛二
主演:安藤サクラ
公開年・国:2007年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2PnQy90

▼140文字ブリーフィング:

ストーリーが散漫かつ強引で、
いまいち、乗れなかったですね。
奥田瑛二とその奥さんの安藤和津と、
娘の安藤サクラが出演していて、
奥田瑛二が監督しています。
「家族映画」ですね笑。
舞台の長崎の風景は良かったです。
(101文字)



●レディ・バード

鑑賞した日:2019年5月2日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:グレター・ガーウィグ
主演:アシーシャ・ローナン
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2V4eu7A

▼140文字ブリーフィング:

思いの外面白かったです。
アメリカの女子校生の話しなのですが、
「ピアプレッシャー」の感じとか、
「親に反抗することでしか自我を確立できないもどかしさ」とか、
「本当は『クラスの二軍』だが、
イケてるグループと背伸びいて付き合う痛々しさ」など、
日本人にもよく分かる普遍的な、
「十代ならではの生乾き感」が上手に描かれていて面白かった。
主人公は「何もないサクラメント」を嫌い、
「何でもあるニューヨーク」に憧れます。
「所帯じみた母親」が嫌いで、
「何にでもなれる自分の無限の可能性」を信じます。
紙を赤く染め、親がつけた名前を嫌い、
自分のことを「レディ・バード」と呼んで、
と周囲に要求するイタさ加減。

日本だと、「自分は椎名林檎だ」と信じて疑わない、
凡庸な才能の女子校生や女子大生みたいな感じでしょうか。
ゴスロリとか着ちゃって、
下北沢とかに住んじゃう感じの。

周囲はしかし、
「化けの皮の下の凡庸さ」に気づいている。
周囲が気づいていることに、
自分だけが気づいていない。
そういう「痛々しさ」を主人公は持っています。

彼女はワガママを押し通しニューヨークに行くのですが、
そこで知るのはサクラメントの美しさと、
母親の偉大さでした、、、。

という、けっこう古典的な、
「母と娘の胸が熱くなる話し」に着地します。
だれが言ったか忘れましたが笑、
この映画のなかに登場する、
「お金は人生の成績表じゃない」というセリフは、
心に残っています。
(589文字)



●しゃぼん玉

鑑賞した日:2019年5月3日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:東伸児(あずま・しんじ)
主演:林遣都(はやし・けんと)、市原悦子
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2DE8qrn

▼140文字ブリーフィング:

今は亡き市原悦子の「遺作」となった映画です。
市原悦子の演技も凄いですが、
主役の林遣都が良かった。
「すごい俳優が出てきたな」と思いました。
ストーリーは、正直、私はいまいち乗れませんでした。
「教育テレビ的な良い話し」に落とすのですが、
いや、そんないい話じゃねぇよ、っというね。
「きれいごと」感がどうしても拭いきれない。

あとこの映画、
ずっとご飯がおいしそうな映画なんですよね。
映画の「フード理論」っていうのを言ってる人がいて、
映画のなかで「ご飯をおいしそうに食べる人」が出てきたら、
その人は善良な人だという「記号」なのだそうです。
あと、宮崎の風景が非常にきれいな映画でもあります。
(287文字)



●ナイト・アンド・デイ

鑑賞した日:2019年5月6日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ジェームズ・マンゴールド
主演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2IP8sB6

▼140文字ブリーフィング:

公開当時評判の良い映画だったと記憶していたので見ました。
たしかに「ハリウッド的傑作」かもしれないが、
私はまったく面白くなかったです笑。
「陣内の映画評がいつも不満」なひとは、
絶対に面白いと思うだろう作品です笑。
(104文字)



●君の膵臓をたべたい

鑑賞した日:2019年5月7日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:月川翔
主演:浜辺美波、北村匠海
公開年・国:2018年(日本)
リンク:
https://amzn.to/2V8WkRW

▼140文字ブリーフィング:

実は原作小説をKindleで買ってて、
インドにいるときに読了しました。
近くレビューします。

で、その映画化ですが、
Amazonの評価が異常に高いので興味を持って見ました。

自分の感覚を疑いたくなるぐらい、
私はまったく面白くなかったです(爆死)。
こういう「世間と自分の評価が逆」が続くと、
自分の方がおかしいのでは?
と思えてきます。
実際おかしいのでしょう笑。

でも、もう一度言いますが、
まったく面白くなかったです(即死)。

小説のほうがまだ良かった。
大事な「泣けるしかけ」みたいなのが、
小説にはあります。
(私は泣きませんでしたが)。

それが映画では大胆にカットされていて、
「そここそが小説のキモだろうがぁ!」
と、1ミリぐらい怒りました。
そもそも思い入れがないので、
怒りも小さいのだけど笑。

エンディングで流れる、
ミスチルの「himawari」だけは良いです。
映画のテーマと合っていて。
邦画のテーマ曲は今後、
全部ミスチルで良いんじゃないでしょうか(暴論)。
(417文字)



●ヘレディタリー

鑑賞した日:2019年5月8日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:アリ・アリスター
主演:トニー・コレット
公開年・国:2018年(アメリカ)
リンク:
https://amzn.to/2Y0AQ6Z

▼140文字ブリーフィング:

私の私淑する映画評論家・ラッパーの宇多丸氏が、
2018年映画ランキングで、
この映画を1位にしていたので、
「そりゃ見るっしょ」ということで、
休日に観賞しました。

「ホラー映画の新たな金字塔が出来た」
と宇多丸氏は評価していましたがその評価は正統です。

度肝を抜かれましたね。
見終わった後に最悪な気分になります(褒め言葉)。

どことなくM・ナイト・シャマランの作品のような不条理性が漂います。
過去のホラー映画でやられてきた技法を備えつつ、
自分のものとして昇華し、それを一歩前に進めている感じ。
この映画の主人公(ヤバい娘を持つ母親)は、
ジオラマを作って売ることを職業にしています。
「ジオラマ作家」なのですが、
彼女はそれをすることによって、
「自分を癒そうとしている」ことが、
だんだんと分かってきます。
それは彼女の死んだ母の異常性と関係しているのですが、
まさにこれが「箱庭セラピー」です。

「ホラー映画」というのは、
「現実世界の比喩」です。
ホラー映画に登場する「この世ならぬもの」は、
この世の苦痛やスティグマや不条理やトラウマを、
比喩として具現化したものなのです。
ゾンビ映画のゾンビもそうです。
これは映画のシナリオを学んだ人なら、
常識的に知っていることだと、
町山智宏さんが言ってました(受け売り)。

、、、で、
実はこの映画自体が、
監督自身のセラピーでもある、
と監督が告白しているそうです。

具体的な内容までは言明していませんが、
アリスター監督は「自分の家族にまつわるある『トラウマ』」を、
この映画を撮影することで「昇華」させようとしたわけです。
この映画自体が「箱庭セラピーの箱庭」になっている。

そういう入れ子構造になっている作品です。

あんまり面白いんで2回見ました。
めちゃくちゃ良く出来た脚本です。
すべてのシーンに意味があり、
張り巡らされたすべての伏線が回収され、
最後は最低で最高のカタルシスを迎える。

素晴らしい映画でした。

まぁ、アマゾンレビューは低いんですけど笑。
やはり私は世間とソリが合わないみたいです。
(842文字)



●未来を花束にして

鑑賞した日:2019年5月13日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:サラ・ガヴロン
主演:キャリー・マリガン
公開年・国:2017年(イギリス)
リンク:
https://bre.is/_6RTqL4Xh

▼140文字ブリーフィング:

イギリスにおける、
女性の投票権獲得運動に身を投じた女性たちの話しです。
現代世界で女性に参政権がない社会といういうのは、
「まったくもって常軌を逸した社会」ですが、
比較的早かったイギリスにおいてすら、
女性参政権が認められたのは、
案外最近のことで、1918年です。
日本はちなみに1945年になってからです。

当時の(言うまでもなく全員が男性の)議会は、
女性の参政権や養育権に関する法律を握りつぶそうとします。
それに対して女性参政権を認めさせるための女性活動家たちは、
ロンドンの街で窓ガラスを割ったり、
(法律で禁止されていた!)集会・結社を作ったりして、
議会に対抗します。
(憲法に「集会・結社の自由」が書かれていることの重要性!)

映画を観れば分かりますが、
彼女らは今の定義で言うと「テロリスト」なんですよね。
現代世界では、
「テロを絶対悪」とする風潮がありますが、
実はそれって、
「ステイタス・クオ(現状の既得権)」を、
絶対肯定することであり、
「社会発展の可能性を紡ぐ閉塞」
を意味するこなのですが、
それに人々が気づいてすらいないことが問題です。

私はテロを肯定しません。
しかし、「テロ」というかたちでしか、
変わってこなかった世の中の現実があるのも事実です。
女性参政権もしかり、
黒人の権利もしかり、
インドの独立運動もしかり。

実は、みんな忘れてますが、
江戸幕府を倒した薩長の明治政府も、
あれって「無血クーデター」であり、
広義にはテロリズムですから。
松下村塾なんて、
テロリスト養成学校みたいなもんですから笑。
だから吉田松陰は獄中で処刑されたんでしょ。
彼の処刑は「老中殺害計画」がバレたことが理由ですから。

、、、その薩長政府の系譜に連なる現在の自民党が、
「テロを絶対に封じ込める」
と言っているのは、
「自らの出自を知っているがゆえの同族嫌悪」
と考えるのは穿ち過ぎでしょうか?
「泥棒の家の施錠が一番厳重だ」みたいな話しで。

何が言いたいかというと、
テロを擁護するとかそういう話しではなく、
「テロは絶対悪」みたいなかたちで、
公権力の監視機能を強めていく方に、
国民が諸手を挙げて賛成し、
それにだれひとり違和感を覚えていないとしたら、
それは「ヤバい」んじゃないの?
ということです。

この映画、面白かった。
最後のエンドロールは特にズルい。
胸が熱くなっちゃいます。
(887文字)



●シリアスマン

鑑賞した日:2019年5月18日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(199円)

監督:コーエン兄弟
主演:マイケル・スタールバーグ
公開年・国:2009年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/ggvAFuvGW

▼140文字ブリーフィング:

『ファーゴ』『ノー・カントリー』などで知られる、
コーエン兄弟の作品です。
コーエン兄弟ってユダヤ人なんですよね。
この作品はコーエン兄弟の自伝的作品だそうです。

だから、アメリカに存在するユダヤ人コミュニティのことが、
この映画を観ると分かります。
ヘブライ語の学校の通ったり、
近所もユダヤ人なので、ユダヤ人の会堂で、
13歳の「ユダヤの成人式」には、
近所中のひとが集まったり、、、。

この映画は「あるユダヤコミュニティに住むお父さん」が主人公です。
お父さんは大学教授で、「真面目な人」です。
この「真面目な人」が、次々と不幸に遭う、という筋書き。

妻が不倫していて「離婚してくれ」と言います。
娘には無視され毛嫌いされます。
息子は父のクレジットカードで、
父に無断でロックバンドのCDを買っています。
隣の家に住む保守派のプロテスタント信者は、
猟銃で彼を殺すのではないかと言うぐらい、
(さしたる理由もなく)彼のことを憎んでいます。
学生から「採点が不公平だ」と訴訟されます。
テニュア(終身在籍権)の審査は、
この訴訟によって危うくなります。

この映画は、
「ただただ正しい人が、
 ただただ苦しむ話し」です。

何か聞き覚えがありますね?

そうです。

『ヨブ記』がこの映画のテーマなのです。
コーエン兄弟は「現代のヨブ記」として、
この映画を作っています。

「お父さん=現代のヨブ」は、
高名なユダヤ教のラビに、
「なぜ私はこんなに苦しんでいるのか?」
を聞きに行きます。

ラビは3人出てきます。
そうです。
ヨブの3人の友人です。

このお父さんが大学で教えているのは、
「量子論」だというのがまた面白い。
彼は授業で「不確定性原理」とか、
「シュレーティンガーの猫」を教えています。

(ユダヤ人の!)アインシュタインは、
量子物理学者のニールス・ボーアを批判し、
「神はサイコロを振らない」と言いました。
論理整合的な世界を固く信じていたアインシュタインには、
「確率が支配する世界観」は受け入れがたかったのです。
しかし歴史は(このトピックに関しては)、
ボーアに軍配を上げました。

因果応報が成り立たず、「意味」が崩壊し、
その後ろの世界で何が起きているのかを誰も説明できない
「量子論的な世界」に私たちは生きています。
可愛そうなこのお父さんは高名なラビの元に行きますが、
ラビがお父さんにする「お話」は、
まったくもってナンセンスで、
意味をなしていません。

「いったいこの話しのどこに、
 何の教訓があるんだろう?」
と思うような例話をラビはお父さんに繰り返し聞かせます。
オチもなければ要点も分からない、
ただただ不可思議な話しをラビはお父さんに語ります。
「それで?」と当然彼はラビに聞きますが。
「これでこの話しは終わりだ」とラビは言うだけ。
そこから引き出せる教訓などありそうにない。
唯一メタメッセージがあるとしたら、
「世界に意味なんてない」という
ニヒリスティックな結論だけです。

「不合理なこの世界」で、
「ヨブ」となった主人公はいかに生きるべきか、
という問いがこの作品の主題です。
つまりこの可愛そうなお父さんは、
不条理な現代を生きる私たち一人ひとりのことでもあるのです。

お父さん(ヨブ)が会いに行く3人のラビを軸に、
物語が進んで行きますが、
最後のラビ「マーシャク師」が口にするのは、
1967年のヒット曲"Somebody to Love"(邦題『あなただけを』)の歌詞です。
そのメッセージは、要約すればこんな意味です。

「真実が偽りとわかり、
 すべての喜びが消えたときであっても、
 心を尽くして人を愛しなさい」。

また、この映画、ベースは悲劇なのですが、
どことなくコミカルで、
ところどころにユーモアがちりばめられています。
量子論的に不条理なこの世界で生き抜くための、
コーエン兄弟が導き出した暫定的な答えは、
「愛すること」と「ユーモア」なのです。

そうです。

ここでまた戻ってきます。
そういえば、ユダヤ人たちは過酷なその歴史のなかで、
「愛とユーモア」によって生き残ってきた民族でしたね。
(1,509文字)



●トゥルー・グリット

鑑賞した日:2019年5月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:コーエン兄弟
主演:ジェフ・ブリッジス、ジョシュ・ブローリン、マット・デイモン
公開年・国:2010年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/bqqnwwmDP

▼140文字ブリーフィング:

こちらもコーエン兄弟。
コーエン兄弟は最近のマイブームです。
重厚な西部劇で、面白かったです。
なんといっても、馬が美しい映画ですね。
タランティーノ監督の、
「ヘイトフル・エイト」にも、
ちょっと似た雰囲気があります。
(104文字)



●はじまりへの旅

鑑賞した日:2019年5月18日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:マット・ロス
主演:ヴィゴ・モーテンセン
公開年・国:2016年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/w5n-9emm6

▼140文字ブリーフィング:

原題は「Captain Fantastic」
邦題と似ても似つかぬタイトルですね。
「哲人王」として育てられた子どもたちと、
その父親のロードムービーです。
哲人王とはプラトンの概念なのですが、
その意味はこの映画を観ると分かります。

お父さんは元大学教授の、
ゴリゴリの無神論者で、
ハイパー知識人です。
6人(だったかな?)の子どもたちはみんな、
未就学年齢からプラトンの『国家』とか、
ニーチェの『ツァラトゥストラ』とか、
ヘーゲルとかカントとか読んでて、
アイビーリーグの学生よりも賢い知性を持ちます。

お父さんは言ってみたら、
「北の国から」の黒板五郎の最終進化形みたいな感じなので、
恐るべき知性だけでなく子どもたちは全員最低5カ国語を操り、
アスリート並みの肉体を持ち、
あらゆるサバイバル技術に長けています。

その家族が「お父さんと別居していた妻」の遺言に従って、
「お母さんを火葬に付すための旅」に旅立つという話し。
うつ病だったお母さんもまた、
お父さんと同じ「哲人王的な思想」を持ってるので、
火葬にして川に灰をまいてほしい、という遺言を残すのですが、
保守的なキリスト教家族のお母さんの親たち(祖父母)は、
絶対に土葬だし、絶対にキリスト教式で葬儀をする!
と言って両者は対立する、、、という話し。

お話も面白いですし、
音楽や映像や、
何と言っても自然の描写が素晴らしいです。
ただ、「一点だけこの家族にどうしても共感できない」
部分があるんですよね。
映画や小説を楽しむ上で、
必ずしも登場人物に共感する必要はありません。
よくレビューで「共感出来なかった」
といって低い点数を付ける人がいますが、
それはバカの所行というものです。
私がここで「共感できない」といったのは、
もうちょっと説明が必要で、
主人公たちは「最高に知性的」という設定になっていて、
その知性ゆえにアメリカのバカさ加減を見下すわけです。
そこまでは良い。
しかし、ある一線を超えるところで、
「もうそれって知性じゃないんじゃないの?」
ということになる。
ソクラテスやプラトンをあなたたちは崇拝しており、
アメリカ的キリスト教根本主義をバカにしている。
それは良い。
でも、あなたたちのその行動は、
ソクラテスやプラトンからすると、
「知性の真逆」なんじゃないの?
というツッコミが拭いきれないシーンがあるわけです。

監督は衒学的に様々な知性を、
主人公たちの口を通して観客に見せつけるが、
監督の「知性とは何か??」の定義に、
私はまったく同意できない。
そういう意味の「メタ的な共感できなさ」が、
この映画にはありました。

平たく言うと、監督は彼らを、
とんでもなく賢いものとして描きたいはずなのに、
その一点によって、
「こいつらさほど賢くないな」と思っちゃうわけです。

そこが一番大事なのに、、、、。

アキレス腱が弱いというか、詰めが甘いというか、、、。
もったいない映画でした。
テーマとか音楽とか映像とか、
その他の部分が凄く良かったので、
余計残念でした。
(750文字)



●22年目の告白 私が殺人犯です

鑑賞した日:2019年5月20日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:入江悠
主演:藤原竜也、伊藤英明
公開年・国:2017年(日本)
リンク:
https://bre.is/ZFe2bOe9k

▼140文字ブリーフィング:

演出が過剰かつ矛盾に満ちていて楽しめなかったです。
味付けが濃すぎるんですよねぇ。
最後の「銃を向ける」シーンは失笑ものです。
あんな行動はあり得ないです。
ガスのにおいに気づいている場所に、
警察官が飛び込むとかもあり得ないし。
それで「ドカン」とか。
警察はそんなにバカじゃないでしょ。
登場人物がいちいちバカすぎる。
邦画の悪いところが出た作品。
例によってAmazonレビューでの評価は高いです。
私の評価がいつも気にくわないという方は(以下省略)。
(160文字)



●ミスター・ガラス

鑑賞した日:2019年5月10日
鑑賞した方法:Amazonビデオで有料レンタル(500円)

監督:M・ナイト・シャマラン
主演:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・マカヴォイ、アニャ・テイラー=ジョイ
公開年・国:2019年(米国)
リンク:
https://bre.is/Y-USImXdA

▼140文字ブリーフィング:

私はシャマラン監督の不条理感が好きな、
「シャマラニスト」ですので、
アンブレイカブル、スプリットの続編にして完結編である、
本作は見ないわけには行かないでしょう、
というこで休日に観賞。

面白かったです。

「人間を超えたものたち」を隠蔽しようとする組織と、
「すべてを解き放とうとする人々」の物語です。
その動力源は「虐待などのトラウマだ」というのも凄い。
「コインロッカー・ベイビーズ」という村上龍の作品があります。
コインロッカーに捨てられた2人の赤ん坊が、
世界を転覆する、という話しなのですが、
ちょっとそれに構図としては似ている。

あと、マーベルヒーローズの、
「エピソードゼロ」としても鑑賞可能。
そのポップ性みたいなものは、
真逆に振れているわけですが。
シャマランはサブカルの神になれる、
と思いました。
(343文字)



●ギフテッド

鑑賞した日:2019年5月25日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(セールで100円)

監督:マーク・ウェブ
主演:クリス・エヴァンス
公開年・国:2017年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/_y16TyciIa

▼140文字ブリーフィング:

自殺した天才数学者の母を持つ天才の女の子と、
その子を「普通に育てたい」と願う叔父(母の弟)の物語です。
母と叔父の母(女の子の祖母)が、
実は「毒親」だというストーリー展開になっていくあたりから、
かなり引き込まれます。
かなり面白かった低予算映画、
『500日のサマー』の監督だそうです。
子役の演技がすさまじく上手いのと、
「毒親」という日本にも多く見る現象を、
テーマとして選んでいるという意味で、
日本人が見ても、かなり「刺さる」のではないでしょうか。
(222文字)



●トランセンデンス

鑑賞した日:2019年5月23日
鑑賞した方法:Amazonプライム特典

監督:ウォーリー・フィスター
主演:ジョニー・デップ
公開年・国:2014年(アメリカ)
リンク:
https://bre.is/2OfJg1lQr

▼140文字ブリーフィング:

脳のシナプスを全部、
コンピューターに投射することで究極のAIを作る、
という『SFとしてはありふれた』話しです。
でも、結構楽しめました。

主人公の科学者は死後もインターネットの中で生き続け、
世界を変革していきます。
水滴の中に量子コンピュータがあるので、
それが世界を究極の「モノのインターネットIOT」
にしていくというは発想として面白かった。
タイトルの「トランセンデンス」は、
人工知能の世界でいう、
「シンギュラリティ」の意味です。
(212文字)



▼▼▼月間陣内アカデミー賞▼▼▼

世界一小さな映画賞、
「月間陣内アカデミー賞」を、開催いたします。
主催者、プレゼンターは陣内がつとめます。

作品賞、主演(助演)俳優賞、そしてもうひとつ、
という感じで、ぬるーくやります。
皆さんの映画選考の参考にしていただければ幸いです。


▼作品賞
「ヘレディタリー」

コメント:

完全に圧倒されました。
多分だれも見ないでしょうけど笑。

ホラー、みんな好きじゃないよね笑。

ホラーを喜々として語れる人と、
心ゆくまで話し合いたい、
と思える作品でした。
なんせ、2回見ましたからね笑。


▼主演(助演)男優賞
対象者なし


▼主演(助演)女優賞
アシーシャ・ローナン(レディ・バード)

コメント:

クラスの「一軍」ではないのに、
一軍と付き合おうとする痛々しさ。
十代の「自我の首が据わってない感じ」
など、演技として非常に難しい「危うさ」バランスを、
絶妙なさじ加減で演じていました。
ほとんど他で見たことない女優さんですが、
脳裏に焼き付きました。


▼その他部門賞「不条理賞」
「シリアスマン」

コメント:

シャマランのミスター・ガラスも不条理ですが、
シリアスマンの不条理さにはかないません。
生活の「そこはかとない一貫性のなさ」
みたいなものが、現代という時代の、
残酷なまでに解釈を拒む感じを伝えていて良かった。
主人公の大学教授の授業のなかで、
「ハイゼンベルクの不確定性原理」とか、
「シュレーティンガーの猫」が出てきますが、
現代のヨブとしての主人公自身が、
量子の確立に生命を委ねる以外ない、
可愛そうなシュレーティンガーの猫に見えてきます。

尊敬する外国人

2019.11.04 Monday

第094号   2019年6月4日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 今週のオープニングトーク
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

▼▼▼尊敬する外国人▼▼▼

メルマガ読者の皆様、こんにちは。
今日も質問カードからやっていきましょう。


▼質問:
アメリカ人以外の外国人で、
尊敬する有名人、好きな有名人はいますか?


、、、これって簡単そうで、
案外答えるのが難しい質問なんですよね。

読書習慣があったり、
英語のメディアに接している人を除くと、
私たち日本人が日々接する情報環境というのは、
「日本に関する情報」=8割〜9割、
「海外に関する情報」=1〜2割です。
テレビ・雑誌・ラジオ・新聞といった、
メジャーな報道機関の内容の割合がこうなってるからです。

で、「全体の2割の海外に関する情報」のうち、
6割がアメリカに関するもの、
3割が韓国・中国に関するもの、
残りの1割が「その他の国々」に関するものです。

つまり接する情報の2割×1割、
つまり全体の2%しか、
私たちは「中国韓国アメリカ以外の外国」について、
見聞きすることがないわけです。

現に、インドの首相の名前を言える人って、
人口の何割いるのでしょう?
たぶん半数以下と私は予測します。
まもなく世界一の人口になる国のリーダーですよ。

国際的にかなり重要な基本的なニュースですら、
アメリカ以外の国のこととなると、
「それが起きたことすら知らない」
ということが日本人は多い。

日本人が悪いのではありません。
「日本語圏」という言説空間のサイズが、
「絶妙に小さくて大きい」ので、
その中だけで情勢を把握できてしまうことが原因です。

もうちょっと小さな国だと、
「まともな言説を読もうとしたら、
 英語の報道を読む以外ない」ので、
そうするとわりと満遍なく世界のことを把握できるのです。


、、、話しを戻しましょう。
一応この質問では、
「歴史上の人物」はなしにしましょう。
ガンジーとかマザー・テレサとか、
アッシジの聖フランシスとかは、
それぞれインド人、アルマニア人、イタリア人ですが、
歴史上の人物なので「なし」としましょう。

そうするとさらに絞られてくる。

うーん。

思い浮かばん(自爆)。

でも、例のフランス人話法で、
「3人いる」というところから話し始めましょう。

3人います笑。

▼ホセ・ムヒカ(ウルグアイ人)

「世界一貧しい大統領」として、
日本でもけっこう有名な人です。
池上彰さんとの対談本を読んで、
とても好きになりました。
メルマガのレビューで紹介したかどうかは忘れましたが、
ポッドキャストでビブリオバトルを放送する予定です。

、、、あ、そうだ。

このポッドキャストの回ですが、
私のミスでもとの動画を削除したため、
ポッドキャストのみの限定放送になります。

アップロードしておきます。
リンクはこちら。

▼【ポッドキャスト限定放送】ひとりビブリオバトル
『池上彰とホセ・ムヒカが語り合った
 ほんとうのしあわせって何ですか?』
https://anchor.fm/shun-jinnai/episodes/ep-e46rqr


▼M・ナイト・シャマラン(インド人)

インド人の映画監督です。
『シックス・センス』を撮った監督、
と言えば分かるでしょうか。

その後彼は、
『アンブレイカブル』
『スプリット』
『ミスター・ガラス』という、
3部作を撮るのですが、
私は全部見ています。

間に撮られた『ヴィジット』も見ました。
シャマランの映画って、
本当に独特な「文法」があって、
中毒性があります。

独特の世界に連れて行かれる感じがある。
日常の中に「ホラーともコメディともつかぬ恐怖」が、
何の予兆もなしに紛れ込む感じとか、
ちょっと他にはない感じです。

アメリカ人からはああいうのは出てこないと思う。

同じ外国人映画監督では、
韓国の映画監督のナ・ホンジンも好きです。
彼は神学校にも行っている人で、
「映画で神学する」ということをしています。
アジア版のマーティン・スコセッシですね。
彼の撮るものも私は毎回楽しみにしています。



▼ユルゲン・モルトマン(ドイツ人)

最後は神学者です。
彼はまだ存命ですが、
死んで時間が経つと、
カール・バルトや、
ディートリッヒ・ボンヘッファーとならび、
20世紀最大の神学者だった、
という評価が固まるはずです。

2年前に読んだ、
『希望の倫理』という著作に度肝を抜かれました。

私が考える「これは新しい」というようなことは、
既に全部彼が考えていたことを知りました。
あらゆる私が重要だと考える神学的な概念を、
彼はことごとく言語化し体系化している。
まさに「知の巨人」です。

「自分がオリジナルだ」
と思っている人って、
99.9%までが知識が少ないから、
既にそんなこと考えてる人がいることを知らないだけなのですが、
私はモルトマンの著作でそれを思い知らされました。

特に「ガイア思想の神学」とか、
自然環境に関すること、
「非西洋的な痛む神」などの概念を、
モルトマンは考え尽くしています。
私のような凡人にできるのは、
彼が考えたことを「上からなぞる」ぐらいのものです。

陣内が先週読んだ本 2019年5月9〜25日 『命のビザを繋いだ男』他

2019.10.29 Tuesday

第93号   2019年5月28日配信号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 陣内が先週読んだ本 
期間:2019年5月9日〜25日
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

先週私が読んだ本(読み終わった本)を紹介していきます。
一週間に一冊も本を読まない、
ということは、病気で文字が読めなかった数ヶ月を除くと、
ここ数年あまり記憶にないですから、
このコーナーは、当メルマガの
レギュラーコーナー的にしていきたいと思っています。
何も読まなかった、という週は、、、
まぁ、そのとき考えます笑。

ただ紹介するのも面白みがないので、
twitterに準じて、
140文字で「ブリーフィング」します。
「超要約」ですね。
(どうしても140字を超えちゃうこともあります。
 140文字はあくまで「努力目標」と捉えてください笑。)

忙しい皆さんになり代わって、
私が読んだ本の内容を圧縮して紹介できればと思います。
ここで紹介した本や著者、テーマなどについて、
Q&Aコーナーにて質問くださったりしたら、
とても嬉しいです。


●クォンタム・ファミリーズ

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀
出版年:2009年
出版社:河出書房

リンク:
https://bre.is/ys01hHfex

▼140文字ブリーフィング:

作家・思想家の東浩紀さんが、
2009年に書いたSF小説です。

彼の生き方に私はとても惹かれています。
「キリスト教界の○○」みたいな言い方ってあります。
この言い方を私はあんまり好きじゃないんですが笑、
敢えてこのカテゴライズに従いますと、
私の場合、目指しているのは、
「キリスト教会の東浩紀」
「キリスト教会の佐藤優」
このあたりだと思います。

東浩紀も佐藤優も、
読書層にしか知られていない、
世間的には「マイナーな有名人」ですから、
キリスト教=社会のなかでマイナー、
東浩紀=有名人としてマイナー、
という、「マイナー×マイナー」の掛け算なので、
私の活動はその天性からしてマイナーなのです笑。

佐藤優氏のことは今日は置いておくとして、
東浩紀はしかし、
凄い人だと私は思っていて、
個人的に「私淑」しています。
勝手に尊敬し、勝手にロールモデルのように考えている、
という意味です。

彼は東京大学大学院生時代に、
「動物化するポストモダン」という本を書き、
それが論壇に受け入れられ評価され、
「批評家・文筆家」としてのキャリアをスタートします。
その後大学で教えたり、論壇で活躍したり、、、
という時期を過ごした後、
「たこつぼ社会的な論壇・哲学会」という状況に、
可能性を感じられなくなります。

彼は大学の仕事や、哲学「業界」、
論壇「業界」との関係から足を洗い、
「起業」します。
彼は中小企業の社長になったのです。
それが「株式会社ゲンロン」という、
五反田に本社を構える会社で、
この活動をかれこれ10年近くしています。

「ゲンロン」の活動は、
「ゲンロンカフェ」という有料の討論会の主催、
本の出版、定期購読雑誌の刊行、
ゲンロンカフェの動画の有料配信、
各地でのゲンロン関係のイベント、
アートワークショップ、
チェルノブイリや福島へのツアーなど、
多岐にわたります。

なぜ彼についてこんなに詳しいのか?
端的に言って、私は彼の「ファン」なのです。

なんていうのかな。

彼は
「アリストテレスであることをやめて、
ソクラテスになることを選んだ人」
という風に私には見えるからです。

「トマス・アクィナスであることをやめて、
 パウロであることを選んだ人」
といっても良い。

あ、日本だとあれだ。
「親鸞」ですよ。

つまり、「象牙の塔」としての哲学会とか、
論壇を背にして、
「在野の思想家・哲学者」として、
民衆と共に苦しむことを選んだ人なのです。
そういう実践にしかこの世の中を変えられない、
という直観に従って。
そして、その直観はおそらく正しい。

「哲学会」「神学界」「キリスト教界」、
「何かしらの学会」「職能集団」、
こういったシェルターに引きこもると、
その人の思考は「たこつぼ化」します。

たこつぼ化とは思想家の丸山眞男が広めた概念で、
「その業界のローカルルールに引きこもる現象」を言います。
私はかれこれ10年ほどこのことについて考えてきました。

最近気づいたことが二つぐらいあります。
これを「日本社会の現象」と考えると見誤るということ。
英語で、「サイロ・エフェクト」という言葉があり、
たこつぼ化とほぼ同じ現象を指します。
そういった言葉が英語圏にもあるということは、
おそらく世界に普遍的な現象です。

もうひとつは、「たこつぼ化」の「ありか」です。
「たこつぼ」や「サイロ」はどこに存在するのか?
それは社会や集団の中にではなく、
「脳内」にある、というのが、
私の最近の思考的アップデートです。

つまり、その社会のなかに、
「見えない空気」のようなものが働き、
それが集団をたこつぼたらしめている、
という世界像そのものが、
「非常に日本的」なのです。

そうじゃない。

「たこつぼ化」とは端的に、
「思考パターン」のことだと整理すると、
私は問題がすっきりするのではないかと最近は思っています。

なので、「学会にいながら、たこつぼ化していない人」がおり、
分野横断的に活動しているはずなのに、
思考法が、たこつぼっぽい人がいる。

東浩紀は「文壇」というたこつぼを飛び出し、
「たこつぼ化する日本」に、
風穴を空けたいのだと私は理解しています。
そして言いたいのだと。
「思想とか哲学の本来の役割って、
 つまりはこういうことでしょ。」って。

めちゃくちゃカッコいい。
だからこそ、
彼はガンダムやエヴァンゲリオンを論じたり、
戦後日本社会を論じたり、
カントやフランス文学を論じたり、
そして小説を書いたりします。

彼の知性は縦横無尽に飛び回ります。
それは彼が半端ではない思考の燃料、
つまり骨肉となった知識を持っているからです。

めちゃカッコいい。
私がしたいと思っていることはそういうことです。
彼の100分の1にも達していませんが。

この小説、実は三島由紀夫賞を受賞してるんですよね。
東浩紀がどんな小説を書くのか、
私は興味がありました。
「思想的な人間が文学的なものを書くとどうなるのか?」
を知りたかった。

告白しますと、
私もいつか小説書くかも、
と、10%ぐらい思っていて、
その予備勉強のために読んだのです。

、、、で、この小説については?

文字数がなくなったので割愛します笑。
量子論の世界に、
「マルチバース」っていう考え方があるんですよね。
「シュレーティンガーの猫」とかの延長線上にある話しです。
「ユニ=唯一の」「バース=領域・宇宙」というのが、
ユニバース、つまり宇宙なのですが、
「マルチ=多数」の「バース=宇宙」
というのがマルチバースの考え方です。

「私たちの宇宙は、
 無数の『あり得たかもしれない宇宙』の、
 可能性のひとつに過ぎないのではないか」
と言う仮説です。
「地球が存在することは奇跡」
というのは天体学者のだれもが同意するのですが、
実は何兆個という、
「地球が存在しない宇宙」が、
我々の知覚できないかたちで存在していて、
私たちはたまたま「奇跡の宇宙」にいるだけなのではないか?
この考え方は「人間原理」という有名な思想とも親和性が高い。

これ、トンデモ学説とかじゃなくて、
物理学の世界では真面目に論じられています。
現代の物理学はますますSFに近づいているのです。

東浩紀はこの、
「マルチバース」の考え方を下敷きにしたSFの物語に、
デリタだとかドストエフスキーの思想・哲学を載せる、
という高度なことをしています。

私は村上春樹の、
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を、
東浩紀が書くとこうなる、
という話しとして読みました。
(2,433文字)



●英語を子どもに教えるな

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:市川力
出版年:2004年
出版社:中公新書ラクレ

リンク:
https://bre.is/uKdn-qfOK

▼140文字ブリーフィング:

先日、メルマガ読者で友人の山田風音くんと、
愛知県で会ったときに教えてもらいました。
めちゃ面白い本でした。

「我が子に英語を話してほしい」と、
多くの親が思います。

グローバル化する世界で、
「英語を話せる」というのは、
麻雀で言うと(麻雀でいうのか!)、
ドラが一つ乗っかっている、
あるいは役がひとつ揃ってるみたいな感じです。
あ、やっぱ分かりづらかった笑。
トランプでいうと、
ジョーカーが手札にある感じです。
こっちのほうがいいね笑。

、、、私は断定調でそう書きましたが、
「果たしてそうなのか?」というのは、
私も思うわけです。

私自身が幼少期の一時期をアメリカで過ごし、
高校でかなり英語を頑張り(←これ重要)、
大学では留学生とめっちゃ時間を過ごしたのもありますが、
まぁとにかく、英語を話せるわけです。
なので「オマエに言われても説得力に欠く」と言われれば、
言い返す言葉もないのですが、
「英語が話せること」って、
そこまで大切なことだろうか?
というのは思うわけですよ。

「正確な日本語が話せる」
ことのほうがよほど大切だと、
それでも私は思うわけです。

「マジ」「うざい」「ヤバい」「きもい」
といった、だいたい10語ぐらいのボキャブラリーで、
日常を送っている人間というのは、
「日本語すらマスターしていない」
と思います。
そのような人が英語を学ぶ、
あるいは子どもに英語を身につけさせようとする、
というのは、
「もっと先にやることがあるんじゃないの?」
とか思うんですよね。

なんていうのかな。

パンツとズボン履いてない人が、
ネクタイの柄で悩んでるみたいな話で、
「まずパンツだろ」と笑。

まずはチンコをしまってから、
ネクタイにこだわろうぜ、っていうね。
「チンコ」ってメルマガに書く日が来るとは、
思ってませんでしたが笑。

、、、で、本書の著者は、
90年代に日本からアメリカにビジネスで来た家族の、
子どもたちのための「学習塾」で教えていた人です。
親たちは「せっかく幼少期をアメリカで過ごすのだから、
バイリンガルに育てなきゃ損」みたいな感覚で、
子どもたちを必死でバイリンガルにしようとしたそうです。

そのような多くの子どもたちを彼は、
10年とか20年という単位で観察し、
気づいたのです。
「小さいうちに英語を身につけさせようとすることが、
かならずしも子どもたちを幸せにしていない」と。
じっさい、親たちの期待に応えようとした結果、
「日本語も英語も中途半端にしか使いこなせず、
 変なプライドだけを身に着けて日本に帰った結果、
 引きこもりになり、拒食症になり、
 自殺までしてしまう」というような子どももいました。

自殺は極端にしても、
「子どもに英語をぶち込む」
という親のエゴが、
必ずしも子どもを幸せにしない、
ということを著者は経験的に確信するようになります。

論点がいくつかあるのですが、
代表的なところをピックアップしてご紹介します。

→P91 
〈「せっかくアメリカに来たのだから、
子どもに英語を身につけさせないで帰るのはもったいない」
と安易に発言する親が多かった。

しかし、それは、大人の自分勝手な発想に過ぎない。

英語を身につけながら、
日本語を維持することは並大抵のことではない。
比較的低年齢からアメリカに来ているのに
英語力の伸びが芳しくない場合や、
日本でもあまり読書習慣がなく、
豊かな日本語体験があったとは言えない場合、
英語も日本語も両方ともセミリンガル状態になる可能性が高いので、
まずは母語である日本語の力を養う指導に重点を置くべきだろう。〉


、、、「セミリンガル」というのは、
日常会話は出来るが、
論理的に話しをしたり、
本を読んでその内容を理解する、
といった言語能力にまで到達していない状態です。
英語と日本語の両方を子どもに同時にマスターさせようとするのは、
あきらかに「オーバーロード」で、
子どもの脳は「中途半端な英語」と、
「中途半端な日本語」だけを身に着け、
結果的にどちらも「使い物にならない」という風になる。

例外的に見事なバイリンガルになった子どもたちには、
共通する特徴があったそうです。
まず、その子どもと家庭に、
日本語で本を読む読書習慣があったこと。
そして親が子どもに、
本を読み聞かせる習慣があったことだそうです。

彼らの「日本語能力の足腰の強さ」が、
英語を習得する際にもプラスに働き、
バイリンガルになることに成功したのだろう、
と著者は予測しています。

いずれにしても、
「まずは日本語」なのです。
パンツが先なのです。

、、、そもそも、
なぜ親たちはそんなにも、
子どもに英語を話してほしいのか?
「国際人になってほしい」というのが理由ではないでしょうか?
もっと卑近に、「就職や就学に有利に働き、
将来高額な報酬をもらえる仕事に就ける」
と考える親もいるかもしれませんが、
いずれにせよやることは同じです。
日本語を第一言語としない人々と、
「意思疎通」出来る能力を獲得する、
という意味では両者は同じことを要求します。

ではどうすれば、
英語話者と英語で意思疎通できるか?
実はそのために必要なのは、
「発音が良いこと」ではなく、
「話している内容が良いこと」のほうです。
つまり論理力と、自分の考えをしっかり持つこと、
それを他者に伝達できる表現力のほうが大切なのです。

引用します。

→P112〜113 
〈いい発音で定型句を並べていけば、
非常に高度な英語力を持っているように見える。
その意味でいくら「ぺらぺら」になったとしても、
人間性と知識が「ぺらぺら」ならば、
国際社会でまったく相手にされないだろう。
まずは、外国人に伝えたいアイデアや意見を持つことが何よりも大事である。
それがないから話せないのであり、
英語力だけのせいにして妙なコンプレックスにこりかたまっているのは、
まったくの筋違いであることに気づかなければならない。
英語ぺらぺら幻想から目覚めることが、
今いちばん英語教育において必要なことなのかもしれない。〉


、、、実は英語以上に普遍的な科目は数学です。
全世界共通ですから。
これには深い理由があります。
数学というのは「論理学」なのです。

AゆえにB
BゆえにCならば、
AゆえにC、
といったような「ロジック(論理)」
を操作することが出来ることが、
良い発音で話すことよりも大事です。

たどたどしかったとしても、
「あなたが今言ったことと、
 この情報をつなげると、
 こういう結論になるのでは??」
というように論理的な話しを出来ることの方が、
「国際人」には必要な条件なのです。

最後に著者は、
「親のわがままな願望を子どもに投影するな」
という警句を発します。

→P98 
〈子どもに対する親の期待が、
親自身の「わがままな願望」を
実現させようとするものであったとき、
それは子どもにとって、過度で、
不当に期待になると言えるだろう。

親が子どもに英語を学ばせたいと思う動機が、
自分は英語で苦労したので、
我が子にはこの思いをさせたくないということであったり、
有名校に進学し、一流企業に就職するためには
英語が武器になるということであったりした場合は、
「子どものため」という理由を隠れ蓑にして、
実は親が自分のわがままな願望を子どもに託しているに過ぎない。

また、我が子を、他の子と比較して、
優れている子どもに育てることで、
自分の競争心を満足させたいという気持ちの延長線上に、
英語が出来る子どもにするという目標があるならば、
子どもは親の期待の犠牲者になる可能性が高いだろう。〉


→P99〜100 
〈我が子を思う気持ちの強さが、
気づかぬうちに親自身の自己愛を
満足させることにつながりやすいことを、
親は常に意識していなければならない。
子どもに対する親の期待には、
子どもを追い込む危険な罠が隠れている。〉


、、、子どもにとっての最大のリスクファクターは、
放射能でもスマホでもPM2.5でもありません。
それは「親」です。
親である自分自身が子どもを害していないか?
これが一番たいせつなことだと、
私は自分に言い聞かせています。
子育てって「何をするか」と同じかそれ以上に、
「何をしないか」が大事だと思います。
(3,252文字)



●シャーデンフロイデ

読了した日:2019年5月10日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:リチャード・H・スミス
出版年:2018年
出版社:勁草書房

リンク:
https://bre.is/35fQOPmw7

▼140文字ブリーフィング:

早くも文字数がヤバくなってきたので、
ここからは駆け足で行きましょう。

中野信子さんが、
同じタイトルで新書を書いていますが、
こちらはその「元ネタ」のような本で、
学術的な知識に基づく緻密な本です。

「シャーデンフロイデ」とはドイツ語で、
「シャーデン=毒・損害」「フロイデ=喜び」
という意味なので、
「他者の不幸を見たときに沸き上がる喜び」
というような意味になります。

現代社会を理解する上でシャーデンフロイデは、
重要な補助線となります。
週刊誌の不倫報道や、
不正を犯した人物をとことん糾弾する「ネット自警団」など、
現代社会には「シャーデンフロイデ」で説明できる現象が、
非常に多く見られます。

自分が不幸なとき、
頑張って幸せになろう、
という方に行くのでなく、
他者が自分と同じく不幸になるのを見て、
溜飲を下げる、という心理的な力学ですね。

これに絡め取られないことが、
現代社会において非常に大切です。

→P177 
〈ダンテの神曲(煉獄篇)では、
妬み深い者の両目が針金で縫い付けられているが、
この描写は相応しいものであるように見える。
というのも、ラテン語のin「〜の上で」+videre「見る」が、
envy(妬み)の語源だからだ。
妬む人たちは有利な他者に悪意を抱きながら、
邪眼を向けている
――「そして、他者に不幸が降りかかると嬉しそうに眺める」。〉


、、、私たちは他者を「上から見る」のです。
FacebookやInstagramやネットニュースや匿名サイトで。
そして、「不幸が降りかかると嬉しそうに眺める」。
ダンテの神曲ではこの人たちは、
両目を針金で縫い付けられました。

現代人の多くもそれに一歩近づいています。
では、私たちはどうすればシャーデンフロイデから自由になるのか?
それには私たちに潜むいくつかの、
「心理バイアス」を理解し、
それに対処する必要があるのですが、
今日はそこまで説明する時間(文字数)がありません。
あしからず。
(798文字)



●逆転力

読了した日:2019年5月17日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:指原莉乃
出版年:2014年
出版社:講談社MOOK

リンク:
https://bre.is/eoK6QktJWn

▼140文字ブリーフィング:

AKB48の指原さんの本です。
どちらかというと、
指原は嫌いなのですが笑、
彼女が頭が良いのは間違いありません。
「天才」と言っても良いかもしれない。

「地頭が良い」という言葉がありますが、
彼女こそその権化のような存在です。
本書を読んでそれを深く確信しました。
読むと分かりますが、
クソほど頭良いです、この人。
私の100倍ぐらい頭がキレるんじゃないでしょうか笑。
マジで。

ただね。

注意が必要です。

「自信を失ってるみんな、
 私を見てください!
 こんなに可愛くもないし、
 特別な才能もない指原でもできたんだから、
 みんなもできるって夢を見てほしい」
というのが彼女が言っていることですし、
秋元康もその「ストーリー」を商品化しているわけですが、
この商品には劇物が混ざっています。
「猛毒入りまんじゅう」なのです。

どういうことか?

本書で一番多様される言葉は、
「自分はズルい」「自分は打算的だ」
「自分は計算高い」「自分が幸せなのが一番大事」
「死にたくない」「真正面から勝負しない」というような、
「エゴイスト宣言」「自己愛宣言」です。
彼女は「自己愛世代」の日本代表なのです。

まぁ、「こういう人が成功する社会」だ、
というのもよく分かるし、
彼女の在り方は、
現在の20代以下の世代の空気を良く表しています。

ただ、ここからが問題です。

彼女は明らかに天賦の才能に恵まれ、
天才的に頭が良いから良い方に転んだのであって、、、、
という留保が必要なのです。
「本物の凡人=つまり人口の99%」が、
彼女の哲学を内面化して実践したら、
完全に無視されるか、
社会に迷惑をかけるか、
大事故を起こします。

「自分を凡人に見せる」
ということを含め、
彼女は天才なのですから。
彼女は猫の着ぐるみをかぶった、
サーベルタイガーなのです。

騙されてはいけません。

それはさておき、
予見される未来において、
「日本初の女性総理大臣」になるとしたら、
それは指原だと思います。
まぁ、私は好きじゃないけど笑。
(620文字)



●えんとつ町のプペル

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:にしのあきひろ
出版年:2016年
出版社:幻冬舎

リンク:
https://bre.is/Oa4B_BJX7

▼140文字ブリーフィング:

ひとつ罪を告白しますと笑、
インドにいる間、
Kindleで本を買って読んでいくうちに、
変な袋小路に迷い込んでしまい、
キングコングの西野亮廣の自己啓発書を、
買って読みました。

そのタイトルも「新世界」。
その本の中で彼がめちゃくちゃ「あおる」ので、
彼の絵本がどんなもんかと思って、
つい手に取ってしまいました。
罪に罪を重ねてしまいました笑。

、、、読んでどうだったか?

ノーコメントでお願いしたいところですが、
まぁ、端的にいって、
中二病が爆発してましたよ、そりゃ。
彼の中二病は凄いです。
「職業・中二病」ですから笑。
それで立身しているのですから、
それはそれで立派なものです。
(279文字)



●誰もが嘘をついている

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:セス・スティーヴンス=ダヴィッドウィッツ
出版年:2018年
出版社:光文社

リンク:
https://bre.is/n4OVfvKCd

▼140文字ブリーフィング:

これはめちゃくちゃ面白かったです。
人間心理を広域に調べる場合、
現代の学問体系ですと、
社会学ではアンケートを用い、
心理学では学生による実験を用います。

ところが、
「第三の情報ソース」として、
著者は「グーグル検索バー」のビッグデータが、
それになるのではないか、と「予言」します。
当初学者たちは彼の主張を相手にしていませんが、
もはや無視できないところまで来ています。

たとえばインフルエンザの流行を、
予測したりモニタリングするのに、
米国でも日本でも手法は同じです。
医者が患者を診断します。
医者は特定の流行性疾患について、
保健所などの政府機関に報告が義務づけられています。
ところが発症→診断→報告→集計→発表、
というプロセスには、一週間から10日間のタイムラグができます。
「流行の予兆」から「流行の発表」まで、
いかにも官僚的な理由で、
かなりのタイムラグがあるわけです。

ところが、もう一つの感染予測ルートが、
現在真剣に検討されています。
ある町である日のグーグル検索バーに打ち込まれる、
「高熱」
「節々の痛み」
「筋肉痛」
「喉の腫れ」
「倦怠感」
などの検索ワードが跳ね上がったら、
それはかなりの高確率でインフルエンザの流行を示唆するのです。
しかも、役所よりも7日間も早く予測できる。

もちろん、
グーグルのプライバシーポリシーの問題や、
これによる発表が始まったときに、
その事実が検索項目に影響を及ぼすという、
「量子論的問題」など、
様々なクリアすべき課題はあるのですが、
あるトピックについては、
実験やアンケートよりも、
Google検索バーの情報のほうが、
正確に社会の実態を把握する情報源である、
ということは間違いなさそうです。

著者は検索バーは、
現代の告解室(カトリック教会の懺悔を行う場所)だ、
と指摘しています。

→P131 
〈ここでちょっと
「子どもを持ったことを後悔している」
などと検索することの意味を考えてみよう。
グーグル自体は情報を調べる手段として存在している。
天気予報や昨晩の試合結果、
自由の女神はいつ建てられたかなどだ。
だが時に人は、
たいして期待もせずに赤裸々な思いを検索ボックスに打ち込む。
この場合、検索ボックスはいわば告解の場だ。〉


、、、現代人は、
最愛の人や神父の前ではなく、
検索バーの前で、
最も正直になるのです。

2016年のアメリカ大統領選挙において、
メディアのほとんどは、
「ヒラリー圧倒的有利」を予測しました。
直前の電話予測調査でもそれは変わらなかった。

しかし、蓋を開けてみると、
トランプが勝った。
人々は電話調査で嘘をついていたのです。
「有権者の子どもへの調査」は、
これまでの大統領選では、
かなりの精度で当選者を予測する、
と知られていましたが、
それすらも裏切られました。
子どもたちは親たちのヒラリー支持を予測しましたが、
結果は逆になった。

親たちは子どもたちにすら嘘をついていたのです。

では、人々は正直に告白したのはどこか?
そうです。
検索バーです。

引用します。

→P25〜26 
〈予備選の初期、ネイト・シルバーは、
トランプが勝つ見込みはないに等しいと宣言した。
予備選が進み、
トランプが広範な支持を集めていることが明らかになるにつれて、
シルバーは何が起きているのかデータで検証することにした。
いったいどうしてトランプはこんなに快調なのか?

その結果、トランプが最も優位な地域をつなぎ合わせると、
奇妙な地図が出来ることが分かった。
北東部、中西部工業地帯、そして南部で勢いがあり、
西部では不振を極めていたのだ。
シルバーはこの勢力図を説明できる変数を探した。

失業率か?
宗教か?
銃所有率か?
移民率か?
反オバマ率か?

そしてシルバーは、
共和党候補予備選挙で
ドナルド・トランプの支持に最も相関性の高いある要因を見出した。
それは私が4年前に見出した判断の手がかりだった。
トランプ支持が最も強かった地域は、
「ニガー」という語を最も良く検索していた地域だったのだ。〉


、、、ニガーというのは、
黒人への蔑称です。
「クソ黒人」と検索した人が多い地域と、
トランプ支持との相関性が、
宗教、銃所持率、移民率、失業率、、、
などよりも正確な「トランプ予測変数」だったのです。

背筋の凍る話しです。

今後もグーグルのビッグデータは、
人類の動向を分析・予測する上で、
かつてないような規模の情報を与えてくれるでしょう。
社会学の概念が変わるかもしれないような変化の予兆が、
すぐそこまで迫っています。
(1,812文字)



●戦争する国の道徳

読了した日:2019年5月18日
読んだ方法:図書館で借りる

著者:東浩紀、宮台真司、小林よしのり
出版年:2015年
出版社:幻冬舎新書

リンク:
https://bre.is/VB8rd6Y-H

▼140文字ブリーフィング:

先ほど紹介した、東浩紀の「ゲンロンカフェ」で、
2015年3月14日に行われた鼎談の文字おこしです。
3人が沖縄の基地問題、福島の復興、日本の未来について語ります。
面白かったですが文字数の関係で泣く泣く割愛!

東浩紀が「回し役」なので、
最も発言機会も少なく話しも短いが、
彼が最も頭が良いというのが文字興しすると分かります。
宮台真司は衒学的でちょっと、、、。
もちろんそれはそれで圧倒されるわけなのですが、、。
(199文字)



●文藝春秋 2019年6月号 村上春樹「猫を捨てる」

読了した日:2019年5月24日
読んだ方法:駅の売店で購入(1000円)

著者:村上春樹
出版年:2019年
出版社:文藝春秋

リンク:
https://bre.is/kwdR44Vf_

▼140文字ブリーフィング:

村上春樹氏が書き下ろした、
お父さんとの和解の話し。
めちゃくちゃ興味があったので、
「文藝春秋」の雑誌を初めて駅で購入しました。
心がじんわり温まる、良い文章でした。
これも文字数の関係で割愛(泣)!
(96文字)



●命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民

読了した日:2019年5月25日
読んだ方法:義理の父から借りる

著者:山田純大
出版年:2013年
出版社:NHK出版

リンク:
https://bre.is/QJ2gCcIgm

▼140文字ブリーフィング:

ペース配分をまちがえました(爆死)。
本当がこの本が一番解説したいのですが、
文字数が足りないので簡単に説明します。

杉原千畝の「命のビザ」は、
今では多くの人が知っていますが、
命のビザでリトアニアから日本に逃げてきた難民たちが、
アメリカに行くために「中継」した人物の存在は、
これまで知られていませんでした。

本書の著者・山田純大さんはなんと俳優さんで、
歌手の杉良太郎の子どもらしいです。
彼は子ども時代をハワイで過ごしたそうで、
小辻節三という人の存在を知ったことから興味が湧き、
綿密な調査をして、
「日本にこういう人間がいたことを、
 日本人に知ってほしい」
という一心でこの本を書き上げました。

小辻節三という人について引用します。

→P9 
〈杉原(千畝)が発給したビザは
あくまでも日本を通過することを許可するビザであり、
彼らに許された日本での滞在日数は多くても十日ほどであった。

たった十日間で目的地の国と交渉し、
船便を確保するのは不可能である。
ユダヤ難民たちはビザの延長を求めたが、
その願いは叶わなかった。

もし、ビザが延長されなければ、
ユダヤ難民たちは本国へ強制送還されることになる。
それは彼らにとって「死」を意味していた。

そんなユダヤ難民たちの窮地を救った一人の日本人がいた。
その人の名は小辻節三。

小辻節三は次々に神戸に辿り着くユダヤ難民たちの窓口となり、
日本政府と様々な形で交渉した。
そして見事にビザの延長を実現したのだ。

それだけではない。
ビザがないために日本に入国できず、
日本海の船上で助けを待つユダヤ難民たちに救いの手を差し伸べたり、
彼らが日本で安心して生活を送れるように尽力した。
また、目的地へ向かう船便の確保のために
船会社と交渉するなど東奔西走した。〉


、、、ユダヤ人たちを救済した外国人たちに、
「諸国民の中の正義の人」という賞が、
イスラエルから送られます。
『シンドラーのリスト』のシンドラーや、
杉原千畝などにも贈られているのですが、
小辻節三はこれを授与されていません。

それには理由があり、
これは「異邦人」に贈られる賞なのですが、
小辻節三は異邦人ではないのです。
彼は若いときにキリスト教に改宗し、
神学校に行き牧師になり、
旭川で教会の牧師として働きます。
しかしその「教会文化」になじまず、
むしろ「ヘブル語と聖書」に惹かれた小辻は、
アメリカにわたりヘブル語の博士号を取ります。

そして日本に帰ってきて、
ヘブル語を教える私塾を運営した後、
満鉄総裁の松岡洋右に呼ばれ、
満州国に行って、
当時満州国に多数いたユダヤ人と、
当局との橋渡しをするようになります。

帰国してからは鎌倉でヘブライ語の研究をしていましたが、
「命のビザ騒動」で再び日本のユダヤコミュニティから要請され、
東奔西走して彼らの命を文字通り救います。

戦後彼は穏やかな日々を過ごしますが、
老年になり、「改宗してユダヤ人になりたい」
という長年の夢を達成するために、
エルサレムに渡ったのです。
彼は「日本人初のユダヤ教徒(ユダヤ人)」でもあるのです。

「諸国民の中の正義の人」は、
「ユダヤ人のために尽力した異邦人」に贈られますから、
ユダヤ人となった小辻は対象に入っていなかったことを、
山田純大さんは突き止めます。
しかし、彼の「日本人としての」業績が認められ、
今後もしかしたら「諸国民の中の正義の人」
に加えられる可能性がないわけではありません。

こういう人が日本にいたことが、
誇らしくなりました。
まったくこれまで知らなかったことが申し訳ないですし、
知らせてくれた山田純大さんに感謝したいです。
(1356文字)



▼▼▼リコメンド本「今週の一冊」▼▼▼

ご紹介した本の中から、
「いちばんオススメだったのは?」という基準でリコメンドします。
「いちばん優れていた本」というよりも、
「いちばんインパクトの大きかった本」という選考基準です。
皆さんの書籍選びの参考にしていただけたら幸いです。


▼今週の一冊:命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民

コメント:

これは非常に面白かった。
紹介してくれた義理の父に感謝です。
小辻節三という人の、
学究肌で政治的な権力や名声や富に無頓着な、
いわば不器用な生き方は、
どこか自分自身と重なるところがあり、
他人事とは思えませんでした。

彼は自分の人生を、
「霊的な探求の旅路だった」と晩年に言っています。
「100年以内に自分を理解してくれる人が、
 きっと現れるだろう」
と言い残して死んだ、と娘たちは語っています。
じっさい山田純大さんが「掘り起こす」まで、
ほとんどまったく日本で知られてこなかった。
むしろイスラエルや、
アメリカのユダヤ社会では有名な人らしいですが。

同時代に理解されることにまったく頓着しない、
というのもとても惹かれる。
「宗教家として成功することと、
 霊的な歩みをすることは矛盾する」
というのを最近何かで読んだのですが、
私は後者に傾いているので、
同じ傾向を持つ小辻節三に共鳴を覚えるのでしょう。



▼▼▼部門賞▼▼▼

ご紹介した書籍の中から、
陣内の独断と偏見で、
「○○賞」という形で、
特筆すべき本をピックアップします。
こちらも何かのご参考にしてくだされば幸いです。

▼「検索データの衝撃賞」
『誰もが嘘をついている』

コメント:

この本はヤバかったです。
解説に書いた通りですが、
「世の中の認識」が、
今後変わっていくかもしれない、
ということを感じます。
私たち現代人は「グーグルという祭司」に、
いつも罪を告白しながら生きているのです。
そして祭司がその気になれば、
私たちを操作することもできる。
面白かったです。